Fallout archive   作:Rockjaw

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人を育てることは、未来を育てること。
―――トヨタ自動車代表取締役会長『豊田章男』


Mandatory Giant Killing Day

ミレニアム郊外『廃墟区画』

 

ここはネイトが普段作業している場所とは違う区画だ。

 

『■■■…。」

 

『■■■■…。」

 

やはり、まだ制圧下にない区画なのでロボット兵の数も多い。

 

そんな中を…

 

「…行ったぞ。姿勢を低くしてついて来い。」

 

「いやぁ、ネイトさんも来てくれてラッキー…!」

 

「静かにお姉ちゃん…!バレちゃったら大変だよ…!」

 

「昔みた怪盗アニメみたいだなぁ…。」

 

周囲を窺いつつネイトを筆頭にモモイ・ミドリ・先生が身をひそめながら進んで行く。

 

なぜこうなったかというと数時間前のこと。

 

あの後に合流しベルチバードに乗り込みミレニアムに飛んだネイトと先生。

 

「俺と先生に用があるって一体何なんだろうな。」

 

「声からしてそこまで緊急性は感じられませんでしたが…。」

 

ミレニアムに到着後、ゲーム開発部の部室が入っている建物に向かう。

 

ネイトと先生…おそらくこのキヴォトスにおいて問題解決という方面において最強の組み合わせともいえるだろう。

 

そんな二人を違う人物とは言え同じ部活のメンバーが呼ぶとはいったい何事かと思うのも無理はない。

 

「というかネイトさんは大丈夫なんですか?」

 

「なにが?」

 

「ミレニアムで予定があったとはいえあの子たちに時間を割いて…。」

 

先生は生徒の悩み事解消が仕事だがネイトは違う。

 

手に職を持ち従業員を従える一社長だ。

 

しかも、本来の役目はアビドスの復興。

 

そんな彼を他校の問題で拘束していい物か、と思ったのだ。

 

対して、

 

「元から3~4日は空ける予定だって伝えてるから気にするな。別に緊急の要件でもないし。」

 

「そうなんですか?」

 

「セイント・ネフティスからも現場指導員が派遣されてるし後進育成のためにも少し俺の力を借りずに生徒たちだけでやっていくのも大切なことさ。」

 

W.G.T.C.は確かに力を持った企業だがそれはネイトのワンマンによるところが大きい。

 

自分がいる間はそれでもいいだろうが…もしもの時がある。

 

そこでアビドス独立戦争後はあえてネイトは以前よりも現場を離れ生徒たちに業務をやらせるようにしている。

 

現場作業や書類、経理に営業など生徒たちは日々奔走している。

 

無論、ネイトも力を貸しているしセイント・ネフティス社からのバックアップもある。

 

「俺がいつまでもいられるわけじゃないからな。重要案件は今でも俺が入るけど。」

 

「なるほど…成長のためあえてやらせてみるんですね…。」

 

「なぁに、俺のやり方を見てきたおかげか結構やれてるぞ。」

 

「ネイトさんの背中は頼もしい背中ですもんね。」

 

そんな世間話を交わしながら歩いていると…

 

「そう言えば機内で聞き忘れてたんだがモモイはなんて?」

 

先生をここに呼んだ張本人であるモモイの話題となった。

 

ネイトとは奇妙な縁あって友人関係だが公的な立場である先生を呼び出すとはよほどのことなのだろう。

 

「なんでも『ゲーム開発部存続の危機』…だとか。」

 

「…なんだって?それはどういう…。」

 

ミドリからは聞けなかったなんとも穏やかではない話に眉をひそめて彼を見るネイト。

 

その時、ふいに先生の頭上に影が下りた。

 

瞬間、V.A.T.S.を起動。

 

引き延ばされた時間の中でその陰の正体を確認すると…

 

(げ、ゲーム機!?)

 

かなり年季の入った据え置き型のゲーム機が降ってきていた。

 

状況は理解できないが…強引に飲み込むよりほかない。

 

「うわぁッ!?」

 

まずは先生を抱えゲーム機の落下地点から退避させ、

 

「よっとっ!」

 

次にゲーム機にV.A.T.S.を照準、地面に落ちる前にキャッチした。

 

「なっ何が!?」

 

「いやホント、なんでこんなのが…?」

 

突然の出来事で驚く先生と困惑するネイトだが…

 

「もしかして先生かネイトさんに当たっちゃったかも!?」

 

「プライステーションは無事!?」

 

上から聞きなじみのある賑やかな声が聞こえそちらを向くと…

 

「「「「あ…。」」」」

 

ネイトと先生、モモイとミドリの視線がぶつかり合った。

 

「あ、アハハハ…ど、どうやら二人もゲームも無事みたいでよかったね、ミドリ!」

 

「そっそうだね、お姉ちゃん!先生にネイトさん、よく来てくれました!」

 

瞬時に事態を飲み込み笑顔で誤魔化す才羽姉妹だが…

 

「二人とも?」

 

「「は、はいッ!」」

 

「そこを一歩も動くなよ?」

 

そんな二人を満面の笑みを浮かべて見上げるネイトなのであった。

 

数分後…

 

「あうっ!」

 

「キャンっ!」

 

「全く…俺がいたからいいものを…。」

 

「まぁまぁネイトさん、その辺で…。」

 

ネイトと先生の姿はゲーム開発部の部室内にあり、あらかた言い訳を聞いたネイトの空手チョップが二人に振り下ろされたタイミングであった。

 

「いいか、俺や先生はただの人間だ。弾丸どころか当たり所が悪ければ落ちてきたゲーム機でもただじゃすまないんだぞ?」

 

「ごめんなさい、先生にネイトさん…。」

 

「周りの迷惑を考えず騒ぎすぎちゃいました…。」

 

「うん、分かった。反省して同じことをしなければ私はもう大丈夫だよ。ネイトさんもいいですか?」

 

「あぁ、それにこれは大事なものなんだろう?もう粗末にするなよ。」

 

完全にシュンとし反省している様子の二人にネイトは件のゲーム機を返す。

 

「さてと…それで二人とも、一体何があったんだい?」

 

「同じタイミングで俺と先生を呼び出すってことはのっぴきならない事だってのは分かるが…『部の存続の危機』ってのは穏やかじゃないな。」

 

ようやく腰を落ち着けて本題に入るネイトと先生。

 

「あ、今飲み物出しますね。ジュースしかないですけど何がいいですか?」

 

「ミドリ!私はコーラね!」

 

「自分で取りなよ、お姉ちゃん!…それでお二人は?」

 

「じゃあ、私はオレンジジュースでいいかな。」

 

「俺もコーラで頼むよ。」

 

一先ずは一息つくためにミドリがネイトがくれたレトロ自販機のボタンを押しボトルジュースを差し出してくれた。

 

飲み物が行き渡り…

 

「さて、モモイ。説明してくれるな?」

 

「うん、今日二人を呼んだのにはそれはそれは深~い…深いわけが…。」

 

モモイが腕を組んで意味深な表情をしながら説明に入ろうとすると…

 

「そのことに関しては…私から直接ご説明しましょうか?」

 

ゲーム開発部部室のドアが開き、全員聞きなじみのある声が聞こえてきた。

 

「もーいいとこなのに、ユウカ!」

 

「それはごめんなさいね。それよりも…先生にネイト社長。」

 

「やぁ、ユウカ。」

 

「お邪魔させてもらってるよ。」

 

振り向くとミレニアムのセミナー会計であるユウカが立っていた。

 

「お二人とは色々と話したいこともありますが…それはまたあとにするとして………モモイ、ミドリ。」

 

前置きもそこそこに彼女はモモイ達に向き直り…

 

「…ごめんなさい、他の部活の意見をどうやっても抑えきれなかったわ…。」

 

頭を下げて謝罪をするのであった。

 

「そ、そんな…!だってユウカが皆を説得して見せるって…!」

 

「本当にごめんなさい…。」

 

「じゃあ、私たちどうなっちゃうんですか…!?」

 

「…言いにくいけどこのままだと…本当に廃部という処分を下さなきゃいけなくなるわ。」

 

愕然とする才羽姉妹と深々と頭を下げ続けるユウカ。

 

「…どうやら相当こじれた話のようだな。」

 

「説明してくれるかい、ユウカ?」

 

表情を真面目なものに切り替えネイトと先生は事情を聴くことに。

 

キヴォトスにおける部活動の運営については各学校の生徒会に委ねられている。

 

ゲーム開発部もそのくくりの中にいることは当然だ。

 

「以前までの…それこそ、数か月前のモモイ達のままなら私も今頃有無を言わせずゲーム開発部の廃部を通達に来ていたのですが…。」

 

本編・・ならそうなるはずだった。

 

だが…そんな彼女たちに台風級のバタフライエフェクトが吹き込んだ。

 

「ネイトさんと出会ってからのこの子達の活動はセミナーでも評価すべきことでした。今までとは嘘みたいに新作も送り出してそのどの作品も結構な評価を得ています。」

 

「うん!『アサルトミニV』に『プラントリオ』、『モジュラーメカ』!どれも結構売れたし☆4に届くか届かないかくらいの評価は受けてたよ!」

 

「それにネイトさんからもシミュレータの発注も受けてますしちゃんと企業への実績もあります!」

 

そう、ネイトと出会い彼と共に戦場をかけたことによりゲーム開発部が大きく変化。

 

ネイトを通じて得られたインスピレーションや向上した技術で今までが嘘のように精力的に活動。

 

それだけでなくきちんとその活動も公に評価もされている。

 

「えぇ、本当に以前に貴方達では考えられないほど頑張っている。それは私もノアも十分評価しているわ。」

 

「だったらなんで!」

 

「…はっきり言うと…目立ち過ぎたのよ。」

 

「なんだって?」

 

だが…それはゲーム開発部がミレニアム内で存在が認知されることと同義だ。

 

もし、かつてのままなら誰からも気にもされずに廃部される運命だっただろう。

 

だが…

 

「小規模な部活の大半から『部員が規定数未満なのに部活はおかしい』『あんな部活にあんな高額な部費はおかしい』とセミナーに意見が続出してるんです…。」

 

「…嫉妬、ってことだね?」

 

今やゲーム開発部はミレニアムでも名が通る存在に。

 

その注目が妬ましい生徒から部活の設立に関する要綱について集中砲火を食らったのだ。

 

「えぇ、それに…ネイトさん。貴方というバックボーンも大きな波紋を呼んでいます。」

 

「俺がか?」

 

「小規模な部活にあのカイザーを打倒した謎に満ちた企業の社長が懇意にしている…。そのことを一部の生徒が『ミレニアムに外患誘致しているのでは?』『アビドスのスパイなんじゃないか』と馬鹿々々しい意見が出てるんです。」

 

「おいおい、俺はゲーム開発部からは何もそっちの機密は…。」

 

「分かってます。私たちもそんな事実がなく本当にただの友人関係だというのは重々理解しています。」

 

さらにそんな生徒たちを過熱させているのがネイトの存在だ。

 

ミレニアムの技術をもってしても圧倒するテクノロジーを保有し自身が一騎当千級の戦力たりうる個人。

 

そんな個人とこんな小規模な部活が繋がっているのがおかしいという生徒たちまで現れている。

 

さらに絶賛復興中のアビドスの勢力であることもこの意見に拍車をかけている。

 

「私もゲーム開発部の活動や部費の出所、外患誘致の事実はないと説明したのですが…。」

 

「押し切られた…と。」

 

「もし聞き入れられなければストライキに暴動を起こすと言われました…。」

 

いかにセミナーと言えど生徒無くしてはミレニアムは成り立たない。

 

小規模とはいえ多数の部活・部員・生徒の突き上げを食らっては動かないわけにはいかなかったのだ。

 

「以前だったら…それこそ学園敷地内に変な建物立ててカジノ開いたり…レトロゲームを探すと言いながら古代史研究会を襲撃したりしているようなこの子達だったのなら…。」

 

「…二人とも、そんなことしてたのか…?!」

 

「ま、まぁ…若気の至りってやつだよ!」

 

サラッと明かされたかつてのモモイ達の蛮行に目を見開くネイト。

 

やはりキヴォトス人、やることが強引且つスケールがデカい。

 

「…そんな感じだったのなら問答無用で廃部だったわ。でも、今は頑張って成果も出していて私達にも刺激と恩恵をもたらしてくれたこの部活をそう簡単に廃部になんかさせないわよ。」

 

「ユウカ…!」

 

今やゲーム開発部は成果を出しているだけではない。

 

キヴォトス中の学校で唯一ミレニアムがW.G.T.C.とここまで深く結びつけている重要なファクターでもあるのだ。

 

さらに、その縁で毎月5億の安定収入と300億越えの資産という恩恵にも与れている。

 

決して表には出せないことだがセミナーもさすがにこの事実は無視しきれない。

 

「でも…どうするんだい、ユウカ?いくらセミナーの君でも生徒たちを抑えきれなかったんだろう?」

 

「はい。ですが廃部を回避するための案をあちらに飲ませることができました。」

 

そして、ここにも一人。

 

ネイトの指導のおかげでタフなネゴシエイトもこなせる様になったユウカがゲーム開発部に一縷の望みをつないだのだ。

 

「モモイにミドリ、あなた達…今度の『ミレニアムプライス』に作品を出展しなさい。」

 

「え、ミレニアムプライスに!?」

 

「ミレニアムプライス?」

 

『ミレニアムプライス』、ミレニアム中の部活が各々の成果物を競い合うこの学校でも最大級のイベントだ。

 

「そこに出展して受賞すること、それが廃部を取り下げる条件としてあちらが納得した条件よ。」

 

「出展だけじゃなくて受賞!?」

 

「…ちなみに聞くが、ゲーム開発部の受賞歴は?」

 

最大級の祭典ともなれば受賞のハードルも高いだろう。

 

ネイトは一応ながらゲーム開発部の実力のほどを確認するが…

 

「え、えぇっと…。去年に一回だけ…。」

 

「『テイルズ・サガ・クロニクル』で受賞したよ!」

 

と対照的な態度で受賞歴を明かすミドリとモモイ。

 

「『テイルズ・サガ・クロニクル』?」

 

先生は首をかしげるが…

 

「あれか…。」

 

ネイトの顔から一気に生気が消えた。

 

「…それがこのゲーム開発部で現状唯一の成果で受賞したのは…『今年のクソゲーランキング1位』です。」

 

「…え?」

 

曰く、『プレイしたゲームの中でダントツで絶望的』

 

曰く、『何が足りないか数えたらキリがない』

 

曰く、『一番足りていないのは正気』

 

これがこのゲーム『テイルズ・サガ・クロニクル』の代表的なレビューだ。

 

「…あの、ネイトさん…?」

 

「…ゲームをクリアして達成感より安堵を覚えたのは初めてだった。」

 

以上、ネイトのレビューである。

 

「おっほん!とにかく、あなた達に残された道はそれしかないの。これだけしか用意できなかったのは申し訳ないけど…。」

 

そんなゲーム開発部がミレニアムプライスで受賞する。

 

はっきり言って『高校球児がいきなりメジャーリーグに出る』くらいの雲をつかむような話だ。

 

だが、

 

「それができたら…廃部の話は無しになるんだね、ユウカ?」

 

「えぇ、そうよ。」

 

「…だったらやるよ!ゲーム開発部でミレニアムプライスに出展して受賞して見せる!!!」

 

可能性は決して0ではない。

 

ジャイアントキリングをする権利は誰にだってある。

 

それに…

 

「ネイトさんだって誰も無理だって思ってたことをやり遂げたんだよ!友達が頑張ったんだから私達だって負けちゃいられないよ!」

 

「お姉ちゃん…。そうだね、私達だってネイトさんに凄いところを見せてやっちゃおう!」

 

それを成し遂げた人物が…ここにいるではないか。

 

絶望的な状況から一気に盤面をひっくり返し大逆転を勝ち取った『友』が。

 

「それに今自信作も作っててそのことでネイトさんに協力を頼もうとしてたところだし!それをミレニアムプライスに出せば…!」

 

「なるほど、ミドリの要件はそう言うことだったのか。」

 

幸い、それに使えるであろう作品は出来上がりつつある。

 

ゲーム開発部の自信作を引っ提げて殴り込もうとするミドリだが…

 

「それだけじゃ弱いよ、ミドリ!私たちの切り札を忘れちゃいけないよ!!」

 

「え、そんなのあるの!?」

 

「なんでミドリが驚いてるのさ!?とにかく、私たちの切り札がある。それを使って…『TSC2』…『テイルズ・サガ・クロニクル2』も出すんだから!」

 

モモイがさらなる切り札『TSC2』の出展を宣言。

 

「…分かったわ、二人とも。今日からミレニアムプライスまで2週間…精一杯頑張って頂戴ね。」

 

そんなモモイとミドリを見てユウカは優しげな眼差しを向けエールを送り、

 

「先生、それにネイトさん。私たちの身内の恥に巻き込んでしまい…」

 

「謝らないで、ユウカ。任せて、できる限りサポートするよ。」

 

「2週間かかりっきりというわけにはいかないが…微力ながら俺も手助けしよう。」

 

「…この子達をどうかよろしく…お願いします。」

 

先生とネイトに頭を下げゲーム開発部を託すのであった。

 

ユウカが退出した後…

 

「さて、モモイ。さっき言っていた切り札についてだが…。」

 

モモイに先ほど自信たっぷりに語った切り札の正体を尋ねるネイト。

 

「ふっふっふっ、よくぞ聞いてくれたね!切り札っていうのは先生とネイトさんのことだよ!」

 

「………私とネイトさんが?」

 

「ネイトさんが来てくれたことは嬉しい誤算だったよ!話を戻すと…私たちの目的は『廃墟区画』にあるの。」

 

「廃墟区画に?」

 

「…なるほど、そこに入るための手段を求めていたってわけか。」

 

ミレニアム郊外にある『廃墟区画』。

 

ネイトが好き勝手出入りしているので忘れられがちだが…あの場所は本来連邦生徒会が立ち入りを制限している未知の領域だ。

 

多数のロボット兵やケテルのような未知のロボットが跋扈しているので確かに危険な場所で立ち入りを制限するのも分かるが…なぜそうなったかを知る者は少ない。

 

「でも、なんでまた廃墟に行こうと?」

 

かつてネイトを助けるために突入したあの場所になぜまた赴くのか先生が尋ねると…

 

「もっともっと良いゲームを作りたいから!」

 

快活な笑顔でモモイは答える。

 

「私、証明したいの!例え、今の私たちのレベルは『今年のクソゲーランキング1位』しか取れないような細々としたゲーマーの集まりでも!私が大好きな…私を幸せにしてくれた…このゲーム達が…かけがえのない大事な宝物なんだってことを!」

 

だから、負けていられない。

 

周りがなんだ、他の生徒がなんだ。

 

そんな決意を掲げモモイは宣言する。

 

「お姉ちゃん…!」

 

「だから新たなインスピレーションを得るために私達を手伝って!もっともっといいゲームを作りたいから!そのためには廃墟区画に入って『アレ』を見つけないと!」

 

「アレ?」

 

「モモイ、廃墟区画に一体何があるんだ?」

 

「あ、順番がよくなかったかも。じゃあ今度はこの話をしないとね。」

 

そして…モモイの口から語られた…

 

「先生、ネイトさん。…『G.Bible』って知ってる?」

 

この一言がゲーム開発部の新たな大冒険の始まりにして…ネイトの在り方を根底から揺るがす試練の第一歩でもあった。




まず強い目標を立てる。それを達成するためにあらゆる技術を動員する。できそうだったらやってみようというのとは大きな違いがある
―――ソニー創業者『井深 大』
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