Fallout archive   作:Rockjaw

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Certain Signs

この日、ケテル達側からしても想定外の連続だった。

 

ロボット兵の多数損壊、これだけならまだカバーの仕様がある。

 

だが、わずか30分にも満たない戦闘で量産されているとはいえ『預言者ケテル』が三機も撃破された。

 

彼らは長きにわたりこの地を、あの水上工業地帯を鎮護してきた。

 

かつて、ある軍勢がこの地に侵攻してきた際にも『預言者ケテル』の力によってその侵略を跳ね除けてきた。

 

いつからかそのカイザーたちもやってこなくなった。

 

そして今日…奴がやってきた。

 

その者は単独でロボット兵を駆逐し挙句の果てに預言者すら討ち取られた。

 

この非常事態にかねてより増産していた預言者たちを投入。

 

しかし、今度は空からの侵入者も訪れた。

 

奴と空の侵入者は協力しさらに二体の預言者が撃ち取られた。

 

これは非常事態と判断、さらなる預言者たちを差し向けると奴らは逃げ去った。

 

『これで終わりではない』、彼らは理解していた。

 

必ず奴らはまた戻ってくると。

 

その予感は…的中した。

 

今回投入した『Type.E』によって向上したレーダーがこちらに迫る機影を探知。

 

しかし、その反応はすでにかなり接近している。

 

すぐさま、『Type.V』のケテルがVLSを展開し迎撃態勢をとった。

 

『Type.C』も追撃しようと砲身を向ける。

 

…次の瞬間、待ち構えていた三体のケテルに遥か遠方からレーザーが襲い掛かる。

 

しかも、それを受けた三体とも例外なく『凍結』し機能が一時ダウンしてしまうのであった。

 

「奴らを無力化した!アヤネ、突入しろ!」

 

「了解しました!」

 

レーダーを避けるために水没地帯の水面ギリギリを這うように飛行するベルチバード。

 

そこから身を乗り出しガトリングレーザーを構えるネイト。

 

先の一撃はケテルの探知範囲ギリギリからV.A.T.S.クリティカルによって強引に叩きこまれた一撃だ。

 

本来、V.A.T.S.にはそこまでの射程はない。

 

そこで利用したのがベルチバードのレーダーだ。

 

Pip-Boyの接続ソケットをベルチバードに接続しデータリンクすることによって通常では不可能な超長射程のV.A.T.S.照準を可能としたのだ。

 

これにより一時的にケテルを制圧、

 

「降下地点に到着しました!」

 

打ち合わせ通りの降下地点、ガトリング砲型とキャノン砲型の残骸付近上空に到着。

 

「いっくよぉ、シロコちゃんにノノミちゃん!」

 

「ん…先生、指揮をよろしく。」

 

「アヤネちゃんも気を付けてくださいねぇ!」

 

右側ハッチからはロープを下ろし垂直降下、

 

「三人とも、しっかりつかまってろよ!」

 

『ウン(ハイ)!』

 

左側からもネイトがモモイ達を抱きかかえつつパワーアーマー用降下ウィンチを使い調節された速度で降下。

 

「アヤネ、全員降下完了したよ!」

 

「了解、これより支援任務に就きます!」

 

全員がハイウェイに着地したのを確認し先生を残したベルチバードは素早く離脱する。

 

ちょうどそのタイミングで三体のケテルの機能が復旧。

 

第二次水没地帯攻略作戦の戦いの火蓋が切って落とされた。

 

《シロコ、ガトリング砲タイプに牽制を!》

 

「ん…了解。」

 

「ユズ、キャノン砲型にパルスグレネード弾を浴びせてやれ!」

 

「は、はい…!」

 

手始めに前衛を固める二機のケテルに向けシロコとユズ、グレネードランチャー装備の隊員がパルスグレネード弾を浴びせる。

 

着弾し、今まで通り全身を震わせ体勢を崩すケテル。

 

だが、今回は崩れ切らず体勢を持ち直し機能停止までは至らない。

 

「な、なんで効かないの!?」

 

「落ち着け、モモイ!対策を練ってきてもおかしくない!」

 

この事態にパニくりそうになるモモイを落ち着かせつつ原因を探る一同。

 

「…ん?!ネイトさん、後ろ見てください!」

 

すると、ミドリが何かに気が付いた。

 

後方に控える正体不明だった形態のケテル。

 

そのケテルが両サイドに装着していたアンテナを開きそれを前衛のケテルに指向している。

 

どう考えても…あの機体が前衛をサポートしているようにしか見えない。

 

「凄いです!ユズちゃんの予想大当たりですよぉ!」

 

「凄いけど感心してる場合じゃないよ、ノノミ先輩!?」

 

まさかの予想的中を純粋にユズを褒めるノノミに思わずツッコミを入れるモモイ。

 

そうこうしているうちに前衛のケテルがそれぞれの武装をホシノ隊とネイト隊に向け構える。

 

しかし…それらは放たれることはなかった。

 

「こちらアヤネ、『チャフ』の散布を開始します!」

 

上空を駆け抜けるベルチバードがケテル達の上空にそれを散布する。

 

それは…基地にあった救急用のアルミ箔を裁断した紙吹雪のようなものだ。

 

『チャフ』、金属箔などを散布し電波やセンサーなどを妨害する欺瞞策である。

 

非常に単純な仕組みだが機械のケテルには効果てきめんであった。

 

ネイトたちの探知をセンサーに頼らざるを得ないケテル。

 

そこへセンサーや各種レーダーを飽和させるチャフをばらまかれるとどうなるか?

 

答えは単純、処理が追い付かなくなりフリーズを起こしてしまう。

 

まるでネイトたちを見失ったようにキョロキョロと周囲を見渡すような挙動をとるケテル。

 

さらに後方支援していたケテルの電波も妨害、電子支援の弱体化に成功。

 

「ユズ、HEDPに切り替えろ!モモイはキャノン砲を、ミドリは関節を狙え!」

 

《ホシノ、パルススラグ弾を装填!シロコとノノミは奴の武装を破壊して!》

 

一時的ながらも再びケテルの攻め手を欠かせることに成功、ネイトと先生はそれぞれの隊に指示を飛ばす。

 

「いっくよー、ミドリ!外したら今度お菓子奢ってもらうからね!」

 

「お姉ちゃんも撃ち過ぎて弾切れにならないでよ!」

 

才羽姉妹はキャノン砲型ケテルに向け攻撃開始。

 

モモイの『ユニーク・アイディア』から放たれる徹甲焼夷弾の弾幕はキャノン砲各所に着弾。

 

さすがに一発一発の威力は小さいものの可動部やセンサーにも着弾。

 

内部に飛び込んだ弾丸の焼夷効果によってじわりじわりとケテルを蝕む。

 

「これも食らっておけ!」

 

そこにネイトのガトリングレーザーも襲いかかる。

 

モモイのそれを上回る貫通力と高温、穴だらけになった装甲にさらにモモイの弾丸が飛び込みさらに内部を焼き尽くされ破壊されていく。

 

「フハハハッ!怯えろぉ!竦めぇ!キャノン砲の性能も活かせず壊れてゆけぇ!」

 

上機嫌にケテルを嘲るように叫ぶモモイ。

 

「威勢がいいな、モモイ!」

 

「いつもの癖みたいなやつですんで気にしないでください、ネイトさん!」

 

「何をぉ!?」

 

調子のいい姉に呆れつつもミドリの『フレッシュ・インスピレーション』の狙撃をケテルの関節部に精密射撃を撃ち込む。

 

さすがにその箇所の装甲は薄いのか幾発か撃ち込むと貫通しオイルが漏れだす。

 

「ユズちゃん!あそこにグレネード弾を!」

 

「ま、任せて、ミドリ…!」

 

そこへユズの『にゃん's ダッシュ』がサイトでミドリの弾着箇所に合わせ発砲。

 

脆くなった関節部へ成形炸薬弾の機能も併せ持ったHEDPの命中。

 

これによりキャノン砲型ケテルは脚部を破損、行動能力に大きく制限がかかる。

 

だが、ケテルも黙ってやられているわけではない。

 

舞い散るチャフの吹雪の中、なんとか砲口をネイトたちへ向ける。

 

「ネ、ネイトさん!あいつ撃つつもりだよ!」

 

「全員集合!」

 

素早くネイトはモモイ達に集合をかけ、全員を身体の前面に抱き着かせて、

 

「飛ぶぞ!」

 

ジェットバックを作動、上空高く舞い上がり砲撃を回避する。

 

「す、すごいすごい!ネイトさん、ホントに私たち飛んじゃってるよ!」

 

「こんな経験、ミレニアムでもそうできないですよ!」

 

「ふ、二人とも、興奮するのは、分かるけど、攻撃…!」

 

「ユズの言う通りだ!天板の装甲は薄い、撃ちまくれ!!」

 

「「了解!」」

 

ユズに促され才羽姉妹はそれぞれ左右の肩でポジションを確保、ユズも左腕に抱えられつつランチャーに突っ込み構える。

 

ネイトも器用に開いた右片手でガトリングレーザーを保持し全員、ケテルに向け得物を指向し一斉射撃。

 

レーザー、7.62×51mmNATO弾と40㎜グレネード弾が一斉にキャノン砲型ケテルに襲い掛かりキャノン砲を蜂の巣にし粉砕していき、

 

「ユズ、とどめだ!」

 

「照準は…定まりました…!」

 

ユズがランチャーに差込んだミサイルがとうとうキャノン砲機関部を粉砕。

 

予備砲弾にも衝撃が及び誘爆、ヘイローが砕け散った。

 

一方、先生が指揮しているホシノ隊では、

 

「ん…ノノミ、右側の武装をよろしく。」

 

「分かりました、シロコちゃん!」

 

シロコとノノミが『チャイナレイク』とリトルマシンガンVを対空型ケテルの武装に向け発砲。

 

「撃たせはしない。」

 

ユズの『にゃん's ダッシュ』と違い連射の効くポンプアクション式のグレネードランチャー『チャイナレイク』から放たれるHE弾。

 

装甲を撃ち抜くだけの威力はないものの装甲が施されていないガトリング砲に損傷を与えるには十分な威力だ。

 

二発も撃ち込むとガトリング砲の砲身は歪み一目で使い物にならないことが分かる。

 

「口径は小さくても負けませんよぉ!」

 

奇しくも同様の得物同士の対決となったノノミとケテルのガトリング砲。

 

いまだチャフの影響で標的を絞れていないケテルのサイドをとり掃射開始。

 

やはりこちらも装甲は薄く装填されたM61の掃射はガトリング砲の砲身や機関部を蜂の巣にしていった。

 

無論、ケテルも負けじとVLSを展開しシロコたちにロックオンを行う。

 

「後輩たちはやらせないよぉ!」

 

それを防ぐためホシノは一気に肉薄しケテルの腹の下に滑り込みEye of Horusを構える。

 

ホシノが放つのは『パルススラグ弾』。

 

威力こそシロコやノノミと比べると低いがそこはロボット特攻のパルス弾薬だ。

 

狙いは展開中のVLSの底面、そこへ向け込められた全弾を発射。

 

よりピンポイントに叩きこまれたEMPはVLSの動きを止めるには十分な威力だった。

 

「シロコちゃん、フッ飛ばしちゃってぇ!」

 

「ん…ドローン、作動開始。」

 

その隙にシロコが愛用のドローンを展開し掴まって飛行、

 

「新型ミサイル、発射。」

 

ケテルに向けて搭載されたミサイルを投射。

 

放たれたミサイルは途中で分裂、親弾の中から9発の子弾となってケテルに襲い掛かる。

 

『ハイヴミサイル』、より広範囲の制圧を主とした連邦製のクラスターミサイルである。

 

装甲こそ貫通できないもののVLSにも着弾し損壊を与える。

 

《ナイス、シロコ!ホシノ、ノノミ!VLSに追撃を!》

 

「あいよぉ。」

 

「分かりましたぁ、先生!」

 

すぐさまサイドに回ったノノミと下部を通り抜けAPスラグ弾を装填したホシノも発砲。

 

元より攻撃を受けることを想定していない部位かつ材質の違いで攻撃を受けるたびに亀裂が入り隔壁は削り飛ばされていき、

 

「ガトリング対決は私の勝ちです!」

 

ノノミの弾幕がとうとう装填されていたミサイルに到達。

 

発射不能に陥っていたミサイルは暴発、その衝撃はほかのミサイルにも伝播しVLS全体が吹き飛んだ。

 

そして後方に露になるケテルの内部機構。

 

《シロコ、ホシノ!》

 

「ん…言われなくても。」

 

「弱点もろだしなのを見逃せないよねぇ!」

 

先生の指示でシロコはドローンから飛び移りホシノもケテルの脚部を素早く登り切り、

 

「内側なら装甲もない。」

 

「そこは鍛えられないもんねぇ。」

 

WHITE FANG 465とFLAG12を装填したEye of Horusをケテルの内側に向け乱射。

 

5,56㎜弾と炸裂スラグ弾が内部機構を蹂躙、いかに頑丈な装甲を有していようと心臓部を破壊されてはケテルも形無しだ。

 

こちらも頭上の巨大なヘイローが砕け散り力なく地面に伏した。

 

両隊とも素早く前衛を排除し残るは支援機型のみ。

 

ネイトたちはそのままキャノン砲型を飛び越え廃車を踏みつぶしながら着地。

 

「フライトは終了、素早く遮蔽に移動!」

 

「分かりました、ネイトさんも早く!」

 

「また一緒に飛ばせてね、ネイトさん!」

 

「す、少し、楽しかった、です…!」

 

モモイ達は指示通り素早くネイトから飛び降り廃車の陰に移動する。

 

その時、支援機型ケテルがネイトに向けアンテナを指向。

 

エネルギーをチャージし電流を放出、

 

「ぐあッ!?」

 

「ネ、ネイトさん!?」

 

「し、心配するな!少し痺れただけだ!」

 

心配するモモイにそう返すネイトだが…

 

(くそっ、全身炙られたみたいだ…!)

 

電流はしっかりとネイトにもダメージを刻んでいる。

 

全快していたHPも84%に減少しEMVは一気に43%に増大。

 

それに手ごたえを感じたか、ケテルは再びアンテナを展開しネイトを狙う。

 

だが、

 

「やらせはしません!」

 

旋回してきたベルチバードが支援攻撃を開始。

 

チャフが舞う中、ヘルファイアミサイルは使えないがアヤネは直接照準でロケット弾の掃射を行う。

 

先の戦闘の教訓から基地で榴弾型から成形炸薬弾型『M247』に換装済み。

 

支援機と言うことで前衛の二機と比べ装甲が薄いこの機体には効果抜群だ。

 

片側のアンテナと中央の発信塔に着弾、アンテナを脱落させ発信塔も破壊。

 

《ネイトさん、追撃を!》

 

「借りは返すぞ…!」

 

痺れた体を動かしネイトはコンバットショットガンを構え発砲。

 

風穴があいた内部にも炸裂散弾が飛び込み内側から発信塔をへし折る。

 

さらにロケットハンマーを抜き放ち、

 

「ノノミ、合わせろ!」

 

「分かりましたぁ!」

 

ノノミにも合図を出すと彼女も背負ったそれを構える。

 

ヘッドの片面にブースターを換装したハンマー『スーパースレッジ』だ。

 

最近の彼女のお気に入りでスタン効果が付与されるモジュール付きである。

 

ネイトはV.A.T.S.、ノノミは猛ダッシュでケテルに肉薄し、

 

『せーのっ!』

 

全力を込めた殴打をケテル両前脚部に叩きこんだ。

 

おそらくキヴォトス人基準でも『怪力』に値するノノミのスーパースレッジによる一撃。

 

そこへPerk『Blitz』による最大倍率の強化を受けたネイトのV.A.T.S.攻撃も合わされば…

 

「ひ、ひっくり返ったぁ!?」

 

凄まじい勢いでケテルが足をすくわれ地面に発信塔を叩きつけられた。

 

これには上空の先生も驚愕するしかない。

 

「総員、撃ちまくれっ!」

 

ネイトはガトリングレーザーを抜きつつ無線ではなく拡声器の大声で向こう側にいる面々にも伝達。

 

「私の怒りの弾丸をくらえぇ!」

 

「ドットを打つみたいに正確に…!」

 

「レトロよ、永遠であれ…!」

 

「無駄だよ、これでおしまい!」

 

「私の牙からは逃げられないよ。」

 

「全弾発射~!」

 

ホシノ達もモモイ達も得物を抜き放ち無数の弾丸がケテルに襲い掛かる。

 

ロケット弾と散弾爆撃で装甲板をほぼ引っぺがされたような状態のところにこの一斉攻撃は耐えきれず小規模な爆発とともにヘイローも砕け散った。

 

一先ず、迫ってきていたケテルの排除は完了。

 

「やりましたね、ネイトさ…。」

 

ほんの少し余裕が生まれたのか弾んだ声音でネイトに声をかけるノノミだが…

 

「はぁ…ッはぁ…ッ…!」

 

「ッ、ネッネイトさん!?」

 

片膝をつき見たこともないほど消耗し肩で息をするネイトに思わず駆け寄る。

 

「だ、大丈夫ですか!?」

 

「あっ安心しろ、ノノミ…!すぐに調子を整える…!」

 

そう軽く返しつつバレない様にスティムパックを使用しHPを回復させるも…

 

(クッ…どうなってる…!?)

 

HPこそ回復したものの…ネイトに起こっている異常は収まらない。

 

あの電撃を食らった後から…

 

『…ころ…ほ…』

 

『しゅう…まきお…。』

 

『つい…われ…』

 

『しきさ…きょう…』

 

『なが…なもな…。』

 

『あら…にき…。』

 

『すうこ…でき…。』

 

(黙れよ…!なんだ、貴様ら…!?)

 

ネイトの頭の中に聞いたこともない声がずっと自分に呼び掛けてくる。

 

頭の中の声を追い払うように頭を振るい意識を戦場に集中させる。

 

「ネイトさん、ホントに…!?」

 

「…あぁ、息も整った。まだ元気一杯だ。」

 

復調を装いつつ、ネイトは立ち上がる。

 

ちょうどその時、

 

「ノノミちゃんにネイトさん、そっちはどお?」

 

「ネイトさん、ホントに大丈夫なの!?」

 

ホシノとモモイ達もこちらにやってきて合流。

 

その時だった。

 

《ネイトさんに皆!新手が接近中です!》

 

無線に響く先生の声。

 

今日だけで幾度となく感じた振動…だけではない。

 

ちょうどこの場所はハイウェイの合流地点。

 

そこから無数のスイーパーも迫っている。

 

そして目の前に降り立つ新たなケテル。

 

今しがた倒した支援機型が二機に…

 

「あ、あれって…チェンソーにハンマー…!?」

 

「ん…大きすぎる…!?」

 

「うへ~…シールドまで持ってるじゃぁん…!?」

 

今まで遠距離武器しか搭載されていなかった上部兵装が刃渡りが20mはあろうかと言う超大型チェンソーとハンマーを装着しもう片方のアームに分厚いシールドを携えた近接武装が装着されているケテルが2機。

 

明らかにこちらの攻撃パターンを分析し対策を講じてきた部隊構成だ。

 

「モモイ、ミドリ!ロボット兵を頼む!ユズ、行くぞ!」

 

《ノノミ、ロボット兵に牽制射撃!ホシノとシロコはそのまま新手の対処を!》

 

手数に優れるノノミ、コンビネーションが取れるモモイとミドリにスイーパーの対処を任せ、火力に優れるメンバーがケテルと対峙する。

 

「か、数が多すぎるううう!」

 

「叫んでないで撃ってよ、お姉ちゃん!」

 

弾幕と狙撃で迫りくるスイーパーを何とか食い止めようとする才羽姉妹だが如何せん数が多い。

 

ネイトから渡されたパルスグレネードを使っても行き足は一向に鈍らない。

 

「みなさんの邪魔はさせませんよぉ!」

 

ノノミもリトルマシンガンVで掃射するも物量の差は歴然。

 

相手は機械、他が破壊されても一切恐怖せず歩を進め迫って来る。

 

(俺が出会った奴らよりも動きがいい…!やはり、支援機の影響で性能が上がっているのか・・・!?)

 

ネイトも支援機の性能を見せつけられる中、

 

「対地支援を開始します!先生、タレットのスイッチを!」

 

「分かったよ!」

 

ベルチバードが滞空状態になり二組の間の上空にとどまり対地支援を開始。

 

双方に30㎜チェーンガンとタレット化したミニガンが火を噴きスイーパーの前衛を崩していく。

 

そして、

 

「これでもくらってください!」

 

支援機型ケテルにむけヘルファイアミサイルを発射する。

 

だが…近接型ケテルが素早くシールドを掲げミサイルを受け止める。

 

「そ、そんな!?」

 

「向こうもこっちの作戦を理解し始めている…!」

 

ただの鋼材ではないのか表面が少々へこむだけでそれ以上のダメージは見られない。

 

「防ぎたいならこれでもくらいやがれ!」

 

その状態を見たネイトは二体のシールドに向けコンバットショットガンを発砲。

 

破壊こそできなくとも散弾爆撃の衝撃はケテルのアームに襲い掛かる。

 

「わ、私も…!」

 

「ん…牽制にはなる…!」

 

ユズとシロコもシールドに向け発砲、その威力にケテルは後退するもなされるがままではない。

 

チェンソー装備のケテルがハイウェイを引き裂きながら横薙ぎにその得物を振るう。

 

「デカいから派手だねぇ!?」

 

「そんな大振り当たるか!」

 

その範囲内にいたホシノとネイトは難なく回避するがさらにそこへハンマーも振るわれる。

 

「そんな攻撃当たらな…!」

 

やはり大ぶりな攻撃、ホシノは容易く軌道を見切り回避しようとすると…

 

「ッ!?ホシノ、盾を構えろ!」

 

《身を隠してホシノ!》

 

「え…!?」

 

ネイトと先生から防御の指示が飛ぶ。

 

そう、ハンマー搭載のケテルの目標は二人ではない。

 

ハンマーは軌道上にあった廃バスに叩きこまれバスを粉砕。

 

内外装や窓ガラス、部品がまるで散弾と化しネイトたちに襲い掛かる。

 

「ホシノ、それに隠れろ!」

 

ネイトは傍らにあった廃車を蹴り動かしその陰にホシノを収めるも、瓦礫の散弾は容赦なくネイトに襲い掛かった。

 

通常ならX-02の装甲ならば砲弾の破片であろうと余裕をもって防げる。

 

この程度ならば気にするまでもない。

 

だが、今回ばかりは事情が大いに違う。

 

襲い掛かる外装やネジの一本が装甲に当たると、

 

「ぐぅぅぅぅ…ッ!!!?」

 

ネイトの体に軽重鈍鋭の様々な衝撃と痛みとなって襲い掛かった。

 

HP73%まで一気に減り、EMVは68%に上昇。

 

頭に響く声もより大きくより鮮明になった。

 

「ネ、ネイトさん!」

 

「気にするな、これくらいどうってことない!」

 

再び膝をつき明らかに異常な様子の彼を案ずるホシノに強がり交じりでそう返すも、

 

「ネイトさん、また来るよッ…!」

 

シロコがそう声を上げるとチェンソーが大上段でネイトに向け降り下ろされる。

 

「何度も食らってたまるか!」

 

体勢の都合で走り出せないと判断したネイトはジェットパックを噴射。

 

噴射角度を変えチェンソーの軌道から回避、

 

「武装がそれならそこは脆いよなぁッ!!?」

 

ケテルのシールドすら超える高さまで舞い上がり、チェンソーケテルに向けコンバットショットガンを乱射。

 

予想通り、アームの可動域確保のためケテルの上部構造は先の二タイプよりも脆く散弾爆撃は大損害を与える。

 

「コイツも…叩き壊させてもらう…!」

 

そういい、ジェットパックの噴射を止め自由落下するネイト。

 

着地地点にはハイウェイに食い込んだままの大型チェンソーがあるがそんなことお構いなしだ。

 

回転する刃の上に着地した瞬間、『Pain Train』と爆発ベント発動。

 

パワーアーマーの重量と衝撃波と爆発の高温をもってチェンソーを半ばから圧し折った。

 

一気に重量が消失したからかその反動でチェンソーケテルは体勢を崩し後ろへ下がった。

 

「ネ、ネイトさんッ、少し前に、行きすぎです…!」

 

「ん…ネイトさん、本当に大丈夫なのッ…!?」

 

シロコとユズはグレネード弾をハンマーケテルに撃ち牽制しつつネイトのもとに駆け寄る。

 

明らかに違うネイトの様子に心配し声をかけるも、

 

「…大丈夫だ、ダメージはそこまでない。」

 

僅かに間を開けシロコたちにそう返し、

 

「ミドリ、ノノミ!そっちはどうだ!?」

 

《こちらミドリ、ロボット兵の数も落ち着いてきました!》

 

《ノノミです、こちらもあと少しで排除完了です!」》

 

無線でミドリとノノミの状況を把握し、

 

「皆、こちらもいったん下がって体勢を立て直すぞ!」

 

『了解っ(…)!』

 

ミドリたちと合流するために走って彼女たちのもとへ戻ろうとする。

 

…その時だ。

 

「キャッ!」

 

「ッ!?ユズ!?」

 

ユズが転倒。

 

見ると…今朝壊れていたサンダルのバンドがちぎれている。

 

いかにネイトが修理したとはいえ戦闘に耐えきれるはずもなく修理箇所が再び破損してしまったのだ。

 

「ホシノ、シロコ!先に行け!」

 

「ネイトさんっ!」

 

放っておくわけにはいかない。

 

ネイトがユズのもとへ駆けだした。

 

その瞬間、ハンマーケテルが路面にそのハンマーを降り下ろした。

 

ネイトどころかユズにすら当たらないような場所にだ。

 

だが…その一撃の衝撃がハイウェイに伝わり先ほどチェンソーケテルが引き裂いた場所からハイウェイの大部分が崩落。

 

…ちょうどユズがいる場所から3mほど手前の位置からだった。

 

「きゃああああああああ!!?」

 

このままではユズはハイウェイごと水中に没してしまう。

 

「させるかああああああ!」

 

トップスピードのままネイトは滑り込み、

 

「掴んだ!」

 

「ネ、ネイトさん!」

 

崩落するハイウェイの上でユズの手を掴みジェットパックで空中に退避。

 

あとはハイウェイの上に戻るだけ…だったが、

 

「ぐぉっ!?」

 

「チェ、チェンソーの奴まだ!?」

 

ネイトの足に絡みつくチェンソーケテルから放たれたワイヤー。

 

引き寄せようとするその力はすさまじくジェットパックの噴射をもってしても少しでも緩めると負けてしまいそうだ。

 

(…。)

 

一瞬、腕の中のユズを眺めるネイト。

 

「ネ、ネイトさん、だ、ダメッ…!」

 

その一瞬の目線でユズにはネイトが何をするか分かった。

 

声を上げて止めようとするも、

 

「ホシノッユズを頼む!」

 

ネイトはユズをハイウェイにいるホシノに向け投げた。

 

「ちょ!?」

 

急なことで体勢を崩しながらではあるがしっかりと彼女を受け止めるホシノ。

 

その様子を見て、

 

「先生…少しの間…皆を頼む…!」

 

無線で先生に向けそうメッセージを残すネイト。

 

まるで、どこか満足げな声音だった。

 

「だ、ダメだ!ネイトさ…!」

 

先生も必死でネイトを止めようとするも…その瞬間にジェットパックはAP切れのため噴出を停止。

 

足に絡みついたワイヤーが一気にネイトを引き寄せる。

 

その先に待つのは…ハンマーを振りかぶったケテル。

 

そして…ケテルの最大出力を持って振るわれたハンマーは吸い込まれるようにネイトに叩きこまれた。

 

1tを超えるX-02はまるで砲弾のような勢いで打ち出され…水平線の彼方まで飛んでいき見えなくなってしまったのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

EMV…100%突破

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