――――アメリカ陸軍大将 ジョージ・パットン
ネイトは決して生存を諦めない。
だからこそ、米中戦争を最後まで戦い抜けた。
だからこそ、連邦で天寿を全うできた。
どんな状況でも生存に全力を注げる、それがネイトだ。
ケテルにワイヤーで絡めとられ引き寄せられたその時、ネイトは策を打っていた。
素早く体勢を入れ替え迫りくるハンマーを…足で受けた。
アビドスに来てから彼女たちにこう問われたことがある。
『パワーアーマー一番の長所は何か?』と。
やはり装甲か?
それともパワーアシストか?
はたまた速力か?
まさかのABC兵器に対する生存性か?
いや、ネイトが答えたのはそのどれでもない。
ネイトが答えたのは…圧倒的な着地性能だ。
これはパワーアーマーと言うよりその下、パワーアーマーのシャーシの性能の賜物だ。
油圧と空気圧を併用した緩衝装置は性能でいうとジャンボジェット機のそれに匹敵する。
どれほどかと言うと10,000ftという高度から自由落下してもきちんと脚から着地できれば着用者は無傷と言うほどだ。
そんな高性能緩衝装置である脚部に…ケテルの大型ハンマーは叩きこまれた。
緩衝装置、さらにPerk『Rooted』も発動。
物理耐性も強引に上げ来るであろう衝撃に備える。
凄まじい衝撃が足に伝わる。
常人ならばパワーアーマーを着てても足が粉砕骨折していただろう。
だが、ネイトはそうはならない。
『Adamantium Skeleton』、全身の骨格を金属フレームで補強し重傷を防ぐPerkである。
それによりダメージを何とか抑え込むも…全身を貫くように襲い掛かる神秘の威力。
今日一番濃密なその神秘は…ネイトのHPを一気に削り取る。
EMVはとうとう100%を振り切り残りHPは…23%。
なんとか一命をとりとめネイトはハンマーの一撃を耐えきり打ち飛ばされた。
しかし、蓄積した神秘の急上昇。
この影響か、この時点でネイトは失神。
だが、これが逆にいい影響をもたらす。
この時、ネイトの射出速度は音速を優に超えていた。
その際に受ける衝撃を失神し脱力していたことで受け流すことに成功。
そのまま航空機に頼らない空の旅は…5㎞を超えた。
下は水面、この高速で叩きつけられた場合地面の比ではないダメージを受けるだろう。
いまだ目を覚まさないネイトは…そのまま水面に着水。
これによりHPが…減らなかった。
…ネイトは幸運だった。
土壇場の土壇場で…運が彼を味方した。
『Unstoppable』、スキルブックで得られる特殊Perk。
効果は…5%の確率でダメージの無効化だ。
僅かな可能性だ。
ネイトも普段は決してあてにしない確率だ。
そんなPerkが…確かにネイトの命をつないだのであった。
そのまま意識を失った状態で水中に没するネイト。
身体も意識も暗闇に沈んでいく。
―――――――――――――――
――――――
―――
「ここは…どこだ…?」
ネイトが目を覚ました時に目の当たりにしたのは異質な光景だった。
自分にだけスポットライトが当たっているかのようにわずかな周囲だけ照らされあとは暗闇が広がっている。
だが、目を凝らすと…
「ここは…教会…か?」
整列された座席の列にステンドグラス、そして背後には教壇。
かつて連邦にも点在していた教会のような場所だった。
「おかしい…俺は確か水没地帯に…。」
となると今見ているのは夢か幻覚か。
「ッ!こんなのみてる場合じゃない!早く起きろ、俺!」
まだホシノたちは戦っている。
こんなところで寝ている場合ではない。
さっさと起きるために動こうとしたが…
「なッ!?く、鎖…!?」
先ほどまで無かった錆びた鎖が手足に巻き付き拘束する。
「どうなって…!?」
全く状況が呑み込めないネイトの前に…奴らは現れた。
「おぉ…!ついに…我々は手に入れることができた…。」
「これで…この世界…いや遍く一切の世界を…。」
「『忘れられた神々』が誕生する以前まで時を戻し…。」
「『名もなき神々』がその名を手にする世界を創造できる…!」
「ようやく…長きにわたる我々の戦いも終わる…!」
「『忘れられた神々』よ、次は貴様たちが名を失う時だ…!」
全身白の修道服に白い仮面をつけた6人の司祭。
彼らはネイトを取り囲むように突如として現れた。
「…何だ、お前たちは…!?」
「おぉ…『神無き地』より来たりし神秘で満ち満ちた無知で無垢な器よ…。」
「我々のことは知らなくてよい…。すぐに終わる…。」
「答えろ!俺をここに縛り付けて何が目的だ!?」
「ただ…『その名』を『頂きし』そなたが欲しいだけだ…。」
「何を訳の分からないことを…!?」
「世界総てを『創り直し』、『反転』させるという使命を果たせ…。」
ネイトにはこの者たちが何を言っているか訳が分からなかった。
だが、何の目的かは分からないが…自分に取り返しのつかないことをやらせようとしている。
「ふざけるな!俺にはまだやるべきことがある!」
この場から逃げないとまずい、本能が警鐘を鳴らす。
だが、非情にも手足を封じる鎖はビクともしない。
それどころかさらに手足を絞めつけネイトの自由を奪う。
「忘れよ。『色彩の嚮導者』が貴様を待っている。」
「では…無垢な器に色付けを行おう…。」
次の瞬間…ネイトの背後に…それは現れた。
それは…まるで皆既日食のような存在だった。
唯一違うとするなら…その光輪は紫色を示していた。
「なんだ、これは…!?」
「さぁ、『色彩』よ…!そのものを染め上げよ…!」
「無垢なる器は今…『狂気』で染め上げられる…!」
それを崇めるかのように跪く司祭たち。
その光が…ネイトを飲み込んだ。
……………………
「理解できぬ。」
「理解できぬ。」
「理解できぬ。」
「理解できぬ。」
「理解できぬ。」
「理解できぬ。」
「理解できぬ。」
司祭たちに到来した感情は…困惑だった。
あの光に飲み込まれれば…たとえ『神』であろうと転化を起こす。
一斉の例外など存在しないはずだ。
だが…目の前の男は…
「なぜ…染まらぬ…!?なぜ…狂わぬ…!?」
その光を受けても…何も起きない。
そんなこと…ありえないはずだった。
「狂う…!?ハハッ、面白いことをいう…!」
司祭たちを嘲笑うかのようにネイトは呟く。
「あり得ぬ…!?なぜ、貴様は正気を保って…!?」
「こんな程度の干渉…俺にとっちゃ子守歌に過ぎない…!」
確かにネイトには何かが干渉していた。
だが、それは先ほどケテルから攻撃を受けて聞こえていた声…おそらくこの者たちからのそれと比べると生ぬるい。
「なぜ…なぜ貴様は反転しない!?なぜ狂わない!?」
「だから…その前提がそもそも間違ってるんだよ、テメェら…!」
声を荒げる司祭たちに…ネイトは伝える。
「人が造り上げた地獄を見てきた俺が…狂っていないとでも思ったのか…!?」
『ッ!!!?』
この手で…戦場に骸の山を築き上げてきた。
この鼻で…感じなくなるほど血と灰の匂いを嗅いできた。
この耳で…悲鳴も断末魔もメロディーと思えるくらいに聴いてきた。
この肌で…世界が焼き尽くされる熱さと風を感じてきた。
そして…この目で…愛する者が撃ち殺される光景を見てきた。
「俺はな、すでに狂ってるんだよ…!その狂気を受け入れて…俺は歩んできたんだ!」
だから、正しくあろうとした。
自らが狂っているから…正しい道を歩み続けることができた。
愛するあの人が言ってくれたから。
『優しいし愛情深いししかも面白いし』と。
『聖人みたいに忍耐強い』とも言ってくれた。
優しくも愛情深くもない、こんなつまらなく弱い狂った男にだ。
だから…歩み続けてきた。
一歩踏み間違えば狂気の奈落へ一直線の旅路だった。
続く者をすべて巻き込んでその行進は止まらなかった。
邪魔する者をすべて踏みつぶしながら最後まで進み続けた。
それが例え…血を分けた息子であってもだ。
自分にやれることをやり切り…ほんの少しマシなゴールを迎えられた。
だが、何の因果か旅はまだ続いている。
「俺は…約束したんだ…!アビドスを…あの子に…ユメに…託されたんだ…!」
妻を守れず、息子すら踏みつぶした自分を『悪い大人じゃない』、そう言い切ってくれた彼女からバトンは託された。
「やり遂げなきゃならない…!なんとしても…!その邪魔をするっていうなら…!」
そうしなければ…自分が自分でなくなってしまう。
ほんの少し旅路が続くだけだ。
だから…こんなところで立ち止まっているわけにはいかない。
いつしか、鎖が緩んでいた。
まるで自分に恐怖しているかのように…その締め付けはいつの間にかなくなっていた。
そして、ネイトは司祭たちを睨みつける。
「テメェらを…踏みつぶしてでも…俺は帰るぞ…!」
「驕るな―――!」
「無垢どころかまだらに染まった器の分際で―――!」
「その力は我々の物―――!」
「『神秘』であり、『恐怖』であり、『崇高』―――!」
「『光』を生み出せし『創造者』の力―――!」
「寄越せ、我々の悲願のために―――!」
「もはや器はいらぬ、その力のみ差し出せ―――!」
司祭たちは激昂する。
最早彼らには…ネイトは人の形をした『怪物』にしか見えなかった。
この怪物の歩みを…いや、進攻を止めなければ悲願は達成できない。
その背後に見たこともない兵器達を出現させた
それらが…一斉にネイトに放たれ襲い掛かる。
いかにネイトでも…生身では耐えきれないかもしれない。
だが、ネイトは一切怯えを見せない。
それどころか歯をむき出しにしどう猛な笑顔を浮かべている。
迫り来る死の暴威、それすら見据えその目に生の光は決して消えていない。
その時だった。
『やらせはしませんよ~!』
どこか…抜けたような声だった。
だが、その声はまるで太陽のように明るかった。
瞬間、放たれた兵器とネイトとの間に盾を構えた彼女が立ちふさがった。
盾から展開されるバリアーが、迫りくる攻撃をすべて防ぎ切った。
「ひぃん…めちゃくちゃな人たちですねぇ…。」
「何者!?いや、あり得ぬ!」
「ここに入って来れる存在など…!?」
狼狽する司祭たちを余所に…彼女はネイトに微笑みかけた。
「…お久しぶりです、ネイトさん。」
「…あぁ。久しぶりだな、ユメ。」
ネイトをキヴォトスへ導いた少女、『梔子ユメ』がそこにいた。
「また面倒なのに絡まれてますねぇ。」
「いや全く。」
「そういえば!この前なんで逃げちゃったんですかぁ!?」
「やっぱりあの声は君だったか…。いや、普通怖いって…。」
「ひぃん…せっかく支援物資を届けてあげたのにぃ…。」
「それは本当に感謝している。」
司祭たちの猛攻を防ぎつつまるで世間話をするかのように緩く構える二人。
すると、ユメの表情が慈しみの色を帯び…
「…ネイトさん、ありがとうございます。」
「何が?」
「あの子を…ホシノちゃんを救ってくれて…。」
自分が遺していってしまった後輩、ホシノに対して礼を述べる。
「あの子、ずっと『私の代わりに』ってずっと肩ひじ張っちゃってたんです。」
「…あぁ、なんとなくわかるよ。」
「でも、ネイトさんが私のメッセージを伝えてくれたおかげで…あの子はまた飛び立てました。」
ずっと心残りだった。
喧嘩別れで永遠の離別をしてしまったホシノに対し、ユメはずっと伝えたかった。
自分の後を追わなくていい。
小鳥遊ホシノとして…自分の青春を送ってほしいと。
それがネイトによって果たされた。
小鳥遊ホシノは…再び自分の人生を歩んでくれるようになった。
それが…ユメにとっても大きな救いになった。
「それから学校のことも。いろんな生徒さんが増えたようで生徒会長として嬉しいですよ!」
「…まだまだいろいろやらなきゃいけないことが山積みだけどな。」
「大丈夫、ネイトさんならやり遂げられます!」
再び、太陽のような明るい笑顔を浮かべるユメ。
「…あぁ、任せろ。絶対に…やり遂げて見せる。」
そんな夢に、ネイトも浅い笑みを浮かべしっかりと頷いて見せた。
「じゃあ、もう『準備』はできていますね!」
「準備って…何が…?」
「EMV、あれは決してネイトさんに害を与えるモノじゃありません!ネイトさんが『目覚める』ために必要な力なんです!」
「目覚めるって…何に?」
「とにかくこれを!」
そういい、ユメがネイトに差し出したのはPip-Boyだ。
見かけこそ愛用のそれだが画面にはこう書かれてあった。
『『その名』を背負う覚悟を述べよ。』
と。
パスワードなど本来Pip-Boyには存在しない。
だが…ネイトの脳裏にはある文章が浮かんでいた。
迷いなくその文章を打ち込む。
『人は―――過ちを繰り返す。』
それはかつての人生で得た教訓だった。
争いを続けて過ちを繰り返しとうとう滅んだあの世界。
…だが、ネイトの教訓にはその続きがある。
『それでも―――歩み続けるから人なのだ。』
歩み続けた、かつての人生。
その最後の最後で…たどり着けたネイトにとっての真理だった。
「…やっぱり、貴方を選んで正解でした…!」
その言葉を見た途端、微笑みながらつぶやくユメ。
次の瞬間、Pip-Boyはまばゆい光を放ちネイトを包み始める。
「やめろ!それは我々の―――!」
「いえ、彼は認められたんです!アビドス…いえ、キヴォトス『原初の神秘』を…『源流』の名を背負うにふさわしい人だと!」
「その力で我々は世界を破壊せねば―――!」
「彼の力は世界を紡ぎ知恵と力を授けること!世界を壊させなんかさせません!」
司祭たちの言葉に力強く反論しその光がネイトを包むのを待つユメ。
「ネイトさん、最後にこれを!元居た世界での忘れ物ですよ!」
そして、ユメはそれをネイトに手渡した。
それは…かつてつけていた…愛する妻とお揃いの結婚指輪だった。
キヴォトスに来てからはもうお目にかかれないと思っていた。
「…ありがとう、ユメ。」
ユメから受け取った指輪を左手薬指に嵌める。
変わらない、かつて感じた感触そのままだ。
「さぁ、皆が待ってます!目覚めて、ネイトさん!」
「…分かった、俺は行く。君も逃げきれよ。」
「大丈夫ですよ!逃げるのには慣れてます!」
「…なぁ、また会えるよな?」
「ハイ!ホシノちゃんの夢枕にも立っちゃいます!」
「そうしてやってくれ。…じゃあな。」
ユメとの別れを名残惜しくしつつもネイトはPip-Boyを操作する。
向かう先は…廃墟区画水没地帯。
『やめろおおおおおおおお!』
司祭たちが絶叫するのも構わず…ネイトはファストトラベルでその場を去ったのだった。
――――――――――――――
―――――――
―――
気絶して何分経ったか?
X-02はなおも水中に没していく。
だが…その中でネイトの目は力強く開け放たれた。
そして…その背に背負うように蒼く輝きだす…巨大なヘイロー
。
その瞬間、
「ッ!!?」
「ヒナ委員長、何か?」
「…今の凄まじい気配は…一体…?!」
ゲヘナで、
「ッ!?」
「?どうかしたのですか、ツルギ?」
「なにか…とんでもないことが起きた…!」
トリニティで、
「ッ?!」
「リーダー、どうしたの?まだ怪我が痛い?」
「オイオイ…今日は何だってんだよ…!?」
ミレニアムで。
各地に散らばる実力者たちは感じ取った。
自分の根幹すら揺るがしかねない何かが…目覚めたことを。
そして、その爆心地では…
(奴らを…あのロボット共を打倒して…皆を守れるだけの武器を…!)
ネイトはそう願った。
そして…その願いに呼応するようにそれは始まる。
まずは水中に存在する広範囲の建築物が一気に解体された。
次にネイトが壊してきたロボット兵やケテルの残骸も解体された。
そして…周囲のハイウェイすらも一瞬で解体された。
その範囲は…半径3㎞。
いかに神秘の付与されたPip-Boyでもあり得ない広範囲だった。
だが、次の瞬間…さらにあり得ないことが起こる。
ネイトの眼下に…それが『クラフト』された。
全長210m、最大幅32.97m、基準排水量…43,000t。
それは…戦艦『マサチューセッツ』だ。
かつてネイトはこう言っていた。
『あぁ、いわば歩兵携行型のレールガンといったところか。もっとデカいのは戦艦を改修して搭載していた。』
そう、それこそがこの艦だ。
かつての米海軍はある戦場を見て戦慄していた。
それは欧州連邦と中東間で起きた資源争奪戦争。
その際、欧州は連合艦隊を編成し中東に派遣。
だが、結果は悲惨な物だった。
優れた防空システムを多数の艦が搭載していた。
それに対し中東軍は…対艦ミサイルの飽和攻撃を実施。
『蝗害』と例えられるほどの猛攻を前に欧州連合艦隊は壊滅。
結果、この戦争は泥沼の地上戦が繰り広げられることとなった。
それを見た米海軍はこう考えた。
『単艦でもあの飽和攻撃を凌げなおかつ命中してもビクともしない艦が必要』だと。
そこで白羽の矢が刺さったのがこの艦だ。
かつて、第二次大戦最初の砲火を放ち太平洋戦争で最後の砲火を打ち上げた戦艦『マサチューセッツ』だ。
改修は急ピッチで進められた。
後に続く戦艦の改修のため新技術が多数盛り込まれ生まれ変わった。
機関『5GW級常温核融合炉』2基による統合電気推進。
出力220,000馬力
最大速力40ノット
主砲、80口径10インチ三連装ガウスキャノン3基
弾速マッハ15、最大射程2000㎞、単純な運動エネルギーはアイオワ級の7倍に及ぶ。
そのほか75口径3インチプラズマ連装砲10基
四連装2MW級レーザー砲8基
四連装1インチガウスキャノン8基
近接防空用500kw級L-CIWS8基
近接防空用ASAM6基
後部Mk41VLS Mk 176 mod6 96セル✕2
装甲も強化され舷側で15インチ、砲塔で22インチと言う米軍最高の厚さを手に入れた
他にも射撃管制用レーダー、対空・対水上捜索レーダーも最高のものを搭載。
防空システムには『ロブコ社』CEO『Mr,ハウス』の協力のもと従来を凌駕する性能を持つシステムに換装。
これにより単艦であっても艦隊防空をはるかに上回る防空能力を獲得。
ちなみに、この協力によってMr,ハウスはラスベガスの都市防空システムを構築したという。
まさに『新時代の戦艦』にふさわしい威容であった。
その活躍は陸軍のネイトにも伝わっていた。
米軍による中国への上陸作戦ではその兵装をフルに活用し中国海軍を圧倒。
迫る雲霞のような対艦ミサイルと戦闘機の群れも対空兵装でほとんど防御。
例え喰らったとしても持ち前の装甲で耐えきった。
そんな蘇った海戦の王者が…キヴォトスにクラフトされた。
浮上するそれにネイトも掴まり浮き上がる。
周囲に大波を広げながら浮上した黒鋼の城。
「動かし方は…これでいいのか…?」
本能だった。
ネイトが片手を甲板に付けるとすべての火器が起動。
さらに電子兵装も起動しその反応が伝わってくる。
ここより6㎞先に…無数の反応が移動中。
その先には…一機の航空機と6人の反応。
「よかった…。間に合った…!」
誰も欠けることなく…無事だ。
そんな仲間と友のもとに迫るロボットの群団。
「やらせるか…!」
彼女たちを守るすべは…ここにある。
ならば…それを振るうのに何の躊躇もない。
「…全砲、撃ち方開始!!!あの機械の群れに…人類最大最強のキルゾーンの恐怖を植え付けてやれ!!!」
次の瞬間、主砲とミサイル以外の全砲が発射。
その一撃一撃がホシノ達に迫る鉄の群団をスクラップにしていく。
その中でもデカい反応、ケテルも足を止めた。
「主砲、あのデカ物に痛いのをぶっ喰らわせてやれ!!!」
放たれる、主砲ガウスキャノン。
マッハ15で放たれた砲弾は一瞬でケテルに到達し粉砕した。
「汽笛を鳴らせ!知らしめろ、海の王者の凱旋だ!!!」
――――――――――――――――――ッッッ!!!!!
その存在を知らしめるように轟き渡るマサチューセッツの汽笛。
きっと彼女たちにも届いたはずだ。
ネイトはパワーアーマーの無線を起動、仲間たちにその声を届ける。
「総員に告ぐ。こちら、戦艦『マサチューセッツ』。臨時艦長のネイトだ。これより、対地支援を開始する。」
『強く、速く、頻繁に攻撃せよ。』
――――アメリカ海軍元帥 ウィリアム・ハルゼー・ジュニア
ロマンは詰め込めるだけ詰め込め精神です