Fへの挑戦   作:黒太陽

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「おー寝てやがる寝てやがる……クックック!」

 

男は弱らせて寝ているモンスターへこっそり近付き頭を目掛けて大剣を抜いて構えた

 

「ヒヒヒ!これが大剣の醍醐味ってなぁ!これが楽しみで大剣担ぐまであんだよ……!食らえマヌケがぁ!」

 

力を溜めて集中

 

 

「死ねオラァァ!!」

 

 

渾身の溜め3抜刀切り!

 

 

「ギャオウッ!!?」

 

 

メインターゲットを達成しました!

 

 

「しゃオラァーー!!」

 

男は勝利のガッツポーズを決めた

 

 

 

「よーしよしよし!」

 

倒したFクラスモンスター・アビオルグを前に男は喜びのステップを踏んでいる

 

(良くなってきた良くなって来たぜぇ!明らかに戦いやすくなった!よしゃしゃしゃしゃ!)

 

上位クエストの達成率が上がったのを体感している、上位に上がりたての時は1割程度だったのが今は3割に近い

 

(やっぱ武器だったか~親方様々だなぁオイ~!)

 

嬉しいのだ

 

(これでちっとはギルドに返せてるか)

 

恩を返せている事が

 

「……何言ってんだ」

 

ふと我に帰り回りに誰も居ないのに男は呟く

 

(こんな程度で何返した気になってんだ……バカ浮かれしやがってこの雑魚が、調子に乗んな)

 

責めるのは己

 

自分と同じ頃に入った同期達はとっくに上に行っていて第一線で活躍するハンターになっている

 

後から入った新米達も自分をすぐに追い越して行く

 

なのに未だに自分はようやく上位に上がれた程度、それも達成率の悪い落ちこぼれ

 

「はぁ……」

 

その現実を思い出し、溜め息と共に浮かれを吐き出し心が緩まないように男は勝って兜の緒を締める

 

「旦那~帰るニャ~」

 

その直後にアイルーが迎えに来た

 

「おー頼むわ」

 

男の苦難の道は続く

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「お?帰ってきたか雑魚野郎!」

 

大男がギルドで迎えた

 

「今日はどうだった?トチって失敗か?」

 

「せーな……達成だ、なんとかな」

 

「はぁ?マジかよお前よぉ……今日に限って成功してんじゃねぇっつーの」

 

「あ~?」

 

やたらと残念がっている大男に首を傾げる男

 

「へへへ!僕の勝ちだね!」

 

小男が満足気に笑ってる

 

「テメー等……賭けてやがったな?」

 

すぐに男は察した、自分のクエストの成否で賭けをしていたのだと

 

「君のお陰で儲かったよ!ありがとさん雑魚君♪」

 

「このドグサレ野郎共が……」

 

呆れた顔で2人を睨む、その2人の横で女が申し訳なさそうにペコペコしている

 

「止めたんですけど……」

 

「あー気にすんな、こんなのぁ大したこっちゃねぇよ、なぁ?」

 

男は小男に言う

 

「そういう事!君のお陰で儲かったから食事でも奢ってあげるよ、来なよ」

 

「ったりめぇだ!このすっとこどっこいが!」

 

ギルドを後にする

 

「おい行くぞデブ!いつまで悔しがってんだバカ」

 

「何ィ?雑魚野郎のクセに生意気だぞテメー!」

 

軽口を叩き合いながら

 

 

「あの~達成報告まだですよ~報償金要らないんですか~?私が貰っちゃいますよ~?」

 

 

受付嬢の知らせに男が急いで戻って来た

 

「やっべ!先に行っといてくれ!すぐ行くからよ!」

 

「ったくアホめ……さっさと来いよ大マヌケ野郎!!」

 

大男達を先に行かせて受付嬢の元へ戻る

 

「ププッ……大マヌケ野郎……プププッ」

 

「笑うなテメコラッ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「調子良いみてぇじゃねぇか、雑魚なりによ!」

 

「嫌味かコラ!威張れる数字じゃねぇのは自分でもわかってんだよ」

 

4人での飲みの席、今までに幾度となくあった男にとっての癒しの時

 

これが、いや……この3人が居なければハンターを続けられなかったと言えるくらい男の中で大事な支え

 

「だけど間違いなく成長はしてるよね、自信持ちなよ」

 

「そうか?だったら良いんだが……お前等と比べたらなぁ」

 

その男の言葉に3人は一様に黙った

 

「……」

 

「……」

 

「……」

 

何故なら言えないだけで実は男の方が凄い事をしていて凄いと3人共が思っているからだ、知らぬは男だけ

 

「……そりゃ才能が違うからよ!テメーみてぇなヘボの雑魚野郎と一緒にすんなっちゅーの!」

 

「ケッ!いつかぜってー吠え面かかせてやっからなデブコラ!」

 

「テメーが?可笑し過ぎてヘソが回復薬沸かすっつーの!」

 

「んだとコラッ!」

 

言えぬから合わせた言葉しか言えない、3人は3人で友を騙す片棒を担いでいる事が辛い部分である

 

「お前等の方はどうなんだよ?G級はやっぱ大変なんだろ?」

 

「まぁな、だが俺様達なら楽勝よ楽勝!」

 

「今1人抜けてるってのにスゲーなお前等は」

 

「面倒な時には助っ人で秀才野郎が入ってっからな、今のところ問題ねぇ」

 

「ほーん」

 

男と大男は同時に酒を飲む

 

「ブハァ!……その抜けてる奴を呼び戻そうと最近考えてんだよ」

 

「プハァ!……そらまたどうした?」

 

男が問うと大男は小男に説明を促す合図をする

 

「用心の為にさ、最近……モンスターの動きが変に感じてるんだ」

 

「変?普段の習性と違うって事か?」

 

「違うと言えばそうなんだけど……なんか、こう……暴れてる印象がするんだよ」

 

「前に流行った狂竜化ウイルスみてぇな感じか?」

 

「それとも違う感じなんだ、命令されて暴れてる……そんな印象を僕達は受けた」

 

「ふーん……」

 

男は自分のモンスター対峙時を思い出すが特にそんな印象は無い

 

「たまたまじゃねぇの?ムシャクシャしてたんだよそいつ等」

 

「そう言われたら否定出来る材料が無いからそこまでなんだけどね、まぁ古龍観測所の秀才君も調べてくれてるみたいだから任せとくさ」

 

「そうしろそうしろ、小難しい事は学者に任せて俺達は頼まれたモンスター狩ってりゃいいのさ!あ、黄金芋酒飲んでいいか?幻獣チーズもつまみで!」

 

「能天気だね君は……いいよ好きなだけ頼みなよ、どうせ賭けで勝ったあぶく銭だし」

 

「ヒュー!流石!ごっつぁんです!」

 

遠慮無く頼みまくる男

 

「元は俺様の金だぞテメー!言ったら俺様が奢ってんのと一緒なんだ!感謝は俺様にしやがれ!」

 

「俺が失敗する方に賭けて負けた薄情者に言う感謝はねぇな~」

 

「それだと賭けになんねぇからだっつーの!」

 

「じゃどっちが先に賭けたんだよ?どうせお前が先だろ?」

 

「……ん"ん"!オーレーはハンター♪ガーキ大将ー♪」

 

「歌って誤魔化すなクソ音痴デブが!ガキ大将って歳かテメー!ったく……」

 

楽しく愉快に今日も1日が終わる

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ̄_ ̄_ ̄_ ̄_ ̄_ ̄_ ̄_ ̄_ ̄_ ̄_ ̄_ ̄_

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

-???-

 

この世の何処か

 

禁足地、最果ての地、神域

 

そう呼ばれる人の領域ではないこの世の何処か

 

 

「……」「……」「……」

 

 

そこに佇む3人の人影

 

黒衣を着た男、赤衣を着た男

 

そして……白いドレスを着た少女

 

 

「……」「……」「……」

 

 

3人は何を語る訳でもなくただその場で佇んでいる

 

「……あら」

 

白いドレスの少女が何かに気付いて顔を向け、残りの2人も次いで顔を向ける

 

「また入って来たわ」

 

少女が呆れたように溜め息を小さく吐くと物陰から小さな声が聞こえてきた

 

「んしょ……んしょ……!」

 

4、5歳程度の人間の子ども、性別は男、男の子だった

 

その小さな体に抱えるように大きな本を持って大変そうに歩いて来る

 

「何故入ってこれるのかしら?しかも此処へ直通で……」

 

「この人の子が住む場所は此処より遥か遠い山奥……何故だろうな」

 

白いドレスの少女の疑問は他の2人にもわからない

 

「貴方達が招いてる?」

 

「そんな事をする意味が無い、お前にもそれはわかる筈だ」

 

「そうよねぇ」

 

歩くのが遅くまだ遠くに居る子どもを眺めながら3人は言葉を交わす

 

「ならこれは欲望が生んだ運命……そういう事かしらね」

 

「そう解釈するとしよう、人の果て無き欲望が生む所業……小さき故に純粋な欲が我等運命の元へ繋いだ、と……」

 

「うふふっ!まぁ理由は何でもいいわ、退屈だったもの」

 

「「違いない」」

 

3人の意見は一致し、ようやく辿り着いた子どもを見つめる

 

「お、お姉しゃん!お兄しゃん!」

 

舌足らずな言葉と満面の笑みで子どもは本を掲げる

 

「また……!モンスターのご本……読んで!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

この世に終焉という言葉があるのなら……

 

それは既に始まっていたのかもしれない

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




ここから中盤、そして終盤へと進んで行きます。
最後の謎の3人は過去のナンバリング作品やってるとピンと来ると思います、先に言っておきますが黒と紅が同一というのはわかって敢えて別個体にしてます、2人より3人の方がなんかヤベェ雰囲気ありそうだから……

それともう畳み始めるの?って思ってくれた方へですが内容の肉付けは出来るっちゃ出来るんです、フロンティアモンスターは沢山居ますしね。
だけどそうしてしまうと無駄に長くなって蛇足感があるなぁと思いこの運びとなりました。
元々長くなる話でもなかった短編ですし納得していただければと思います。
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