-ドンドルマ・大老殿-
「ジジイ!」
男と大男の二人は大長老と会っていた
「ムオッホン!どうしたのじゃ二人揃って……おぉ!装備を身に付けているという事はまさかハンターに復帰してくれるのか!」
「違う!」
「あっそう……」
期待を即座に一蹴され大長老はしょんぼりと肩を下げた
「俺様達を飛行船で禁足地に送ってくれ!」
「なんじゃやっぱりハンターに復帰してくれるのか、ホッホッホ!」
「違うっつってんだろボケジジイ!殺されてーのか!」
「そこまで言わんでもええじゃろ……」
大長老は泣きそうなしょんぼり顔で事情を聞いた
「かくかくしかじか……なんだよ」
「ふぅむ、確かにそれはマズイのう、禁足地の一大事じゃ」
側近に指で指示を出した大長老は髭をさすりながら男へ神妙な顔を向ける
「しかし要らん事をしてくれたのうオヌシは……」
「悪いと思ってるよ」
男は自分に非があると素直に認め謝るも大長老の態度は変わらない
「オヌシの偉業やギルドへの貢献を加味した上に加えワシの保証が無ければFクラスの上澄み並みの危険過ぎるこちら側のモンスターの狩猟禁止指定など出来なかった事を理解して欲しいのう、引退していたとしても責任は何も変わらん」
「……悪かったよ、考えが足らなかった」
「そんな謝罪では事足らない程に巨大な災いの種なのだ、大勢の生死に関わるまでの」
「……すみませんでした」
毅然とした態度で説教しなければならない程に超特異個体のクシャルダオラが禁足地で暴れる可能性は大問題だったのだ
「ふぅん……オヌシ達が失敗した時に備え討伐隊を編成し後追いさせる、わかってくれるな?」
「ああ、異論ねぇ」
「よろしい……オイ、誰か会計士を呼んでくれ」
男への説教が終わると大長老はギルドの会計士を呼んで計算させると紙を男へ渡す
「オヌシ達の飛行船の手配と討伐隊編成に掛かる費用の概算じゃ」
「こんなに要るのかよ……」
想像の100倍を越える金額に男の表情は歪む
「最低値じゃからなそれ、時間が掛かったり何か不測の事態が起きれば当然上乗せされる、禁足地に異常が起きた場合はその補填もあるのぅ」
「ハァ……装備コレクションいくつか売るしかねぇか……」
農場の金を使うわけにもいかないので男はハンター時代に作った装備という個人資産を売るしかなかった
「タダにする方法があるが聞くかな?」
「マジか!?聞く聞く!」
「ハンターに復帰してくれれば経費になるからオヌシは一銭も払わずともよくなる」
「却下!装備売る!」
ハンターに復帰すれば受付嬢と離婚が確定する、それは死んでも嫌だから迷い無く即答した
「やはりダメか……」
あわよくばと思っていた大長老はまたしょんぼり顔になった
「はぁ~……飛行船は手配したから乗り場へ行け、気をつけてのぅ」
「サンキュージジイ!」
「あ、ちなみにF規格装備に重ね着しとるようじゃが普通にバレるからのソレ、粛清されるぞ」
「えっ!?」
「そらそうじゃろうよ、F規格でこっちのクエストを受けるのは当然御法度じゃ、チートっていうのと変わらんからのぅ……ギルドナイトが見抜き方を知っとる、バレたら極刑じゃよ」
「じゃ裸で行くしかねぇじゃねぇか……」
「今回は前回同様ワシが許可するから大丈夫じゃ、だが可能な限り狩りは控えて欲しい、他の一般ハンターに見られると面倒になるからの」
「そうか……わかったぜ!よし行くぞデブ!」
「仕切るなマヌケ!」
二人は乗り場へ向かって行った
「やれやれ、歳を重ねても落ち着かんのうあの世代は……」
トラブルメーカーに深い溜め息を吐く
(あ……確か最近禁足地に異変の兆候が見られるって報告が来ていたのう)
言っておくべきだったかと思案するもすぐ打ち切られた
(あの二人の目的はクシャルダオラ……まぁ問題あるまい)
禁足地に行くが調査ではないので無用と決めて大長老は業務へ戻る事にした
-霊峰-
其の場所は嵐
終わり無く吹き荒ぶ暴風と暴雨が他の生物を寄せ付けぬ孤高の嵐域
「……」
その場所を嵐域足らしめる原因
それこそが嵐龍アマツマガツチ
嵐の中心にて優雅に宙を漂っていた
「……!」
アマツマガツチが何かに気付き嵐空を見上げた
「グオオオオオオッ!!」
咆哮が鳴り響き嵐を突き抜け何かがアマツマガツチの前に降り立った
「!!?」
何かが降り立った瞬間、周囲の嵐が変わった
暴風はより鋭く岩を浮かせるまでに激しく、暴雨は岩を穿ち粉砕するまでに激しくなりアマツマガツチは驚愕する
自身の嵐をより強い嵐に上書きされてしまったのだ
「……ッ!?」
舐めた真似をする不届き者は誰だとアマツマガツチは降り立った者を睨みつけ更なる驚愕に見舞われる
「グオオ!」
一目見て遥か雲上とまでに格が違うクシャルダオラを見てしまったからだった
「ア……オォ……?」
完全にビビっている本家のアマツマガツチは『な、何か用でしょうか?』と恐る恐る問う
「グオッ!」
クシャルダオラは語気強く言う
『禁足地は何処に在るか教えろ!』と……
「ア、アオォ……」
「グオオッ!」
『て、天空山の奥に在るかと……』そうアマツマガツチが答えた瞬間『そこじゃねぇ!殺すぞ!』とクシャルダオラが凄み思い切り怯まされた
「アオォ……」
『し、知らないですぅ……』そう泣きそうにアマツマガツチは答えるとクシャルダオラはチッと舌打ちしアマツマガツチを睨んで震え上がらせた
「グオッ!!」
『邪魔したな!』そう言ってクシャルダオラは霊峰から飛び去って行った
「アオォォ……」
殺されると思っていたアマツマガツチは大きく安堵し上書きされた嵐を見上げる
『これどうするんだよぉ……』
自身の力を大きく越えて制御出来ない大嵐は1ヶ月もの間続いたという
-飛行船-
「どんくれぇ掛かんだ?禁足地までよう?」
「前はどうだったっけか……確か1週間くらい?だったかな?」
禁足地に着くまでは特にする事が無い二人
「遠いんだな、あいつなら2、3日くれぇか?」
あいつとはクシャルダオラの事
「真っ直ぐ行ったならもっと速ぇかもよ、バルファルクの次くれぇ速ぇと思うぞたぶん」
「マジかオイ……」
「んで短距離走でもメル・ゼナの次くれぇだろうな……ケンカは文句無しに強ぇしよ、前に話したよな?ムフェト・ジーヴァと戦った話をよ?マジ強ぇぜ~?あいつはよ~」
「自慢気に言うなバカがよ……お前があいつをあんなバケモンにした原因だろが、自覚持てっつーの」
「わかってんよ」
「ホントかよ」
今は雑談くらいしかする事が無い
「つーかそもそもよ~あいつ禁足地の場所知ってんのかよ?」
「話も出来ねぇのに知るわけねぇだろ……昔に居たかもしれねぇから知ってるかもなって予想が限界だよ」
「昔に居たねぇ……禁足地にゃ何の古龍が居たんだ?」
「あ?えーっと……」
男は記憶を探り唸る
「うん……?そういや一体も見なかったような……あれ?マジで見てねぇぞ?」
古龍が居なかった事を思い出す
「たまたまの可能性は?」
「無い……な、他の調査隊の記録にも古龍の古の字も出てねぇ……ガーディアンの関係か?んーわかんねぇな」
「じゃあ知らねぇ可能性も充分あんな、探してるとすりゃ時間掛かんだろうな」
「怖い事言うなよ、コレクションいくつ売らなきゃなんねぇんだっての」
後追いで来る討伐隊の費用は長引けば加算されていくので男は結構焦っている
「あー居ろよ絶対……んで暴れてんなよ~」
願う事しか出来ない……
-超高空域-
一般的な竜や古龍が飛ぶ空域よりも遥か上空
その空全てを縄張りに持つ神秘の龍が存在する
その名は天翔龍シャンティエン
F領域に存在する古龍の一体である
「……!」
そのシャンティエンが空を飛んでいると何かを見つけた
「グオ……」
それはクシャルダオラ、風翔龍の名を冠する古龍
「ガルル……」
「グルル……」
人知れずに天翔龍と風翔龍は邂逅していた
「ガル」
何の用だとシャンティエンは問う
「グオ」
禁足地の場所を教えろとクシャルダオラは言う
「ガルル」
知るかとシャンティエンは答える、F領域しか知らないしそもそも超高空域が棲みかなので知る筈がない
「グオッ!」
使えねぇなこの雑魚が!
そうクシャルダオラは悪態ついた次の瞬間、場の雰囲気は一変した、暴雨吹き荒れる嵐域に変貌したのだ
当然やったのはキレたシャンティエン
「ガアァァァ!!」
イキがってんじゃねぇぞ風しか使えねぇカスが!
シャンティエンが怒鳴った次の瞬間、新たな嵐がクシャルダオラから生まれ嵐の拮抗状態を作り出す
「グオオッ!!」
死んだぞテメー!!
キレたクシャルダオラの咆哮と同時に両者は臨戦態勢に入り嵐はより激しく吹き荒ぶ
「ガアアアッーー!!」
「グオオオッーー!!」
天風紊れて天魔嗤う
片やF領域を代表する天翔を冠する強き古龍の一角
片や本家でありながらF領域まで至った風翔の古龍
人知及ばぬ空域にて激突す
風は止まず……吹き荒れる
ゴアは強い!ってだけでやっぱすぐやること無くなるなワイルズ……金冠集めも終わってるしなんだかなぁ~古龍と戦いたいなぁ~。
次で野蛮録終わりの予定です。