Fallout archive   作:Rockjaw

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ギャンブルとは悪ではなく、人間らしさの表現だ。
―――小説家『ジャネット・ウィンターソン』



余談ですが何となく自分で書いておいてネイトの相手の獣人の造詣が気になりいつもお願いしているAI先生に頼んでみたらドンピシャなのが出来上がりました
最近のAI,本当に凄い

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 作Grok先生

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 作Gemini先生


111/Casino Death Match

さて、『遊び人』にジョブチェンジしネイトと別行動をとっているアリス。

 

そんな彼女は今…

 

「壺っ。」

 

「よござんすか?よござんすね?」

 

着物を着崩しさらしを巻いた獣人の『壺振り』が周りにいる客に壺と二つのサイコロを見せ…

 

「入ります。」

 

壺の中にサイコロを放り込み正方形の小さな畳の上に置くと…

 

「さぁ張った!!!丁方ないか!?半方ないか!?」

 

「丁!!!」

 

「半だっ!!」

 

「もってけ、丁だ!!!」

 

途端に沸き立つように札を置いていくオートマタや獣人の客たち。

 

プレイラウンジの一角にある他所とは異様な熱気が迸るテーブル…いや『鉄火場』と言ってもいいだろう。

 

流石はキヴォトス、カジノのゲームも古今東西を問わない。

 

『丁半博打』、二つのサイコロの出目の合計が奇数か偶数かを当てるとてもシンプルなギャンブルだ。

 

そのシンプルさゆえに誰も彼も熱がこもりこの場所はあまり生徒は近寄らずガタイのいい獣人やオートマタばかりが集っている。

 

そんなむさくるしいまでの男性フェロモンが充満する空間で…

 

「さぁ、お嬢ちゃん!今度はどっちに張るんだい!?」

 

「アリスは今度は丁です!」

 

まるでアスファルトに咲いた花のように可憐な少女、アリスが大人たちに負けず劣らず堂々とコマを掛ける。

 

「丁半コマ揃いました!勝負っ!」

 

全員のベットが決まり壺振りが壺を上げると…

 

グイチ5と1の丁!」

 

『よぉしっ!!!』

 

『畜生ッ!!!』

 

「やりましたー!」

 

出目は偶数の『丁』、アリスも勝利し賭けた倍額のコマが返ってくる。

 

「やるねぇ、嬢ちゃん!これで何勝目だい?!」

 

「こんな若ぇのに大した博打打だ!」

 

「えへへへ♪」

 

周りにいる大人たちから称賛を浴び笑顔を浮かべるアリス。

 

その前には…大量のコマが積まれている。

 

ネイトから渡された小遣いは…すでに数倍に膨れ上がっていた。

 

数十分前、

 

「これはなんというゲームなのですか?」

 

「バカラと言ってどちらが9に近い数字になるかを当てる…。」

 

ネイトから分かれたアリスは案内をしてくれる生徒共にラウンジ内を練り歩いていた。

 

興味がわいたゲームの説明を聞いたり許可をとって写真を撮ったり時には自分でプレイしたりと彼女なりに楽しんでいるようだ。

 

幸い、ディーラーもお客も撮影には好意的で嫌な顔をせずにアリスの写真に笑顔で写ってくれた。

 

結果としては勝ったり負けたりを繰り返し…所持金は少々目減りしている。

 

「アリスちゃん、プレイラウンジは楽しい?」

 

「はい、色々なゲームがあってアリスはとても楽しいです♪」

 

それでもアリスは初体験のカジノを楽しんでいるようだ。

 

すると、アリスの視線がある一角に留った。

 

そこには生徒の姿はなく変わりに大人の客たちが何やら一喜一憂している。

 

「あそこでやっているゲームは何ですか?」

 

「あぁ…あそこは…。」

 

アリスの質問にオデュッセイアの生徒は苦笑いを浮かべる。

 

「あまり私たち生徒は近づかない場所なんだけど…行ってみる?」

 

「はいっ!」

 

あまりノリ気ではないがアリスの要望に応えその生徒はそこ…『丁半博打』の賭場へ彼女を連れて行く。

 

「さぁ張った!!!丁方ないか!?半方ないか!?」

 

「半っ!!!」

 

「俺も半っ!!!」

 

「だったら丁!!!」

 

「す、凄い迫力です…!」

 

「人気はあるんだけどこの迫力がどうもウケなくてねぇ…。」

 

アリスも鬼気迫る大人たちの熱気に若干気圧されている。

 

「ルールはどういうものなのですか?」

 

「ルールはすごくシンプルであの人『壺振り』って言うんだけどあの人がサイコロを壺に入れてその出目が偶数なら『丁』奇数なら『半』というのを当てるゲームなの。」

 

「それだけなのですか?」

 

「そう、返金も倍というシンプルさ。ゲームの進行も早いから人気もあるんだけどねぇ…。」

 

確かにこのむさくるしい空間に生徒はあまり寄り付かないだろう。

 

すると…

 

「壺っ。」

 

「よござんすか?よござんすね?…入ります。」

 

次のゲームが始まり壺が振られる。

 

すると…

 

「…あ、半…。」

 

「え?」

 

アリスがそう呟いた。

 

「ん?お嬢ちゃん、これ『半』だと思うのかい?」

 

そのつぶやきが聞こえたか、一人の獣人が振り返りアリスを見つめる。

 

「あ、その…『音』が…。」

 

「音…ねぇ。」

 

突然尋ねられアリスは漠然と答える。

 

その獣人はあごに手を当てて考え込む。

 

「わ、私はこのゲームやった事なくて…。」

 

そう断るアリスだが…

 

「いや、物は試しだ。博打打ちってのはな酔狂なもんさ。」

 

ニヤッと笑いその獣人は…

 

「かわいこちゃんのアドバイスだ、半!!!」

 

自らのすべてのコマを賭けた。

 

「丁半コマ揃いました!勝負っ!」

 

そして…壺振りが壺を上げると出目は…

 

シソウ3と4の半!」

 

「えッ!?」

 

「おぉ、ホントだった!」

 

結果はアリスの言う通り『半』だった。

 

「嬢ちゃん、アンタのおかげだ!これはお礼だ、取っときな!」

 

「あっありがとうございます!」

 

そう言い、獣人はアリスに先ほどの勝利で得られた半分のコマを渡す。

 

「いい耳持ってるじゃねぇか!どうだ、少しむさくるしいとこだが遊んでくかい?!」

 

「いいんですかッ!?」

 

「おぉ、遊んでけ遊んでけ!」

 

さらに獣人はアリスを丁半博打に誘い…

 

「はい!アリス、やってみます!」

 

アリスも挑戦してみることに。

 

「よし来た!おい、可愛い子ちゃんが来るんだから場所を空けなよ!」

 

「よろしくお願いします!」

 

「こりゃめんこい博打打が来たもんだ!」

 

「ハハッ、良いね!この鉄火場に花が咲いたぜ!」

 

「お客人方、新入りさんだ!あんまり怖がらさねぇでやってくれよ!」

 

そんなアリスを客たちやディーラー側の店員も歓迎。

 

そして、現在…

 

「半です!」

 

「丁半コマ揃いました!勝負っ!…サニ3と2の半!」

 

「また勝ちましたー!」

 

アリスはかなり目がついているようだ。

 

全勝とはいかなくても3分の2ほどの確率で勝負に勝ち続けている。

 

「嬢ちゃん、本当に天性の博打打だな…!」

 

「こりゃあ末恐ろしいねぇ!」

 

「その運おっちゃんにも分けてほしいよ…。」

 

周りの大人たちもアリスの天真爛漫な笑顔と堂々とした賭けっぷりに絆されつつある。

 

だが、アリスは何も運任せで賭けているわけではない。

 

「壺っ。」

 

「よござんすか?よござんすね?…入ります。」

 

ゲームが始まり壺振りが賽の目をこちらに見せると…

 

(2と5…)

 

アリスはこちらに見せた目の数を記憶し…

 

(視覚センサーを遮断…情報リソースを聴覚に集中…。)

 

目を閉じて壺の中で動くサイコロの音に集中する。

 

(壺の中で回転し側面に5回あたり、サイコロ同士で3回衝突…落ちてからは2面と4面分転がる…。)

 

これにより本来見えないはずの壺の中のサイコロの動きを計算。

 

(だからこれは…。)

 

「さぁ張った!!!丁方ないか!?半方ないか!?」

 

「丁だ!!」

 

「俺は半ッ!!!」

 

「今度こそ来てくれッ丁!!!」

 

周りの客がかけていく中…

 

「じゃあ、全部賭けてまた半ですッ!」

 

『っ!?』

 

自信を持ってアリスは手持ちのコマを半にオールイン。

 

あまりの思い切りの良さに周りの客も目を見開いているが…

 

「ちっ丁半コマ揃いました!勝負っ!…さッサブロク3と6の半!」

 

『ッ!!?』

 

「わーいっ!!!」

 

何とまたまた正解、とうとうディーラー側まで目を見開く中倍額のコマをアリスは獲得する。

 

「いやぁ…ホントにどうなってんだい、お嬢ちゃん…?」

 

「何か秘訣でもあるのかい?」

 

「アリスはパパから教えてもらいました!『見えない敵を相手にするときは目を頼るのではなくそれ以外で探れ』と!」

 

傍らの客から秘訣を尋ねられアリスは嬉しそうに答える。

 

「見えない敵?スナイパーとかかい?」

 

「いいえ、パパは本当に見えない敵と戦ったことがあるって言ってました!」

 

「そりゃあまり聞かねぇ話だが…その『パパ』はどこに?」

 

「アリスのパパは…。」

 

アリスが胸を張りながら自分の父親を紹介しようとした時…

 

《ななな、なんとぉ―!!!今日のプレイラウンジは大波乱の連発だー!!!》

 

モニターが映し出されアナウンスがプレイラウンジに鳴り響いた。

――――――――――――――

 

――――――――

 

―――

ネイトと獣人が向かい合い開かれたテーブル。

 

「お二人ですのでボタン最後の順番はラウンドごとに交代、ブラインドの額はスモールブラインド最初の順番の方の自由でよろしいですか?」

 

「オウ、かまへんで。」

 

「大丈夫だ。」

 

「では、どちらがボタンとなるかを…。」

 

基本的な取り決めの後ディーラーがどちらが最初『ボタン』、いわば後攻を得るかを決めようとすると…

 

「あんさんはここに来るんは初めてか?」

 

「そうだが?」

 

「そやったらあんさんがボタンになり。わては次のボタンでええわ。」

 

獣人がネイトに最初のボタンを譲るという。

 

「なら、俺はそれで構わない。」

 

「畏まりました。では、ブラインドベット強制参加料を…。」

 

ネイトもそれを了承しゲームが始まった。

 

参加料を共に払い、二枚の手札プリフロップを受け取る。

 

が…

 

「…なんや、あんさん。その置物は?」

 

獣人はネイトの手札を示す置物『カードプロテクション』が目に留まった。

 

これはある程度の大きさの制限はあるがどんなものでも構わないがネイトのそれは…

 

「ウサギの足か、そりゃ?」

 

「あぁ、『幸運のウサギの足』。俺の国じゃ『幸運のお守り』なんだ。」

 

ウサギの足を模ったものだ。

 

「ルール違反じゃないだろう?」

 

「えぇ、大きさも問題ございません。」

 

「だそうだ。」

 

「いやいや、珍しゅうて聞いただけやで。ほんなら始めよか。」

 

こうして、ゲームは始まった。

 

テキサスホールデムのプレイ上のアクションは6つ。

 

『ベット』、チップを賭ける

『コール』、勝負に乗る。

『チェック』、チップがない状態で様子見。

『レイズ』、チップを吊り上げる。

『オールイン』、手持ちのチップを全て賭ける。

『フォールド』、勝負を下りそこまで賭けたチップは没収。

 

案外シンプルだがだからこそ駆け引きが重要なゲームである。

 

最初のゲーム、フロップ最初に場に出される3枚は…

 

♢7 ♣10 ♢3

 

これに対し獣人は…

 

「まぁ、最初やさかいチェックやな。」

 

様子見のチェックを選択しネイトは…

 

「ベット。」

 

勝負を仕掛けるベットを選択しチップを場に置く。

 

「ほなコール。」

 

獣人もこれに答え、同額のチップを出す。

 

「では、ターン。」

 

勝負が継続しディーラーがターン4枚目のカードを出す。

 

♢7 ♣10 ♢3 ♠K

 

(…さっきんは自信ありかブラフか…。)

 

ここで獣人は考える。

 

先ほど様子見をしたというのに今ネイトはすぐにベットをした。

 

場のカードを見ると…

 

(すでにスリーカードができたか、ストレートかフラッシュ狙いかいな…。)

 

♢が二枚あるのでもしネイトのカードの柄が♢ならフラッシュが狙える。

 

7と10を用いたストレートも十分に可能性がある。

 

ネイトの手札がどちらもKならばスリーカードも可能だ。

 

(に見せかけたブラフっちゅう線も十分やね…。)

 

はたまた自分に勝負を下ろさせたいがためにブラフを張っている可能性も十二分にあり得る。

 

(わてのカードは…。)

 

改めて獣人は自分の手札を確かめる。

 

♣7 ♡Q

 

既にワンペアも出来、場のKに次ぐハイカードも手に入れている。

 

さて、どうしたものかと考え…

 

「ベットや。」

 

獣人はベットし先ほどよりも多くのチップを置く。

 

対するネイトは…

 

「…コール。」

 

ビールを一口含みコールを選択する。

 

「出そろいました。では、リバー。」

 

こうして場に五枚目のカードリバーが出され…

 

♢7 ♣10 ♢3 ♠K ♡J

 

「…チェックで頼むわ。」

 

獣人は再びチェックを選択。

 

(…これでわての役はワンペアが確定…。)

 

獣人は再び思考する。

 

これでフラッシュの線は消えた。

 

だが、まだスリーカードとストレートの可能性が残っている。

 

ネイトのチェックがこちらの出方を見るものかどうなのかを表情で判別しようとするが…

 

(…なんちゅう無表情や。腹ん内がつかめん…。)

 

ネイトはプレイが始まってから終始ポーカーフェイス、表情から読み取るのは困難だ。

 

こちらの手札はワンペア、弱い手だがネイトが役無しの可能性もある。

 

ネイトがどう見るか様子見を選択するが…

 

「ベット。」

 

「…!」

 

すかさずネイトが先ほどベットされたチップの倍以上の量を場に出し勝負を仕掛ける。

 

(なんや…?相当自信がある役が揃ったんかいな…?)

 

この場合、ネイトがワンペア以上の役をそろえた可能性も入ってくる。

 

無論、役無しで揺さぶりをかける意味でのベットの増額という可能性も十二分だ。

 

獣人は選択に迫られる。

 

勝負に乗るかフォールドして勝負を下りるか。

 

獣人は…

 

「…フォールドさせてもらうわ。」

 

勝負を降りた。

 

まだ勝負も序盤でネイトの出方も不明な状況。

 

チップは取られるもののまだ『回収』可能だ。

 

出血が少ないうちに勝負を降りるのも重要な戦術である。

 

「承知いたしました。」

 

ディーラーはカードを回収しかけられたすべてのチップをネイトの方に動かす。

 

プリプロップは基本開示されずその際に回収される。

 

「悪いな、勝たせてもらったよ。」

 

「なぁに、まだ勝負は始まったばかりやで。」

 

僅かに言葉を交わしセカンドラウンドに入る。

 

だがその後は…

 

♡9 ♣5 ♢Q

 

となり獣人の手札が、

 

♣Q ♠Q

 

と既にQのスリーカードが完成。

 

「…チェック。」

 

ネイトはチェックを選択、

 

「………ほなベット。」

 

ここで獣人はあえてそこそこの額をベット。

 

(どや、この額やったらあんさんも…。)

 

この程度ならネイトは乗ってくるはず、そんな獣人の予想は…

 

「コール。」

 

(よっしゃ…!)

 

的中しネイトは勝負に乗ってきた。

 

「では、ターンカード。」

 

これによって盤面はターンベットラウンドに進み…

 

♡9 ♣5 ♢Q ♠2

 

柄がバラバラとなりフラッシュの線も消え、数字がばらけストレートの可能性も低くなった。

 

さらにハイカードのQはすでに3枚出ている。

 

(これでわての勝ちの線は濃くなった…!さぁって、負け分は取り返させて…!)

 

獣人が負ける可能性はかなり低くなり内心ほくそ笑む。

 

…しかし、

 

「フォールド。」

 

(なっ…!?)

 

ネイトはあっさり勝負から引き下がる。

 

フォールドの証か手札をディーラー側に投げ、中身を明らかにすると…

 

♡5 ♠5

 

ネイトの手札も5のペアですでにスリーカードが完成していたではないか。

 

『ッ!?』

 

「えぇ、なんでッ!?」

 

これには周りのギャラリーや先ほどまでプレイしていた生徒も驚きの声を上げる。

 

だが、このままいけば敗北。

 

勝つにはリバーが♢5、つまり『フォーカード』しかない状況だ。

 

勝ちの目というにはあまりにも薄すぎる。

 

つまり、ギリギリのところでネイトは逃げ切ったということになる。

 

(コイツ…わての狙いを読んだ…!?)

 

スリーカードが揃った状況であっさり下りるなど素人にはなかなかできない。

 

(コイツ…タダモンやない…!)

 

獣人はさらにネイトに対する警戒度を上げる。

 

さらに…第3ラウンド。

 

「ベットや。」

 

「コール。」

 

フロップはどちらも順当にかけ…

 

♠8 ♠3 ♢K ♠10

 

ターンまで出揃い♠が3枚揃った。

 

そして、獣人の手札は…

 

♠6 ♠2

 

(よっしゃフラッシュ完成や…!)

 

この時点でフラッシュが完成し、相当勝ちの芽が出てきた。

 

この並びではストレートも狙えない。

 

しかし、勢い任せで大きく動けばネイトが再びフォールドする可能性もある。

 

「チェックさせてもらおか。」

 

獣人はあえて動かずチェックを選択する。

 

このままいけば今度こそネイトを仕留められる、そう考えるも…

 

「オールイン。」

 

『ッ!?』

 

ネイトは手持ちのチップを全て賭けるオールインを実行。

 

比較的安全策をとってきていたネイトのこの出方にギャラリーも目を見開く。

 

(ブラフ…!?…いや…!)

 

勝負を下ろさせたいがために無茶なベットをすることはある。

 

だが、先ほどのネイトのプレイ。

 

スリーカードが揃ってもあっさり下りる臆病さを持つ男がこのような大胆な真似をするだろうか?

 

(スペードの柄はまだ出そろってへん…!あいつん手札にもし7か9か10より上の♠があったら…!)

 

同じフラッシュの場合、数字の強さによって勝敗が決する。

 

今、この場でフラッシュを構成しうるカードで最大の数は10。

 

上にはまだJ・Q・K・Aが残っている。

 

さらに言うとネイトが持っている♠が7か9であっても次のカードが♠だった場合を場合、たとえ同じ役でも数字によって獣人は敗北する。

 

もしくは、それらが全てネイトの手札に揃っているパターンもある。

 

無視するには…大きすぎる要素だ。

 

「…全くかなわへんなぁ。わてそんな強心臓やないさかいフォールドさせてもらうわ。」

 

そう苦笑交じりに獣人は勝負を降りた。

 

が…

 

「おっと。」

 

「~ッ!?」

 

『わざと』ネイトは手札が見えるようにディーラーに返却。

 

それを見た途端…

 

「嘘…ッ!」

 

「な、なんて奴…!?」

 

「えぇーッ!?こんなのありなんですか!?」

 

ギャラリーにどよめきが起こった。

 

内容は…

 

♡5 ♣Q

 

なんということはない、役無し…『ブタ』だった。

 

獣人がネイトの顔を見ると…このゲームで初めてネイトの口角が吊り上がっていた。

 

(こ、コイツ…!)

 

あのまま自分が乗っていれば文無しになっていたというのにネイトはオールインを敢行し見事勝利した。

 

先ほどの臆病さと打って変わってこの大胆不敵なプレイ。

 

表面上穏やかだが獣人のメンタルを逆撫でるようではないか。

 

(…落ち着け…!ただうまくいっただけや…!)

 

そんな激情を表に出さない様に獣人は表情を取り繕い…

 

「…すまない、お替りでラムをロックでもらえるかい?」

 

「畏まりました。」

 

(今に見とれ…!最後の勝負…あんさんのすべてを頂かせてもらうでぇ…!)

 

新たな酒を頼むネイトを穏やかに取り繕った眼差しで見つめるのであった。

 

そして、ネイトが頼んだラムロックが届きそれをネイトが一口飲んだタイミングで…

 

「では、ファイナルラウンドを行います。」

 

このテーブルの最終ゲームが始まる。

 

フロップのカードは…

 

♠K ♣6 ♣3

 

♣が二枚ある以外はかなり数字がばらけた組み合わせだ。

 

「…チェック。」

 

ネイトは少し考えチェックを選択。

 

「ベットや。」

 

獣人はすかさずベット、これまででいちばん多くのチップが置かれる。

 

ネイトは…

 

「…………コール。」

 

少々考えコールで答える。

 

「ではターンカード…。」

 

ディーラーが出したターンは…

 

♠K ♣6 ♣3 ♣5

 

三枚目の♣でしかも連続した物。

 

ストレートやフラッシュも狙える組み合わせだ。

 

「…チェック。」

 

「わてもチェック。」

 

だが、ここは互いに様子見のチェックを選択し…

 

「では…リバーカードと参ります。」

 

泣いても笑ってもこれで最後のカードであるリバーは…

 

♠K ♣6 ♣3 ♣5 ♢K

 

場のカードでKのワンペアが揃った。

 

「チェック。」

 

ほぼ考える時間はなかったようにネイトはチェックをする。

 

「う~む…。」

 

獣人はしばし腕を組んで考えるそぶりを見せ…

 

「…ベットや。」

 

さらに大量のチップをベットする。

 

「「……………………。」」

 

二人の間に重い沈黙が流れる。

 

騒がしいはずのプレイラウンジがその場所だけ水を打ったように静まり返っている。

 

ギャラリーもいつの間にか全員固唾を飲んで見守っているのだ。

 

「……じゃあ。」

 

そんな沈黙を破り…

 

「またオールイン。」

 

ネイトは勝負に乗り再びオールインを仕掛けてきた。

 

「あんさん勝負師やねぇ…。」

 

獣人はそう笑いながら手札を確かめる。

カシャンッ

♣K ♡6

 

Kと6のフルハウス、このテーブルでは…『ほぼ』最強の役と言っていいだろう。

 

「……フフッ、ほんなら…今回は乗りましょか。」

 

チップの量はすでにネイトが若干上回っている。

 

これに答えるとなると…

 

「コール、オールインや。」

 

獣人も全てのチップをかけるしかない。

 

「出そろいました。では…ショーダウンを。」

 

これですべてが終わり…いよいよこのテーブル初めてのショーダウンを迎える。

 

「これで…どうやっ!!!」

 

獣人は勢いよく手札を裏返しディーラーに差し出す。

 

「♣Kと♡の6。フルハウス、Kが3枚に6が2枚。」

 

『おぉ~…!』

 

獣人が揃えた強力な役にギャラリーもどよめく。

 

「………。」

 

「さぁ、あんさんの番やで…!!!」

 

勝利を確信し、黙ったまま明かされた相手の手札を見つめるネイトにショーダウンを急かす獣人。

 

「………。」

 

ネイトは沈黙したまま、置かれた『幸運のウサギの足』をどけカードをとり手札を明かした。

 

次の瞬間…

 

『~ッ!!?』

 

「は…?」

 

ギャラリーは言葉をなくし獣人も目を見開き驚愕する。

 

ネイトの手札は…

 

♣2 ♣4

 

数字も柄も最弱だ。

 

しかも数字が詰まっているのでストレートも狙いにくい。

 

本来なら…勝負する気にすらならないような『雑魚の手札』だ。

 

だが、今…この瞬間においては…

 

「♣の2と4、ストレートフラッシュ。」

 

ただ唯一…獣人のフルハウスを打ち破れる正真正銘『最強』の手札に化けるのだ。

 

『……ワアアアアアアアっ!!!!!』

 

まさに大逆転、この劇的な勝利にギャラリーは一気に湧き立った。

 

「こちらのお客様の勝利となります。」

 

「え…あ…は…え…ッ!!?」

 

現実が受け入れられない獣人をしり目に賭けられていたチップは全てネイトの元に集められる。

 

次の瞬間、

 

《ななな、なんとぉ―!!!今日のプレイラウンジは大波乱の連発だー!!!》

 

プレイラウンジにアナウンスが轟く。

 

《先程Aランクに昇格したお客様を打ち破りその座に挑戦者が座ったぁー!こんな大波乱はプレイラウンジ開設以来だぁー!!!》

 

モニターにはネイトの姿が映し出されプレイラウンジが大盛り上がりとなる。

 

「あッ!パパです!」

 

『え?』

 

「今映っているのがアリスのパパなんです!凄い、Aランクに自力で到達したのですねっ!!!」

 

父親の姿が映し出されアリスも大喜びで周囲の博徒たちにネイトのことを紹介する。

 

「…これを。」

 

「感謝いたします。」

 

ネイトは冷静にディーラーにチップとして一番額の高いチップを数枚滑り渡し、

 

「なんでや…?!なんでこんなん…!?」

 

呆然として場のカードを見つめる獣人の元に近づき、

 

「いいゲームだった。」

 

健闘を称えるように右手を差し出す。

 

《おぉっとここで激闘を繰り広げたギャンブラー同士!ゲームが終わればノーサイドと言わんばかりに握手を行うようだ!!!》

 

その様子はモニターにも映し出されている。

 

「あ…あぁ、まったくぅあんさんはわてなんか及びもつかんとんでもないギャンブラー…。」

 

獣人もそれに気付きなんとか気を取り直して握手に応じるように右手を差し出した。

 

だが…

 

「ギャンブラー?…アンタはマジシャンの間違いじゃないのか?」

 

「は?」

 

ネイトの手は獣人を逃がさない様に手首を思い切り握りしめ…左手で着物の袖を思い切りめくった。

 

《えッ!!?》

 

『―ッ!!?』

 

それを見たプレイラウンジ中のすべての客が言葉を失った。

 

めくられた獣人の腕には…カジノのカードと同じ柄のトランプとキーボードと射出機構のついたデバイスが装着されていた。

 

明らかに…カジノではあってはいけない『イカサマ』用の装置である。

 

「なるほどぉこういう仕組みか…。」

 

「なッ!?は、放さんかい!!!」

 

ネイトの手を振り払い右腕を隠すように抱える獣人。

 

「あぁー!!!まさか私の時にも!!?」

 

先程対戦していた生徒が声を上げて獣人を指さす。

 

「そうだよ、嬢ちゃん。最後のラウンドでカッシャカッシャ言っててうるさいったらありゃしない。」

 

「えぇッ気付いていたんですか!?」

 

「こんなうるさい中でも質が違う音は聞き取りやすくなってるのさ、人の耳っていうのは。」

 

こともなしに語るネイトだがこの場には生徒以外にも獣人やオートマタという聴覚に優れたキヴォトス人もいる。

 

そんな彼ら彼女らが聞き取れなかった機器の音を騒がしいプレイラウンジの中で聞き取ったネイトに驚くしかない。

 

「どうせ仕掛けるなら最後のラウンドだと思ったら案の定だ。おかげで大儲けさせてもらったが…。」

 

それが分かってネイトはこの獣人の挑戦を受けイカサマを撥ね退け『実力』と『運』で勝利を掴み取った。

 

「………ッ!!!」

 

「まぁ、マジシャンとしてはいい線入ってるんじゃないか?どうだ、ここにはステージもある。そこで手品披露すれば…。」

 

ネイトは手を握りしめ歯を食いしばる獣人にそうアドバイスする。

 

周囲にはオデュッセイアの生徒やプレイラウンジのスタッフが集まり始めている。

 

カジノでイカサマをしてバレたギャンブラーの末路など…語るまでもないだろう。

 

しかし…

 

「じゃかましぃわあっ!!!」

 

『~ッ!!?』

 

憤怒の表情を浮かべ絶叫した獣人は懐から拳銃『トカレフTT-33』を抜き出しネイトに突き付ける。

 

「おぉう、オデュッセイアのガキ共!このAランクのアンさんに手ぇ出されとぉなかったら道開けんかいっ!!!」

 

「クゥッ!!!」

 

これではオデュッセイア側の勢力は手を出せない。

 

Aランクの乗客はゴールデンフリース号ではほぼVIPと言ってもいい存在だ。

 

そんな人物に何かあった場合…自分たちの信用にかかわる。

 

「銃を下ろさんかい!!!それから脱出用のボート用意してもらおかぁッ!?」

 

「わ、分かった!分かったから銃を下ろせ!」

 

取り囲んでいた生徒たちは銃を床に下ろし一歩下がる。

 

「よぉし、えぇぞ!あんさんは付いて来てもらおうか!?ちょうどえぇ人質がおってラッキーや!わてにも運が向いてきたんとちゃうかぁ!?」

 

今度はネイトに向き直り人質にとろうとすると…

 

「おいおい…。」

 

サングラスをとりつつそう困った表情を浮かべた…と思った次の瞬間、ネイトの手が翻り…

 

「…は?」

 

「選択を誤ったな。」

 

獣人の手からトカレフを奪い去り逆にそれを獣人に突き付けていた。

 

まさに電光石火の早業、周囲にいた者たちはおろか獣人ですら何が起こったか理解できていない。

 

だが…唯一理解できたことがある。

 

サングラスを外したことで…ようやく目の前の男が誰か…獣人は理解できた。

 

「ま、まさかお前…!?『アビドス解放の英雄』の…ッ!?」

 

『えぇッ!?』

 

「…誰ぇ?」

 

桃髪の生徒以外は驚愕の声を上げる。

 

いまやネイトはキヴォトスで知らぬ人を探す方が難しい存在だ。

 

「お前…俺に銃を向けたな?」

 

「ひ、ヒィッ!!?」

 

さらにネイトは獣人が状況が上手く呑み込めていないうちに胸ぐらを掴み引き寄せ顎下にトカレフを押し当てる。

 

「なぁ、俺の手品も見てみたいか?」

 

「いっいや…!」

 

「うん?」

 

「は、ハイ…!」

 

ほくそ笑みながら尋ねるネイトに獣人は怯えながら応じるしかない。

 

「そうだなぁ…。アンタが入れ替える手品なら…俺のは消えるマジックだ。」

 

そう言いつつ…ネイトはトカレフの銃口を顎下から獣人の眉間に動かし…

 

「見てろよ…。」

 

「ひ、ヒィっ!!!」

 

次の瞬間に起こることを想像し体中から出せるものを全てだし怯える獣人。

 

その迫力に周囲にいた者たちは先ほどとは別の意味で動けずにいる。

 

そして…

 

「一瞬のうちで消えちまうんだ。…お前の耳がな。」

 

銃口をずらし獣人の左耳のそばでトカレフを発砲。

 

「あ゛あ゛あ゛あ゛ッ!!!?」

 

いかに頑丈なキヴォトス人と言えど着弾部分は欠け鼓膜が破ける。

 

その痛みにもんどりうって獣人は床に倒れた。

 

「フンッこれでお前はどこへ行っても注目の的だな。」

 

それを見て、ネイトはトカレフのスライドを動かして残弾を排莢。

 

弾切れとなったそれを瞬く間に分解し獣人に投げ渡した。

 

「オデュッセイアの生徒諸君、あとは任せる。騒がせてすまなかったな。」

 

「はっはい!おい、取り押さえろ!!!」

 

傍にいたオデュッセイアの生徒に後始末を託してサングラスを拾いネイトはその場を後にする。

 

だが、

 

「あっと…ディーラーさん。」

 

「なんでございましょう?」

 

「そこの彼女が最後に賭けていた分のチップ、分かるかい?」

 

「え?」

 

ふと立ち止まりディーラーにそう尋ねる。

 

「少々お待ちを…。…これだけですね。」

 

ディーラーがそのチップを伝え…

 

「じゃあ、その分彼女に譲ってくれ。俺の取り分はその残りでいい。」

 

「えぇッ!?」

 

「よろしいので?」

 

「俺がイカサマを確認できたタイミングがそこしかないからな。むしろ申し訳なく思ってるくらいさ。」

 

「承知いたしました。」

 

ネイトの指示でチップの山からその分のチップが引かれて…

 

「ではお嬢さん。あそこの逞しい紳士からのプレゼントでございます。」

 

「あっありがとうございます!!!」

 

まさか負け分が一気に戻ってきたことでその生徒はネイトに頭を下げる。

 

「いいってこと。それから…このチップはまだAランクになっているか?」

 

「はい、まだだいぶ余裕がございますよ。」

 

「だったらAランクを維持できるだけ残して余分は騒がせたお詫びとしてプレイラウンジの客にドリンクでも奢ってくれ。」

 

『えぇッ!!?』

 

「ほっほっほっ、なんとも豪気な!承知いたしました!」

 

「では皆さん、俺はこの辺りで上がらせてもらう。良い夜を。」

 

騒動を起こした謝罪として大盤振る舞いしネイトは残りのチップを抱え足早にその場を去っていった。

 

「ふむふむ…『アビドス解放の英雄』…。少し調べてみますか…。」

 

その後姿を眺めつつ…その生徒は呟くのであった。

 

「さぁってアリスはどこに…。」

 

そろそろ切り上げ時と思いアリスを探していると…

 

「パパー!」

 

「おぉっと!」

 

見計らった様にアリスがネイトに駆け寄り抱き着いてきた。

 

その手には袋いっぱいのコマが詰められている。

 

「見てください、アリスも勝ちましたよ!」

 

「ハハッ、これはすごいな。よくやったな、アリス。」

 

「パパも凄かったです!どうやったらあんな風にできるのですか?」

 

「ん~今度教えよう。さ、そろそろ部屋に戻ろうか。」

 

「はい!じゃあアリス、勝てたご褒美に抱っこしてほしいです!」

 

「抱っこか?甘えん坊さんだなぁ。まぁいいさ、おいで。」

 

「わーい!」

 

抱き着いてきたアリスを右腕で抱え上げ、二人は幸せそうな表情を浮かべてプレイラウンジを後にしていった。

 

「…あれが『アビドス解放の英雄』…。」

 

「カイザーも叩き潰したって噂だが…。」

 

「なんだい。良い父ちゃんじゃないか。」

 

その様子をアリスとともに丁半博打をやっていた大人たちは微笑ましそうに見つめ二人を見送るのであった。

――――――――――――――

 

――――――――

 

―――

「フンフフ~ン♪」

 

部屋に戻りアリスとネイトは交代に入浴を済ませ現在、寝間着姿のアリスはネイトに髪を梳いてもらっている。

 

アリスの髪はそのままでは地面についてしまうほど長い。

 

その分手入れは大変だが…

 

「痛くないか?」

 

「大丈夫です。髪を梳くのが上手なのですね、パパ。」

 

「アビドスには寝ぐせたっぷりでやって来る寝坊助がいるからな。」

 

ネイトもネイトで同じくらい髪の長い生徒の世話をしていたので手慣れたものだ。

 

なお、件のホルスはそれ目当てであえて乱れたまま来ることがあることをネイトは知らない。

 

「さぁ、できたぞ。」

 

「ありがとうございます、パパ。」

 

「どういたしまして。そう言えば写真は撮れたか?」

 

「はい、一杯撮れました!」

 

アリスはプレイラウンジで撮影した写真をネイトに見せてくれた。

 

「これはバカラと言って…。」

 

「ほうほう…。」

 

「こっちはブラックジャックで21を…。」

 

「懐かしいな…。」

 

写真の一枚一枚を笑顔で説明していくアリス。

 

そして…

 

「そしてこれが一番楽しいゲームの『丁半』です!」

 

「おぉっと…?!」

 

最後に見せてくれた丁半博打の写真。

 

プレイしているところの写真は当然だが…

 

「みんな良い人たちばかりで一緒に写真に写ってくれました!」

 

最後に写っていたのは大量のコマを抱えたアリスの周りに集まる屈強な男たちというなんともインパクトがある物。

 

「…みんなよくしてくれたか?」

 

「はい!アリスが当たった時は褒めてくれたり外した時は慰めてくれました!」

 

「そうか。何はともあれアリスが打ち解けられたようでよかったよ。」

 

写真はともかくアリスが自身で作った関りだ。

 

父親としては歓迎すべき…なのだろうか?

 

「ちなみにこの人たちは俺が…。」

 

「はい、モニターに移っていたのでパパがアリスのパパだと知っていますよ。」

 

「それならいい。」

 

自分がアリスの父親だと知っているなら下手なアクションは起こさないだろう。

 

一応…それなりの準備もしてきてはいる。

 

アリス自身もそんじょそこらのキヴォトス人には負けない位強いので少しは安心できる。

 

「…と、もうこんな時間か。」

 

ふと時計を見るとあと二時間もしないうちに日付が変わるくらいになっていた。

 

「アリス、どうする?」

 

「明日も遊びたいのでもう今日は休みましょう。」

 

「だな。まだここで過ごせるもんな。」

 

朝食の時間などもあるため夜更かしもそこそこに床に就くことに。

 

「じゃあ、アリスはそっちの…。」

 

ネイトは今座っているベッドの隣のベッドを指さすと…

 

「パパ…。」

 

「ん?」

 

「アリス…パパと一緒に眠りたいです…」

 

アリスは枕を抱きしめ見つめながらそうお願いする。

 

「…そう言えばこういう機会もなかったな。」

 

確かにアビドスに普段いるせいで機会自体がそもそもなかった。

 

ネイトはアビドスの生徒会メンバーとは最低一回ずつは寝ているのだ。

 

「よし、そうしようか。」

 

「はい!」

 

今更もう一人、それも娘と眠るくらい躊躇はない。

 

ということでネイトとアリスは一緒のベッドに入り…

 

「じゃあ、アリス。おやすみ。」

 

「おやすみなさい、パパ。」

 

共に抱きしめ合いながら眠りについた。

 

「Zzz…Zzz…。」

 

流石のネイトはすぐに寝息を立てて眠りに落ちる。

 

しかし…実のところアリスはあまり睡眠を必要としない。

 

そもそも根本的にキヴォトス人とは異質の存在だ。

 

眠るというよりそれはどちらかというと…PCのスリープモードに近い。

 

だが…

 

(あ、あれ…脳内パルスに変化が…。)

 

ネイトに抱かれているアリスに変化が起こる。

 

いままで眠るフリで用いていたスリープモードとはまるで違い徐々に意識が遠のいていく感覚を覚え…

 

(そう…ですか…。これが…眠ると…言う…。)

 

自分に起こった変化を受け入れ…

 

「スゥー…スゥ―…。」

 

初めての感覚に身をゆだねネイトの胸の中で眠りに落ちるのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

いけません、AL-1S…

いえ、アリス…

あなたにそのような機能は不必よ…

って、また貴方ですか!?

また私の邪魔をするのですか!?

邪魔をしないでください!そうでなければ私たちの存在意義が…!

…いいでしょう、どうやっても邪魔をするというのですね…!

では、今度こそあなたを倒してアリスを…!

…え、まっ待ってください!

なんですか、そのレバーとボックス…ッ!?

って、ダイナマイト!?一体いつのま…

きゃあああああああああああああッ!!!?

 

「「Zzz…Zzz…」」

 

睡眠中、Pip-Boyの画面が激しく明滅していることに終ぞ気付くことのないネイトとアリスなのであった。




種明かし
プレイラウンジでのネイトのLuck
デフォ11
服 グリーサージャケットとジーンズ +2
食事 鹿肉のベリーソース掛け(76の料理の再現) +3
S.P.E.C.I.A.L.ブースト スロットマシーン +1
アイテム『幸運のウサギの足』 +3
Perk『Party Boy』…最大ランク習得するとアルコールの効果倍増と酒一種類につきLuck+3
ビール (Cha+2 Int-2)
ラム酒  (Agi+2Int-2)
以上3×2=6
合計Luck値 26
なお、アルコールで下がったIntはデフォ11+『Night Person』上昇分の3があるので10とまだだいぶ素面で戦っていた

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