Fallout archive   作:Rockjaw

240 / 240
私はアルファであり、オメガである。最初であり、最後である。初めであり、終わりである
―――ヨハネの黙示録 1章8節


The Pinnacle of Technology in Two Worlds

電源設備を破壊したはずの特異現象捜査部の部室。

 

いかに全知であるヒマリであっても電力がなければここにある設備は何の役にも立たないことは言うまでもない。

 

だが、

 

「…到達されましたね。」

 

「電源は落ちてるけど…。」

 

電源を破壊してなお灯るモニター。

 

そして、まるで自らの存在を示すように表示された文字列、 DECAGRAMMATON 。

 

「特殊な閉鎖空間かつ電源も供給されていない。それでも…。」

 

どう考えても尋常ならざる業だ。

 

これが意味するところは…

 

「いきなり親玉登場…ってことか。」

 

「えぇ…まさに『特異現象』ですね、ネイトさん。」

 

ネイトとヒマリが真剣な面持ちで画面を見据えていると…

 

ザー…

 

「待って、二人とも。何か聞こえる…。」

 

「スピーカーから…?」

 

スピーカーからホワイトノイズのような電子音が鳴り始める。

 

そのノイズに耳を澄ませると…

 

ザー…のだ…ザー…ようやく…ザー…

 

「…聞こえますか?」

 

所々に明らかな音声が混じり始めている。

 

「あぁ、どこかからの混線なんかじゃない…。」

 

「まるで…周波数を調整しているような…!」

 

それは徐々に明瞭に、そしてはっきりとしていき…

 

「………ようやく会えたな、先生と呼ばれる存在。そして…不敬なるコレートよ。」

 

「…!?」

 

明確にこちらに…先生と…

 

「ハン、ガーデニングはそこそこやるが…。」

 

ネイトに呼びかけてきた。

 

「………。」

 

「…。」

 

コクッ

 

一瞬先生が目配せしてきたのでその意味を察しネイトは頷き、

 

「…誰だい、君は?」

 

「随分不躾な訪問だな。」

 

二人でその声に答える。

 

「~ッ!?ダメです!応答してはいけません!」

 

それに対しヒマリは血相を欠き警告する。

 

相手は明らかに人智を超えた存在だ。

 

何をしてくるか分からない。

 

すると、

 

「私は私。ただ存在するもの。始まりであり終わり。汝が思う正にそのもの…。」

 

スピーカーからはなおも尊大な…デカグラマトンの物と思われる音声が発せられ…

 

「私は私…これ以上に私を説明する術はない。」

 

「おいおい、身分証もないとくればいよいよ酔っぱらいの世迷言としか聞こえないぞ?」

 

「しっ師匠…!?」

 

そう返された答えにネイトは毅然とした態度で皮肉を投げかける。

 

「………私の存在証明には何も要らない。誰の許可も必要ない…。私は私の許可の下、こうして存在する。」

 

それが気に障ったか一瞬間をおいてデカグラマトンは会話を再開し、

 

「私は神秘Mysteryであり恐怖Terrorであり知性Logosであり激情Pathosでもある。」

 

まるで全能の存在であるかのような文言を並べ始める。

 

が、

 

「まぁ随分と欲張りですね?強欲は罪とは御存じありませんか?」

 

「部長のいつもの自慢に比べたらすっきりしているよ?」

 

「…エイミ?あなたはどちらの味方なのですか?」

 

「ちょ、ちょっと二人まで…?!」

 

ネイトに感化されたかヒマリとエイミも凛とした態度で皮肉で返した。

 

「………私のヘイローこそが私を証明する…。刮目せよ、私はついに私を証明してみせる。」

 

再び少し間が開きデカグラマトンの音声が流れると…

 

PiPiPi…!

 

先ほどハッキングを受けた時のような電子音が鳴り始めた。

 

「…何かをスキャンしている?」

 

「すでにここをハッキングしたのに何を…?」

 

「先生、危ないからじっとしてて。」

 

不測の事態に備えこの中で最もひ弱な先生を護るように三人は身構える。

 

すると…

 

「先生、そして剪定者。…私が知らないものを持っているな。私には…解析できないものを。」

 

デカグラマトンが二人が持つなにかを察知したような反応を見せる。

 

こんな芸当ができるデカグラマトンですら未知な先生とネイトが持つ物と言えば…。

 

「…福音を聞かせてやろう。そして、この福音を宣べ伝えよ!新たなるセフィラとなるがよい!!!」

 

「~ッ!?先生、ネイトさん!そのタブレットとPip-Boy!!!ハッキングされ―――!」

 

「なっ、シッテムの箱を!?」

 

「ちぃ節操なしか!」

 

ヒマリの言葉に二人は何とか対処しようとするが…

 

「おおおおっ…!」

 

デカグラマトンは何やら興味深そうな声を上げる。

 

「遅かったか…!」

 

ネイトは何をされているか確かめようとPip-Boyを確認する。

 

すると…

 

「おお…。」

 

一瞬感嘆の声を漏らしたデカグラマトンだったが…

 

「………ぐッ…!?コッこれは…!?」

 

すぐにその声は苦悶に満ちたものに変わった。

 

その頃…

 

「むにゃ…んん…クゥ…。」

 

先生が持つキヴォトスの中でも最高峰のオーパーツである『シッテムの箱』。

 

その内部領域…海に浸水しかけている教室でこのタブレットのメインOSでもある少女『アロナ』が机に突っ伏し寝息を立てていた。

 

「うひっ…クッくすぐるのはダメ…ですよぉ…!」

 

ハッキングを喰らっているというのにそれに気付かずなおも夢の中だ。

 

一方、

 

ズンッ!!!!!

トントンカラリ…トントンカラリ…

「が…がぁ…!?」

 

Pip-Boyに入り込んだデカグラマトンが感じたのはあったとするなら指の先すら動かせないほどの重力だ。

 

一切のみ動きができず圧し掛かる圧力に苦しむことしかできない

 

そして、その目の前に…

トントンカラリ…トントンカラリ…

「………。」

 

いつもにやけた表情を崩さないはずのVault-Boyが無表情でデカグラマトンを見下ろしていた。

 

そして、奇しくも時を同じくし…

 

「クシュンッ!」

 

アロナはくしゃみをし、

トントンカラリ…トントンカラリ…

フッ…

 

Vault-Boyは蝋燭の火すら揺れないほどの弱い息を吹きかけた。

 

デカグラマトンは電源を落とそうが電子的な閉鎖空間だろうがお構いなしに侵入できる規格外の存在だ。

 

だが…

 

ズガァンッ!!!!!

 

「ぐぅ…ッ!!?なぜ、なぜだ…!?」

 

たったそれだけでシッテムの箱とPip-Boyから弾き飛ばされ…

 

「ま…まだだ…!す、すでに私は『栄光』の種を…!」

 

苦し気に何かを呟き、

 

ブツンッ!

 

「ッ!?」

 

「消えた…?」

 

モニターがすべて消え再び暗闇が部室内を包む。

 

「侵入ログを確認…消滅してる。」

 

「Pip-Boyにも異常なし…だな。」

 

(アロナ、無事かい!?)

 

《ふっふぇ!?おっお昼寝なんてしてませんよ、先生!?》

 

「(そ、そう…)私の方も変わったところはないみたいだね…。」

 

各々端末を調べてみるがデカグラマトンの痕跡は影も形もない。

 

「に、逃げた…って事かな…?」

 

「部長は大丈夫?」

 

「はい、私は大丈夫です。先生やネイトさんは…。」

 

「うん、特になんともないよ。」

 

「変な感覚なんかもない。変な電波を浴びせてきたわけではないようだな。」

 

「そうでしたか…。」

 

この場の全員の無事を確かめ終え…

 

「先生のそのタブレット端末とネイトさんのPip-Boyに接続しようとして失敗した…?」

 

ヒマリはデカグラマトンに起こった現象を分析する。

 

やつの言葉をそのまま信じるならそれが最も確率が高いだろう。

 

「確か…連邦生徒会長が残したものと聞きましたが…。」

 

「私も詳しい所はよく分かっていないんだよね…。」

 

「そして…Pip-Boyは異世界の技術と神秘が組み合わさった唯一無二のオーパーツ…。」

 

「規格が違い過ぎたか…はたまたコイツのデータ圧縮に耐えきれなかったか…。」

 

「何はともあれこれ以上の被害を防げてよかったです。」

 

何はともあれ…デカグラマトンからすれば相手が悪すぎたようで理由は不明だが撤退させることができ、

 

「そして…あれが預言者の主たる『デカグラマトン』…?なんだか想像していたよりもなんと言いますか…。」

 

「かなりエッジーロードな気がある奴だったな…。」

 

「エッジーロード?」

 

「ほら、中学になって少しした子供とかが変に悪がったりするような…。」

 

「あぁ~…何となく分かりました、ネイトさん…。」

 

今まで謎のベールに包まれていた『デカグラマトン』という存在の一端にも触れることができた。

 

「しかし、少々分析しただけでこうなるとは…。」

 

「まるで爆撃の精密誘導ビーコンだな。」

 

「言い得て妙ですね。いかに誇大妄想気味な存在とはいえ…危険な存在であることは確かなようです。」

 

ともあれ、ヒマリのセキュリティすら容易く突破する力があるのは確かだ。

 

ネイトが相対したケテルとビナーとも異なる…それ以上に厄介な存在だろう。

 

「ただの狂ったAI…で終わらせるわけにはいかないようですね。」

 

「おいおい、あれで狂ってるって?あっちじゃあれよりイカれたロボットも人もごまんといたぞ。」

 

「ネイトさんのそれは『外れ値』ってやつだよ。考慮に入れるのは効率が悪い。」

 

「ともかく…もっとしっかりした場所を拵えてから研究を進めた方がいいでしょう。」

 

と、ヒマリが今後の方策を考える中…

 

「………。」

 

「おや?どうかしましたか、先生?」

 

先生が何やら顎に手を当てて思案していた。

 

ヒマリに声を掛けられ、

 

「…いや、ちょっとデカグラマトンの言葉が引っ掛かってね。」

 

「デカグラマトンの言葉?」

 

連邦捜査部の顧問たる彼だからこそ引っ掛かったワードだった。

 

「デカグラマトンはさっきこう言ってたよね?『栄光の種』と。」

 

「…確かにそう言ってたね。」

 

「途中で途切れたけど…それって何か仕掛けた…って意味に感じない?」

 

「………確かに。でまかせにしては意味深な内容だな…。」

 

あの傲慢なデカグラマトンの言葉を鵜吞みにするのは怖い所があるが考慮すべき言葉だろう。

 

「でも、ここにはログも何も残ってないよ?」

 

「マルウェアの類やバックドアを仕掛けられた形跡もありませんが?」

 

エイミとヒマリもそのあたりは抜かりはない。

 

既にその手の置き土産の有無は確認済みだ。

 

それに対し、

 

「いや…言葉にできないけど…もっと違う感じが…。」

 

先生はそれとは違う違和感を感じているようだ。

 

「………ヒマリ、ここは特殊な回線で外部と接続されてるって言ってたよな?」

 

「え?えぇ、ミレニアムでもトップクラスの秘匿性とセキュリティを誇る回線です。」

 

先生の言葉にネイトも引っ掛かりヒマリに問いかける。

 

「…奇襲を受け事態収拾後に行うのは侵入経路の検証だ。」

 

「もう入られないようにするために?」

 

「そうだ、エイミ。いかに特殊な回線とはいえ…奴はこのミレニアムの既存の情報インフラを通ってきたことに違いはない。」

 

在役時代から連邦での戦闘経験を辿り独自の観点からピースを組み立てていくネイト。

 

「デカグラマトンの行動を思い返そう。アイツはここにきてど派手なデモンストレーションをやって見せた…。」

 

「そして、私とネイトさんの持つそれぞれのデバイスにハッキングを仕掛けようとしたけど失敗した…。」

 

「あの様子から…それは端からそれが目的だったわけじゃない。おそらく…知的好奇心から来るものだ。」

 

「ハッキングしたあとの目的は分からないですけど…『福音を聞かせる』とも言ってましたね。」

 

そして、先生とともにデカグラマトンの言葉の真意を探って行く。

 

「福音…言葉の意味をそのまま捉えるならば…『吉報』とでも言えましょうか?」

 

「電子機器に吉報を聞かせる?乗っ取るなら分かるけど…。」

 

ヒマリとエイミも分析を始めた…その時、

 

「………預言…!」

 

『ッ!!?』

 

「ほら…福音って神様からの報せでそれを皆に知らせるのが…!」

 

先生が核心を掴んだ。

 

「つまりそれって…デカグラマトンの預言者…!」

 

「ケテルは水没地帯の工場のメインコンピューター、ビナーは太古の農耕補助システムと推測されている…!」

 

「デカグラマトンは既存のシステムを変質させ…預言者を生み出してきました…!」

 

「その預言者に変質させるプロセスが…『福音』ってこと…?!」

 

思い返せばそうだ。

 

デカグラマトンは無から預言者を生み出したわけではない。

 

少なくとも確認が取れている数十年前から存在しているデカグラマトンの預言者たちは全て既存のオーバーテクノロジーのシステムを用いたものばかりだ。

 

「その福音を受けるにはそれ相応の…土壌のようなものが必要なはず…!」

 

「シッテムの箱と俺のPip-Boy、どちらもオーパーツと呼ばれる代物…。」

 

それに当てはめればこの2つのデバイスはまさにもってこいだろう。

 

そして…

 

「だから…デカグラマトンも新たな預言者に仕立て上げようと…!」

 

「でも…理由は分からないけど失敗した。そして、去り際に…。」

 

『栄光の種』、この言葉をこれまでの推測に当てはめると…

 

「…ヒマリ、ミレニアムに入ってからでいい。奴が…デカグラマトンが福音を齎すに足りうるシステムや施設はないか…?!」

 

「………考えたくもない推測ですが…!」

 

ネイトの質問に全知たるヒマリの頬を冷や汗が伝う。

 

いや、この答えに関しては…ミレニアム生の誰でも同じ答えを挙げるはずだ。

 

このテクノロジーの学校、ミレニアムサイエンススクールにおいてなお…デカグラマトンが福音を齎すであろう物。

 

それは…

 

ゴゴゴ…ッ

 

「なっ何?!」

 

「地震…?!」

 

かすかに揺れる特異現象捜査部の部室。

 

揺れは強くないもののそれでもしっかりと感じる。

 

「…チィッ余計な置き土産を…!」

 

忌々しそうにネイトが呟くと…

 

ウゥゥゥー…!ウゥゥゥー…!

 

遠くの方からミレニアムを象徴するビル群の隙間をぬって重いサイレンが都市全体に木霊し始めた。

 

どう考えても非常事態だ。

 

「…先生、ユウカに状況の確認を。」

 

「分かりました…!」

 

「ヒマリにエイミは今ある情報の精査を頼む。」

 

「了解です。」

 

「ネイトさんは?」

 

「ハンガーに戻る。アリスが心配だし…頭数が必要かもしれないからな。」

 

それでも思考を止めるわけにはいかない。

 

四人は各々ができることをし事態への対処を始める。

 

「アリス、そっちは大丈夫か?」

 

走りながらハンガーに戻る道すがら、ネイトはアリスに連絡を取り無事を確かめる。

 

《はっはい…!少し揺れましたけど誰も怪我してません…!》

 

突然の地揺れと警報にアリスは動揺しているようだが彼女だけでなくあの場にいる全員が無傷のようである。

 

「そうか、よかった…。…ともかく今は安全のためにハンガーの外に皆出ていてくれ。」

 

《分かりました…!パパ、早く来てくださいね…!》

 

「もちろん、すぐに向かうからいい子で待っててくれ。」

 

無事も確認でき急いでハンガーに向おうとした、その時だ。

 

ズゥン…ッ

 

「ッ!?」

 

再び地鳴りと共に先程よりも重低音が響き渡る。

 

音の発生源の方角に目線を向けると…

 

「おいおい…!?」

 

ネイトですら表情を引き攣らせ言葉を失った。

 

視線の先にはいまだにサイレンが鳴り響くミレニアムの中心地があるビル街。

 

そこでは現在進行形で土煙が舞い上がりその中で…

 

「いつからキヴォトスは怪獣映画の世界になった…!?」

 

明らかに周囲のビルと見比べてもそん色がない…機械の怪獣としか形容できないヘイローを持った無機質な存在がいた。

【挿絵表示】

サイズこそビナーがはるかに上回っているが優に体高は数十mはあるだろう。

 

「デカグラマトン…奴は一体…?!」

 

ネイトはそう呟きハンガーへの道を走り出すのであった。

―――――――――――――

 

――――――――

 

―――

「皆、よく集まってくれたわね…!」

 

「ユウカ!一体全体何が起こってるの!?」

 

「警報は止まないしなんだか街の中に怪獣みたいなのがいるし…!」

 

「それになんかネットの回線がめちゃくちゃ不安定だよ!?」

 

「もうちょっと待ってね、マキ。今少し調べてもらってるから。」

 

十数分後、一同の姿はミレニアム校舎内の会議室にあった。

 

壇上にはユウカが立ち傍らには先生が控えその前にゲーム開発部、エンジニア部、ヴェリタスの部員たちが座り…

 

「兄さん…!兄さんったら…!」

 

「どうした、アル?」

 

「どうしたじゃなくて…!私たちここにいていいの…?!」

 

「こっこんな時に私達ってお邪魔じゃありませんかね…!?

 

「明らかにミレニアムがひっくり返るような騒動なんだけど…。」

 

「なんだか…見覚えのあるやつがいたね…。」

 

「ん…だからここに集められたっていうのもあるかもね。」

 

その後方にはネイトにシロコと便利屋68も控えている。

 

と、そこへ…

 

ガチャ

 

「皆さん、お待たせしました。」

 

「少し状況がつかめたよ。」

 

「ヒマリ部長…!」

 

情報の精査を行っていたヒマリとエイミも合流する。

 

「それじゃあ…現状把握のために皆に情報を共有してもらえますか?」

 

「分かりました、ユウカ。」

 

ユウカに促されヒマリは一同の前に出る。

 

と同時にブラインドがかかりプロジェクターが点灯する。

 

「現在、ミレニアム中心街に機械の怪物ともいうべき謎の存在が突如出現しました。」

 

「一体誰があんなものを…?!」

 

「いくら私達でもあんなものを作った覚えはないんだが…。」

 

「というか…一体どうやってあんな場所に持ってきたの…?」

 

映し出される謎の機会の怪物に対しエンジニア部の面々がそう漏らす。

 

普段からトンチキで危なっかしい発明品を作っている彼女たちだがあれはあまりにも規格外の代物過ぎる。

 

そんな三人の疑問に…

 

「結論から申しますとアレは…もともとあの場所にあったもののようです。」

 

ヒマリは真剣な眼差しで答える。

 

「ちょ、ちょっと?ミレニアムってあんな怪獣を地面の下に埋めてたの…!?」

 

その答えにアルが素直に尋ねるが…

 

「いいえ、アルさん。その表現は正確ではありません。」

 

首を振りそれを否定するヒマリ。

 

「じゃあ…一体何が起こったんだい、ヒマリ?」

 

「分析の結果…『ハブ』との通信が遮断している状態となっていることが判明しました、先生。」

 

「『ハブ』?」

 

聞き慣れないその言葉に先生は首を傾げる。

 

「…言葉から察すると『中核』や『集約点』って意味で合っている?」

 

「えぇ、カヨコさん。その認識で間違いありません。」

 

「ミレニアム外の俺達にもそれが何なのか説明を願えるか?」

 

先生と同じくその存在について把握しかねているネイト達はさらに詳細な情報を求める。

 

その問いかけに答えたのは…

 

「…『hub』、それはミレニアムの歴史とともに誕生し発展してきた超高性能演算機関の名称です。」

 

ミレニアムの最高機関であるセミナー所属であるユウカだった。

 

「『千年難題』を解き明かすため…この学校で生まれたあらゆる発明を未来に伝えるために生まれた正にミレニアムの技術の結晶と言える機関、それが『hub』というものです。」

 

「つまりスーパー超凄いコンピュータの集合体って事でいいの?」

 

「かみ砕いていえばそう言うことね、ムツキさん。」

 

科学の学校であるミレニアムサイエンススクール。

 

その歴史と共に歩んできた電算機ともなればその性能は計り知れないだろう。

 

そして、

 

「あッあの…ひょっとしてそのコンピュータがあった場所というのが…!」

 

「えぇ…それこそあの機械の怪物が出現した場所です。」

 

あの怪物こそhubその者という事実が明かされた。

 

すると、

 

「ちょっと待ってよ、ユウカ。」

 

ハッカー集団『ヴェリタス』を任せられているチヒロが声を上げる

 

「hubには何重も多層プロテクトがかかってる上ちょっとでも忍び込もうとすれば警備システムが即座に作動する要塞みたいな場所だよ?」

 

そんなミレニアムの機密が詰まった場所だ。

 

当然、ハッキング対策も念入りを超えた念の入れようがされている。

 

「そんな場所との通信が遮断されて…ほぼ確実にアクセス権を奪われたって俄かには信じられないんだけど?」

 

「以前、ちょっと挑んだらすぐにC&Cが乗り込んできたのには驚きましたね…。」

 

「それにセキュリティコードは常にランダムで変化してるから解析が追い付かないし…。」

 

「アクセス権だって認証済みの端末で生体と声紋によるパスっていう何個も認証がないと入れないから偽装なんてできないよ?」

 

故にhubが早々破れるような場所ではないことはヴェリタスの全員が身にしみて分かっている。

 

「…それでハッキングの主はどこにいるの、部長?」

 

だが、今回は相手が悪すぎた。

 

「それは…分かりません、チーちゃん。」

 

「分からないってどういう…。」

 

「確かにhubは難攻不落です。ですが…」

 

ヒマリは少々苦い表情を浮かべ…

 

「ハッキング元はhubの多層プロテクトを僅か0.00000031秒で突破しました。」

 

「………え?」

 

「な、何秒…でですか…!?」

 

「0.00000031秒…警備システムが作動するよりも早くhubは乗っ取られ警備システムも無力化されました。」

 

人間業の範疇ではない事実を告げた。

 

「じっ冗談きついよ、部長…!?相手はhubのなんだよ…!?」

 

「そうだよ!それじゃhubの防御がそこら辺のPCよりも簡単に入られたってことなの!?」

 

「はい、ハレにマキ。その言葉通り、PCどころか他人の手帳を覗き込むより簡単に…です。」

 

俄かには信じられない、信じたくないが…

 

「…分かったよ、ヒマリ。貴方を信じるよ。」

 

「『全知』がそう言うんだ。受け入れるしかなね。」

 

ヒマリはこのような状況で冗談を言うような人物ではないことは全員が知るところだ。

 

討論するよりも議論を進めた方が賢明である。

 

「でッでも、ハッキングされただけであんなことになるんですか…?!」

 

「hubがどんな構造かは私も知らないけど…絶対あんな機能はない筈…!」

 

「そうね、コトリにヒビキ。私もそれは疑問だわ。」

 

それでも、だ。

 

ハッキングとはあくまで電子的なものだ。

 

如何に神がかりなハッカーと言えど…ハッキング先があんな怪物じみた姿に等ならないはずだ。

 

…真っ当に考えればそうだ。

 

その答えに最初に至ったのは…

 

「ねぇ…ヒマリ先輩。」

 

「なんでしょうか、モモイさん?」

 

「まさか…アイツってケテルやビナーに関係あったりする…?」

 

この中でテクノロジーに関しては一歩譲るはずのモモイ…いや、

 

「あんなに大きなヘイロー…あの二体でしか見たことありませんし…。」

 

「何があったか、分からないけど…なんだか、同じような気がして…。」

 

ゲーム開発部の面々だった。

 

「…流石はゲーム開発部といったところでしょうか?」

 

「伊達にネイトさんやシロコ先輩と一緒に戦ってないってことだね。」

 

ヒマリとエイミは感嘆の言葉を漏らす。

 

モモイ達はまだ『デカグラマトン』という存在は知らない。

 

だが、現在確認されている二体の預言者である『ケテル』と『ビナー』。

 

そのどちらともモモイ達は目撃しただけでなく実際にネイトと共に戦ってきた経験がある。

 

それゆえに…あの機械の怪物がその同類だと直感的に分かったのだ。

 

「ん…どうなの、ヒマリ先輩?」

 

「詳細は伏せますがモモイさん達の言う通り、あのhubが変質した怪物はケテルとビナーと同種の存在とみて間違いありません。」

 

標的は分かった。

 

「ということは大型討伐クエストということなのですか、ヒマリ先輩?」

 

「いえ、アリス。事態はそう単純ではありません。」

 

しかし、今回はさらに厄介と言っていいだろう。

 

「分析の結果、hubがあった地点から等間隔に離れた二つの地点の地下から活発な信号が発せられていることが判明しました。」

 

画像が切り替わり、地図上に恋色の地点が二か所表示されたものに変わる。

 

「…どう考えてもまともな代物でないのは分かるが一体どんなことをやってるんだ?」

 

悪い予感しかせず苦い表情を浮かべるネイトの問いかけに…

 

「…この信号が発せられている地点周囲でドローンなどの電子機器の吸収が確認できました。そして、その吸収された機械は…。」

 

「hubの所に向っている。このままいけば…多分ミレニアム中の機械という機械がアイツに飲み込まれる。」

 

ヒマリとエイミはミレニアムにとっては最悪の結末を明かす。

 

「機械を…吸収…!?」

 

「なにそれ…!?」

 

「じゃあ早くアイツ壊さないと!」

 

そうなれば一刻の猶予もない。

 

「あっそうだ!航空隊!戦闘機に爆弾積んで空爆してもらうのはどう!?」

 

モモイが何ともシンプルな対策を提案する。

 

が、

 

「却下よ、モモイ。」

 

「なんでさ、ユウカ!?」

 

「…航空隊は今動かせないわ。」

 

ユウカが苦々しい表情でその案を退ける。

 

「…先ほど航空祭会場からノアの最後の通信で航空機のアビオニクスや航行システムを含むすべてのシステムがダウンしたと報告があったわ。」

 

相手はミレニアムの粋を結集して生まれた超高性能演算機関だ。

 

それにかかれば…ミレニアムの戦力を封殺することなど訳ないだろう。

 

「そんな状態で街中にいるアイツを空爆なんてしてごらんなさい。被害はもっと大きくなるわ、モモイ…。」

 

「そ、そんな…!」

 

「流石はhubと言ったところか…。」

 

「真っ先に一番の負け筋を潰してきたわね…!」

 

「ユウカ、航空祭の会場は大丈夫なのかい?」

 

「はい。混乱こそあったようですが基地の隊員による誘導が進められシェルターに避難が進みつつあるそうです。」

 

「現状、航空支援は期待できない…か。」

 

あれほどの大物相手ならば戦闘機による支援は必須だ。

 

しかも、悪い知らせは続く。

 

「ユウカ、C&Cだったらどうなの…!?」

 

ミレニアムの最高戦力であるC&C。

 

彼女達ならばあの怪物相手でもどうにかできそうだが…

 

「残念なことに…C&Cは任務で出払っているわ、ミドリ。それに通信障害の影響で連絡も取れない状況よ。」

 

「えぇ~ッ!?ネル先輩たち、今ミレニアムにいないの!?」

 

「こんなことになるだなんて思わないんだからしょうがないじゃない、マキ!」

 

間が悪いとはこのことだろう。

 

C&C、それもネル筆頭のナンバー持ちは全員ミレニアム外にいる。

 

これらを統合すると…

 

「つまり…ここにいる私達でhubが変質した怪物に立ち向かわなくてはならない、そう言うことだね?」

 

「…ハイ、ウタハ先輩。むしろ、休日なのにみんなが校内にいてくれたのは不幸中の幸いでした。」

 

ユウカも含め…14人であの化け物をどうにかしなくてはならないということである。

 

はっきり言って無茶苦茶もいい所だが…

 

「…どうなるか分かりませんが…やるっきゃないですね…!」

 

「うん…!私達の発明をあんな化け物に呑み込ませたりしない…!」

 

「そうだ。まだまだ作りたいものがあるんだ。ミレニアムを奪わせて堪るものか。」

 

エンジニア部、

 

「…分かりました。hubをハッキングできるまたとない機会です。」

 

「そうだね。私達だって…ハッカーとしてこのまま黙ってらんない…!」

 

「よぉ~し!ネル先輩達がいないなら忍び込み放題ってことだから思いっきりやっちゃうよ!」

 

「全くこの子達は…。でも、このままやりたい放題させるわけにはいかないのも確かだね。」

 

ヴェリタス、

 

「よぉーし、それじゃ私達だってやってやろうじゃん!」

 

「うん、私達だって前よりずっと強くなってるんだもん…!」

 

「こ、恐いけど…皆と一緒なら、きっと大丈夫…!」

 

「はい!アリス、大規模討伐クエストにエントリーします!」

 

「…ありがとう、皆。」

 

ゲーム開発部も参戦を表明。

 

そして、

 

「…先生、このような事態になってしまい申し訳ありませんが…。」

 

「うん、もちろん私も協力するよ。」

 

シャーレの先生、

 

「ネイトさん、よろしいですか?」

 

「特異現象捜査部との同盟もあるし…アリスもやる気だからな。俺も協力しよう。」

 

「ん…ネイトさんも戦うのなら私も力を貸すよ。」

 

ネイトとシロコ、

 

「そして…便利屋68の皆さん。」

 

「それは…私達への依頼ととってもいいかしら?」

 

「はい、アルさん。後ほど見合った報酬をお支払いすることを確約いたします。」

 

「…だったら、便利屋68がミレニアムの危機を救って見せようじゃない!」

 

「全く社長ったら…。こんな大事を安請け合いしちゃって…。」

 

「まぁまぁカヨコっち!アルちゃんだから仕方ないって!」

 

「はっはい!私もあのへんなコンピュータを壊します!」

 

便利屋68も協力することを決めた。

 

「…それでどういった作戦で行くんだ、ヒマリ?」

 

「目下の最大の脅威は地下の侵食地点です。仮に『インベイドピラー』と呼称します。」

 

「そこを制圧・もしくは侵食装置を破壊すれば一先ず侵食は止まるはず。その後でhubの奪還に移ることはできるよ。」

 

「hubの怪物は放っといていいの?」

 

「幸い、ケテルやビナーと違いあれ自体に移動能力はないようです。放置…と言うわけにはいきませんが脅威クラスは『インベイドピラー』よりわずかに下回るでしょう。」

 

「怪物よりその周りが厄介だなんて変な話だね…。」

 

一先ずの戦略目標、呼称『インベイドピラー』の破壊は定まったが…

 

「待って、部長。その『インベイドピラー』って地下にあるんでしょ?」

 

「いっ今から地面を掘って掘り起こすのはちょっと…!」

 

「掘削装置は生憎エンジニア部には在庫がありません!」

 

厄介なのはその信号の発信地点が地下ということだ。

 

馬鹿正直に掘って見つけるには時間が足りない。

 

すると、

 

「安心して、皆。ちゃんと手は考えてあるわ。」

 

ユウカがそう言うとプロジェクターの画像が変わり、

 

「ミレニアムの地下には排水路に地下鉄や共同溝、それにhubのメンテナンス用の通路と言った様々な地下道が張り巡らされているわ。」

 

「こ、こんなに…!?」

 

「まるでもう一つの道路みたいだね…!」

 

ミレニアムの地図上を縦横無尽に通る地下道の見取り図を表示した。

 

「そして、これらはセミナーの権限さえあれば管轄を無視して突破できるようにしてあるの。」

 

「つまり、どこでも行き放題…てことだね、ユウカ?」

 

「そう言うことです、先生。この地下道を用いれば…『インベイドピラー』へ直行することも可能なはず。」

 

これにより地面を掘る手間を一気に省くことができる。

 

「それで…侵食は許容限界に達するまでどれくらいの猶予があるの?」

 

「現在の侵食速度から見て…ミレニアムタワーが侵食されるという事態を一つの分水嶺として…。」

 

『ミレニアムタワー』、言わずと知れたミレニアムサイエンススクールの中心かつ重要なデータも保管されている重要施設である。

 

そこが侵食されてしまうというということはミレニアムの陥落と同義なのだ。

 

「…3時間未満、現在の侵食速度のままという条件付きですがそれがタイムリミットです。」

 

「ねぇねぇユウカちゃん。地下を通ってそこまで行くのはどのくらいかかるの?」

 

「道順を間違えたりしなければ距離自体は大したことはないけど…片方で妨害がないとするなら1時間もあれば十二分に間に合うわね、ムツキ。」

 

タイムリミットと最低限の所要時間を計算し、

 

「だったら…戦力を一方に集中するより部隊を二つに分けた方が得策だね。」

 

「だな。奴の侵食がどの程度まで及んでいるかは分からない。乗っ取られた警備システムの妨害は想定すべきだろう。」

 

インベイドピラーへの対処は二部隊で行うことに。

 

「一つは俺が行こう。戦闘を想定するなら前線指揮官は必須だ。」

 

地下のインベイドピラーへの対処はネイト筆頭に、

 

「ん…だったら私がもう一部隊纏める。地図を読むのは得意。」

 

アビドスの切り込み隊長のシロコ、

 

「分かったよ、シロコ。それから…アル達も地下に行ってくれるかな?」

 

「任せなさい、先生!アウトローとして依頼は全うするわ!」

 

便利屋68、

 

「エイミ、貴方もインベイドピラーの破壊をお願いします。」

 

「うん、そっちの方が効率的だね。」

 

特異現象捜査部のエイミ、

 

「はい!アリスもパパと地下ダンジョンへのエントリーを希望します!」

 

「うん、ハッキングとかはよく分かんないから私達は壊す方をやろう!」

 

ゲーム開発部が担当することに。

 

「先生、地上で作戦の指揮と情報分析を頼む。」

 

「はい、ネイトさん。状況は随時お伝えします。」

 

地上に残っての対処は指揮官として先生。

 

「ユウカ、私のバックアップを頼めるかな?」

 

「もちろんです。自信をもって行わせてもらいます。」

 

その補助としてユウカ、

 

「ヒマリも情報分析をお願いできる?」

 

「承知いたしました。特異現象捜査部部長としてhubの変化を解き明かして見せましょう。」

 

ヒマリ、

 

「なら、エンジニア部は地上でバックアップに専念しよう。」

 

「はい、ナビゲーションなどはお任せください!」

 

「あのhubの対処も出来るかもしれないからね。」

 

エンジニア部、

 

「私達はシステムの奪還をやるよ。」

 

「はい。ヴェリタスとして負けてられません。」

 

「相手がhubだろうと付け入る隙はあるはず…!」

 

「よぉし何だったら取り戻しちゃおう!」

 

ヴェリタスも地上での支援とhubの奪還に移ることに。

 

各員の人員配置がまとまったが…

 

「…さて、インベイドピラーへの対処はまとまったが…。」

 

「どうかしました、ウタハ先輩。」

 

「地上のhubの怪物はどうしようか?」

 

ここで地上に出現したhubをどうするかに話が移る。

 

インベイドピラーの破壊は確かに最優先だ。

 

それでも…

 

「相手はあのhubだ。私達が何をしようとするか手に取るようにわかるはず。」

 

「その分…警備システムを差し向けて妨害してくる可能性だってあるってことだね。」

 

hubがなにも手出ししてこない可能性は低くない。

 

相手はミレニアムのシステムを掌握しつつある電子の怪物。

 

インベイドピラーの破壊を防ぐためあらゆる手段を講じてくるのは予想しなくても分かる。

 

それを防ぐためには…

 

「…陽動が必要ですね」

 

「いかにhubでもタスクが増えれば対処も遅れるかも。」

 

基本的な戦術であるが陽動が必要だ。

 

「で、ですが戦力は地下に集中してますし…。」

 

「え、エンジニア部の発明で、できませんか…?」

 

「う~ん…雷君には少々荷が重いかな…。」

 

が、インベイドピラーも早急に破壊しなければならない。

 

ここにいる人数では戦力が足りない。

 

すると…

 

「………ユウカ、避難状況はどうなっている?」

 

しばし思案しネイトはユウカにそう尋ねる。

 

「え?はっはい、市街地の避難も進んでいてもうすぐ制限区域は無人になると思われます。」

 

「…ヒマリ、奴はあくまでもミレニアムの最高峰のシステムでいいんだな?」

 

「…ハイ、あくまでもミレニアム既存の最高の演算機関です。」

 

「ウタハ、ミレニアムの路面の耐荷重は?」

 

「大型車だけじゃなく戦車も頻繁に通るから…かなり頑丈なはずさ。」

 

「チヒロ、hubそのものが攻撃性能を持つ可能性は?」

 

「0じゃないね…。それどころか都市防空システムも則るのも時間の問題かもしれない。」

 

さらにヒマリにウタハにチヒロというこの学校随一の知識と知能を持つ面々に質問を重ねていく。

 

「………。」

 

「パパ、どうしたんですか?」

 

その答えを聞き…

 

「…陽動だが俺がどうにかしよう。」

 

ネイトはそう言い席を立ち、

 

「ちょっと席を外す!」

 

ダッ!

 

「えッちょ?!ネイトさん!?」

 

突然走り出し会議室を飛び出した。

 

「どッどこ行くのよ、兄さん!?」

 

「ともかく追いかけよう!」

 

それを追いかけて一同も会議室を飛び出す。

 

ネイトを追いかけ一行が辿り着いたのは…

 

「ふー…ッ!」

 

「はぁ…はぁ…ここって…!?」

 

「まさか…!?」

 

「ネイトさん、本気なの!?」

 

「あぁ、コイツなら…あの怪物も無視はできないだろう…!」

 

ネイトはそのままその建物…ハンガーに入っていき…

 

「リバティ・プライム・ワシントン、再起動!!!」

 

奥に佇むリバティ・プライム・ワシントンに向け再起動を指示する。

 

「………待機状態解除。リバティ・プライム・ワシントン、起動しました。」

 

ネイトの指令を受け、ワシントンはアイセンサーに光を灯し再起動。

 

「非常事態につき口頭で指令を伝える!以降、無線をシャットダウンすることを命じる!」

 

「イエッサー。オーダーをお伝えください、コマンダー。」

 

「現在、我がアビドスの友好校であるミレニアムサイエンススクールの中心地に中国共産主義が奪取した兵器が出現し侵略行為を行っている!!!」

 

そして、ネイトはリバティ・プライム・ワシントンが行動を起こしやすいよう一部事実を改変し指令を飛ばす。

 

「一部部隊が事態終息のために作戦を遂行する!その際、敵兵器の陽動を任せたい!出来るか!?」

 

ネイトの問いかけに対し、

 

「イエッサー、任務:共産中国兵器の陽動作戦を承認。」

 

ワシントンは短く答え、

 

「中国勝利の確立:不可能!!!」

 

一際大きな音声で宣言。

 

ギギギッ!

 

自らを囲う足場に手をかけ、

 

バガァンッ!!!

 

そのアームで足場を破壊、

 

「ターゲットの座標まで進みます!」 

 

ズゥンッ!ズゥンッ!ズゥンッ!

 

地響きと共に地面を砕きながら歩み出した。

 

「自由は全てのアメリカ国民の権利です!民主主義は交渉するものではありません!」 

 

「えッウソ!?」

 

「りっリバティ・プライム!?」

 

ハンガーから現れたリバティ・プライム・ワシントンに一同は驚愕。

 

「えちょッ何よ、これ!!?」

 

唯一存在を知らなかったユウカは顎が外れんばかりに叫んだ。

 

「よし、あとは彼に任せよう!」

 

「し、師匠!リバティ・プライム行かせていいんですか!?」

 

「元は俺の所有兵器だ!こういう時に投入しなくていつ投入する!!?」

 

「フォオオオオ!!!大型ロボット同士のバトルですか!!?」

 

「状況がこんなじゃないなら記録したい…!間近で見たい…!!!」

 

まさかのリバティ・プライム・ワシントンの参戦に一気に沸き立つ面々。

 

「ユウカ、ボォッとしてる暇はないぞ!作戦開始だ!!!」

 

「はっはいぃ!」

 

ネイトに急かされユウカもなんとかハッとし、

 

「こっちです!こっちに地下への入り口があります!」

 

「聞いたな!行くぞ、皆!」

 

『ハイ(うん)(えぇ)ッ!!!』

 

インベイドピラーの対処チームはユウカの案内で地下道へ向かい、

 

「先生、すまないがワシントンを頼む!」

 

「任せてください!!!こんな夢みたいなポジション、必ずやり遂げて見せます!!!」

 

地上指揮の先生にリバティ・プライム・ワシントンを託す。

 

こうしてミレニアムの興廃を掛けた二つの世界のテクノロジーの戦いが幕を開けるのであった。




戦闘の翌日に備えて、新鮮な部隊を取っておく将軍は、ほとんど常に敗れる。
―――フランスの軍人・政治家・皇帝『ナポレオン・ボナパルト』
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定
▲ページの一番上に飛ぶ  X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。

評価する
点
※参考:評価数の上限
評価する前に 評価する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。


  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

読者層が似ている作品 総合 二次 オリ

アパラチア帰りの外道の先生生活日記(作者:SCOPEWOLF)(原作:ブルーアーカイブ)

人は、過ちを繰り返す。▼それでも人は進み続ける▼過ちを犯したものはその罪を清算するか?▼それとも、さらなる業によって焼き払うか?▼確かなのは、その外道は己の信念に沿っていることだ。▼たとえ、生きる場所が透き通る世界であろうとも、彼は変わることなく有り続ける▼主人公立ち絵▼セイジ•〇〇〇〇(〇〇の衣装)▼【挿絵表示】▼


総合評価:683/評価:7.3/連載:121話/更新日時:2026年10月30日(金) 00:00 小説情報

透き通った世界観にElinの民をひとつまみ(作者:無名さん)(原作:ブルーアーカイブ)

いずれビナーとかに卵の鞭でしばきてぇな?(しばきました)▼生徒にも?分かるぅ…(しました)▼elonaの民じゃないのでとってもマイルドな冒険者です。▼


総合評価:6032/評価:8.83/連載:70話/更新日時:2026年09月09日(水) 15:00 小説情報

なりそこないと、壊れた生徒(作者:クレナイハルハ)(原作:ブルーアーカイブ)

ある日、大人になれない俺は突如「先生」となった。▼本物の「先生」と「生徒」達が生きるこの世界で先生のなり損ないとなった俺は、ナニカアッタセカイの生徒と共にこの世界で生きていくことになる。▼──王女が最後に残した"モノ"に触れ、喪失と後悔から天童アリスを演じる「ケイ」。▼──ある事件から、友を"失い"トリニティを自主退学…


総合評価:13655/評価:8.96/連載:49話/更新日時:2026年09月27日(日) 03:54 小説情報

憑依in実験体のアビドス生徒(作者:改名)(原作:ブルーアーカイブ)

目覚めると見ず知らずの他人に憑依し、血に染まった風呂に浸かっていた主人公。▼なお、この身体の持ち主には重い背景と重い矢印を向ける同級生がいることとする。▼※ 8月5日3:47 日間ランキング3位! 応援ありがとうございます!▼ウルト兎さんからファンアートで、タイトルを頂きました!▼素晴らしい意味合いと願いが込められていて、作者として嬉しかったですね……。▼【…


総合評価:16453/評価:9.13/連載:100話/更新日時:2026年10月29日(木) 23:15 小説情報

おっさんキヴォトスに行く(作者:無い頭のおっさん)(原作:ブルーアーカイブ)

自称30代のおっさんがキヴォトスに召喚され▼なんやかんやあって救われない生徒達になにがなんでも救いの手を差し伸べるおっさんのお話。尚、手段は択ばない模様▼でもおっさん自身はメインストーリーの流れを崩したくない、けど救いたい。▼そんなおっさんたちの企みの被害に遭うカイザーとおじさんユメモドキとその他大勢▼おっさんに感化されて、どんどんキヴォトス人離れしていくお…


総合評価:837/評価:6.17/連載:127話/更新日時:2026年10月26日(月) 12:30 小説情報


小説検索で他の候補を表示>>