-新大陸・拠点セリエナ-
「それじゃあ行ってきまーす!」
「ああ……どうせ無理だろうが迷惑かけないようにな」
見送ったのは青い星の英雄
「行っちゃいましたね~」
傍らには弟子の女子
「疲れた顔してますよお師匠~」
「……苦手なんだ、何回アイツに苦労かけられて死線を彷徨った事か……厄災さ厄災」
「嫌ってますねぇ……でもそんな彼女も今や大ベテランですか~」
「憎まれっ子世にはばかるってヤツさ……お前も気をつけるんだよ、あまりヒドイと裸の英雄にシメられるかもしれないからね」
「わかってますよ~ムカつくんでその名前出さないでください!」
女子は恨みからプンスカ怒る
「気分悪いからもう今日は帰るよ、また明日」
青い星の英雄は帰った
「あー腹立つ裸のクソ英雄……」
1人残った女子はまだプリプリしている
(あ……コレいいかも)
思い付いて手紙を書き出した
「……こうしてあとは預かってるお師匠の印を捺してっと……!そんで速達で先に着くようにして……よしオッケー!」
手紙を出してガッツポーズ
(これで嫌がらせ完了~!フゥッ♪この恨み晴らさでおくべきか~ざまぁみさらせクソ裸~!)
ルンルンで雪の中に消えて行った……
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-メゼポルタギルド-
「ああ忙しい忙しい……ユクモ温泉行ってきていいかな?」
「ドザエモンにしてやろうか?」
「冗談だから、ゴメンって」
ギルドマスターが忙しく働いている
「はぁ~あ……あ、そうだ……君、例の編纂者の件はどうなっているんだ?変更は無しか?」
秘書に予定の進捗を問う
「日時は明日で変更はありません、が……その、少し問題が起きまして……」
「問題?何があったんだ?」
気になったギルドマスターは手を止め秘書へ向き促した
「先程手紙が来ておりまして……編纂者のF領域調査に同行するハンターの指定推薦状です」
秘書は手紙を差し出した
「同行ハンターの?アベック君とたかのり君に決まってただろう?そもそも誰がそんなモノを?」
「……青い星の英雄からです」
「大英雄の一角から!?」
ギルドマスターは慌てて推薦状に目を通す
「……同行ハンターに裸の英雄を推薦する、これが守られなかった場合今後一切ギルドへの協力を拒否する……はぁ?何だコレは!?」
推薦ではなく強制の脅迫だった事にギルドマスターは驚愕
「本当にコレ青い星の英雄が書いたのか?印は確かに本人のモノだが……」
「わかりません、確かめようにも明日なので時間がもう……」
真偽は不明、限りなく怪しいが時間が足りない
「どうしましょうか……?」
「ッ……従うしかあるまい、裸の英雄なら実力に問題は無い……むしろより安全だろう」
男に任せられるなら願ったり、だがそれには問題がある
「彼はまだいい、説得はまだ楽な方だろう……問題は……」
「奥方……ですね、メゼポルタギルドに託児所を作らせた伝説の受付嬢……」
「そうだ」
最大の難関である受付嬢から許可を勝ち取らねばならないのだ
ちなみに受付嬢は裸の英雄を発掘し射止めた偉業とそれを越えて余りあるミスの天剣山で語り草になっている、反面教師的な意味で
「可能ですかね?」
「無理筋だろうがやるだけやってみなければ言い訳も出来ん」
説得に失敗したとて形だけでもやった体にしておかなければ青い星の英雄が本当に脅迫をしていた場合に言い訳が立たないからやるしかない
「今の彼女に金銭での説得は無駄だ、食べ物や旅行辺りで当たってみるとしよう……時間が無い、私が直接行く」
「御健闘を祈ります」
神妙な顔の秘書に見送られてギルドマスターは農場に向かった
-農場-
「あん?家内なら娘と女の3人で旅行行ってんぞ?1週間くれぇ帰ってこねぇな」
「なん……だと……」
ギルドマスターは持ってきた大量のスイーツが無駄になって項垂れた
「見たとこアイツの説得材料か?どしたよギルマス?オレにクエストの頼み事か?」
「そ、そうなんだ」
気を取り直したギルドマスターは顔を上げる
「編纂者は当然知っているな?」
「知らん」
「……あぁそう……そうか、君はデビューからほぼFの裏口入域者だったな、すまない……簡単に言えばハンターと一緒にフィールドに入る受付嬢だ、新大陸と禁足地ではメジャーな狩猟体制になっている」
「へぇ……狩り手伝ってくれんのか?」
「いや狩りは手伝わない、記録や突発的なクエスト発注がメインだな」
「それ邪魔じゃねぇか?モンスターのターゲットになったら鬱陶しいだろ?」
「そういう声も当然有る、一長一短だがリアルタイムの記録と調査の補助の有用性は高い効果が立証されている」
「ふーん」
「F領域は危険が甚大なので編纂者を組み込む体制は出来なかったがね」
「だろうなぁ、エサ放り込むようなもんだ」
魔境F領域では編纂者は真の意味で邪魔、記録や知識より身を守る高い戦闘能力が第一のF領域で普及する筈がなかったのだ
「そんな編纂者をF領域に組み込もうという話が挙がっている、時代が変わり色々と狩猟環境が進んだ結果だな」
「あーわかった、その編纂者ってののお守りを頼みてぇんだろ?」
「言い方が悪いがまぁそうだ、試しにベテランの編纂者が明日F領域に入る手筈になっている、ギルドが認めた大ベテランで本人も強い希望を出して決定した」
「……ん~」
男はイメージする、受付嬢が一緒にFフィールドを行く光景を
「……やっぱ食い殺されるんじゃねぇか?」
「ハハハ!私もそう思う、上の人間はたまにトンチンカンな提案をするから困ったものだよ」
無謀だとギルドマスターも思っている
「まぁ試しに行けば無理だと上も思い知るさ、それでどうだろう?頼めるかな?」
「そりゃまぁ……ヒマだし構わねぇがよ、今なら嫁にバレねぇし……いや待てそもそも何でオレなんだ?現役に頼めよ現役に!Fクラスなら舎弟とか居んだろが!」
「いやそれがな……青い星の英雄が君を指定の推薦状を寄越して来てな、それも明日に控えた今になって……」
「はぁ?先輩がぁ?」
「従わなければ今後ギルドに協力しないと脅しまでつけてきた」
「ホントかよそれ……」
青い星の英雄がそんな真似をするとは思えないから男は信じれない
「私も懐疑的だが確かめる時間が無いんだ、だから頼み来たんだ」
「なんだそりゃ……」
意味不明な事情に男は頭を掻いた
「まぁしょうがねぇ、先輩とあんたの顔立てて受けてやるよ」
「助かる……すまないな、ありがとう」
受注決定
「食われないようにお守りすりゃいいんだろ?」
「そうだ、君が付くならその辺りの心配はしていないが注文がある……思いっきりビビらせてくれ、二度とF領域に来たくなくなるように……そうすればこの話も早く終わる」
ギルドマスターの注文を聞いて男はニヤッと笑った
「任せとけ」
準備に取りかかるのだった……
-翌日・メゼポルタギルド-
「そろそろ時間だ、もう来るだろう」
「その編纂者ってどんな奴か知ってんのか?」
準備万端で到着を待つ
「有名な編纂者だよ、新大陸で青い星の英雄を支えた言わば編纂者界の伝説だ」
「ほへー先輩を支えた伝説ねぇ……凄い奴なんだなぁ」
「あ、ああ……凄いよ、うん……凄いというかヤバイ……かな」
伝説の受付嬢と言われてちょっぴり興味が出た
(どんな奴だろ……メスラージャンみてぇなのかな?女大団長的なのだったらどーしよ……おー怖い怖い)
ワクテカした顔をしている男をギルドマスターが横目で見ていた
(スマン裸の英雄……!期待させといて悪いが伝説は良い意味じゃないんだ……)
隠していた事があった
正直にありのままを伝えていれば断られていたかもしれないから事前に言わなかったし今も濁した
当初は舎弟とたかのりを選んでいたのはマトモな奴を当てるのは可哀想だったから
「来たよ……彼女だ」
「今入ってきたあのゴーグルがそうなのか?」
本家ではかなり有名な受付嬢
「あー!わざわざお出迎えありがとうございますー!」
ギルドマスターを見つけた彼女は走り寄って来た
「……紹介しよう、彼女が君とF領域で行動を共にする……編纂者……だよ」
「どこ見てんだギルマス?」
その目は逸らされていた
「貴方が私の相棒になってくれるハンターさんですね!」
彼女は朗らかな笑みで男を見る
(なんか……嫁に似てる気がすんなコイツ……)
似たモノを歴戦の尻拭い経験から感じ取った男
「よろしくお願いしますねアイボー!好きな食べ物はドキドキノコです!」
「元気いいなアンタ、まっよろしく頼まぁ!」
ウケツケジョー
F領域に来訪す
ふと存在を思い出して書きました。
受付嬢界のレジェンド(笑)