「守人の里が……はぁ……見つかったって?はぁ……」
「らしいニャ……はっ……今はスージャってとこに……ふぅ……行ってるみたいニャよ」
男と相棒アイルーは断崖を走っていた
「そりゃ良かったが……しつけーぞテメェコラァ!」
「ちょっと通るだけニャのに~!?」
報せを聞いて後追いしていたら先に鳥の隊が撃退したジン・ダハドが急に現れて追われたのだ
「ドクソがぁ……ぶちのめしてやろうかゴミカス邪魔モンスがよぉ!」
「それはマズイニャ旦那!普通のモンスターなら多少は誤魔化せるけど個体が少なくて強力なモンスターをぶちのめしたら絶対調査されるニャ!」
素性を隠してお忍び観光に来ている二人は手が出せない相手
「じゃこのままマラソンで逃げ切れってのかよ!?」
「それはボクもイヤニャー!?」
手が出せない二人は嘆きながらジン・ダハドと鬼ごっこを続けるしかなかった
「お……?ありゃあ……」
走りながら男は遠目に骨塚を見つけた
「……おい!頑丈そうな骨がある!」
「ニャ!?……わかったニャ旦那!手頃なの探すニャ!」
男が何をしたいのかを阿吽の呼吸で察した相棒アイルーは進行方向から必要な物を探す
「っし骨ゲット!そっちはどうだ!?」
「有ったニャ旦那!あの氷塊ニャ!」
相棒アイルーが指差すそこには人間大の大きな氷塊
「でかした!うおらッ!」
男は氷塊に骨を突き刺し持ち上げた
「1発限りの即席ハンマーだコラッ!覚悟しやがれボケナス野郎!!」
ジン・ダハドに振り向きタイミングを合わせ力を溜めるように一回、二回と即席ハンマーを振り下ろす
「ブッ飛べオラァァァァァ!!」
渾身のホームランをジン・ダハドの顔に叩き込んだ
「オグオオオォォォッッ!!?」
弾けた氷塊と共にジン・ダハドの巨体が打ち飛ばされ壁に叩きつけられた
「思い知ったかこのダボハゼがぁ!!」
地に落ちたジン・ダハドは動かなくなった
「死んじゃったかニャ?」
「いんや生きてる、気絶してるだけだ」
ようやく鬼ごっこが終わり二人は息を吐く
「やーしっかし旦那は歳取っても相変わらずバケモノニャ、あんな下手したらボーンハンマー以下の即席ハンマー1発で気絶に追い込むんだからニャ~」
「そらお前、Fクラスの英雄は伊達じゃねぇって事よ、オレの愛用ハンマーだったらコイツは顔がミンチか泣き別れてんよ」
笑いながら持ってた骨を捨て大きく体を伸ばし軽くストレッチを行い歩き出す
「行こうぜ、ようやく見つけた守人の里ってところによ」
「面白いモノあるかニャ~」
旅路を楽しむ……
「何か変なドシャグマ居たよな?白いリオレウスも居たがよ……」
「まさかゼルレウスかニャ?」
二人は竜都の跡形に辿り着いた
「いや、ありゃリオレウスだった、亜種とも希少種とも違う感じだったが……」
道中妙なモンスターを見たが正体は不明、男も過去に狩った事はおろか見た事すらもない
「新種かニャ?」
「そういう感じでもなさそうなんだよな……上手く言えねぇけどよ」
「ニャ~……とりあえず守人の里に行って先に着いた調査隊が集めた情報聞いてみるニャ」
「だな、そうすっか」
守人の里シルドを目指す
「ふぅん……ガーディアン、ねぇ」
シルドで聞いた謎のモンスターの真相
「造られたモンスターだったニャんてニャ……旦那の違和感はそういう事だったのニャ」
白く染まったモンスターは1000年前の守人の祖先が竜都を守護させる為に既存のモンスターに手を加えて造られた人造竜だった
「あのアルシュベルドもガーディアンだったとはよ、暴走してるって話らしいが……オレが昔狩ったのもガーディアンだったのかねぇ」
「可能性は有るニャ、もちろん僅かに生き延びてた原種の可能性もニャ」
「あの時絶滅種かガーディアンかどっちかでも知ってりゃなぁ……狩らなかったかもしれなかったのによ」
「気にしない方が良いニャ旦那、ハゲちゃうニャ」
「それもそだな……つか話は変わるけどよ」
気難しい顔から一変し男は真剣な顔で相棒アイルーへ言った
「ナタってガキの身内?のあのタシンおじさんって奴……なーんかあいつ怪しくねぇか?」
「ニャ……ボクも思ってたニャ」
どうやら不穏なモノを感じ取ったらしい
「もしかしてよ?あいつが黒幕なんじゃねぇか?アルシュベルドもあいつの実験の被害竜的なよ」
「待つニャ旦那……だとすればナタの父親は行方不明ニャ、という事はニャ……」
「……!おいおい……まさかもう父親には会ってるって……そう言いてぇのかよ?」
「そうニャ……白の狐影、あのアルシュベルドがナタの父親ニャ!」
「マジか!?お前それヤベェって!」
推測を深め真相に近付いていく
「怪しい顔してると思ったんだよあいつ!やっぱな~」
「あの顔は絶対悪い奴の顔ニャ!」
しかしそれは根拠も何も無いチンピラの言いがかりレベルの的外れな推理であった
「……父親がアルシュベルドなのは無理があんな」
「だニャ、ちょっとジョークが過ぎたニャ、ごめんニャタシンおじさん」
「でもやっぱ何か怪しいよな」
「怪しいニャ!目を光らせとくニャ!」
言いがかりをつけられるタシンおじさんが可哀想である
「見張りも飽きたニャ~」
「いつの間にやら追ってたアルシュベルドも討伐したみたいだし気晴らしに何かすっか~」
無実のタシンおじさんの見張りを早々に飽きた二人はおもむろに竜都の跡形の探検を始めた
「そろそろお土産も考えなきゃな、特産品でも持って帰るか?」
「セクレト捕まえて持って帰るニャ!」
「ここに居んのか?」
「居るニャ!こっちニャ旦那!」
相棒アイルーに連れられて行った場所には繭みたいなモノが複数あった
「旦那、これ切ってみるニャ」
「いいのか?」
「いいからやるニャ」
言われるままに切ると繭の中から白いセクレトが出てきた
「おまっ、これガーディアンじゃねぇのか?」
「でもセクレトニャ!」
出たのはガーディアンセクレト
「なるほどな、これなら手懐けちまえばオレ等のモンて訳だ、でかした相棒!」
「ニャ~♪」
生まれたセクレトへ男が手を差し出す
ガブッ
セクレトが手を噛んだ
「…………」
バコォ!
セクレトは殴られた
「躾が大事だよなこういうのは」
男は笑ってまた手を差し出す
ガブッ
セクレトはまた噛んだ
「…………」
バコォ!
セクレトはまた殴られた
「気合い入ってんなお前~、嫌いじゃねぇぜ」
男は三度手を差し出す
ガブッ
セクレトは力の限り噛んだ
ドゴォ!!
セクレトはぶん殴られた
「ぶっ殺してやんぜこのランポス擬きがぁ!!」
気の短い男が先に我慢の限界を迎え極神剣ガラティーンを構えた
「待つニャ旦那!様子が変ニャ!」
諌められてセクレトをよく見ると瀕死なのに男への敵対をやめる様子が無い
「……あ、ガーディアンにゃ竜都の守護だかの命令されてるとか言ってなかったか?」
「それで敵対をやめないのかニャ?なら家畜には向かないニャね」
「それによくよく思い出してみれば……ガーディアンって竜乳が無きゃ生きてけねぇんじゃなかったか?」
「そういえばそうだったニャ……」
仮に手懐けたとしても農場は竜乳が無いので連れ帰ってもすぐに死ぬだけ
「残念だったな~やっぱ野生のセクレト捕まえるのが一番か~」
「クナファ村に交渉してみるかニャ?」
「遠いって、こっから何日かかんだよ」
「諦めるかニャ」
ファストトラベルを知らない出来ない二人は瀕死のセクレトを放置して探検を続ける
「つーかよ~この辺りの建物って天廊とかの造りに似てんな」
「確かにニャ、古塔にも似てるニャね」
「栄えてたのが1000年前とか言ってたな、天廊も1000年前とかじゃなかったっけか?」
「そんぐらいだったニャ」
「スゲーもんだよな古代人って、どんだけヤベェ文明だったのやら」
「きっと旦那みたいなバケモノがゴロゴロしてたんだろニャ~」
「だとしたらそれ滅ぼしたヤツが一番ヤベェだろ……あっ」
男は何かに気付いて口を押さえた
「どうしたニャ旦那?何か気付いたニャ?」
「あぁいや何でもねぇ」
取り繕うが内心冷や汗を流していた
(まさか……いやたぶん……そうだよな……)
犯人に心当たりがあったからだ
(これは誰にも話せねぇかんな、約束だからよ)
男だけの秘密を胸に仕舞い探検は続く
「お?何かヤバそうなのあんぜ」
「でっかいニャー!」
探検中の知らぬ間に深部まで辿り着いていた二人は巨大な繭を見つけた
「おい見ろよアレも中にモンスターが居んぞ、結構デカイな」
「特別なガーディアンかニャ?……旦那!誰か先に居るニャ!」
隠れて様子を伺うと見知った者達だった
飛行船で会った若いハンターとオトモアイルー、受付嬢のアルマ、鍛冶屋のジェマ、そして守人の里の少年ナタ
「何か話してるな、わかるか?」
「任せるニャ」
相棒アイルーが聞き耳を立てるとどうやらこの巨大な繭の中身は竜都の守護の最終兵器であり竜都が滅びた原因でもあるらしい
「そんでまたそいつが目覚めそう、と」
「ナタが持ってるペンダントで止まるらしいけど止めると竜乳の流れも止まっちゃうから禁足地一帯がどうなるかわからんみたいニャ」
「普通に考えりゃ今より良くなるとは考えられんわな、竜乳のエネルギーの循環で維持してたんだからよ、不毛の大地になるかもしれんわけか」
「でもそれを覚悟するまで危ないのがあの中のモンスターみたいニャ」
「ふーん……」
男は様子を見ながら若い男のハンターを注視する
「どうするニャ旦那?」
「……大丈夫だ、まぁ見てな」
男は介入する気は無く事の成り行きに任せる
あの巨大なモンスターを龍灯ごと封じ多くの命を救うが生態系を崩壊させてしまい人もモンスターすらも住めなくなるかもしれない道
あの巨大なモンスターが目覚め禁足地に破滅をもたらす災害となるが龍灯は失われない道
そんな重大な選択に迫られていた
そして鳥の隊、調査隊が選んだのは前者
「…………」
男はナタと呼ばれる少年が葛藤しながらペンダントを使おうとして若い男のハンターに止められるのを静かに見守る
「「龍灯は止めない」」
若い男と男の言葉は重なった
そう、取ったのは第三の道
奇しくも二人の取る道は同じであった
「だよな」
男の口角が緩やかに上がる
龍灯は止めたくない、でも中のモンスターは危険
ならモンスターだけを倒せば良いのだ
それで全てが解決するのならそれを選ぶのがハンター
それこそが英雄の証
「ヴォオオオオオオオオオオオオッ!!」
復活し活動を始めた究極護竜ゾ・シアが若い男のハンターと交戦を始める
「手助けするニャ?」
「いやしねぇ、あいつに任せる……オレ達の出番はあいつが負けたらだ」
「オッケーニャ!早く食われろニャ!」
「そういう冗談はよくないと思うぜオレァ」
「ニャ!?旦那も昔はよく言ってたニャ!クエスト横取りしたハンターにニャ!」
「だったっけ?しーらね」
「ず、ず、ズルイニャー!ボクだけ悪者ニャー!……悪者と言えばタシンおじさん疑って悪かったニャ」
「それはオレも反省……それはさておき観戦しようぜ」
「ニャ!」
二人は最後の戦いを見守る
「こいつは……」
戦いの最中、若い男のハンターの攻撃でゾ・シアの白い外殻が剥がされ黒い皮膚のようなモノが露になる
「……んぁ!?」
「旦那……?」
男は仰天する
(オイオイ……)
どんどん見覚えが出てきたのだ、とある龍の
(いやこれまさか……オイマジか……?ガーディアンって事は造って……知ってんのかこれ……?)
元を考えればとてもとて~もヤバそうな気がして仕方ない
「どうしたニャ?汗出てるニャよ?」
「ん!?あぁいや……なんかヤバそうになってきたなってよ、大丈夫かぁあいつ、ハハハ……」
相棒アイルーには言えないから適当に誤魔化す
(聞くべきか聞かないべきか……悩むぜこりゃあ)
勝敗よりも気になっていた
「やったニャ!あのハンター勝ったニャ~!!」
「流石オレが見込んだヤツだ、うんうん」
死闘の末にゾ・シアに勝った若い男のハンターを陰で称える男と相棒アイルー
「これにて一件落着ってとこかね」
「調査も終わりかニャ~」
討伐が済み鳥の隊が帰った後にゾ・シアの死体の傍にやってきた二人は死体をまじまじと見つめる
「やっぱり見た事無いモンスターニャね~雰囲気はアルバトリオンに似てた感じもしたけどニャ~」
(近くで見るとますます似てんな……まぁ似てるだけの別モンだけどよ……紛い物って表現が妥当か?)
見ていると突然、ゾ・シアが胎動を始めた
「まだ死んでないニャ!?」
「あーこれたぶん龍灯のエネルギーまた吸い始めて復活しようとしてんじゃねぇか?エネルギーを吸う部分が生きてんだろ、ほらあそこ……ムフェト・ジーヴァみてぇなヤツだな、エネルギー吸いまくる感じが」
「そんでどうするニャ旦那?」
「うーんそうだな……」
男は少し考える
「トドメ刺しとくか、アイツが勝ってるしまた戦うにしても放置して再戦前に被害出すよかいいだろ」
「そうニャね、旦那の仕業なんてわかんないだろうし賛成ニャ」
「うし、そうと決まりゃ……」
男は極神剣ガラティーンを抜き龍灯エネルギーを吸う機関へ突き入れた
「よっと」
恐ろしく硬い部分であったがF規格の最強武器の前では大した意味は無く刃はすんなりと侵入し供給機関を容易く破壊し、ゾ・シアに溜まったエネルギーは全て流れ出て完全なる沈黙となった
「おしまいっと、いやぁまさか最後に尻拭いする事になるたぁな~」
「予想外だったニャ」
「やりましたね私達!ってか?」
「旦那もボクも何もやってないニャ!やったのはあのハンターニャ!」
「わかってんよ、オレ達は何もやってねぇ」
笑いながら二人はキャンプへ戻って行った
「おん?何か騒がしいな、また何かあったのか?」
一応数日様子を見て禁足地に異常が無い事を確認したからもういいだろと帰り支度をしていたところに喧騒がやって来た
「なんかギルドのお偉いさんが来たみたいニャ、ファビウス卿とか言うヤツだってニャ」
「ほーん?どれどれ……」
気になって覗いてみると目が合った、ファビウス卿と変態ファンゴマスクが
「……!」
「なんか昔に見た事あんなアイツ」
ファビウス卿が目を見開き男は首を傾げている
「人払いをしてくれ」
ファビウス卿が周囲の人を遠ざけると天幕の中へ男を誘う
「大長老様から聞いております、裸の英雄殿」
「あーあんたは知ってんのか、つか見た覚えあると思ったらあんたアレだろ?筆頭ランサーだろ?」
「フッ……懐かしい名ですな」
ファビウス卿は微笑むと頭を下げる
「此度の禁足地調査、陰ながら御助力いただき感謝します」
「なんもしてねぇよ、遊んでただけさオレ達はよ」
「御謙遜を……貴方の存在を知っていただけで私は今回の調査の失敗は無いと確信した程だ、それだけの偉業を貴方は成している」
「オレは本当に何もしてねぇ、やったのは鳥の隊のあの若いハンターさ、褒めるんならアイツにしてやれ」
「欲の無い人だ、今なお貴方の武勇伝はハンター達の間で語り草だと言うのに」
「そうやって持て囃されんのが嫌だからこんな被りモンしてんだよ、オレの時代はもうとっくに終わってんだ……12年も前にな」
ファビウス卿は顔をしかめた
「……やはりハンターに復帰する気は無いのですか」
「無い、久々のハンター生活は楽しかったがよ……嫁にこれ以上心配させたくねぇんだ」
「残念です」
本当に残念そうにファビウス卿は項垂れた
「そういやあんたは何か用で来たのか?」
「ええ、狂竜症と思わしき現象が起きたので新たな調査にと」
「狂竜症かよ……そらまたヤバイのが来たな、手伝ってやろうか?」
男が協力を問うとファビウス卿は笑った
「無用です、貴方は先程言った言葉を思い出すといい、奥方に泣かれてしまいますな」
「あ……へへへ」
男は生来の優しさで無意識に言った事がつい先程自分が言った事と矛盾している事に気付かされ気恥ずかしそうに鼻を掻く
「貴方をこれ以上引き留めれば私が奥方に討伐されそうだ、だから私からも帰還を頼みます、ありがとうございました」
「あいよ、また時間あったらウチの農場に来いよ、ハチミツやるから」
「ハハハ……機会があれば是非」
ファビウス卿に握手を求められ応えた男は残りの荷造りを終えて飛行船へ乗り込んだ
「楽しかったなぁ~」
「ニャ~♪」
こうして裸の英雄の禁足地ツアーは幕を下ろした
-農場-
「ウイーッス!帰ったぜー!お土産沢山あんぞー!」
「ただいまニャー!」
意気揚々と二人は事務所に入った
「おう、帰ったか」
「お帰りなさい……」
「「!!?」」
穏やかに迎えられホッとする前に男と相棒アイルーは惨劇に気付いた
「じ、ジジイ……」
半殺しにされている大長老と血祭りにされている小男の前で大男と受付嬢が微笑んでいた
「あ、いや……これはよ……」
バレたのだと思い言い訳を考えるも既に遅し、遅過ぎる
相棒アイルーは既に逃げた
「正座」
「ハイ」
受付嬢に言われて即座に正座、大長老と小男を処刑した鬼の二人を前にしては裸の英雄と呼ばれた男も縮こまるしか出来なかった
「ねぇあなた……ハンターは引退してもうやらないって私と約束しましたよね?」
「ハイ」
「では何故ハンターを?しかも危険しか考えられない未開域なんかに調査ってどういう事なんです?」
「それは……そこのジジイに頼まれて……Fじゃねぇからオレなら問題無いと思って……よ……」
男は冷や汗ダラダラ
「なんで俺様を誘わねぇんだテメー!!」
「お前は……デカくて目立つじゃねぇか……身分隠すんだからムリだったんだよ……」
「んなモンどうにでもなったっつーの!ファンゴマスクが何寝言ぬかしてんだマヌケ!つーか水くせぇじゃねぇかよ!俺様は親友だろが!違うのかよ心の友よぉ!!」
「悪かった、悪かったって……次は絶対誘うからよ」
「あ"あ"ん"ッ!?」
次なんて言ってしまってハンター稼業に反対な受付嬢の顔が般若になる
「いや違う!今のはナシ!言葉の綾ってヤツだ!次はねぇ!」
「あんだぁ?俺様に嘘ついたっちゅーのかよテメーはよー!」
「うひぃぃ……」
あちらを立てればこちらが立たず
裸の英雄と呼ばれた男は禁忌を越える過去一番の修羅場に座らされていた
「ハンターは絶対ダメ!許しません!」
「久々に一狩り行くぞ!用意しやがれ!禁足地案内しろ!」
反対の事を言っているが二人に不和は無い
今回の件では男がどちらを取っても恨みっこ無しの不戦の約定を交わしていたからだ
「オレが悪かったってぇぇ勘弁してくれよぉ……」
ただ男がどちらを選んでも片方の何かに亀裂が入るのは間違いない
「次にハンターやったら離婚待った無し!です!」
「狩りに行かねぇんなら絶交だ、あーあ十数年来の友情も呆気ねぇもんだなぁ」
愛情か友情か……
「許してくれよぉ~……」
それがわかるから男はどちらも選ばずただただひたすらに平謝り
「こんの
「全然反省してねぇだろこの野郎!一番の野蛮人はテメェだろが!」
「もー私怒りました!ワイルズになります!激おこプンプンバルカンラースです!!保管してる武器防具全部捨てます!!」
皆ワイルズ誰もがワイルズ
人もモンスターも分け隔てなくワイルズ
この世に生きる、ただそれだけで誰もが何かの命を貪る野蛮人
野蛮の鎖を少しだけ強く賢く編み込んで食物連鎖の上位に居るのが今は人であるというだけ
ただ……気を付けねばならない
野蛮を極めれば人はまた落とされてしまうかも知れぬのだから
大いなる【運命】によって……
-エピローグ-
「久々に来たな……相変わらず訳わかんねぇとこだぜここはよ」
男はとある場所を訪れていた
白いだけの空間、なのだが終わりが見えない
地平の果てを超えて尚も続いていると思わせるほどにただひたすらに広い空間
「うおーい!」
その空間の中で男は叫んだ
「姉さーん!兄さーん!」
誰かを大声で呼んだ
「お久し振り」
「元気にしていたか?」
突然男の目の前に三人の男女が現れた
白いドレスを着た少女、黒衣を着た男、赤衣を着た男
「まぁまぁだよ、姉さん等は……聞くまでもねぇか」
「それは当然、私達が体調を崩したのなんて昔に貴方と遊んだあの時だけよ?」
「体調崩したって……爪が割れてちょっぴり痛いってだけだったじゃんかよ……最初から最後まで姉さん等に遊ばれてたよオレは」
「あら?誇るところなのよ?私達とちょっぴりでも遊べる人間なんて今も昔も貴方だけだったのよ?もの凄い事なんだからこれって」
白いドレスの少女は楽しそうに微笑み黒衣と赤衣の男も嬉しそうに頷いている
「まぁ今はお喋りするくらいが限度だけどな、そんでさぁ……ちょっと聞きたい事あんだよ姉さん達に」
「あら何かしら……龍になる方法かしら?それとも私と子を作る方法とか?」
「やめてくれ!オレは龍にならねぇし姉さんと子なんか作らねぇ!違うって!……つかそれマジの話?」
「出来るか出来ないかの話する?私達に?」
「はい終わり!この話終わりッ!!」
洒落にならない話を彼方へ捨てて男は咳払いし場を直す
「聞きたい事ってのは姉さん達に同列?同格っつーのか?とにかく同じような奴って他に居るのか?って事なんだよ」
「私達と同格?」
三人は顔を見合わせ首を傾げた後
「そんな存在は居ないわ、私達三人だけよ」
断言した
「やっぱり?じゃやっぱアリャ造りモンか~」
「貴方だけ納得してないで説明しなさい、言わないなら巨星落としちゃおっかな~」
「言う!言うって!だから巨星はマジ勘弁してくれ!」
余程のトラウマなのか男は本気で焦っている
「ちっと前に竜都ってとこでよ……」
男は竜都の跡形で見た謎の人造龍の事を話した
「……ん~?」
話を聞いた白いドレスの少女は悩んでいる、と言うよりかは記憶を探っている感じ
「まっっったくわからない……貴方達知ってる?」
「私もわからんな……」
「私も……いや?」
赤衣の男はわからなかったが黒衣の男が微かな記憶を思い出したように白いドレスの少女を指差した
「確かあの地方の近郊を滅ぼした時にお前が髪を切りたくなったと言って切らなかったか?」
「あーそんな事あったかも……じゃあ切った私の髪を使って私達を造ろうとして私達を滅ぼす気だったとかそんなところでしょうね、それが暴走して滅んだと……愚か極まるわねぇ」
「全くだ、我等を御そうなど地上から月を動かそうとするようなものよ」
「身の程を知らず弁えぬ傲慢、故に滅ぶ……何度もな」
(うげー!?ちょっと予想と違ったけどやっぱ滅ぼしてやがったー!)
聞きたくなかった真相に引き吊る男の表情、それに気付いた三人はとても陰湿な笑顔で男を見た
「心配しなくても滅ぼさないわよ?今はね」
「そうとも、お前の血筋が絶えるまでは静観を約束しよう」
「それが嫌ならば……」
禁忌の果て
全てを超えた先に座す天上の存在から紡がれる確たる言の葉
「貴方が私達を殺してね?裸の英雄さん……♡」
(無理だっつの、あ~子孫繁栄願うかぁ……)
その言葉を持って
誰も知らない、誰にも言えない天上の秘匿
裸の英雄だけが知る秘密の会瀬
運命の龍との密会は終わりを告げたのだった……
終わりでぃす。アプデまでに書けたでぃす。
エピローグの最後は想像してくださいなんて言って書いちゃったけど気にしない気にしない。
えーこの作品の設定は公式ではなくあくまで筆者の妄想設定なので鼻で笑ってください。
ミラ達神格化し過ぎだろと思った方、フロンティアの魔改造トリオ見たら少し納得するかもしれません、アレもうドラクエとかFFの世界だから……
ちなみに歴代主人公達が戦った本家の運命達は本体じゃなく分身的なヤツを操って遊んでたみたいに思って貰えればと、ファントムガノンみたいな感じ……本体はフロンティアの天廊の頂上より上に居ます、全てを超えて天廊の頂上に辿り着いて気に入られてる主人公だけ他人の目が無いところのみどこでもドア的な感じで入れます。
主人公が勝つ事は無いです、子孫繁栄を願いましょう。
そして最期は天寿を全うし眠りにつきます、その一年後の法要にクシャルダオラが後を追い、その姿を約束通りに仲良くした男の娘と孫に発見され泣き崩れる……ぐらいは考えました。
読んでいただきありがとうございました、暇潰しになったなら幸いです。
ワイルズ頑張りまーす。