Fallout archive   作:Rockjaw

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死中に活を得るは突撃あるのみ
―――戦国武将『柴田勝家』


Life and Threats Sprout in the Desert

ある日…ミレニアム学区廃墟区画。

 

カイザーとの契約によりネイトが日々廃墟を解体している場所なのだが…

 

《右前方、ロボット兵一個小隊接近中!》

 

《任せろッ!!!》

 

《クソッ撃っても撃っても出てきやがるっ!!!》

 

地面を揺るがしながら襲い掛かるロボット兵を蹴散らし廃墟市街を爆走するコンボイとその護衛車両たち。

 

数十台の大型タンクローリーを護るように周囲をテクニカルや武装トレーラーが囲い…

 

「踏ん張れ、皆っ!!!外郭部まであと10分だっ!!!」

 

《アニキ、マジでこれ一人で突破したのかよッ!?》

 

《何度目だ、それ!?ぼやいても仕方ねぇ、親分なんだからなっ!!!》

 

《それで納得しちまうのがなんか嫌だぜ!!!》

 

その先頭をネイトが駆る新造『アイアン・グリズリーMk2』が先導する。

 

《こちらペリカン1、全機『Mk82E』もカンバンだ!》

 

《だが、武装はまだまだあるぜ!雑魚どもはアタシらに任せなっ!》

 

上空にはアビドス航空機兵隊一個小隊も飛行しコンボイを援護。

 

この日のためにネイトは日々の解体作業の合間にルートの舗装と整備を行ってきた。

 

以前のように途中で横転することもなく一台たりとも欠けることなくここまでやってくることができた。

 

ここまで厳重に弾薬も兵器も大盤振る舞いで何を運搬しているのか?

 

そして、

 

「見えたぞ、廃墟区画の出口だっ!!!」

 

廃墟区画が途切れた場所まで到達するとアイアン・グリズリーMk2をドリフトさせ反転、

 

「そのまま行けっ!!!殿は任せろッ!!!」

 

運転席から飛び降りガトリングレーザーを構え次々と通り過ぎていくコンボイの車列を見送る。

 

《この車が最後だぜ、アニキっ!!!》

 

「全車両、そのまま駅まで向え!!!追手は俺が片付ける!!!」

 

数分後、最後のトレーラーが通過。

 

その背後から大量のロボット兵が迫ってきている。

 

「補填用の資材が向こうから来てくれて嬉しいな!」

 

ネイトは起爆装置を持ち軍勢がある間合いまで迫るのを待ち…作動。

 

周囲に隠匿されていた『広域パルス爆弾』が起爆し、EMPがロボット兵の軍勢を飲み込み力なく大地に崩れた。

 

「またな、junk's!今度来た時にバラしてやる!」

 

結末を見届けたネイトはアイアン・グリズリーMk2に乗り込み走り去っていったコンボイを追いかける。

 

「やぁーやぁー、ネイト社長!また会ったね!」

 

「よぉ、ヒカリにノゾミ。また頼まれてくれ。」

 

「料金はばっちりもらってるから任して~。」

 

その後、貨物駅にてハイランダーのヒカリとノゾミと合流しタンクローリーの中身を列車のタンクに移し替えアビドスへ大暴れして手に入れたものを送るのであった。

 

廃墟区画での作戦から数日後、

 

「…で、これがあの大動員で持ち帰ってきたもの…なのね…。」

 

「うへぇ~ネイトさんがこれ持っててよかったぁ…。」

 

「いつまでもそうしてるとずっと慣れないぞ。」

 

アビドスに帰還したネイトはガスマスクを付けたホシノとセリカと共に先日の作戦で入手した物を加工する作業についていた。

 

と言っても…アビドス砂漠の一角に浅く作った『貯水槽』のような場所にタンクの中身を注ぎアビドスの日光で水分で飛ばすといった単純なもの。

 

それはどす黒くドロドロとし鼻が曲がるほどの悪臭を放つもの…

 

「でもまさか水没地帯の底に積もった『ヘドロ』を使うなんて思わなかったよぉ。」

 

「そのために吸い上げ用の水上プラットホームまで作るなんて…。」

 

そう、あの大都市を飲み込んだ水没地帯の水底に長年積もり続けた『ヘドロ』だ。

 

普通なら水質汚染の原因となる厄介者だが…ネイトの計画には欠かせないものだ。

 

「ヘドロってのはな、要は『太りすぎて動けなくなった家畜』のようなものだ。」

 

「つまり?」

 

「普通の土では考えられないほどの栄養素が含まれてるってこと。きちんと処理して使えば立派な肥料になる。」

 

ヘドロが生まれる過程は省くが要は分解されるはずの栄養素や微生物の死骸がたまり続けリンや窒素を多く含んだ物質だ。

 

天日干しし水分を飛ばして浚いにかけ土に混ぜれば優秀な肥料になる。

 

それも時間を空ければ分解が進みさらに栄養価が高まる。

 

「ミレニアムの成分分析で有害物質は確認できなかった。そんな優秀な肥しがとんでもない量があの場所に眠っている。使わない手はないだろ?」

 

あの連邦を復興させたネイトがこれを使わない方がおかしい。

 

これの採取のためにオデュッセイアに水上プラットホーム設計図まで発注したのだ。

 

今現在、水没地帯の何か所も水上プラットホームが浮き水中作業用プロテクトロンによって日々汲み取りが行われている。

 

すると…

 

「というか、ネイトさんは臭くないの?」

 

そんな疑問をネイトに投げかけるセリカ。

 

自分たちが平然としているのはガスマスクをしているからだ。

 

実を言うと来た瞬間…この二人はあまりの悪臭に悶絶していた。

 

それを何の防護策もなしのネイトが平然としているのが信じられないでいるのだ。

 

というのも…

 

「連邦じゃもっととんでもない臭いの場所とかあったからな。このくらいなんともない。」

 

「うへぇ~これより酷いって想像したくないんだけどぉ…。」

 

「聞かない方がいいぞ。しばらく肉を食えなくなるのが嫌ならな。」

 

こんな臭い、レイダーやスーパーミュータントの棲み処と比べたらまだまだマシなのだ。

 

「ま、作業員にはロボットと割増の給料で生徒を当てる。業務自体は楽だから短期のバイトでも十分だ。」

 

「そういえば、あの作戦も相当お給料弾んだんでしょ?」

 

そして、この大量のヘドロを運び出すために行ったのがあの大コンボイによる廃墟区画突破作戦である。

 

車両はどう入手したかというと…

 

「いやぁ、廃墟区画を回ってみたら連邦生徒会が破棄していった車両が何台もあって助かった。」

 

以前、初代アイアン・グリズリーを建造したとき同様に連邦生徒会の忘れ物だ。

 

あれからネイトは廃墟区画をぐるっと回ってかつての連邦生徒会防衛室の施設を探索し使えるものは全て搔っ攫った。

 

そこで入手した重火器や弾薬、多数の大型運搬車両を今作戦のコンボイに投入したのだ。

 

結果、ベルチバードの武装以外はほぼロハで完遂したのであった。

 

「でも、これはそのまま使えないんでしょ?」

 

「『アンチョビ』…こっちだと『塩辛』とかでもいいがそれを単品でバクバク行けるか?」

 

「単品はきついわね…。」

 

「だから『パスタ』や『白飯』がいるのさ。そこで役に立つのが…アレだ。」

 

そう言い、ネイトが指さした先にあるのは…土の山だ。

 

「セイント・ネフティス社から手に入れた『残土』、アレと混ぜ込むのさ。」

 

「まるで言い方が『混ぜご飯』とかみたいだねぇ。」

 

「言い得て妙だな。」

 

そう、これがW.G.T.C.とアビドスがセイント・ネフティス社と契約して入手した代物である。

 

セイント・ネフティス社もキヴォトス有数のグループ企業。

 

その中には当然土木作業を行うグループ会社もあり土木作業では残土、つまり不要な土が出る。

 

処分するにも費用が掛かりかといってすぐに使い道が見つかるわけではない。

 

そこでそのような残土、主に山地などの工事の際に出るようなものや成分分析で有害物質の無いものをW.G.T.C.が引き取り、アビドスが土地を提供し集積所を設けることで入手しているのだ。

 

「さて、前もって俺が持ってきて天日干しが済んだヘドロと残土を混ぜたやつが出来上がってるから次の作業に移るとするか。」

 

「よぉし、一丁やってやりますかぁ!」

 

「その前に着替えないとね。」

 

下準備は整った。

 

三人はその場を後にし、乾燥ヘドロと残土のミックスが山と積まれたダンプカーに乗って本日の作業場所へと向かっていった。

 

しばし砂漠に沈みかけたアスファルトの道を進んで行き…

 

「遅ぇっすよ、親分!そろそろ土が無くなりかけてたぜ!」

 

「すまんな、番長。山盛り持ってきたからこれで勘弁な。」

 

その場で作業していた生徒たちがネイトたちを迎えてくれた。

 

普段なら廃屋の解体作業をしているのだが今日はそうではない。

 

その場にいる生徒たちはスコップを持ち砂を掘り件の土を入れて何かの苗木を植えている。

 

一定間隔で植えられている列が三本、それがかれこれ数百mは続いている。

 

「よし、俺達もやるか。」

 

「うへぇ~久々の砂堀だぁ~!気張ってこー!」

 

「アビドス高校が綺麗になってからやるのは久々ね。」

 

ダンプの荷台から土を下ろしネイト達もスコップをもって作業に入った。

 

砂をある程度の深さまで掘りその穴に土を入れて苗を植える。

 

普段やっている解体作業に比べたら静かで単純な作業だがドンドンと苗を植えていき…

 

「アニキ、苗はこれで終わりっすね。」

 

「分かった。」

 

今日用意していた分の苗木を全て植え終えた。

 

「あぁ~オジサンったら腰が痛くなっちゃったよ…。」

 

「何言ってるのよ、ホシノ先輩。先輩がそれならネイトさんは…。」

 

「セリカ、遠回しに年寄り呼ばわりは止めてほしいんだが?」

 

腰を叩きながら立つホシノとそんな軽口をたたき合っていると…

 

「でも、この木は何のために植えたんすか?」

 

生徒の一人がそう尋ねてきた。

 

確かにネイトがアビドスを再生する計画を進めているのはこの学校の誰しもが知っている。

 

ネイトのことだからもっとド派手なことをやろうとしているかと思ったが…

 

すると、

 

「実はこれってかなり大切なことなんだよぉ~。」

 

ネイトの代わりに腰を伸ばしながらホシノが答える。

 

「砂漠って砂が細かいからすぐ飛んじゃうの。それが砂漠が広がる原因なんだけどね。」

 

「砂嵐とかまさにそれっすよね。」

 

「で、砂を流入を防ぐのにちょうどいいのが…この苗木ってわけ。」

 

「…今更っすけど姉御、これ何の木なんですか?」

 

「これは『ポプラ』の木っていって乾燥にとっても強い木なんだよ。」

 

「つまりその木が成長したら…!」

 

「砂漠の砂の流入を防ぐ『防砂林』になってくれるってわけだねぇ。」

 

「…随分詳しいな、ホシノ。」

 

ネイトがすらすらと生徒の質問に答えるホシノを目を丸くして見ていると…

 

「うん、ユメ先輩がまだいた頃に一緒に勉強したんだぁ。」

 

「…そっか。」

 

「あの頃はお金も何にもなくてこんな大規模なことできることなんて想像もできなかったけどねぇ。」

 

懐かしむような目つきで答えてくれた。

 

そうだ。

 

ホシノはここにいる誰よりも長くこのアビドス砂漠と戦ってきたのだ。

 

当然、対策のために用いる植物の知識を持っていても不思議はない。

 

だが…

 

「でも、ホシノ先輩。木って育つのに相当時間がかかるんじゃない?」

 

「ポプラは成長が早いことも特徴だけど確かに…まぁ1~2年はかかるねぇ。」

 

セリカの言うように防砂林はすぐにはできない。

 

根気よく世話をしなければこの砂漠ならすぐに枯れてしまうだろう。

 

…が、

 

「1~2年も待ってられるか。」

 

『え?』

 

「今日中にここを一級品の防砂林にしてやる。」

 

明らかに無茶苦茶なことを言い放つネイト。

 

今しがた植えたばかりのポプラの苗木を防砂林にするなど荒唐無稽もいいところだ。

 

「ちょ、ちょっとネイトさん…?」

 

流石のホシノも唖然とした表情で声をかける。

 

「まぁ見てろって。オ~イ、そこちょっとどいてくれ。」

 

そう言い、生徒たちを苗木のそばから退避させ…ネイトはあるものを取り出した。

 

それは一見すると金属製の球体で、

 

「行くぞぉ!それっ!!!」

 

ちょうどポプラの苗木の中心付近に投げ込んだ。

 

地面に落ちた球体は少々間を置き…モスグリーン色の靄を撒き散らす。

 

スモークグレネードにしては靄が薄い。

 

だが…次の瞬間には信じられない光景がそこで繰り広げられる。

 

「…え?!」

 

「な、苗木が…!?」

 

ミシミシという音共に…ポプラの苗木が幹も枝も太く伸び葉を茂らせていくではないか。

 

まるで理科の授業などで見る早回しの植物の成長を見ているようだ。

 

「お、オイ…俺ぁ夢でも見てんのか…!?」

 

「だったらアタシも同じ夢見てることになるよ…!?」

 

その光景が信じられず周りの生徒たちはしきりに目を擦ったり頬をつねったりしている。

 

そして靄が晴れるころには…ポプラの苗木は高さが10mを優に超える巨木となった。

 

「よし、上手くいったな。」

 

驚く生徒たちをしり目にネイトはその光景に納得するようにうんうんと頷く。

 

「ネ、ネイトさん…あれなんなの…!?」

 

ようやくセリカが再起動しネイトが投げたものの正体を尋ねる。

 

「アレは『ターボファート肥料』、俺の世界にあった植物の成長促進剤だ。」

 

「成長促進剤ったって…促進させ過ぎじゃないっすか…!?」

 

「アパラチア遠征で設計図とレシピを教えてもらってな。連邦復興でもとても世話になった。」

 

『ターボファート肥料』、アパラチアの『ファウンデーション』に伝わっていた常識外れの肥料だ。

 

作物に使えば一瞬のうちに作物が実りまた収穫できるという破格の性能。

 

ネイトはこれを用いて連邦の食糧問題を改善していた。

 

問題としては『人為的』に植えた植物でないと効果がないという点だが…

 

「以前実験として鉢植えに植えた小さな木に使ったら巨木に化けたからいけると思ったが他人が植えてでも効果があるんだな。」

 

そう、ここに植えてあるポプラの苗木は全て人の手によって植えられたもの。

 

ターボファート肥料も当然効果があったようだ。

 

「こ、これがネイトさんの世界の技術…!」

 

「うへぇ~これはおじさんたまげちゃうよ…。」

 

今までさんざん驚くような技術を見てきたがまだこんな隠し玉があったとは…

 

「さぁ、驚くのはあとだ。」

 

そんなあんぐりしているホシノやアヤネたちをしり目にネイトはPipーBoyを操作し…

 

「全員、これをとれ。ここの防砂林を完成させるぞ。」

 

「って、何これッ!?」

 

「今日のためにずっと準備してきていたのさ」

 

地面に山のようにターボファート肥料を出現させた。

 

これその物はクラフトでも製造できるが…ネイトは電力を供給すれば自動で製造できる『ターボファート肥料コレクター』を使った。

 

本来のワークショップがある居住地では結構な容量を食う設置物だが…今のネイトに居住地の容量など存在しない。

 

有り余る電力を用いて大量稼働させ無駄使いしても有り余るほどの量を作り続けているのだ。

 

「それじゃあ…記念すべきアビドス生徒第一号はホシノにやってもらうか。」

 

その山と積まれたターボファート肥料を一つ手に取りホシノに投げ渡すネイト。

 

「…うへ~…やっぱりネイトさん…。貴方は最高です。」

 

ホシノもそう言いつつターボファート肥料を受け取り…

 

(これが第一歩ですよ、ユメ先輩…!)

 

ポプラの苗木の中に投げ込むのであった。

―――――――――――――――――

 

―――――――――

 

―――

こうして、防砂林の植樹というアビドス復興の第一歩の事業を踏み出して少し経ったころ。

 

《キキキッ、なるほど。それで我が万魔殿に声をかけたわけだな。》

 

「近くでそれができるのが現状ゲヘナしかないからな。」

 

ネイトはこの日、解体作業の休憩時間の合間を縫いゲヘナの万魔殿議長のマコトにコンタクトをとっていた。

 

「なんだったらそっちに事業所を設置してゲヘナの雇用創出にも貢献できるが?」

 

《フム、それはゲヘナとしても旨味があるな。そうすればW.G.T.C.から利益の分け前を得ることもできる。》

 

「で、回答は?今すぐに出なくても…。」

 

《いいや、今この場で答えを出させてもらう。…良かろう、ネイト社長。》

 

随分あっさりネイトの提案を受け入れたマコト。

 

「いいのか?」

 

《元よりあの場所は我々も扱いに困っていた。それに価値を見出し活用し分け前も齎すというのであれば止める理由はあるまい。》

 

「そうか。じゃあ、今度細かい所を詰めたいんだがアポイントはいつ取れる?」

 

《あぁ~…今はエデン条約の色々があるからなぁ。時間ができたら連絡させてもらおう。》

 

「そうか。じゃあ待ってるさ。」

 

互いに油断ならず常に腹の内は探っているがそこそこ知れた仲だ。

 

特にこれといった衝突もなく交渉までの入り口が出来上がる。

 

すると…

 

《しかし、ネイト社長。…『硫黄』など何に使うのだ?》

 

今更ながらマコトがネイトがゲヘナから得ようとしている物質『硫黄』の利用法について尋ねる。

 

《確かにゲヘナにある『ヒノム火山』には硫黄の鉱床も存在するがほぼ使われておらんぞ?》

 

『硫黄』、古来より様々な用途で用いられてきた重要な物質だ。

 

日本でも地面に露頭した硫黄鉱脈からの採掘などで得られていたが現在はほぼ閉山している。

 

なぜかというと科学技術の発展で製油所などで安価に硫黄、もとい硫化物質を得られるからだ。

 

《我々も製油所や精錬所で『硫酸』などで手に入れているがお仲間のセイント・ネフティスやらで入手するのが楽ではないか?》

 

ならばネイトもそれで手に入れれば…とマコトも考えたのだろうが、

 

「そりゃカイザーやセイント・ネフティスとかなら大規模な精錬所はあるだろうが自前で入手先を確保していた方が手っ取り早いだろ?」

 

ネイトとしては他に頼らず自組織で手に入れられるようにしておきたいと考える。

 

その方が融通は効くうえ有事の際に資源を脅迫材料にはされにくい。

 

「それに俺が欲しいのは硫化化合物じゃなくて『硫黄』そのものだからな。だったらゲヘナの火山で採掘したほうがいいのさ。」

 

《ふん、相変わらず変わった奴だ。まぁ、我々の利益になるのならば何でもいい。近々連絡を入れる。色よい提案を期待しているぞ、ネイト社長。》

 

「あぁ、双方Win-Winと行こう。」

 

終始なんとも軽い調子で話がまとまり通話は終了。

 

「さて…これで土壌改良材の大量入手が…。」

 

話もまとまり作業に戻ろうとした…その時だ。

 

《しっ至急至急!アニキ、応答願うッ!!!》

 

「ッ!こちらネイト、何があった!?」

 

ネイトの持つ無線機から血相を欠いた生徒の声が響く。

 

ネイトも急いで応答すると…

 

《こっこちら観測班!!!アニキ大変だッ、砂嵐がっ!!!》

 

「なんだとッ!?」

 

《近くに高い建物はあるか!?》

 

「分かった、少し待て!」

 

その報告を聞き急いで近場にあった廃ビルを上ると…

 

「オイオイオイ…!?冗談だろ…!?」

 

そこで広がる光景に絶句していた。

 

まだはるか彼方だが…砂色の壁がこちらに迫ってきているではないか。

 

ネイトがアビドスに来て初めての…砂嵐の来襲であった。




試練や苦難に直面したら第一に考えるのは自分は何者なのかということなのです。
―――フランス国王妃『マリー・アントワネット』
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