アヤネSide
こんにちは、奥空アヤネです。
あの戦争…『アビドス独立戦争』から少し経ちまたアビドスに平穏な日々が戻ってきました。
そして、アビドス廃校対策委員会…いいえ、『アビドス復興施策委員会』は今日もまた慌ただしいです。
あの後、シャーレの先生の公的な認証によって私たちの委員会はアビドス高等学校の正式な委員会として承認されました。
非公認だったせいで大変だった部分も大きいので、一安心です。
それにお陰様で復興委員会は正式にアビドス生徒会としての役割を担うことになりました。
そして生徒会長には…
「ハイこれ、町内会の要望書に砂の除去の依頼書ね。」
「こちらは予算の申請書です。」
「うへ~…ちょっとは休ませてよぉ~…。」
「ん…頑張ろう、ホシノ生徒会長。」
「これが終わったら一休みしましょうね~♪」
副会長を務めていたホシノ先輩が選出されました。
かつてのような挙手による指名ではなくちゃんとしたアビドス生徒による生徒会選挙の結果で。
仕事の量が増えてお疲れのようですがそれでもしっかりとこなしてくれています。
…時々ネイトさんのベッドに潜り込んで同衾することでストレス解消してますが。
ちなみに副会長はノノミ先輩。
会計はセリカちゃん。
庶務がシロコ先輩。
そして私は書記を務め忙しい日々を送っています。
他の生徒さんやロボットさんたちが手伝ってくれているので何とかやっていけています。
それからアビドスの街では…
「いらっしゃいませ、柴関ラーメンです!」
「らっしゃい、何にしましょう!?」
柴関ラーメンは屋台の形で再開しました。
お客さんもまた来てくれるようでして、セリカちゃんもまたバイトとして復帰することになりました。
大将も以前にもまして元気にお仕事されてますので引退はまだまだ先の話になりそうです。
あ、それから新しい従業員さんも増えたようで…
「『ジロウ』、そちらのお客さんのオーダーとってくれ!」
「ナニニシマスカ?」
プロテクトロンの『ジロウ タカハシ』さんです。
ネイトさんが連邦にいた頃にお世話になった同型のロボットを参考に設計した調理兼護衛ロボットらしいです。
最初は大将もお客さんも驚いていましたが今では柴関ラーメンの新たなアイドルになれているそうです。
彼が作る『ジロウ・パワートッピング』は謎の中毒性があって一部の人たちには大人気なんだとか。
次にカイザーコーポレーションやマスコミの方々について。
カイザーコーポレーションは見かけこそなんとか企業としての体裁を残せましたが内も外もボロボロです。
あの講和会議の後、その日のうちにW.G.T.C.への6000億を超える支払いが行われました。
相当無理をしたんでしょうね。
さらにそこに先生の記者会見。
これによってカイザーコーポレーションだけでなく連邦生徒会に対する世間の目は一気に厳しくなりました。
カイザーコーポレーションの関連株価は急落、もう以前のような強引な企業活動は行えないでしょう。
防衛室長の不知火カヤ氏には現在徹底した捜査がなされているそうですが…正直疑わしいです。
その際、連邦生徒会から正式に謝罪の声明文が送られてきましたが…
「シュレッダーにかけてくるから着払いで送り返しといてぇ。」
ホシノ先輩が相当皮肉を込めて返送していました。
そして、ネイトさんに対する名誉棄損等で訴訟を起こされた報道機関や評論家の方々。
裁判が長引くかと思いましたが…報道各社は訴状の内容を全面的に受け入れました。
どうやらカイザーの弱体化、そこにセイント・ネフティス社の広告費の大幅削減も相まって早急に対処する必要が出たおかげのようです。
しかし、それでも世間の冷ややかな目線は止むことなくほとんどのテレビ局は苦しい経営を余儀なくされているようです。
とくにクロノス報道部は以前からの強引な取材も相まって日々の取材も相当苦労しているんだとか。
あ、話題にも上がりましたセイント・ネフティス社の話もしましょう。
私達が帰ってきてすぐにセイント・ネフティス社もアビドスの地に戻ってきました。
今はカイザーから接収していた建物を流用して各グループ企業がアビドスのために日々業務に勤しんでくれています。
今までカイザーが整備していたインフラもセイント・ネフティス社が引き継いでくれるようになりました。
そして、セイント・ネフティス社とアビドス高等学校とW.G.T.C.は『パートナーシップ協定』を締結。
アビドス高校が人材を、セイント・ネフティス社が資材を、W.G.T.C.が技術をそれぞれ出し合いアビドスの復興に一丸となって取り組んでいくことになりました。
ネイトさんも張り切って今日もアビドス砂漠に繰り出しています。
今はキヴォトス中の園芸店に声をかけているとか。
そして、カイザーがなぜあの砂漠に拘っていたのかの調査も進んでいます。
何分、アビドス砂漠はとても広大。
日々の業務もあるので順調とは言えませんが少しずつ進んで行っています。
『情報提供者』も確保しているので追々聞いて行こうとネイトさんが言っていました。
…そういえば、いつの間にかネイトさんと義兄弟になっていた便利屋の方々ですが今もアビドスに構えた事務所でお仕事をされているようです。
普段は地域の清掃活動や迷い猫探し、護衛業務などの地域の困りごとを解決しているようで私たちも助かっています。
W.G.T.C.にもたまに顔を出して業務を補助してくれているんだとか。
『アウトロー』を目指すアルさんは少し困惑しているかと思ってましたが…
「弱きを助け強きを挫く…これもまたアウトローの一つの形よね!」
どうやら今の便利屋の在り方も気に入られているようです。
最近はD.U.の方にも仮事務所を設けたとか。
でもいまだにゲヘナの風紀委員会に睨まれているとのことだったので色々と大変そうなのは確かですね…。
――――――――――――
「アヤネちゃ~ん、何やってんの~?」
「あ、近況を纏めてました。」
「そろそろ会議始まるよ~。」
「分かりました。」
何はともあれ…私たちは『青春』を取り戻すことができました。
「それではアビドス復興施策委員会の定例会議を始めます。ここ最近色々なことがありましたがまだ私たちの活動は始まったばかりです。」
「ん…でも、前と比べたら毎日が楽しい。」
「そうだね~。せっかくいろいろ片付いたんだしちょっとお昼寝でもしなぁい?」
「うんうん!生徒会の業務も忙しかったですしのんびり過ごすのは大賛成です!」
「何言ってるの!生徒会の仕事だってまだあるんだからそんなことしてる暇なんてないんだから!」
「せ、セリカちゃん…。」
「生徒会会計担当として言わせてもらうけどインフラの委託や街の整備で全然余裕がないんだからね!」
「だったらいい考えがある。この前、アビドス砂漠の中で昔に埋もれた銀行を見つけた。」
「それ却下ね~。もうそんなことしなくていいんだから手堅くやってこうよ~。」
…名前は変わりましたが私たちは相変わらずこんな感じです。
何も変わらない、いつもの感じに戻ってしまいましたが…本当によかったです。
現状の報告は一旦こんなところです。
それでは、引き続きよろしくお願いしますね。
先生、そして『アビドス復興施策委員会』顧問のネイトさん。
―――Side Out
この日…ネイトとホシノの姿は夜明け前のアビドス砂漠にあった。
「ここか…。」
「ハイ。」
何の変哲もない砂漠の一角。
そこにATVを停車し…
「…おはようございます、ユメ先輩。」
「お邪魔するよ、ユメ。」
砂に埋もれかけたミネラルウォーターのボトルの前で立ち止まった。
「ユメ先輩、勝ちましたよ…。アビドスは…私たちの元に帰ってきました…。」
「報告が遅れてしまったな。だが、ようやくスタートラインに立てたよ。」
そこに新しいボトルと…クチナシの花と白百合で作られた花束が供えられた。
「見ててください。きっと…きっとこのアビドスは蘇ります。」
「長い年月がかかるだろうが…きっとやり遂げて見せる。」
二人は見ているであろうユメにそう宣言する。
その目には力強い光が宿っていた。
しばしの間黙とうをささげ…
「…行きましょう、ネイトさん。今日もまた忙しくなりそうですから。」
「だな。…じゃあな、ユメ。また来るよ。」
「ではまた、ユメ先輩。」
二人は立ち上がりATVに跨る。
その時、ちょうど朝日が差し込んできた。
偶然だった。
二人してその日が差してきた方を見る。
何時もと同じ眩しいアビドスの日差しだが…その中に一瞬だが確かに見た。
供えられた花束を持ちこちらに向けて笑顔を向ける…一人の少女の姿を。
その姿はすぐに見えなくなったが…
「…フフッ眩しいですね。」
「あぁ、あの子の笑顔みたいな太陽だ。」
二人はそう笑いあいATVのエンジンを吹かせアビドス高校への道を走っていくのであった。
これにて、ブルアカ本編における第一章と第二章…完結でございます
本格的な感謝の言葉はまた別の機会にあげるとして皆様、長い間ここまでありがとうございました
今後は少し閑話などを少し書いて…また新たな『冒険』を始めましょう