Fへの挑戦   作:黒太陽

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天を貫く凶星 上

 

 

「ふんふん……およよ!珍しい!」

 

郵便受けから配達品を取った受付嬢

 

「あなたー手紙来てますよー」

 

男に手紙を渡す

 

「お、サンキューな!誰からだ~?ってバレバレじゃねぇか」

 

男は封を開ける前に手紙に捺された豪華な印を見て差出人がわかった

 

(ったくあのヤロウ元気にしてんのか~?)

 

封を開け中の便箋を取り出し読む

 

「……ふぅん、ほうほうふんふん……よし」

 

読み終わった男は決めたように顔を上げた

 

「ちょっと出掛けてくる、王族からの呼び出しだ」

 

「えっ!?もしやエルガドですか!?まさか今さら処刑通知!?」

 

受付嬢はたまげた

 

「んなわけねぇだろ、出禁食らってるエルガドからんなもん来たら戦争だ……王女の親戚のヤツだよ」

 

「ああ、あの人ですか」

 

受付嬢も知っていた

 

「久し振りに会わないかってよ、だから行ってくるわ」

 

「わかりました、気をつけて行ってきてくださいね」

 

「あいよぅ」

 

男は出発した

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

-ドンドルマ-

 

「よう七光りボンボン!」

 

男が護衛と一緒に居る煌びやかな服の中年男性へ呼び掛ける

 

「おい七光りボンボンはよせ……久し振りだな裸の英雄」

 

「久々だなボンボン七光り!」

 

「いや逆なら良いって意味じゃない……あぁもうお前というヤツは」

 

「ハッハハッ!」

 

王族は苦笑し再会を喜んだ

 

「今日は護衛大人しいな、不敬だなんだの怒らねぇじゃねぇの」

 

「お前に会うんだ事前にしっかり言い聞かせてある、護衛隊長はあの時と変わっていないからしっかりわかっているしな……お前がどれだけイカレたハンターだったのか、な」

 

「おいおい褒め過ぎだ、よせって照れる」

 

「一切褒めてないんだがな……まったくお前は相変わらずだ」

 

笑い合う2人

 

「いつ振りだ?20年くらいか?老けたなお前~すっかり落ち着きやがって、前みたいに札束でシバいてみろよ」

 

「あることないこと言うな、まったく……お前は老けたが中身は昔と変わらないな、王貴族にタメ口きける平民は世界広しといえどお前と大英雄くらいなものだよ」

 

「お?悪口か?カチコミすっぞ?お?」

 

「いや勘弁してくれ本当に、エルガドの二の舞にはなりたくない」

 

「ハハッ!冗談だよ、もうそんな元気ねぇさ」

 

「お前もジョークが上手くなったな、面白くないがな」

 

「マジでやってやろうか?お?コラ?」

 

「……」

 

「……」

 

睨み合う2人

 

「「アーハッハハハハ!」」

 

可笑しくて大爆笑、昔話に花咲かす

 

「いや懐かしいなぁオイ、思い出すぜお前がヌケサクだった頃の事よぉ……傑作だったなぁ」

 

「そうだな……若かったからな私も、若さ故の過ちだった……おい誰がヌケサクだイカレ」

 

遠い昔を思い出す……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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-20年前・裸の英雄が現役だった頃-

 

「んあ~今日も調査か……タリィな~」

 

男はギルドへ向かっている

 

(開始からもうかれこれ3週間だぞ……ホントに居やがんのか金翼の暴凶星さんはよぉ、どっかで野垂れ死んでんじゃねぇのか燃料切れで)

 

少し前から調査クエストに従事していた

 

 

「うおーっす」

 

男はギルドにやって来た

 

(あんだぁ?やけに騒がしいな……)

 

クエストカウンターの前に人だかりが見えた、受付嬢もカウンター越しにあわあわしている

 

「どうしたどうした~?」

 

覗くと5人の集団とギルドマスターが話をしていた

 

 

「だから私をFクラスにしろと言っている、何度言わせる気だ」

 

集団の中でも一際煌びやかな装備を身につけたイケメンが食って掛かっている

 

「機密事項ですので衆人環視の前でその名を軽々しく言わないでください、話は伺いますので奥の部屋にどうぞ」

 

「フン……地方のギルドマスター風情が生意気な」

 

集団とギルドマスターは奥の部屋に向かった

 

「ほいほい」

 

男もついていった

 

 

 

「それで?私をFクラスに出来るのか?」

 

「まず先にお伺いしたいのですが何処からその情報を得られたのでしょうか?」

 

剣呑な雰囲気が部屋に充満している

 

「王の親衛隊の者の1人が元ハンターでな聞けばFクラスだった、そこから話を聞いた」

 

(ちっ……権力を背景に脅し聞いたか、これだから王貴族は……)

 

Fクラスハンターは特殊な事情がない限り守秘義務がありまず世間には漏れない、都市伝説程度に留まっている、今回のケースは特殊な事情にあたる

 

「なるほど、では何故Fクラスになりたいのですか?何か狩りたいモンスターでもおられるのでしょうか?」

 

「極みと呼ばれるモンスターを狩って勲章にしたいのだ」

 

「ッ……極み、ですか……」

 

ギルドマスターの顔が引き吊った

 

(どう見ても死ぬぞ……)

 

それは集団のレベルの低さにある、ギルドマスターの見立てでは護衛が本家のG級で内1人がG3かG4の上澄み、話をしている者はどう甘く見積もっても上位程にしか見えなかった

 

「もういいだろう、さっさと私をFクラスにしろ」

 

痺れを切らした命令

 

「そう……ですな……」

 

言葉に詰まるギルドマスター

 

「やめとけやめとけ、2秒で死ぬぞお前等、瞬殺だ」

 

ぶっ込む男

 

「……何で?何で居るの?」

 

気付いてなかったギルドマスターは仰天

 

「いやギルマスが困ってたから味方してやろうと思ってこっそりな」

 

(余計なお世話だ!要らないよ君は!帰って!ホントマジで!)

 

男が居る方が困るギルドマスターの顔は更に引き吊った

 

「何だと貴様……」

 

イケメンが男を睨む

 

「不敬だぞハンター如きがッ!」

 

護衛の1人が腰の片手剣を構えながら男に詰め寄った

 

「お?」

 

男は護衛が近寄る一瞬の間にイケメン以外の護衛の機微を捉え違和感を感じる

 

「ごへぇ!!?」

 

向かって来た護衛を絶妙なカウンターで殴り倒した

 

「あ……しまった、つい……」

 

反射的にやってしまって男は不味い顔をするもそれは一瞬ですぐ戻った

 

(あー!あー!ほらもー!こうなるからイヤだったんだよ狂人がー!)

 

話が拗れるのが確定しギルドマスターは嫌な汗を流す

 

(いっそビビって帰ってくれたら楽なんだが……無理そうだ)

 

驚愕する護衛達ではなく興味深そうなイケメンの表情が困難を予感させた

 

 

「やるじゃないかお前、何者だ?」

 

イケメンは男に問う

 

「オレか?ただのハンターだよ、メチャツヨのな」

 

「ほう……英雄か?」

 

イケメンは掘り出し物を見つけたような顔をして男に言った

 

「オレの下で働け、金は今の年収の倍やろう」

 

「イヤに決まってんだろ、おととい来やがれ」

 

「ならば3倍だ」

 

「…………」

 

男は考える

 

「強情なヤツめ、4倍だ」

 

「あー待て待て」

 

男はイケメンを遮る

 

「やらねぇのは決まってんだが気になってよ」

 

「何がだ?」

 

「オレの年収の4倍も金ホントに出せんのかなって」

 

「ふん、我が一族の財力を侮るなよ……幾らだ言ってみろ」

 

「去年は1億zくらい稼いだかな」

 

「やはりその程度……1億だとッ!?」

 

イケメンはビックリしてギルドマスターへ確認の視線を向ける

 

「報償金と使わないモンスター素材を売ればそれくらいにはなりますね」

 

「なん……だと……」

 

「まぁ実際は武器装備に金掛かりまくるから手取りは5分の1くらいだけどな」

 

F規格は兎に角金が掛かる、失敗してゴミになったりする時もあるのでその時はまた1から作り直しになり倍以上掛かったりするのだ

 

「で?4億だけど払えんのか?」

 

「……払えん訳がなかろう、だがそれだけの価値が貴様にあるとは思えん、やはりこの話は無しだ」

 

((逃げたな))

 

男とギルドマスターは内心ほくそ笑んだ

 

「……何だその勝ち誇った顔は?調子に乗るなよならず者が」

 

「おっといっけね……へへへ」

 

顔に出ていた男をイケメンは睨み付ける

 

「我が一族がその気になれば貴様のような木っ端などこの国で生きられんように出来るんだぞ」

 

「へぇ……そりゃスゲェ」

 

男の態度は些かも変わらない

 

「やってみろや」

 

やるなら一戦も辞さない覚悟の顔で言い切った

 

「……フン、面白いヤツだな……その道化に免じて今日は退いてやろう、感謝するんだな」

 

(ビビって逃げたな)

 

(裸の英雄の狂気に当てられてはさもありなん……国と喧嘩だって平気でやりかねんイカレポンチだからなコイツは)

 

去って行く集団を見送る男とギルドマスター

 

 

「一旦は安心か、ヒヤヒヤしたが助かったよありがとう」

 

「だろ?てかアイツ等、っつーかメインはアイツか、誰なんだ?有名なヤツか?」

 

男の問いにギルドマスターは渋ーい顔をして答えた

 

「王族だよ」

 

「えっ今の王子様だったのか!?」

 

「いや王子ではない、現王の親戚だよ、第三王女の家系だ」

 

「あのわがままな王女のか、ならいきなりFクラス行かせろなんてアホ発言も納得だ」

 

「すぐ権威をかざしてくるから困ったものだよ……そうだ先に言っておくが王貴族が全てああではないからな、あの血筋がわがままなんだ」

 

「そうっぽいな護衛の奴等はマトモだったしよ、去り際に全員小さく会釈してたの見たか?突っかかって来たのも被害受けないようにビビらせて黙らそうとしてくれてたんじゃねぇかな、フリだけでヤル気は無かった」

 

「なら殴り飛ばさないでくれよ、アレが一番肝が冷えた」

 

「ハハッわりぃわりぃ手が滑ってな!」

 

男はソファーに寝転がる

 

「また来るぞアイツ等」

 

「だろうな、本当に迷惑な話だ、モンスターに食われてくたばらんかな……おっと今のは内緒だぞ」

 

「だいぶ頭にきてんなぁマスター、わーってるって」

 

「手におえんようなら大長老様に投げるか」

 

一息ついて対応を考える数秒の間

 

「要はアイツ等がFクラスになりゃ解決するって話しか?」

 

「そんな簡単ではない、Fクラスになるのも至難なのは置いといて王族がハンターをするのが既に問題だ、何かあれば他の王貴族がウルサイからハンターなどして欲しくないが本音だよ」

 

「あー確かにそうか、ケガするだけでやかましい超地雷ハンターなんて辞めて欲しいわなぁ」

 

「君も大概問題ハンターだがな」

 

「褒めんなって」

 

呆れた溜め息をギルドマスターは吐く

 

「そうだ!オレがアイツ等の相手してやるよ!一緒にFクエストやって手柄にして帰らすのはどうだ?極みじゃなくてもFモンスター見たらアイツも考え変わるだろ、無理って」

 

「えらくやる気だな……さては調査クエストしたくないだけじゃないのか君?」

 

「おう」

 

悪びれもなく男は笑って答えた

 

「はぁ……だがどうせまた権力振りかざして無理矢理F領域に行くかもしれないなら君が付いてる方がまだ安心か、あの血筋は前科があるしなぁ」

 

前科とは第三王女がフィールドに行っててんやわんやした事件の事

 

「それに君以外は大英雄くらいしか相手に出来んだろうしなぁ」

 

「だろ?安心しろよイジメたりしねぇから」

 

「当然だ、王族に暴行なんてしたらギルドの上役全員のクビが物理的に飛びかねん」

 

「わーかってるって」

 

「任せるからな?本当の本当に頼むぞ?」

 

「あーいよ、よっしゃよっしゃ」

 

調査クエストから逃げれてご機嫌の男

 

「ところで調査はどうなっている?進展は?」

 

「まったくぜーんぜんだ、影すら掴めねぇ」

 

「そうか……」

 

「ホントに居んのか~?金翼の暴凶星なんてよ~?ガルバダオラと見間違えてるだけじゃねぇの?」

 

「かもしれんが目撃情報の特長が余りにもかけ離れているからな……」

 

ギルドマスターは窓から空を見た

 

「可能性はバルファルク……奇しき赫耀、姉御すら越えた……かもすれば新たな極みがF領域に誕生したのかもしれん」

 

遠い目して黄昏る

 

「だとしたらどんな名前になんだろうな~極み飛ぶバルファルクか~?」

 

「……もう少し格好良くならんか?」

 

 

決して抗えぬ運命の証

 

絶望と災厄の化身

 

 

大地を絶望に染め上げる凶兆をにわかに感じていた……

 

 

 

 




感想に刺激されて書きました。

バルファルクの極みがどんな強さになるか?知らなーい、明日からの私が考えるでしょうたぶん……
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