Fallout archive   作:Rockjaw

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ドラマ『Falloutシーズン2』をようやく視聴できました。
ネタバレは極力控えてこの二人から感想を一言。
ネイト&101のアイツ「………正気か?」


Scarlet and Azure Duet

「どういうことですか、チェリノ委員長…!?」

 

「フム、どういうこととは…どういうことなんだ、リン主席行政官?」

 

サンクトゥムタワーの一室ではリンとチェリノ、彼女の脇に控えるトモエが相対していた。

 

「我々はそちらに遣わした部隊で奴を、ネイト社長を保護しようとしているのだぞ?」

 

議論の的は当然、マリナたちの行動だ。

 

確かにレッドウィンターの行動は連邦生徒会が求めた通りのことだ。

 

最早時間的猶予もなくなんとしてもネイトの身柄を抑えなくてはならない。

 

しかし…

 

「それは怪我人の搬送を妨害してまで行われるべき行為なのですか…!?」

 

方法があまりにも強引すぎる。

 

正義実現委員会に起こった惨事はすでに伝わっている。

 

ネイトがその場で救助活動を行い…狙撃されたことも。

 

そして、レッドウィンターの現地部隊はそんな彼女達や彼を救うためにやってきた救急車を拘束しネイトの身柄を要求してきたのだ。

 

人道的にも認められる方法ではない。

 

が、

 

「それでも…ラフィアン、ネイト社長はこちらへの投降を認めたぞ?なぁトモエ?」

 

「はい、チェリノ書記長。マリナ委員長から救急車の開放を条件に彼が身柄を差し出すことを承認したと報告が上がってきています。」

 

「…っ!」

 

その効果は絶大、今まで連邦生徒会とトリニティと言う二大組織が指すら掛けられなかった『ネイト確保』。

 

レッドウィンターはそれを成し遂げようとしている。

 

「おいらの部下の行いが気に喰わないのであれば…ここで奴を解放してもよいが…どうする?」

 

「ここで一報をいれれば即座にマリナ委員長は直ちに撤退しますよ?」

 

「クッ…!」

 

付け髭を撫でながらそう尋ねるチェリノにリンは歯噛みする。

 

交渉の主導権はすでにあちらに握られてしまっている。

 

ここでもしチェリノを非難し彼女のご機嫌を損ねれば…

 

「………分かりました…!これ以上、今は是非は問いません…!」

 

リンは閉口するしかない。

 

第一、もう議論している時間が無い。

 

ここでネイトをとり逃せば…あとに起こるのは標的が自分たちになったアビドス独立戦争の第2ラウンドだ。

 

幸い、まだこの件をメディアが察知している気配はない。

 

ネイト確保後に何とかこの場を後で納めることが出来れば…

 

「うむ、主席行政官殿は物分かりがいいようで何よりだ!」

 

リンの返答にチェリノは満足げに答えると…

 

「チェリノ書記長、救急車の車列が出てきたようですよ。」

 

「そうかッ!どうだ、ここでネイト社長確保の場面を見てくとイイ!」

 

マリナが起動させているボディカメラから送られてくる映像を映したノートPCをリンに見せる。

 

《待たせたな。》

 

画面にはちょうど姿を現したX-02を纏っているネイトの姿が映し出されていた。

 

「おぉッまさか持ってきていたとは!!!」

 

「映像越しでもすさまじい迫力ですね…!」

 

チェリノはもちろんの事、普段から冷静さを崩さないトモエですらその姿に圧倒されている。

 

「………!」

 

かつてのカイザーとの一戦のデータでその戦闘能力をいやというほど目の当たりにしたリンも顔を強張らせていた。

 

《ほぉ、我々の軍勢を前に毛先も恐れを抱かないとは…。》

 

マリナもその姿に感心したような声を漏らしていた。

 

《で?北の冷凍庫から遠路はるばる何しに来たんだ?》

 

《察しがいいじゃないか、ラフィアン。》

 

「えぇい、マリナの奴め!問答はいいから早くラフィアンを捕まえ…!」

 

画面の向こうの二人のやり取りにチェリノはやきもきしているが…

 

《「我らが書記長『連河チェリノ』会長の命だ!!!ラフィアン、貴様を『始末』させてもらおう!!!》

 

「…は?」

 

マリナの言い放った言葉に表情が固まった。

 

「しっ始末!?」

 

「どッどういうことですか、チェリノ委員長!?まさかネイト社長を…!?」

 

これにはトモエも驚愕しリンは血相欠いてチェリノに詰め寄った。

 

『始末』、これではまるでネイトの命を奪おうとしているようではないか。

 

「ち、違う!おいらは確かにラフィアンの確保をとマリナに命じ…!」

 

当然、チェリノはそんな指示を出してはいない。

 

あくまで目的は『確保』、彼女もあわよくば手柄を独り占めしようとは考えたが決してネイトを害そうというつもりは一切ない。

 

が…

 

「…あぁッ!!?」

 

チェリノは思い出した。

 

確かに自分は確保を命じたが…

 

「しまった、マリナに『無事なまま』と伝達を忘れていたぁ!!!」

 

その時のネイトの状態の指定をすることを忘れていたのだ。

 

マリナの抜けっぷりは彼女も知るところ。

 

そこまで言わなくても分かるだろうと高をくくってしまっていたのだ。

 

「チェリノ書記長ッ!!!」

 

「はッ早くマリナに伝えるんだ!!!ラフィアンを始末することなど言語どうだ…!」

 

慌ててチェリノはマリナに行動中止を伝えようとするが…

 

ズバガァンッ!!!

 

『ッ!!?』

 

ノートパソコンから衝突音が鳴り響き…

 

《黙りなさい、レッドウィンター!!!》

 

「あ、アイツは!?」

 

「救護騎士団団長の蒼森ミネさん!?」

 

保安委員会部隊の前にミネが立ち塞がった。

 

「まさかネイトさんを護ろうと!?」

 

「そんなッ!?我々は協力体制をとっているのにか!?」

 

「とっともかくマリナ委員長に通信を、チェリノちゃん!!!」

 

このままではネイトだけではなくトリニティとも正面衝突は避けられない。

 

何とか両者を宥めようとチェリノはすぐにマリナにコンタクトをとろうとするが…

 

Prrr…Prrr…

 

「なっなぜ出んのだ、マリナああああああ!!?」

 

無情にも呼び出し音だけが響き渡り続けた。

 

【04:13】

 

そんな自分たちのトップとリンの大慌てなど知る由もなく…

 

「なっ何をやっている!!?数ではこちらが勝っている、押しつぶせ!!!突撃あるのみだ!!!」

 

「Ураааааааа!!!!!」

 

チェリノの命を曲解し来襲したマリナ率いるレッドウィンター治安維持組織『保安委員会』の軍勢およそ100名。

 

「かかってこいッ、赤共!!!粉砕してやる!!!」

 

「これよりさらに救護の強度を上げます!!!覚悟ッ!!!」

 

ネイト及びミネ率いる救護騎士団、総勢29名の戦闘の火蓋が切られた。

 

眼前に迫る保安委員会部隊の先方に対しネイトとミネがとった手段は非常にシンプルだった。

 

「参ります!!!」

 

ズガァン!!!

 

ミネはライオットシールドを地面に突き立て、

 

ドォンッ!!!

 

『うわぁッ!!!?』

 

それだけで迫ってきていたレッドウィンター生の突撃を受け止めて見せた。

 

そして、

 

「救護ッ!!!」

 

ズバドォンッ!!!

 

『ぎゃあああああ!!?』

 

勢いが収まった瞬間にライオットシールドを振るい複数人纏めて叩き飛ばした。

 

一方、

 

「受け取れ、自由主義社会の弾丸だ!!!」

 

バスススッ…!

 

『アガガガガガ!!?」

 

ネイトは左手に持ったM4を迫るレッドウィンター生目掛け掃射。

 

従来品を連邦流の改造を施し高威力化させさらにはPerk効果も付与された攻撃だ。

 

そんじょそこらの5.56㎜弾とはわけが違う。

 

しかも、X-02の効果により片手で撃っても一切銃口がぶれない。

 

「ぐあッ!?」

 

「ミネッ平気かッ!?」

 

「助太刀感謝します!!!」

 

大丈夫であろうがミネに迫る者たちにも銃撃を浴びせるのも忘れない。

 

一挙に十数人は片付けることはできたが…

 

カチンッ!!!

 

「ちぃ、アサルトライフルを持ってくればよかったか…!」

 

M4に装填されている弾丸も無限ではない。

 

60発の大容量マガジンを装着していたが瞬く間に弾丸が吐き出され弾切れに。

 

「たっ弾が切れた!!!前衛はたった二人だ、押し込めぇ!!!」

 

「Ураааааааа!!!!!」

 

好機と見たレッドウィンター生はそのままネイト目掛け銃撃を浴びせながら突撃を再開。

 

大半は東側銃器のベストセラー『AK-47』だが…

 

バギャギャギャギャギャ!!!

 

7.62㎜の弾頭ではX-02の装甲はおろかミネのライオットシールドも小動もしない。

 

二人はそのまままるで散歩でもするかのような悠然とした歩みのまま…

 

「フンっ!!!」

 

「はぁッ!!!」

 

バガガァンッ!!!

 

『ぐはぁッ!?』

 

消防斧とライオットシールド、それぞれの得物で迫ってきたレッドウィンター生を殴り飛ばず。

 

「ラァッ!!!」

 

「「「ぐへえッ!?」」」

 

ネイトが振るう消防斧の刃が一振りごとに2~3人一気に吹き飛ばしたかと思えば、

 

「フン!」

 

「がはッ!?」

 

「「「うわああああ!!?」」」

 

ミネがライオットシールドのシールドバッシュでビリヤード球の様に吹き飛び後方の生徒とクラッシュ。

 

「このおおおお!!!」

 

なんとか二人に肉薄できたものもいたが…

 

「フンッ!!!」

 

ゴドォッ!!!

 

「ぐへぇッ!!!?」

 

無造作に振られたX-02の文字通り『鉄拳』の左パンチによって殴り飛ばされ、

 

「そこぉッ!!!」

 

ズドォン!!!

 

ミネの『救護の証明』が火を噴き撃ち抜かれる。

 

さらにそこへ、

 

「目標、レッドウィンター突撃部隊!間違ってもお二人に当てないように!!!撃てぇッ!!!」

 

ズバババババッ!!!

 

後衛に控えていた救護騎士団団員たちからの援護射撃も襲い掛かる。

 

彼女たちの愛銃は『L85A2』か『L85A3』と言ったアサルトライフルだ。

 

『テストゥド』、担架を正面と上に構えたなんとも古典的な密集陣形ながらもアサルトライフルと言う近代火器によってかなりの火力を発揮。

 

「くそ、ペシペシ隠れながら撃ちやがって!!!」

 

たまりかねたレッドウィンター生がその陣形目掛けて発砲するも…

 

バシバシバシッ!

 

「はぁ!?」

 

弾丸は表面こそ傷つけたものの貫通には至っていない。

 

「クゥッ!」

 

「大丈夫ですか!?」

 

「大丈夫!団長の盾程じゃないにしても頑丈さは折り紙付きよ!」

 

着弾の衝撃こそ伝わって来るものの担架を構える団員はそう軽く返した。

 

救護騎士団、彼女たちは時として銃撃戦の真っただ中であっても負傷者を救護する使命を帯びている。

 

そんな彼女たちが持つ担架、これもまたただの布製の代物ではない。

 

有事の際には即席の防弾盾にできるよう防弾繊維で作られた特注品なのだ。

 

「君の団員たちもなかなかやるじゃないか、ミネッ!!!」

 

「私の卒業後も救護が行えるように鍛えてますので!!!」

 

後方からの支援射撃を受けなおもネイトとミネは眼前に迫るレッドウィンター生を叩きのめしていく。

 

その時だ。

 

ガゴォン!!!

 

「くうっ!?」

 

「ミネッ!?」

 

「も、問題ありません!!!」

 

ミネのライオットシールドを揺らすほどの衝撃が走る。

 

さらに、

 

バズゥンッ!!!

 

「キャッ!?」

 

「たっ担架が!?」

 

救護騎士団が構える担架にも風穴が穿たれた。

 

その理由は…

 

「行けぇッ『事務局親衛隊』ッ!!!奴らを押しつぶせぇッ!!!」

 

突撃を仕掛けてきていた部隊とは違う巨大な盾を構え発砲しながら前進する部隊がいた。

 

『レッドウィンター事務局親衛隊』、チェリノを筆頭としたレッドウィンター事務局の上層部を守護するために結成された精鋭部隊だ。

 

彼女たちが構えるのは防弾盾『VANTシールド』、防弾繊維と装甲板、防弾ガラスで構成され従来のバリスティックシールドを優に超える重量ながらもそれに見合った防弾性能を持つヘビーシールドだ。

 

さらに彼女たちが持つ銃はブルパップ式のライフルだが…AK-47と比べ桁違いの大口径の銃口をこちらに覗かせている。

 

「ShAK-12…!アラスカ以来か…!」

 

それらの銃にネイトは覚えがあった。

 

『ShAK-12』…『12.7x55mm弾』、つまり50口径という桁違いの大口径弾を用いる『対ボディアーマー用』のバトルライフルである。

 

米中戦争当時、アメリカの前に立ちはだかったのは中国軍だけではない。

 

中国軍の主な進軍ルートであったベーリング海峡、その道中にはどうしても通過しなければならない共産国二大巨頭の一つ『ソビエト連邦』。

 

かの国からも物資のほかに…『義勇軍』として兵力が送り込まれてくることもあった。

 

その際に…ソビエト連邦軍特殊部隊『スペツナズ』がこの手の特殊なライフルを用いていた。

 

レッドウィンターもそんなソ連と同じような極寒かつ極北の地であるが…

 

(なるほど、力を入れているところはかなり発展しているようだな…!)

 

あの国同様、やはり油断できる学校ではないということだ。

 

X-02の装甲はほぼ効果はないが…

 

「クゥ…!」

 

亜音速弾ながらも『12.7x55mm弾』の大口径のストッピングパワーは馬鹿にできたものではなくミネの歩みは抑え込まれ、

 

バズゥンッバズズゥンッ!!!

 

「きゃッ!?」

 

「だっ大丈夫ですか!?」

 

救護騎士団が構える防弾担架も徐々に食い破られていく。

 

「大口径ならこっちも負けんぞ!!!」

 

それを見たネイトも負けじとその得物を取り出した。

 

50口径を遥かに超える40㎜グレネードランチャー『M32A1』である。

 

ボシュボシュッ!!!

 

事務局親衛隊が構えるVANTシールドに向け容赦なく引き金を落とし、

 

ズドドォォォォンッ!

 

『のワアアアアアアア!!?』

 

事務局親衛隊を吹き飛ばす。

 

流石のVANTシールドでもグレネード弾の爆発には耐えきれない。

 

戦列が崩れた今が好機。

 

「ミネ、手を!」

 

「ハイッ!」

 

ネイトはミネの手を取り、

 

ギュオンッ!!!

 

彼女の体が浮く勢いでハンマー投げのそれのように加速させ…

 

「ぬぅらぁッ!!!」

 

ブォン!!!

 

宙高く舞い上げた。

 

その高度はミネ必殺の『あの技』の際に出すモノよりもはるかに高く…

 

「誇りと信念を、胸に刻み!」

 

ギュンッ!!!

 

それによって生じる落下速度も比較にならないほど速くなり、

 

「救護ッ!」

 

ズドォオオオオオオンッ!!!

 

その威力もまた過去類を見ないほど強力となった。

 

あまりの威力にまるで自動車爆弾でも炸裂したかのような衝撃と紫の閃光が撒き散らされ土煙が舞い上がった。

 

「す…すごい…!あんな威力の団長の技…見たことありません…!」

 

「それにネイトさんも団長とあんなに息を合わせられるなんて…!」

 

あれだけのレッドウィンター部隊を前に一歩も引かないどころか次々になぎ倒していくネイトとミネに圧倒されるセリナやハナエたち救護騎士団団員たち。

 

ミネは強者犇めくトリニティであっても最高峰の実力者だ。

 

共に同じ戦場に『立つこと』はできても…『並び立って戦う』ことがどれほど困難かは彼女たちが一番知っている。

 

そんな彼女にパワーアーマーと言う器具を用いてはあるもののキヴォトス人ではない普通の人間が…それも肩に銃弾を受けるという重傷を負った人間が並び立ち戦っている。

 

これを圧倒されずにどうすればいいか?

 

パラパラ…

 

舞い上がった小さな瓦礫を浴びつつ…

 

「さて…決着のカーテンコールと行こうか、ミネ?」

 

「はい参りましょう、ネイトさん。これで…幕引きです。」

 

両雄が再び並び立った。

 

辺りにはレッドウィンター事務局親衛隊の隊員が一切の例外なく地に臥していた。

 

残るは…

 

「そ、そんな…!我がレッドウィンターの精鋭が…!」

 

マリナと『粛清君1号』だ。

 

「おっと…言っとくがその戦車で逃げようと思うなよ?全速力でも…俺の方が速い。」

 

彼女にネイトがそう釘をさすと…

 

「…えぇいっまだ終わっていない!!!『柊姉妹』、仕事の時間だ!!!」

 

マリナは声を張り上げた。

 

そして、粛清君1号の砲塔裏から…

 

「ん~…全く真夜中まで引っ張り回して働かせやがって…。」

 

『柊カイア』と…

 

「せっかくあったかいとこでウトウトしてたってのによぉ…。」

 

『柊サイナ』、レッドウィンター最強の姉妹が眠い目を擦りながら完全武装の姿で降り立った。

 

が、目の前の惨状を見た途端…

 

「…あ~らら、チビご自慢の保安委員会が全員のびてらぁ。」

 

カイアは少し目を見開き目の前の戦場に言葉を漏らし、

 

「アタシだってこんな大勢は倒せなかったのに…アンタ達すげぇな!」

 

サイナもこの惨状を生み出したであろうネイトとミネを見てボルテージを上げた。

 

すると…

 

「あぁ~…こりゃ面倒だなぁ…。」

 

カイアはそうぼやいたかと思うと…

 

「なぁ、マリナ。ここまでやられたんならもう見逃してもいいんじゃないか?」

 

マリナに向けネイトの解放を進言するも…

 

「何を言っている!?早くあの二人を何とかしろ!出来なければ粛清だ!!!」

 

当然、受け入れられるわけがない。

 

「…はぁ~仕方ねぇか。」

 

それを聞きカイアも諦めたようにため息をつき、

 

ガコンッ

 

「悪いが上司がこう言ってるんだ。相手になってもらうぞ。」

 

愛用のヘルメットのバイザーを下ろしRPK-16『ムシチェーニイェ』を肩に担ぐ。

 

そして、そんな姉の姿を見て…

 

「へっへっへっ、こんな強い奴とやり合えるなんてなぁ…!」

 

ガシャンッ

 

サイナも装甲溶接マスクを被りSaiga-12K『グルービー』と愛用のスレッジハンマーを構える。

 

「…構えろ、ミネ。今までの奴とはわけが違う。」

 

「はい…!」

 

ネイトとミネも二人の『強者』としてのオーラを感じ取り戦闘態勢をとった。

 

最初に動いたのは…

 

「さぁ行くぞ、ミーシャ子熊ちゃんよぉ!!!」

 

ズドドドドドドォッ!!!

 

柊姉妹が妹、柊サイナがミネ目掛けて飛び掛かった。

 

片手でSaiga-12K『グルービー』を連射しているというのに射撃に殆どブレが無い。

 

ドゴガガガガガッ!!!

 

「クゥッ(スラッグ弾)!?」

 

放たれる弾種は徹甲スラッグ弾、それがミネのライオットシールドに着弾し傷を刻み腕を痺れさせる。

 

「お返しです!」

 

ズダァン!!!

 

負けじとミネも『救護の証明』をサイナ目掛け発砲。

 

が、

 

バシバシィッ!!!

 

「つッ…はッはぁぶっ倒される準備はいいかぁッ!!?」

 

「ッ!?」

 

命中したはずなのにサイナは身にまとった防弾装備と装甲溶接マスク、持ち前のタフネスで耐えきる。

 

ミネの銃に装填されているのはOOバックショット、まるで猛獣の様な戦闘スタイルのサイナを止めるには…威力不足だった。

 

サイナはそのまま意にも介さず突っ込み、

 

「吹っ飛べ、このヤロウっ!!!」

 

ガッゴオオオオオンッ!!!

 

「~っ!」

 

ライオットシールド目掛け愛用のスレッジハンマーを叩きつけた。

 

力任せの無造作な一撃ながら…

 

ズザァッ!

 

僅かにミネを引き下がらせた。

 

「やるじゃねぇかッ!!!アタシの一撃を耐えるなんてよぉ!!!」

 

「まだまだッ私は負けはしませんッ!!!」

 

「名乗りがまだだったなぁ!レッドウィンター『227号特別クラス』所属『柊サイナ』、行くぜっ!!!」

 

「トリニティ『救護騎士団』団長『蒼森ミネ』、参りますっ!!!」

 

サイナとミネ、二人のパワーファイター同士が激突する。

 

「サイナの奴、はしゃぎやがって…。」

 

そんな妹の様子を見て呆れるかのような声を上げるカイアだが…

 

「ボォッとしてていいのか?」

 

「あ。」

 

そんな彼女に容赦なくネイトは襲い掛かる。

 

ドォッ!!!

 

パワーアーマーのパワーアシストと彼自身の技量によって振るわれる大地から突き上げんばかりの超高速の右アッパーカット。

 

並大抵の生徒には反応すらできずその咢を砕かれるだろうが…

 

「へへっ…!」

 

カイアはそう一笑いし僅かにジャンプし、

 

ズドォッ!

 

アッパーカットに合わせ拳に両足を当て

 

ダンッ!!!

 

そのままの勢いを活かし宙高く跳び上がった。

 

「たまんねぇな、おい…!」

 

優に10m以上打ち上げられ…ヘルメットに隠れたカイアが声で分かるほど歓喜していた。

 

あの日…自分の邪魔をしたヘルメット団に制裁しその邪魔をした保安委員会を叩きのめして以来、彼女はこう思っていた。

 

『つまらない…。』

 

あの広大な学校で自分の力は頂点と言ってもよかった。

 

保安委員会相手であっても…自分は大立ち回りできる自負がある。

 

興味はないが…やろうと思えばレッドウィンターをひっくり返せるだろう。

 

サイナもまた自分と共に『最強』に列せられていたが…彼女はまだ自分と言う目指す先がある。

 

ならば自分は?

 

最強とは…頂だ。

 

頂に登り詰め…目指す先はどこにある?

 

ある意味…カイアはあの日以来止まってしまっていたのだ。

 

情報の出入が乏しいレッドウィンター、さらにその学校で隔離された『227号特別クラス』でなおネイトの話は断片的に伝わってきていた。

 

そんな折、ネイトの戦歴を聞きカイアはこう思っていた。

 

『一体…どんだけ強いんだ…?』

 

そして、この瞬間を迎えた。

 

『目指す先』が…見つかった。

 

「やってやる、熱砂の大将よぉッ!!!」

 

ズダダダダダダダッ!!!

 

宙に浮いたままRPK-16『ムシチェーニイェ』をフルオートで発射。

 

「溜まってるようだな、黒鼬!!!」

 

バスススッ…!

 

ネイトも対抗してマグチェンジしたM4をカイア目掛けぶっ放す。

 

ガキキキキキキッ!!!

 

『ムシチェーニイェ』から放たれる5.45×39㎜弾はほぼ同弾着地点に殺到。

 

バスバギンバギャバスバスッ!!!

 

ネイトが放つ5.56x45mm弾もまたカイアの全身に着弾。

 

だが、パワーアーマーの装甲と重厚な防弾衣及び頑強な防弾ヘルメットがそれらを防ぎきる。

 

シュタッ

 

地面に着地したカイア目掛け、

 

ドォッ!

 

ライフル弾では有効打に欠けると判断したネイトは消防斧を振りかぶり肉薄。

 

大上段から降り下ろすが、

 

「当たるかぁッ!!!」

 

ズガァン!

 

軽々とした動きでその一撃を回避し、

 

ズダダダダダダダッ!!!

 

間合いを取り直しつつ再び愛銃を連射。

 

ガキキキキキキッ!!!

 

「雪合戦のつもりか!?雪崩級にして持って来い!!!」

 

ジィッ

 

その弾丸全てをはじき返しつつお返しにと言わんばかりにネイトはV.A.T.S.を起動、

 

シュンッ!

 

「ッ!?」

 

「おらぁッ!!!」

 

ズダァン!!!

 

「グゥッ!?」

 

消防斧の横薙ぎを叩きこんだ。

 

カイアは少々吹き飛ばされるが…

 

「…ハハッ痛ぇッ!!!痛い、こんなに痛いのはいつぶりだ!?」

 

すぐに体勢を立て直しボルテージを上げてネイトを睨みつける。

 

この痛みこそ…目の前のあの大人が自分を脅かすに値する強者だと思い知らしめた。

 

「遅れたが名乗らせてもらおうか!!!レッドウィンター『227号特別クラス』学級委員長、『柊カイア』!!!妹共々レッドウィンター最強って呼ばれてる!!!」

 

「…アビドス高等学校用務員兼『W.G.T.C.』代表取締役社長のネイトだ…!」

 

「来いよ、дядяネイト!!!血塗れにしてやるよ!!!」

 

レッドウィンター最強の片割れと熱砂の猛将が再び得物を構えて激突する。

 

ズダァンガゴォンドォンバガァンッ!!!

 

「アハハハッ!すげぇ、すげぇよ!!姉ちゃん以外にアタシとこんなにやり合える奴がまさかトリニティにいたなんてな!!!」

 

「貴方もやりますね…!まるでハスミ副委員長との喧嘩を思い出します…!」

 

最早銃声よりも打撃音の方が多いミネとサイナの戦況。

 

両者一歩も譲らずに銃を持っているとは思えない間合いでの戦闘を繰り広げている。

 

「す、すごい…!あの子、団長と打ち合ってる…!?」

 

「普通なら一撃喰らったらノックダウンされちゃうのに…!?」

 

後方にいる団員たちもこの光景に圧倒されていた。

 

しかし、一見して拮抗しているかにみえるが…

 

(強い…!粗削りながら天性のセンスでここまで…?!)

 

ミネは若干押し込まれつつあった。

 

サイナはフルオートショットガンとスレッジハンマーの二刀流。

 

『攻撃は最大の防御』を地で行く超アタッカーだ。

 

生半可な銃撃やシールドバッシュも持ち前のタフネスで意に介さない。

 

この戦闘スタイルは…『あの生徒』を想起させるもの。

 

ミネも似たような戦闘スタイルだが…『救護の証明』ではサイナを仕留めるには火力不足かつライオットシールドも通常攻撃では彼女のハンマーに比べると威力は見劣りする。

 

しかも、銃に関しても同じショットガンながら装弾数や装填方法の違いによってミネの銃撃は封じられてしまっている。

 

今は何とか積み重ねてきた『救護』の経験で凌げているが…

 

(攻め手に欠いている…!どうすれば…!)

 

その時だ。

 

「ミネ、使えッ!!!」

 

カイアと接近戦を繰り広げていたネイトが苦戦している彼女にソレを投げ渡し…

 

「ッハイッ!」

 

パシッ!

 

『救護の証明』をホルスターに収めミネはそれを掴み取り、

 

「はぁッ!!!」

 

ガゴォン!!!

 

「ッ!?」

 

サイナのスレッジハンマーに叩き合わせた。

 

思わずサイナも仕切り直すためにバックステップをする。

 

「ふぅ~…。」

 

「へへっ、似合ってんじゃん…!」

 

鋭い息吹を吐くミネの左手に収まっているのは…ネイトが振るっていた消防斧だった。

 

「んじゃ仕切り直しと行こうか!!!」

 

「いざッ!!!」

 

ガキィンッ!!!

 

ますます騎士然とした出で立ちとなったミネと歯をむき出しにした凶暴な笑みを浮かべたサイナが再び激突する。

 

「相方気ぃ使ってる暇あるのか!!?」

 

ズダダダダダダダッ!!!

 

カイアはネイトの意識がミネに割かれた隙に攻撃を仕掛ける。

 

「俺の装甲ぶち抜いてから心配しやがれッ!!!」

 

バスススッ…!

 

ネイトも負けじとM4を撃ち返すが…

 

ドスッバスガキッバキンッ!

 

(ちぃ随分と頑丈な防弾装備を…!)

 

弾丸を受けてもボディアーマーと防弾ヘルメットを前に5.56×45㎜弾では有効打には至らない。

 

撃ち続ければ仕留めきれるだろうが…

 

「だったら…!」

 

ジィッ

 

ネイトは再びV.A.T.S.を起動、

 

シュンッ!

 

「ちぃまたか…!」

 

一気にカイアとの間合いを潰し…

 

「むんッ!!!」

 

ドギィッ!!!

 

「がはッ…!?」

 

彼女のボディに右ストレートを叩きこむ。

 

(通った…!)

 

マニピュレータ越しに伝わる防弾プレートが割れ肉にめり込む感触に手ごたえを感じるネイト。

 

だが…ネイトはカイアに関して知識不足だった。

 

ガシィッ

 

「ッ!?」

 

「捕まえたぁッ!!!」

 

彼女はかつて晄輪大祭MVP確実と目されていたアスリートだ。

 

打ち込まれたネイトの拳をがっちりと掴み動きを制し、

 

「よっと!」

 

「グゥッ!?」

 

ネイトの首に飛びついて見せた。

 

大重量の防弾装備と狭い視界でこれを行える運動神経を持っているのはキヴォトス広しと言えどそうはいないだろう。

 

そして、

 

「デカい鎧はなぁ『隙間』が弱点だって相場が決まってんだよ!!!」

 

カイアは組み付いたままX-02のヘルメットとボディの隙間に『ムシチェーニイェ』の銃口をねじ込み…

 

「貰ったぁッ!!!」

 

ズダァンッ!!!

 

『ッ!?』

 

一発放った。

 

「…ハハッ、アンタのパンチがもう少し深く入ってたら勝敗は逆…。」

 

動きを止めたネイトを見て勝ちを確信するカイア。

 

…その時、

 

ガシィッ!!!

 

「むぐぅッ!?」

 

「勝敗が…がなんだって?」

 

突如としてX-02が駆動しその大きなマニピュレータが彼女の顔を掴んだ。

 

(ど、どうし…!?)

 

しかも声を聴くとほぼノーダメージだと分かる。

 

その理由を目を動かして探ると…

 

(た、弾が…止まってる…!?)

 

隙間から覗く黒い糸の束のようなものに今しがた放った弾丸が止められているではないか。

 

《惜しかったな…!以前なら有効だったが…!)

 

T-45からX-03に至るパワーアーマーの開発史。

 

その中において…一切変化がないものがあった。

 

それはパワーアーマーの基礎ともいえる重要パーツ…『パワーアーマーシャーシ』だ。

 

装甲性能こそ飛躍的に発展したがシャーシに関しては殆ど改良無しまで現在に続いている。

 

逆に言えば…当初から改良の必要が無いほど完成されていたともいえる。

 

それが今、このキヴォトスにおいて大いなる進化を遂げた。

 

きっかけは…ビナーの討伐だ。

 

あれほどの巨体をそのサイズからは考えられないほど身軽に駆動させていたビナー。

 

その秘訣は…ほぼ全身を構築していた『人工筋肉』だ。

 

その出力はすさまじく髪の毛一本程の太さの筋繊維一本で500gにも上る。

 

ネイトはその人工筋肉に大いなる可能性を感じ…自らのパワーアーマーシャーシの大改造に踏み切った。

 

従来の油圧ユニットから駆動系をこの『ビナー人工筋肉』に実際の人体の構造に則して置換。

 

その名も…『パワーアーマーシャーシType.BBINAH』、性能は従来のそれから実に30%もの向上を果たした新たなるパワーアーマーの礎だ。

 

さらにシャーシそのものの防御力も強化されこれ単体で大口径ライフル弾を容易に防ぐまでになっている。

 

パワーアーマー操縦者の死傷原因としてカイアの様な装甲の間隙を突いた銃撃も多く発生していたが…いまやそれはネイトには通じない。

 

閑話休題。

 

「捕まえ…たぁッ!!!」

 

ネイトはそのまま力任せにカイアを引き剥がし、

 

「Woo!」

 

ドゴォンッ!!!

 

「がっ…!?」

 

プロレス技の『パワーボム』の要領で満身の力を込めてアスファルトの地面に叩きつけた。

 

その威力たるや…アスファルトを砕きクレーターの様な穴を生み出すほどだ。

 

「………~!?」

 

あまりの衝撃にカイアは言葉を発することはおろか呼吸すらままならない。

 

横隔膜が痙攣し呼吸困難を引き起こしているのだ。

 

本来ならば勝負ありだが…

 

ガスッ

 

「カァ…!?」

 

ネイトはそんなカイアを踏みつけて押さえつけ…

 

「鼬はしぶとい。最後っ屁はこかせないぞ。」

 

彼女の象徴ともいえる防弾ヘルメットに向けソレを構えた。

 

ブルパップ構造で…一見して分かる大口径のライフルだ。

 

(し、親衛隊の…ShAK-12…?!)

 

50口径バトルライフル『ShAK-12』、先ほどの隙に気絶した親衛隊隊員から拝借していたのだ。

 

そんな自分たちの学校が誇る大威力のライフルが…

 

ドゴゴゴゴゴゴゴ…ッ!!!

 

容赦なくカイアの頭部目掛け放たれた。

 

それと時を同じくし…

 

「はぁッ!!!」

 

ガキィンッ!!!

 

「クゥッ!?」

 

ミネとサイナの戦闘も佳境を迎えていた。

 

ネイトから渡された消防斧によって…ミネは息を吹き返している。

 

「ヤァッ!」

 

バガッ!!!

 

「ぐあッこの…!」

 

消防斧の装備によって単純にミネのサイナに対する有効手段の増加だけでなく、

 

「そこぉっ!」

 

シュドォッ!!!

 

「うぐッ(は、速い)!?」

 

『構える・狙う・撃つ』と言う銃に必要な動作を『振るう』という一動作で完結できる近接武器に持ち替えたことにより攻撃速度も増幅された。

 

サイナは徐々にそんなミネのテンポについていけなくなりつつある。

 

彼女の持つ『グルービー』は大威力ながら大型で構えずらい銃だ。

 

結果的にミネのテンポについていくにはスレッジハンマーを振るうしかなくなり彼女が振るう消防斧とライオットシールドという二つの近接武器にどうしても後れを取ってしまう。

 

「まだまだぁッ!!!」

 

負けじとサイナは『グルービー』を構えようとするが、

 

「させませんっ!」

 

ズガァン!!!

 

「あぁッ!?」

 

ライオットシールドが叩きつけられそれを妨害され、

 

「これでッ!」

 

ガシャァンッ!

 

追撃で消防斧を振るい、サイナの手から『グルービー』を弾き飛ばした。

 

そして、

 

「決着ですッ!!!」

 

「あがっ!?」

 

返す刀で斧を振り直しサイナの足を掬い上げ地面に転がし…

 

「救護ッ!!!」

 

バギャオンッ!!!

 

「ゴ…ッ!!?」

 

サイナのトレードマークと言える装甲溶接マスク目掛けライオットシールドを叩きこんだ。

 

「………。」

 

「…柊カイアだったな?共産主義者コミーにしては…中々楽しかったぞ。」

 

防弾ヘルメットのバイザーが粉砕され昏倒するカイアにネイトは賞賛の言葉をかかけ、

 

「………。」

 

「貴方のおかげでまた新たな救護の道が開けました。感謝します、柊サイナさん。」

 

ミネも力なくあお向けに倒れたサイナのひしゃげた装甲溶接マスクからライオットシールドを引き抜き勝利宣言を上げた。

 

「さて…残るのは…。」

 

「あの戦車だけですね…。」

 

そして、ネイトとミネは並び立ち…

 

「ひ、柊姉妹まで…!?」

 

『粛清君1号』とその砲塔の上で仁王立ちしているマリナを見据えた。

 

「おのれラフィアンにトリニティめぇ…!」

 

悔しがるマリナだが現実は変わらない。

 

おそらくあの二人ならば…自分も一蹴されチェリノから託された『粛清君1号』も無事では済まないだろう。

 

だが、このまま引き下がっても…

 

(チェ、チェリノ会長に叱られる…!)

 

チェリノは容赦なく自分を粛正するだろう。

 

すると、

 

「ま、マリナ委員長!チェリノ書記長から通信が…!」

 

粛清君1号の乗員がマリナに声をかけてきた。

 

…これがいけなかった。

 

「~ッ!!!とっ突撃ぃぃぃ!!!」

 

催促の連絡だと直感したマリナが大声で突撃命令を下した。

 

これには乗員も反射的に従いアクセルを踏み込みエンジンを吹かす。

 

その時、

 

バギャァンドギャオンッ!!!

 

「なっなんだ!?」

 

「え、エンジンが!?」

 

「なんだとぉ!?」

 

巨大な金属の破砕音と共にエンジンの出力が急低下。

 

マリナがエンジンブロックを確かめると…

 

「ああああああああッエンジンが吹き飛んでるー!!?」

 

そこには巨大な風穴が穿たれそこから炎を噴き上げる無残なエンジンの姿があった。

 

「…ナイス援護だ、名も知らないスナイパー。」

 

ネイトは無線をオープンにし賛辞の言葉とあるビルの屋上に向けサムズアップを送った。

 

そう、粛清君1号を襲った攻撃は…

 

「なんとか間に合いました…!」

 

正義実現委員会のスナイパー、マシロの『正義の顕現』による火力支援だ。

 

いかに主力戦車と言えどエンジンブロックに20㎜砲弾を叩きこまれては無事では済まない。

 

そうこうしているうちに粛清君1号のエンジンは完全停止し砲身も力なく垂れた。

 

「動け、粛清君1号!!!ラフィアンを!!!レッドウィンターの発展を手に入れなくてはならないんだ!!!」

 

マリナはそれを受け入れられないのか必死に戦車に声をかける。

 

「全く…活きがいい共産主義者コミーだな。」

 

ネイトはそう言い、サイナの手からこぼれたスレッジハンマーを手に取り…

 

「ミネ、盾に神秘込めて構えられるか?」

 

「もちろんです。」

 

彼の言葉の意図をくみ取ってミネもライオットシールドに神秘を込めてしっかりとネイトに向け構える。

 

次の瞬間、

 

「むぅんッ!!!」

 

「救護ッ!!!」

 

二人の声が重なり、

 

ガッゴォンッ!!!

 

ネイトが振るうスレッジハンマーがミネのライオットシールドに叩きつけられた。

 

すると、

 

ズガガガガガガッ!!!

 

ミネの盾から衝撃波が放たれアスファルトを爆砕しながら粛清君1号に駆け抜けていき…

 

「ウ、ウワアアアアアアア!!?」

 

ドッカアアアアアアアンッ!!!!!

 

数十tはあろう粛清君1号の車体がへし曲がり爆散、マリナごと砲塔が吹き飛ばされた。

 

これで…完全に勝負ありだ。

 

「赤狩り、完了だ…!」

 

ガシャン

 

ネイトは肩にスレッジハンマーを担ぎ、

 

「無事に…救護が完了しました…!」

 

ズガァン!

 

ミネはライオットシールドを地面に突き立てそれぞれ勝利宣言するのであった。




団結と協力には力がある。
―――軍人『カール・グスタフ・エミール・マンネルヘイム』
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