「フルフル何処だあぁぁぁぁ!!」
雪山を全力ダッシュする男
「ぶちのめしてやるぁチ○ポヤロォォー!!」
急ぐのには理由がある、沼地だと思っていた男はホットドリンクを用意していなかったからだ、支給品だけでは時間まで数が足らないのでだからとにもかくにも全力ダッシュ
「!!?」
その道中、妙なモノを見つけた男の速度が緩む
「何だァありゃあ?」
フィールドに佇む妙な物体を遠目に足は完全に止まった
(……飛竜……っぽい、な?見た事ねぇ……また新種か?マジで何だアイツ?)
気になって様子を伺っているとふと気付く
「あ"ッ!フルフルッ!!」
狩猟目的を思い出し思わず声が出る
(ッ~~~~んあー!今日は見逃してやらぁ!!)
狩れば新種発見者になれたかもしれないが先に成すべき事を優先しその場を離れようと身を翻した
「……!」
男は背に視線を感じ、固まる
「……オイオイまさかぁ?」
謎のモンスターに振り返るとバッチリと目が合った
「ヴルルルゥ……!」
完全に認識されている
「……なんだよ?こっち見んなやコラ」
睨まれているが男も視線は外さない
「ヴヴヴゥゥゥ!!」
その目は男を敵と決めた目だった、自らを脅かす、生命に手を届かせる事が出来る者だと
排除せねばならない敵であると
「見んなっつってんだろ、なぁ?」
「ヴルルルル!」
「何怒ってんだよ?そんな怒んなって、な?ガンつけて悪かったって、ごめんな?用事あるから俺もう行くからよ、じゃあな?」
謝ってそそくさ立ち去ろうとするも謎のモンスターは威嚇をやめない
「ヴルルァァァ!!」
「んだテメェ!!ブッ殺されてーのかコラァ!!」
男もキレた、フルフルを狩りたいのに邪魔されそうだから
「ヴルアァァァァ!!」
ついにモンスター・ドラギュロスは咆哮をあげ突進してきた
「マジかコイツ!?このドチクショウめ!邪魔すんじゃねぇクソがァァ!!」
ハンマーを構えて男も駆けた
「今空いてるFクラスハンターはどうだ!?」
ギルドの上役から報告を受けた大長老は救助隊の編成に奔走していた
「全員出払ってます!」
「なんと……!ぬぅぅ……」
しかし状況が悪く編成が進まない
「うえーん!ごめんなさいぃ……!」
受付嬢はずっと泣いている
「こうなればワシ自ら……!昔取った杵柄を見せる時が来たようじゃな……!」
最終手段を取ろうと立ち上がる瞬間
「何だどうした!何かあったってのか!?」
クエストから帰った大男達G級3人が騒ぎを聞き付けてやって来た
「うぬ……実はな……」
大長老は男の現状を話す
「俺様が行く!!」
話し終えた直後に大男が叫ぶ
「……いや、ありがたいが君ではまだ……」
「G級でもまだダメだっつーのかよ!?」
「君があの時とは比較にならない成長をしているのはわかっているさ、だがね……Fクラスとは常識が通用しない場所なのだよ」
「アイツが行ってんのは上位並って聞いたぞ!?こっちのG級はあっちの上位にすら勝てねぇっちゅーのかよジジイ!!」
「む……いや、ワシ等ギルドの大まかな認識はこちらのG級でFの上位の下モンスターと対等としてあるが……」
「ならいけるじゃねぇか!!」
「危険なんじゃ!まだ1度もFクラスモンスターと戦った事の無い者には危な過ぎる!再起不能になるかもしれんのだ!」
互いに熱くなり怒鳴り合う
「うるせぇぞジジイ!!」
大男は言う
「ダチ助けんのに行けねぇ理由なんざクソ食らえだ!!」
「!!?」
その言葉に大長老が怯む
「覚悟は出来てんだ俺様は!アイツに出来て俺様が出来ない訳がねぇんだ!いいから行かせろ!頭カチ割られてぇのか!!」
「ぬぅ……」
覚悟を見せられて怯むも承諾は悩む
「僕達も行くならどうです大長老様?」
そこへ小男の援護が入る、女も行くと頷いている
「G級3人なら上位も余裕でしょ!それともさっき言ったのはG級4人での計算だったんですか?」
「それは……うぅむ……」
唸る大長老
(確かに1人の計算だが……3人居ても未経験を送り出せる程甘い場所ではないんじゃよ……)
それ程までにFとは本家とは違うのだ、世界が違うと言い換えてもいい程に
「……わかった、では最高の装備を持って来なさい、それまでに出発の準備を進めておくから」
だが大長老は折れた、決め手は覚悟
友を救いたいという心の力が救出率と生存率を上げると判断したのだ
「よぅし!そうと決まれば行くぞお前等!!」
「「お~!!」」
「待ってろよ雑魚野郎!今俺様達が行くからよ!!」
救助隊がギルドを走る
「うおっ!?」
男の鼻先を黒雷球が通る
(あっぶな!)
そう思う体は既に持つハンマーをドラギュロスの頭へ打っている
「危ねぇだろうがゴラァ!」
「ヴゥ……!?」
ドラギュロスが怯む
「どうらァ!!」
確定的な隙だろう瞬間に畳み込むとドラギュロスが崩れるように倒れた
「スタンしやがった!ヒャッハー!」
絶対的な好機にハンマーを振りかぶる
「くたばれオラァァァァ!!」
これでもかと殴りまくる
「ヴルァァァ!!」
「うおっとぉ!」
スタンからの回復を察知し飛び退いた次の瞬間ドラギュロスの周囲を黒雷が迸る
「……」
それを訝しく見る男
(なんかフルフルと少し似てんなコイツ)
攻撃方法が本来狩猟予定のフルフルと被っていたのだ、無論威力など差異は当然あるのだろうが
「あ"ぁ~……そう思うと余計イライラしてきたなこのゴミカス邪魔モンスが」
男の頭にはフルフルしかない
「ヴルルルル……!!」
だがドラギュロスは逃がしてくれそうにない、あの目は敵を殲滅するまで諦めない殺意の怒眼
「クエスト失敗したらテメェマジで許さねぇからな……!」
障害の排除へ挑む
「着いたぞお前等!」
特急で雪山に送られて来たG級3人
「此処がF地帯か……」
「……」
小男が呟き女が緊張に息を飲む
「ホットドリンク飲んだらすぐ行くぞ!」
覚悟完了している大男は物怖じしていない、それよりも優先すべき事があるからか
「今俺様が行ってやるからな……!死ぬんじゃねぇぞ雑魚野郎……!!」
駆ける、その内に友の安否を宿して……
「!!」
雪山の豪雪地帯で3人はアイルーを発見した、男の運搬兼クエスト中の監視役のアイルーを
「無事だったか!」
「ニャ……」
しかし様子がおかしい、遠目に1点を見つめ間抜けに口を開けている
「オイ!」
「ニャ……そんなアホニャ……」
信じられないモノを見る目をしている
「ッチィ!オイ!アイツは何処だ!生きてんのか!?」
大男が怒鳴るとアイルーは視線の先へ指を向けた
「……!」
大男達が見ると遠目に降雪で視認しずらい何かわからない大きな影が見えた
「アレがFクラスモンスターっちゅー訳だな、お前等やるぞ!アイツを助けて撤退だ!!」
武器を構え臨戦態勢で影の元へ慎重に向かう
「!!?」
姿が見え、大男達は見た事の無いモンスターに心臓の動悸が上がる
「……ん?あれ……?」
小男がすぐ気付いた
「死んでない?コイツ……?」
モンスター・ドラギュロスはピクリとも動かなかった、既に息絶えている
「何ィ……!?じゃアイツはどうなったってんだ……」
相討ちを考え男の生存を心配した次の瞬間
「あー寒ぃなチクショウ、ボケがぁ」
震えながら男が顔を出した
「お?おーお前等!奇遇だな、つーかクエスト中に会うの初めてだな、こんな下位クエストにどしたよ?氷結晶探しか?」
「テメェ……」
元気な顔で男は生きていた、何て事ない様子に3人は唖然としている
「おうそうだ!コイツ見ろよ!俺が狩ったんだぜ!スゲーだろ!」
ドラギュロスの死体を指差し男は笑う
「コイツ見た事ねぇんだよ、お前等知ってるか?」
「……いや、知らねぇな」
「G級のお前等でも知らねぇんならマジの新種か~、あ!そうだよ聞いてくれよ!このボケのせいでフルフルの狩猟ミスっちまってよ……探したけどもう居なかったんだ、だから八つ当たりに戻って来たんだよ……テメェのせいだこのボケッ!!」
男はドラギュロスへ死体蹴りする
「なぁ?コイツが新種なら新種発見って事でギルドに貢献出来っかな?それで今日のクエスト失敗チャラになんねぇかな?」
「……知るかっつーの」
受領ミスによりフルフルではなくドラギュロスの狩猟だったクエストなのでクエスト自体は成功している、だがフルフルの狩猟と思っている男はクエスト失敗だと思っているのだ
だから男が考えてるのはクエスト失敗によるギルドへかける迷惑の事だけ
「……」
大男はドラギュロスを見上げ、次に男を見る
(こいつ……どんだけ……!)
自分達が3人で勝てるか勝てないかくらいのモンスターに単身、武器も貧弱な上に防具も無い男が勝ったのを知り実力の違いを見せつけられたのだ
「そうだ!お前等良いところに来てくれたぜマジで!頼みがあんだ!」
「……何だ」
男は手を差し出す
「ホットドリンクくれ!寒くて参ってたんだわ!」
「……」
大男はホットドリンクを取り出し、男へ投げつけた
「テメェにゃ負けねぇからな……!帰るぞお前等!!」
1人先に戻って行った
「んだアイツ?ホットドリンクくらいでキレやがって……セコいデブヤローだ」
「それはまぁ……しょうがないよ」
怒りの理由を知る小男が溜め息を吐く
男の危機に危険を省みずやって来たのに当の男はピンピンヘラヘラしていて実力を見せつけられたのだからライバル視する大男が怒るのも仕方無い
「君が悪いよ君が」
「いやだってよ!?沼地だと思ってたら雪山だったんだぜ?ホットドリンク用意してるわけねぇだろ!」
「クエスト内容を確認不足だった君の落ち度じゃないか、やっぱり君が悪いよ」
真実は言えない、Fに関係する事だから、この件に関してはもうギルドに委ねられている
「んぐ……そうだな、こんがり肉忘れて初歩的なミスですねーって言われんのと一緒か」
「そういう事、じゃ僕等も帰るから」
残る2人も帰っていく
(結局何しに来たんだアイツ等……?)
よくわからないが深く気にせず男もドラギュロスの討伐証明の剥ぎ取りを開始した
「うえーんよかったぁー!生きてたぁー!」
「何だお前!?何泣いてんだ鼻水つくだろ離れろバカ!」
ギルドへ帰ると顔面ぐしゃぐしゃの受付嬢が抱きついて来て頭を押さえられる
「良かった……!生きて帰ってこれて本当に良かった……!」
ギルドの上役が安堵している
「どういうこった?おっさん?」
「おっさんはやめてくれ、えぇと説明するとだね……」
男向けの説明が始まった
「あ?てことはクエスト成功してたって事か?」
「そういう事さ、信じられないけど……今回は我々の手違いで迷惑をかけてしまって申し訳なかった、バケモンだこの男……」
上役もこの成果に混乱し本音が男に聞こえないように漏れている
「何だ……成功してたのか、なら良かった」
男はホッと一息吐く
「お、怒らないのかい?」
「何で?間違いでもクエスト達成してたんなら別にいいだろ?何か問題あんのか?」
「それはまぁ……そうなんだが……」
普通のハンターならブチギレて補償が何だのと騒ぎたてるのに男は何も気にしてない
「君がそう言うのなら……」
男が問題にしないならギルドとしてもありがたいのでこれ以上の話にはならなかった
「んでぇ?それが原因でコイツはこんななってるって訳か?」
受付嬢を見ながら男が問うと上役は頷く
「今回のミスも勿論重大だが前回のミスもある……彼女のクビも視野に入っている」
「やだぁ……クビやだぁ……うえぇーん……!」
受付嬢は咽び泣いている
「え?クビになんのコイツ?そうなったら俺の担当は?」
「新しい子になるね、優秀な子を付けるよ」
「やだぁ……やだぁ……」
受付嬢は絶望に泣いている
「はぁ?困るぜそいつぁ」
「え?」
「……え?」
受付嬢が泣き止んだ
「もう俺はコイツで慣れてんだ、今更変わって欲しくねーよ」
「いや、だが……本当に良いのかい?また今回みたいな事が起こるかもしれないよ?」
「失敗ばかりの俺に比べりゃ大した事じゃねぇよ、それに言うだろ?バカな子ほど可愛いってな!」
「……わかった、引き続き彼女に受付は担当してもらう事にしよう」
「頼むわ、じゃあな」
受付嬢をぺしっと突き放しペタリと座り込んで唖然としている受付嬢に「明日からも頼むな」と言って男は報償金を貰ってギルドを出ていく
「よかったね君、彼に感謝するんだよ」
「……ヤッター!クビ回避ー!ウルトラスーパーラッキー!!」
受付嬢は超絶喜んだ
「君って奴は……もう知らん」
呆れた上役は顛末を伝えるべくギルドの奥へ消えていき、受付嬢の大喜びの奇行だけが木霊していた
「上位個体相当のドラギュロスを討伐するとは……」
大長老が髭を擦る
(遂に地力がついてきたか、本格的にFクラスへ挑む時が来たようじゃな)
ニコリと微笑む
「彼はどんな大英雄になるかのぅ」
暗躍は続く
ドラギュロス撲殺!
主人公の強さはゲームで言う死に覚え、多様なモンスターと戦った膨大な経験則、類似モーションや違和感から攻撃を読む予測と先読み、武器の弱さ故に常に殴り続けるRTA戦法で成り立ってます。
でも達成率が低いのは人間だから、TASではないからミスは当然あるのです、それでそのミスがどんなに些細なモノでも一乙に繋がる魔境だから今まで失敗し続けていたわけです。
簡単に言えば裸と武器縛りでプレイしている感じの本当の実力派、それが最近武器の強化始めました!って感じです。
つまりはプレイヤーって事です。