Fallout archive   作:Rockjaw

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今話は妄想マシマシと間違いだらけであろう知識で構成されています
温かい目で見てってください


The New Fangs of Abydos

ゲヘナとミレニアムの二つのマンモス校がW.G.T.C.の切り札である『マサチューセッツ』やネイトの過去を知ってから少し経ったころ、

 

「いやはや…ウチは海軍なんだがなぁ…。」

 

マサチューセッツのCIC内でネイトの留守を任せられている戦術長のMr,ガッツィー少佐は何やらぼやいていた。

 

「仕方ないですよ、戦術長。設備も何もかもこの艦が備えているんですから。」

 

「分かっている。…しかしながら、我々にも『アレ』が欲しい所だが…。」

 

「アレ作ってもらってどうするんですか?気持ちは分かりますがこの湖じゃ無用の長物ですよ?」

 

「だから分かっている、言ってみただけだ。」

 

と、部下のMr,ガッツィーとそんなお喋りをしていると…

 

《マサチューセッツへ。アビドスへの『届け物』は準備万端、指示を求む。》

 

無線から別の場所にいるMr,ガッツィーからの通信が入った。

 

「こちらマサチューセッツCIC、了解した。『滑走路』へのタキシングを開始、高度計を確認し待機せよ。」

 

さて仕事の時間だ、と言わんばかりに戦術長ガッツィーはぼやきを止めその通信に応答。

 

さて、ここ水没地帯は以前まで四方八方に水面から飛び出たハイウェイが伸びていた。

 

現在はマサチューセッツの往来のために中心の工業地帯に直結しているハイウェイ以外は大半が撤去、残された一部も跳ね上げ式の改造が施されている。

 

その中の一本、とあるハイウェイに関してはまた別の改造が施されていた。

 

点在していた障害物や中央分離帯はすべて撤去され平坦で長い直線的な構造となっている。

 

しかも路面は完全に舗装され直し各所が鋼材で補強され以前よりも頑丈になっている。

 

まるで道路というより…立派な滑走路のような姿となっていた。

 

そんなハイウェイの工業地帯と繋がっている箇所に…ソレはその時を待ち構えていた。

 

「こちらマサチューセッツ艦橋、滑走路の確認OK。」

 

「こちらCIC、了解した。『届け物』は発進位置へ前進せよ。」

 

艦橋にいるロボットを通じて戦術長に滑走路の安全が伝えられ…

 

「なお、貴機のコールサインは『ジョーズ01』だ。復唱せよ。」

 

待ち構えているソレに『コールサイン』が与えられた。

 

《こちら『ジョーズ01』、了解。今にも食らい付きそうないいコールサインをありがとう。》

 

受け取った『その機体』のパイロットも気に入ったようだ。

 

「よろしい。では『ジョーズ01』、離陸を許可する。アビドスの『空』を任せたぞ。」

 

そして、戦術長から離陸許可が通達され…

 

《任せてくれ。『ジョーズ01』、Take off。》

 

水没地帯にエンジンの爆音を轟かせそれは勢いよく飛び立っていった。

 

数十分後、ミレニアム上空にて…

 

キィオオオオ…!

 

「ユウカさん、指定のポイントに到着しました。」

 

「わざわざ無理言ってごめんなさいね。」

 

空を翔けるF-14Aの後部座席にユウカが完全装備で乗り込んでいた。

 

訓練を積んでいなければ相当きつい筈だがそこは頑丈なキヴォトス人。

 

ケロッとしているのはさすがだと言える。

 

しかし、本来セミナー所属の彼女がこうして戦闘機に乗り込むことはない。

 

ではなぜユウカはF-14Aに乗り込んでいるかというと…

 

「しかし…ホントにあんな所から航空機なんかが飛んでくるんですか?」

 

「ネイトさんが言っていたことよ。その目で確かめなくちゃ…。」

 

先日のマサチューセッツへの視察より少し前のこと。

 

ネイトは視察に関して様々な制約を設けていたがミレニアムにはもう一つの要求を行っていた。

 

それが…

 

「『新たなW.G.T.C.所属の航空機のミレニアム上空を通過』…なんとも強気な要求をしてきたものですね。」

 

「普通の航空機なら問題ないけど…まさか『航空隊』を作る気だったとはね…!」

 

この要求を受けた際、せいぜい農業用のレシプロ機程度という予想だったがマコトとの会話からその範疇でおさまる代物ではないことが判明した。

 

W.G.T.C.の新たな航空隊…つまり戦闘用の航空機がミレニアム上空を通過するとなるとそれ相応の警戒と情報収集が必要だ。

 

「しかし、大丈夫なんですか?相手はあの…。」

 

「心配なのはわかるわ。でも、おそらく本当に通過のための許可をとっただけのはず…。」

 

無論、ネイトが何か事を起こすつもりがない事は分かっている。

 

そのつもりならわざわざ予告せずに武装満載の航空機を突っ込ませるはず。

 

いや、そんなことをしなくてもマサチューセッツの一斉攻撃で簡単に片が付くだろう。

 

要求という形でそれを通達してきたということは裏表なく本当に通過するだけなのだろう。

 

「ともかく今回は監視だけよ!あちらから何かしてこない限りは攻撃を禁止するわ!」

 

《『シュレーディンガー02』、了解。》

 

《『シュレーディンガー03》、ラジャ。むしろ楽しみにしてますよ。》

 

《『シュレーディンガー04』、了解。あのW.G.T.C.の機体…それを生で拝めるなんてなかなかないですからね。》

 

今回飛行しているのはミレニアム航空隊の中でも選りすぐりの精鋭部隊『シュレーディンガー』。

 

全機F-14Aで編成された最新・最高の飛行部隊である。

 

「しっかし、ユウカさんも物好きですねぇ。わざわざ自分まで乗り込むなんて。」

 

「ネイト社長の受け売りよ。データばかり見ていたんじゃ大事なところを見落としちゃうもの。」

 

「ハハッ違いない!それじゃしっかりと拝ませてもらいましょう…!」

 

幾分か気持ちが軽くなりユウカと軽口を交わし合う隊長機『シュレーディンガー01』のパイロット。

 

その時、

 

「ッ!レーダーコンタクト!12時の方向に反応出現!」

 

F-14Aの強力なレーダーが廃墟区画方面から飛来する物体を検知。

 

「来たわね…!速度は?」

 

「速度は…あれ?」

 

気合を入れるユウカに対しパイロットは首を傾げる。

 

「どうかしたの?」

 

「い、いえ…反応は二種類。小さい方は二個小隊の反応の速度は時速600㎞弱。もう一種類は反応の大きさからして輸送機のようですがこちらは時速500㎞にも達していないと思われます。」

 

「…随分遅いわね。」

 

パイロット同様にユウカも首を傾げる。

 

キヴォトスの学校が持つ主力戦闘機は殆どがジェット機で巡航速度は800㎞を下ることはない。

 

これほどの遅さはなかなか見られない。

 

下手をすればレシプロ機にだって負けているだろう。

 

「これが…W.G.T.C.の新兵器なんですか?」

 

パイロットの言うようにW.G.T.C.の前評判からしてみればあまりにもスペックが低い。

 

「そ、それでも一応確認に向かってちょうだい。」

 

だが無視するわけにもいかずにユウカは確認に向かうように指示をする。

 

「了解、速度を上げて向かいますよ。」

 

パイロットもそれに答えエンジンの推力を上昇させ、F-14の特徴ともいえる可変翼を折り畳み速度を上げる。

 

僚機たちもそれに続き反応との間合いは徐々に縮まっていく。

 

「あとどのくらいで目視できそう?」

 

「現在の距離はおよそ200㎞、相対速度的にあと10分もあれば目視できそう…。」

 

まだ距離がある為ユウカとパイロットがそんな会話を交わしていた。

 

…その瞬間だった。

 

突如としてレーダーに映り込む反応。

 

「はぁッ!?反応が増えた!?」

 

「ちょ、ちょっとどういうこと!?」

 

「機数24、編隊を組み接近中、距離およそ170㎞!!!」

 

《こちら『シュレーディンガー02』!こちらのレーダーにも反応が突如出現!!!》

 

《馬鹿な、全員見落としてたって言うのかよ!?》

 

《速度計測…マッハ1.2!?音速を超えてやがる!!?》

 

「この反応の大きさは…おいおい冗談だろ、巡航ミサイルより小さいだと!?」

 

突然の事態に驚愕するしかないシュレーディンガー部隊の面々。

 

無論、いきなりどこからともなく現れたわけではない。

 

高性能なF-14Aの目をもってしても…かなり近づかなければ発見できないほど反応が小さかったことに他ならないのだ。

 

相対速度的に言えば…あと5分と掛からずすれ違うところであった。

 

航空機としてはかなり小さいレーダー反射断面積、音速を超える速度。

 

間違いない。

 

「こっちがW.G.T.C.の本命ね!!!」

 

この反応こそアビドスに向かっているW.G.T.C.の新兵器なのだ。

 

「各機、警戒しろ!今までの奴とはわけが違うぞ!!!」

 

パイロットたちの間に今まで感じたことが無いほどの緊張が走る。

 

F-14Aはかなり大柄の機体、その分RCSレーダー反射断面積はかなり大きい。

 

これだけの性能を備えていてあちらのレーダーがへぼなわけがない。

 

とっくにこちらの存在は見つかっていたことは確実だ。

 

連邦生徒会防衛室ですらこれほどまでの機体は配備していない。

 

確実に…性能は格上と言っていいだろう。

 

そして、とうとうその時が訪れた。

 

自分達よりも上空を飛行する編隊、機数にして一個中隊を目視した。

 

Tally-ho目視確認ッ!各機、高度を上げつつ反転するぞ!!!」

 

追いかけるためにシュレーディンガー隊は機首を引き上げ高度を上げる。

 

「う…うぅ…!」

 

その瞬間、ユウカに強烈なGが襲う。

 

銃撃を物ともしない頑丈なキヴォトス人とはいえこれはかなりきついようだ。

 

「耐えてくださいよ、ユウカさん!すぐ軽くなりますから!」

 

「わ、分かったわ…!」

 

パイロットからの応援を受け何とか意識を繋ぎ留め…

 

「よし、後ろをとった!」

 

シュレーディンガー隊は戦闘機の後方に着き…

 

「各機、速度を上げて並走するぞ!」

 

アフターバーナーを点火し開いてしまった戦闘機との間合いを詰める。

 

あちらもこちらの意図を感じたのか加速することなく編隊を組みながら待っている。

 

そして、

 

「よし、ようやく追いついた…!」

 

《こちらシュレーディンガー02、映像記録を開始します。》

 

シュレーディンガー隊はようやく件の戦闘機中隊と並走。

 

そこで目の当たりにしたのは…

 

「砂漠用迷彩の塗装にアビドスのエンブレム…!間違いないわね…!」

 

「随分シャープな機体だな…!ファントムと比べても二回りは小さいぞ…!」

 

《単発機…!それなのにエンジンを必要以上に吹かしている形跡が見られない…!》

 

《おいおい、まさかクルージングで音速を超えてるってことか…!?》

 

《それに見てください…!ハードポイントがこっちの数を超えてますよ…!》

 

今まで見たことが無い…『鋭利さ』をひしひしと感じるジェット戦闘機だった。

 

例えるなら…すべてを貫く『矢』のような印象を受ける。

 

そしてコックピットには…

 

「Mr,ガッツィー、W.G.T.C.のロボットですね。」

 

「疑似的な無人航空機化、しかもMr,ガッツィーとなると…。」

 

お得意というべきか、Mr,ガッツィーがちょこんと搭乗している。

 

「人が乗っているのと変わらない…いえ、人が受ける制約から解き放たれた分…。」

 

「人じゃ無理な操縦だって可能…ってことね。」

 

ネイトのロボットの性能は折り紙付きだ。

 

どんな運動性能を有しているか未知数だ。

 

そんな未知の機体に見入っていると…眼前の全機が機体を左右にバンクさせた。

 

「あれって…?」

 

「やり合う気は無いってことですよ。」

 

どうやら抵抗する意思はないようだ。

 

「こちらミレニアム航空隊、コールサイン『シュレーディンガー01』。前方の機体、応答せよ。」

 

ユウカが搭乗する機のパイロットが呼びかけると…

 

《こちらはアビドス所属航空隊編隊長、コールサインは『ジョーズ01』。騒がせてしまったようですまない。》

 

前方の編隊を代表して『ジョーズ01』が応答する。

 

「了解、ジョーズ01。貴機及び貴編隊の目的を述べよ。」

 

《当編隊並びに後続の編隊機はアビドスへの配備のため貴校の領空を通過中。W.G.T.C.代表とそちらの幹部との約定は交わされているはずだ。確認を求む。》

 

「…了解、その件に関しては確認済みだ。」

 

尋ねられたことに素直に答えるジョーズ01。

 

確かにセミナーのユウカと契約を交わしているため問題はない。

 

「ジョーズ01、増槽しか搭載しておらず見たところそちらは非武装のようだが。」

 

《他所の庭先を通らせてもらうのに物騒な物をぶら下げては失礼だろう?後続の機体も兵装は搭載していない。》

 

「ミレニアムへの配慮、感謝する。」

 

「隊長、あの編隊を護衛してもらえないかしら?」

 

「了解、ジョーズ01。これよりこちらの当機とシュレーディンガー02がミレニアム空域を離脱するまで護衛に着く。」

 

《感謝する。キヴォトスきっての最新鋭機の護衛とは頼もしい。》

 

ユウカの要請によりシュレーディンガー隊の二機がこの戦闘機の編隊を、

 

「シュレーディンガー03と04は編隊を離脱し後続の編隊の護衛を頼む。」

 

《シュレーディンガー03、了解。》

 

《シュレーディンガー04、ラジャ。しっかり『見守り』ますよ。》

 

シュレーディンガー03と04を護衛兼情報収集を兼ねて向かわせる。

 

「しかし…そっちは速いな。こっちの機体だとエンジンを吹かせてなきゃ引き離されそうだ。」

 

《はっはっはっ。あの広いアビドスの空を護るんだ、足は速い事に越したことはないだろう?》

 

ミレニアムの領空を抜けるわずかな間、言葉を交わし合うシュレーディンガー01とジョーズ01。

 

所属どころかキヴォトス人とロボットとはいえどちらも戦闘機乗り、通じる部分はあるようだ。

 

「いずれ機会があったら模擬空戦をやってみたいものだな。」

 

《ほぉ…トムキャットとの空戦とは…。望むところ、その時は存分にこの機体の性能をお見せしよう。》

 

「それはこっちのセリフだ…!ミレニアム最高の実力で迎え討たせてもらう…!」

 

そして、どちらも負けず嫌いのようだ。

 

そうこうしているうちにあと少しでミレニアム領空を出てアビドスの領空に入るところまでやってきた。

 

《ここまでくればもう平気だ。シュレーディンガー隊、ここまでの護衛に感謝する。》

 

「いいってことだ。私達もそちらの旅の安全を祈っているよ、ジョーズ01。」

 

短いが同じ空を飛んだ縁ということで別れの言葉を交わす二機。

 

すると…

 

《せっかくだ。最後に凄いものを見せてやる。》

 

「なんだって?」

 

ジョーズ01がそう言葉を発した次の瞬間、

 

《編隊全機、アフターバーナー点火ッ!雄猫の度肝を抜いてやれ!》

 

ジョーズ01筆頭に眼前の編隊機が一斉にアフターバーナーを点火し一気に加速する。

 

ゴォォォォォォォウッ!!!

 

「なっなんて速度なの…!?」

 

《あれが本気だってことか…!》

 

瞬く間にシュレーディンガー隊を置き去りにし彼方へと消え去るアビドスの航空機。

 

その速度は…

 

「速度マッハ2.7…!ハハッ、これは追いつけないな…!」

 

F-14Aの最高速度を凌駕していた。

 

「…ユウカさん、これはとんでもない機体がアビドスに導入されちゃいましたね…。」

 

「…早急にデータ収集を兼ねて合同訓練を打診しましょう。」

 

《これは後続の機体もとんでもない可能性がありますね…!》

―――――――――――――――

 

―――――――――

 

―――

《アニキ、先行していた編隊がアビドス領空に入ったようだ。》

 

「了解、そのまま誘導を頼む。」

 

「ん…ユウカは約束を守ってくれたみたいだね。」

 

場所は変わりアビドスは鳴砂空港。

 

そこでネイトとシロコが並んで佇み機体の到着を待ち構えていた。

 

以前までは砂漠に埋もれかけた廃墟だったが…

 

「それにしてもこんなに早くここが復旧するなんてね。」

 

「流石はゲヘナ、土木建築技術は抜きんでているな。」

 

僅かな期間ですぐにでも大型旅客機を受け入れられるかのような状態まで復旧していた。

 

砂に埋もれ路面がひび割れていた滑走路はてかりを発する新品同様の物に生まれ変わっている。

 

その他の設備、格納庫や整備施設に管制塔などの設備も完全に使用可能になるまで蘇っていた。

 

周囲にはアビドスの生徒やロボット達が忙しなく動き回っている。

 

ここにいる全員が水没地帯からやってくる新たな仲間たちの到着を今か今かと待っていた。

 

そしてこの場には…

 

「やれやれ、普段からこれくらい真面目に仕事をやってくれるといいんですがね…。」

 

砂漠の熱気に充てられたかハンディファンを顔に当てているイロハがいた。

 

「わざわざ出張ご苦労様だな、イロハ。」

 

「宮使えの辛い所ですよ、ネイト社長。普段はチャランポランでも私たちのトップでもあるので。」

 

「ん…大変だったらウチに来る?戦車隊の皆はいつでも大歓迎だよ、イロハ。」

 

「卒業後の進路として一考しておきますよ、シロコさん。…でも、今はそこそこあそこが気に入っているので。」

 

と、なぜイロハがここにいるかというと…

 

「それにこうして視察がてら万魔殿の仕事を合法的にサボれますので悪い事ばかりじゃありませんよ。」

 

「いやはや…ここまで堂々と『見せろ』と言われちゃ断りづらくて仕方ない。」

 

鳴砂空港の視察を兼ねてのアビドスに配備される航空機の偵察、ざっくばらんに言うと覗き見である。

 

しかも、要求としては非常に正当なためネイトもアビドスも断れずにこの日を迎えている。

 

アビドスもゲヘナの地下秘密空軍基地に招かれたのでこれでお相子である。

 

 

ネイトとしてはむしろここまでストレートな物言いは好感すら覚えるくらいだ。

 

「でもよかったんですか?見るだけじゃなくてネイト社長の解説付きだなんて。」

 

「今頃、ミレニアムの上層部も稼働状態のデータを収集しながら見物しているころだろう。ゲヘナに見せないんじゃ後が怖い。」

 

「ん…あとからコソコソやられるより今明かせるだけの情報を公開した方が結果的に楽になる。」

 

耳が早く負けず嫌いのマコトのことだ。

 

あとでミレニアムがこちらの新型機体のデータを集めたと知るとあの手この手でそれ以上を知ろうと躍起になる事は目に見えている。

 

今後の関係を考えるとある程度の見せ札を与えておいた方が面倒が少なくなるだろう。

 

「でも、戦車乗りのイロハに戦闘機のこととかは分かるの?」

 

「細かいことは無理ですがそれでも兵器の知識は私が一番だろうってことで。」

 

「何かに秀でたら自ずと関連した造詣も深くなるってもんだ。マコトの意見も全く的外れって訳じゃないぞ。」

 

「私としては…『アレ』がここにあるのを知れただけでも仕事は十分果たせた気がするんですがね。」

 

イロハの視線の先にそれが鎮座していた。

 

見たまんまを言うと…

 

「アレ、マサチューセッツの上部構造物ですよね?」

 

主砲や防空火器を取っ払い船体からバッサリ斬り落としてドンと地面に置かれたマサチューセッツの艦橋と煙突だった。

 

「あれ以上のレーダー設備は持ち合わせてなくてな。突貫だったがこの空港のレーダーとしてクラフトしたのさ。」

 

「簡単に言わないでもらえません、ネイト社長?この前のショックから抜けきっていないんですからね?」

 

現実に即して簡単に言うと…『イージス・アショア』のようなものである。

 

現に対空・対地・対弾道ミサイルなどあらゆる方面に対して元々空港にあったものと比べても超高性能なレーダー群だ。

 

その性能はアビドスの端から端どころか隣接する学区の領空まで見えるほどだ。

 

即席で設置するには十二分な性能だろう。

 

…もっとも、あれをクラフトするために廃墟区画の高層ビルが3ブロック分程の資材が消滅したのだが。

 

「有事には情報共有するさ。マコトにもそう伝えておいてくれ。」

 

「ん…もしもの時は力になるよ。」

 

「はいはい、それだけ言ってもらえるのならあとは何とかこっちで言いくるめますよ。」

 

そんな会話をしていると…

 

《こちら管制塔、まもなく先発の航空隊機体が到着する!滑走路を開けろ!!!》

 

管制塔にいる生徒から航空隊到着の報告が入った。

 

「ん…来たね。」

 

「出迎えに行くとしよう。」

 

「さて、私も仕事をやるとしますか。」

 

三人もそれを聞き誘導路で到着を待つ。

 

そして…澄んだアビドスの空にエンジンの轟音を轟かせとうとう現れた。

 

《こちらジョーズ01!お待たせしちまったかい!!?》

 

編隊長のジョーズ01からのなんとも豪快な無線が飛ぶ。

 

そのまま着陸するかと思ったが…

 

ゴォォォォォォォウッ!!!

 

《どうだい、マスター!?ありったけの生産能力全部つぎ込んで揃えたコイツの性能は!?》

 

綺麗な編隊を組んだまま鳴砂空港上空でアクロバットな飛行ショーを繰り広げ始めた。

 

「ん…あれが…!」

 

「な、なんて無茶苦茶な飛行を…!?」

 

シロコは目を輝かせながらそれを見つめるがイロハは唖然とするしかない。

 

ゲヘナの制式戦闘機『ドラケン』もダブルデルタ翼による高い運動性が売りだが…あそこまでのアクロバット飛行ができるかどうか。

 

「こちら、ネイト。よくやって来てくれた。そしてお見事なアクロバット飛行だ。」

 

ネイトもそんな戦闘機のショーを微笑みながらしばし眺めていた。

 

数分後、

 

「そろそろ着陸態勢に入ってくれ。後が閊えているし燃料切れで墜落とかは笑えないからな。」

 

《ジョーズ01、了解!これより着陸態勢に入る!》

 

十分堪能できたのでネイトが着陸を促しジョーズ01もそれに答え高度を落とし…

 

《ジョーズ01、Take on。》

 

蜃気楼揺らめく滑走路の彼方に着地し速度を落としながら誘導路にいるネイト達の元までやってきて停止した。

 

「これが…ですか…!」

 

「紹介しよう。これがW.G.T.C.制式採用ジェット戦闘機…『F-20E』、愛称は『White Sharkホホジロザメ』だ。」

【挿絵表示】

 

「『F-20E』…!」

 

かつて…傑作軽戦闘機『F-5』の発展型として当時のアメリカの『中間国際戦闘機構想』*1によって生み出された戦闘機があった。

 

その名も『F-20』、当時としては最高の火器管制レーダーや長射程の武装に圧倒的な運動性能を兼ね備えたCCV技術が導入される以前の戦闘機では『世界最高級の戦闘機』と称されていた。

 

また、価格と運用コストも安く整備性も中小国でも十二分に行えるほど高い。

 

しかし、『F-16』の台頭や政権交代による構想の変化によって同盟国はおろか州軍にも採用されず試作3機が製造されて姿を消した『悲運の戦闘機』として知られている。

 

問題はそんなF-20が…それもその改良型が今ここにあるかだ。

 

「これも…そう言うことですね?」

 

「何分うちは小所帯だからな。運用コストや整備の手間を考えると実質これ一択だったというところもある。」

 

一番の理由は『アメリカの構造の差異』だろう。

 

連邦世界のアメリカは現実とは違い13の連邦州によって構成されていた。

 

つまり、一州が持つ『選挙人』の重さが現実とは比にならないほど重いのだ。

 

こうなると次期当選を目指す大統領は地元を一層優遇するようになる。

 

ネイトの世界のアメリカでは次代の大統領がF-20の製造元の『ノースロップ・グラマン』の本社がある『バージニア州』が含まれている『コロンビア連邦州』出身の大統領が当選。

 

これにより大統領の地元ということもあり『中間国際戦闘機構想』が継続されF-20は大々的に発表されその高性能と価格の安さから構想通りの中小の同盟国や州空軍に大ヒットした。

 

しかし時代が進みF-16などのライバル機の発展型や新型機なども台頭し性能が徐々に陳腐化。

 

そこで『ノースロップ・グラマン』は大胆な一手に打って出た。

 

それこそ…F-20の発展型の開発である。

 

参考にされたのはF-20と同型のエンジンを搭載していた『F/A-18A/B レガシーホーネット』である。

 

その発展型は言わずもがな米海軍で活躍しているマルチロール機『F/A-18E/F スーパーホーネット』だ。

 

新型戦闘機開発の折、共同事業を行っていた『ボーイング社』からノウハウが提供されすぐさま改良。

 

エンジンは『F/A-18E/F スーパーホーネット』と同型の『F414-GA-400』の単発機用改良型『F414T』に換装、これによって超音速巡行能力を獲得。

 

さらにエアインテークの形状の改良やレーダー反射材などの新素材を用い正面から照射されるレーダーに対してある程度のステルス性を付与。

 

他にも完全な『フライ・バイ・ワイヤ』、『CCV技術』といったF-20にはなかった新技術も搭載し人類が可能な限界の運動性も維持。

 

それらの影響で『F/A-18E/F スーパーホーネット』と同様に元のサイズより一回り大型化されたがそれでもライバルのF-16よりも小型に収まっている。

 

さらに大型化によって搭載燃料とハードポイントの数も増加され弱点であった戦闘行動半径と火力も強化。

 

この影響で火器管制レーダー『AN/APG-67』の改良型も搭載され探知距離も増加し米軍機にも負けない性能を獲得した。

 

結果、『F-16初期型並みの価格でF-16後期生産型に匹敵する総合性能』を獲得することに成功し『F-20E White Shark』の名称で販売。

 

F-20を運用していた各国・各州軍はこぞって導入し大ヒットとなった。

 

米中戦争でもアラスカ州空軍が運用し人類史最後にして最大の航空戦『バトル・オブ・ベーリング』でも中国軍機相手に奮戦、終戦までアラスカの制空権を守り抜いた。

 

それらの要素からアビドスの空を護るにはうってつけと判断しネイトは水没地帯の工業地帯で生産、配備することにしたのだ。

 

「ん…アヤネが喜びそうだね。」

 

「確かにな。いつ届くか目を輝かせながら俺にせっついてたし乗りたくてうずうずしてるだろう。」

 

「戦闘機の操縦はそんな簡単ではないでしょうが…彼女ならすぐに乗りこなしそうですね。」

 

ピカピカのF-20Eを前にそんな会話を交わしているとキャノピーがオープンし、

 

「マスター!F-20E飛行中隊、現時刻をもってアビドス航空部隊に着任!」

 

空軍カラーのMr,ガッツィーが地面に降り立ちネイト達に敬礼の姿勢をとる。

 

「あぁ、よく来てくれた。アビドスの空の守りを頼んだぞ。」

 

「Yes Sirッ!我々がいる限りアビドスの空は何人も好きにはさせません!!!」

 

同じく敬礼の姿勢で答えるネイトからの激励の言葉にも力強く答えた。

 

「今後はアビドス生徒への訓練も頼む。」

 

「お任せを!アラスカを守り抜いたテクニックを叩きこんで見せます!」

 

将来的にはMr,ガッツィーではなくアビドス生徒による運用も考えているので志願者には訓練を行う予定だが…

 

「ネイトさんは乗らないんですか?」

 

傍らにいるイロハがイタズラ気な笑みをネイトに向けそう尋ねる。

 

「いや、俺は陸の人間だから…。」

 

生憎、ネイトは地に足を付けて戦うのがメインだ。

 

戦闘機の操縦を覚えてもそれほどメリットはないが…

 

「遠慮はいりませんよ、マスター!操縦は私が行いますので!」

 

気の良いジョーズ01がアトラクション感覚で搭乗を進めてきた。

 

「…いやぁ…。」

 

それでもネイトは困ったような表情を浮かべるが…

 

「ん…だったら私も乗ってみたい。」

 

「…でしたら私も記念に。」

 

Mr,ガッツィーが操縦してくれるということでシロコとイロハが立候補。

 

「おぉっ!ではゲヘナのお嬢ちゃんは僚機のジョーズ02に乗ってくれ!燃料補給が済んだらすぐに飛ぶぞ!」

 

ということでシロコとイロハがジョーズ01と02の機体に搭乗することに。

 

そんな二人に…

 

「…あぁ~、二人とも。」

 

「「?」」

 

「Good luck。」

 

幸運を祈る言葉を、

 

「そしてジョーズ01…加減はしろよ?」

 

「はっはっはっ、もちろん!」

 

Mr,ガッツィーには忠告をネイトは告げた。

 

そして…

 

「吠えろ、ホワイトシャーク!!!」

 

シロコとイロハを載せた二機のF-20Eはエンジンを猛らせ空へと舞い上がった。

 

さて、このF-20…現実世界では上記の通り様々な要因が重なり試作が3機作られて終わった悲運の機体だ。

 

そして…現存する機体は一機のみだ。

 

試作で終わったのになぜ二機減っているのか?

 

その理由というのが…F-20の運動性が『高すぎる』ということだ。

 

F-20がデモンストレーションで飛行した際、エンジン各所に問題ないのに…パイロットがその運動性から生じる強烈すぎるGによってブラックアウト…つまり気絶し墜落してしまったのだ。

 

そんなF-20の…しかも発展型であるF-20E。

 

しかもパイロットはGなんて一切関係ないMr,ガッツィー。

 

つまり…

 

ゴォォォォォォォウッ!!!

 

「どうだい、シロコの嬢ちゃん!!?最高の乗り心地だろう!?」

 

「ンッ…んンんー…ッ!!?」

 

「イロハちゃんよ、こんな刺激的な空初めてだろ!?」

 

「アガガガガ…!?」

 

キヴォトス人の中でも頑丈な部類のシロコとイロハでさえ言葉を発することすらままならない状態に。

 

まさに『殺人的な加速』というやつだ。

 

しかもそんな状態で上昇・下降・旋回を繰り返そうものなら…

 

『―――――。』

 

憐れ、二人は白目を向き意識を青空の彼方へ吹き飛ばしてしまうのであった。

 

そして、着陸後…

 

「やぁ、お帰…。」

 

「「高校生女子がとても見せられない状態になっています。」」

 

「…誰かぁッ!!!水と洗面器持ってきてくれー!」

 

後に二人は語る。

 

「ん…あんなの私には絶対に無理。」

 

「ネイトさんの世界のパイロットは化け物ぞろいです。」

*1
ざっくり説明するとアメリカで採用されている戦闘機よりも性能を落とした戦闘機を同盟関係にある中小国に輸出しようという構想




F-20E White Shark
・乗員: 1名
全長: 14.95 m
全高: 4.50 m
翼幅: 8.75 m
翼面積: 24.2 m2
空虚重量: 7,120 kg
運用時重量: 9,770kg
最大離陸重量: 15,950kg
動力: F414Tターボファンエンジン 100kn

性能

最大速度: マッハ2.7
最大戦闘行動半径: 900㎞
フェリー飛行時航続距離: 3,750 km
実用上昇限度: 16,800 m
上昇率: 280m/s
ハードポイント;9か所

兵装
固定武装
M39A2 20mm リヴォルヴァーカノン×2門 (弾薬 各420発)
ミサイル
空対空ミサイル
AIM-120 AMRAAM
AIM-7 スパロー
AIM-9 サイドワインダー
空対地ミサイル
AGM-65 マーベリック
AGM-88 HARM
空対艦ミサイル
ハープーン
爆弾
無誘導爆弾
Mk.81 250lb爆弾
Mk.82 500lb爆弾
Mk 83 1000lb爆弾
Mk 84 2000lb爆弾
レーザー誘導爆弾
ペイブウェイ

―――以上、妄想の産物になります
最後に…エリア88のOVAは最高(鳴砂→なるさ→NARUSA→ASURAN)
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