セリカ
ネイトさん、突然ごめんなさい
少し相談があって…
セリカ
実は明日入れてたバイトが急にシフト調整で
無くなっちゃって…
それで明日のネイトさんの作業に入れてもら
えないかなって思って
セリカ
分かったわ。
急なお願いを聞いてくれてありがとう
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―――――――
―――
翌朝、7時少し過ぎ頃の校庭にて。
「おはよ~。」
「おはざっす!」
「セリカのお嬢も今日はこっちで?」
「そう、今日のバイトが急になくなっちゃってね。」
既に集まっていたスケバンや番長たちとあいさつを交わすセリカ。
さらに…
「う~っす…。」
「今日もよろしく~…。」
「あら、アンタたちも来てたのね。」
こっそりやってきていた10人ほどのカタカタヘルメット団の面々も合流。
結局、あの襲撃後にこうやってたまに何人かのグループでやってきているのだ。
まぁ、襲撃でもないし丸腰でやってきているうえネイト曰く『真面目』なのでセリカも特に気にせずあいさつを交わす。
そして、
《はい、皆さんおはようございます。》
『おはようございまーすっ!』
拡声器片手に朝礼台に上って挨拶をする作業着姿のネイト。
《今日も安全第一で作業していきましょう。じゃあ作業班分けします。まず解体作業班…。》
この場の全員に作業の分担を伝え、
《いちに~さんっし~》
体をほぐすために体操を行い、
「よぉし、乗車~!」
それを終えると解体作業を行う人員は道具や食材に補助用のロボットを積み込み大型バスに乗り込んでいく。
なお、これも廃墟街で見つけ出して修理されたものだ。
この他にも現在は『車両整備班』や『家電修理班』などいくつかの部門に分かれて特性に合わせ生徒やヘルメット団たちは日々働いてもらっている。
なお運転はネイトが行っている。
最近取れたのだが驚いたことにネイトが知っているような細かい分類分けが無かった。
まぁ、普通に学生が戦車を乗り回している世界なのだ。
深く考えるのは止めている。
その後、バスに揺られること数十分後。
「よぉし、到着したぞ。」
『う~っす!』
本日の現場に到着した。
「じゃあ、A班は昨日の解体作業の続きを。B班は次回解体予定の住宅の内装ばらし、C班は住居の内部点検と使えそうなものの搬出を頼む。いいか、焦るな。怪我しないように確実に頼む。」
『了解っ!』
「じゃあ作業に取り掛かってくれ。」
と、このように人手が増えてからは複数班に分けて効率的に作業を進めて言っている。
ちなみに重機や工具などもカイザーから現物で支払われたものがかなりあるため一気に複数件の解体工事が可能だ。
さらに…
「休憩場所は『置いて』おく。適宜休息は取るように。」
というや否やネイトは数戸のプレハブ小屋を出現させた。
ちゃんとクーラーや冷蔵庫などの設備は完備されているしっかりしたものだ。
他にも仮設トイレも数戸ほど敷設。
「…いつみても訳わかんねぇや。」
「だなぁ…。ま、快適に働けるんだからいいっこなしにしようぜ。」
そんなネイトの常識外れの能力に唖然としながらも冷蔵庫に自前の飲み物をしまい作業は始まった。
と、
「ネイトさん、アタシは何やればいいの?」
一緒に来ていたセリカが自分の作業分担について尋ねる。
「じゃあ、セリカは『飯場』を頼む。調理用のロボットはいるから負担はそんなにないはずだ。」
そう言い、ネイトはもう一軒のプレハブを出現させる。
中にはオール電化のコンロやオーブンレンジ、調理器具に給仕AIのMr,ハンディが勢ぞろいしている。
「了解、材料はバスの下に積み込んだやつね。」
「献立は任せる。材料はいろいろあるから自由に作ってくれ。じゃ、俺は見回りに行ってくる。」
そう言い残し、ネイトも解体現場へ向かっていった。
「ごきげんよう、セリカさん。」
「本日はよろしくお願いします。」
「よろしくね。さて何を作ろうかしら…。」
セリカもエプロンを付け飯場に入り献立を考える。
食材は近所の業務用スーパーや問屋から仕入れた一般的なもの。
相手は食べ盛りの生徒数十人。
時間も限られている中、セリカは…
「…よし、こういう時はやっぱアレよね!」
すぐに何を作るか決めるのであった。
数時間後、ちょうど正午頃。
「よぉし、きゅうけ~い!」
『う~っす!』
昼食のために作業を休止し全員が休憩所に向かう。
「今日はどんなのあったんだ?」
「ラッキーなことに洗濯機や冷蔵庫にテレビがあったぜ!」
「おぉ~!よっしゃ、今度のドラフトが楽しみ!」
道中、午前中の収穫を誇らしげに語る番長たち。
彼らが言うようにこのように廃墟から出た家電は一旦アビドス高校へ運ばれる。
そこで点検・修理などが行われ欲しい生徒間でドラフトが行われ欲しい者のもとへ行くのだ。
え?元不良の彼らに住居なんてあるのかって?
彼らの雇用主が何者かお分かりか?
既に数百件の解体を済ませて資材が潤沢なネイトに作れない物はない。
セイント・ネフティスに設計図を発注し寮を数棟建築済みである。
家賃(建材は元廃材のため)と電気代(ジェネレーター‐核融合を新造)は無料で水道代と保全費少々で入居可能だ。
閑話休題。
そうこうしているうちに全員が休憩所に集合。
「ふぅ~すっずしい~。」
「さぁて今日の昼飯は何かなぁ。」
冷房の効いた部屋で寛ぎながら昼食を待つ一同。
そして、
「は~い、お待たせしたわね。」
寸胴と大釜の炊飯器を台車に乗せたセリカが入ってきた。
他の休憩所には同じようにMr.ハンディが配膳に向かってくれている。
「ありがとう、セリカ。今日のランチは何なんだ?」
「それは…これよ!」
そう言い、セリカが寸胴を開けると中に入っていたのは…
「おぉ~カレーだ!」
野菜も肉もたっぷりのカレーであった。
「カレーかぁ。何気に初めてかも。」
「マジっすか、親分?」
「あぁ、マジだ。うん、これは楽しみだ。」
「それは光栄ね。じゃあたっぷり食べてもらわないと。」
その後、全員がカレーを受け取り…
「それじゃあ。」
「いただきまぁす!」
全員で合掌し一気にカレーをかっ込んでいく。
「うめぇ~!肉もほろほろで野菜もシミシミだ!」
「お嬢、お替りはありますかい!?」
「注ぐのはセルフ、十分あるわよ!しっかり食べて午後もガンガン働いてちょうだい!」
「押忍ッ!」
さすがは若き学生たち。
どんどん寸胴の中のカレーが消えていく。
「うん、旨い。スパイシーだがコクもあっていい。」
「いくつかのお出汁も入れてみたわ。柴大将直伝よ。」
「そうか。これは今度自分でも作ってみるか。」
ネイトも初めてのカレーをとても満足しお替りもよそいに行った。
その後、満足がいくまで食べた生徒とネイトは後片付けを手伝った後…
『Zzz…Zzz…。』
残りの休憩時間は仲良く昼寝。
「全く…食べた後すぐに寝ちゃって…。」
そんな様子を苦笑しながらも微笑ましそうに眺めるセリカ。
「さて…と。カレーは売り切れたけどご飯が残ってるわね。…よし。」
そんなことを呟き飯場へと戻っていった。
その後ネイトたちは休憩時間終わりの少し前にきっちり起床。
「よぉし、腹も満たされたな。午後も気合入れていくぞ!」
『オオオオオ―!』
全員英気をしっかりと養うことができ午後の仕事もどんどんはかどっていく。
そして…午後4:00。
「本日の作業終了!全員点検作業に入れー!」
『了解!』
この日の作業は終了、生徒たちに機材のメンテナンスや片づけを頼み…
「じゃあ、俺は自分のノルマを達成してくる。」
ネイトはそういうと少し離れた住宅地へ。
この作業で発生する金額はすべて生徒たちの取り分だ。
代わりにネイトは終業残り1時間で解体した分を借金返済やもろもろの経費に充てている。
たった1時間だが…
「…いつみてもスゲエ。」
「もう通り一つの家が消えちまった…。」
クラフト解体によってそれくらい充分稼げてしまうのだ。
そんなこんなで機材の片づけ等も終了。
「帰るぞー。」
休憩所と飯場を収納し全員バスに乗り込んでアビドス高校に帰校。
「よぉし、皆お疲れさま。明日は休みだからしっかり休めよ。」
「お疲れ様でしたー!」
アビドス組はここで解散し寮へと帰っていき、
「じゃあ、今日の日当を支払うぞ。」
「ありがとう、ネイトさん。」
「ありがとうございます。」
「昼飯も旨かったっす。」
今日来てくれたセリカとヘルメット団にはその分の日当を支払った。
「今日はこれで終わりだ。気を付けて帰れよ。」
『お疲れさまでした。』
彼女たちも日当を受け取り終え帰路に着こうと校庭を後にする。
が、
「ちょっと、待ちなさい。」
「セリカ?」
セリカが彼女たちを呼び止めた。
「な、なんだよ…。」
ネイトはともかくセリカとはこれまで何度も銃火を交えた関係だ。
何か嫌みの一つでもいわれるのかと身構えるヘルメット団だが…
「これ、持ってきなさい。」
セリカは彼女たちに大きめの包みを差し出した。
「そ、それは…?」
「今日のお昼に残ったご飯で作ったおにぎり。」
「…え?」
その中身の正体を聞き唖然とするヘルメット団。
まさか廃校対策委員会のメンバーからそんなものを渡されるとは思いもしなかったのだろう。
「あんた達、晩御飯ないんでしょ?これ持って帰ってみんなで食べなさい。具はシャケとオカカと梅干しよ。」
「あ、あの…いい…んすか?」
確かにセリカの言うことも事実だ。
それでもすんなり受け取るのは気が引けるのかネイトに伺いを立てる。
「いいんじゃないか?こっちとしても残り物の有効活用になるし。」
と、ネイトも特に気にする様子もなくセリカの行為を了承。
「じ…じゃあ、ありがたく…。」
そう言い、おずおずと包みを受け取るヘルメット団。
『いただきます。』
「はい。容器を返すのは今度来た時でいいから。」
セリカに礼を言って今度こそアジトへの帰路につくのであった。
「…フフッ、優しいな。セリカは。」
見送りを終えるとそう浅く笑いながらセリカをほめるネイト。
「何よ、余り物が勿体なかっただけよ。ネイトさんもそういったでしょ?」
相変わらずツンツンした態度だが…表情は非常に明るい。
「あぁそれから。はい、これネイトさんの分。」
と、今度はネイトにもおにぎりの入った包みを差し出す。
「俺にも用意してくれたのか?」
「言ったでしょ、余り物の有効活用よ。いらないなら私が持って帰って食べ…。」
「いや、ありがたく頂かせてもらう。」
「感謝していただきなさいよ。」
「そりゃもう。」
ネイトもセリカに感謝を伝えながらその包みを受け取ると、
「…なぁ、セリカ。」
「何よ?」
「君は…きっと将来良いお嫁さんで母親になれるぞ。」
「ブふぅ!?」
急にそんなことを言うもんだから思わず吹き出してしまうセリカ。
「んじゃ、また明日ー!」
「ちょ、逃げるな!」
最後の最後に爆弾発言をかましスタコラサッサと逃走するネイト。
「全くもう!変なこと言ってんじゃないわよ!」
顔を赤くし変なことを言ったネイトに悪態付きながらセリカも帰っていくのであった。
Serika Kuromi
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