-F神域-
「……」
その龍は恐るべき怪物
「…………」
古龍と呼ばれる種の中でも禁忌とされる別格
並ぶモノ無き孤高
「………………」
神をも恐れさせる最強の古龍
F領域の
観測史上初の極みの位に至り、幾多の狩人を退けた最強の中の最強
【極み逆らうアルバトリオン】
煌黒龍の姿であった
「……」
その龍は待っていた
「…………」
極まるその名が示す通りに
「……!」
「ハァ~イ」
天上の存在を……!
「わざわざ呼び出して何の用?」
龍の前に白いドレスの少女が降り立った
「ヴオアアアアアアアアッ!!」
最強の龍は叫ぶ
殺してやるぞと
「フフッ……アハッ……アーッハッハッハーーー!」
白いドレスの少女はとても愉快に笑った
「面白い、かかってきなさいなボウヤ……撫でてあげる」
少女が応じたその瞬間、煌黒龍の前に白き龍神が顕現した
「ヴオアアアアアアアアアアアッッ!!」
これは反逆
最強の龍が挑む……
神への挑戦
「じゃあね最強、私達が見てない時にイキがってただけの……凡龍」
極大の赤雷が直撃し煌黒龍は息絶えた
「天晴れよ天晴れ……えーと名前なんだったっけ」
興味を無くした白いドレスの少女は周囲を見渡す
「あら~次元に亀裂入っちゃってる……直さなきゃ」
ちょちょいと裂け目を修復した
「暇潰しにはなったわね、ほんのちょっぴりだけ」
白いドレスの少女は神域をアテ無くウロウロ散歩
(ん~アイツのところに遊びに行こうかなぁ……でも抜け駆けしたらあの2人怒るからねぇ……うーん悩むわぁ)
フッと軽い溜め息を吐いて白いドレスの少女は神域から消えたのだった……
『!』
少女が消えた後に岩陰に落ちていた巨大な黒い物体が起動した
『……』
岩陰から出て周囲を探る
『!!』
煌黒龍の死体を見つけた黒い機械は飛行し接近
『……分析開始、終了予定時間……不明』
分析は非常に時間を要する、神に挑まんとした最強龍が故に
『終了次第……侵攻、蹂躙、制圧、開始』
異世界の機械生命体・オメガがF領域に解き放たれようとしていた
-農場-
「おーい!」
「裸のー!」
農作業をしている男を呼ぶ声がする
「お?おー!先輩達じゃねぇかー!」
来たのはモガの英雄と龍歴院の英雄
「何だ何だー?ハチミツ買いに来たのかー?英雄割で安くしてやんぞー?」
駆け寄って行く男は気付いた
(あれ?怪我してんな)
2人の動きはおかしかった
「オイちょっと付き合えよ裸の!武器持って行くぞ!」
「楽しいとこ連れてってあげる!防具もね!」
「え!?何だよ突然……」
男は無理矢理引っ張られる
「いいから来いって!
「極みだけど拒否権無いから!先輩の命令は絶対だからね!」
「何だってんだよ~」
強制的に装備を持ってメゼポルタギルドへ連行された
-メゼポルタギルド-
「手続きしといたから行ってきて!」
「頼んだぜ裸の!」
「ちょ待てよ先輩!?」
男は有無を言わさずネコタクシーに乗せられ強制出発させられた
「これで良し!上手く行ったな!さすが俺達!」
「イェーイ!」
英雄2人はハイタッチ
「イカれた龍にはイカれたハンターを、ってな!」
「毒を持って毒を制す、バケモンにはバケモンをぶつけんだよ理論ね!ヒュー♪」
「酒飲もうぜ酒!前祝いだ!」
「合点承知ノ助!当ったり前田さんのクラッカーよ!」
英雄2人は陽気に向かって行った
-F神域-
「何だってんだよ……」
着いた男は神域を見渡す
「ここアルバの居るとこだったんじゃねぇか確かよぉ……さては負けやがったから代わりに狩れってか?冗談キツイぜ先輩方よぉ……アルバは洒落になってねぇって」
(断りづらいのも後輩のツライところだよなぁ……はぁ~あ)
悪態つきながらも王貴族への殴り込みの件などの借りから断れない男は仕方なく目標を探していると轟音があがった
(うおっ暴れてんなぁ……アレか?エスカトンなんちゃらでも撃ったか?)
音の出所へ向かいそーっと覗いてみる
「何だアレ?」
そこには宙に浮いた巨大な黒い物体が何かを消し飛ばした後の様子だった
(新種か~?見た事ねぇなぁ……いやそもそもモンスターかアレ?んん?アルバじゃなくアレ狩れって言いてぇのか先輩等は?つかマジ何なんだアレ……)
見ながら考えていると黒い物体が突然男の方を見た
『解析、進化終了、及びに現地生命体を確認、脆弱な種族と判定……学習は不要』
「こいつ喋るぞ!?えっと……こ、こんにちは?」
驚いて動揺した男は挨拶してみた
『蹂躙開始』
ミサイルをぶっぱなして来た
「喋るだけのモンスターじゃねぇかよ!?なんだこりゃあ!!?」
飛び出して回避した男は大剣を構える
「あ"あ"っクソッ!何かよくわかんねぇけどよぉ!上等だテメコラァ!死にてぇなら介錯してやらぁ!」
死闘の幕が上がる
相手は異世界からの刺客
F領域最強龍を分析したF式・オメガ
「ちょちょ!?ちょまっ!?」
ミサイルの雨に逃げ回る男
「火に氷に雷と水属性だぁ!?」
アルバトリオンを分析した故の4属性弾頭が襲う
「ぶへっ!?」
爆発に巻き込まれて吹き飛ばされるが方向は狩猟本能が調整したのかオメガに向かう
「ッテーんだよボケッ!!」
起き上がった男は4脚の1つへ怒りの大剣薙ぎ払い
『!?』
切られず打たれた形になっているが打たれた脚が浮き上がりオメガは180度回転、踏み止まったオメガは男をロックオンし発射した
「次は何だ?……手ぇ?」
オメガから無数の手が射ち出された、いわゆるロケットパンチだがミサイルと同じく4属性が付与されている
「面白ぇ大道芸じゃねぇか!だがよぉ……!」
男は大剣を構え打ち返した、打ち返されたロケットパンチがオメガに当たり爆発
『!?』
「ここじゃ珍しくもねぇんだバーカ!イナガミくれぇの事しねぇと驚きゃしねぇぞ!」
F領域では磁力や水銀を操ったりニフラムするモンスターも居る、イナガミと呼ばれるモンスターは竹を操るビックリモンスター
だからどうやって生成してるかなど技術的な事はさておいてロケットパンチ程度に驚きはしない、というか男は気にしない
「ウオラッ!」
大剣の切り下ろしがオメガの頭に直撃し体を沈ませ機械部品を飛散させる、最高峰のF規格装備を身に付けた男の攻撃力は同じ英雄の中でも頭1つイカレポンチ
「しょうもねぇぞカメムシがよぉ!舐めてっと潰しちまうぞコルァ!ペチっとよぉ!」
オメガをシバきまくる
『敵対象のデータ更新、パントクラトル・モードに移行します』
オメガの各部位が赤く光る
「それっ!がっ!なんっ!だっ!ゴラァ!!」
構わずシバく、なかなか切れないから重い打撃になってオメガを地面にめり込ませて行く
「わけわかんねぇ事言ってんじゃねぇぞボケェ!あーこれならハンマー持ってくるべきだったぜ……なぁオイッ!!」
思いきり叩くと4脚が支えれなくなりペチャっとなった
「何だ何だ大した事ねぇなテメェこの虫がよぉ!ワーハハハー!」
餅つき!餅つき!餅つき!
オメガの装甲が歪み削れ破損していく
『理解不能理解不能……敗北の可能性を検出……あり得ません……殲滅殲滅殲滅……!!』
危険を察したオメガが全てのリソースを解放し敵性生命体たる男へ全てを向けた
「おぉ……?っとぉ!」
神域の大地全域を焼き尽くす一瞬の火炎放射を前転で潜り抜け距離を取る、思いきり焼かれてる筈だが何故かダメージは無い
不思議である、男の成せる技なのか……
『偵察端末を攻撃支援モードに設定……全射出』
「何だぁ?虫が小虫出してやがる……キメェな」
小型のオメガ、『ミクロス』が可能な限り射出された、その数は100をゆうに越え当然のごとく4属性を備えている
「はっはーん、さては今更本気になりやがったなテメー?おせぇんだバーカ!トドメ刺してやらぁ!!」
『殲滅殲滅殲滅』
全能力、全リソースを男へ向けて最終決戦が始まった
「ちょ!?テメー本気出し過ぎだろうが!?」
『蹂躙蹂躙蹂躙』
絶え間無いミサイルの雨霰、光弾、波動砲、火炎放射、ロケットパンチ、最大体力を減らす何か変な弾
恐ろしい物量攻撃に男も思わず逃げ出す
「アルバァ!?そんなん有りかよ!?わけわかんねぇぞこの虫!?」
アルバトリオン・クローンの生成
「あ、でもこのアルバ弱ぇーわ、ざっこ」
極めつけはデルタアタック
「コレはアレだ……すっげぇブレスだ、けどFじゃあ日常茶飯事だぜ!つーか何で変なアルバ倒したら安全地帯みてぇなの出んだ?アルバ出さねぇ方がよくねぇか?アホなんか?」
バリアの中で武器を研ぎながら呟く
「よーしよしよし……うし、やってやる……やってやらぁ」
照射が終わった瞬間、覚悟を決めて飛び出した
「邪魔だ!吹っ飛べオラァ!」
群がるミクロスを薙ぎ払い突き進む
「ぐわっ!?」
ミサイルを被弾するも男は止まらない、前進あるのみ
「んぬぅぅぅドラァ!」
『脚部破損……戦闘継続……殲滅蹂躙殲滅蹂躙』
殴り合い
どちらが先に力尽きるかだけの死合い
「ぐわぁぁぁ!!?」
絶え間無い轟音と夜すら照らす閃光の連続
『殲滅……セセセ殲滅……』
地形すら変える異常震域
「ウオラァァァァァ!!」
魔境・フロンティアの神域に裸の英雄の知られざる戦跡が刻まれる……
「ゼハァ……ブハァ……ハァ……」
疲労困憊で大きく苦しい息をする男
「あ"ー……っはぁ……はぁ……」
もう動けない、動きたくない
「つ、疲れた……あー……しんっど……」
オメガの顔に深々と突き刺した大剣の前で座り込んだ
「イッテェ……うわっ回復薬ねぇ……マジヤバかったな、ギリギリだったぞオイよぉ……」
『…………』
動かぬオメガ
男は見事勝利していた
「死にかけた……あ"ー死にかけた、死にかけた!クソッ!ざけんなよこの虫ヤロウ!嫁と娘と親友と相棒泣かせるとこだっただろうがアホボケッ!このハゲがッ!」
強過ぎた事と先輩には強く言えない怒りが死体殴りになりその後に大剣を引き抜く
「はぁ~あ……帰るか」
ボロボロのズタボロ姿で男は帰路についた
『…………』
男が神域から去ってしばらく経った後
『……再起動……』
オメガの目が光った
『行動不能……修復……開始……』
脅威は終わっていなかった
異世界からの侵略は終わらない
『平行して学習開始……』
全てを蹂躙し殲滅するまでこの悪夢は終わらない
『進化……可能……』
この世の命運は尽きようとしていた……
「こんなのが墜ちてきてたの見逃してたなんてねぇ」
可憐な声が響いた
『!?』
オメガの前に白いドレスの少女が立っていた
「我等の縄張りに侵入を許すとは」
「失態だな」
次いで黒衣と赤衣の男
「だからぁ!何回もごめんって言ってるじゃない!しっつこいわねぇ!」
白いドレスの少女はぷんぷん頬を膨らませる
「……しっかし魅せてくれたわねぇ裸の英雄は」
「ふん……我等に傷を付けられる男なのだ、当然の結果だ」
「全盛期ならば尚更だったろう」
お気に入りが勝ったからか3人は嬉しそうに微笑んでいる
『検知不可能……!?対象の解析に失敗……エラーエラーエラー……!!?』
理解不能な3人はオメガの機能にバグを起こさせる程の規格外
次元が違う存在であった
「さぁて……」
白いドレスの少女が合図をすると黒衣の男が天に手を掲げた
ゴゴゴゴゴ……
暗雲を焼滅させて黒焔の巨星が墜ちて来た
「ダメ押しっと」
「絶望の上塗りとも言うがな」
白いドレスの少女と赤衣の男が手をかざすと巨星に皇鳴の白雷と紅魔の劫焔が灯され禍々しくも何故か神々しい相反した光を強く輝かせていた
『!?!?!?』
絶死の巨星がオメガに直撃
「バイバ~イ♪」
オメガは存在の一片すら残さずこの世から消え去った
「何ともつまらん余興だった」
「これから毎日、異界を焼くとしないか?」
「いいわねそれ~」
運命は悪夢など見ない
何故なら己こそが夢幻と等しい存在なのだから
「フッフッフ……」
「ハッハッハ……」
「アーハハハー!」
禁忌の笑い声だけが誰も居ない神域に響き続ける……
-メゼポルタギルド-
「先輩~終わったぜ~」
ヘトヘトになった男が戻って来た
「え~?なにあんたボロボロじゃーん!ウケる~!」
「お疲れお疲れ~!まぁまぁ駆けつけ一杯!座れ座れ!」
(飲んでやがったコイツ等……)
泥酔したクソパイセンにキレそうになるが疲れもあって抑えて椅子に座る
「強かったろ~?なんせ俺達が紙一重で勝てなかったヤツだからなぁ~まっ次は楽勝だけどな~次があるかは知らねぇけど!ワーハハハー!」
「アイツ意味わかんないくらい強過ぎよ!イカれよイカれ!あんたと一緒!勝ったあんたはもっとイカれよ!アーハハハー!」
出来上がった先輩にウザ絡みされながら男はジョッキの酒を飲み干す
「マジで強かったぜあのカメムシ……アレなんだったんだ?新種の甲虫種か甲殻種だったのかよ先輩?」
「ん?カメムシ?」 「新種?」
英雄2人は顔を見合わせる
「何言ってんのあんた?古龍でしょ?」
「アルバトリオンだよ、極みのだけど……戦った事あるだろ?」
「はぁ?黒いカメムシしか居なかったぞ?ソイツが変なアルバ出してきたけどあんな弱ぇの絶対極みじゃねぇし」
話が噛み合わない
「黒いカメムシって何よ!変なアルバって何!?まさかあんた違うの狩ってきたの!?このおバカ!」
「うーわコイツ無いわー、頭もイカれてるたぁなぁ」
「はぁ?知るかって……そもそも先輩等がほぼ教えず無理矢理行かせたのが悪ぃんじゃねぇかよ」
謎に責められる男はイライラしてきた
「裸の英雄も地に堕ちたって事ねぇ……あーあ、情けな」
「まぁまぁしょうがねぇさ、コイツは所詮英雄の中でも最弱……大英雄の面汚しよ」
「……いいかげんにしろやこのクソ酔っぱらいどもがコラ」
何も悪くない男はキレた、我慢の限界が来た
「何よ~?先輩に逆らうっての~?」
「生意気だぞ後輩がよぉ~!」
「やかましい!ここまで言われたら先輩も後輩もねぇぞボケコラァ!!」
男は一切悪くない喧嘩勃発
「しょうがない、後輩を躾るのも先輩の役目かぁ」
「出来の悪い後輩持つと苦労するぜ」
「テメェ等ホントマジで覚悟しろよ!?酔ってっからって容赦しねぇからな!」
英雄大戦が始まった
「オイヤベェって!?止めろ止めろー!!」
「兄貴落ち着いてッぐへぇあっー!?う、腕の骨が折れた……!?」
「人間には215本も骨があんのよ、1本くらい何よ!さっさと立って止めなあんた!」
「裸の英雄の奥さんか娘さん呼べ!番長もだ!グッハァ!!?」
仲裁に入るハンター達だったが喧嘩の余波で次々吹き飛ばされていた
『総員集結!繰り返す!総員集結!大英雄の喧嘩を止めよ!』
メゼポルタギルドの全ハンターと全職員が総出で止めに入る事態にまで発展し怪我人多数でメゼポルタギルドはしばらく休止するハメになった
大英雄2人が悪かったので男は厳重注意で済んだらしい、大英雄2人はギルド指定のクエスト100回ボランティアの刑に処されたとか何とか
「「正直、すまんかった」」
「許すけどよ……次やったらぶっ殺すかんな」
後日に素面になった2人に謝られて仲直り
めでたしめでたし……
クエスト失敗
弟とオメガやってて何かに似てるなと呟いたらカメムシだろと言ったので確かに!と思ったから私の中ではカメムシ。
デルタアタック中の無音時にギターで英雄の証演奏する裸の赤いアイルーフェイクが居たらそれ私ですww
つか狂竜化の続きの話はよ。
ネタ無いんでしばらくお休みかもしれません。