ノノミ
今日はなんだか、楽しいことが起きそうな
日です
ノノミ
ネイトさんは今何してるんですか?
ネイトさんにも何か楽しいことが起こるよ
うに私も願っていますから!
ノノミ
まさかお返事がもらえるなんて思っていま
せんでした、嬉しいです~☆
ノノミ
ネイトさんにも嬉しいことがあって私も
とても嬉しいです~☆
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―――
ある日曜日の昼下がり。
「いやぁ、読める本が多いっていうのはいいもんだな…。」
この日は完全にオフなのでネイトは少し遠い郊外の街に繰り出し本屋巡りをしていた。
技術書や小説に漫画など非常に多岐にわたる本を買い込んでおりその表情はホクホクだ。
何せ一度は核の炎で焼き尽くされた連邦の出身。
読める書籍は非常に限られていた。
…まぁ、読める雑誌も雑誌で非常に癖のある物ばかり。
そのおかげで生き残れた部分もあるのでそこは気にしていない。
ということで、キヴォトスに来てからネイトは非常に読書家になっている。
(あとは何を買おうかなぁ…。)
幸いまだ休日を満喫するには余裕がある。
そんなことを思いながら散策を続けていると…
「…………。」
何者かがその跡をつけていた。
その追跡はしばし続き、ネイトが曲がり角を曲がったタイミングで…
「よぉし、このあたりで…!」
追跡者は意を決してネイトとの間合いを詰め、
「わっ!」
ネイトを驚かそうと大きな声を出すも
「…あらぁ?」
そこにネイトの姿は影も形もなかった。
「おかしいですねぇ…。確かにここを曲がって…。」
そんな不審そうに数歩歩いたところで…
「俺に用か、ノノミ?」
「キャッ!?」
いつの間にか背後をとったネイトに声を掛けられ追跡者…ノノミは短い悲鳴を上げる。
「ネ、ネイトさん!?いつの間に!?」
「いや、だいぶ前からつけられているのは気付いてたからなぁ。ノノミって目立つし。」
「そ、そんなぁ…結構自信あったんですよぉ…。」
「甘い甘い。スカウトとその対策は俺の十八番だ。」
「スカウト?勧誘のことですかぁ?」
「違う違う。『偵察』とか『斥候』っていう意味の方だ。」
かつてのアラスカの戦場。
広大な原生林の中の戦闘は米中互いに斥候とその排除に躍起になったものだ。
そこで戦時中通じてネイトもよく偵察任務に就いていたのでそのイロハを実戦で叩きこまれている。
と言うより、レッドチャイニーズの特殊部隊は完全ステルスの戦闘服『中国軍ステルスアーマー』を使用していたので嫌でも背後には気を配る必要があった。
「で、一体何で俺をつけてたんだ?」
「あ、あはは~…歩いてたら偶然ネイトさんを見かけて…。」
と、あくまで『偶然』ネイトを見かけたと発言するノノミだが…
「本当に?二軒目の本屋位からずっとついてきてたのに?」
すでに偶然というには時間が経ち過ぎていることを指摘され…
「…ごめんなさぁい…。ホントはずっと驚かそうと追いかけてましたぁ…」
「うん、正直でよろしい。」
今度こそ本来の目的を明かすのであった。
「ま、いいさ。こんな可愛いイタズラならいくらでも来い。」
相手が相手なのであっけらかんとネイトもノノミのオイタを許すことにする。
「…そんな言い方はずるいですよぉ~…。」
「悪いな、これが大人の『余裕』ってもんだ。」
「んもぅ!そこは聞き流してくださいよぉ~!」
珍しく自分が弄られる側になるノノミ。
「む~!」
ネイトの意地悪い言葉にその頬を膨らませ抗議の態度をとる。
まぁ、彼女の容姿からして怖さよりも可愛さが勝っているのだが。
「すまんすまん。…じゃあ、すまないついでに少し俺の秘密を教えよう。」
「え?」
「この前、いい店見つけたんだ。ついてきてくれ。」
「わっ、ネイトさぁん!?」
そんな彼女のご機嫌取りのためか、ネイトはノノミの手を取ってある場所へと向かう。
向かった先は…
「アビドスにまだこんなお店が…。」
「この前散策したときに見つけてな。この雰囲気がいいんだ。」
少し路地裏にひっそりと構えられた純喫茶風のカフェだった。
「あまりノノミみたいな若い子には似合わないかもしれないがここでいいか?」
「そんなことないですよぉ。こんな落ち着いた雰囲気、初めてです…。」
「じゃあ、入るとするか。」
ノノミもどうやら気に入ったようで二人して店内に入る。
「いらっしゃいませ。…と、ネイトさんでしたか。」
店内には落ち着いた音楽が流れカウンターにはタキシードを着た少し古い型のオートマタがいてグラスを拭いていた。
「おや、今日は可愛らしいお嬢さんもご一緒で。」
「ど、どうもぉ~///。」
「こんにちは、マスター。二人だけどいいかな?」
「フフッ、貴方も隅に置けませんね。ご自由にお席にどうぞ。」
マスターに促され二人は少し奥のテーブルに腰かける。
「ご注文はお決まりですか?」
「ノノミ、好きに頼んでいいぞ。」
「いいんですか?」
「こういう時は子供は遠慮するもんじゃない。」
「…じゃあ、アイスコーヒーとアップルパイをお願いします。」
「生クリームは如何しますか?」
「あ、お願いしますぅ。」
「畏まりました。ネイトさんは?」
「俺はガトーショコラ、ホイップクリームたっぷりで。あとは…『ケンタッキー・コーヒー』、こっちはクリーム控えめで。」
「ケンタッキー・コーヒー?」
聞きなれない名前にノノミは首をかしげる。
メニューを見てみるもどこにもそんな名前はない。
「おや、まだ日も高いというのに…。」
「たまの休日の贅沢ってやつだよ。バスできたから大丈夫さ。」
「畏まりました。」
茶化すようなマスターとしっかりとそれを受け止めるネイトがやり取りを交わしマスターはカウンターへと戻っていった。
「ネイトさん、さっき注文されたのってどんなコーヒーなんですかぁ?」
「まぁ学生のノノミは知らないのも無理はないな。ちょっと大人のコーヒーってやつだ。」
そういうと、ネイトはPipーBoyから先ほど購入した小説を一冊取り出し読み始める。
「ノノミも何か読むか?漫画とかもあるぞ?」
「じゃあ私も何か小説を…。」
ノノミもネイトから小説を受け取り共に読み始めしばし静かな時間が二人の間に流れる。
そして、
「お待たせしました。アップルパイとアイスコーヒーにガトーショコラとケンタッキー・コーヒーになります。」
マスターが注文の品を持ってきてくれた。
「それが…ケンタッキー・コーヒーですか…。」
見るとネイトのコーヒーには控えめにホイップクリームが乗っている。
見かけはとても子供も好みそうなものだが…
「おっと、お嬢さんは飲んではだめですよ。」
興味津々に眺めるノノミにマスターが釘をさす。
「え、どういうことですか…?」
「ケンタッキー・コーヒー、コイツは…バーボンウイスキーが入っている、いわば『コーヒーカクテル』ってやつだ。」
「あ、だから大人のコーヒーと言ってたんですねぇ…。」
ようやくネイトが言っていたことに納得がいったノノミ。
「キヴォトスじゃ学生の飲酒は厳罰だろ?だからこれはノノミが飲んじゃダメな奴だ。」
超銃社会のキヴォトスだがその内実は『学園都市』だ。
つまり、住民の大半が未成年の学生。
銃火器やら戦車に戦闘ヘリを乗り回せておいて変な話だがキヴォトスにおいては飲酒はご法度中のご法度。
どこの学校でも飲酒がばれれば即退学処分である。
「え、じゃあ私もここに来たらまずいんじゃ…!」
と、ノノミが顔を青くする。
この条文の中には『酒を提供する店舗への生徒の入店は厳禁』と言うのもある。
つまり…ここにいるノノミも罰せられる可能性があるのだ。
だが、
「ご心配なさらず。ここは普通のカフェです。お嬢さんが来店しても問題にはなりませんよ。」
マスターは優しくその心配を解きほぐす。
「ど、どういうことですかぁ?」
「何分お菓子作りにもお酒は使いますからね。連邦生徒会に特殊な営業許可をとっているというわけです。」
「じゃあネイトさんのそれは…。」
「これはメニューに存在しない『事故』で生まれたもの。マスターがドジして俺のコーヒーにバーボンを注いでしまったんだ。」
「何分、私もだいぶ型落ちですからなぁ。手元が狂ってしまいまして。」
「まぁ捨てるのももったいないからな。し・か・た・な・く、これで俺は我慢するとしよう。」
『あっはっはっはっ!』
と何とも強引な言い分で法律の裏を突いていく大人二人。
「…もう、そういうことなら仕方ありませんねぇ。」
そんなわざとらしく笑う二人の大人を見てノノミも苦笑しつつ受け入れる。
「さぁ、お二人ともごゆるりとお楽しみください。」
そう言い残し、マスターはそそくさとカウンターへ引っ込んでいき、
「それじゃあ、ネイトさん。有難くごちそうになりますねぇ。いただきまぁす。」
「あぁ、どんどん食べてくれ。いただきます。」
ネイトとノノミもそれぞれの料理を食べ始める。
ノノミはまずアップルパイを生クリームを和えて一口。
「!美味しいです、このアップルパイ…。生地はさっくりしててリンゴもジューシー…それにこの生クリームも主張し過ぎず味を引き立ててくれてます…。」
どうやらお嬢様として舌の肥えたノノミからしてもとても美味しかったようだ。
一方ネイトは、
「…うん、やはりここの味は格別だ。砕かれたナッツもいいアクセントになってる。」
まず初めにケンタッキー・コーヒーを一口堪能し、
「でここに…。…クゥ~、やっぱバーボンにはこれだなぁ。甘さとほろ苦さの組み合わせがたまらない。」
ホイップクリームたっぷりのガトーショコラを口に放り込みケンタッキー・コーヒーとのマリアージュを楽しんでいる。
楽しんでいるのは大人の飲み物なのにその表情はとても無邪気なものだ。
口にはケンタッキー・コーヒーとガトーショコラのホイップクリームが付き髭みたいになっている。
「ふふっ♪ネイトさん、お髭ついてますよぉ♪」
「構うもんか。大人もこういう時は思い切り楽しむものさ。」
そんな年甲斐もなくはしゃぐネイトをノノミも微笑ましそうに眺める。
「今度はホシノ先輩たちや番長さんたちと一緒に来たいですねぇ♪」
「そうだな。あんまりはしゃがれると迷惑かけるからそこらへんは自制してもらうが今度は皆と一緒に来るのもいいな。」
「あ、そうだ!このことをノートに書いておかないと!」
そういうとノノミはポーチから手帳を取り出し何かを書いていく。
「それは?」
「ハイ、いつかホシノ先輩たちと一緒にやってみたいことを書き綴ってるんです!」
そんなキラキラした青春真っただ中のノノミの笑顔を見て、
「へぇ、いいじゃないか。いやぁ、若いっていいねぇ。」
ネイトもコーヒー片手にまるで老人のようにしみじみと語る。
すると、
「…これもネイトさんのおかげなんですよぉ?」
声に真剣さが宿りノノミが告白する。
「俺の?」
「ハイ、ネイトさんが来てくれたおかげで…このノートのことが実現できそうなんです。」
そうだ。
かつてのアビドスはそんなことを考えることができないほど困窮していた。
まだ学生だというのに莫大な借金を返すために日々必死に働いていた。
そこに青春などなく、ただ尽きることのない砂漠のような乾いた日々が続くだけだった。
「いつか叶えられたらいいなぁ、と思ってこのノートにずっと書き続けてきたんです。」
「…。」
「そして…貴方が来てくれたんです、ネイトさん。」
「俺が?」
「はい、ネイトさんが来てくれたおかげで私たちは『青春』を取り戻せたんです♪」
ネイトがやってきてそれも変わった。
借金ももうすぐ完済できる。
ひょんなことから生徒数も増えた。
全てがいい方向に向き始め、彼女らも日々を楽しめるようになった。
「ネイトさん、私はホシノ先輩たち対策委員会のみんなが大好きなんです。」
「うん、知ってる。」
「…それと同じくらいネイトさんも大好きなんですよぉ♪」
花が咲くような笑顔でネイトへのとても大きな好意を伝えるノノミ。
「…フフッ、それは光栄だな。」
ネイトも浅く笑いその好意をしっかりと受け止める。
「あ、そうです!じゃあこれも書いておかないと!」
と、思い立ったように再びノートに書き記していくノノミ。
「お、何をやりたいんだ?」
「それはぁ~…これです!」
そう言ってノノミが書いた内容をネイトに見せてくれた。
そこには…
『ネイトさんやホシノ先輩たちと一緒にお酒を飲むこと♪』
と書いてあった。
「…あぁ、成人したら一緒に飲もう。今から楽しみにしておくよ。」
「ハイ♪」
まだ少し先の話だがネイトも嬉しそうにその夢がかなうことを望むのであった。
その後、二人はおしゃべりしながらそれぞれの飲み物とデザートを食べ進めていき…
『ごちそうさまでした。』
二人仲良く完食。
「マスター、彼女の分もお会計を。」
「そんな!こんな素敵なお店を紹介してもらったのにお代まで…!」
ネイトが自分の分も払おうとするので慌ててノノミが自分のゴールドカードを出そうとするも、
「いいからいいから。いい将来の夢を見せてもらったお礼だ。」
「お嬢さん、こういう時は大人に甘えておきなさい。」
「…じゃあ、ご馳走になります。」
「おう。」
マスターとネイトの説得でノノミの分もネイトが支払った。
「お嬢さん。私もお友達と一緒にまた貴女がいらっしゃることを楽しみにしていますよ。」
「ハイ、必ず来ますねぇ♪」
「俺もまたくるよ、マスター。」
「またのご来店をお待ちしています。」
こうして、ネイトとノノミのちょっとしたカフェデートは終わりを告げた。
「今日はありがとうございましたぁ。」
「なに、これくらいお安い御用だ。送っていかなくて大丈夫か?」
「駅も近いですし大丈夫です♪」
「そうか。じゃあ、明日また学校で。」
「また明日です、ネイトさん♪」
こうしてアビドスの路地裏の喫茶店で少し幸せを感じたノノミの休日は幕を閉じるのであった。
Nonomi Izayoi
Possession Perks
Heavy Gunner Rank3
Lock and Load Rank2
Bullet Shield Rank1
Strong Back Rank4
Combinations Perk
One Gun Army Rank2