Fallout archive   作:Rockjaw

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Operation: Returning Pequod:Reviving the Soul of the Nation

「リバティ・プライムッ!!!戦闘を開始するッ!!!」

 

連邦最強のロボットソルジャー『リバティ・プライム』、

 

「キシィヤアアアアアアアアッ!!!」

 

アビドスを苦しめ続けてきた怪物『ビナー』。

 

正に『両雄相まみえる』、世界すらも飛び越えた機械の強者たちが向き合っている。

 

「やったー!ネイトさんもイブキも無事だったー!!!」

 

「よかった…!あの時みたいに、ちゃんと帰ってきてくれた…!」

 

「それにあんな強そうなロボットまで一緒だなんて!!!」

 

そんなリバティプライムとネイトにイブキの姿を見て歓喜の声を上げるモモイ達。

 

「うへ~…まるであの時みたいだねぇ…!」

 

「改めて実際に見るととんでもないわね…!」

 

「えぇ…あの雄々しい御姿をまたお目にかかれるとは…!」

 

そして、今のネイトの姿を知るホシノにアヤネにワカモも彼の復帰に安堵していた。

 

「全く…皆に心配をかけて本当に仕方のない人ですねぇ…♬」

 

「ん…でもすっごいお土産持ってきてくれたから嬉しい。」

 

「ヒュ~!スペクタクルなご帰還だねぇ、ネイトお兄ちゃんったらぁ!」

 

「皆さんを心配させて…!あとでお説教ですが…本当によかったです…!」

 

「あれが…!ホントに規格外の力じゃねぇか、おい…!?」

 

「ははッあんなの反則じゃねぇか、全く!!!それでこそアニキだぜ!!!」

 

「行けーッ!!!やっちまえーっ!!!ビナーなんかぶちのめしちまえー!!!」

 

ノノミやシロコにムツキ、ネイトの力を知る者たちも歓喜の声を上げる中…

 

「な、何なのだ…!?あの巨大なロボットは…!?」

 

「あんなの…どこに隠して…!?いいえ、隠せるわけが…!?」

 

イブキの無事を確認でき安堵していたのもつかの間、マコトやイロハは言葉を失っていた。

 

いや、この二人だけではない。

 

「あれは何…!?あのとんでもなくデカいヘイローは…!?」

 

「なぜ…私達に『形』があんなにもはっきりわかるの…!?」

 

「なんて神秘の出力…!?あんなのみたこともない…!」

 

ホシノ達と共に間近でネイトの姿を確かめたヒナやイオリにエイミ、

 

「あんなの…聞いたこともありませんよ…?!」

 

「じょ、情報部でもあんなのデータになかったわ…!」

 

モニター越しでその様子を確かめていたアコやサツキ、

 

「い、一体あのロボット…!どうやってこんな場所に…!?」

 

「あんなの…あんなのあり得ないよ…!」

 

「私でも知らない神秘の力…!?ネイトさん、貴方は一体…!?」

 

知識において他の追随を許さないウタハ・ハレ・ヒマリも一様に絶句していた。

 

あんなロボットも…馬鹿げた神秘の出力も見たことがない。

 

第一…ネイトのヘイローが自分達にもくっきりわかること自体異常だ。

 

本来、自分以外のヘイローの形は分からないものだ。

 

例えるなら『吐息』のような存在、あることは感知できるが…それが誰の物かは早々分かったものではないといったそんな存在だ。

 

それがキヴォトスの常識で、例外と言えるのは外から来たネイトや先生でこの二人は他人のヘイローの形状が詳細に分かる。

 

だというのに…ネイトのヘイローは自分達にもその形状がはっきりとわかる。

 

それ以前に、常人の身体で背中に背負うほどの巨大なヘイローは見たことがない。

 

それほどまで…ネイトの姿は異様だった。

 

そんな中…

 

「イブキ…!パパァ…!」

 

静かだが…まるで溢れそうになる感情を何とか抑え込んだような声をアリスが発した。

 

ネイトとイブキが激流に飲み込まれたとき、アリスは心配でたまらなかった。

 

それこそ…涙を流すほどに。

 

だが、アリスは立ち上がりこの戦場へやってきた。

 

父であるネイトが…約束を破るはずがない。

 

友達であるイブキをきっと助けてくれる、そう信じて涙をぬぐい戦場に降り立った。

 

そして…ネイト友達イブキ

は帰ってきた。

 

見たこともない巨大なロボットと共に…再びビナーと対峙して。

 

「よかったぁ…!よかったです…!」

 

心の底から安堵するアリス。

 

その頬に…また一筋の涙が伝った。

 

だが、

 

「カァァァァァッ!!!」

 

戦況は待ってはくれない。

 

新たな脅威の登場にビナーは熱線砲アツィルトの光のチャージを開始。

 

いきなり水面から光の柱が生えたと思ったらネイトとイブキを肩に載せた巨大ロボットの登場だ。

 

すぐさま排除に移るのは当然ともいえる。

 

『ネイトさんっ!!!』

 

イブキはおろかいかにネイトやリバティ・プライムでも直撃したら無事では済まない。

 

全員が声を上げる中、

 

「目標、前方の共産中国新型兵器ッ!!!」

 

リバティ・プライムは背面に手を回し…大きさ1,5mほどのそれを掴む。

 

リバティ・プライム背面ユニット『量子格納型核爆弾パック』。

 

リバティ・プライム用にロブコ社が開発したデバイス『Pip-Boy』の量子収納機能を大型化し容量と収納可能な物体の大きさを増加させたユニットだ。*1

 

本来そこに収納されているのは『Mk28 1250ポンド核爆弾』、戦時中にも用いられた投下用戦術核爆弾だ。

 

だが、ここはキヴォトス。

 

核兵器と無縁のこの世界にそれを持ち込むわけにはいかない。

 

「攻撃開始ッ!!!」

 

リバティ・プライムはチャンバーから取り出されたその爆弾を手に取り…

 

ブォンッ!!!

 

NFAの殿堂入りクォーターバックばりの豪快なフォームで投げた。

 

『投げたアアアアアアっ!!?』

 

ロボットとは思えないなんとも原始的な攻撃方法に全員が声を上げてツッコむ。

 

ビュンッ!!!

 

ヌカランチャーで放たれたときに発せられた時よりも野太い風切り音を発し投げられた爆弾はビナーに向い飛翔し…

 

ガッ!!!

 

ビナーの胴体に命中し…

 

ドグワァオオオオオオオオオオオオンッ!!!

 

「―――――!!?!?」

 

先程叩きこまれた240㎜砲弾3発を優に上回る爆発が巻き起こりビナーの巨体が弾き飛ばされ水中に没した。

 

その爆風は周囲に立ち込めていた蒸気を吹き飛ばし一瞬視界が開けるほどだ。

 

「ど、どれだけの爆薬を内蔵しているの…!?」

 

「うへ~…Mk82なんか目じゃない威力だ…!?」

 

その威力にヒナやベルチバードの爆撃などを見慣れたホシノですら絶句する。

 

「どうだ、核には及ばないが十分な威力だろう?!」

 

「『ウリ爆弾Melon Bomb』性能判定:良好。レッドチャイニーズ脅威の排除へ十分活用可能と判断。」

 

自信満々なネイトの問いかけにリバティ・プライムは淡々と答える。

 

『ウリ爆弾』、『Mk28核爆弾』に内蔵されている『核物質』や『中性子反射体』などの核爆発に必須の部品を抜き爆薬を満載した模擬爆弾だ。*2

 

只の爆弾と侮るなかれ。

 

総重量1250ポンドのうち700ポンド、およそ320kgという炸薬量は『Mk81250ポンド爆弾』と『Mk831000ポンド爆弾』の合計した量よりも多い。

 

そんなものをまともに投げつけられてはビナーの巨体が吹き飛ばされるのも無理はない。

 

これまでの損傷にそんじょそこらの投下爆弾を上回る威力の爆弾を叩きこまれビナーも無事では済まないだろう。

 

だが…

 

「さぁ、さっさと起きろ!!!」

 

ネイトは信じていた。

 

「お前はそんなんじゃくたばらんだろ!!?」

 

コイツはこんなことで倒されたりしないと。

 

「お前の終わらないバカ騒ぎEndless Carnivalはもう沢山だEnough Is Enough!!!」

 

コイツはどうしようと変えることが不可能だということを。

 

「俺達は永遠に停滞したお前を乗り越え新たな一歩を進める!!!決着をつけるぞ!!!」

 

コイツは…最後の最後まで自己の存在と矜持を見せつけ続けると。

 

ここまで死闘を演じてきたネイトだからこそ…そこにはある種の『絆』のようなものが出来上がっていた。

 

そして、そんなネイトの声に答えるように…

 

ザバァァァァァァン!!!

 

「キシィヤアアアアッ!!!」

 

ビナーはその身を起こし咆哮を上げる。

 

「共産中国新型兵器の健在を確認、再攻撃の要を認める!!!」

 

それに対しリバティ・プライムも呼応する。

 

先程の爆撃でビナーも動きを止めることのリスクを理解したのか、

 

「ガァッ!!!」

 

その身を躍動させリバティ・プライムを噛み砕こうと襲い掛かる。

 

リバティ・プライムが巨大でもビナーはそれを優に超える超巨体だ。

 

肉弾戦ではほとんど勝ち目がないうえ、接近されすぎては爆弾の投擲も自爆しかねない。

 

しかし…

 

「アイ・レーザー起動、照射形式『スプリッター』を選択!」

 

リバティ・プライムに搭載されたAIが冷静に状況を判断し搭載された頭部に搭載された二門の5GW級アイ・レーザーを起動。

 

状況に合わせ照射方法を変更し…

 

「照射開始!」

 

ズバババババババババッ!!!

 

一本一本がアサルトロンのビームキャノン級の太さはあるレーザービームを連続発射。

 

元より戦車を容易く貫通するアサルトロンの必殺の頭部レーザーキャノン。

 

それが何本も何本もリバティ・プライムの頭部から放たれ、

 

ジュドドドドドドドッ!!!

 

ビナーの分厚い装甲を瞬時に貫き胴体を穴だらけにしていく。

 

「あ、あの装甲をあぁも簡単に…!?」

 

自分たちが苦心して何とか攻撃が通るようになった装甲が全く意味をなさないリバティ・プライムの攻撃を目の当たりにしイオリや、

 

「あの装甲を一瞬で貫通するなんていったいどれほどの出力のレーザーなんだ…!?」

 

「それに完全な自立判断と武装選択…!いったいどんな中枢回路を搭載しているの…!?」

 

映像越しにモニターに食い入るようにその様子を見つめるウタハとハレ。

 

テクノロジーに関してはミレニアムの右に出る学校はない。

 

そんな学校の中でも最高峰の技術力を持つ二人をもってしてリバティ・プライムのその威容は圧倒されるしかなかった。

 

その巨体を駆動させるエンジンや動力、圧倒的な威力を誇る武装に一瞬で戦況を判断するコンピュータ…etc。

 

調べたい、分解したい、解析したい、学びたい…。

 

技術の頂点たるミレニアムだからこそ…知的好奇心が湧き上がって仕方なかった。

 

そして…

 

「ケテルが登場したと思ったら今度は未知の巨大ロボット…!?一体全体どうやって…!?」

 

そのミレニアムの最高峰の『頭脳』を誇るヒマリは怒涛の如く流し込まれる情報の波に頭を抱えるしかない。

 

ケテルの戦力化など自分たちですら机上の空論どころか考えたことすらなかった。

 

それをネイトとアビドスはやり遂げた。

 

かと思ったら今度は『全知』の自分ですら全くもって理解不能な巨大ロボットを引っ提げて現れた。

 

「…これは終わった後とことん追求する必要がありますね…!」

 

『特異現象捜査部』の部長としてヒマリの目に鋭い光りが点るのであった。

 

そんな驚きに包まれたギャラリーたちだが…

 

「シギィヤアアアアアア!!?」

 

当のビナーはたまったものではない。

 

戦車を容易に貫くレーザーを雨霰と浴びせかけられ損害は拡大。

 

襲い掛かろうとしていた巨体が食い止められ間合いをとろうと身を下がらせる。

 

「行けー!がんばれ、リバティ・プライムー!!!ビナーなんかやっつけちゃえー!!!」

 

「その調子だよ!!!凄い、こんな光景が現実に間近で見れるなんて!!!」

 

「ま、負けないで…!ネイトさんやイブキを、守って、リバティ・プライ…!」

 

「凄い、凄いです!!!あれがレベルアップしたパパと新スキルですか!!!」

 

そんなリバティ・プライムとビナーの激突という大怪獣映画さながらの光景をゲーム開発部の面々は大興奮で観戦していた。

 

しかし…

 

「ガアアアアアアアッ!!!」

 

ビナーも負けてはいられない。

 

ズバアアアアアアアア!!!

 

水面から天高く自らの尻尾を聳え立たせ…

 

ゴォウッ!!!

 

それをそのままリバティ・プライム目掛け振り下ろす。

 

単純ながらリバティ・プライムをも叩き潰せる一撃。

 

しかも先の爆撃やレーザーでは止められない質量の暴力だ。

 

「危ないッ!!!」

 

ホシノが叫ぶが…

 

「薙ぎ払え、リバティ・プライムッ!!!」

 

ネイトは冷静にリバティ・プライムに指示を飛ばし、

 

「了解、照射方式を『フォーカサー』に変更!」

 

リバティ・プライムは頭部を迫りくるビナーの尻尾にむけ…

 

ズバアアアアアアアアンッ!!!

 

アイ・レーザーを今度は極太の1本のレーザービームとして照射。

 

熱量10GW、おそらく連邦世界最強のレーザーの一撃はビナーの尻尾を…

 

ゾンッ!!!

 

ある個所で一刀両断。

 

ボゴォッ!!!

 

遠心力が乗ったそれはそのまま放り投げられ…

 

ドボォアアアアアアアンッ!!!

 

リバティ・プライムを飛び越えて水面に落ちた。

 

その長さは優に100mを超えその一部が岸にかかっている。

 

「シギヤアアアアアアアアア!!?」

 

自らの体の一部が切り飛ばされた。

 

その衝撃はビナーに今日一番の悲鳴を上げさせるには十分だった。

 

「す、すごい…!」

 

「…こんなのアイツらは使おうとしてたのか…?!」

 

その威力にイブキはもちろんネイトも呆気にとられていた。

 

再建造に自分も携わっていたとはいえ…米軍の決戦兵器の真の性能はネイトも初見だったので無理もない。

 

「ッと、あれなら…!」

 

郷愁に耽るのもそこそこにネイトは今しがた吹き飛んでいったビナーの尻尾に目を向ける。

 

少し頭の中で計算し…

 

「リバティ・プライムッ!!!俺達をあの尻尾の上に軟着地できるように投げれるか!?」

 

「えッ!?」

 

そんな提案に抱えているイブキがびっくりした声を上げる中…

 

「イエッサー。計算中…実行可能。投擲、スタンバイ。」

 

リバティ・プライムは即座に計算し肩にいるネイトたちに手を差し出す。

 

「行くぞ、イブキ!」

 

「うっうん!?」

 

ネイトはイブキを抱き上げたままリバティ・プライムの手に飛び乗り…

 

「距離・風速・投擲物の重量…補正完了。」

 

リバティ・プライムは手を振り被り改めて測定を行い…

 

「投擲、開始。グッドラック。」

 

ブォンッ!!!

 

「うわあああああああああああッ!!!?」

 

X-02を纏ったネイトとイブキを思い切り投げる。

 

正に『人間砲弾』となった二人は先程のウリ爆弾とは違って高弾道を描き…

 

ドォォォォォンッ!!!

 

「きゃうんッ!!?」

 

「ナイスピッチング!!!スーパーボウル出場間違いなしだな!!!」

 

轟音を立てて切り飛ばされたビナーの尻尾に着地、パワーアーマー持ち前の着地性能のおかげでイブキ共々無傷だった。

 

「さぁ帰ろうか、イブキ!」

 

飛び乗った尻尾を伝いネイトは岸に向かい駆けだし…

 

ズシャッ!!!

 

「到着…ってずいぶん遠くまでクラフトできたものだな…。」

 

「わぁ…砂漠が真っ白になってる…!」

 

「ッと、イブキ。今下ろすからな。」

 

ようやくアビドス大オアシスから脱出、純白になった砂漠の地に降り立つと…

 

ヘタッ

 

「い…イブキ…帰ってこれた…!」

 

イブキは力が抜けたか地面にへたり込んでしまった。

 

あの絶体絶命の状況からほぼ無傷で戻ってくることができたが…実感がわかないのだろう。

 

「…イブキ、すまなかったな。もっと俺が利口だったら…。」

 

そんなイブキを見てネイトは謝罪の言葉を述べる。

 

助かるためとはいえ…イブキを恐ろしい目に合わせてしまった。

 

それでもこんな小さな…自分よりも遥かに幼い子が今まで味わったことのない恐怖だったはずなのによくここまで耐えてくれた。

 

さらに…決死な覚悟で自分を助けようともしてくれた。

 

「よく頑張った、イブキ。そして…ありがとう、君はとてもやさしくて勇気のある子だ。」

 

膝をついて改めてイブキに労いと感謝の言葉をかけるネイト。

 

「…ヒグッ…エグッ…!」

 

その言葉で…

 

「ごめんなさい…!イブキ…っネイトさんとの約束破って…ッごめんなさいぃぃぃ…ッ!!!」

 

ネイトに抱き着きイブキの涙腺は決壊した

 

安堵と…慚愧に堪えない二つの想いによって涙が溢れて止まらなかった。

 

と、そこへ…

 

「ネイトさーん!!!」

 

ホシノ達がこちらに駆け寄ってきてくれた。

 

「よかった…!ネイトさんもイブキちゃんも無事なようで…!」

 

「すまなかった。一足先に海開きならぬオアシス開きを楽しんでた。」

 

「…フフッ全く…準備体操しないからあんな風に沈んじゃうんですよ?」

 

互いに軽口を交わし無事を確かめ合っていると…

 

「何こんな時にジョークかましてるのよ、ネイトさん!!!助かるとは思ってたんだけど本当に焦ったんだからね!!!」

 

死線を潜り抜けてきたというのに軽い調子のネイトにセリカは噛みつくが…

 

「あらあらそう毛を逆立てて…よっぽど師父様が恋しかったのですねぇ。」

 

「ちょ、何言ってんのよ!?///」

 

余裕たっぷりなワカモの茶化しに顔を真っ赤にさせるのであった。

 

「お帰りなさいませ、師父様…。あぁ…またそのお姿を照覧できるとは…ワカモ、感激ですわ…!」

 

そんなセリカを無視しうっとりとした表情でワカモはネイトを見つめる。

 

ワカモにとってネイトのこの姿は圧倒的な『力』の証明だ。

 

何よりも『力』を好む彼女からすれば…見惚れるほどの物なのだろう。

 

「借り物の力さ、ワカモ。それに…イブキがいなかったらできなかった事だ。」

 

「まぁ…うふふ、小さな悪魔さんがとても頑張ったのですねぇ…♬」

 

「あぁ…とても勇気のある子だよ、イブキは。」

 

その視線を今度は慈愛に満ちたものに替えネイトの胸の中でしゃくりあげているイブキに向けるワカモ。

 

だが…

 

「イブキーッ!パパーッ!」

 

「ッと、アリス…どうしてここに…。」

 

そんな一同をすり抜けイブキとは逆サイドからアリスが飛び込んできた。

 

「よかった、よかったですッ!!!二人とも、ちゃんと帰ってきてくれて!」

 

気丈にふるまっていたが…限界だったのだろう。

 

父と友、その両方をいっぺんに失うかもしれない恐怖にアリスはその小さな体で耐えてきたのだ。

 

そして…二人はちゃんと帰ってきた、帰ってきてくれた。

 

もう…我慢のしようがなかった。

 

「アリス、信じてました!パパならイブキを守ってくれると!!!本当に…よかったです…!」

 

「…ごめんな、アリス。心配かけたな。」

 

パワーアーマーの大きなマニュピレーターで優しく抱きしめ返すネイト。

 

「お帰り、ネイトさん!!!またすごいの作ったね!!!」

 

「あの大きなロボットもそういうことなんですか!?」

 

「す、すごい…!ミレニアムでも、絶対に見られない…!」

 

そこへリバティ・プライムに興味津々なモモイ達や、

 

「ネイトさん、そのヘイローは…!?」

 

「一体何があった!?あの巨大ロボットは!?もう一体全体何がどうなってんの!?」

 

「ネイトさん、ヒマリ部長からひっきりなしに通信来てるから何とかして…。」

 

初見であるヒナやイオリにエイミが質問攻めにかかろうとするが…

 

「悪いが話はあとだ。…状況を教えてくれ。」

 

まだ戦いは終わっていない。

 

自分がいない間の出来事を共有する。

 

「…なるほど、状況は分かった。」

 

あらましだが現在進行中の作戦を聞き…

 

「フェダラー、こちらネイト。」

 

《兄さん、無事だったのね!!!》

 

「なんとかな。それでそっちは今狙えるか?」

 

《いいえ、まだ湯気が濃すぎてまだ無理だわ!》

 

見ると確かに相当濃い湯気が広範囲から立ち上っている。

 

マニュアル照準では確かに精密な狙撃は不可能だろう。

 

「なるほど…。」

 

ネイトは状況を精査し…

 

「分かった、アルはそのまま照準を続けてくれ。」

 

状況の打開法が浮かぶのであった。

 

《了解よ!》

 

「頼んだぞ、兄妹。」

 

「それで…どうするの、ネイトさん?」

 

「ホシノ、こういうものはな…行きつくとこまで行きつけばどうにかなるものだ。…二人とも、少し離れてもらえるか?」

 

通信を終えたネイトはアリスとイブキを下ろし…切り飛ばされたビナーの尻尾に近づく。

 

そこから戦場であるオアシスを見るといまだリバティ・プライムは健在だが…攻め手に欠いているように見える。

 

確かにリバティ・プライムの武装は強力無比だ。

 

そこでビナーのとった戦術は単純明快、湯気が自身の体を包むくらいまで距離をとることだ。

 

これならレーザーの威力も減衰でき爆弾の投擲も避けることができるだろう。

 

尻尾を薙ぎ払ったフォーカスモードのアイ・レーザーなら貫通も可能だろうが…持続発射は隙が大きい。

 

サイズ差もいかんともしがたい。

 

近接戦を仕掛けられれば…リバティ・プライムでも勝機は薄いのは一目瞭然だ。

 

ならばどうするか?

 

「(EMVの残量は…80%…。)だったら…!」

 

ネイトはビナーの尻尾に手をかざし、

 

ガシャン!

 

「えッ!?」

 

「一瞬で…!?」

 

巨大な尻尾が瞬く間に解体され…

 

(まさか…俺が軍もMr.ハウスもB.O.Sもできなかった事をやるなんてなぁ…。)

 

ネイトはそう内心感慨深そうに呟き…

 

「そんなへっぴり腰で…勝てると思うなよ、ビナー!!!」

 

再びその手を地面に叩きつけた瞬間…

 

ドオッ!!!

 

ドオッ!!!

 

ドオッ!!!

 

三本の巨大な光の柱が打ちあがり…

 

「状況確認、目標…眼前のレッドチャイニーズ巨大兵器!」

 

「共産主義に未来はありません!」

 

「アメリカは共産主義の侵略に屈しない!」

 

「ま、また増えたあああああああ!!?」

 

その柱の中から…合計三体のリバティ・プライムが姿を現した。

 

それも先ほどクラフトされたリバティ・プライムとは…姿が異なっている。

 

まず目につくのは…その装甲だ。

 

最初にクラフトされたリバティ・プライムは鋼鉄の色をしているが…三体の装甲は白だ。

 

軽量さと強度に優れるケテルやビナーが持つあの装甲だ。

 

そして…武装も大きく異なっている。

 

「リバティ・プライム、識別名『ジェファーソン』!この砲声は自由への号令である!!!」

 

『ジェファーソン』と名乗った機体は両肩に大口径の砲を搭載されており…

 

ズドドドドドッ!!!!!!

 

ビナーに向けまるで機関銃のような連射速度で砲弾を発砲。

 

「リバティ・プライム、識別名『リンカーン』!国家の統一を阻むものは弾丸の前に倒れるがいい!!!」

 

『リンカーン』と呼称した機体は大型のガトリング砲を両手に持ち…

 

ヴゥウオオオオオオオオッ!!!!!!

 

砲声に負けない大音量で無数の機関砲弾をビナーに浴びせる。

 

「リバティ・プライム、識別名『ルーズベルト』!愛する国土を侵略する者は何人たりとも容赦しない!!!」

 

『ルーズベルト』と言い放った機体は…超大型のチェンソーとシールドを携えており…

 

「古のアメリカの戦い方を見るがいい!!!」

 

その巨体に見合わない軽快さでビナー目掛け切り込んでいった。

 

「よし、上手く行った!!!」

 

「ネ、ネイトさん!?あの武装は…!」

 

ガッツポーズをとるネイトにホシノやモモイ達は声をかける。

 

リバティ・プライムが三体増えたこともそうだが…あの武装は見覚えがある。

 

そう…

 

「あれ、ケテルが使ってた武装だよね!!?」

 

「そうだ!構造はすでに理解しているからリバティ・プライムの後付け武装に組み込んでみたんだ!!!」

 

かつて水没地帯で死闘を演じたケテルの武装バリエーションそのものではないか。

 

ネイトの頭の中にはあの日解体したケテルの武装のデータが入っている。

 

あとは単純な理屈だが…ロボット作業台のクラフトとそう変わらない。

 

違うのは規模である。

 

砲撃型、機銃型、近接戦型…連邦世界では考えられない多彩なバリエーションだ。

 

三体のリバティ・プライムが放つ強力な攻撃が…

 

―――――――ッ!!!

 

『ガアアアアアアアアア!!?』

 

ビナーに降り注ぐ。

 

レーザーと違い実弾火器に湯気の防壁は関係ない。

 

さらに取りついたリバティ・プライム『ルーズベルト』も…

 

ガァンゴォンギャァンッ!!!

 

その巨大なチェンソーをビナーに振り下ろし損傷を拡大させていく。

 

だが、一つおかしな行動をとっている。

 

三体とも独自の強力な武装を持っているというのに…アイ・レーザーを水面に向ってスプリッターモードで撃ちまくっているのだ。

 

一見してビナーに優位になるようなことだが…

 

「よし、俺も行くか…!」

 

「え、行くってどういう…!?」

 

ネイトはそう呟き、

 

「『ジェファーソン』!!!俺を奴の傷口目掛け投げれるか!?」

 

「えちょえぇ!!!?」

 

近くにいたリバティ・プライム『ジェファーソン』にそう要請する。

 

度肝を抜かれるホシノ達をしり目に…

 

「回答、十二分に実行可能。直ちに実行する。」

 

リバティ・プライム『ジェファーソン』は二つ返事で快諾、ネイトを持ち上げ…

 

「照準、偏差、風向き…よし。ライト兄弟の加護があらんことを!!!」

 

ブォンッ!!!

 

『ネイトさ(パパ)(師父様)ああああああああああああッ!!!?」

 

今度はウリ爆弾を投げる時とそう変わらない軌道でネイトはビナー目掛け投げ飛ばされた。

 

周りの声がドップラー効果を利かせて遠のく中…

 

「さぁ…!これで決着だ…!」

 

空を走るネイトはその手に…『リッパー』を握りしめていた。

*1
Pip-Boyの容量を物置とするとこちらは物流倉庫くらいの差がある

*2
元ネタ:原子爆弾『ファットマン』の模擬通常型爆弾『かぼちゃ爆弾』、日本に49発投下され1発は『皇居』を狙って投下されたが外れた。




あのゆるぎない塔、あれはエイハブだ。あの火山、あれもエイハブだ。あの雄々しい不撓不屈の勝鬨の声をあげる雄鶏、あれもエイハブだ。何もかもがエイハブだ。
―――『白鯨』より


次話、決着の時
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