Fallout archive   作:Rockjaw

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会議は踊る、されど進まず。
―――ハプスブルク帝国・オーストリア帝国の元帥『リーニュ侯爵シャルル・ジョセフ』


The Girls' Plot and a Moment of Yume

十六夜社長との対談を終えた翌日…

 

「昨日は十六夜社長にあぁ言ったけど…。」

 

アビドス復興施策委員会の面々は頭を抱えていた。

 

昨日に聞かされたネイトの危うい本性。

 

その解消のために何ができるか、という話し合いなのだが…

 

「ネイトさんに生きる活力を与える方法…一体何をすれば…。」

 

全くその案が思い浮かばず困っている。

 

もし、ネイトが仕事一本の『ワーカホリック』だったらまだ策は練れた。

 

休みを与えたり遊びに連れて行ったり…『仕事』から離せばいい。

 

だが…

 

「ネイトさんって精神状態はさておいて…自己管理が凄くできてますからねぇ…。」

 

「昨日十六夜社長から聞かされるまで全く気付かなかったくらいだしねぇ…。」

 

言い方は正しいかは分からないが…ネイトは『出来た』大人だ。

 

仕事一本だけではない。

 

休みの時には機械弄りや読書などをして過ごす趣味を持っている。

 

普段も生徒たちと触れ合い時にトレーニングや外食、遊びに行ったりもしている。

 

言うなれば見かけ上の生き方は非常に『充実』しているのだ。

 

「ん…ネイトさんに新しい趣味見つけてあげるのはどう?」

 

シロコの案も十分ありだろうが…

 

「インドアもアウトドアも趣味があるネイトさんにあとはどんな趣味を教えるの…?」

 

「それに趣味があっても今のネイトさんには…。」

 

現状でネイトはあぁなのだ。

 

これ以上趣味を増やしてもあまり効果はないだろう。

 

「あっじゃあ美味しいものを一緒に食べに行きましょぉ。美味しい食べ物を食べれば…。」

 

「それも普段からやってるねぇ…。それにネイトさんがあまり高級志向じゃないしぃ…。いっそお昼寝に…。」

 

「現場に出てるときはお昼食べたら大体昼寝してるわよ、ホシノ先輩…。じゃあ、私が始めようとしていたこの『マイニング』ってのを一緒に…。」

 

「セリカちゃん…その大本は詐欺の常習犯で先日ヴァルキューレに摘発されたよ…。」

 

委員会の面々が様々な案を上げるがあまり手ごたえが得られそうなものはない。

 

連邦に比べると豊かなキヴォトスであってネイトの心根は変わっていないのだ。

 

生半可な方法では…ネイトを変えることはできないだろう。

 

ホシノ達の案が行き詰まる中…

 

「ん…まだ作戦はある。」

 

「シロコちゃん?」

 

「まだできること…『私たち』にしかできないネイトさんを夢中にさせる方法がある。」

 

シロコが何かを決意したように言葉を発する。

 

「私たちにしかできないことですかぁ、シロコちゃん?」

 

「そう、これなら絶対ネイトさんも夢中になるはず。」

 

「あのネイトさんを夢中に…!?そんなことできるの…!?」

 

「うん、私達ならきっとネイトさんを思いとどまらせることができる。」

 

「つまり完全に立ち直らせることもできるってことですか…!?」

 

いつになく自信満々なシロコに喰いつくノノミ・セリカ・アヤネ。

 

一方、

 

「あぁ~…シロコちゃん?まさかと思うけど…。///」

 

ホシノはシロコが何を言おうとしているかの察しがつき少し頬を赤らめながら尋ね返す。

 

「そのまさかだよ、ホシノ先輩。」

 

そんなホシノの問いかけにシロコは胸を張ってこう答える。

 

「ん、ネイトさんを襲う。」

 

『ブーッ!?』

 

まさかのシロコの案に思い切り噴き出す三人。

 

無論、『襲う』というのは襲撃という意味ではない。

 

「私達ならきっとネイトさんもメロメロにできる。」

 

言葉の前に『性的に』とつく方の襲うである。

 

「なッ何言ってるのよ、シロコ先輩!?ネイトさんをおっおっ襲うだなんて!?///」

 

「そっそれに私たちは学生なんですよ!?ね、ネイトさんにそんな…!///」

 

まさかの作戦にセリカとアヤネは顔を赤くしながら声を荒げ、

 

「あっあらぁ~…とても大胆な作戦ですね、シロコちゃん///。」

 

何時も周りを翻弄する側のノノミでさえ顔を赤くし困った表情を浮かべる。

 

「自分でいうのも変な話だけど…私たちは『美少女』。襲えばきっとネイトさんもメロメロだし五人ならネイトさんがどんな嗜好だろうと対応できる。」

 

一方のシロコは平然と説明を続ける。

 

確かにこの場にいる五人、背丈もスタイルも様々な美少女ぞろいだ。

 

ネイトが余程の異常性愛者でもなければ琴線に触れることは間違いない。

 

間違いないだろうが…

 

「だ、だとしてもっ!襲ったとしてもし…!」

 

「もし?セリカ、どうかした?」

 

「もっもし『子供』ができちゃったらどうするのよ!?」

 

当然リスクも伴う。

 

襲うこともそうだが…万が一の事態もある。

 

そうなった場合学生の身空では…。

 

が、

 

「大丈夫、『キス』さえしなければ赤ちゃんはできない。」

 

『…ん?』

 

シロコの言葉が引っ掛かった。

 

「ちょっちょっと待って、シロコちゃん…。」

 

「…なに、ホシノ先輩?」

 

「その…赤ちゃんの作り方って…知らない?」

 

ホシノのその質問に…

 

「…キスをしたらコウノトリが運んでくるんじゃないの?」

 

…砂狼シロコ、思いのほかピュアであった。

 

「…シロコちゃん、今度一緒にちゃんとお勉強しましょうねぇ?」

 

「?」

 

首をかしげるシロコを見て…

 

「よくよく考えてみると…多分それもあんまり効果ないわよ、シロコ先輩…。」

 

「そういえばネイトさんって皆さんと一度は必ず同衾してますけど…。」

 

「あんまりにもそう言う気配すらありませんから少し自信がなくなったのを覚えています…。」

 

「そう言う反応どころか目線すら一瞬たりとも向けてきたりしてないしねぇ…。」

 

冷静になった全員がネイトがどんな人物かを思い出す。

 

外見こそ成人期の男性だが…中身は90の後期高齢者。

 

海千山千の人生経験だけでなく…もはやそう言う『欲』は枯れている。

 

ダイナマイトボディのノノミに抱き着かれて無反応で寝続けたと言えばその事実に信ぴょう性が増すというものである。

 

それに以前ネイトはこう公言していた。

 

『ひ孫に囲まれているようなものだ。』、と。

 

つまり…自分たちは『女性』としては見られていないということに他ならない。

 

「…やっぱり新しい趣味を…。」

 

「いや、思い切って長期休暇を…。」

 

「私がショッピングに連れて行くというのも…。」

 

「ん…やっぱり襲うしか…。」

 

と、こんな感じで施策委員会の話し合いは騒がしく進むが…策は一向に纏まることはなかった。

 

ホシノSide

 

あの後色々話あったけど…結局具体案は出なかったよぉ…。

 

…まるでネイトさんが来る前の対策委員会の定例会議みたいだったなぁ。

 

「んじゃお疲れさまでした、ホシノの姉御。」

 

「送ってくれてありがとねぇ。皆もあんまり無理しない様に気を付けてねぇ。」

 

「うっす!おやすみなさい、姉御!」

 

そして、今はいつもやってる夜の巡回も終わって家に送ってもらって帰ってきた。

 

その後は入浴を済ませて寝間着に着替えベッドに入り眠りに付こうとする。

 

「ネイトさん…。」

 

どうして…?

 

どうして…ネイトさんは自分の身や命を簡単に投げ出せるの…?

 

まるで…

 

(ネイトさんが来る前の私みたい…。)

 

あの頃…ユメ先輩の後を継ごうと躍起になっていた頃の私…。

 

いや、たぶん…

 

(私よりももっと…もっと…。)

 

私の実に5倍…そんな年月を生きてきたネイトさんの生涯…。

 

そんな彼の『心の傷』は…私より深いはず。

 

(いったい何があったんですか…?)

 

…分からない。

 

私の心の重荷をあんなに簡単に解いてくれたのに…。

 

…それはつまり、

 

(私が見たものよりも…比べ物にならないほど深刻なことが…。)

 

あんな人の心にそんな闇を落とすようなことが何なのか…全く想像がつかない…。

 

それを一切私達に悟らせないほど…いや、最早ネイトさんの一部となり果てたそんな傷の正体は一体…。

 

(…ダメだ、もう寝よう。)

 

また明日…皆と考えよう…。

 

大丈夫…皆となら…

――――――――――――

 

――――――

 

―――

「…ノちゃ…。」

 

…誰、私を呼んでいるのは…?

 

私は確かベッドの中に…

 

「…きて、ホシ…。」

 

でも…懐かしくて暖かい…声…。

 

ずっと…ずっと聞きたかった…。

 

「…きないならぁ、また押し付け…。」

 

…そうだ、砂漠のあの時…

 

次の瞬間だった。

 

「むぎゅぅっ!?」

 

私の顔を柔らかくて暖かいものが覆った。

 

「むぅ~むぅ~ッ!?」

 

「ふぇ?」

 

思いがけずその『何か』を両手でつかみ、

 

「フンぬらぁッ!」

 

「わあああああああ!?」

 

ネイトさん直伝の『巴投げ』を見舞い振り払った。

 

「だっ誰だ!?一体どうやって…!」

 

すぐにその投げ打った人物を確かめると…

 

「私の…へ…や…。」

 

私は言葉を失った。

 

目の前に広がるのは見慣れた私の部屋じゃない。

 

朝日に照らされた…アビドス高校の屋上だった。

 

そして…

 

「い、いたたたた…ひぃん、酷いよぉ…。」

 

そこにいたのは…アビドスの制服を着た…

 

「今の技ってネイトさんに仕込まれたんだよねぇ?」

 

私のように長く緑の髪をして…

 

「力もそうだけどキレもまた一段と増してるね。」

 

背も大きくて…所々絆創膏を貼ってて…

 

「元気そうだね、ホシノちゃ…。」

 

何時ものような少し困ったような笑顔を見た途端…

 

「ぐぇッ!?」

 

私は一気に駆けだし…彼女に飛び込んだ。

 

「ひぃん!?なに、どうかし…!?」

 

何か言っているが…そんなことはもう知らない…!

 

「やっと…やっと来てくれたんですね…!!!」

 

あぁ…これはきっと夢の中だ…!

 

でも…間違えっこない…!

 

あの時…あの日に失ったはずの温かさが此処にある…!

 

「先輩…ッ先輩ぃ…!ユメ先輩ぃ…!!!」

 

「…フフッ…久しぶりだね、ホシノちゃん。」

 

涙を流しながら抱き着く私を…ユメ先輩は頭を撫でて迎えてくれた…!

 

「会いたかった…!会いたかったんですよ…!」

 

「ごめんね、ネイトさんに『夢枕に立つ』って約束してたのに…。」

 

「貴方はいつもそうです…!気軽に計画を立てて周りを巻き込んで…!」

 

「力をためるのに時間が掛かっちゃってねぇ…。ネイトさん以外の所に行くにはちょっとコツがいるの。」

 

「…許してあげます…!こうして…ちゃんと約束を果たしてくれたんですから…!」

 

「うん、私も…もう約束を破りたくないから…ちゃんと会いに来られてよかったよ…。」

 

あぁ、本当だ…!

 

ユメ先輩だ…!

 

間違いない、私の幻覚の中の先輩じゃない…!

 

ネイトさんをアビドスに連れてきてくれた…正真正銘の…ユメ先輩だ…!

 

そうだっ…!

 

言わなきゃ…言わなくちゃダメなんだ…!

 

「先輩…ごめんなさい…!」

 

「ごめんなさいって…何が、ホシノちゃん?」

 

「あの時…!ユメ先輩に酷いことを…!先輩の想いを…踏み躙って…破り散らして…ごめんなさい…ッ!!!」

 

あの時…先輩と過ごした最期の時…。

 

私は…先輩に怒鳴り散らして…先輩が大切にしていた『アビドス砂祭り』のポスターを破いてしまった…。

 

冷静になった後…謝ろうと思っていたら…先輩は…!

 

「ごめんなさい…ユメ先輩…!許してくれなくてもいいです、ただ…ただずっと謝りたかったんで…!」

 

「いいんだよ、ホシノちゃん。」

 

「え…?」

 

「もう…いいの。だからもう謝らないで…。」

 

ユメ先輩はそう言って私を優しく抱きしめてくれた…。

 

「それよりも…いい先輩になれた?」

 

「…トラブルや心配ばかりかけてました…!」

 

「フフッ、私とそっくりだね。ちゃんとお休みできてる?」

 

「…先輩のおかげで眠れるようになりました。」

 

「そっか、よかったよ。ちゃんと…後輩たちをちゃんと守れてる?」

 

「いつも迷惑を…掛けてますけど力いっぱいやってます。」

 

「ホシノちゃんは頑張り屋さんだもん、ちゃんとやれてるよ。それから…ちゃんと『うへ~』って笑えてる?」

 

「はい…毎日…毎日忙しくて…楽しい日々を送れています…!」

 

「いつも見ていたよ。私にはできなかったことを成し遂げたんだね。偉いよ、ホシノちゃん。」

 

そう言うとユメ先輩は私と目線を合わせて…

 

「だから、もういいの。自分を責めないで、ホシノちゃん。ホシノちゃんが本当に心から笑えて幸せに過ごせているなら…私はそれだけで十分なんだから。」

 

何時も見せてくれた太陽の笑顔を見せてくれた。

 

あぁ…もうだめだ…!

 

「う…ウワアアアアアアアアアアアアアンッ!!!」

 

ユメ先輩に再び抱き着き私は声をあげて泣いた。

 

かつての懺悔と…ユメ先輩にまた会えた喜びの入り混じった涙が止まらなかった。

 

「頑張ったね、本当に…。」

 

先輩は私が落ち着くまで優しく抱き留めてくれていた。

 

しばらく後…

 

「ユメ先輩、さっき『力をためるのに時間が掛かっちゃって』って言ってましたけど…。」

 

「幽霊みたいな状態ならそうでもないんだけどこうやって夢の中に直接入り込んでお喋りするのって私の神秘をかなり使っちゃうんだよね。」

 

「大丈夫なんですか…?あの…私がカイザーに襲われたときも…。」

 

「アレくらいは平気だよ!後輩を守るのが先輩の務めだからね!」

 

落ち着いた私はユメ先輩と給水タンクに腰かけて話を続けた。

 

どうやらユメ先輩の力は…黒服の見立て通り『死』が関わっているらしい。

 

『天真のオシリス』、奴はそうユメ先輩を呼んでいた。

 

「ユメ先輩、一つ聞きたいことがあるんです。」

 

「なぁに?」

 

「その…どうしてネイトさんをアビドスに?」

 

会ったら一番最初に聞こうと思ってたのがこれだ。

 

先輩は連邦で天寿を全うしたネイトさんをアビドス復興のために遣わしてくれた。

 

それには本当に感謝しているが…理由を知りたい。

 

が、

 

「うぅ~ん…なんていうか…勘?」

 

「…ハイ?」

 

予想外の…いや、ある意味先輩らしい回答が返ってきて私は呆けたような声を上げてしまった。

 

「この人なら大丈夫!って直感でお願いしたの。」

 

「…え?連邦を復興させた実績とかは?」

 

「いやぁ、実はお願いする前にちょっと調べたらまさかの大当たりで…。」

 

…本当にこの人は変わっていない。

 

「…そんな軽い理由で…?」

 

「で、でも私の勘は間違ってなかったでしょ!?」

 

「…じゃあ、ネイトさんが『源流の神秘』を発現したのは?」

 

「それは…偶然です、はい…。『死』も内包する『源流の神秘』が反応しちゃったみたいで…。」

 

「…はぁ~、先輩…少しは考えて行動できるようになったと思ってたのに…。」

 

「ヒィン…ホシノちゃん相変わらず辛辣…。」

 

辛辣にもなる。

 

ネイトさんは気にしてないようだけど…天寿を全うした人をそんな勘頼りで転生させるだなんて…。

 

「…でも、その勘でネイトさんをアビドスに連れてきてくれたことには…感謝してますから。」

 

そのおかげで…私だけじゃなくてアビドスが立ち直ったことも事実だ。

 

…素直にお礼を言うのは…ちょっと癪だけど…。

 

が…

 

「…ムフ~素直じゃないなぁ、ホシノちゃんはぁ~♪」

 

「あぁ~もう!そんなワシャワシャ撫でないでください!」

 

ニンマリとしたユメ先輩に抱き寄せられて頭を雑に撫でられてしまった。

 

…そうだ!

 

「ユメ先輩!教えてください!」

 

「ふぇ?教えてって…何を?」

 

「ネイトさんに連邦で何があったかを!」

 

ネイトさんのことを調べたユメ先輩なら知っているはず!

 

だったら!

 

すると…

 

「…ネイトさんの…ことだね…。」

 

「…先輩?」

 

ユメ先輩の表情が曇った。

 

そして…

 

「ホシノちゃん。お願い…ネイトさんを許してあげて…。」

 

「え…?」

 

私をまっすぐ見つめそう願うように言葉を発した。

 

「ネイトさんは…誰よりも…それこそゲヘナの風紀委員会の子達やカイザーよりも…自分のことを『許せないで』いるの…。」

 

「ど、どういうこと…?」

 

「うぅん…『許されることを拒絶』しているんだよ。自分にそんな資格も権利も無いって…それが当たり前になってるの…。」

 

「~ッ!」

 

同じだ…。

 

ネイトさんと会う前の私と…同じだ…!

 

自分を責め続けて…それが当たり前になって…!

 

「だ、だから私のことも…!」

 

「うん…無意識なんだろうね…。同じような境遇だったからこそ…ネイトさんはホシノちゃんを救えたんだと思う…。」

 

そんな…そんなことって…。

 

「一体…ネイトさんに何が…?!」

 

「…それは私から聞いてもきっとネイトさんには届かない。」

 

「え…?」

 

「ネイトさんが…自分の意志で打ち明けて初めて…意味があることなの。」

 

ユメ先輩は教えてくれないが…意地悪なんかじゃない。

 

私の時もそうだった。

 

ネイトさんはあくまで私にきっかけをくれただけで…心を吐露したのは私だ。

 

だからネイトさんはそれを受け入れてくれて…私は私を許すことができた。

 

「だから、ネイトさんがもし自分で自分のことをホシノちゃんや誰かに打ち明けられたら…今度はホシノちゃんがネイトさんを許してあげて…?」

 

「…分かりました。」

 

だったら…今度は私の番だ。

 

たった17年しか生きていない自分に何ができるかは分からないけど…

 

「ネイトさんが立ち直れるなら…全力を尽くします。」

 

ネイトさんを救う番だ。

 

「…うん、ホシノちゃんならそう言ってくれると思ってたよ。」

 

私の答えを聞いてユメ先輩はまた笑ってくれた。

 

「それにホシノちゃんがいてくれたら…私ももっと頑張れるしね!」

 

「そ、それはどういう…。」

 

「それはヒミツ♪でも、私とホシノちゃんならどんなことだってできるよ!」

 

以前のように軽く答えるユメ先輩。

 

これにかなり振り回されてきたんだけど…

 

「そう…ですね。なんとかなりますよね、前みたいに。」

 

なんだかうまくいきそうな気がする。

 

「それじゃあ…ネイトさんをよろしくね、ホシノちゃん。私も…アビドスが復興してもネイトさんに元気に過ごしてもらいたいから。」

 

「分かりました、ユメ先輩。…あの、また会えますよね?」

 

「うん!夢の中でだけどたまにお邪魔するね!」

 

ユメ先輩が満面の笑みでそう言うと…意識が浮かび上がっていく感覚がしてきた。

 

あぁ…もう…

 

「またね、ホシノちゃん。大丈夫、ネイトさんならきっと…。」

 

そこで夢の中の私の意識は途絶えた。

――――――――――――

 

――――――

 

―――

「んむぅ…?」

 

窓から指す朝日を浴びて私は目覚めた。

 

「…ユメ先輩…。」

 

アレは夢だ、それは理解している。

 

でも…

 

「ありがとう…ございます…!」

 

私の心の中は温かいもので満たされていた。

 

「ネイトさん…今度は私の番ですからね…。」

 

そう心に誓い私は学校に行く支度を始めいつものように登校するのだった。

 

そう、確かに夢のような一時だった。

 

でも…

 

「?あれ、ホシノ先輩…。」

 

「ん?なぁにぃ、ノノミちゃん?」

 

「…先輩って香水ってつけてましたっけぇ?」

 

「うぅん、オジサンはそんなのつけないけど…どうしてぇ?」

 

「今日のホシノ先輩…なんだかとても甘くて華やかな香りがするんですよぉ。」

 

「…うへ~そっかぁ。そうなんだ…。」

 

先輩は確かに私に会いに来て…今もここにいる…そんな気がした。

 

Side OUT




梔子
ジンチョウゲ、キンモクセイと並んで「三大芳香花」「三大芳香樹」「三大香木」の一つに数えられる植物で甘く濃厚で華やかな香りである。
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