Fallout archive   作:Rockjaw

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思えば徒然なるままに書き綴ってきたのでこういう季節もののエピソード書いたことないなぁと思ったので
………ここのとこヘビーな話が続いたのでほんわかした話を書きたいというのが半分


A Valentine for a New Life

2/14…第一回箱根駅伝の開催日である。

 

…え?違う?

 

… ドイツ海軍の戦艦「ビスマルク」が進水日である。

 

…えこれも違う?

 

…真面目にいきます、はい。

 

2/14、世にいう『バレンタインデー』である。

 

男女問わず浮足立ち甘くもありほろ苦くもある『チョコ』を求めて駆け引きを繰り広げる聖戦の日だ。

 

それはキヴォトスでも同じで『義理チョコ』や『友チョコ』という文化の発達もありこの時期はお菓子メーカーも気合を入れて限定の商品を出したりもしている。

 

そんな日が近づいてきていたある日のこと…

 

「じゃあ、不良生徒たちの雇用の件はこれでいいか?」

 

「はい、いつもありがとうございます。」

 

ネイトはD.U.のシャーレの先生の元を訪れていた。

 

内容はD.U.近隣の不良たちのW.G.T.C.での短期雇用についてで話も纏まった頃、

 

「…ふぁ~。」

 

ネイトが珍しく軽く欠伸をした。

 

「おや?お疲れですか、ネイトさん?」

 

「んむ?あぁ、すまない。ちょっと夜遅くまで作業しててな。」

 

「…お互い忙しいですけど体調には気を付けましょうね。」

 

「だな…。そっちも過労とかで倒れるなよ?」

 

立場こそ違えど互いに多くの生徒と関わる身だ。

 

コンディションの維持は欠かせない。

 

すると、

 

「それに…健康でいうと近々私は大変な一日を迎えますので…。」

 

なにやら意味深なことを呟く先生。

 

「ん?何かあるのか?」

 

その理由が分からずに首を傾げるネイトだが…

 

「いやいや惚けないでくださいよ。バレンタインですよ、バレンタイン。」

 

「…あぁ~なるほど。」

 

恐さ半分、楽しみ半分といった表情の先生の言葉に納得する。

 

「先生のことだからかなりの数になるんじゃないか?」

 

「そう言うネイトさんこそ凄い数になるのでは?」

 

再度言うが…ネイトも先生も多くの生徒達に慕われる存在だ。

 

おそらくバレンタインデーは大忙しだろう。

 

「こういう立場だと自然と多くなってしまうからなぁ。」

 

「シャーレの当番の応募もその日はすごい倍率で…。」

 

「…なるほど、直接渡されるという権利を欲しがってるわけか。」

 

「あははは、私みたいな大人にはもったいないですが光栄ですね。」

 

「でもあまり高価なのだと気を遣わせるぞ?相手は学生なんだから気軽なのがいいからな?」

 

「それは当日になって見ないとなんとも…。はぁ…来月まで少し節制しなきゃなぁ。」

 

と、師弟で互いにバレンタインデーの過ごし方について話し合っていると…

 

「「…ん?」」

 

これまた師弟同時に違和感を覚えた。

 

「…ネイトさん、渡される権利とは?」

 

「先生こそ…なんで来月まで節制するんだ?」

 

互いに互いの違和感を感じた部分にツッコみ合い…

 

「「………ンん?」」

 

再び同時に首を傾げるネイトと先生。

 

「バレンタインデーって女性から男性や友人にチョコを贈って親交を深める日じゃないんですか?」

 

「いや、性別とか抜きに大切な人たちに感謝の気持ちや愛情を軽い贈り物と一緒に伝える日だろ?」

 

「「………えぇ?」」

 

と、互いのもつ『バレンタインデー』という日に関する認識を確認し合い…

 

「ひょっとして…?!」

 

「またこれも違うのか…?!」

 

ようやくここで『お国柄』の違いを認識できたのであった。

 

カトリックの行事であるためアメリカにもバレンタインデーという行事は存在している。

 

ただ、女性から男性へチョコを贈るのが一般的な日本とはかなり趣が異なっている。

 

アメリカのバレンタインデーは『性別を問わず、大切な人全員に愛と感謝を伝えたり部下に日々の仕事への細やかな感謝を伝える日』などとされている。

 

分かりやすく例えるなら…『父の日』と『母の日』と『こどもの日』と『勤労感謝の日』が一遍にやってくるような行事である。

 

さらに一般的には女性ではなく男性、しかも社会的な立場が高い人物が頑張る日ともされている。

 

ついでに言うと『ホワイトデー』と言う文化は存在すらしていない。

 

「…なるほど、だから…。」

 

「結構前からそれに関する準備をやっててな。そろそろ大詰めなんだ。」

 

ネイトはまさに社会的立場ある男性。

 

アビドスの生徒達はもちろん日々世話になっている他校の生徒会やら部活にも相応の準備をしなければならない。

 

そんなこんなで…実は先月中ごろからこまごまとした準備に追われているのだ。

 

「じゃあ、お店のバレンタインデー向けのお菓子なんかは…。」

 

「あるにはあったが…ここまで露骨なマーケティングはなかったなぁ…。」

 

「ま、マーケティングって…。」

 

歯に衣着せぬネイトの言い方だが事実そうなので否定しようがない先生なのであった。

 

「…ですが、感謝の細やかな贈り物…ですか。」

 

今まで考えたことが無かったがそれはそれでありだとも思う先生。

 

かく言う先生も立場ある大人だ。

 

「…そう言うのもいいですね。感謝は伝えあってこそですし。」

 

ネイトの言う異国のバレンタインデーの文化も生徒との交流を深めるいい催しだと思った。

 

「ネイトさんはどういったものを送るつもりで?」

 

「そんなストイックじゃなくてカジュアルなイベントだからな。ちょっとしたアソートにメッセージカードとかそんな感じだ。」

 

「へぇ~…。」

 

「その代わり送るのなら個人じゃなくてグループ全員だ。その方が後から問題も起こらない。」

 

「…だからそんなにお疲れなんですね…。」

 

前述のとおり、シャーレの先生ほどでないにしても関わっている生徒の多いネイト

 

そんな彼のバレンタインデーの準備となると…スケジュール立ててやらなければ大変だろう。

 

そして…

 

「まぁ先生のおかげでこっちのバレンタインデー文化も知れた。…あんまり食べ過ぎるなよ?」

 

「アハハハ…ダイエットしたいときは相談します…。」

 

この先生のことだ。

 

生徒が持ってきてくれたチョコを断ることはおろか食べきれなくて捨てるという真似もしないだろう。

 

つまり…しばらく体重計が怖くなることは必至だ。

 

「それじゃ俺はこれで失礼する。互いに無理せず乗り越えよう。」

 

「ネイトさんも準備に根詰めすぎないように気を付けてくださいね。」

 

こうして互いに健闘を祈りつつネイトはシャーレを後にするのであった。

――――――――――――――――

 

―――――――――

 

――――

そして…2/14、その日がやってきた。

 

今日はW.G.T.C.の業務も定休日だ。

 

「………よし、数も問題ないな。」

 

最終チェックも終えネイトはでかけようとする。

 

と、その時…

 

ガラッ

 

「おはよ~、ネイトさぁん。お休みなのに早いねぇ。」

 

「ん…おはよう。今日は大変そうだね、ネイトさん。」

 

「おはようございまぁす♬待ちきれなくて来ちゃいましたぁ♪」

 

「おはよ、ネイトさん。お出かけ前にちょっとお時間を頂戴。」

 

「おはようございます。ネイトさん、ベルチバードの準備はばっちりですよ。」

 

技術室にホシノ達がやってきた。

 

見ると…ホシノは何かを後ろ手で隠しているようだ。

 

「やぁ皆、おはよう。何か用か…なんて聞くのは野暮ってものか。」

 

「うへへ~なんやかんや楽しみにしてたんだねぇ~。」

 

「ちょうどいい、俺も渡したいものがあったしな。」

 

勿体ぶるのもあれなので…

 

『ネイトさんっ。』

 

「皆。」

 

『ハッピーバレンタイン!』

 

互いに同時に贈り物を差し出した。

 

ホシノは大きめのバレンタインらしいラッピングがされた箱を差し出しネイトは小さめの紙袋を5つ取り出した。

 

「皆で作ったんだぁ。とっても美味しいよぉ♪」

 

「真心と感謝をたっぷり込めましたぁ♡」

 

「移動の休憩の時にでも食べてください。」

 

「俺からも皆に。既製品とメッセージカードですまないが…。」

 

「ん…大丈夫、ネイトさんの気持ちはちゃんと伝わってるから。」

 

「ずっと準備してたのは知ってるもの。メッセージ、楽しみにしてるわね。」

 

「…ありがとう。それじゃ…有難く受け取らせてもらうよ。」

 

「私達もありがと~、おやつとして頂かせてもらうねぇ。」

 

大きさは違えど込められた思いはどちらも同じ。

 

互いに贈り物を交換し合い笑顔を浮かべるのであった。

 

「それじゃ俺は行くよ。他の生徒にも届くように手配してるから伝えてもらえるか?」

 

「あいよぉ~。気を付けてねぇ~。」

 

こうして、ネイトは慌ただしく出かけていった。

 

そして、ネイトがいなくなった辺りで…

 

「…はてさて一体どんなメッセージをくれたのかなぁ?」

 

ホシノはさっそく紙袋を漁ってメッセージカードを探す。

 

「ちょっとホシノ先輩、気が早いですよ?」

 

少し困った表情でアヤネが諫めるも…

 

「ん…でもこういうの初めてだしとても気になる。」

 

「お手紙だと感謝の気持ちはまた一入ですもんねぇ♪」

 

「言葉でもいつも伝えてくれるけどこういうのもいいものね。」

 

シロコもノノミもセリカも気になるのか漁り始め、

 

「…ですね。じゃあ私も読んじゃいましょうか。」

 

なんやかんやアヤネも気になるようでさっそく読んでみることに。

 

その内容は…

 

Happy Valentine’s Day to my favorite Buddy to soars through the desert with meハッピーバレンタイン、共に砂漠を羽搏く最高の相棒へ

 

「…うへへへ…最高の相棒かぁ。」

 

To a Pal who’s sweeter than any candy – Happy Valentine’s Day!どんなキャンディよりも優しい友へ、ハッピーバレンタイン!

 

「あらら~…これは少し照れちゃいますねぇ~…♬」

 

Happy Valentine’s Day! So glad to have a Partner in crime like you.ハッピーバレンタイン!君のような悪友がいてくれて本当に良かった。

 

「ん…私もネイトさんが一番の悪友だよ…。」

 

Wishing you a day free of part-time job and full of chocolate!アルバイトがなくてチョコレートでいっぱいの一日になりますように!

 

「フフッ、そうね。ネイトさんのおかげで…そうなれたもんね。」

 

You make working this school much more fun. Happy Valentine's Day!君がいるおかげでこの学校で働くのがずっと楽しくなるよ。ハッピーバレンタイン!

 

「それは私の言葉ですよ、ネイトさん…。私も…今がとても楽しいんです…。」

 

短い文章だがここまで一緒に過ごし、働き、戦ってきたネイトからのメッセージ。

 

それを読んだホシノ達の胸は温かいもので満たされるのであった。

 

…が、

 

「…ちょっと待って。ネイトさん、アビドスの子の分書いてたって言ってなかった?」

 

ホシノがあることに気付く。

 

以前、ネイトがアメリカでのバレンタインデーの文化を説明してくれた時にメッセージカードの存在は聞いていた。

 

そして、直接かかわりの多いアビドスの生徒には個別に贈り物を用意すると言っていた。

 

つまり…

 

「…帰ってきたら思いっきり癒してあげましょう。」

 

「ん…嬉しいけど無茶しちゃうのはダメ。」

 

「全く…真面目過ぎるのも考え物ね。」

 

「アハハ…そこがネイトさんのいいとこでもあり悪いとこですね。」

 

仕方ない人だ、この場の全員の思いは合致した。

――――――――――――――――

 

―――――――――

 

――――

その後、ネイトはベルチバードでバレンタイン行脚とでもいうべき大移動を繰り返していた。

 

「よぉ、アウトローな義妹たち。ハッピーバレンタインだ。」

 

「え、ちょ、兄さんから!?」

 

「あらら~アルちゃんマスターに教えてもらいながらみんなで作ってたのに先手獲られちゃったねぇ~♪あっありがとう、ネイトお兄ちゃん♡」

 

「むッムツキ~!」

 

「チョコとカードをありがとう、ネイト兄。…ほらアル、自分が渡すって立候補したでしょ。」

 

「ねっネイト兄様からの贈り物をもらえて光栄です!一生大事に…。」

 

「…チョコはちゃんと賞味期限内に食べて欲しいな、ハルカ。」

 

「そっその…いつもありがとう、兄さん…///。コレ、便利屋68の皆からの感謝の気持ちよ…///。チョコもありがとう…///。」

 

「ありがとう、アル、ムツキ、カヨコ、ハルカ。味わっていただかせてもらうよ。」

 

便利屋68に始まり…

 

「…こんなにたくさん?」

 

「あぁ、風紀委員会の全員分はあると思う。部署ごとで分けるといい。」

 

「そう、ありがとう。それから…ハイ、ネイトさん、風紀委員会からあなたへ。」

 

「くれるのか?」

 

「普段からイオリや皆がお世話になってるお礼よ。」

 

「そうか。有難く頂戴する。」

 

「…きぃぃぃ~!!!委員長から手渡しでチョコを賜るなんてぇ~…!!!」

 

「アコちゃん、今日くらいはヒートアップは止めとこうよ…。」

 

「それに風紀委員会としてのお礼ですので…。」

 

ゲヘナは風紀委員会、

 

「ほら、フウカにジュリ。休憩の時にでもつまんでくれ。」

 

「ありがとうございます、ネイトさん。これ、私が作ったブラウニーです。よかったらどうそ。」

 

「私も飾り付けを頑張りました!愛情たっぷりですよ!」

 

給食部を経て…

 

「えへへへ…ハイッネイトさん♪ハッピーバレンタイン♡」

 

「ありがとう、イブキ。じゃあ俺からもハッピーバレンタイン。」

 

「わぁ~いイブキッネイトさんからチョコ貰っちゃったぁ~♪」

 

万魔殿に届けに行った際はイブキが大きなハート形のチョコレートをとびっきりの笑顔で渡してくれた。

 

「放せぇ、イロハァッサツキィっチアキィッ!!!私だってッ私だってあんなに大きなチョコ貰えてないのにぃぃぃぃ!!!それを寄越せ、ネイト社長ォォォォォッ!!!」

 

「落ち着いて、マコトちゃん!!!我を失わないで!!!イブキちゃんに嫌われちゃうわよ!!!」

 

「こうなることはもう分っていたでしょう…!いい加減、暴れないでください…!」

 

「あぁ、せっかくのシャッターチャンスなのにぃ!!!」

 

…マコトが号泣しながら大暴れし一時期『涙のバレンタイン事件』などと呼ばれたり呼ばれなかったり…。

 

その後、再びベルチバードに乗って大移動し…

 

「よいしょっと。」

 

「こんなにたくさん…いいんですか?」

 

「なぁに、いつも稼がせてもらっている細やかな感謝の気持ちさ。」

 

「ありがとうございます、ネイト社長。セミナーの皆でいただきますね。」

 

「コユキにも分けてやってくれ。まだ牢屋の中だったろ?」

 

「分かりました。大したお返しも出来ずに…。」

 

「いやいや、俺の国はお返しなんかいらない文化だから気にしなくていいよ。」

 

ミレニアムに到着しユウカやノアの元にセミナー職員たちへの贈り物を預け、

 

「アスナ、ハッピーバレンタイン。」

 

「わぁ~!ありがとう、旦那さま!チョコ貰えるなんて初めて~!」

 

「カリンもどうぞ。任務中のエネルギー補給にもばっちりだぞ。」

 

「うん、軽くつまめるからもってこいだよ。頂かせてもらうね。」

 

「メイド部の連中の分まですまねぇな、ダンナ。」

 

「気にするな、ネル。こういう時に遠慮なく使えるよう懐はいつも温めているのさ。」

 

「旦那様、こちらをお納めください。皆で丹精込めて作ったチョコチップクッキーですよ。」

 

「おぉ、クッキーは好物だ。ありがとう、アカネ。」

 

メイド部、もといC&C、

 

「大人の人からチョコ貰うなんて初めて~。」

 

「むしろ、俺はキヴォトスのバレンタインデーの文化を知った時が驚いたぞ、マキ。」

 

「ありがとうございます。ホワイトデーにはお返しを楽しみに…。」

 

「お気使いなくってやつだぞ、コタマ。感謝を伝えるためにやってるんであってお返しのためじゃないんだからな?」

 

「ネイト社長、こういうのは受け取っていて。貰いっぱなしじゃ私達が気を遣っちゃうの。」

 

「…そうか、チヒロ。それじゃ楽しみにしておく。それから…ほらハレ、特別にゲヘナの高カフェインチョコを持ってきたぞ。」

 

「わざわざありがとう、ネイトさん。これでエナドリ代を浮かせることが出来るよ。」

 

ヴェリタス、

 

「ちょうど休憩に入ろうとしてたからちょうどよかったよ、ネイトさん。」

 

「それは何より。あんまり高価な物じゃないが受け取ってくれると嬉しい。」

 

「そんなの気にしないよ。ネイトさんの気持ちが嬉しいんだから。」

 

「ほうほう…そのようなバレンタインデーの文化もあるんですね…!」

 

エンジニア部、

 

「はい、エイミ。溶けにくいようにベイクドチョコを用意した。」

 

「ありがとう、ネイトさん。指につかないから好きなチョコだよ。」

 

「ヒマリは作業の合間で楽しめるようにチョコボムを。」

 

「あら、誰もが認めるミレニアム最高の天才清楚系病弱美少女ハッカーには少々子供っぽくは…。」

 

「…そっか、要らないか。それなら持って帰って…」

 

「あぁ~ッ要らないなんて言ってませんよ!?休憩の時にしっかりといただきます!!!」

 

「…フフッどうぞ、可愛らしい賢者さん。」

 

「カッ、可愛っ…///!?」

 

「部長、相変わらずネイトさんには勝てないね。」

 

特異現象捜査部と数々の部活をめぐっていった。

 

「よし…よし…これで残すは…。」

 

キヴォトス中を飛び回りようやくほぼすべてのお届け先に贈り物を届けることが出来たネイト。

 

「ここだな。」

 

そして、これが最後の届け先である…

 

コンコンッ

 

「ネイトだ。入るぞ~。」

 

断りを入れドアを開けると…

 

パンパンッ!

 

クラッカーが鳴らされ…

 

「「ハッピーバレンタインネイトさん!」」

 

「は、ハッピーバレンタイン、です、ネイトさん…!」

 

モモイ、ミドリ、ユズが笑顔で出迎えてくれ…

 

「パパ~♪ハッピーバレンタインですよ~♪」

 

ダキィッ

 

愛娘のアリスがネイトの胸に飛び込んできた。

 

「おっとっ。フフッハッピーバレンタイン、アリスに皆。」

 

ギュウ

 

ネイトも彼女をしっかりと受け止め優しく抱きしめ返した。

 

「「「………。」」」

 

それを物欲しげに見つめるモモイ達にも…

 

「…ほら、三人もおいで。」

 

「わーい!」

 

「じゃ、じゃあ…!」

 

「失礼、します…!」

 

ダキィッ

 

「ハハハッこうやってみんなでハグするのは久々だな。」

 

一斉に飛び込んでこさせ纏めて抱きしめた。

 

しばしの間、互いの温かさを堪能し、

 

「パパっパパっ!こっち、こっちです!」

 

ネイトはアリスに手を引かれ部室内に置かれたテーブルの近くに腰を下ろし…

 

「ハイッパパ!アリスとみんなで一生懸命作りました!」

 

「ゲーム開発部の皆からネイトさんに感謝を込めて。」

 

「いや~ゲームと違って現実は結構大変だね!」

 

「み、見かけは、お店の物より悪いですけど…。」

 

そこにはハートの形をした大きなチョコケーキがおかれてあった。

 

そして、その上にはゲームのコントローラーやゲーム機などのデフォルメされたデコレーションが描かれてあり、

 

いつもありがとう、ネイトさん

 

ストロベリーのチョコソースで感謝の文と、

 

パパ大好き

 

青いチョコソースで一目でアリスが書いたと分かる愛情たっぷりのメッセージがあった。

 

ユズの言うように確かに所々崩れていたりしてスイーツ店の物と比べれば見栄えは悪い。

 

だが…

 

「…ありがとう、皆。今までの人生で…最高のバレンタインデーの贈り物だよ。」

 

ネイトにとってはどんな高級なチョコレート菓子も決して勝てない最高のケーキだ。

 

思えば…親以外に自分も誰かからバレンタインデーに贈り物をもらうことは初めてだった。

 

文化的な影響もあるが…ネイトの生き様がそれを許さなかった。

 

戦場を駆け抜け、焼け落ちた世界を立て直し…そしてキヴォトスにやってきた。

 

産まれ落ちて300年…やっと手に入れられた幸せなひとときだ。

 

「それじゃ…俺も皆に。ハッピーバレンタイン。」

 

そして、ネイトもアリス達に最後の贈り物を送る。

 

「わぁーありがとう、ネイトさん!」

 

「大事に味わって食べますね。」

 

「あ、メッセージカードが、入ってる…。」

 

「恋愛ゲームで見ました!アリス、パパに告白されちゃいました!」

 

四者四様に喜んでくれるモモイ達。

 

そして…

 

To my favorite storyteller: May your day be as beautiful as the words you write.大好きなストーリーテラーへ。君が綴る言葉と同じくらい、美しい一日になりますように。

 

「えへへへ~ネイトさんの一番のライターかぁ♪」

 

Hope your day is as bright and creative as your art!君の一日が、君の絵みたいに明るくてクリエイティブなものになりますように!

 

「もう今日はとても鮮やかな日ですよ…♬」

 

Keep creating magic! Wishing you a day full of inspiration and love.これからも魔法を作り続けて!インスピレーションと愛に満ちた一日になりますように。

 

「はい、これからも、楽しいゲームをみんなで…。」

 

モモイ、ミドリ、ユズにはそれぞれのゲーム開発の役割に関するメッセージを。

 

そして…

 

Happy Valentine’s Day to my beloved daughter! I love you to the moon and back—over and over again.愛しい娘へ、ハッピーバレンタイン!何度でも月に行って戻ってくるくらい、大好きだよ。

 

「アリス、パパの言葉を調べたことがあります。」

 

「うん。」

 

アリスはそのメッセージを見て…

 

ダキィッ

 

「じゃあ、アリスは世界を何度でも飛び越えられるくらいにパパが大好きですよ♬」

 

今一度、ネイトに深く抱き着いて来てくれた。

 

英語に慣れていないとなかなか伝わりにくいニュアンスだが…アリスはしっかりと理解してくれた。

 

「…あぁ、月だろうと世界だろうとどこに行こうと…俺はアリスを見つけるよ。」

 

そんな愛しい娘の深い愛情に答えるようにネイトも深く抱きしめる。

 

そして…

 

「…よし、じゃあみんなで食べようか!」

 

「ハイッ!アリス、パパにあ~んしてあげます!」

 

「じゃあ他にもお菓子もってきてパーティーしよっ!」

 

「私、飲み物出してきますね。」

 

「ほ、包丁とか、どこかにあったかな…。」

 

五人は賑やかにパーティーを始めるのであった。

 

一方、シャーレでは…

 

「だ…誰か…至る…至ってしまう…。」

 

《せっ先生ぇぇぇぇぇぇぇぇッ!!!?》

 

山と積まれたチョコのそばで口の周りを茶色くした先生が突っ伏しているのであった。




I love you 3000.
―――発明家『トニー・スターク』
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