Fへの挑戦   作:黒太陽

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父をたずねて……

 

 

「ふんふ~ん♪」

 

男が大剣を磨いている

 

「キュッ!キュッ!キュッ!ニャー!ってかぁ~♪」

 

非常に楽しげに、されど丁寧に親方印の専用大剣を磨いていた

 

「……」

 

「とぅっとぅる~♪」

 

その様子を眺めている娘と同じく鼻歌混じりに家事をする受付嬢

 

「……男の人って武器とか防具好きだよね、手入れとか欠かさないし……お父さんは特に」

 

娘の特に意味は無い感想

 

「そりゃロマンだからな~、武器防具が嫌いな男はあんま見ねぇなぁ……女だって好きな奴はたくさん居んぞ?」

 

「女性は可愛らしさとかエロさの意味合いが強めですけどね~イヤーン」

 

男が答え受付嬢が補足の夫婦回答

 

「お母さんウザイ……その剣っていつも磨いてるけど高級なの?」

 

「んまぁ高級っちゃ高級だな、オレのコレクションの中じゃこの大剣がブッチギリで一番高い武器だ、売れば大豪邸が建つくらいは価値あんぞ」

 

「猛狂期のラヴィエンテ素材山程と裸の英雄専用って付加価値がありますからね~!でも~?」

 

また夫婦回答したが受付嬢の気になる終わりに娘が問う

 

「でも?」

 

「大事にしてんのは高級だから、じゃねぇって事だ」

 

男は大剣を磨く手を止め見つめる

 

「親方がオレの為に作ってくれたんだこの大剣は……それだけで大事にする価値があんだよ」

 

素材や付加価値ではなく親方が作ってくれた事だけが大事にする理由、例え他者からゴミ扱いされようと男にとっては何にも代えられない宝なのだ

 

「おじいちゃんが作ったんだソレ……」

 

「親方が作ったってのは前も話したぞ?」

 

「前ってあなたそれ娘ちゃんがまだ5歳くらいの時じゃないですか~」

 

男はそうだったかと頭を掻いた

 

「ちょっと持たせてよ」

 

娘が頼んだ

 

「危ないからやめとけ」

 

「大丈夫だって!ほら!」

 

「……マジで気ぃつけろよ?」

 

男は手渡しをせず床に置いて試させた

 

「ん!ッ~~~~結構重い……わっ!!?」

 

娘は両手で持ち上げたが大剣の重心を捉えられず前のめりにバランスを崩した

 

「だからやめとけって言ったんだ」

 

男がパッと片手で大剣を掴み支えて大剣を取り上げた

 

「もっかい!もっかいやらせて!」

 

「ダメだ!初めてで持ち上げれたのは大したモンだが危なっかしくて見てられねぇ!」

 

「ブー!p(`ε´q)ブーブー!」

 

ブーイングを無視して手入れは続けられる

 

「よし終わり……」

 

手入れが終わった男は大剣を見つめて2人に言った

 

「なぁ?久し振りに親方に会いに行かねぇか?皆でよ?」

 

「行きましょう!」

 

「行こ行こっ!」

 

「ぃよし決定だ!」

 

即決され予定が組まれた

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「出発進行~!」

 

農場を出発した男一家

 

「天気も良いし予定通り夕方前には着けそうですね~」

 

親方は息子に工房を譲ってから数年後に故郷の村に戻っていた、家畜が引く荷車で半日程の距離がある

 

「あ、あの大剣持ってくんだお父さん」

 

「ああ、やっぱ親方に見て貰いてぇんだ」

 

男の装備は当然、裸の大剣1本

 

ギルドが管理する安定したルートを通るので以前の移動期でもないので大剣だけで充分だった、F規格の武器なのと裸の英雄だからなのはあるが

 

「家族水入らずってめっちゃ久し振り!」

 

娘は嬉しそうにワクワクしている

 

「ですね~♪」

 

受付嬢も楽しそう

 

「だなぁ~」

 

男も笑う

 

 

 

 

 

 

 

 

「オレがチョーウマイこんがり肉食わせてやる!ちょっと待ってろ!……あ、肉焼きセット無かったんだった、ガキにやって……」

 

「じゃあどうすんの?」

 

「……生肉で食うか?」

 

「ざけんなッ!!」

 

男は娘にぶん殴られた

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「娘ちゃん気になる人出来たかな~?かなかな~?」

 

「出来てない」

 

「あらあら~!早くお父さんみたいな素敵で強くて優しい人見つかるといいですねぇ!まっそんな人存在しないんですけどねー!カワイソー!」

 

「ウザイ!お母さんチョーウザイ!キモイ!だからお父さん以外にモテないんだよお母さんは!」

 

「なっ!?非モテちゃうわいッ!」

 

受付嬢は娘に言葉でぶん殴られた

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「もうちょいだな」

 

親方の村まで後少しのところまで来た男一家

 

「そういえばモンスター全く近寄って来なかったね、遠目には見えたりしたけどすぐ逃げるようにどっか行っちゃって」

 

「だなぁ……何でだ?まぁ楽でいいけどよ」

 

一家の誰も知らないが娘にはFクラス上澄み相当のクシャルダオラが人間にはわからないマーキングをしているので本家のモンスターは絶対に近付かないのだ

 

何か特殊な場合を除いて

 

 

「……ん~?」

 

男が何かに気付く

 

「どうしました?」

 

「いや……気のせいかもしんねぇが向こうの森の木が変な揺れかたしたように見えてよ」

 

親方の村の方角からはズレている遠目にある森を指差す

 

「気のせいなんじゃない?」

 

わからない娘はそう言うが受付嬢は首を振る

 

「備えて、一応ね」

 

長年ハンターをしていた男の直感を楽観視出来なかった、ハンターと関わる受付嬢だった故に男が安全だと言うまでは安心出来ないと知っているのだ

 

「……やっぱ妙だ、何かデカイのが木にぶつかってる、避けようとしてカスってるみてぇな感じか?」

 

ハンターではない2人にはわからないモノを熟練の狩人の目が読み取る

 

「ホントにぃ?……あ」

 

娘が凝視しているとソレは森から出て来た

 

「ありゃあ……ティガ?結構デカめか?」

 

遠目で視認し辛いが輪郭は轟竜ティガレックスに見えた

 

「んぅいや……キティか?」

 

体色は赤黒く見えた

 

ならば大轟竜と言われるティガレックス希少種、通称キティ

 

「古塔が棲みかじゃねぇのかキティは?どうなってんだ?」

 

平地に出て来た事が疑問だったが今はそれよりどうするか

 

「見つかってませんけどどうします?やり過ごします?」

 

「そうもいかねぇだろ、何かよくわからんがあんなのが平地で暴れたら被害甚大だ、狩るっきゃねぇ」

 

「ですよねやっぱり……」

 

受付嬢は不安な顔になる、心配だから

 

「行ってきていいか?」

 

「……絶対帰って来てくださいね、怪我もダメです」

 

「わかった、約束だ」

 

許可を得て男は大剣を持って1人ティガレックス希少種まで走って行った

 

 

 

 

 

(痩せてんなぁこのキティ、傷も結構チラホラ……あ?狂竜化もしてねぇかコイツ?んな事聞いた事ねぇが有り得ん話しでもないか古龍じゃねぇし……あー餓えと狂竜化でイビルジョーみたいになって徘徊してたって事か、エサ無ぇもんな古塔……)

 

近くで観察して納得すると男は大剣を握る手に力を入れる

 

「わりぃが……辻斬り御免!ってヤツだぁ!くたばれやぁ!」

 

大轟竜・狂竜化ティガレックス希少種へ切りかかった

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「親方ー!!」

 

男は大きな声をあげた

 

「あ?何だテメェか……何しに来やがった」

 

親方が迎える

 

「会いに来たんだよ」

 

「こんな遠いとこまで……暇人のボケナスが」

 

相変わらず口は悪いが顔は仄かに微笑んでいる

 

「おじいちゃん!」

 

「おぉ!ベッピンになったなぁ!小遣いやろう!」

 

「わーい!」

 

孫同然の娘には甘々

 

「ああそうだ、お前等ここ来るまで平気だったか?」

 

「全然平気だったぞ?なんかあったか?」

 

「いやな、つい先日どこぞから来た大轟竜がこの村の近くをうろついてやがんだよ、村付きのハンターが追い払ったりしてたんだが中々しぶといらしくてギルドに応援要請出したところでな」

 

「ふーん……あ、親方ぁ!こっち来てくれ!」

 

男は親方を村の入口まで誘導

 

「それってコイツじゃね?」

 

引っ張って来たキティの死体を見せた

 

「……お前、平気って言ってただろうが……」

 

「……?平気だったぞ?」

 

男は不思議な顔をしている

 

男にとって本家の大轟竜は気を乱す相手ではないのだ

 

「……」

 

 

ゴンッ

 

 

親方が男に拳骨を食らわせた

 

「おっさんになっても相変わらずだなこのボケナス」

 

「イテェな!何で殴んだよ!」

 

「応援要請取り消しだの色々仕事増やしたからだろうが」

 

「何で危険なモンスター狩って怒られなきゃなんねぇんだよクソッ……」

 

変わらぬやり取りに2人は笑っていた

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「おう、磨き終わったぞ」

 

その日の夜に親方の家に泊まった男は縁側で親方に大剣を渡される

 

「……やっぱ親方がやってこそだよ、カッケー……綺麗だ」

 

新品同様の輝きに男は嬉しそうに呟いた

 

「こっちは隠居して余生ゆっくりしてんだってのに……倅に頼みゃあいいだろうがよ」

 

「いやまぁそうなんだけどな、腕も文句無ぇし……けどこの大剣だけはよ……親方にやって貰いてぇんだ」

 

「……そうかよ」

 

素直になれない親方は嬉しさをぶっきらぼうに隠す

 

「テメェも引退したわりにゃ結構ドンパチやってんじゃねぇか、えぇ?」

 

「……何で知ってんだよ」

 

「剣見りゃわかる、舐めんなよ?まだ耄碌なんざしてねぇ」

 

「御見逸れしました」

 

「ケッ、心にもねぇこと言いやがる」

 

互いに苦笑しながら酒をそそぐ

 

「また頼みに来るからよ……長生きしてくれよな親父」

 

「テメェこそトチっておっ()ぬんじゃねぇぞドラ息子」

 

血の繋がらぬ親子の団欒を月が照らす……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




久々の親方。

しばらく話しにも出なかったのは死んでる事にしようか迷ってたからでしたが生存ルートへ舵取り、親方のセリフ考えるの楽しかったです(小並感)。

もういよいよネタが無いですねぇ……
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