Fへの挑戦   作:黒太陽

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「射つべし射つべし」

 

矢をつがえて射る

 

「射つべし射つべし」

 

ただひたすらに射つ、適正距離で射てる時に弱点部位へ可能な限り射つのが弓の基本、そうでなければ手数が足りず時間が足りないから

 

「うおっと!」

 

モンスターの攻撃を最小限かつ寸でで避け矢をつがえる

 

「射つべし射つべし」

 

また繰り返す、集中力が続き

 

「射つべし射つべし」

 

Fクラスモンスター、カム・オルガロンの息の根が止まるまで……

 

「ガルアッ!!」

 

「よいしょっと……あ」

 

避ける動きがほんの僅かに乱れ、手1個分だけいつもよりズレた

 

 

ペシッ

 

 

力尽きました

 

 

「旦那~~~!!」

 

 

クエストに失敗しました

 

 

「今助けるニャー!!」

 

 

アイルーに助けられ男は逃げ帰った

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「失敗だった……わりぃ」

 

「残念でしたね、お疲れ様です」

 

もう何百と繰り返した失敗報告の光景

 

「あ"ークソ……勝てそうだったのによぉあのバカ犬……悪いのはミスった俺だけどよ」

 

「あ、一応犬じゃなく狼ですよカム・オルガロンは」

 

「どっちでもいいわんな事」

 

「犬に失礼ですよ~あれ?失礼じゃない?のかな?犬にしたらむしろ光栄?」

 

「それもどっちでもいいわ」

 

大きな溜め息を吐いて男は受付嬢を見つめる

 

「何ですか?口説くならせめてG級ハンターになってからにしてくださいね!私お金無い人興味無いんで!」

 

「昔から言ってんなそれ、お前もブレねぇよなぁ」

 

「そりゃまぁ私ですから!ハイどうぞ!」

 

「ハハッ……すまねぇな、ありがとよ」

 

可笑しく笑い失敗補償金を受け取ると男はギルド内を見渡す

 

(アイツ等は居ねぇか……それはそうと何かギルドの雰囲気がいつもと違うな)

 

感じる違和感、普段よりも僅かにピリピリしている

 

(まっ落ちこぼれの俺には関係無ぇか)

 

気にせず外へ出て行った

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「おう小僧」

 

「あ、親方」

 

自宅に帰ろうかどうしようかと町を歩いていると鍛冶屋の親方が声をかけてきた

 

「頑張ってっか?」

 

「んあ?あ、ああ……やれる限りはやってるよ」

 

「そうか……飯は?」

 

「ん?」

 

「飯はちゃんと食ってっかって聞いてんだ」

 

「……ああ、食ってるよ」

 

「そうか」

 

「……??」

 

男は困惑している

 

(気持ち悪ぃな……)

 

心配したような優しい言葉をかけてくる親方に違和感を禁じ得ない

 

「……何か用か親方?」

 

「ああ……お前上位素材いくつか持ってるだろ?出せ」

 

「……か、カツアゲ?」

 

「シバキ回すぞお前」

 

どうやら親方は男の持つ上位素材に用があるみたいだった

 

「わりぃわりぃ、そりゃ持ってるが……何で?」

 

男が理由を知りたいのは当然

 

「オレが見てお前の武器の強化に使えるか新しい武器生産出来るか見てやるって言ってんだ」

 

「へ?んな事出来んのか?」

 

「出来るから言ってんだ、舐めんな」

 

親方は鼻を鳴らす

 

(まぁF規格の存在とノウハウが有ったから出来んだがな)

 

少し前に親方はギルドからFクラスとその装備規格であるF規格を知った、そして男の現状を

 

ギルドが町に幾つか有る鍛冶屋の中で男が唯一利用する専属とも言える鍛冶屋を将来的にFクラスの中心的ハンターになるだろう男に合わせるべく行った裏事

 

「だから出せ」

 

既にF規格のノウハウは確立されているため技術習得に時間はさほど掛からなかったがそれなりの時間は当然掛かる、だから男がそれなりに数をこなした今になった

 

ちなみにその過程で男の現状を知って激怒した親方にギルド員の数名が治療院送りになっている

 

「わかった、持ってくるからちょい待っててくれ」

 

男は承諾した

 

「……待て小僧、お前オレが騙してるとは思わねぇのか?」

 

すんなり提案に乗る男に逆に不安になった親方が問う

 

「いや全然、信用してるよ」

 

男は何の事も無く言う

 

「何でだ?」

 

「そりゃ親方の武器使ったらわかるさ、丁寧で良い仕事してるもんよ……嘘なんかねぇ誠実な人柄だって使ったら誰でもわかる、俺はそれを知ったから親方のとこしか行かねぇんだぜ?」

 

「……」

 

親方の動きが止まり男を睨みつける

 

「……だったらもっと頻繁に利用しやがれってんだ」

 

「それは悪い!クエスト失敗ばっかで素材が中々貯まんねぇからさ……」

 

「……もういいわかった、さっさと取って来い」

 

「あいよっ!」

 

男は小走りで去っていく

 

(ちっ……嬉しい事言ってくれやがるぜ小僧がよ、タラシめが……)

 

親方の口角が上がる

 

鍛冶屋として一番嬉しい事を言われたのだ

 

「一肌脱いでやるか……あのアホンダラの為によ」

 

笑みを浮かべて工房へ戻る

 

 

 

 

 

 

「少ねーぞ!オレは全部出せっつったんだ!まだ持ってんだろうが!出せ!!」

 

「全部だよ!まだ解明されてないから出すなって言われたのも含めてこれが全部だってーの!言ったろ!?失敗ばっかで素材貯まってねぇって!?」

 

「だとしても少な過ぎだボケナス!こんな竜の涙程度じゃなんも出来ねーぞ!」

 

「竜の涙程度って言うんじゃねぇー!わかってんだよんな事はよぉー!?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「今日はですねー……あーどうしようかな」

 

受付嬢が悩んでいる

 

「どした?」

 

「いえ、今日は依頼数が少ない日でクエストが全然無いんですよ」

 

「今までにもあったろんな日は?」

 

「今日は格別に無いんですよ、大型モンスターの依頼が全く無いんです、今までで初めてですよ」

 

「ほーん、まぁんな日もあるわな、俺は別にいいぜ?運搬クエストでも採取クエストでも有るならよ」

 

「うーん……どうしようかな」

 

「マジで何でも良いぞ?」

 

「じゃあ……ドスランポス2体の討伐で良いですか?」

 

「鳥竜種か、くっそ久々だな……まっ楽勝だろ、良いぜわかったそれ受ける」

 

「ハーイでは気をつけて行って来てくださーい!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

パァープォー♪

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「うおっ!?危なッ!?」

 

被弾しかけてマジ焦り

 

「ヤッベヤッベ!?動き覚えてねぇ!?」

 

大型モンスターとばかり戦っていた男は大苦戦していた、戦ったのが(いにしえ)過ぎて体が忘れているのだ

 

(ドスランポスなんざゴリ押しで楽勝だろって思ってたが……うおあっ!?)

 

ドスランポスの鋭い爪が男の肌の寸でを走る

 

「落ち着け落ち着け……!まずは観察して動きを思い出せ……あ」

 

冷静さを取り戻し集中力を高めようとした男の視界の端にふざけたモノが見えた

 

(合流しやがった!?)

 

もう一体のドスランポスがフィールドに入って来て男を認識したのだ

 

「2体同時は無理だって!?待て待てざけんなぁ~!?」

 

1体なら勘を取り戻せば何とでもなるが2体同時は無理、爪や尻尾がカスれば乙る防具無しのいわゆる裸装備なのだから

 

(こやし玉持ってくりゃよかった……クソッ!一旦退いて移動すんの待つっきゃねぇ!)

 

エリア移動を期待し武器を仕舞いモンスターの認識外のエリア外へ逃走の構え

 

 

 

チクッ

 

 

 

そんな心の隙を突く意識外からの強襲、別領域からの刃

 

「あ?」

 

振り向いた男の前にはランゴスタがまるで満面の嫌らしい笑みをしているように見えた

 

「嘘……だろ……」

 

ランゴスタからの麻痺毒により男はその場に倒れた

 

(く、悔しい……でも感じちゃう、じゃねぇぇぇ!クソガァァァァァァッ!!)

 

少しの間動けない男の視界には2体のドスランポス

 

(来んな来んな来んなヤメロヤメロヤメロォォーー!!)

 

「アッアッオーウwwww」

 

「テメーの鳴き声じゃねぇだろうがぁぁぁぁ!!」

 

 

ベシッ

 

 

力尽きました

 

 

クエストに失敗しました

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……失敗した」

 

「お疲れ様です、残念でしたね、ではこれどうぞ」

 

報告すると受付嬢は男にお金を渡しそそくさと離れようとする

 

「どした?何か慌ただしいけどよ……何かあったのか?」

 

「えーとえーと……」

 

引き留められて受付嬢は言うべきか迷った

 

(勝手に知って変に動かれるよりはマシかな)

 

後にギルドからの発表もあるだろうし先に言って男の動きを抑制しておく方が有益と判断した受付嬢は事情を話し出した

 

「大陸各地の獣竜種、飛竜種、牙竜種の活動が一斉に活性化して対応に追われてるんです」

 

「活性化?暴れてるって事か?」

 

「そうです!えらいこっちゃです!」

 

「マジか……んな事がねぇ」

 

男は先日、小男が言っていた事を思い出す

 

「何か手伝える事あるか?」

 

「ごめんなさい!今はギルドで対応環境を整えてる最中なんです!なので私に任命権限が無いので何も出来ないんです!」

 

「ああそうか、了解だ……何かあったらいつでも言ってくれや、俺に出来る事なら手伝うからよ」

 

「ありがとうございます!では私はこれで!……あ~忙しい忙しい!えらいこっちゃえらいこっちゃ!」

 

忙しくギルドの奥へ走る受付嬢を見送り男はギルド内を見渡す

 

(どいつもこいつも慌ただしくしてんな、沈静化を頼まれた奴等ってとこか)

 

喧騒の中で自分だけが静か、まるで自分だけ除け者のよう

 

(そりゃそうだよな……落ちこぼれに助力なんざ求めねぇわな)

 

溜め息を吐いてギルドを出ようと進み出す

 

 

「みんなマズイぞ!!」

 

 

その直後に息を切らせて入ってきたギルドの連絡員の声が響く

 

 

「クシャルダオラがこの町に向かっている!!」

 

 

災禍の風が吹き荒れようとしていた

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ̄_ ̄_ ̄_ ̄_ ̄_ ̄_ ̄_ ̄_ ̄_ ̄_ ̄_ ̄_

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

-???-

 

 

「こ、こえは?」

 

白いドレスの少女の膝に座った男の子が本へ指を差す

 

「これはリオレウス、龍の亜種……出来損ないね」

 

白い少女が答えた瞬間、遠くで飛竜の咆哮が鳴り響く

 

「こえは……?」

 

「ジンオウガ、犬っころね」

 

また白い少女が読み答えた瞬間、遠くで牙竜の遠吠えが鳴り響く

 

「か、かこいい……!」

 

男の子は興奮しながら楽しそうに笑っている

 

「じゃ……じゃお姉しゃんこえは?」

 

男の子はモンスター図鑑に書かれる1体を指差す

 

「ああこれ?これはね……」

 

白い少女は笑う、御目が高いと言うように

 

「クシャルダオラ……私達の、うーんそうね……」

 

白い少女は言う

 

「手下みたいなものよ」

 

その身に禁忌のオーラを纏わせて

 

 

 

 

禍々しい空に古龍の咆哮が鳴り響く……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




この作品は昔のモンハン、ワールド以前のモンハンをプレイしていた人が懐かしい!あったあった!とニヤついてくれる作品であればいいなと思ってます。

ガノの亜空間タックルとかティガの予測可能回避不可能な起き攻めハメとか出ない紅玉とか神おまとか……うっ頭が!?

今のモンハンに慣れた人なら不便なクソゲーと思うかもしれませんが俺達の青春!楽しい狩猟生活だったのですよ!
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