Fへの挑戦   作:黒太陽

33 / 60
風翔龍野蛮録 3

 

-超高空域-

 

 

「グオオオオオオッ!!」

 

 

クシャルダオラのブレスがシャンティエンに直撃する

 

「ガッ……アアアッ!!」

 

怯みはするもシャンティエンも負けてはいない、すかさず高速突進を仕掛けクシャルダオラを打ち飛ばす

 

「グオオッ!!」

 

「ガアアッ!!」

 

二体の翔龍の激闘は昼夜を跨いで続いていた

 

「グオッ!」

 

クシャルダオラの尾の薙ぎ払いがシャンティエンの顔を打つ

 

「グオッ!」

 

追撃のネコパンチが更に顔に入り後退させる

 

「グオッグオッ!」

 

ネコパンチ!ネコパンチ!

 

「グオオッ!!」

 

連擊の絞めにブレスを放ち吹き飛ばす

 

「ガッ……ア……!?」

 

シャンティエンは苦痛に悶えた

 

長き激闘の末、翔龍の雌雄は風に軍配が上がろうとしていた

 

「グオオッ!」

 

死にさらせドカスが!

 

トドメを刺そうとクシャルダオラが構える

 

「……!?」

 

その瞬間、思い出し動きが止まる

 

「……」

 

それは男との約束

 

男以外に迷惑を掛けるなという約束

 

「…………」

 

クシャルダオラは逡巡する

 

ここでシャンティエンを殺せば死体が落ち誰かに迷惑を掛けるかもしれない、ならば殺してはマズイか……と

 

「……」

 

実際は迷惑を掛ける可能性は低いかもしれない、ギルドも把握しきれていない超高空域の事なのでクシャルダオラが犯人だとバレる可能性も低い

 

だがそんな事はわからないクシャルダオラはかなり低いだろう可能性を考えて動けなかった

 

約束を違えてしまうから

 

「グゥ……」

 

唸りながら瀕死のシャンティエンを睨み、身を翻した

 

「グオオッ!!」

 

クシャルダオラはトドメを刺さず飛び去った

 

このぐれぇで勘弁してやるよ!と言い残して風は去って行ったのだった

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

-禁足地-

 

「ほほー!これが禁足地かー!おうおう!」

 

「喜ぶな、観光じゃねぇんだぞデブ」

 

男と大男の二人は禁足地に辿り着いた

 

「で、どうすんだ?アテあんのか?」

 

「ねぇから情報収集だ、調査隊から話聞くぞ」

 

「調査隊からか、なるほどな」

 

二人は賑わうベースキャンプ内を進む

 

「あー……なんかこれよぉ……」

 

大男が周囲を見ながら呟く

 

「なんだよ?」

 

「これもしかして……いや何でもねぇ」

 

「んだよ……」

 

腑に落ちない感じで調査隊の宿舎まで向かった

 

 

 

 

「はぁ?古龍?クシャルダオラ?居るわけねぇだろ、バカか?来てもねぇよ、今龍灯関係で忙しいのに煩わせんなアホが」

 

調査隊からの返答は無慈悲だった

 

「はぁ!?」

 

「やっぱそうか……」

 

男は驚き大男はやはりと苦笑い

 

「おいデブコラ!やっぱってどういうこったよ!」

 

「キャンプの様子が普通過ぎたんだ、全く騒ぎになってなかっただろが」

 

大男が言いたいのは今まで禁足地に居ない古龍が出現しただけで騒動になる筈、しかもFモンスター上澄み相当のバケモノクシャルダオラが暴れていたなら尚更大騒動の筈なのにいたって平常運転だった事がクシャルダオラは禁足地に来ていないという予測だった

 

「……どうすんだよこれよぉ~」

 

「どうするかはお前次第だな、むこうでちっと落ち着いて考えろ」

 

「わーったよ……あ、ちょっと待て……誰がバカにアホだテメェコラッ!」

 

調査隊をドツイて二人は離れた場所で腰掛ける

 

「どうすっかな……とりあえずあいつが道に迷ってるだけでまだ来るかもしんねぇから何日か禁足地で待機するか」

 

「金掛かっちまうなぁ」

 

金とは討伐隊の費用の事

 

「んぐっ……しょうがねぇよ、オレ等が失敗した時の保険なんだ、帰らせてぇが無理なんだからよ」

 

大長老との決め事故に独断では帰らせられない

 

「日数はどうすんだ?」

 

「最大二週間ってとこだな、農場に帰って来たら禁足地に連絡送るように言ってるから便りが届く時間も考えたらそんなもんだろ」

 

「今回は早く帰るって言っちまったのになぁ~またお仕置きされちまうかもなぁ~」

 

「怖ぇ事言うんじゃねぇ!……こっちからも手紙出しとくか」

 

「そうしとけ、何も言わねぇとじゃ大違いだ」

 

男は頷き顎を指で擦る

 

「そんくらいか?あとは調査隊にあいつが来たら教えろって言っとくくらいか」

 

「俺様達も一応捜索くらいはしとくか」

 

「テメーは観光がしたいだけだろが」

 

「まぁな!ゲハハ!」

 

方針を決めた二人は行動を開始する

 

「釣竿調達しとかねぇとな」

 

「俺様はセクレトってのが乗りてぇな、あとタルコロってのやってみてぇ」

 

遊ぶ気満々であった

 

 

「おーい!大変だー!!」

 

 

二人の横をギルドの調査隊が駆け抜けていき宿舎へ向かう

 

「何かあったな」

 

「みてぇだな」

 

二人は相談もせず自然と調査隊を追いかけ宿舎で叫ぶ声を聞く

 

 

「ガーディアンが……ゾ・シアが大量発生したぞ!!」

 

 

禁足地に白き厄災が生まれくる

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

-農場-

 

「えーっと次はっと……」

 

娘が慌ただしく動いている

 

「あー忙しい忙しい」

 

男と大男の主力二人が抜けているから作業の応援をしているのだ

 

「~♪」

 

「……」

 

それでも楽しそうに農作業をこなしている娘の背後に黒い影が迫っていた

 

「グオッ」

 

「あ、クシャおじさ~ん」

 

話しかけられて思わずいつものように返した

 

「グオ~」

 

それはクシャルダオラだった、シャンティエン相手にかなり暴れてスッキリしたのでもう禁足地のモンスターなどどうでもよくなって帰って来ていた

 

「あれ?」

 

娘はすぐ違和感に気付く

 

「え!?キズだらけじゃん!?え!?え!?ていうか何で居るの!?」

 

怪我をしているのと禁足地に行った筈だったクシャルダオラに驚いた

 

「グオオ」

 

シャンティエンとの激闘のキズなど気にするなと言わんばかりにクシャルダオラは『腹が減ったから何かくれ』と言った

 

「あ、うんわかった、ちょっと待っててね」

 

娘はとりあえずクシャルダオラ用の肉を取りに向かい差し出す

 

「ねぇおじさん?お父さん達は?」

 

肉を食べるクシャルダオラへ娘が問うとクシャルダオラは意味がわからないと首を傾げる

 

「お父さん達おじさんが禁足地に行って暴れたらマズイからって止めに行ったんだよ」

 

「グオッ」

 

あっそ、とクシャルダオラは特に気にせず肉を食べる

 

「心配してたから帰って来てくれてよかったけど……お父さん達どうしよ、帰って来たって手紙送ろうかな」

 

連絡手段を考えてると娘はふと思い付いた

 

「ねぇおじさん?お父さん達迎えに行ってくれないかなぁ?」

 

「グ?」

 

思わぬ提案にクシャルダオラは娘を見た

 

「おじさんが迎えに行った方が速いし……ダメかな?」

 

「……グオッ」

 

クシャルダオラは娘を一瞬見つめ嫌だとそっぽを向いた

 

あんなアホ共の事なんざ知るか、と

 

「お願い……」

 

「……」

 

娘の嘆願にクシャルダオラは非常に嫌そうな顔をする

 

「グオッ……」

 

非常に、非常に遺憾ながらわかったと了承した

 

娘のお願いには弱いのだ

 

「グオオ」

 

「あ、禁足地の場所がわかんないんだ!だから帰って来たんだおじさん!わかった!お母さんならわかると思うから聞いてみるね!ちょっと待ってて!」

 

娘は受付嬢に禁足地の場所を聞きに行ったが受付嬢は知らなかったので結局小男に聞いて教えて貰いクシャルダオラへ伝えた

 

「あっちの方向だって!すっごく遠いから気をつけてね!」

 

「グオッ」

 

わかったと頷いたクシャルダオラは翼を広げ羽ばたいた

 

「グオォ……」

 

空高く一瞬で飛び上がったクシャルダオラはあーダリィなと呟いて禁足地に向かって飛び出した

 

「うわー……おじさんの本気ってめちゃくちゃ速いんだ……」

 

瞬く間に見えなくなったクシャルダオラを見送りながら娘は呟いた

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

-禁足地・竜都-

 

「うおっ!?」

 

「こいつは……たまげたぜ」

 

調査隊の報せを聞いて様子を見に来た男と大男の二人は光景に圧倒された

 

「あの白いの全部ガーディアンってヤツか……」

 

「多過ぎんだろよ……」

 

夥しい数のガーディアンが地の底から現れ竜都のほぼ全域に溢れかえっていたのだ、その数少なくとも300頭以上

 

「ちっと前に龍灯に異常が出始めて狂ったようにガーディアンの卵みてぇな繭が大量に産み出されたって言ってたな」

 

「原因探ってたらいきなり一斉に孵化して暴れ始めたらしいがよ……スタンピードのレベル超えてんぞこれよぉ」

 

その行動に目的があるようには見えずその場を暴れまわっていた、次々生まれるガーディアンに奥から押し出されるように徐々に広がっていっていた

 

「このまま増え続けたら竜都どころじゃ済まねぇな」

 

「竜乳がねぇから限界はあるけどな、けどこの調子じゃ禁足地は埋め尽くされてガーディアン以外全滅ってとこだろな、ゾ・シアが未知数だから最悪は考えとかねぇとなって感じか」

 

禁足地存亡の危機なのは間違いない、元が元であるゾ・シアが禁足地を離れる事が出来る可能性を考えたなら状況は予断を許さないと言える

 

「お?オイ見ろよアレ、狂竜ウイルスじゃねぇか?極限化してるっぽいのもいんぞ?シャガルマガラだろコレ原因はよ」

 

「あーファビウス……筆頭ランサーがゴア・マガラ居るからどうたら前に言ってたから原因ゴアかもな、シャガルになったのかもしんねぇか……どっかのシャガルが討伐されたか?」

 

シャガルマガラは世代に一体のみ、今代のシャガルマガラは別の禁足地でクシャルダオラにブッ飛ばされたが存命の為シャガルマガラではない

 

「どっちでも変わんねぇよ」

 

「そりゃそうだ」

 

二人は原因は気になるが今はどうでもいい

 

「どう見ても緊急事態だ、禁足地のハンター達が集まって応戦してるが手が全く足りてねぇぞ心の友よ」

 

「見りゃわかる、手伝うしか選択肢はねぇよ親友」

 

「あいつの討伐隊はいつ来んだ?」

 

「編成してからだから早くて2日後、遅くて4か5日後って言ってたな」

 

「Fクラスの増援はすぐにゃ期待出来ねぇって事か」

 

「まっ何とかなんだろ俺とお前が居たら」

 

戦うしか二人は考えてないのだから

 

「鈍ってねぇだろなデブコラ」

 

「鈍ってるに決まってんだろ雑魚野郎、10年以上振りだぞボケナス」

 

二人は武器を構えた、男は大剣を大男はハンマーを

 

 

「「ウオラアアアアッ!!」」

 

 

雄叫びをあげてガーディアンの群れに突っ込んだ

 

 

ドゴォッ!!

 

 

ガーディアン達が弾け飛ぶ

 

 

「軽いぞコイツ等!手応えねぇぞ!」

 

「当たり前だろが!」

 

 

かつてFクラスで時代を築いた最高位のハンターがF規格最高位の超武器を振るう

 

 

「ハッハー!」

 

「どんどん行くぞコラァ!」

 

 

本家のモンスターが太刀打ち出来る筈もない、次々にガーディアンを討伐していき形勢を一気に傾ける

 

「な、なんだあのハンター達は!?ギルドナイトか!?」

 

凄まじい活躍は当然他のハンターも目撃する

 

「あの戦い方……昔見た事あるぞ、まさか……!」

 

かの時代を知る者が居た

 

「番長だ……メゼポルタの伝説の一人……!!」

 

元は本家で活動していた大男は有名、小男と女とメガネの四人で打ち立てた功績は英雄にも劣らない偉業として伝わっている

 

「あの人もしかして……嘘だろ……まさか!!」

 

そして男は更に有名

 

Fの活動がほとんどだがその勇名と偉業は本家用に形を変えて響き渡っていた

 

 

「裸の英雄……!!」

 

 

大英雄の一角、メゼポルタギルドの猛り暴れる狂人、全てを超えた先に行った男として!

 

 

「英雄が来てくれたぞーーー!!」

 

 

「番長ー!ハチミツくださーい!!」

 

 

その事実はハンター達に波及し士気を一気に上げてガーディアンを押し込んでいく

 

「あ!?シーウーがやたら来たぞー!みんなわかってんなー!邪魔すんなよー!」

 

「普通のモンスターも抵抗してるぞー!他の地方からも頂点やらが来てるってよー!巻き込まれんなよー!」

 

「ゴア見たらブッ殺しとけなー!」

 

自浄作用が働いたのかガーディアンに特効を持つシーウーと禁足地に棲む既存のモンスター達が各生態系の頂点を筆頭に集結しガーディアンに攻撃を加え始めたのだ

 

 

「何とかなりそうだな心の友よぉー?」

 

大男はオドガロン亜種を粉砕しながら叫ぶ

 

「いや待て……本命どもの登場だ」

 

男は大剣をガーディアンが溢れ出る竜都の深部へ向けるとそこからゾ・シアが三体這い出て来た

 

「アレは俺等がやんぞ!行くぞデブ!」

 

「指図すんな!わかってるっつーの!」

 

一般ハンターに大量のゾ・シアの相手は命に関わると判断した二人は通常のガーディアンは任せてゾ・シアだけを倒しに向かう

 

「チッ!楽勝だがさすがに時間掛かるなクソッ!」

 

相手は強大な力を持つ白熾龍、本家のモンスターでありF規格装備なので勝つのは容易いが通常ガーディアンとは違い瞬殺とはいかない

 

「まだまだ出て来んぞ……気合い入れろよ!」

 

「体力持つかこれ……ジジイ手前だぞ俺様達よぉ……」

 

白い悪夢は覚めるのか……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ハァ……ハァ……!?」

 

「ゼェ……ゼェ……!?」

 

1日を過ぎても戦いは終わっていなかった

 

「何体倒したよ……?」

 

「100から先は数えてねぇ……」

 

「俺様もだ……」

 

ギルドの支援を受けながら戦い続け深部手前まで押し返したがまだガーディアンの生まれる勢いは止まる気配が無い

 

「やべぇ……騙し騙しやったがもう限界だぞ……いつ終わんだクソッタレ……」

 

「昔はまだまだやれたのになぁ……歳は取りたくねぇな……ったくよぉ……討伐隊まだこねぇのか!?」

 

二人の体力はもう限界に来ていた

 

ガーディアンを任せている他のハンター達も負傷や疲労で戦線離脱が多くなっていきガーディアン側が形勢を盛り返し始めている

 

「しまっ!?」

 

大男の手からハンマーが落ちた、疲労で握りが甘くなりすっぽ抜けたのだ

 

「うっ!?」

 

攻撃が出来ず隙を晒した大男にゾ・シアの攻撃が迫る

 

「あぶねぇ!!」

 

男が庇い攻撃を受けた

 

「ぐっ!?……ってーなゴラァ!!」

 

即座に大剣で薙ぎ払いゾ・シアを切り飛ばす

 

「ッ……!?」

 

「オイ!大丈夫か!?」

 

強靭なF規格装備故にダメージは少ないが数の暴力に一切の被弾無しとはいかない故の蓄積したダメージと疲労は遂に男の体力を削り切った

 

「……バーカ、まだまだやれんぜオレァ……!」

 

強がり笑って見せる男だが体はふらつきもう限界だと誰にもわかる

 

「諦めねぇぞオレは……!!」

 

意思だけは絶対に折れない

 

それが男の生き様、男が英雄であった証だから

 

 

「「「ヴォアァ……!!」」」

 

 

周囲のゾ・シア達が構えた

 

「……クッソが」

 

二人には避ける気力が無い

 

「ッ!!?」

 

大剣を盾にする事しか出来ない

 

 

「「「ヴォオアアアアアアアアッ!!」」」

 

 

全てを焼き尽くす劫火が二人に放たれた

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

バシュッ!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その時、一陣の風が炎を切り裂いた

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「あ……?」

 

男が頭上を見上げると雨が顔に当たり、視線は嵐に舞う黒い影を見る

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

       皚々(がいがい) 焦眉(しゅうび)の急

 

       鍔際(つばぎわ) ()んぬる(かな)

 

       悲壮 腹を括れば

 

       来ませり 神助の風翔

 

 

 

 

 

 

 

 

 

    「グオオオオオオオオオオオオッ!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

竜都を鳴動させる咆哮が響くと黒い影から殺人的な龍風圧が暴風の如く発生しゾ・シアの大群を押し退け吹き飛ばし……

 

 

風翔龍クシャルダオラがその姿を見せた

 

 

「お前……」

 

クシャルダオラを視認した男をクシャルダオラもまた視認し男の傍に降り立つ

 

「グオオッ!」

 

『こんな雑魚共に何やってるマヌケ!』

 

クシャルダオラは男を睨んだ

 

「あー?オレはお前を探し……お前こそ何処で何やってたんだ……」

 

「グオッ!」

 

『黙れ!』

 

クシャルダオラは無視して立ち上がろうとするゾ・シアに顔を向ける

 

「……あーわかった、わーったよ……」

 

色んな事がどうでもよくなった男も苦笑しながら大剣を構えた

 

「さっさと終わらせて帰るぞコラァ!!」

 

「グオオッ!!」

 

そして共に駆けた

 

 

「グオオオオオッ!!」

 

 

クシャルダオラが竜都を嵐に変えて竜巻を発生させる、自らの嵐域で発生した竜巻は巨大な大竜巻となって大量のゾ・シアとガーディアンを飲み込み切り刻み塵と変えていく

 

「っしゃあ!頼りになんぜお前はよー!やっちまえー!」

 

範囲攻撃が可能なクシャルダオラの攻撃は大群には非常に相性が良かった、Fクラスモンスター上澄み相当の力の差も相まりハンターには不可能な猛烈な勢いでガーディアンを駆逐していった

 

「オイ背中乗せろ!んで奥の龍灯がある場所まで突き進め!」

 

「グオオッ!?」

 

勝手に乗り込んだ男を嫌がり命令するなと吠えながらもクシャルダオラはガーディアンとゾ・シアを薙ぎ倒しながら深部へ一気に飛んで行く

 

「どけどけー!当たると痛ぇぞー!」

 

「グオオッ!」

 

 

「おーおー、疲れたから俺様はちょっと休ませてもらうぜ~」

 

一帯のガーディアンの大多数を掃除された場所で大男は一休みして体力を回復させるとハンター達を指揮して再び狩りに身を投じて行った

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「あそこが龍灯の有る場所だ!たぶんそうだった筈だ!」

 

ガーディアンを薙ぎ倒しながら深部に辿り着く男とクシャルダオラ

 

 

「「「ヴォオアアアアア!!」」」

 

 

「邪魔だゴラァ!!」 「グオオッ!!」

 

 

新たに生まれたゾ・シアを轢き殺し龍灯を見上げる

 

「勢いで来たはいいが……あーどうすりゃいいかわかんねぇな……ん~壊すわけにはいかねぇしどうすっか……」

 

原因がわからず止め方もわからない

 

「グオッ!」

 

「待てって!これ壊したら解決だが壊しちゃダメなんだよ!」

 

禁足地の事など関係無いクシャルダオラが躊躇無く壊そうとするのを制止し周囲を見渡す

 

「ん……?奥に何か居んぞ」

 

気配に気付いた男が龍灯の裏側の更に奥を見る

 

「ありゃあゴア・マガラじゃねぇか、脱皮不全起こした……」

 

そこには苦しく唸る渾沌に呻くゴア・マガラが居た

 

「アレの狂竜ウイルスが原因か?確か脱皮不全起こしたのは並みの古龍よりヤバかった記憶だったような……ウイルスもシャガル以上にヤバイって事か?」

 

現状で怪しいのはゴア・マガラだが確信は無い

 

「アレ倒したらこのスタンピード終わるか?なぁわかるか?」

 

どう思う?とクシャルダオラを見る

 

「……グオッ」

 

クシャルダオラは龍灯を見て首を振った

 

原因ではあるがあのゴア・マガラを倒してもすぐには収まらないだろうと言ったのだ

 

「どうにか出来るか?異常をすぐに止めたいんだけどよ」

 

「……」

 

問われてクシャルダオラは再び龍灯を見る

 

「グオオッ」

 

『やってみるからお前はあの龍紛いを殺しとけ』

 

そう言って龍灯に接続した

 

「頼んだぜぇ……」

 

龍灯をクシャルダオラに任せた男は渾沌に呻くゴア・マガラへ向かう

 

「テメェはとっておきでやってらぁ!」

 

背後から近付いた男は大剣を構え力を溜める

 

 

「どりゃああっ!!」

 

 

渾身の力を持って振りかぶり、叩きつけた

 

 

ゴウッ!

 

 

衝撃の竜巻が巻き起こりゴア・マガラを飲み込む

 

「くたばれコラァ!!」

 

輝烈剣

 

Fクラスハンターの大剣使いが使用出来る最大技

 

「グギャアアアアッ!!?」

 

Fクラスの元英雄からそんな技を受ければ本家のモンスターが耐えられる道理は無い、渾沌に呻くゴア・マガラは成す術無く断末魔をあげ討伐された

 

 

 

 

「こっちは終わったぞーそっちはどうだ?」

 

「……グオッ」

 

クシャルダオラも頷き龍灯との接続を解いた

 

「お~?なんか安定した感じがすんな、何やったんだ?」

 

「グオッ」

 

お前にゃわかんねぇよとクシャルダオラは鼻を鳴らす

 

クシャルダオラが行ったのは龍灯から狂竜ウイルス除去と活性化した龍灯の沈静

 

「何にせよ助かったぜ、ありがとよ!」

 

「……」

 

感謝にクシャルダオラはそっぽを向く

 

龍灯への干渉など通常のクシャルダオラは不可能な芸当だったが超特異個体のクシャルダオラは可能だった

 

傀異克服極限獰猛歴戦王個体という特異の中でも異質な事が関係していた

 

歴戦王は地脈に干渉し多大なエネルギーを得た形態、故に似たエネルギーである龍灯にも干渉する仕方を知っていた

 

そして極限化は狂竜ウイルスを超越した形態なので狂竜ウイルスの扱いにも精通しているから除去出来たのだ

 

何故狂竜ウイルスに掛からない古龍が発症超越したかは永遠の謎ではあるが……

 

「グオァ~……!」

 

「へっ!」

 

疲れたと大きな欠伸をしたクシャルダオラへ男は軽く前足を小突き背に乗る

 

「もう大丈夫だろ、帰んぞ!」

 

「グオッ!」

 

外へ出た

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「お!戻って来たか!おーい!こっちは問題無い程度に片付いたぞー!」

 

大男が手を振り迎える

 

「こっちもだー!やっぱゴアの狂竜ウイルスが問題だったぜー!」

 

「そうかー!だってよお前等ー!解決したからこれからは気をつけろよー!」

 

原因と解決を告げると集まったハンター達から喝采があがる

 

「後はこっちの奴等に任せて帰ろうぜー!」

 

「わかったぜー!じゃあなテメー等ー!ハンター頑張れよー!」

 

大男もクシャルダオラに乗り込み周囲を見回す

 

「モンスターたくさん集まってんな~お?頂点達揃ってんぞ、アルシュベルドも居やがる」

 

「ほう!あれがアルシュベルドか!中々強そうじゃねぇの」

 

「グオッ?」

 

何?っとクシャルダオラが反応し各地方の四頂点とアルシュベルドを睨む

 

 

「「「「「!!?」」」」」

 

 

四頂点とアルシュベルドは睨まれてめちゃくちゃビビっていた、その姿にクシャルダオラは自分より強いとはとてもではないが思えないと男を睨む

 

「あ……前に言ったお前より強いって話あれウソだよ、冗談だ」

 

「……」

 

チッ、と舌打ちして男を睨んだクシャルダオラは一気に羽ばたいた

 

「グオオッ!!」

 

「うおっ!?」

 

「は、速過ぎだっつーの!?」

 

落ちたら知らねぇぞ!と高速飛行で禁足地を離れて行った

 

 

「もの凄い事に立ち会ったのかもしんねぇな俺達……」

 

 

禁足地のハンター達はすぐに見えなくなった英雄達と古龍を見送りながら偉業の観測者になれた事に胸を熱くさせる

 

 

 

 

 

 

この時の異変は後に禁足地最大の事件として記録され彼の大英雄と番長の最後の活動として記録される

 

そして禁足地最初の古龍としてクシャルダオラが異例ながら記録された

 

 

 

 

 

禁足地に安寧を持たらした英雄と駆けた神助の風翔として……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

-エピローグ-

 

「やったやったぜー!ヒャッホー!」

 

農場で男が喜びの舞いをしている

 

「良かったな、金払わなくて済んでよ」

 

「おうよ!年甲斐もなく頑張った甲斐があったってもんよ!」

 

禁足地で起きた異常事態の解決は当然大長老の耳に入る事になり大きな功績を認められたものの引退したハンターだった事もあり飛行船と討伐隊の代金の相殺で手打ちとなっていた

 

大男はあまり関係無かったので特別報償金が出たが昔作って今も活動している猟団に育成に使えと寄付し株を上げていた

 

「いやでも悪い事しちまったなぁ……」

 

「嫁さん泣かしちまったもんなぁ」

 

良かった事だけではなかった、禁足地でのスタンピードの話を受付嬢にしたら無事に帰って来たのに泣かれてしまったのだ

 

死んだらどうするんだと、危ない事しないでくれと……

 

「実際あいつが来なかったらヤバかった、反省いや猛省だ……もう絶対心配かけねぇ」

 

「だな、家族は大事にしねぇとな」

 

「お疲れニャ~」

 

「グオッ」

 

酒盛りしてると大長老がやってきた

 

「ちょっといいかな?」

 

「ハチミツか?おーい誰か持って来てやれー」

 

「要らんっつの!聞きたい事があるのじゃ」

 

「何だよ?禁足地とは別件か?」

 

男が問うと大長老は頷く

 

「そうじゃ、天空山の禁足地と霊峰に観測史上の最大値を超える嵐が続いとるのだが何か知っとるか?あと超高空域にも乱れが観測されとる、心当たりはあるかな?」

 

それを聞いた瞬間、場の視線はクシャルダオラに向いた

 

「やはりかな?」

 

大長老もクシャルダオラが犯人と見たから来ていた

 

「グ……?」

 

クシャルダオラは戸惑いながら見てくる者を見渡す

 

「!!?」

 

男の顔を見て小さく反応した

 

(違うって言え!違うって言え!言わなきゃ殺す!)

 

そう心の声が聞こえてくる顔をしていた

 

「……」

 

実際認めてしまえば迷惑を掛けないという約束も考慮した狩猟禁止指定なので破れば討伐対象になってしまう可能性がある

 

だから男は嘘でもいいから違うと言え、と念を送ったのだ

 

「……グオッ」

 

『知らん、オレじゃない』

 

クシャルダオラはそう言って狸寝入りした

 

「違うってよジジイ、オレ等も知らねぇ」

 

「そうか、ならいいのじゃ、邪魔して悪かったの……ホッホッホ」

 

大長老はニコリと笑って踵を返す

 

(どっちでも良かったのじゃがな、人の生活圏に大きな影響は無い……認めても今回の禁足地の異変での多大な活躍は相殺して余りある功績、干しこんがり肉Gでもプレゼントしようと思うたが要らんと言うならそれでよい)

 

愉快にドンドルマへ帰って行った

 

 

 

 

 

「……帰ったか?」

 

「ああ、帰ったぞ」

 

「帰ったニャ」

 

大長老が消えたのを確認すると男はクシャルダオラへ怒鳴った

 

「テメー何してんだこのクソボケ!」

 

「グオッ!?」

 

クシャルダオラは狸寝入りからビックリ飛び起きる

 

「迷惑かけんなっつーオレとの約束忘れたのか鳥アタマがボケコラァ!!」

 

「グオオッ!!」

 

『知るかボケー!そもそもテメーがくだらねぇ冗談言ったのが悪いんだろがノータリンが!!』

 

「んだとこのクソ古龍!!」

 

「グオッ!!」

 

『やんのかコラァ!!』

 

意地汚く罵り合う口喧嘩が始まった

 

「上等だコラッ!またキャン言わせてやらぁこのクソ野蛮龍がドカスコラァ!」

 

「グオオッ!」

 

『やってみろやハゲ!老いぼれが今更勝てると思ってんじゃねぇぞイカレポンチのクソ野蛮人が!』

 

「あ"あ"ッ!!?」

 

「グオッ!!?」

 

まさに一色触発、MK5

 

「ゲハハハー!おうやれやれー!」

 

「ニャーニャッニャッニャ!」

 

大男と相棒アイルーは笑っている

 

笑ってられる理由があるから

 

 

「コラーーーーーーー!!」

 

 

騒ぎを聞き付けて娘がにゃんにゃんぼうを構えて飛び込んできた

 

「ぐわっ!?」

 

男が頭をしばかれる

 

「喧嘩しちゃダメって言ってんじゃん!もー!」

 

「ッ~~~イッテェェ!?ぐあああああっ!!?」

 

頭を抱えてのたうち回る男をよそに娘はクシャルダオラに向く

 

「おじさんもだよ!」

 

「グ……グオッ」

 

男のようにしばかれはしないが娘には強く出れないクシャルダオラはすまんと謝るだけ

 

「ゲハハハー!どっちもやられてやがらぁーゲハハハハ!」

 

「最強の英雄もモンスターも家族には弱いニャねー」

 

いつもこうなるのだ

 

これが農場のいつも

 

 

「ちっ……覚えとけよこの野郎」

 

「グオッ」『いつか殺す』

 

 

吹き止まぬ風の寄る辺

 

 

移ろう風が決めた最期の拠り所

 

 

風翔(かぜかけ)る龍の安息地

 

 

 

 

 

いつか止む風の終息地……

 

 

 

 

 

 

 

 

 




思ったより長くなりましたが野蛮録終了です。

ゾ・シアの大量発生は復活する事と上位のムービーを初めに見た時にあの花みたいな繭がこれ全部ゾ・シア!?って思った事から来ております、同じように思った人結構いるんじゃないでしょうかね?
それにガーディアン追加って感じです。
狂竜ウイルスが龍灯に影響与える的な事言ってた気がするんでそれに合わせて古龍第1号をクシャルにしたかったのもありシャガルではなく設定的にあまり無理の無い渾沌ゴアに原因となってもらいました、合掌。

暇潰しの執筆も終わってしまったがマジでヤバそうなワイルズ……さぁどうなるのか。

夏アプデに期待。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。