Fallout archive   作:Rockjaw

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愚者の最も確かな証拠は、自説を固守して興奮することである。
―――哲学者『ミシェル・ド・モンテーニュ』



The Devil Stops or Advances

アビドス独立戦争終結から少し経った頃。

 

場所はゲヘナ風紀委員会隊舎、今日この日…

 

「失礼します!風紀委員会行政官、天雨アコ!本日より風紀委員会の業務に復帰いたします!」

 

実に70日振りにアコが解放され風紀委員会に戻ってきた。

 

「あっおかえりなさい、アコ行政官。」

 

出迎えてくれたのは救護担当の火宮チナツだった。

 

「チナツさん、今まで苦労を掛けて申し訳ありませんでした。」

 

チナツに今までの不在で風紀員会に迷惑をかけたことを謝るが…

 

「いえ、行政官やイオリがいない間も何とか運営や治安維持が出来てましたから気にしないでください。」

 

「そっ…そうですか。それはよかったです。」

 

チナツのその言葉に一瞬表情が曇ったアコ。

 

彼女にそんなつもりがない事は分かっているが…それでも…

 

「…話は変わりますが大変だったようですね。あのアビドスが私たちのゲヘナを突っ切っていくだなんて…。」

 

悟られないように話題をアビドス独立戦争に変える。

 

「通り過ぎるだけならまだしも学区内で戦闘行為まで行ったとか。全く…あの野蛮人とその部下は私達を非難しておいて自分たちはそれを…。」

 

と、ネイト率いるW.G.T.C.の戦闘行為を得意顔で非難するが…

 

「あ…あの行政官…。」

 

「あら、なんですか?」

 

「その作戦行為…風紀委員会の承諾を得て私たちの監視の元に行われた正当な戦闘行為です…。」

 

「…ハイ?」

 

チナツの声を潜めた指摘を受け今度こそ言葉を失った。

 

「本来はW.G.T.C.の方々もゲヘナを通過するだけだったのですがヒナ委員長がカイザーに協力していたカクカクヘルメット団の情報を提供して…。」

 

「まっ待ってください!ヒナ委員長自らですか!?」

 

「声が大きいです…!…ハイ、さらにご自身がW.G.T.C.の一部隊に監視として同行していました。私も別動隊で監視の任についていましたが問題行動は一切起こしてませんでしたよ。」

 

「で、ですがゲヘナで他学区の生徒が戦闘を行ったのですよ…!?」

 

「ご自身で仰ったではないですか。あの時の彼ら彼女らは『アビドス生』ではなくあくまでネイト氏の部下である『W.G.T.C.の社員』なんです…。連邦生徒会の定めた法律では問題はありません…。」

 

「そっそんなバカなことがありますかッ!?」

 

思わず再び声を大きくし反応するアコ。

 

「私たちも『校則違反者』の確保を名目にして作戦を行ったのにここまで処罰を受けたというのにっ!!!ただ企業の社員だからと言って戦車まで持ち出してきたあの野蛮人共はお咎めなしだなんておかしいですよ!!!」

 

「それは…!」

 

「この地の治安を守るのは私達風紀委員会です!!それを蔑ろにされて黙っていられますか!?」

 

「おッ落ち着いてください、行政官…!」

 

落ち着かせるチナツの声など聞こえていないほどのヒステリーを起こすアコ。

 

「そっそうです!万魔殿はッ!?あのタヌキ共がこんな事態が起こってアビドスになんの非難もしないはずが…!」

 

「ぱ、万魔殿は…。」

 

その時、先ほどアコが通ってきた扉が開かれ…

 

「我々がどうかしたのか、天雨アコ?」

 

「~ッ!?ま、マコト議長…!?」

 

風紀委員会にとっては不俱戴天の仇ともいえる万魔殿議長のマコトがいた。

 

「なっなぜここに…!?」

 

「なに、行政官が復帰したと聞いて顔を見せに来たんだが…復帰早々騒ぎを起こすとはどうやら反省が足りないようだな?」

 

「そ、そのようなことは…!」

 

「まぁいい。さて、我々がアビドスとW.G.T.C.の学区内の行動についてどう判断しているかについてだな?結論を言おう、感謝しこそすれなぜ非難しなければならないんだ?」

 

「え…?!」

 

アコは信じられないような目でマコトを見る。

 

普段は少しの落ち度すら見落とさず仕事を自分たちに押し付け嫌がらせすることに心血を注ぐマコトがこんな事を見逃すどころか感謝すると言っている。

 

「なっなぜッ!?」

 

「わが校の生徒ならまだしも相手は犯罪組織のカクカクヘルメット団を貴様たちの代わりに制圧してくれたのだろう?ゲヘナの治安の向上につながる働きをほぼ『タダ』でやってくれたというのに非難はおかしかろう?」

 

「うっ…!?」

 

忘れていた。

 

マコトは風紀委員会に嫌がらせはするものの…治安維持に無関心というわけではない。

 

ヘルメット団の排除など風紀委員会をもってしても非常に手間がかかる。

 

今までヘルメット団が放置されていたのもこれが原因だ。

 

それをW.G.T.C.は一晩でやって見せた。

 

それも弾代はアビドス持ち、倒壊した建物も不法占拠されていた廃墟ばかり。

 

万魔殿の負担は大したものではなかった。

 

「…というわけだ。空崎ヒナが率先してW.G.T.C.に接触したのは気に喰わんがまぁいい。ともかく、万魔殿としてはアビドスとW.G.T.C.にこれといった声明を出すつもりはない。」

 

「あ、あなたがそんなことを…!?」

 

「というより行政官よ。…周りを見てみろ。」

 

「え…?」

 

マコトに指摘されアコが周りを見ると…

 

『……………。』

 

「なっなんです…か…?!」

 

周囲にいた風紀委員たちの鋭い視線がアコに注がれていた。

 

「分からぬか、行政官?」

 

「どういうこと…ですか…?!」

 

「貴様らが部下を扇動しアビドスに叩き潰されて以来…貴様や銀鏡イオリがいない間にこいつらがどれほど苦労したと思っている?」

 

「~ッ!?」

 

あのアビドスでの一件以来、風紀委員会は苦しい日々を送っていた。

 

ざっと200名近くの現場に出れる風紀委員の喪失だけでなく賠償のために予算もほぼ0の日々。

 

万魔殿の嫌がらせも含めると…近年まれにみる忙殺ぶりであった。

 

だというのに首謀者であるアコや事態をややこしくしたイオリは停学でこの日々を経験していない。

 

「そんな時にアビドスとW.G.T.C.は曲がりなりにもゲヘナ内の不穏分子を排除したのだ。それを貴様は『野蛮人』と侮辱するとは…。」

 

そしてアビドスは風紀委員会を大きく助ける働きをしてくれた。

 

確かにあの時は色々あったが過失は自分たちにある。

 

そんな大きな遺恨があっても自分たちの代わりにヘルメット団を制圧してくれた。

 

情報提供を受けたとしても無視して通り過ぎてもよかったのにである。

 

アコには信じられないことだが…多くの風紀委員もアビドスとW.G.T.C.には感謝しているのだ。

 

「ち、チナツ…?!」

 

まるで縋るようにアコはチナツを見るが…

 

「…………。」

 

彼女は申し訳なさそうに目を伏せた。

 

「そ、そんな…?!」

 

「フン…停学空けでこれでは空崎ヒナも苦労するだろうな。」

 

「!そ、そういえばヒナ委員長!ヒナ委員長はどちらに!?」

 

今まで頭から抜け落ちていたがここで敬愛するヒナの姿がない事にアコも気付くが…

 

「今日は奴は我々から休みを与え出かけさせているぞ。」

 

「お、お出かけ…!?」

 

マコトの口からまさかの言葉が飛び出た。

 

あのヒナが休みを取って出かけているなど今まであっただろうか?

 

ただでさえ風紀委員会は激務である上…ワーカホリックでもあるあのヒナが?

 

しかもその休み自体があの万魔殿から与えられたなど信じられなかった。

 

「ど、どちらへ向かわれたのですか!?」

 

「悪いがヒナの不在を悟られるわけにはいかんから貴様には教えられんな。」

 

「なぜですか!?」

 

「それほど奴が向かった先が重要だということなのだ。貴様も業務に励めよ、アコ行政官。」

 

言いたいことを言い終えた…いや、アコを茶化すのに飽きたのかマコトは風紀委員会の隊舎を去っていくのであった。

 

周りにいた一般風紀委員たちもそそくさと自分たちの業務に戻る。

 

「何なんですか、一体全体!!?」

 

「ぎょっ行政官、とにかく執務室に向かいましょう!」

 

「貴方達もおかしいですよ!?あんな野蛮人に感謝するなんてッ!!?」

 

マコトの言葉と風紀委員たちの態度にアコのヒステリーは加速しチナツに引っ張られて執務室に消えていくのであった。

――――――――――――――――

 

―――――――

 

―――

さて、そんな行政官のヒステリーなど知る由もない委員長である空崎ヒナ。

 

「着いた…。」

 

普段着ている風紀委員会の制服を脱ぎ白いブラウスとタイトスカートという出で立ちである駅に降り立った。

 

と、そこへ近づく一台の車両。

 

運転席には…

 

「お待たせしました、空崎ヒナさん。」

 

「貴方はアビドスのオペレーターの…。」

 

「奥空アヤネです。本日はよろしくお願いしますね。」

 

アビドスきっての名ドライバーであるアヤネがいた。

 

「さぁどうぞ、乗ってください。」

 

「お邪魔するわね。」

 

ヒナが後部座席に乗り込み車は発進。

 

「…今日は急にやってきて申し訳なかったわね。」

 

「いえ、いつかお越しになることはネイトさんから聞いてましたから大丈夫ですよ。」

 

「そう言えば、あなたも先の戦争では活躍したそうね。」

 

「いえいえ、私は皆さんの支援任務が主でしたから皆さんに比べると…。」

 

「支援任務も立派な功績よ。貴方のおかげで前線の皆も安心して戦えたのだろうから。」

 

「風紀委員長である貴方にそう評価してもらえるのはお世辞でも嬉しいですよ。」

 

「お世辞ではないのだけど…。」

 

車内でそんな風に世間話を交わしながら車はアビドスの街を進む。

 

後ろに乗っているのはゲヘナ最強の風紀委員長だというのにアヤネは一切緊張している様子はない。

 

(肝が据わっている…いえ、『慣れている』と言った方がいいのかもね。)

 

そんなアヤネの様子をヒナはそう分析する。

 

アヤネの態度を見る限り平静を装っている雰囲気はない。

 

自然も自然、この状況はいつものことのように感じられる。

 

ヒナも普段から意識して威圧的にふるまっているつもりはないが他学区の生徒は大なり小なり緊張してしまうことは知っている。

 

が、理由はなんとなく察しが付く。

 

(彼女と彼のおかげなのかしらね…。)

 

しばし車は進み…

 

「ここからは少し歩きます。」

 

「分かったわ。」

 

アビドス郊外に到着し少し歩き…

 

「こちらになります。」

 

「『Cafe Franklin』…。」

 

「本当はもっと正式にお出迎えしたかったのですが…。」

 

「構わないわ。私としても自分が今ゲヘナを離れているのは察知されたくないもの。」

 

目的地である『Cafe Franklin』に到着した。

 

ドアを開けると…

 

「いらっしゃいま…おや、アヤネさんではないですか。」

 

「こんにちは、マスターさん。お客さんを連れてきたのですが…。」

 

「聞いていますよ。いらっしゃいませ、ゲヘナのお嬢さん。」

 

「こんにちは。」

 

何時ものようにマスターが出迎えてくれた。

 

「お二方は奥の席でお待ちですよ。」

 

「…フゥ~…。」

 

いよいよか、とヒナも緊張の面持ちを浮かべるが…

 

「大丈夫ですよ、ヒナさん。」

 

「え…?」

 

「あなたの気持ちを正直に話してください。そうすれば…二人はきっと理解し受け入れてくれますから。」

 

アヤネがそんな彼女の心境を察してか安心させるような言葉をかける。

 

「………分かったわ。ありがとう、アヤネ。」

 

アヤネの気遣いに安心したのかヒナの表情は幾分か和らぎその席へと歩を進めていった。

 

そして、マスターが示した席には…

 

「やぁ、風紀委員長ちゃん。今日はわざわざご足労ありがとうねぇ。」

 

「この姿で会うのは初めてだな。アビドスにようこそ。」

 

アビドス生徒会長のホシノとW.G.T.C.社長のネイト、アビドスのツートップがそこにいた。

 

「…今日は時間を作ってもらって感謝するわ、小鳥遊ホシノにネイト社長。」

 

「立ち話もなんだから座ってくれ。」

 

「失礼するわね。」

 

ヒナは二人に向かい合うように席に着く。

 

「何か飲むぅ~?」

 

「…じゃあ、コーヒーを。ブラックで。」

 

「分かった。マスター、コーヒー追加で。ミルクと砂糖は無しで頼む。」

 

「承知いたしました。」

 

ヒナの分の飲み物も注文し、

 

「さて…あれからいろいろあったが…。」

 

早速ネイトから話題を切り出そうとすると…

 

「…先に私からいいかしら、ネイト社長?」

 

「…どうぞ。」

 

ヒナがそれを制し、

 

「こんなに遅くなって今更だと思われても仕方ないだろうけど…アコと部下たちが起こしたあの事件…改めて風紀委員委員長『空崎ヒナ』としてアビドスの代表者である貴方達に正式に謝罪させてもらいたい。本当に…申し訳ありませんでした。」

 

席から腰を上げ二人に向け深々と頭を下げた。

 

確かにあの一件はすでに万魔殿から正式な謝罪と賠償が済んでいる。

 

だが…結局自分はあの日からこうやって謝罪する機会を得ることができなかった。

 

ヒナはこの日、ネイト達と会うと決めてからずっと…最初に謝ろうと心に誓っていたのだ。

 

「…うん。分かったよ、風紀委員長ちゃん。アビドス生徒会長『小鳥遊ホシノ』としてあなたの謝罪をちゃんと受け止めたよ。」

 

「W.G.T.C.社長の『ネイト』としてもしっかり聞き届けた。だから頭を上げてくれ。」

 

そんな彼女の真摯な思いはちゃんと二人の心にも届いた。

 

「…ありがとう、二人とも。」

 

「さ、かたっ苦しいのは止めだ。座ってくれ。」

 

「分かったわ、ネイト社長。」

 

「そぉんな畏まらなくていいよぉ。ネイトさんったら普段はあまり肩書とか気にしないんだから。」

 

「お前がそう言うことを言える義理かっての、ホシノ。」

 

「あてっ。」

 

相変わらずゆるっゆるのホシノに軽くチョップをかましツッコむネイト。

 

そんな二人の様子を見て、

 

「…フフフッ、じゃあネイトさん…と呼ばせてもらってもいいかしら?」

 

少し笑いヒナもネイトの呼びかたを崩してよいかと尋ねる。

 

「構わない。何ならもっとすごい呼びかたする奴もいるしな。」

 

「?もっとすごい呼び方って…?」

 

許可されたのはいいがネイトの言葉が気になり首をかしげているとカフェのドアが開き、

 

「ただいま、マスター!おばあちゃんちへのケータリング終わったわよ!」

 

「おかえりなさい、アルさん。」

 

「あら、アヤネじゃない。」

 

「こんにちは、アルさん。お邪魔しています。」

 

外に宅配に出ていたエプロン姿のアルが帰ってきた。

 

「アヤネがいるってことは…。」

 

「ヤッホーアルちゃ~ん。」

 

「今日もバイト頑張ってるようだな。」

 

「ホシノにネイト兄さん、いらっしゃ…いぃっ!?」

 

アヤネがいることでネイトとホシノがいることも察し手を振って挨拶するが…

 

「ヒ、ヒナぁぁぁぁぁッ!!?」

 

自分達、便利屋68の天敵であるヒナの姿を認め絶叫。

 

「り、陸八魔アル…?!」

 

ヒナもヒナで想定外の人物の登場に固まるがそれ以上に…

 

「い、今…ネイトさんを『兄さん』って…!?」

 

ネイトの呼び方がものすごく引っかかった。

 

「まっまさか私達を捕まえに…!?」

 

なんせ顔を合わせては逃走劇を繰り広げてきた間柄だ。

 

アルは嫌な予感に冷汗を噴出させるが…

 

「まて、『兄妹』。今日の彼女はオフだ。」

 

「え…おっオフ…?!」

 

「第一、ここはアビドス。いかにゲヘナ風紀委員長と言えど活動はできない。だから落ち着け。」

 

「そっそうよね…!それに二人もいるし…!」

 

ネイトはそう僅かに言葉を交わし彼女を落ち着かせる。

 

アルも状況が呑み込めたのか落ち着いて奥に引っ込んでいった。

 

一方、

 

「え…『兄妹』って…?!」

 

シンプルながらガツンと衝撃を受けるような言葉にヒナも目を白黒させている。

 

「あぁ、ネイトさんとアルちゃん…というか、便利屋の皆がネイトさんと『義兄弟』になってるから。」

 

「正式なものじゃなくいわばそういう『契り』を結んだって感じだ。」

 

「な、なるほど…?」

 

ホシノとネイトの説明を聞いてもまだ若干混乱しているようだ。

 

そうこうしているうちに…

 

「お待ちどうさま。ご注文のコーヒーです。」

 

アルがヒナが頼んだコーヒーを持ってきてくれた。

 

「あ…ありがとう。」

 

「ごゆっくりお過ごしください。」

 

「…彼女、いつもここで?」

 

「というより、ここの上二階を借りて便利屋をやって手が空いているときはこのカフェの手伝いをしているんだ。」

 

「迷惑…掛けてないわよね…?」

 

「いんやいんや、地域の皆さんとも打ち解けてよくやってくれてるよぉ。」

 

ゲヘナにいた頃の便利屋68を知るヒナからすれば信じられないような言葉の数々。

 

だが、確かにアビドスで暴れればこの二人が出張って来るはず。

 

その二人がこう言っているのだから間違いはない。

 

「とりあえずコーヒーでも飲んで落ち着いたらどうだ?」

 

「…そうね、いただきます。」

 

ネイトに促され注文したコーヒーに口を付けると…

 

「ッ!お…美味しい…!」

 

普段味わっているコーヒーとはケタ違いの美味しさに目を見張る。

 

苦みの中にも深いコクと甘みを感じるそのコーヒーの味は彼女でも初体験だった。

 

「そうだろう。ここのマスターのコーヒーは一味違うんだ。」

 

「…これ、豆って買って帰れるかしら…?」

 

「マスター、豆って買えるのぉ?」

 

「はい、自家ブレンドを販売していますよ。」

 

「じゃあ、持ち帰りに二パックほど頂けるかしら?」

 

「かしこまりました。」

 

余程気に入ったのか、ヒナはその後も味わってコーヒーを楽しんだ。

 

「あの…お替りいいかしら?」

 

「遠慮しなくていいさ。」

 

と、一杯目を飲み干しお替りを頼んでいる間に…

 

「人心地着いたところで…。」

 

「そうだねぇ。」

 

「分かったわ。」

 

いよいよ今日この三人が集った本題に入る。

 

「まずは私から。…アビドスを代表して先の戦争での情報提供に感謝します。」

 

今度はホシノが席から立ちヒナに頭を下げ感謝を述べる。

 

キヴォトス打通作戦の折、ヒナが情報提供をしてくれたカクカクヘルメット団の隠れ家の場所。

 

もしあの情報提供が無かったらネイト達も背後を気にしなければならなかった。

 

そのおかげでネイト達W.G.T.C.の部隊は後顧の憂いを断つことができたのだ。

 

「軍事作戦において『二正面作戦』程愚策はない。それを防げたのは空崎ヒナ…君とゲヘナ風紀委員会の協力のおかげだ。W.G.T.C.総指揮官として俺からも礼を言わせてほしい。…絶大な協力に感謝する、ありがとう。」

 

ネイトも立ち上がりヒナに向け最上級の敬礼を捧げ礼を述べる。

 

「そ、そんな私は…。」

 

これにはヒナも少したじろぐ。

 

ヒナとしては…これくらいでは返しようがないことをアビドスにしてしまったのだ。

 

あの情報もかねてより自分たちが収集していた物を提供したにすぎず、ヘルメット団排除に動いたのはW.G.T.C.の決断だ。

 

だが、

 

「万魔殿からの賠償とさっきの風紀委員長ちゃんからの謝罪、それであの一件は水に流すよ。」

 

「え…?」

 

「これ以上、俺達としてもあの一件を蒸し返すつもりはない。まだ気が済まないようだが…これ以上関係がこじれるのも俺達は良しとしないからな。」

 

万魔殿からは決して少なくない賠償を受け取っており、アビドスの住民もそれに納得している。

 

ならば、これ以上蒸し返すのは仁義にもとる行為だ。

 

だから、ホシノとネイトは今度はヒナに対して純粋に礼を述べるのだ。

 

そして、

 

「W.G.T.C.のモットーは『実直な仕事には、ふさわしい報酬を』だ。ということで…これを君に収めてもらいたい。」

 

「風紀委員長ちゃんの誠実さに感謝と図太さに敬意をこめてアビドスからもこれをゲヘナ風紀委員会に。」

 

示し合わせたかのように二人それぞれ書類を差し出した。

 

その内容を見て…

 

「う、嘘…!?」

 

ヒナも目を丸くする。

 

ネイトが差し出したのは『謝礼金』と書かれた一枚の小切手。

 

そこに書かれてある額は…風紀委員会が息を吹き返すには十分すぎる物だった。

 

「こ、こんな大金をどうして…!?」

 

「言っただろう。それはゲヘナ風紀委員会の働きに対するW.G.T.C.からの正当な対価だ。あぁっと額は気にするなよ。カイザーや報道機関に御高名な評論家連中から搾り取ってるからそれくらいの出費はへでもない。」

 

W.G.T.C.は今や中小企業に見合わない資産を有している。

 

これを手に入れられたのも風紀委員会からの助力もあったからだ。

 

そして、ホシノが差し出したのは…

 

「じ、譲渡書…?!」

 

「カイザーの鹵獲品で『二線級』の物で申し訳ないけどいくらかそっちに譲るよぉ。」

 

「に、二線級って…どれもこれも…!」

 

装備の譲渡書だが…内容が破格だ。

 

「そ、装甲兵員輸送車に歩兵戦闘車…!それにヘリやパワーローダーまで…!?整備用のパーツも…!?」

 

「治安維持にはそれくらいがちょうどいいでしょう?」

 

今まで欲しくても手に入れられなかった装甲車やヘリ、それらを譲渡すると言っているのだ。

 

しかも、カイザーPMCの本部基地から鹵獲してきたどれもこれも新品同然の代物ばかり。

 

「ど、どうして…!?」

 

「いんや~欲張っていろいろ持ってきたんだけど置くとこに困っちゃってねぇ。売り払おうにもどうも管理が怪しい所ばかりでなかなか進まなくて…。だったら風紀委員会にあげちゃった方が後のこともしっかりしてくれそうだからさぁ。」

 

そう、いかにキヴォトスでは現役の兵器でも…アビドスにとっては『性能不足』なのだ。

 

一部兵器は技術解析のために手に入れたいが…他の兵器に関してはほぼ使い道がない。

 

ならばと、審査に通った学校に売却したりしているのが現実だが…

 

「ゲヘナの治安はアビドスにも直結してるからね。この装備で風紀委員長ちゃんたちが頑張ってくれればそれはアビドスのためにもなるってこと。だからあげちゃう。」

 

「小鳥遊ホシノ…。」

 

しっかりとした治安組織のゲヘナ風紀委員会に譲渡してもらった方が後の監理を任せられるうえアビドスにもいい影響があると一石二鳥なのだ。

 

さらに、この兵器のラインナップは…アビドスには絶対手出しできない性能の物ばかりでリスクヘッジも十二分に考えられている。

 

どっちをとっても破格の内容ばかりだが…

 

「…有難く頂戴するわ、二人とも。」

 

ここまでの気遣いを無為にするほどヒナは無粋ではなかった。

 

「うん、物は後日貨物列車でそっちに送るからちょっとお時間貰うねぇ。」

 

「分かったわ。…マコトには私から上手く言って誤魔化すことにするわ。」

 

「風紀委員長の口八丁の見せ所ってことか。…さて、一応これで俺らの要件は終わったが…まだ時間はあるんだろ?」

 

「えぇ、万魔殿から珍しく一日丸々休みをもらったわ。」

 

「じゃあ、アビドスを案内しようか。アヤネ、頼めるか?」

 

「分かりました。」

 

「マスター、ご馳走様ぁ。」

 

「ありがとうございます。ゲヘナのお嬢さんもまたいらっしゃってください。こちら、お持ち帰り用のコーヒー豆です。」

 

「えぇ、必ず。…陸八魔アル、アビドスで規則違反を起こさないで頂戴ね。」

 

「わ、分かってるわよ!」

 

こうして一行は『Cafe Franklin』を後にし視察という名のアビドスの観光に入った。

 

「ここがウチの整備工場。ロボットや戦車だけじゃなくて住民からの依頼や廃墟で回収した家電とかの修理もやってる。」

 

「ここの家電は販売もやってるの?」

 

「あぁ、近々リサイクルショップとしてうちで店を出す予定だ。」

 

「…あの子に教えておこうかしら。」

 

W.G.T.C.の整備工場や、

 

「凄い警備設備ね…。万魔殿もここまで厳重じゃないわ…。」

 

「うへ~怪盗でも侵入を躊躇うくらい厳重だよぉ。…アイツは例外だけど。

 

「何か言ったかしら?」

 

「なんにもぉ?」

 

アビドス高等学校校舎や、

 

「凄い砲声…!ゲヘナの時にも見たけどやっぱり桁違いの大砲ね…!」

 

「ウチの野砲部隊、通称『ブラックヒュドラ』だ。」

 

「…あの大砲は買えないかしら?」

 

「ウチの虎の子の榴弾砲だぞ?さすがに売れないな。」

 

「そう、それは残念ね…。」

 

W.G.T.C.部隊の訓練場など色々見て回った。

 

そのうち、日も暮れ夕日がアビドスを照らし始めた。

 

「さて、そろそろゲヘナに戻る時間だな。」

 

「今日は色々とありがとう、三人とも。」

 

「リフレッシュができたようで何よりです。」

 

「んじゃあ、駅まで送って…。」

 

あらかた視察も終わったのでヒナを見送ろうとすると…

 

「…まってちょうだい。最後に一か所だけ…行きたい場所があるの。」

 

今日初めてヒナが自らの意志で訪れたい場所を述べた。

 

そして、四人は最後に…

 

「らっしゃい!ってネイトさん達じゃないかい!」

 

「こんにちは、柴大将。四人だけどいいかい?」

 

「テーブル席が空いてるよ!」

 

アビドス生行きつけの屋台、『柴関ラーメン』に到着し席に着く。

 

「ここが…。」

 

敷地内に設けられたテーブル席に着きヒナは憂いを帯びた目で辺りを見回していると…

 

「いらっしゃい、ネイトさんにホシノ先輩にアヤネちゃん!」

 

バイト中のセリカがお冷を持ってきてくれた。

 

「バイト頑張ってるようだな、セリカ。」

 

「そりゃもう毎日繁盛してるからね!…それにゲヘナの風紀委員長さんもいらっしゃい。」

 

にこやかな接客態度だったがヒナを見て一瞬鋭い視線を向けるが…

 

「お、お邪魔しているわ…。」

 

「セリカちゃん。」

 

「…分かってるわ、大将に全て委ねてるから。…では、ご注文が決まりましたらお呼びください!」

 

ホシノの声を聴き自分に言い聞かせるようにつぶやいて元の接客態度に戻り後にして行った。

 

「セリカちゃんがごめんなさい、ヒナさん。」

 

「いいえ、無理もないわ…。」

 

「まぁ、早く注文決めてしまおう。俺が奢るから好きに頼んでくれ。」

 

何はともあれ四人はメニューを眺めて注文を決めることに。

 

「あの…これは?」

 

「あぁそれ?柴関ラーメンの新しい名物だよぉ。」

 

そんな中、ヒナはメニューの中でひときわ目立つある一品に注目。

 

「…じゃあ、私はこれで。」

 

「…大丈夫ですか、本当に?」

 

「え…?」

 

心配するアヤネを余所に…

 

「いいじゃないか、アヤネ。何事も挑戦だ。」

 

「んじゃ、お願いしちゃうねぇ。すみませ~ん、注文お願いしま~す。」

 

ネイトとホシノは微笑みながら人を呼ぶと…

 

「ナニニシマスカ?」

 

「ろ、ロボット…!?」

 

「やぁジロウ。」

 

柴関ラーメンの新たなアイドル『ジロウ・タカハシ』がやってきた。

 

「俺はチャーシュー麺に味玉トッピングで。」

 

「私は柴関ラーメン、アブラマシでお願いねぇ。」

 

「味噌ラーメンにコーンをお願いします。」

 

ネイトたちが各々注文していく中…

 

「わ、私は…この『ジロウ・パワートッピング』というものを…。」

 

ヒナはメニューにでかでかと描かれていた『ジロウ・パワートッピング』をチョイスするが…

 

「メンヤサイニンニクアブラドウシマスカ?」

 

「え?」

 

ジロウの呪文のような質問に目を白黒させる。

 

「ジロウ、彼女は初めてだ。初心者向きの組み合わせで頼むよ。」

 

「カシコマリマシタ。少々オ待チクダサイ。」

 

ネイトの助け舟もありオーダーは完了。

 

あとはラーメンが来るのを待つだけだが…

 

「…行ってくるわね。」

 

「あぁ。健闘を祈るよ、空崎ヒナ。」

 

ヒナが席を立ち…

 

「あの…。」

 

「オウ、どうかしたのかい?」

 

屋台の中で忙しなく動く柴大将に声をかける。

 

大将は手を動かしながら意識をヒナに向けるが…

 

「私、ゲヘナ風紀委員会の委員長の空崎ヒナと申します。」

 

「………そうかい。ジロウ、ちょいと頼むよ。」

 

「了解シマシタ。」

 

ジロウに調理を任せ彼女の前に立った。

 

「そうか、お前さんが…。」

 

「はい。柴大将、部下が貴方の店を砲撃し破壊してしまったことと貴方を傷付けてしまったこと…心よりお詫び申し上げます。」

 

ヒナは柴大将に向け今日一番深く頭を下げた。

 

あの日、便利屋68の捕縛に来たことは強引な手段を抜きにするヒナも少しは理解している。

 

だが、それでも柴関ラーメンは一切風紀委員会の活動に関係がない。

 

そんな店を…なんの予告もなしに砲撃で爆破してしまったのだ。

 

「………。」

 

罵詈雑言を浴びせられようと殴られようと…ヒナは全てを受け入れるつもりだ。

 

このアビドスで長年営んできた店を理不尽な理由で破壊された大将の心情は…自分に分かるはずがない。

 

自分が到底頭を下げた程度で済む問題ではない事も重々理解している。

 

だが、ヒナはそれでも頭を下げ続ける。

 

こうしなければ気が済まなかったのだ。

 

すると…

 

「風紀委員長のお嬢ちゃん、頭を上げてくれ。」

 

柴大将は優しい声音でヒナに声をかけ…

 

「分かったよ。君の謝罪を俺は受け入れるよ。」

 

「え…?」

 

あっさり…というにはあまりにも簡単に柴大将はヒナの謝罪を受け入れたのであった。

 

「ど、どうして…?!」

 

「あの後、アンタんとこの生徒会からも十分に賠償と謝罪を受けてるんだ。だからこう決めてたんだ、アンタが俺に会いに来て頭を下げて謝ったときには全部水に流そうって。」

 

「で、でもお店が…!」

 

「屋台になってることかい?なぁに、アビドスの皆がスタートラインに立てたってんだ。だったら俺も心機一転、初心に帰って始めて見ようって思ってな。前みたいに地上げの心配もなくなったからね。」

 

「心機一転…。」

 

「金なら新しい店建てられるくらい貰ってる。何ならネイトさんが無料で建ててくれるって言ってたんだけど俺がこれでいいって言ったんだ。だから、風紀委員長のお嬢ちゃんは気にしなくていいよ。」

 

そう、柴大将はヒナの肩に手を置き、

 

「それより、今日はわざわざゲヘナからうちのラーメンを食べに来てくれてありがとうよ。腕によりをかけて作るから腹いっぱい食べてってくれ。」

 

微笑みながらそう声をかけて厨房へと戻っていった。

 

「…ありがとう…!ありがとう…ございます…!」

 

そんな大将の背中にヒナは目を潤ませながら再び深々と頭を下げたのだった。

 

「よかったねぇ、風紀委員長ちゃん。」

 

「えぇ…大将の寛大さに感謝だわ…。」

 

「これでもう心残りはないな?」

 

「心につっかえていたのが少し楽になったわ、ネイトさん…。」

 

席に戻ったヒナが目元を紙ナプキンで拭いながら笑顔を浮かべていると、

 

「ハイお待ちどうさま!チャーシュー麺に柴関ラーメンに味噌ラーメンです!」

 

セリカがラーメンを持ってきてくれた。

 

「パワートッピングはもう少々お待ちください。…それから、ヒナさん。先ほどは失礼な態度をとってしまい申し訳ありませんでした。」

 

「気にしないで。むしろあれが自然なのだから。」

 

「ありがとうございます。私もこれからは自然に接せさせてもらいます。」

 

先ほどの態度をヒナに謝罪しセリカが戻っていったタイミングで…

 

「『ジロウ・パワートッピング』メンカタメニンニクスクナメヤサイマシアブラオ待チドウサマ。」 

 

「…え゛?」

 

ヒナの前にジロウが持ってきてくれた「ジロウ・パワートッピング』が置かれた。

 

ネイトたちのそれとは全く違うこんもり盛られた野菜に分厚いチャーシューに背脂とニンニクが掛かったなんともボリューミーなラーメンだ。

 

「こ、これが…!?」

 

「さぁ食べようか。無理なら少しは食べてやるから。いただきます。」

 

「じゃあいただきま~す!」

 

「いただきます。」

 

「いっいただきます…!」

 

料理が揃ったことで四人が一斉に食べ始める。

 

ヒナも見た目に圧倒されながらも一口食べると…

 

「ッ!お、美味しい…!」

 

見かけ通りのスタミナ満点ながらどこか病みつきになるその味わいに目を見開く。

 

一度味わえば雰囲気になれたかヒナはどんどん食べ進めていった。

 

「フフッ、気に入ったようでよかった。」

 

ネイトも自分が設計したロボットが考えたトッピングのファンが増えたことを嬉しそうにしながら自分のラーメンをすすっていった。

 

その後、小さな体のどこに入ったのかヒナは出された『ジロウ・パワートッピング』を完食。

 

「ご馳走様でした、大将。」

 

「オウ、またいつでもきてくれよ!」

 

「えぇ、必ずまたうかがわせてもらうわ。」

 

柴大将と再び来店する約束を交わし…

 

「今日は色々とありがとう、三人とも。」

 

「お疲れさまでした、ヒナさん。」

 

「まぁなんだ。今後とも互いの学区で頑張っていこう。」

 

「お休みの時はまた来てねぇ。歓迎するからさぁ。」

 

彼女を駅に送り届け…ヒナのアビドス訪問は幕を閉じるのであった。

 

来た時と打って変わり、彼女の表情は非常に晴れやかなものだったという。

 

―――――――――――――――

 

――――――――

 

―――

少し経った頃のゲヘナにて、

 

「な…何ぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃッ!!?!??」

 

ゲヘナに入ってきた貨物列車の目録を目の当たりにしたマコトは大絶叫。

 

すぐさま現地に向かい、

 

「おっおい空崎ヒナ!」

 

「あら、マコト議長。こんな駅にどういった用件で?」

 

そこで受領の手続きをしたヒナを見つけて詰め寄る。

 

「とぼけるなッ!?なんだこの兵器の山はぁ!?」

 

そこにはずらっとアビドスから譲渡された兵器群が並んでいる。

 

風紀委員会が力を付けることが何よりも嫌なマコトにとっては到底看過できるものではないが…

 

「あぁ、これはスクラップよ。」

 

「はぁッ!?何を馬鹿なことを!?」

 

「見なさい、使えない様にされてるじゃない。」

 

あっけらかんにこの兵器達を『スクラップ』と言い放ったヒナ。

 

が、どの兵器もせいぜいタイヤの空気が抜かれているか履帯の留め金が外れているか兵装の銃身が外されているか程度。

 

瞬く間に戦力化が可能だろう。

 

「貴様っ、あの日アビドスと何を…ッ!?」

 

到底受け入れられずマコトはなおも問い詰めるが、

 

「スクラップよ。」

 

「だからとぼけるんじゃ…!」

 

「スクラップよ。」

 

「なっ何を…!?」

 

「ス・ク・ラ・ッ・プ・よ。」

 

何時にないぐいぐい来るヒナに…

 

「お…おぉ…!?」

 

とうとうマコトはそれ以上何も言えなくなってしまったのであった。

 

「…じゃあ、私たちは忙しいから失礼するわね。」

 

そんなマコトを放置し他の風紀委員と兵器の整備にヒナも向かうのであった。




あらゆる愚鈍を汲みつくし、底にある英知に到達する。
―――作家『ルートヴィヒ・ベルネ』
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