Fallout archive   作:Rockjaw

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Newcomers and Oldcomers

預言者ケテル3機との立て続けの戦闘を繰り広げたネイトとベルチバードの乗員たち。

 

だが、その後さらに迫った3機のケテルの登場。

 

現状での戦闘継続はリスクが高いとネイトは一時撤退を決定。

 

そのまま揺られること半時間ほど。

 

「よし、危険性なし。アヤネ、着陸してOKだ。」

 

吊り下げられていたネイトは廃墟区画外角のかつての連邦生徒会が建造した基地の一角に降り立った。

 

吊り下げられたネイトが飛び降り安全を確認後、

 

《了解しました。ベルチバード、着陸します。》

 

ベルチバードも着陸。

 

「うへ~ネイトさん、相変わらず見事な暴れっぷりだったねぇ。」

 

「ん…あんなのを一人で倒してたなんて凄い。」

 

「特に怪我もされてないようで安心しましたぁ~♪」

 

「心配かけたようだな。場所も伝えず出かけてすまなかった。」

 

まずはホシノたち対策委員会組が降機しネイトに声をかける。

 

ネイトも詳しい場所を言わずに出ていったことを詫びると、

 

「いんやいんや、おじさんたちは付き添い~。お礼ならあの子たちに言ってねぇ。」

 

そんなホシノの言葉を合図にしたのか、

 

「わぁ!ネイトさん、すっごく背がおっきくなってる!」

 

「ち、近くで見るとすごい迫力…!あ、あとでスケッチ良いですか…!?」

 

「ぶ、無事で、よかったです、ネイトさん…。ひゃあ…少し、怖い…!」

 

モモイを筆頭にゲーム開発部も降りてネイトの無事を喜んだ。

 

「…そうか、モモイ達がホシノたちを呼んでくれたのか。」

 

「そゆこと~。いやぁこぉんな可愛い子たちと初対面なのにこぉんなに大切に思われちゃってぇ。罪な男だねぇ。顔位見せてあげたらぁ?」

 

茶化し気味なホシノのアドバイス(?)を受けネイトはヘルメットを外し、

 

「…ありがとう、三人とも。俺のことを心配してくれて嬉しいよ。」

 

目線を合わせるように跪き、浅く笑みを浮かべながらモモイ達に礼を述べると、

 

「気にしないで!友達だから当然のことしたまでだよ、ネイトさん!」

 

「友達?俺がか?」

 

「うん!部活外で一緒にゲームもやったしお菓子食べたしそれに…。」

 

「それに?」

 

「私とミドリのこと、しっかり叱ってくれたから!友達の大切さを教えてくれたから!だからネイトさんも私たちの友達!」

 

屈託のない笑顔でネイトに友達宣言するモモイ。

 

「ねっミドリもユズもネイトさんは友達だよね!」

 

「えっ!?…はい、私もネイトさんが友達ならうれしいです!」

 

「わ、私も、ネイトさんと、友達、です…!」

 

続いてミドリもユズもネイトを友達と呼んでくれた。

 

「…そうか。重ね重ね、ありがとう。俺の友達になってくれて。改めて、よろしくな。」

 

そう言い、パワーアーマーで巨大になったマニピュレーターの右手を差し出すネイト。

 

『うん(ハイ)!」

 

三人はその手を握り握手を交わすのであった。

 

「いやぁ~いつみても若い友情っていいもんだぁね♪」

 

「うふふっ、やっぱりネイトさんは不思議な人ですねぇ♪」

 

「ん…どんな人とでも少し会えば友達になれる天才。」

 

そんな様子をホシノたちが温かく見守っていると、

 

「ネイトさん、また無茶やって!みんな心配したんですよ!」

 

ベルチバードのエンジンを止めて降りてきて早々少し怒り気味なアヤネ。

 

「アヤネ、操縦の腕を上げたな。良い空の旅だったぞ。」

 

「そ、そうですか?えへへ…じゃなくて!」

 

「まぁ~まぁ~、アヤネちゃん。一先ず再会できたことを喜ぼうよぉ。」

 

「ホシノ先輩まで…!…分かりましたよ、お小言は帰ってからにします。…無事でよかったです、ネイトさん。」

 

「ありがとう、アヤネ。」

 

このままでは長くなることを察したネイトとホシノのスピーチチャレンジは成功。

 

一先ずアヤネもその怒りを収めネイトの無事を喜ぶのであった。

 

すると、

 

「さて…と。これで七人。…ホシノ、もう一人乗っているな?」

 

立ち上がりながらそれまでの表情から一変、真剣みを帯びた実戦の時の表情になるネイト。

 

「…そうです。ここに入るために少々協力を仰ぎました。」

 

ホシノも雰囲気をかつてのそれに切り替え答えると…

 

「…どうも、初めまして。」

 

ベルチバードから最後の一人が下りてきた。

 

「ネイトさん、彼は…。」

 

「いや、言わなくても分かる。…どうも、シャーレの『先生』。アビドス高校用務員、W.G.T.C.全部隊総代および総指揮官を務める…ネイトだ。」

 

「初めまして、ネイトさん。改めて、連邦捜査部『S.C.H.A.L.E』を任されている者、『先生』とお呼びください。」

 

ネイトと『先生』、使命を託された者は違えどそれぞれ譲れないものを背負う外から来た二人の『大人』がここに邂逅した。

 

――――――――――――――

 

――――――――

 

―――

 

「まずは礼を言わせてもらう。ホシノたちをここに入れるよう計らってくれてありがとう。」

 

「いえ、困っている生徒を手助けするのが私の仕事です。お礼をされるようなことではありません。」

 

その後、大人の話し合いとしてホシノ達から少し離れた場所で相対するネイトと先生。

 

パワーアーマーを脱いでいるネイトは正直先生よりもかなり小柄だ。

 

だが…

 

(大きい…!身長差なんか意味をなさないくらい…なんて大きいんだ…!)

 

先生はネイトに圧倒されていた。

 

本当に目の前にいるのは自分より小柄な男なのか?

 

そんなわけがない。

 

先生の目には…ネイトが見上げるほどの大男に映っていた。

 

「…さて、まず話しておきたいことがあるが…なぜ、『気を抜いた』?」

 

そんな圧倒されている先生に対しネイトは単的に尋ねる。

 

考えるまでもない。

 

先ほどの戦闘の一件だ。

 

「…対戦車ミサイルの威力を過信し過ぎました。ネイトさんがガトリング砲でダメージを与えていたのでそれを加味し十分無力化できたと思ってしまいました…。」

 

あの時、自分は確かに手ごたえを感じていた。

 

だが、実際はケテルは生き残りこちらに最後の砲撃を仕掛けてきた。

 

もしネイトがあの場にいなかったら…。

 

「そうだ。奴は非常にタフだ。対戦車ミサイルをまともに3発くらった装甲の薄いガトリング砲タイプでも生き残っていたというのにだ。」

 

「ハイ…。」

 

「…『桶の理論』は知っているか?」

 

「人員を桶の板に見立て一つでも低い板があると組織全体が脆弱になるというあの?」

 

「そう、この場合板はホシノ達だ。じゃあ先生、『指揮官』はこの桶の何に当たると思う?」

 

「…指揮官も板に当たるのではないのですか?」

 

ネイトの問いかけに先生は自らも桶の板と答えると、

 

「違う。」

 

「え?」

 

その答えを一蹴するネイト。

 

「指揮官はな、先生。皿だ。桶の底を構成する場所だ。」

 

「桶の…皿…。」

 

「幾ら板が高かろうと…皿に穴が開いていたら意味はないだろう?」

 

「ッ!?」

 

ネイトの言葉に先生はハッとした。

 

そうだ。

 

あの時、自分は油断した。

 

その空気は瞬く間にあの場にいた全員に伝染した。

 

結果が…あと一歩で撃墜の憂き目にあった。

 

「逆もしかりだ。皿が大きければ板が低い場所があっても相対的に充分な水をたたえることができる。」

 

「確かに…。」

 

「先生、一つ指揮官としての重要な心構えを教えておく。『First Step,Last Stand.』だ。」

 

「『First Step,Last Stand.』…。」

 

「指揮官たる者、誰よりも先に戦場に一歩を踏み込み、去る時は一番最後と言うことだ。そうでなければ…自分を信じて命を預けてくれている隊員に申し訳が立たない。」

 

米中戦争時代から連邦に至るまでネイトは数多の部下と仲間の命を背負い戦場に立ってきた。

 

その中で、自らに課した誓いが『First Step,Last Stand.』だ。

 

「物理的意味だけじゃない。真っ先に戦闘に集中するのも指揮官、その集中を最後まで続けるのも指揮官だ。分かるな、先生。」

 

「ハイ…。」

 

「俺たちの雰囲気はそのまま部隊の雰囲気に直結する。だから、俺達は最後まで戦場に集中してなければいけない。」

 

滔々と先生に指揮官と言う存在が部隊にどんな影響を与えるかを先生に伝えるネイト。

 

すると…

 

「…そういうことで俺の説教は終わりだ。次からは気を付けてくれよ。」

 

「え…?」

 

今までネイトが纏っていた空気が柔和になり突如として説教は終わった。

 

「どうした?もっとねちっこいのでも想像してたか?」

 

「えっと…その…失礼ながら…。」

 

「聞いたぞ、たった四人を率いてサンクトゥムタワーの行政権を回復させたってな。」

 

いかに連邦生徒会に興味がないとはいえネイトも『先生』に関して情報収集は進めている。

 

その中で、特筆すべきはその高い指揮能力。

 

学校も違う寄せ集めの四人で暴動状態のD.U.を突破したというのは生半可な指揮能力ではない。

 

「それは…あの子たちが優秀だったからで…。」

 

「急造の部隊で普通そうはいかない。能力は疑ってない。足りないのは経験だ。」

 

「経験…。」

 

「それもキヴォトスにいればいやでも積めるだろう。」

 

ここは銃撃戦が日常の場所だ。

 

しかも、キヴォトス人は早々には命は落とさない。

 

それに頼って…というのはまた違うだろうが経験を積む場は山ほどある。

 

「ですが…実際に私はあの子たちを危険にさらしてしまいました…。」

 

「そうだな。だから『俺』がカバーした。『結果オーライ』というのはあまり好きじゃないが結果的に全員無事だ。」

 

経験の少ない新人を古参が補助する。

 

ネイトもお世話になったしお世話をしてきたいつの時代も変わらない指揮官の育て方だ。

 

だから、先生のミスをあの場の自分がサポートすることに何の躊躇いも嫌悪感もない。

 

「まだ成長できるチャンスを得られたんだ。幸運だぞ、先生。生きてさえいればミスも糧にできるんだ。」

 

「ミスを…糧に…。」

 

「深く考えすぎるな、次に生かせばいい。しないに越したことはないがミスを恐れるな。自分にまだできないことは俺に頼れ。」

 

「ネイトさん…。」

 

「逆に俺ができないことは先生を頼らせてもらうがな。その時はよろしく。」

 

そう冗談めかす言葉を残し、先生の肩を軽くたたいた後ネイトはホシノたちのもとへ戻っていった。

 

振り返りながら去っていくネイトの背中を見つめる先生。

 

その背中もまた…大きかった。

 

だが、先ほどのようなプレッシャーは微塵もない。

 

例えるなら…そう、『父』のような大きな背中だった。

 

――――――――――

 

「お、ネイトさん。お話終わったぁ?」

 

「あぁ、さっきな。準備を任せてすまなかった。」

 

「ん…これくらい気にしなくていい。」

 

ところ変わって廃棄基地の格納庫。

 

ホシノ達はそこでケテルとの再戦に向けての準備を整えていた。

 

前述したようにここはかつての連邦生徒会の基地。

 

ネイトが『アイアン・グリズリー』のクラフトに用いれるくらいの物資も破棄されている。

 

「でもぉ、ここの物資って使っちゃっていいんですかぁ?」

 

「『破棄』のシールが貼られているものばかりだ。捨てられてるものを再利用しても罰は当たらないだろう。」

 

「なんだかいけないことをしている気がしますが…捨てられているのなら問題ありませんね。」

 

おそらくだが、連邦生徒会もまさかここまで堂々と廃墟区画に入り込まれることは想定していなかったのだろう。

 

物資の中にはもう一度ベルチバードを燃料満タンの完全武装に戻せるくらいの兵器もあった。

 

無論使えないように分解されているのだが…

 

「…よし。アヤネ、ヘルファイアが組みあがったぞ。」

 

「分かりました。ラックに搭載しておきます。」

 

ネイトの前にはその程度は何の障害にもならない。

 

そして、

 

「よし、これでばっちりだ。」

 

ネイトもX-02のモジュールのクラフトも実施。

 

胴体モジュールを近接攻撃対策の『リアクティブ装甲』から…

 

「ネイトさん、この背中のってまさか…!」

 

「『ジェットパック』だ。さすがに航空機までとはいかないがこれで空も飛べる。」

 

「これって飛べるんですか!?」

 

「す、すごい…!パワーアーマーって、ロマン、満載、なんですね…!」

 

短時間の飛行が可能な特殊モジュール『ジェットパック』に換装。

 

これにより三次元的な立体機動でケテルを翻弄する作戦だ。

 

さらに、

 

「よし、三人とも。できたぞ。」

 

「うわぁ!ホントに頼んだ通りのカスタマイズだ!」

 

「凄い、とても狙いやすくなってます!」

 

「ほ、本当に、器用、なんですね、ネイトさん…!」

 

モモイ達の武器の強化も忘れない。

 

モモイとミドリはやはり双子だけあって同じバトルライフル『G3』系列を使用。

 

…ネイトよりもはるかに小柄な少女がこんな代物をぶっ放せる当たりやはり彼女たちもキヴォトス人なのだ。

 

但し、戦い方はほぼ正反対。

 

モモイは『G3A3』の弾幕タイプ、ミドリは『G3SG/1』の精密射撃タイプだ。

 

なのでそれぞれにあったカスタムを施した。

 

モモイの『ユニーク・アイディア』には『トゥルーロングバレル』、『パワフルオートレシーバー』、『トゥルーストック』、『クイックイジェクトドラムマガジン』、『レーザーサイト』、『コンペンセーター』という腰だめ時の扱いやすさを追求したカスタマイズ。

 

ミドリの『フレッシュ・インスピレーション』には『安定化ロングバレル』『ヘアトリガーレシーバー』、『安定化ストック』『パーフォレイトマガジン』、『3×12可変倍率スコープ』、『マズルブレーキ』の精密射撃仕様。

 

ユズの『にゃん's ダッシュ』は構造がシンプル故カスタムの幅が狭いがロングバレル化させ初速と射程、精度を強化され照準器に測距機と弾着地点がマークされるスコープが装着された。

 

「ネイトさん、ホントにタダでいいの!?」

 

「こんなカスタマイズ、お店だととんでもない値段が…!?」

 

「良いさ、友達としてのサービスだ。」

 

「で、でも、こんな、いい、カスタムを、ただでなんて…。」

 

「じゃあ、代わりにまた今度遊ぼう。それでチャラだ。」

 

こうしてモモイ達もネイトのクラフトによって来る再戦に力を蓄えていく。

 

「シロコ、弾薬はここに置いてていい?」

 

「ん…ありがとう、先生。」

 

「先生、給油ノズルを抑えててもらえますか?」

 

「分かったよ、アヤネ。」

 

先生も彼なりにやれることを手伝い準備を進めていく。

 

そして…

 

「さて、改めて状況を整理していこう。」

 

水没地帯の地図を広げた長机を囲みケテル攻略への作戦会議が始まった。

 

「今回、カイザーから受けた任務は水没地帯の調査。…それは隠れ蓑でおそらく俺の排除が真の目的だろうがな。」

 

「うへ~じゃあそれを訴えて今回の任務を取り下げさせれば…ってわけにもいかないんだよねぇ。」

 

「ん…カイザーのこと。今回の失態をついてアビドスの仕事にも影響を与えてくる可能性もある。」

 

おそらく…いや確実にあの多脚戦車の存在はカイザーも知っているはず。

 

それをネイトに伝えていないとなると故意の場合は明らかに未必の故意による危険行為に成立。

 

知らなかったとしてたらネイトが訴えれば明らかに向こうに不利になる事象だ。

 

そんなことをあのカイザーがやるとは思えない。

 

十中八九、故意に情報を隠匿したと想定していいだろう。

 

「じゃあ、ここに先生もいるんだし訴えれば…。」

 

モモイの言うようにこの場には連邦捜査部の先生がいる。

 

このことを届け出れば事態は片付く…と言うわけにはいかない。

 

「それがそうもいかないんだ、モモイ。」

 

「え?どういう…。」

 

「私はあくまで『生徒』の問題を解決するのが仕事なんだ。今回みたいに『企業対企業』のような場合は私の権限は非常に限られてしまうんだよ。」

 

「知ってか知らずか見事にカイザーはシャーレの弱点を突いてるってわけさ。」

 

「なるほど…。」

 

「だから、これはここにいるメンバーだけでやり遂げなければならない。」

 

そういい、ネイトはスクラップで組み上げた簡易的なケテルの模型を置く。

 

「現状、確認できているのはこの三タイプ。ガトリングとVLS搭載の対空型、キャノン砲搭載の砲撃戦型。そして…。」

 

「さっき、去り際に出てきてた新しいタイプですねぇ…。」

 

「あいつ、何なんですか?見た感じ武装らしい武装もありませんでしたし…。」

 

ミドリが首をかしげる退却時に現れた新しい形態のケテル。

 

まるで逆さまの折りたたんだ傘の骨のような物を両脇に抱え中央には先端がない三角コーンのような機材がついている。

 

何か意味のある装備なのだろうがこれまでの傾向から武装らしい武装がないことに違和感を覚える一同。

 

すると、

 

「あ、あの…!」

 

「ん…ユズ、何か思いついたの?」

 

ユズがおずおずと手を上げ…

 

「ひょ、ひょっとして…他の機体に、『バフ』を与えたりする、支援機じゃないですか…?」

 

件の機体が支援機であるという予想を立てる。

 

「…どうしてそう思うんだ、ユズ?」

 

「あ、あの、私が、前に作った、ゲームの中で、そんな構成の、敵のパーティを、考えたりしてたので…。」

 

「あ!『テイルズ・サガ・クロニクル』のプロトタイプで確かにそんな構成の敵がうじゃうじゃいました!」

 

「そのせいで難易度がめちゃくちゃ上がってたねぇ。イヤァ、あれは大変だったぁ。」

 

「はうぅ…言わないでぇ…!まだ、トラウマ、なんだからぁ…!」

 

「なるほど…。」

 

ユズの話とモモイとミドリのそのゲームの話を聞き、ネイトも真剣に考える。

 

「す、すみま、せん…!わ、分からない、のに、出しゃばった、意見、出しちゃって…!」

 

と、そそくさと自分の意見を引き下げようとするユズに対し、

 

「…いや、あり得る意見だ。」

 

「私も同意見だと思います。」

 

「ほぇ…?」

 

ネイトと先生はユズが述べた意見を真剣に考察。

 

「この横のパーツ、これがアンテナだとすれば周囲のロボットに強力な信号を送れるはず。それこそ、ほかの機体の性能が向上しても何ら不思議じゃない。」

 

「それにそんな強力な信号ならそれを活かした電磁波による攻撃も可能ですね。」

 

「ど、どうして、そう、思うんです、か?」

 

大人二人がなぜこんな思い付きの案を真剣に考察するかユズは疑問だったが、

 

「…AWACS、と言うのを知っているか?」

 

ユズの言う『バフ』を与える機体にネイトは心当たりがある。

 

「えーわっくす?…良いワックスのことぉ?」

 

「ホシノ先輩、大喜利やってるんじゃないですから…。」

 

「早期警戒管制機、航空機にレーダーを搭載してより遠方の敵の探知や追跡、友軍への航空管制の指揮・統制を行う機体のことだ。」

 

「そんな飛行機があるんですねぇ。先生はご存じですかぁ?」

 

「い、いや私はそういう軍事関連の知識は乏しくて…。でも、この機体が彼らにとって『管制塔』になりうるというのは理解できるよ。」

 

「要はこの機体が奴らにとっての俺や先生みたいな存在、だとすると出てきたタイミングも納得がいく。」

 

「…あぁ~高コストユニットを私たちが倒しすぎちゃったから倒されにくくしたいんだ!」

 

「お姉ちゃん…そんな例えだとネイトさんや先生に伝わらないよ…。」

 

「ん…でも言いたいことは分かる。あんなロボットを早々壊されたら向こうもかなり大変なはず。」

 

「それを防ぐために補助用の戦力を置くのはごくごく自然なことですね。」

 

「は、はわわ、あの、もし間違ってたら…!」

 

大真面目に自分の案を考察していく面々にユズは心配を覚える。

 

もし、自分の案が間違っていて戦いに突入したら…。

 

だが、

 

「ユズ、心配するな。間違っていたらいたで『その可能性』を潰したということに意味がある。」

 

「か、可能性を、潰した…?」

 

「そうだ。未知のまま臨むのと外れてても予想立てて臨むのとでは大きな違いがある。」

 

「そうだよ、ユズ。それにまだ戦っていない相手だから予想が外れて当然だよ。」

 

「間違えても気にするな。そこをカバーするのが俺と先生の役目だ。」

 

ネイトと先生が間違っていた場合であってもユズの意見は役に立つと言い切って見せる。

 

「うへ~そだよ~、ユズちゃぁん。作戦失敗の責任は二人がとってくれるんだから自信もって発表しちゃいなぁ。」

 

「そ、その…あ、ありがとう、ございます…。」

 

「よし、じゃあその案で一応進めていくぞ。」

 

こうして、会議の内容は攻略のために一歩すすむ。

 

「ん…部隊編成はどうするの?」

 

「俺はゲーム開発部を、先生がホシノ達を指揮する。彼はルーキーだ、ホシノたちもカバーしてやってくれ。」

 

「了解しましたぁ♪」

 

「よぉし、んじゃあおじさんたちがビシバシやっちゃうよぉ。」

 

「お手柔らかにね。わたしもしっかり三人を指揮するから。」

 

「私たちとネイトさんが組むのはどうして?」

 

「バランスの問題だな。制圧要員とアタッカーの割合を考えるとこれがちょうどいいんだ。」

 

「ん…あとは先生の経験不足を私たちで埋める、ってところ?」

 

「そういうところだ。経験のある隊員と新米後方指揮官。経験のある前線指揮官と初めて組む隊員。これでトントンと言ったところだろう。」

 

「ネイトさん、部隊配置はどうするんですか?」

 

「基本、複列で進攻する。一か所にまとまるより火力を分散できるからな。アヤネは適宜航空支援、さきの機体が支援機の場合は真っ先に排除してくれ。」

 

「了解しました。それから…機体下部に取り付けた『アレ』はどのタイミングで使用します?」

 

「俺達が降下し次第、奴らの上空に頼む。」

 

部隊編成から配置、進攻計画に支援火力のタイミングなど流れるように簡潔に支持していくネイト。

 

(凄い、いつも一緒のホシノだけじゃなくて初めて組むモモイ達のバランスまで考えているなんて…。)

 

先生はそんなネイトの姿に若干の羨望と、

 

(いつか、私もあんなふうにならなきゃな…!)

 

自分の目標となる人物を見つけることができた充実感を感じていた。

 

「…作戦の説明は以上だ。何か質問は?」

 

『………。』

 

説明も終わり、ホシノや先生からの質問がないのを確認し、

 

「…では総員、搭乗!これより、第二次水没地帯攻略作戦を開始する!」

 

『了解ッ!!!』

 

装備を携え、ネイトもパワーアーマーを着込みベルチバードに搭乗。

 

一行は再び決着をつけるために水没地帯へ向かっていくのであった。

 

(見てろよ、カイザー…!お前らの度肝を抜いて帰ってきてやるからな…!)

 

カイザーとケテルへの闘志を燃え上がらせるネイト。

 

EMVは…現在27%。




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