「では任せたぞ!私は仕事があるのでこれで!じゃ!」
ギルドマスターは口早足早に去って行った
「なんだアイツ……まぁいいや、んじゃ行きますか」
「ハイッ!行きましょう相棒!」
受付を済ませ出発
パァープォー♪
「なぁ?調査目的とかあんのか?」
フィールドに着くまでの会話
「Fクエストに編纂者を組み込めるかの実験なので調査目的なんかは無いです、相棒の好きにしてくれればいいんですけど……」
「けど?」
「予め渡されたF領域の極秘資料を読んだ私個人としましては天廊とF領域固有種の頂である極みモンスターというのに興味を持っています!」
「天廊と……極みモンスター……?」
男の顔が険しく唸る
「どうでしょうか?」
「絶対ダメ、却下」
「何故ッ!?」
即答されてウケツケジョーは狼狽
「死ぬからだ」
ハンターの最高峰の中でも更に選りすぐられた特選のFクラスハンターでさえ命を落とすのが魔境F領域、しかも望むはよりによって最大級の難易度、天廊に至っては今だ男しか踏破出来ていない天上難度
裸以下の皆無に等しき戦闘能力の編纂者が生きていられる保証は男にすら出来ない、というか余波で普通に死ぬ
「そこを何とか!お願いします相棒!」
「ダメ」
「何でもしますから!」
「ダメ、それ使うなら歳考えろや」
「し、し、失礼ですよ相棒!」
「とにかくダメなもんはダメ、わかったか?これ以上駄々こねんなら混沌茸食わせて頭パッパラパーにして送り返すからな」
「わ、わかりましたよぉ……」
主導権を得てネコタクシーは進む
「では何処に向かうんですか?」
「峡谷だ、極みじゃねぇがFの固有種を調査させてやるよ、トリドクレスってんだ」
「トリドクレス!えーと確か鳥竜種の……」
ウケツケジョーは慌てて資料を読む
(ヒッヒッヒ!おったまげるぞ~)
男は内心ほくそ笑んでいた
-F領域・峡谷-
「オーイ何してんだ?早く行くぞ」
男はウケツケジョーを急かす
「ちょっと待ってください!見たこと無い虫や鉱石ばかりなんですから!」
本家には無かったり似て非なるモノがあったり目移りして遅々として進まない
「ふうぅん……もうちょいだってのに」
目当てに着くまでが長く疲れるなと男は諦めて腰を下ろして一服
「ピュ~♪」
口笛を吹きながら一瞬ウケツケジョーから目を離して元気ドリンコを飲んだ
「あっ!アレは何でしょう!?」
「……ん~?」
男が向くと調査に夢中になっていたウケツケジョーが1人勝手に奥へ進んでいた
「オイィ!?何してんだアホタレ!待てッ!!」
男は慌てて追いかける
「ゴオオオオオウッ!!」
超咆哮が轟く
「キャアアアアアッーーー!」
ウケツケジョーの悲鳴も響く
トリドクレスと遭遇してしまったのだ
(ヤベェって!辿異種なんだよアレぇ……!!)
ギルドマスターからビビらせてくれと頼まれたので通常種ではなく凶悪な辿異種をチョイスしていたのだ、男が足手まといを連れて戦えると考える限界
「アイボー!?アイボーーー!!?」
「やかましいわ!わーってんだよ!」
辿異種トリドクレスが迫るウケツケジョーに向かい駆け、服を掴み放り投げる
「引っ込んでウギャアーー!!?」
代わりに突進を受けて吹き飛んだ
「ウグェー……」
辿異種相手なのでしっかり防具は着けて来てはいるがまともに食らって悶絶
「アイボー!?大丈夫ですかアイボー!?」
ウケツケジョーが走り寄って来る
「バッ!?バカヤロウ!こっち来んなって!引っ込んでろってギエエェー!!?」
気を取られた男がトリドクレスの攻撃を受けてまた吹き飛ばされた
「アイボーーー!!」
テンパったウケツケジョーは懲りずに男へ向かう
「だぁからッ!!」
起き上がった男は大剣を抜きトリドクレスへ振りかぶる
「こっち来んなっつってんだろが!!」
怒りの溜め斬りが脳天をカチ割った
「無事だったんですねアイボー!」
「死にかけてんだよお前のせいで!まだ終わってねぇから隠れてろ!」
「何か手伝いましょうか?」
「邪魔すんなって言ってんのがわかんねぇのかお前!!」
男、マジギレ
「もーなに怒ってるんですかアイボー?……わかりましたよ、隠れてるんでお願いしますね!」
ささっと離れていくウケツケジョーを横目で見ながら男は舌を打ち口内の血を吐き出す
「ペッ……あークソ、ドチクショウめ」
予定では辿異種トリドクレスとの戦いを遠目に観戦させてFモンスターのヤバさを目の当たりにさせてビビらそうとしたのに上手く行かず何故か瀕死、辿異種を選んだのが裏目に出ている
「受けるんじゃなかったぜ……クソッタレめ!」
トリドクレスへ斬りかかり、討伐した
-メゼポルタギルド-
「お、おかえり……ず、随分と苦戦したみたいだな?」
迎えたギルドマスターの顔が引き吊っている
「ああ……この大ベテラン編纂者様のお陰でな……」
男は疲れ切った顔で答え、次に横に居た無傷のウケツケジョーが元気に答えた
「なんてことなかったですよ」
あっけらかんに言い放つ
「は?」
男の顔が無になりウケツケジョーを見ている、血だらけのこの姿を見て言ってんのか?と
「私お腹減りました!相棒ご飯食べに行きましょう!」
ウケツケジョーはテーブルに走って行った
「殺していいか?」
「待て、気持ちはわかるが抑えてくれ、どーどー」
アイボー!ハヤクハヤクー!アイボー!!〉
「よし殺す、裸の英雄の意思によりウケツケジョーを抹殺する」
「待て待て待て待てどーどーどー」
大剣に掛けた手を押さえながらギルドマスターは男の気を鎮める
「……上手くビビらせれなかったがこれで終わりか?」
「……本来の予定は2日あるんだ」
「マジか……今日ビビらせて終わらせるつもりだったのによぉクソが……ハァァ」
「頼めるか?」
「~~~~ッ」
本音を言えばむっちゃ嫌だったが一度受けた以上リタイアはダサイので男は言葉を飲み込み項垂れた
「……オレ1人じゃ手におえねぇよ、誰か助っ人呼んでくれ」
「わかった、当初決まっていたアベック君とたかのり君に頼もう」
「たかのりは要らねぇ、お守りが2人になる、それじゃ意味ねぇ」
「了解した、では明日はアベック君と頼む」
「イヤだけどわーったよ……フルフルの辿異種にすりゃよかったか……?」
初日が終わった
-翌日・メゼポルタギルド-
「おはようございます兄貴!事情は聞いてます!お手柔らかに頼むッス!」
ギルドの入口で舎弟が出迎えた
「わりぃな急に、すまねぇ」
「そんな!いーんスよ!兄貴と一緒にクエスト行けて嬉しいッスから俺!」
「ありがとよ……だが覚悟しとけ」
「覚悟……ッスか?」
男は舎弟の肩に手を乗せて言う
「死ぬ覚悟だ」
「えっ……」
理由はわからないが尊敬するあの裸の英雄が死を口にした事で舎弟の顔が不安に青ざめた
「えーとどこだ……?居た居た伝説の編纂者」
ウケツケジョーを見つけた男が舎弟の為に指を差す
「……めっちゃメシ食ってるッスね」
「食うのが好きなんだと、好きな食いもんはドキドキノコだってよ」
「キノコ大好きスキルは……」
「付いてるわけねぇだろあんなただの服に……食えりゃ何でもいいんだろ」
「ぽいッスねぇ……」
食べてるウケツケジョーへ向かう
「ふぁ!ふぉふぁふぉーふぉふぁいふぁすふぁいぼぅ!」
「食いながら喋んな、早く食え……行くぞ」
「ふぁい!」
「だから食ってから喋れって……」
呆れる男と舎弟
「噂には聞いてましたが……残念な人ッスねぇ」
「だろ~……」
クエストに向かう
「ゼナセリスに行くんスか兄貴」
「そうだ、これくらいにしとかねぇと身が持たねぇからな、F固有種だし問題ねぇだろ」
ネコタクシーで目的地に移動中の男と舎弟のウケツケジョーに聞こえない声量での会話
「ッスね、頑張りましょう兄貴!」
「そこで作戦があんだ、耳貸せ」
コソコソ内緒話
「お前アイツを羽交い締めにして拘束しといてくれ、いらん事しねぇようによ」
「えぇ!?それはマズいッスよ……セクハラでクビになっちゃうじゃないッスか、コンプラ研修受けたんで知ってるんス……イヤッスよ」
「チッ!今そんなのになってんのか面倒くせぇ時代だぜ」
渾身の作戦は棄却された
「アイボー!アレは何ですかー?」
ウケツケジョーが遠目に見える建造物を指差す
「アレか、ありゃあ古塔だ、F領域の古塔」
「なるほど古塔ですか」
「……行か」
男は行かないからなと最後まで言うのをやめた、釘を刺したら不幸を呼ぶような気がしてやめたのだ
「気になるな~」
既に遅かったが……
「さって……探すか」
「何処に居るかわからんスから痕跡探しからッスね~」
クエスト開始
「私に任せてください!前の相棒と沢山やったので得意ですから!」
前の相棒とは青い星の英雄の事
「どうするッスか?一応編纂者体制の実験ッスから任せるッスか……?」
「だなぁ……気は進まねぇが実績作りにゃしゃあねぇか」
形だけでも編纂者の仕事をさせなければならないので2人は仕方なく、本当に仕方なく痕跡調査を許可した
「とりあえずこっちに行ってみましょう相棒!」
ウケツケジョーが行きたい方角を示し調査開始
「……なーんもねぇな」
「ッスね」
調査開始からしばらく歩いたが痕跡は何も見つからない、ウケツケジョーが虫やらキノコやら色々調べて中々進まなかったのもあるが
「この方角には居ないっぽいッスね」
「つーかもう生息域から出てんじゃねぇかコレ?」
地図を取り出し現在位置を探す
「あ!気球見つけたッス!オーイ!」
舎弟が手を振ると気球から合図が来た
「あーやっぱもう生息域からかなり抜けてんな、気球はどうだったよ?」
気球はギルドの観測員が乗っており手を振り合図を出すとターゲットの居場所を信号で教えてくれるのだ、昔は常識だったハンターの小技、環境が進み廃止の声が挙がっている古き良き因習
「真反対ッス、あーあッスね」
「マジであーあだな……しゃあねぇ戻るか」
採取したキノコが食べられるか調べているウケツケジョーを呼ぼうと近付く
「……んあ?」
男の目に微かに聳えるモノが目に入った
(来る時見た古塔じゃねぇか……もしやコイツ調査したい古塔に向かって本能で向かってたんじゃねぇだろな……)
そうにしか見えないウケツケジョーを厄介だと思い古塔に気付かない内に戻ろうと考えた
「オイ、ゼナセリス居るの反対側だっ……」
その瞬間だった
「ヴァオオオオオオオオッーーーー!!」
古塔から大地を震わせる大咆哮が轟いたのは
「何でしょうか今のは!?あ!古塔だ!」
ウケツケジョーが周囲を見回し古塔を視認
「兄貴!今の咆哮は……」
「ああ、住み着いてたかクソが……」
男と舎弟は不穏な顔で見合わせる
「ミ・ル……ッスよね」
「妖やし化けてんなら面倒だぞ」
ミ・ルとは黒狐竜と称されるかつてUNKNOWNともラ・ロとも呼ばれた謎の竜と同様に謎に満ちた黒き竜
妖やし化けるはミ・ルの進化種、上位種ともされる個体
「どうするッスか?クエスト受けてないんで俺達に討伐の義務は無いッス、今は編纂者も居るしギルドに報告しに戻ってしっかり準備して来るか他のFクラスに任せるのもアリッスよ……被害は出るかもしんないスけど」
「そうだな、どうすっか……」
男は現状から何が最善か考える
「あの……相棒?」
そこへ蚊帳の外だったウケツケジョーが恐る恐る尋ねる
「今の危険なモンスターなんですよね?」
「そうだ、あのレベルのモンスターはFクラスのベテランも下手すりゃな相手だし希少だからハンターの判断で勝手に狩りずれぇんだ、ギルドの判断を仰ぎてぇがその間が不安だ」
知らずに他のFクラスハンターが出くわしてしまったら非常に危険
「……相棒なら狩れますか?」
「狩れる、昔に何回も狩った事あるからな!」
「では私がクエストを発注します!」
ウケツケジョーの宣言に2人はぎょっとした
「私の判断でクエストをその場で発注出来る、それがギルドから編纂者に与えられた権限です!私の判断はギルドの判断だという事です!」
「確かに!そうッスよ兄貴……!責任コイツに押し付けられるッスよ!」
「……え?今ヒドイこと言われたような」
「空耳ッスよ~♪」
舎弟は顔を逸らして口笛を吹いていた
「そうかよ……っしゃ!ならクエスト受注だ!オレがブッ殺してやる!」
「了解です相棒!」
ミ・ル討伐クエスト受注
「初めて役に立ったなお前~♪」
「えへへ……どうも」
嫌味が通じていないウケツケジョーは素直に照れた
「よしよし……オイッ」
「ラジャッス!」
アゴで合図された舎弟がウケツケジョーを羽交い締めにした
「え?え……?何ですかコレ、ねぇ相棒?」
「しっかり捕まえとけよ、勝手されちゃかなわねぇかんな」
「ウッス、非常事態なんで已む無しッス、セクハラ上等ッスよ!」
「アイボー!?あのー?アイボーってばー!?」
勝手に歩く地雷を抑え込んで古塔に向かった
-古塔-
「居たぞ、やっぱミ・ルだったな」
「妖やし化けてるッスね」
古塔の階段からこっそり発見
「アレが……ん?ほえ……?アレって資料で見た……えっと確かディラガウアでは?」
ミ・ルを視認したウケツケジョーは首を傾げた
「初見はみんなそうだよな、誰だってそう思うオレもそう思った」
「見た目は黒いだけのクリソツなんスけど全くの別種なんスよね、ラ・ロってモンスターも居るけど同じなんスよ、見た目は黒いレイアだけど別種なんス」
「そんなモンスターが居るなんて……!」
F領域の異常さにウケツケジョーは感動している
「っし……行ってくるわ、そいつは任せたぞ!余波がヤバそうなら逃げてろな」
「ウッス!お気をつけて兄貴!」
「頑張ってくださいアイボー!」
2人に見送られて男はミ・ルに向かって駆け出した
「ドルァ!!」
「ヴァオオッ!!」
始まった狩り合いは瞬間的に衝撃波や岩石飛散する大激戦となった
「あの、素人質問で恐縮なのですが……相棒ってもしかしてスゴイハンターなんです?」
階段から隠れて見ている羽交い締めされたウケツケジョーが男のマジ狩猟を眺めながら舎弟に問う
「マジで素人質問ッスねあんた、ホントに大ベテラン?モグリッスか?まぁそりゃ兄貴はあの青い星の英雄と同格の元大英雄なんスからスゴイどころかモノスゴイハンターッスよ」
「元相棒と同格!道理で……」
強さに納得しウケツケジョーはウンウンと後方彼女面のような謎の頷きを見せる
「!!?……あのモンスター動きが変わった?形も少し……」
「気付いたッスか、そうッス……ミ・ルは色々なモンスターの動きをする厄介なモンスターなんスよ、ラ・ロも同じ特長持ってるッスね」
「そんなの……厄介過ぎますよ!」
色々なモンスターの動きをするという事は知らなければ対処に遅れてしまうという事、F領域ではそれは致命的、生きていればいいが死ねば知らなかった忘れていたでは済まされない
つまりミ・ルやラ・ロと満足に戦うには使用する動きを持つ全てのモンスターの熟練度を上げておかなければならないのだ
「経験豊富な兄貴なら大丈夫ッス、さぁあんたも応援するッスよ」
この時、舎弟は言葉を間違えた
「ハイ!わかりました!」
応援ではなく信じろと言うべきだったのだ
「アイボーーー!ファイトーーー!!」
ウケツケジョーは大声で応援した
「ヴァオ?」
ミ・ルが隠れていた存在に気付く
「オイこのボケェェェーーー!!」
男はカチキレた
「ヴァオッ!!」
ミ・ルは階段に向かい炎ブレスを放った、獄炎を思わせる炎勢、舎弟はともかくウケツケジョーが浴びれば骨も残らない
「ヤッベ!?」
男が間に入り大剣で防いだが劣勢
「ウギギギギ……!?ダメだムリッ!ガ性もガ強も無いのに受けられっかぁぁぁギャアアアアッ!!?」
男は階段に向かって焼き飛ばされたがなんとか減衰させた炎ブレスは届かなかった
「兄貴ィィィ!?大丈夫ッスかッ!?」
「アイボー!?アイボー!?」
「…………」
男は火傷だらけの傷だらけで立ち上がる
「ヒエッ!?」
舎弟は胆が氷点下まで冷えた
「……オイ」
男の冷たい真顔に
「ハイ……ッス……」
そして舎弟へ冷たく言い放つ
「そいつに猿ぐつわしとけ」
意訳は黙らせろ
「ッ!?ウッスサーセンしたっ!!」
「むー!?んむー!?」
マジギレしていると察した舎弟が即座にウケツケジョーの口を塞ぐのを見た男は無言でミ・ルへ振り返った
「ヴァオオッ!」
飛び込んで来るミ・ル
「あ"ぁ"ゴラァ!!」
怒髪天を衝く男の怒号
「いい加減にしろやテメェよぉ!なんなんだよお前ゴルァーー!!」
怒鳴りながらミ・ルへ斬りかかる男
「邪魔しか出来ねぇのかボンクラがゴラァ!クソボケオラァ!!」
それは誰に言っているのか
「ブッ殺すぞテメェェェェ!!」
男、怒りの大剣大乱舞
「死ぃねぇボケナスがぁぁぁぁ!!」
「ヴァオーーーーーーンッ!!?」
妖やし化けるミ・ルは討伐された
-メゼポルタギルド-
「お、おかえり裸の英雄……た、大変だったみたいだな?おつかれ……」
「……ああ」
やはり大怪我している男にギルドマスターはドン引き
「普通のゼナセリスに行ったはずだろ?何があったというんだ?」
「……アイツに聞いてくれ」
面倒そうに男はウケツケジョーを指差した
「えーゼナセリス捜索中に古塔にて妖やし化けるミ・ルの存在を確認し私の編纂者権限で討伐クエストを発注、討伐に向かった次第です!」
「妖やし化けるミ・ルだと!?それで!?討伐は!?」
「無事達成しました!」
「そうか!よくやってくれた!」
朗らかに報告するウケツケジョーを横目に見ながら男と舎弟はやれやれと溜め息を吐く
「やりましたね、
「「……は?」」
聞き捨てならない言葉を2人は聞いた
ポカを庇って大怪我した男がそれでも頑張って討伐したのにそのポカしたウケツケジョーがまるで自分も大活躍したと言わんばかりの言葉が2人の目を見開かせた
(あ!?ヤバイッ!!)
2人の人を殺す目に逸早く気付いたギルドマスターはウケツケジョーを抱えて外に走り出す
「調査ご苦労様!君は今すぐ帰りなさい!」
「え?あ、はい」
「そして二度とメゼポルタに来るな!君は出禁だ!」
「へ?今なんて……?」
ウケツケジョーは有無を言わさず送り帰らされた
「……」 「……」
残されたキレている2人はしばらく佇み怒りを鎮めていた
「……編纂者はFクラスに絶対要らねぇ、そうだろ?」
「そうッスね、署名集めとくッス」
あのウケツケジョーだけが問題だったのだろうがもはや2人に関係無い、狩りの邪魔をする編纂者に恨みが積もっている
「上がガタガタ言うならオレに言え、ジジイも含めて全員F領域中引き摺り回してやっから」
「その時は是非頼むッス兄貴」
これ以降Fクラスに編纂者を組み入れる動きは一切起きなかった
ギルドの上層部が怒らせてはいけないあの人を怒らせてしまいしばらく姿を消していた事が原因だとメゼポルタのギルドマスターは晩年に語ったと言われている
クエストクリア!!
-エピローグ 新大陸・拠点セリエナ-
「よぉ先輩……オレはあんたを殴らなきゃならねぇ」
「なんだ急に……どうした裸の?」
男は青い星の英雄にお礼参りに来ていた
「あんたがふざけた手紙を送るからヒドイ目に会ったんだ、許さねぇ」
「ああ、やはりあの手紙の件か……すまなかったな裸の、アレは私が書いた物じゃないんだ」
「あ?んじゃ誰なんだよ?」
「アイツさ」
青い星の英雄は物陰に隠れている女子を指差した
「ギルドから問い合わせが来て私も驚いてね、それであの子を問い詰めたら白状した、謝りに行けと言っても聞かなくてなぁ……代わりに謝ろうと思っていたら君が来たってところだ」
「ほ~なるほどなるほどねぇ……あ~そうだったのかへぇ~」
真相を知った男は隠れている女子に向かう
「よぉ~う」
「ひっ!!?」
肩を物凄い力で掴まれ女子は震え上がった
「遊ぼうぜ?裸でラージャン100頭狩れるかなぁ?」
「ゼッタイヤダーーーーー!!」
女子は引き摺られて行った
「あれっ?今の元相棒ですよね?元元相棒?」
こんがり肉を持ったウケツケジョーが青い星の英雄の横に座った
「話しかけないでくれ……大食いがうつる」
「なーに変な事言ってるんですかアイボ~大食いはうつりませんよ~」
彼女は今日も今日とて食らう
世界が終わるその日まで……
・ウケツケジョー
伝説の編纂者、青い星の英雄の元相棒、完璧で究極の無自覚トラブルメーカー、私は謝らない。
実績だけで見れば非常に優秀だが内実は青い星の英雄が尻拭いしていただけであり相棒に恵まれていただけ。
無自覚に人を怒らせる天才、良かれと思った行動が裏目に出るタイプ。
もし受付嬢と出会っていたら同族嫌悪の絶交か親友になるかの0:100だったが出会う事は一生無い。
改めて調べると相当嫌われてましたね彼女……さもありなん。
ネタ……無いでぇーす!