ある日、アビドスの中心街あたりにて…
「おいおい、ヘイローもねぇオッサンよぉ…!さっさと出すもん出しちゃってくれよぉ…!」
「そうだぜぇ、番長キレっと何すっか分かんねぇぞ!」
(…アビドスの不良ってなんか戦前の似たような連中と違うな…。)
徒党を組んだオートマタの不良集団がネイトに絡んでいた。
事の発端は昨日のこと、アビドス対策委員会室にて。
「そういえばぁ…ネイトさんって携帯持ってるのぉ?」
ホシノが何の気なしにネイトにそんなことを尋ねた。
「え?俺、携帯なんか持ってないぞ。」
「え、持ってないんですか?」
装備のメンテナンスをしながら答えたネイトの意外な返答にアヤネが驚きながら聞き返す。
「現状必要がないからなぁ…。」
「いやいや…外で連絡付かないと困るでしょ?」
なんとも無頓着なネイトにセリカがそう突っ込むも…
「俺の現場は主に砂漠の廃棄地区だぞ?そもそも電話が通じないだろ?」
「あ…そっか…。」
ネイトの語る尤もらしい理由に納得するしかない。
基地局などない場所で働いているのだ。
正直、あまり持っていても意味がないと思っている。
「じゃあお仕事の連絡はどうされてるんですかぁ?」
「学校の電話線があるだろ?廃墟で見つけた電話機つなげてそれでやり取りしてる。」
「って、またそんな風に拾い物で…。」
連邦時代からの習慣か、ネイトにはかなりの収集癖がある。
以前の自動車や電話機のように廃墟解体の際に住人が置き去りにしていった家具や電化製品をしょっちゅうクラフトの収納機能を使って持ち帰って来る。
これの何が質が悪いかというと…大概を修理し稼働状態に復旧できるだけの技術力がネイトにあるということ。
退役後はフリーのエンジニアとして飯を食べていただけあって手先の器用さは折り紙付きだ。
連邦とキヴォトスの科学技術の発展具合の差異に最初は少々てこずったが今はもうほとんどの修理技術を習得している。
そんなこんなでネイトの生活拠点にある技術室にある電化製品は殆どそうやって修理された物ばかりだ。
それ以外にも修理したものをリサイクルショップに売却し借金の返済資金や小遣い稼ぎにしている。
なお、どうしても修理できない物は即クラフト解体し資材に変更しているので抜かりはない。
「ん…じゃあネイトさんが学校にいないときはどうしてるの?」
「電話番のMs.ナニー作ってるから問題ない。」
「そういえばぁ経理もロボットに任せてたんだっけぇ。」
そしてこれである。
サクッと労働力を担えるロボットを作成できるのでより最新機器への更新に対する無頓着さに拍車がかかっている。
「あるもので何とかやってきた生活だったからなぁ。現状事足りてるといいかな、と思ってしまう。」
とまぁ、自分から携帯電話を買いに行く気はないネイト。
すると…
「…ネイトさん?」
『ッ!』
アヤネに…あのスイッチが入った。
思わずネイト…だけでなく全員の背筋がピンと伸び…
「そういう問題ではなく…社会人としていつでも連絡が取れるようにするのはマナーですよ…?」
「え、そ…それは…。」
「明日…携帯の契約に行ってくださいね…?」
「は…はい…!」
静かだが有無を言わせない口調でネイトが携帯を持つことを『説得』したのであった。
その後はホシノたちからいくつかの携帯ショップを教えてもらいPip-Boyに登録。
今日は休日なので一人で街に繰り出し、そして冒頭の場面につながる。
一応、ネイトもキヴォトスでは身嗜みの一環である拳銃を提げている。
いつものデリバラーではなく大口径リボルバー『ウェスタンリボルバー』である。
が、それでも頭にヘイローがないので嫌でも目立つ。
「ど―すんの、これぇ?おろしたての学ランが台無しだわ…。」
今ネイトに相対しているバット(極々普通の)を担いだ『番長』と呼ばれていたリーゼントのオートマタ。
よく見ると白い学ランの裾が汚れている。
…が、ここはアビドス。
市街地でもわずかながらに砂漠の砂は届くものだ。
汚れ方からしてネイトがどうしたではなくどこかで擦った感じ。
(レイダーでももっとましな因縁付け…いや、因縁付けずにほとんど撃ってきてたな。)
まぁいちゃもんつけてくる分大概のレイダーよりかは礼儀はあるらしい。
「…俺がハネを飛ばしたのなら謝るが…。」
今はまだ『話し合い』で解決できる段階だ。
一応謝罪の意思を見せるネイトだが…
「そじゃねぇ…。そういうことじゃねぇんだ、オッサン…。」
どうやらはなからネイトを『タダ』で逃がすつもりはないようだ。
「5万でいいぜ。それだけ置いたら行っていいぜ。」
と、番長はネイトに『カツアゲ』を仕掛けてきた。
その発言を聞き…
「…フンッ。」
思わず鼻で笑うネイト。
「…おかしいか、オッサン?」
その反応が気に障ったのか番長は担いだバットをネイトに向け降り下ろした。
が、
「…。」
動作が大きく間合いを図りやすいその攻撃をネイトは僅かに身体を逸らすだけで回避。
「ッ痛ッ!?」
カァンッ!とアスファルトを勢い良く打ったせいか番長の手が痺れバットがこぼれた。
「…話はついたな?行かせてもらうぞ。」
その反応を見たネイトは番長を無視し先へ行こうとするも
「待てやぁ!!!」
と、いつの間にかネイトを取り囲んでいた手下の不良がネイトの行く手を遮る。
「…いいか?これ以上はつまらないぞ?」
「あぁッ、何がだ!?」
「ズボン汚したくらいの因縁で怪我をするのはつまらない、と言っている。」
そう行く手を遮る不良に忠告するも、
「てめぇ、よくも恥かかせやがったなぁ!?」
当の番長は激高し、
「ちょうどいいぜ!!!テメェでこのリーゼントの試運転してやらぁ!!!」
番長のリーゼントの先端が開き中から銃口が覗いている。
「…いいか、手加減はできんぞ?」
そう言い、ネイトは番長に向き直り
「死ねy…!」
カチンッという撃針が雷管を叩いた、次の瞬間、
「-ッ!」
「ぐべぁ!?」
ネイトがV.A.T.S.を起動し番長に向けある武器を嵌めた拳をリーゼントに向け放つ。
そのままの勢いで番長を地面に叩きつけ、拳に嵌めた武器のギミックが発動。
油圧と空気圧によって鉄骨むき出しのコンクリート片がすさまじい威力を持って飛び出し番長のリーゼントを完全に叩き潰した。
『パワーフィスト』、元は解体現場で用いられた工具だが油圧と空気圧で叩きつけられる打面の威力は余裕で命を奪えるほど。
レジェンダリーは連続攻撃で威力が上昇する『猛烈』と威力と貫通力が上がるモジュール『穿孔』が装着されている。
その衝撃に番長は完全に伸びてしまった。
「ば、番……長…!?」
一瞬で自分たちのヘッドを倒され手下は言葉を失っている。
「…おい、見たか?」
「へ…へいッ……し、しっかりと…!」
「違う、これを見たかと聞いている。」
そんな手下にネイトはパワーフィストを収納し胸ポケットの中にしまっていたアビドス高校に所属していることを示す認識票を見せた。
「用があるならここに連絡を寄越せ。」
「は、はぁ…?」
「俺はいつでもここにいる。…行かせてもらうぞ。」
そう唖然とする手下の間を抜けネイトは目的地へと向かう。
(えぇっと…確か教えてもらった携帯ショップは…あと10ブロックは先か。)
何はともあれトラブルを排除し先に進むネイト。
彼としては一応すべての携帯ショップをめぐりお得なプランで組めるところと契約を結ぶつもりだ。
(まぁトラブルはあったがゆっくり行っても昼前には回れるだろう。)
そんなことを暢気に考えながらネイトは市街地を歩いていく。
…が、ネイトはすっかり忘れていた。
ここはキヴォトス。
暴力というものが『連邦』よりも身近に存在している場所だということを。
一ブロックほど進んだあたりで…
「よぉ、おにいさぁん。そこで止まりな。」
「アタシらにちょいとお小遣いちょうだいよぉ。」
「もし嫌ってんなら礼はするよ。鉛玉で。」
今度は黒地に×マークのマスクをつけた女子不良、通称『スケバン』が立ちふさがる。
武装はサブマシンガン『MPX』、ライフル『M1903』にミニガンと結構な重装備だ。
「…………はあああああ。」
「あぁん、なぁにため息ついてんだよ?」
「いやぁ…面倒ごとに巻き込まれる最短記録を達成したなぁ…って。」
正直、連邦でもこんな短いスパンで絡まれることはなかった。
「はぁ?何訳の分かんねぇこと言ってんだ。」
「あぁすまん、こっちの話だ。まぁ、渡すような持ち合わせがないんだ。そこを通してくれ。」
「それだけ聞いてはいそうですかっていくわけねぇだろ?」
面倒ごとは避けたいネイトをしり目にスケバンたちはトリガーに指をかけた状態でネイトに銃口を向けた。
が、
「「「ぎゃふん!!?」」」
「…あ、しまった。」
次の瞬間、反射的にネイトはV.A.T.S.を起動し今度は手に鉛仕込みのボクシンググローブを装着しスケバンたちを一網打尽に。
特にレジェンダリーもついていないがとりあえずスケバンは全員気絶。
「…仕方ない。」
銃を向けられたが少女を道端に放置するのも気が引けたので端に寄せて、
「…名刺置いとくからまぁいいか。」
最近作ってもらった『Wasteland General Trading Company(以降W.G.T.C)』の名刺を置き立ち去った。
…ちゃっかり武器は回収して。
その後も…
「ヘイおにいさぁん。俺たちにちょっと融資して…ふげぇ!?」
「融資欲しかったら銀行に行け。」
「おい、痛い目にあいたくなけりゃ財布をだsうんぬ!?」
「悪い、財布出す相手は選ぶ性格なんだ。」
「おらぁ!ぶつかったせいでアタシの肩が折れぎゃああああ!!?」
「よかったな、本当になったぞ。」
「はぁ…はぁ…今何色のパンツ履いてヒンッ!?」
「お前はベクトル違うよなぁ!?」
僅か一ブロックを進むごとに不良、チンピラ、スケバンとバリエーション豊かな面々に絡まれ続けるネイト。
ヘイローがないせいか完璧に舐められ一度も見逃してはもらえず。
結局、そのすべてに対処(格闘攻撃による無力化)しているうちに…
『カァーカァーカァー。』
「…腹…減ったなぁ。」
携帯ショップを周り契約を済ませるころには夕方に。
「ヘイらっしゃ…ってネイトさん!?なんでアンタそんなよれよれなんだい!?」
昼食を完全に逃し、夕食も兼ねて柴関ラーメンによったら大将にとても驚かれた。
「いやぁ…キヴォトスって刺激的だなぁって。あぁチャーシュー麺、大盛りのトッピング全のせで。ついでに生ビールも…。」
「あ、あいよぉ!」
その後は注文したラーメンを瞬く間に完食しそそくさとアビドス高校へ帰っていったのであった。
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「ってなことが昨日あってな。」
「えぇ…全部拳で解決しちゃったの…?銃、腰に提げてたのに…?」
「銃抜くよりもそっちの方が速かったからな。弾代もロハじゃないし。」
「うへ~、だからって腕っ節だけで街中歩いてきたのがおじさんは驚きだよぉ~。」
「何なら、連邦だとザラだぞ?…ノノミ、ここはどう設定すればいいんだ?」
「ここはですねぇ、ネイトさんの好きなパスワードや質問の答えを…。」
翌日、契約して入手したスマホの設定をノノミやシロコに教えてもらいながら昨日のことを話すネイト。
見かけは壮年だが中身は老人、連邦には存在しない装置でもあるので少々てこずっている。
確かに暴力が日常のキヴォトスだがその向けられた暴力を銃ではなく『格闘』ですべて退けたというのは聞いたこともない。
と言うより銃撃った方が手っ取り早いのでそもそもそんなことをキヴォトス人はやらない。
「ん…ネイトさんとキヴォトス人は身体能力がかなり違うのに何で勝てたの?」
「耐久力が違うとはいえ構造は人間とほぼ変わらない。格闘武器装着して急所を狙ってV.A.T.S.で叩きこめば何とかなるもんだぞ。…シロコ、アプリってのはどうやって導入すれば…。」
「ん…それはここでできる。キヴォトスで皆使ってるのを教えてあげる。」
「でもぉ~いくら何でも躊躇がなさすぎなぁい?」
「そりゃ人よりずっとタフな人型の敵と戦ってきたからだな。さすがにアイツらよりはキヴォトス人もタフじゃないだろうし。」
「動物のクリーチャーの話は聞いてましたけどそういう凶暴な生物もいたんですねぇ…。」
「『スーパーミュータント』って言ってな、人食いで素手でパワーアーマー引きちぎるようなやつらがわんさかいたからなぁ。」
「パワーアーマー引きちぎる!?そんな化け物に殴り合い仕掛けてたの!?」
「俺は殴り合いは仕掛けんよ、セリカ。やるのは急襲からの一方的なタコ殴りだ。コンバットゾーンってとこで見世物の殴り合いはやったことはあるけど。」
とそんなこんなで連邦における近接戦事情を話しながらスマホの設定は進んでいき…
「…これで終わりか?」
「ハイ、お疲れさまでしたぁ。」
「ん…これでネイトさんもマナーある社会人。」
ようやくアプリの導入やもろもろの設定も終えネイトのスマホデビューと相成った。
「うへ~じゃあさおじさんと番号交換しようよぉ~。ついでに『モモトーク』もフォローさせて~。」
「あッじゃアタシも!」
「私もぜひお願いしますぅ~♪」
「ん…みんなのを登録しておこう。」
「おぉ、これがメル友ってやつか。」
そんなこんなでさっそくアドレスやアプリのフォローを行っていくホシノたち。
やはり女子高生、この手の話題に関しては瞬発力がいい。
その時、対策委員会室のドアが勢いよく開き…
「ネイトさん、あなた一体何やったんですか!?」
「あれ、アヤネちゃん?どうしたのそんな慌てて?」
アヤネが大慌てで飛び込んできた。
「どうしたもこうしたもないですよ!?今近隣の監視システムが反応してですね!」
「あ~この前廃墟に忍ばせてたやつねぇ~。それがどうしたのぉ?」
「今アビドス高校に向かって数十人の集団が押し寄せてるんですよ!」
アヤネからの報告を受け俄かに殺気立つ一同。
「ん…その集団ってヘルメット団?」
「い、いえそれが…。」
が、どうやらいつもの襲撃とはわけが違うらしい。
「じゃあ一体どんな人たちなんですかぁ?」
「な、なんというか…不良の方々なのはわかるんですがチンピラやスケバンなどグループがてんでバラバラで…。」
そんなアヤネの腑に落ちていない報告を聞き、他の対策委員メンバーの視線がネイトに注がれる。
「…あぁ~、アヤネ。多分全員俺の客だ。」
「やっぱり!いったい何を…!?」
「話せば長くなるから後でな。…まぁ、応対は俺一人に任せろ。」
そう言い、ネイトはコンバットアーマーとシルバーシュラウドの衣装を着込み大型の銃を担ぐ。
『アサルトライフル』、名前こそそれだが実態はパワーアーマー用の水冷式アサルトライフル。
元は歩兵携行用の軽機関銃である。
『パワフルオートレシーバー』、『ポーテッドバレル』、『反動吸収ストック』、ベルトリンク装填を復活させた『弾薬箱マガジン』という制圧射撃もこなせる仕様だ。
さらにレジェンダリー『ツーショット』の効果も付与され威力もばっちりだ。
「それじゃあ行ってくる。」
「あぁッ!ちょっとネイトさん!?」
一通り準備を済ませネイトは校庭へ向かっていった。
「ど、どうしましょう!?」
「どうしましょうって言っても…援護するために準備するしかないわね。」
「ん…もしもの時はすぐに動けるようにしておいた方がいい。」
「あ。じゃあ、私もエプロンとか準備してきますねぇ。」
取り残されたシロコたちも急ぐことはないが一応戦闘の準備を行う。
が、
「……。」
「ホシノ先輩、どうしたんですか?」
「ぅん~?ちょ~ちおじさん持ってくるものあるからぁ先行っててぇ。」
ホシノだけは得物を持たずにどこかへ向かっていった。
そんなこととはつゆ知らず、
「……。」
校庭に佇み今からくるであろう来客たちを待つネイト。
そして…
「…来たか。」
性別種族問わずネイトが昨日叩きのめした不良たちの一団が校門を抜け現れた。
人数にして…約60人。
『………。』
「昨日はどうも。住所を教えてたからそれは来るよな。」
『………。』
「さぁて…暴れるってんなら…。」
そういい、ネイトはチャージングハンドルをひき初弾を薬室に装填、
「今日は本気で相手になってやるぞ。」
戦闘状態時の鋭く冷たい雰囲気を帯びた。
次の瞬間…
『お見それしました、『親分』!!!』
不良たちはいっせいにネイトに対し地に伏せる。
いわば土下座の恰好をとった。
「…え?」
「「「…え?」」」
これにはネイトと背後で援護準備をしていたシロコたちも言葉を失う。
「お、俺ぁ今まで銃をちらつかせて周りに俺のいうことを聞かせてきたんだ!だが、アンタは俺の銃にビビりもしなかった!」
ネイトに昨日リーゼントを叩き潰された番長が顔だけを上げ叫ぶ。
潰されたリーゼントは撤去されたのかまるで坊主頭みたいになっている。
「それだけじゃなくて、アンタはぶん殴って俺を沈めた!初めての経験だったんだ!銃よりも強ぇ力を持つ奴がいるなんて!」
「あ、アタシらも銃を突きつけたのにアンタは一瞬でのしちまった!」
「あんな大人見たこともねぇしあんな経験初めてだったんだ!」
「武器を奪われてから心細くて仕方なかった!アンタはそんな状態で一切怯えずアタシらと戦ったっていうのに!」
続いて、三人組のスケバンも顔を上げて叫ぶ。
その後もネイトが昨日叩きのめした不良たちの口上が続いていく。
この時にはもうネイトも銃を担ぎ、シロコたちもネイトの一歩後ろに控えるように佇む。
そして…
「俺等はあんたの強さに惹かれたんだ!だからこうやってアンタのとこにみんなでやってきたんだ!」
最初はそれぞれのグループだった。
それが一つ、また一つと合流。
顔を合わせる全員が手当てした跡があったので目的地はわかった。
だから、不良たちは言葉を交わすことなく一団となってアビドス高校へとやってきたのだ。
「た、頼む!雑用でも何でもいい!アンタのもとで働かせてくれ!」
「アタシ等ははぐれ者の不良だけどアンタを絶対にがっかりさせたりしねぇ!」
『頼みます、親分!!!アンタのもとで漢を磨かせてください!!!』
どうやら不良たちは昨日のネイトとの戦いで何かが芽生えたようだ。
再び地面に頭を伏せネイトの配下に入れるよう懇願する。
「ん…ネイトさん、どうするの?」
「どうするの…たってなぁ…。」
「多分、追い返してもまた来ちゃうわよ…。」
「皆、ネイトさんの腕っ節に惚れちゃったみたいですよお…。」
ネイトたちは困惑しコソコソと対応について話し合う。
その時、
「はいは~い、みんな頭上げてねぇ~。」
「ってホシノ、何を持ってきたんだ?」
遅れて登場しなぜか『パトロールマンのサングラス』をかけているホシノ。
その手には書類の束が握られていた。
それが何かネイトには分からなかったが…
「ホシノ先輩、それって…!?」
「え、まさか…皆さんを…!?」
「ん…なるほど、ホシノ先輩は賢い。」
察しがついたシロコたちは唖然としたり感心したりしている。
「うへへへ~、はぁいみんなぁ。ネイトさんの下で働きたいっていうならこれにサインしてもらわなくちゃあねぇ。」
そう言いホシノが不良たちに差し出したのは…アビドス高校への転入書類であった。
「…ホシノ、まさか…!」
ようやくネイトも彼女が何をやろうとしているのか察しがついた。
それに対し不良たちは…
「そ、それだけでいいのか!?」
「この学校に入れば親分の下で働けるのか!?」
「そんくらいいくらでも書いてやるよ!しかも学校に入れるなんて一石二鳥だ!」
『うおおおおおおお!!!』
ホシノの書類をどんどん受け取り次々にサインと拇印を押していく。
「うへへへ~、おじさんもネイトさんのやってたことマネさせてもらうねぇ~♪」
「真似ってオイオイ…。」
なんとも軽く事態を眺めるホシノにあまりにも簡単に彼らを受け入れたことに当惑するネイトだが…
「…それに。」
そこでホシノはサングラスを外しながら静かに呟く。
その表情は全体的に柔らかいが口調は真剣さを帯びている。
「うん?」
「ユメ先輩も言ってたんです。『戦って問題を解決しても、それは次の争いの火種になるだけ。』だって。」
「………。」
「そして…『何でも武力で解決するようになったら、いつか自分を見失う』とも言ってたんです。」
「………。」
「ネイトさん。この前のヘルメット団のこと…ユメ先輩が言ってたことは本当なんだなぁ…って思ったんです。だから…二番煎じですけど貴方をまねてみました。」
ネイトがヘルメット団にやった方法が…奇しくもユメの理想通りの方法だったことを伝えた。
そうこうしているうちに…
『親分に姉御、書けました!!!』
全員、転入届にサインをし終えてネイトたちに提出してきた。
「…さぁ、親分さん♪もう引き下がれないよぉ?」
と口調も崩しネイトを煽るように告げるホシノ。
「…はぁ、まったく。」
そんなホシノへの仕返しとしてか、
「ていっ。」
「いてっ。」
軽く空手チョップを頭に入れ、
「…明日の7時30分までにここに集合だ。重機はあるからそれを使って俺の仕事を手伝ってもらう。遅れるなよ。」
不良たちに向け『雇う』旨を伝えるのであった。
その表情にもはや迷いはなかった。
『押ぉぉ忍ゥッ!!!』
不良たちの表情も一気に明るくなり気合十分でネイトの言葉に応えるのであった。
一応、このあたりで本編開始までの下ごしらえは完了しました
訂正
アンケート機能がお亡くなりになっているみたいなのでこのまま数話ほど閑話をはさみたいと思います
主に対策委員会メンバーとの絆エピソードみたいなものと思ってください
今後について(期限は明後日まで)
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本編開始直前までスキップ
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対策委員会メンバーとの絆ストーリー