Fallout archive   作:Rockjaw

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今回の戦闘BGM『Dominant Species』(Fallout4戦闘曲)


Only one All-out Battle

ネイトの前に立ちふさがった預言者『ケテル』。

 

その巨体に見合わぬ身軽さで前脚を踏み鳴らしネイトを威嚇する。

 

武装も『23㎜三銃身ガトリング砲』と『垂直発射式ミサイル』18セルと巨体に見合ったものだ。

 

まともに食らえばキヴォトス人でも無事では済まないだろう。

 

対して…

 

「…ハハッ!これほどの戦車はレッドチャイニーズのキメラタンク以来だな…ッ!!!」

 

ネイトは彼を知る者が見るとらしくないというほど昂っていた。

 

彼は決してWarmonger(戦争狂)ではない。

 

それは彼が戦後もPTSDなどを患わずしっかり社会に適応していたことからも分かるだろう。

 

だが…それでも彼は感じていた。

 

この水没した廃墟都市のハイウェイの上であっても。

 

かつて…戦友とともに駆け抜けたアラスカの極寒の大地を。

 

この身に受ける風が生暖かさと湿り気を帯びた風であっても。

 

かつて…鉄と硝煙の香り交じりの身を突き刺すようなブリザードを。

 

今目の前にいるのが巨大な多脚戦車であっても。

 

かつて…大地を埋め尽くす中国軍のキメラタンクを。

 

そうだ。

 

自分は今…真の意味で『戦場』に立っている。

 

これは生存本能の警鐘か?

 

それとも闘争本能の発露か?

 

それとも…箍が外れた自分の凶暴性か?

 

そんなことはもうどうでもいい。

 

奴は…自分を殺しに来た。

 

ならば…

 

「だったら…テメェをぶっ壊してもいいんだよなぁッ!!!?」

 

瞬時にネイトはコンバットショットガンを構えケテルの左前脚部関節にV.A.T.S.照準。

 

デカブツは足を潰すに限る。

 

米中戦争から連邦時代まで変わらない不変の戦法だ。

 

次の瞬間、ケテルの脚部に三発分の9号弾が襲い掛かる。

 

初弾、爆発の高温と衝撃によりケテルの脚部装甲は赤熱。

 

二発目、強度が落ちた装甲を吹き飛ばし内部にまで散弾が浸透。

 

三発目、ほぼすべての散弾が内部に飛び込み炸裂。

 

結果…ケテルの左脚部は関節部で粉砕され吹き飛んだ。

 

だが、ケテルはすぐさま残った脚部からワイヤーを射出。

 

近辺にあるビルの残骸に突き刺し姿勢を安定させる。

 

「一筋縄ではいかないか…!」

 

お返しと言わんばかりにケテルもガトリング砲を発射。

 

X-02なら無傷とはいかないが余裕をもって耐えきれる代物だ。

 

あの口径の砲弾なら米中戦争時にもT-51が防いでくれた。

 

それでも回避するに越したことはない。

 

ロケットスタートを切り近傍の遮蔽物であるチェコのハリネズミに身を隠す。

 

朽ちているとはいえおそらく奴の対策のために設置された代物だ。

 

強度は折り紙付きだろう。

 

「脚部喪失をすぐさまカバーするだけの判断力…今までのロボットたちとはわけが違うか…!」

 

鉄骨で対空砲弾を防ぎながらケテルを分析するネイト。

 

図体はでかいがオツムは悪くない。

 

だが…それまでだ。

 

「AIの出来はプロテクトロン並と言ったところか…。ならつけ入るすきも…。」

 

射角を変えるでもなく物陰にいる自分目掛け撃ちまくる攻撃の単調さ。

 

そうプランを考えていた、その時だ。

 

鉄骨の隙間を潜り抜け、一発の機関砲弾がX-02の肩部の装甲を掠った。

 

直撃でもない、ましてや装甲に傷もほぼついていない。

 

だというのに…

 

「ぐあッ!!?」

 

ネイトにまるでボディーブローでもくらったような鈍く重い衝撃が走った。

 

「な…何が…ッ!?」

 

さらに遮蔽に気を使い身を隠しネイトはパワーアーマーの状態を確認する。

 

パワーアーマーも無敵と言うわけではない。

 

現に米中戦争では多数のパワーアーマーが撃破されてきている。

 

フュージョン・コアへの狙撃や近接攻撃、榴弾の至近炸裂、戦車砲の直撃、重量車両による轢殺など様々だ。

 

だが…この衝撃はそのどれとも違う。

 

例えるなら…砲弾とは別の何かが装甲内に浸透して来たような…。

 

その推察は間違っていなかった。

 

「装甲ダメージ微小…!クゥッ…!じゃあ一体何が…!?」

 

肩の痛みを食いしばりながら他に異常がないか確認すると…体調管理のページで見たことがない項目が見つかった。

 

「『Exposed Mystery Value』…だと…!?」

 

RAD値などと同じ項目にこの項目が追加されていた。

 

いうなれば『被神秘量(以下、EMV)』とでもいおうか。

 

その量が…3%と表示されている。

 

さらにHPも95%に減少していた。

 

「…なるほど、『神秘』か…!」

 

合点がいった。

 

パワーアーマーは『連邦製』の装甲、弾丸、小口径砲弾にミサイルやレーザーどころか放射線すら余裕で防げる。

 

だが、キヴォトス特有の力『神秘』に対しては耐性がまるでないのだろう。

 

今までキヴォトス人や戦車と戦ってきたが…そこに神秘は含まれていなかったのだろう。

 

だがあの多脚戦車はどうだ?

 

機械だというのに今まで見たこともないほど巨大なヘイローを頂いている。

 

神秘の強さも半端ではないのだろう。

 

それも機関砲の一撃が掠っただけで自分にダメージが伝わるほど纏わせていても不思議ではない。

 

パワーアーマーの装甲を意に介さない攻撃を前に…

 

「フフッ…面白い…!」

 

ネイトは笑っていた。

 

身の危険?

 

そんなの戦いどころかこれまでの人生の大半がそうだ。

 

パワーアーマーが役に立たない?

 

いや、砲弾そのものを防げるなら十二分だ。

 

予想外の事態?

 

思い通りいくことなど100回あって一回でもあればいい方だ。

 

重要なことはそこではない。

 

こちらの攻撃も向こうには十分通じ勝機は多分にあるということだ。

 

今のダメージはある意味いい気つけになった。

 

「だったら、これはどうだ…!?」

 

ネイトは腕を振り上げられるだけのスペースを確保

 

Perk『Demolition Expert』の効果で表示される軌跡をケテルに合わせそれを投擲。

 

距離はおよそ100m弱、パワーアーマーの膂力を活かしレーザービームのごとき軌跡で飛翔。

 

さらに、その投擲物に対しネイトはガウスライフルでV.A.T.S.照準しクリティカルを使用し発砲。

 

極超音速の2mECは正確にその投擲物を撃ち抜き、炸裂。

 

次の瞬間、青白い波動と放電がケテルを包み込む。

 

「!!?」

 

するとどうだろう?

 

ケテルの攻撃が突然止まりまるで糸の切れた人形のように地面に倒れ伏し身体の各所から煙を上げているではないか。

 

「ハハッ!やはり機械、パルスグレネードは効くよなぁッ!!!」

 

『パルスグレネード』、極小範囲に強力なEMPを撒き散らす『対ロボット用』の連邦製グレネードである。

 

効果はあの巨大なケテルがフリーズしたことからでも分かるだろう。

 

好機到来。

 

「丸裸にしてやる!」

 

ガトリングレーザーに得物を持ち替え吶喊するネイト。

 

トップスピードのX-02の速力は一気に間合いを潰す。

 

疾走中のさ中、V.A.T.S.を発動。

 

狙うは…今一番の脅威となっているガトリング砲だ。

 

二か所、各4回照準し発射。

 

戦車の装甲をいともたやすく貫くレーザーだ。

 

瞬く間にガトリング砲は赤熱、溶解し完全に破壊。

 

「もう一丁!!!」

 

その勢いを維持したままネイトはケテルの正面装甲にショルダータックルをブチかます。

 

Perk『Pain Train』発動。

 

ゴィィイイイイイインッ!!!という巨大な鐘楼を鳴らしたかのような衝突音が鳴り響き、ケテルは障害物を巻き込みながら後ろへ弾き飛ばされた。

 

「!!!」

 

しかし、ちょうどそのタイミングであちらも機能復旧。

 

ガトリング砲は破壊されたがまだVLSが残っている。

 

残った脚部でさらに後方に間合いを取りネイトにロックオンし発射。

 

ネイトのHUDがロックオンアラートを鳴らす。

 

「当てれるもんなら、当ててみろ!!」

 

臆することなくネイトはダッシュ開始。

 

時速100㎞でステップを刻みながら接近。

 

ミサイルもネイトを追尾するも人間大かつそんな小刻みに動き回られるとさすがに命中率はがた落ちだ。

 

だが…

 

「グゥッ…!」

 

着弾の際に飛来する破片や熱波が装甲を叩くたびにネイトへ衝撃と熱のようなダメージが伝わる。

 

HPも87%になりEMVも12%に上昇。

 

それでも一切足運びに怯えも恐怖も感じさせずに突き進む。

 

そして…

 

「もう一本…貰うぞ…!」

 

今度は右前足の根元にV.A.T.S.照準、クリティカルを使用し発砲。

 

威力が通常の数倍に増したレーザーはたちどころにケテルの右前脚を溶断。

 

前二本の脚部を喪失し今度こそバランスを崩すケテル。

 

それだけではない。

 

「!!?」

 

その巨体全体が…一瞬にして凍てついた。

 

レジェンダリー効果『氷結』、この効果は単に氷結ダメージを与えるだけではない。

 

クリティカルを使用時、着弾した標的を凍り付かせ一時的に行動不能に陥らせるのだ。

 

例え、それが巨体を誇るロボットであっても例外ではない。

 

「凍るのは初体験か?!安心しろ、最初で最後だ!」

 

再びの好機到来。

 

ある物を片手に掴み、ガトリングレーザーを一時収納し右手にロケットハンマーを掴むネイト。

 

間合いを見計らいパワーアーマーのアシストを最大限利用し跳躍。

 

そして…

 

「標本にしてやる!!!」

 

左手に掴んだそれ…先ほどケテルによってばらされたチェコのハリネズミに使われていた鉄骨だ。

 

その鉄骨を…

 

「ムンッ!!!」

 

パワーアーマーの全重量を乗せてケテル上部に突き立てる。

 

鉄骨の重量約1t+パワーアーマーの重量1t。

 

計2tの重量となった槍は分厚いケテルの装甲を貫通、ハイウェイに昆虫標本のようにピン止めした。

 

おまけと言わんばかりにネイトもケテル上部に着地。

 

1tの自由落下エネルギーと『爆発ベント』の爆発と『Pain Train』の衝撃波によってさらに地に深くケテルを沈める。

 

そして…

 

「とどめだっ!!!」

 

渾身の力を込めてロケットハンマーを鉄骨に叩きつける。

 

モジュール『鋭利重量化ショックロケット』の効果により鉄骨を伝い高圧電流がケテルの内部回路を焼き尽くす。

 

「!!?!?」

 

まるで生きているかのように痙攣するケテル。

 

ただでさえ中枢回路に近い場所を鉄骨で貫かれさらにダメ押しの高圧電流の流入。

 

たちまちのうちにケテルの内部回路は破壊されていき…

 

「OOO。」

 

しばしの痙攣の後、煙を噴き上げ完全に沈黙した。

 

それに伴い頭上に輝いていたヘイローがガラスのように砕け散る。

 

「……はぁ…はぁ…はぁ…。」

 

久しい大型の敵との戦闘、張り詰めた空気が少し緩み片膝をついて息を整えるネイト。

 

(なんとか…勝てた…!長期戦に持ち込まれる前に短期決戦を仕掛けることが成功してよかった…!)

 

損害は現状軽微でも相手はパワーアーマーを意に介さない攻撃持ち。

 

長期戦になればなるほどじり貧になるのはこちらだ。

 

だから、全力をもって相手が全力を出す前に仕留める。

 

『兵は神速を貴ぶ』、この理はいつの時代でも世界が変わろうと不変だ。

 

「…ふぅ。よし、コイツをバラすのはあとだ。まずはあの工場を…。」

 

ケテルの排除はあくまで目的到達までの過程だ。

 

残骸を一時放置しネイトは水上工業地帯に歩を進め始めた。

 

…その時だ。

 

再び…アレが伝わってきた。

 

それも…今度は『二つ』。

 

「…チィッ…こいつらもか…!」

 

失念していた。

 

奴は機械、そう『機械』だ。

 

機械なら…量産できる。

 

それほどの設備が…あそこにあるではないか。

 

そして…再び『それら』は現れた。

 

一機は今そこで骸となったのと同じ武装。

 

もう一機には…巨大キャノン砲が搭載されていた。

 

2機のケテルが…ネイトの前に立ちふさがった。

 

「意地でも俺にあそこへ行ってほしくないみたいだな…!」

 

僅かな間をおいての再戦、それでもネイトの心はおれない。

 

「だったら…俺を止めてみろ!!!」

 

コンバットショットガンを携え、突撃を敢行するネイト。

 

2機のケテルはそれぞれの武装をネイトに構えた。

 

両者が激突しようとした…瞬間だった。

 

突如、ガトリング砲搭載のケテルに降り注ぐ数発の対戦車ミサイル。

 

「なッ!!?」

 

「!!?」

 

予想外の事態に足が止まるネイトに一時フリーズするケテル。

 

その時だ。

 

《ネイトさん、やっと見つけたよぉ!!!》

 

「ホシノッ!?」

 

Pip-Boyの無線から聞こえるここにいないはずのホシノの声。

 

彼女だけではない。

 

《ん…助けに来たよ、ネイトさん。》

 

《うわぁ、すっごい大きなロボットですねぇ…!》

 

《大丈夫…なようですね!安心しました!》

 

「シロコ!?ノノミにアヤネまで!?」

 

シロコをはじめとしたアビドス廃校対策委員会メンバー。

 

さらに…

 

《すっごい!すっごい!なにそれ、ネイトさん!後で詳しいスペック教えて!》

 

《それはあとだよ、お姉ちゃん!まずはあの戦車のお化け倒さないと!》

 

《で、でもアレ、一体、もう倒してる…!ネイトさん、すごい、です…!》

 

「…え?!モモイにミドリにユズ!?なんでここに!?」

 

今朝あったばかりのミレニアムのゲーム開発部の少女たちまでやってきている。

 

そして、ネイトの上空を通過する特徴的な機体。

 

「べ、ベルチバードに乗ってるのか!?」

 

《一天号、これより対地支援を開始します!》

 

アヤネの号令でベルチバードから30㎜砲とロケット弾が放たれ二機目のケテルに襲い掛かった。




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