Fallout archive   作:Rockjaw

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人はどのようにして熱望し始めるのだ。 人は、毎日見ているものを熱望することから始める。
―――『羊たちの沈黙』よりハンニバル・レクター


Contracts in the Devil's Garden Part1

「『非対称戦力兵器』計画?」

 

「はい、それがあの列車砲の正体だと…。」

 

あの合同調査より数日後、アビドス復興施策委員会の一室でノノミが深刻な表情をして報告していた。

 

あれから再びネフティスの過去の資料や記録を探り…ノノミはソレを探し当てた。

 

「かつてのアビドス砂漠横断鉄道計画、その裏で…当時のアビドス生徒会とネフティスの間で秘密裏に進められていた計画…。」

 

「それが…『非対称戦力兵器』計画…ですね?」

 

「ひ、非対称戦力…ってどういうこと?」

 

「要は兵力や戦術に戦略が互角じゃない、広い意味だと対テロ戦闘やゲリラ戦とかと同じ意味かなぁ?」

 

「ん…ゲヘナ風紀委員会と美食研究会、みたいな感じ?」

 

「そういう認識でいいだろう。で、その過程で生み出されたのが…あの化け物か。」

 

「はい、その名は…。」

 

ノノミは一瞬、覚悟を決めるように間を置き…

 

列車砲『シェマタ』、それがあの兵器の名前です。」

 

あの列車砲の真の名前が明かされた。

 

「『シェマタ』?…マスターの喫茶店を先々代が開店したときの生徒会長の異名が確か…。」

 

その名前にネイトは聞き覚えがあった。

 

『Cafe Franklin』、アビドスでも相当長い歴史を持つこの喫茶店。

 

マスターで3代目らしいが初代が店をオープンした時代が…

 

「…思い出した、『鉄拳政治のシェマタ』。マスターはその時代にカフェができたと言っていた。」

 

「その『しぇまた』って…どんな奴なのよ?」

 

「え…知らないの、セリカちゃん?」

 

外から来たネイトはともかくセリカがその名前を知らないことにアヤネはぎょっとした表情を浮かべる。

 

「わっ悪かったわね、アヤネちゃん!自分の学区の歴史も知らなくて!」

 

「まぁまぁ。アヤネ、俺も知ってるのは名前だけだ。説明をしてもらえるか?」

 

「分かりました。」

 

セリカを宥めつつネイトが尋ねるとアヤネは説明を始めてくれた。

 

ある時代、アビドス高校の学区には様々な派閥が誕生。

 

それらの派閥が独自に生徒会長を擁立し…一時期はなんと70人にも上る生徒会長が存在した。

 

当然、学区は混乱期を迎える。

 

「な、70人って意味が分からないんだけど…?!」

 

「そんな混乱期にあって他の生徒会長を『叩き伏せて』アビドスを統一、アビドスの最盛期を作り出したのが…。」

 

「『鉄拳政治のシェマタ』、ということか。」

 

まさに『剛腕』、それほど昔であるとするなら…おそらく本当に『鉄拳』を用いていた可能性が高い。

 

「ん…そんな凄い生徒会長の名前が付けられた列車砲…。」

 

「まさか…最初っからあれ使うこと前提で砂漠横断鉄道が始まった…わけじゃないよね?」

 

ホシノが鋭い雰囲気を纏いつつノノミに尋ねると、

 

「いえ、ホシノ先輩。それはないかと思います。」

 

ノノミはすぐにそれを否定。

 

「砂漠横断鉄道の工事が始まった時期と非対称戦術兵器計画が提唱された時期とでは明確なズレがあります。」

 

「つまり…アビドスがいきなりこの計画を始めようって言い始めたってこと…?」

 

「その頃にはだいぶ砂漠化が進んでたのにわざわざそんなことを?」

 

シロコの言うように砂漠横断鉄道はネフティスとアビドス復活のための起死回生ともいえる一大事業だった。

 

そんな大事なタイミングで全くベクトルの違う兵器開発を行うという提案がされるとは考えにくいが…

 

「…もしくは誰かに入れ知恵された、かだ。」

 

「入れ知恵…ですか?」

 

「見てみろ、砂漠横断鉄道の路線図を。」

 

ネイトはそう言い、ハイランダーから提供された砂漠横断鉄道の完成後の路線図を指し示す。

 

「見ての通り、砂漠横断鉄道はアビドス各地を結ぶ一大路線網だ。これをあんな巨大な列車砲が走り回れるとすると…。」

 

「…ッ!どこからでもあの大砲を好きな場所に撃ち込める…ってこと…!?」

 

「ノノミ、アレのスペックは分かったか?」

 

「はい。ネイトさんとヒカリちゃんの推測通り、1tを超える砲弾を射程は最大で500㎞先まで飛ばせる…と記載されていました。」

 

「500㎞…!」

 

「俺が知ってる奴の優に10倍以上の射程…。」

 

「そんなのを線路上ならどこからでも撃てるなんて…!?」

 

実現すればまさに脅威としか言えないスペックだが…

 

「…あぁ、思い出した。似たようなのが軍の上層部が頭を悩ませていたっけか…。」

 

「ネ、ネイトさんの世界にもこんなのがあったんですね…!?」

 

「撃つのは『大陸間弾道ミサイル』で射程は『二桁』ほど違うがな。」

 

似た兵器の存在がネイトには心当たりがあった。

 

『RT-23』、旧ソ連が開発・配備していた『列車搭載型』のICBMだ。

 

広大な国土をシベリア鉄道で駆け回るこれを搭載した列車の発射位置の探知が非常に困難。

 

当時のアメリカはこの列車の『移動』を確認しただけでNORADが即応体制を敷いたほどだ。

 

…なお、ネイトの世界では『モスクワ条約』*1など存在しないため2000年代に入っても改良されてバリバリの現役であった。

 

さらに余談だが…現在、某将軍様はこれと同じコンセプトの列車発射型弾道ミサイルユニットを配備しようとしている。

 

「…相変わらず修羅の世界過ぎない、ネイトさんの世界?」

 

「キヴォトスと比べられてもな。」

 

「…でも、なんでこんな化け物を作ろうなんて思ったのかしら?」

 

セリカが疑問に思うのも当然だ。

 

いかに衰退期のアビドスとはいえ…シェマタは過ぎたる力だ。

 

兵器というものは作っておしまいではなく、『使い道』があって初めて兵器たりうるのだ。

 

が、

 

「ふん、食い詰めた国家体制が最後の最後で何をやるか…どこの世界でも変わらないものさ…。」

 

どこか虚し気に…ネイトは呟く。

 

「ん…それってどういう意味、ネイトさん?」

 

「学区は砂漠に飲まれ、借金も雪だるま式で膨らみ、学校の運営は自転車操業…力尽きる前に乾坤一擲の『大勝負』に打って出たくもなるさ。」

 

「ちょ、ちょっとぉ…!まさかネイトさんは…!?」

 

「し、借金返済のためにこれが作られたって言いたいんですか…!?」

 

あり得ない、そんなことあってたまるはずがない。

 

信じられないといった様子でネイトを見つめる一同だが…

 

「俺の世界の戦争は…結構そうやって始まった物ばかりだぞ?」

 

それは…欧州全土を火の海にした『あの戦争』もそうだ。

 

それは…大洋が血で染まった『あの戦争』もそうだ。

 

それは…『国家の血液』を求め大陸の二つの地域が共倒れになった『あの戦争』もそうだ。

 

それは…自身も戦った白銀の大地が真紅に塗りつぶされた『あの戦争』もそうだ。

 

そして…

 

「俺達が戦った『アビドス独立戦争』も…似たような物だろ?」

 

『…ッ!』

 

それはこのキヴォトスの地でも起こった。

 

アビドスは土地、カイザーは金という違う物ではあるが双方追い込まれて始まった戦争だった。

 

「それほどの力があるなら他学区へ睨みを効かせることも…強請ることもできるだろう。」

 

「…なるほど、確かに『シェマタ』って名付けられるのに納得な理由だねぇ…。」

 

「ん…他学区を叩きのめしてアビドスを蘇らせる、とんでもなく最悪な方法だけど…まさに『鉄拳政治のシェマタ』そのものだね…。」

 

と、しんみりするホシノ達だが…

 

「…で、はっきり聞きたいんだが…アレっている?」

 

急に軽いトーンでネイトがこんな質問をするのであった。

 

しばらくし、

 

「…というのが、ビナー戦で俺が『切り札』として考案した代物なんだが…。」

 

「…ねぇ、なんかもっととんでもないの生まれてない?こんなの作って大丈夫なの?」

 

「うへ~…まぁ、今回は『防衛用』ってことで…。おじさんは十分アリじゃないと思うなぁ。」

 

「スペック的には…あれなんかより十分運用可能な範疇ですからね。」

 

「ん…これならビナーの装甲も確実に貫ける。奴を確実に仕留めるなら使わない手はない。」

 

「他の設備もこの条件なら十分に搭載できて命中精度もばっちりですねぇ♠」

 

議題も変わり来る『ビナー討伐』に向けての作戦会議中のこと。

 

「失礼します。皆様、便利屋68の方々がいらっしゃったのですが…。」

 

「アル達が?」

 

事務員のMs,ナニーがアル達の来訪を伝えに委員会室にやってきた。

 

「いいよ、通しちゃってぇ~。」

 

アポがない事は気になるが勝手知ったる仲だ。

 

あっさりホシノは通すことに。

 

「かしこまりました、ホシノ委員長。」

 

「ノノミちゃ~ん、お茶とお菓子用意してあげてぇ。アヤネちゃんは椅子をお願い~。」

 

そんなこんなで一応出迎えの準備をしながら待っていると…

 

「お邪魔するわよ、皆。」

 

「ヤッホー、みんな元気~♪」

 

「こ、こんにちは!」

 

アル・ムツキ・ハルカは普段通りの様子だが…

 

「………。」

 

カヨコだけは普段よりも言葉少なだった。

 

「調査の件に関してか?」

 

アル達の訪問理由を尋ねてみると…

 

「その件なんだけど…。」

 

アルも少々困った表情を浮かべ…

 

「…ネイト兄、お願い…というか言伝を与ってきたよ。」

 

「言伝?」

 

「『明日、ゲヘナの万魔殿で会談を開きたい』、マコトから直々の要請だよ。」

 

『なっ…!?』

 

カヨコが明かした内容にネイトたちは目を見開き驚愕するのであった。

―――――――――――――――――

 

――――――――――

 

―――

翌日、

 

「いやはや…最近出張が続くな…。」

 

「私も来たのは初めてですねぇ…。」

 

ネイト、そして付き添いとして選出されたノノミ、

 

「帰ってくるのは久々ね…。」

 

「だ、大丈夫なんでしょうか…!?」

 

「へーきへーきぃ。そうなんでしょ、カヨコっち?」

 

「うん、『護衛』としての活動なら免除するって取り付けてるから。」

 

案内役兼ネイトたちの護衛として便利屋68が…

 

「ここが…ゲヘナ自治区か…。」

 

キヴォトス最悪の治安を誇る不良たちの巣窟『ゲヘナ』を訪れていた。

 

…という触れ込みだったが…

 

「なんというか…想像よりは発展してるんだな。」

 

「やっぱり三大校、街並みはすごいですね…。」

 

街自体の発展っぷりはさすがの物がある。

 

「ふふ~ん、そうでしょう?」

 

離れているとはいえやはり自分の学区が褒められて嬉しそうに鼻を鳴らすアル。

 

…だが、

 

「…発展はしているが荒んだ雰囲気がプンプンするな。」

 

ネイトの嗅覚は敏感に感じ取っていた。

 

見かけこそ大都会だが…街全体から『暴』の気配が立ち上っていることを。

 

「へぇ~そういうの分かっちゃうんだ、ネイトお兄ちゃんって。」

 

「俺の国に似たような場所があってそこも有数の治安の悪さだった。」

 

ネイトは少し前に訪れた『トリニティ』ではボストンを思い出していた。

 

一方、『ゲヘナ』に足を踏み入れて想起されたのは…『デトロイト』だ。

 

かつてはアメリカにおける重工業・自動車産業の中心地として発展を遂げた土地だが、時代が進むにつれ治安は悪化し暴動などが発生し全米で最も危険な街と名指しされたこともある。

 

それはネイトが生きていた時代も変わらず、貧富の差の拡大は止まらず治安の悪化に歯止めがかかっていなかった。

 

「それで、カヨコ。会談の時間まであとどれくらいだ?」

 

ともあれ、今日ゲヘナに来た目的はここの主である羽沼マコトとの会談だ。

 

どうもあちらも公にはしたくないらしく*2時間も厳密に指定されているが…

 

「えぇっと…万魔殿に向かうにはまだ早いね。」

 

トラブルを想定し早めに出発していたがいまのところ平穏に進んでいるので約束の時間までかなりある。

 

すると…

 

「じゃあ、兄さんとノノミにゲヘナを案内してあげるわ!」

 

アルが胸を張ってそんな提案をしてきた。

 

「良いね良いね♪せっかく帰ってきたんだし見て回っちゃおー♪」

 

「ふ、風紀委員会を気にせずで歩けるなんて久しぶりですし…!」

 

ムツキとハルカもこの案に同調。

 

過ごしやすいアビドスで暮らしているとはいえやはり故郷というものは一味違う。

 

さらに普段は追われる風紀委員会からもお目こぼしを貰えるのであればテンションも上がるだろう。

 

「いいですねぇ♪私もゲヘナを見て回ってみたいです♣」

 

ノノミも乗り気のようだ。

 

「はぁ~…ネイト兄はどうする?」

 

「まぁいいんじゃないか?間に合えばあっちも文句はないだろう?」

 

「…分かったよ。但し、はしゃぎ過ぎるのはなしだからね。」

 

多数決では負けてるのでカヨコも渋々釘を刺してゲヘナ観光を行うことに決定した。

 

ということでひとまず町中に繰り出すことに。

 

「へぇ、不良の巣窟と聞いていたが…そんなに殺伐とはしてないんだな。」

 

「活気がすごいですねぇ。お店も賑わってますし。」

 

確かにトリニティに比べるとゴミなどが落ちて些か景観は悪いが賑わいという面では負けてないだろう。

 

「中心街はね。でも、一歩街の外に出ると廃墟だらけのスラムだよ。」

 

「それに…あそこ見て、兄さん。」

 

そう言いつつ、若干げんなりした表情でアルが指さした先には…

 

「…空き地ですけど火事でもあったんですかぁ…?」

 

隣家の壁が煤け空き地がポカンと空いていた。

 

ノノミの言うように火事でもあったかと思うが…

 

「いや…ひょっとしてあそこ…爆破でもされたか?」

 

「え?爆破ですか?」

 

「見てみろ、隣家の壁が煤けてもいるが…ネジやガラスが突き刺さってる。」

 

「あッ本当です…!」

 

痕跡を見るとどうやらただ事ではないことが伝わってくる。

 

「正解よ、兄さん。あそこの土地ってよく食べ物屋さんが建つんだけど…。」

 

「『何故か』オープンして一週間以内には『爆発』しちゃうんだよねぇ。」

 

「わ、私も10日以上お店が残ってるのは見たことありません…。」

 

アル達は一部ぼかしながら答えるも…

 

「…おい、それってもしかしなくても…。」

 

「あの人たちの仕業ですかぁ…?!」

 

殆ど答えを言ってるも同然だった。

 

そこへ…

 

「あら、これはこれは奇遇ですわね。」

 

「フフッごきげんよう、皆さん♡」

 

「あぁー!なにしてるの、こんなとこで?!」

 

「ゲヘナだと久々ね、便利屋68?」

 

車のエンジン音と共になんとも聞きなれた四人の声が聞こえてきた。

 

「げっアンタ達…!?」

 

「そんなつれないことを仰らないでください、アルさん。あら、今日は見慣れない方もご一緒で?」

 

いやそうな表情と声を上げるアルだがそんなこと気にも留めず同行者であるこちらに興味を示すその声の主。

 

ネイトが振り向くとそこには

 

「…しばらくだな、『美食研究会』。」

 

「あらッ!…うふふっヘイローがあるから一目では分かりませんでしたが貴方もいらっしゃってたんですね。」

 

ボンネットにでかでかと『給食』と書かれたオープントップのトラック『ホルヒ108』*3に乗ったテロリス…お食事同好会『美食研究会』のメンバーが勢ぞろいしていた。

 

なんやかんや便利屋68の次にアビドスとかかわりを持つゲヘナの生徒たちだ。

 

「こんにちはぁ、皆さん♪」

 

「あら、ノノミさんもいらっしゃってたんですね。」

 

「この前は大変すばらしいお店をお教えいただきありがとうございましたぁ♪」

 

「うん、すっごくおいしかったよ!お店の雰囲気も良かったし!」

 

「お、お値段もすっごいハイクオリティだったけど…。」

 

ノノミも彼女たちと美味しいお店の情報交換などで交流を重ねている。

 

幸い、ご令嬢であるノノミ故か紹介したお店は美食研のお眼鏡にかなう物ばかりで今のところ爆破された店舗はない。

 

ある程度知った仲なので別に正体を露見しても気にしないが…

 

「それで…その後ろの子は…新入りなのか?」

 

ネイトの視線はハルナたちが乗る車の後ろに釘付けになっていた。

 

「はい、我が美食研究会の名誉会員ですわ。」

 

とハルナは自慢げに紹介するが…

 

「んーッ!!!んんーッ!!!」

 

当の本人、簀巻きにされ猿轡までされた少女は藻掻きながら必死に首を横に振るう。

 

その頭には三角巾と一対の角、制服の上にはエプロンを付けている。

 

「…どう見ても違うと言ってるようだが?」

 

「全くぅ『フウカ』さんはシャイなんですからぁ♡」

 

「これは彼女なりの愛情表現ですのでお気になさらず。」

 

ひはふはよー違うわよッ!!!」

 

「今日は美味しいご飯作ってもらうんだー!」

 

「食材も沢山準備してるの!」

 

はッははふふうひひははひほだったら普通に来なさいよーっ!!!」

 

ハルナたちは非常に親しげだが縛られてる彼女は必死に首を横に振ったりおそらく否定を訴えている。

 

「…なぁ、活動方針をいまさら俺が矯正できるとも思ってないが…さすがに人攫いは…。」

 

流石にネイトもツッコまざるを得ずそのことを指摘すると…

 

「あら、もうこんな時間ですわ。お借りしてるキッチンの受付に遅刻してしまいますわ。」

 

「それではお二人とも♪ゲヘナでの時間を楽しんでくださいね♡」

 

「バイバ~イ、また美味しいお店教えてねー。」

 

「私は美味しいスイーツが食べれるところがいいわ!」

 

そんなネイトの気配を察知したか、些か強引に話を切ってアクセルを吹かし走り去っていってしまった。

 

「…なんというか相変わらずだな、あいつ等。」

 

「むしろネイト兄さんが手懐けすぎてるのよ。」

 

「でも誘拐なんてやっぱりゲヘナは怖い所ですねぇ…。」

 

「あの子、いっつも攫われちゃってるねぇ。」

 

どうやら美食研究会があの生徒をあぁするのは初めてではないどころかゲヘナの日常の一部なのだろう。

 

「まぁ、そんなわけでゲヘナの食べ物屋さんはあいつらがいるから一定のレベルは保証できるよ。」

 

「逆になんで毎回吹っ飛ばされるのにあそこに店だすんだ…。」

 

「がっ学生相手だから甘く見た料理人が安さにつられて店を出すらしいです…。」

 

「ある意味…『事故物件』の一種なんですかねぇ…。」

 

そして、美食研究会の爆破もゲヘナには一定のメリットをもたらしているようだ。*4

 

すると、

 

「…で、君は美食研究会についてどう思う?」

 

『え?』

 

いきなりネイトがそんな声を上げたかと思うと…

 

「んへっ?!」

 

いつの間にか小脇に先ほど美食研究会に攫われていた生徒が担がれていた。

 

「えぇッ!?いつの間に!?」

 

「あいつらが走り去っていくときにV.A.T.S.でシュバッとな。」

 

「あれ?じゃあ今あの車に乗ってるのは…。」

 

「それから爆弾一個借りたぞ、ムツキ。」

 

「へ?私の爆弾?」

 

その頃…

 

「なっなんですの、これー!?」

 

「と、鳥もち!?なぜこんなものが!?」

 

「あぁ!?フウカいなくなっちゃってるよ!?」

 

「動けないいいい!!!ネイトさんの仕業ねぇー!!!」

 

美食研究会は車が動けなくなるほどの粘着性を持つ鳥もちに絡めとられていたのであった。

 

「…ってわけだ。」

 

「び、美食研究会に爆弾仕掛けたのはネイト兄様が初かもです…」

 

ほひほひ鳥もち!?ふふはばへひはっひゃふ車駄目になっちゃう!!!」

 

「あぁ、安心してぇ、アレしばらくしたら乾いて勝手にはがれる仕組みだからぁ。」

 

「今縄切るからな。」

 

ともあれ被害者の確保には成功したのでディサイプルズナイフで縄を切ることに。

 

「プハッ!た、助けてくれてありがとうございます。」

 

「いいってこと。誘拐された人助けるのは別に初めてじゃないしな。」

 

「それであなたは?」

 

「初めまして、私はゲヘナ学園の二年生で『給食部』の部長をやっています『愛清フウカ』と言います。」

 

ようやく自由になった彼女、フウカはネイトたちに深々と頭を下げるが…

 

「…ん?給食部?」

 

ネイトは彼女の口にした部活に心当たりがあった。

 

「ひょっとして…しょっちゅう業務用冷蔵庫の発注かけている…あの?」

 

「そっそうですけどなんで知ってるんですか…?」

 

「あぁ、申し遅れたな。俺はこういうものだ。」

 

首を傾げるフウカにネイトは名刺を差し出す。

 

「だ、W.G.T.C.ってあの…!?」

 

「君がよく業務用冷蔵庫を買っている『アビドス・ルインズ・ガレリア』はうちの系列だ。今後ともご贔屓に。」

 

まさかの縁で繋がっていたネイトとフウカ。

 

「それでどうしてフウカさんは美食研究会の方々に?」

 

「それは…ハルナが私に料理させようとしていつもいつも私を縛って連れ去るんです…。」

 

自身を『美食の探求者』と豪語するハルナ。

 

それゆえに自身のポリシーに反する料理店は高級店であろうが問答無用で爆破する。

 

価値観は少々ずれているとはいえ『食』に関する造形は文句なしの彼女がここまで執着するフウカの料理の腕。

 

「それは俺も少し興味があるな。」

 

キヴォトスに来て『食』に目覚めたネイトも興味を持った。

 

「あ、でしたら時間があったら是非給食室にいらしてください。お礼に腕によりをかけてご馳走しますよ。」

 

そんなネイトを見て部外者なのに料理を作ってくれるというフウカ。

 

「まぁそれは楽しみですねぇ♪」

 

「それはありがたいが…少し今日は用事が立て込んでるんだ。来れるとしても昼より遅くなるが…。」

 

ネイトもご相伴与りたいがおそらくランチタイムには間に合わない旨を伝えると…

 

「大丈夫です!むしろお昼過ぎで生徒たちがいないときに来てもらった方が助かります!」

 

「…そうか。じゃあ、用事が済んだらお邪魔させてもらおうかな。」

 

フウカの熱量もありあとで訪ねてみる運びになった。

 

その後、フウカは給食の準備のため学校へと戻っていった。

 

「いやぁ…ゲヘナにもあんな子がいるんだな…。」

 

「とっても頑張り屋さんで素直な生徒さんでしたねぇ♪」

 

「給食部ねぇ…。思えば行ったことなかったかも。」

 

「じゃあ、私達も一緒にご馳走になっちゃう~?」

 

「あ、あんな部活があったんですね…。」

 

「会談が長引かなきゃいいね、ネイト兄。」

 

「だな。さて…もう少し観光を続けようか。」

 

幸い、まだ時間にはかなり余裕がある。

 

ネイトたちはゲヘナの散策を再開することに。

 

『………。』

 

その背後を…幾人もの生徒が追跡していた。

 

「「「「「「………。」」」」」」

―――――――――――――――――

しばらくの間、ネイトたちはゲヘナの町中を観光し…

 

「いやぁ、話の通りでゲヘナの料理屋のレベル高いな。」

 

「この『ドネルケバブ』、とっても美味しいですねぇ♪」

 

『ある場所』を訪れ道中買った軽食に舌鼓を打っていた。

 

話の通り、その味はかなりクオリティが高い。

 

「久々に食べたけど…やっぱり懐かしいものがあるね。」

 

「ネイトお兄ちゃんが奢ってくれてよかったね、アルちゃん♪」

 

カヨコとムツキもネイトにご馳走になり美味しそうに頬張っているが…

 

「それは本当に…ほんっとうにありがたいのだけど…!」

 

アルは何やら複雑な表情を浮かべている。

 

「あっアル様、お口に会いませんでしたか!?で、でしたら私の『カリーブルスト』を…!」

 

「違うのよ、ハルカ…。」

 

自分の料理を差し出すハルカを宥めつつ…

 

「じゃあ何が不満なんだよ?」

 

「…なんでわざわざここに来たのよ、ネイト兄さん!?」

 

無頓着に尋ねるネイトにとうとう声を荒げた。

 

そう、この場所は…

 

「なんでわざわざ『ゲヘナ区第一公園』に!?もっと景色のいい場所とか私知ってるわよ!?」

 

「いやぁ、せっかくだから便利屋68創立の地を見ておこうと思ってな。」

 

「そんな聖地巡礼する場所じゃないわよぉ!?」

 

ゲヘナの中心街からかなり外れた廃墟街の中にある小さな公園『ゲヘナ区第一公園』である。

 

そして、この場所こそ『便利屋68』が結成された場所なのだ。

 

「懐かしいねぇ♪あの頃は一つのテントに身を寄せて寝てたねぇ♪」

 

「か、カップ麺一つを四人で分けてたこともありましたね。」

 

「それが今はアビドスで事務所を構えてちゃんと軌道に乗せれてるなんて…分かんないものだね。」

 

「あんまり言わないでよッ、貴方たち!?恥ずかしいんだからぁー!」

 

…が、それはアルにとってはあまりネイト達には聞かれたくない過去でもある。

 

当時はかなり苦労していた時期でムツキ達に食べさせることも難儀していた。

 

「恥ずかしがることじゃないさ、アル。そういう過去があってこその今の便利屋68だろ?」

 

「うんうん、私達もとても苦労して今がありますから大切な思い出ですよぉ♪」

 

「そ、それはそうだろうけど…やっぱり兄さんに言われたことを『守れてなかった』のは申し訳ないのよ…。」

 

「なぁに、そうやって反省して次につなげられるだけアルはよくやってるさ。」

 

「ほらほらそんなにへこんでないで食べてよ、アルちゃん。冷めたら美食研がきちゃうかもよ?」

 

「…分かったわよ。」

 

そんな過去を諭されたり慰められようやくアルも買ってきた食事に手を付けることに。

 

こうして全員が料理を口にし…

 

「ご馳走さま。ご馳走してくれてありがとう、兄さん。」

 

「久々にゲヘナの味を楽しめて満足だよ♪」

 

「お粗末さまでした。いやぁこうやって出先で穏やかに食べられたのはいいものだな。」

 

しばらくして腹ごしらえが終わった。

 

思えば、ミレニアム以外の外出先で現地の食べ物をこうしてのんびり食べられるのはネイトにとっては稀なことだ。

 

「ホシノ先輩たちとも食べ歩きしてみたいですね♪」

 

「それは少し騒ぎになるから止めといたほうがいいよ、ノノミ…。」

 

と、ノノミの提案をカヨコが窘めていると…

 

「構うもんか。何せこれから…。」

 

ネイトは口の周りを拭きつつそう言葉を発し…

 

「大騒動が起こるんだからな。」

 

拭い終えると同時にその表情は…戦場にいるときのそれに変わる。

 

「…そうですねぇ♠」

 

「全くこんな時に…。」

 

「迷惑なものね、こいつらも。」

 

「追っかけだなんてモテモテだね、私達♪」

 

「ず、ずっとつけられるのは嫌です。」

 

ノノミ達もそれに続く様に表情が鋭くなり各々の得物を持ち立ち上がる。

 

その時、

 

「ハーッハッハッハッ!」

 

周囲に高らかな笑い声が響き、

 

「流石は便利屋68の諸君!我々の追跡をすでに見抜いていたとは!」

 

周囲の廃墟から…その者は現れた。

 

赤いシャツに黒い短パン、その上に明らかにオーバーサイズの白衣を纏った小柄な生徒。

 

「おお~凄いね!結構上手に隠れてたのに!」

 

その背後に火炎放射器を持ちゲヘナの制服のコートを腰に巻いた白いチューブトップにミニスカートの生徒も続く。

 

「それで?俺達を追いかけて何の用だ?」

 

「おっと、これは失敬!私としたことが自己紹介が遅れてしまったね!」

 

ネイトの問いかけに小柄な生徒は居住まいを正し、

 

「お初にお目にかかる!私は『温泉開発部』部長を務めている『鬼怒川カスミ』というものだ!」

 

「私は『温泉開発部』現場班長の『下倉メグ』!よろしくね!」

 

そう高らかに自己紹介するカスミとメグだが…

 

「『温泉開発部』か、聞いたことはあるぞ。」

 

「温泉発掘と称して邪魔な建造物は爆破し破壊するあのテロリストの…!」

 

ネイトとノノミはその名前を聞き警戒度を上げる。

 

『温泉開発部』、名前の通り『温泉』を求めて各地で開拓作業を行うゲヘナの部活である。

 

これだけ聞くとアウトドア系の真っ当な部活かと思われるだろうが…問題なのはその強引さだ。

 

温泉があるとにらむとそこが市街地だろうが他校の自治区だろうが…物理的にあり得ないであろう高速道路のど真ん中であろうとお構いなしに『温泉開発』と称した大規模な破壊活動を行う。

 

それも重機はもちろん爆薬まで用いるという最早『テロ』と言っても過言ではないだろう。

 

今まで破壊してきた建築物は数知れず、質が悪いことに温泉が出なかろうがむしろその破壊活動を楽しんでいる異常な熱意だ。

 

そんなわけで美食研究会同様、各学区で指名手配されている。

 

「テロリストとは失敬だな、アビドスのお嬢ちゃん!我々は温泉と爆破を愛する『芸術家』集団だよ!」

 

「うん!カスミ部長が壊して温泉を見つけて私が瓦礫を撤去する!完璧な部活なのに!」

 

テロリストと呼ばれようとこの開き直りよう。

 

『温泉開発部』がキヴォトス切っての危険な集団かいやでも伝わってくる。

 

「…で?いったい何の用なのよ、アンタたち。」

 

「ここで温泉掘りたいの?だったらすぐに退くからちょっと待ってて。」

 

そんな連中と関わり合いにはなりたくない。

 

アルとカヨコがその場を去ろうと公園の出口の方に向かうと…

 

「おぉっと、それはできない相談だな!」

 

カスミが手を鳴らしつつ声を上げると…

 

「うわぁ…めちゃくちゃいるじゃん…。」

 

「お、温泉開発部がこんなに…!?」

 

ゲヘナ区第一公園を取り囲む廃墟からぞろぞろとメグに似た格好でヘルメットをかぶった生徒たちが現れる。

 

手には『G3』や『パンツァーファウストⅢ』と言った銃火器やダイナマイト、果てにはスレッジハンマーなどの工具を持っている。

 

「おいおい、随分と物騒な作業員だな。何が目的なんだ?」

 

それでも一切動じないネイトはカスミに目的を問うと…

 

「ハーッハッハッハッ!惚けるのは止めたまえ!アビドスからやってきたそこの御仁が『ある情報』を持っているかは知っている!」

 

「…なんだって?」

 

意味深なカスミの返答にカヨコは目線を鋭くすると…

 

「おぉっと!君がそんな反応を見せるということはどうやら図星のようだね、鬼方カヨコ君!」

 

「ッ!…全く、アコよりやりにくい…!」

 

カスミはその反応を見逃さず、より一層自分の持つ情報の確度を高めた。

 

「私たちが何を持っているか…どうしてご存じなんですかぁ?」

 

「いーや!はっきり言って『何』を持っているかまでは我々もはっきり知らない!」

 

「知らないのにこんな大勢で取り囲むわけないでしょ…!」

 

「話は最後まで聞き給え、アル君!『何か』は知らないがそれがどれほどの『価値』があるかは知っているのだよ!」

 

「部長が言うにはソレがあれば風紀委員会も万魔殿も私達に手出しができなくなるんだって!」

 

「…どうやらここから逃がしてはもらえないみたいだねぇ。」

 

温泉開発部は何の目的で便利屋68とネイトとノノミがこの場にいるかはおぼろげながら把握済みのようだ。

 

これでは誤魔化しても無駄だろう。

 

「ねぇねぇ一体どんな情報なの!?」

 

「いっ言えません…!」

 

「まぁその通りだろうね!そう簡単に漏らしたのでは情報の価値がない!」

 

そして…

 

「どうだ、取引をしないか!?素直にその情報をこちらに引き渡せば君達を安全にこの場から逃がしてあげよう!」

 

「もし断ればどうなるんだ?」

 

「誠に残念ながら君達には我が『温泉開発部』発展の文字通り『礎』となってもらってから情報を頂くとしよう!」

 

取引と言いつつもはや『脅迫』の段階に踏み込んだ『要求』を言い放つカスミだが…

 

「さぁ返答は…!」

 

「断る。こっちも信用第一だ。」

 

言い切る前にネイトは即決で拒否。

 

それを聞くや否や…

 

「そうか、それは実に残念だ!メグッ!」

 

カスミはメグに命じ、

 

「あははははははっ!いーっぱいあげちゃうよー!!!」

 

メグは愛用の火炎放射器『メグマパワー!』から豪火をネイトたちに向け放つ。

 

携行型の火炎放射器とは思えないその勢いの炎は瞬く間にネイトたちを飲み込んだ。

 

「ハーッハッハッハッ!勇気は認めるがそれは蛮勇というものだよ!!!」

 

「ねぇ部長、情報は大丈夫かな?」

 

「気にするな、メグ!『情報を持っている』という可能性だけでも十分な威力を発揮できるのさ!」

 

「そっか!さっすが部長!」

 

「ハーッハッハッハッ!これで我々の活動を風紀員会はおろか万魔殿ですら止めることはできまい!さぁ、死んではいないだろうが気絶はしただろう!そろそろ…!」

 

手っ取り早く目的を果たせそうなので上機嫌なカスミとメグだが…

 

「ぶ、部長!何かおかしいです!」

 

周囲に展開している温泉開発部の部員がそう声を上げた。

 

「ムッおかしいとは何事…え?」

 

カスミもつられて今しがた燃やし尽くされたであろう場所を見ると…

 

「な…なんだ、あれは…!?」

 

今まで終始上機嫌だった彼女が言葉を失った。

 

確かにメグの火炎放射器によって便利屋68たちは焼き払われたはずだ。

 

しかし、そこにあったのは…

 

「コンクリートの…壁…!?」

 

一瞬前まで存在しなかったであろうコンクリート製の立方体があった。

 

その物体がメグの火炎を完全に防いでいた。

 

「あれっ!?あんなの無かったよね、部長!?」

 

「ど、どういう…!?」

 

困惑するカスミだが…

 

バゴォンッ!!!

 

『『『『『~ッ!!?』』』』』

 

次の瞬間、コンクリートの物体が内側から吹き飛ばされた。

 

そして、一撃で作られた大穴から…

 

「全く、フォージよりも躊躇がないな。」

 

「いきなり燃やそうとするなんてひどいですよぉ♠」

 

「ふぅ、さっすが兄さんね。」

 

「相変わらず無茶苦茶な能力~♪」

 

「おかげで助かったよ。」

 

「あ、熱いのは嫌ですもんね。」

 

パワーアーマーを纏ったネイトと完全武装のノノミと便利屋68が現れた。

 

ノノミとムツキはあの防弾装束を身にまとっている。

 

「なっななななぁ!!?」

 

ようやく…カスミは気が付いた。

 

ヘイローがある男性は珍しいがいないわけではない。

 

おそらくアビドスの住人であるとは想定していたが…

 

「ね、熱砂の猛将ウウウウウッ!!?」

 

それがネイトであるなど今の今まで気が付かなかった。

 

「さぁて…おい、フィクサー気取り。」

 

「ひえっ!?」

 

そんなことお構いなしにヘルメット越しにカスミを睨みつけるネイト。

 

「第三の選択肢だ。…俺らにその情報を『どこの誰』から聞いたか…洗いざらいはいてもらおうか。」

 

「い、言えるわけが…!」

 

ネイトの要求にへっぴり腰になりながらも拒否するカスミだが…

 

「拒否権なんかあると思ってるの…!」

 

「ひええええ!?」

 

「アンタには素直に話すか…叩きのめされて話すかのどっちかしかないんだよ…!」

 

いつになく目線を鋭くしカスミを睨みつけるカヨコが逃げ道を塞ぐ。

 

「ば、馬鹿めっ!この状況で我々に敵うとでも!!?」

 

それでもカスミは気合を入れ直し二人の要求を拒絶する。

 

周囲には温泉開発部の部員…総勢200人が展開し包囲している。

 

確かに状況は温泉開発部の圧倒的優位だが…

 

「一人頭30はノルマだな。」

 

「…へ?」

 

「分かりましたぁ♠どおって事ない数ですね♠」

 

「もっと倒していいんでしょ、ネイト兄さん?」

 

怯むどころか一切動じることなく、

 

「ちょっと…!?」

 

「じゃあ、皆で競争だね!ひっさしぶりに暴れちゃうよー♪」

 

「せっかくお墨付き貰ってるんだし…私も本気出さなきゃね。」

 

「許せない許せない許せない…!!!ネイト兄様を燃やそうとした貴方たちを吹き飛ばして見せます…!!!」

 

逆にこちらを攻め滅ぼす気満々ではないか。

 

「ま、待ちたま…!」

 

カスミが押し留めようと言い終わるよりも早く…

 

「俺達を仕留めたきゃ…あと100倍は用意して来い。」

 

ネイトの言葉を合図に…6人は一斉に温泉開発部へ襲い掛かるのであった。

*1
2002年に米ロ間で結ばれた核軍縮に関する条約

*2
そのため、ネイトもヘイローキャップを被り一見して分からない位の変装をしている。

*3
右ハンドルに改造

*4
デメリットがデカすぎることは目を瞑る




いい旅をな!
―――『ダイ・ハード』よりジョン・マクレーン






今話には無関係な雑談
もうそろそろこの作品が1周年を迎えます。
何の気負いもなく続けてきましたが100話を超えた時のようにこのままでは一切気にすることなくヌルッと一年を過ぎてしまいそうなので何か周年企画の案がございましたらメッセージでご提案ください
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