イナズマイレブン 〜聖火〜   作:半田。

2 / 6

アレオリの必殺技も借りますが、世界線が違うので、この作品では作品内で使った人が産んだか、これまでの歴史の何処かで生まれた技になります。
キャラも使っちゃおうという構想ではあったんですが。世界線が違うだけなので、円堂世代の時代に存在はしてる筈なんですよね…。サッカーやってるかは分からんけど。
別に、世界線違うので生まれる年が変わりました!でもいいんですけど、自分があまり納得できなくて。ワンチャンどこかで、高校以降で台頭したプロ入り選手みたいな形で出るかも。


第2話 剣と炎!

 

 

2つのサッカー部の選手たちがそれぞれのベンチに集まる。雷紋イレブンは赤いビブスを身に着けはじめた。

雷門側の選手は専用のジャージを着ていたものの、雷紋の選手達は思い思いの練習着だったためだ。試合の予定ではなかったため無理もないが。

 

「この練習試合、ボールを持っている側が圧倒的に有利になるな~」

豪炎寺(ごうえんじ)さんがどのくらい攻めてくれるかにもよりますけどね」

「あー、そういやパスオンリーのフリーマンとは別に言ってなかったっすね」

 

燎莉(かがり)の言葉に雷紋DF(ディフェンダー)陣は顔を青くする。

 

「ドリブルもしてくるってコト!?」

「敵として豪炎寺(ごうえんじ)さんと対面とか怖すぎる」

 

この練習試合に当たって豪炎寺(ごうえんじ)選手から提案されたのが、"フリーマン"を使った試合だ。

"フリーマン"として試合に参加する豪炎寺(ごうえんじ)は、ボールを保持している側のチームの味方としてプレーをする。つまりボールを持っているチームは12人となり、攻撃側が人数有利となる。

 

豪炎寺(ごうえんじ)さんのシュートは止められんぞ」

 

キーパーグローブのマジックテープを付け直しながら、多井(たい)が真顔で宣言する。

 

「そこは止めるって······言えねーか」

「いや~流石にシュートはしないか、せめて手加減してくれるだろ~」

「アタシは豪炎寺(ごうえんじ)さんの本気のシュート見たいっすけどねえ」

「俺を殺す気か。向こうのゴールへのシュートが見れるといいな」

 

茶化し合いながら、コート横で自分たちと同様に軽いアップを行う豪炎寺(ごうえんじ)を見る。

 

「それにしても、あの豪炎寺(ごうえんじ)さんと同じピッチに立てるなんてな〜」

「確かに。現実感なくてまだフワフワしてますよ私」

「練習とはいえ、一応試合形式。余りみっともない姿は見せられない」

「っすね!雷紋FW(フォワード)陣の力、見せてやりましょうよ!」

 

アップを終えると、青山(あおやま)コーチから合図が出た。2チームの選手たちがそれぞれのポジションへと散らばっていく。

 

 

 

雷紋中(赤ビブス):フォーメーション

 

FW

10 滝ノ上昇太(たきのうえしょうた)(3)  9 山口透(やまぐちとおる)(2)   11 燎莉聖火(かがりせいか)(1)

 

MF               

13 吹越伊澄(ふきこしいすみ)(1)            6 天羽隆弘(あもうたかひろ)(3)     

         7 安芸創士郎(あきそうじろう)(2)

 

DF

5 渋谷紡来(しぶやつむぐ)(2)            2 駅田裕司(えきたゆうじ)(2)     

    4 館山大貴(たてやまだいき)(3)    3 門坂千尋(かどさかちひろ)(2)

 

GK    

         1 多井國次(たいくにつぐ)(3)              

 

ベンチ 12 月城源(つきしろげん)(1) 8 那須日凪子(なすひなこ)(2)  

 

 

 

雷門中(ビブスなし):フォーメーション

 

FW

 10 刀掛真(とがけまこと)(1)         11 宇野大河(うのたいが)(2)

 

MF                

9 園部麻衣(そのべまい)(3)             6 日置陽太郎(ひおきようたろう)(1)     

    7 本間悠征(ほんまゆうせい)(2)   14 風間莉緒(かざまりお)(2)

 

DF

5 増渕黄河(ますぶちこうが)(3)            3 鷹野蓮(たかのれん)(3)     

    4 盤洞雄大(ばんどうゆうだい)(3)    2 理村孝作(りむらこうさく)(2)

 

GK    

         1 佐護砦(さごとりで)(2)              

 

ベンチ 8 墨達人(すみたつひと)(3)  12 才剛鉄矢(さいごうてつや)(3)

13 小野謙太(おのけんた)(2) 15 奥田祐馬(おくだゆうま)(2) 16 服山慎一(ふくやましんいち)(2)

17 左澤奏多(さざわかなた)(1) 18 右島泰輔(みぎしまたいすけ)(1)

19 中原曜子(なかはらようこ)(1) 20 太田弘人(おおたひろと)(3)

 

 

 

雷紋中(赤ビブス)FW(フォワード)山口(やまぐち)燎莉(かがり)がキックオフのためセンターサークル内に立つと、豪炎寺(ごうえんじ)

 

「声出してけよー」

 

と屈伸しながら声を張るのだった。それに両チームの選手が応えると共に、笛が鳴った。

 

豪炎寺(ごうえんじ)さん!」

 

山口(やまぐち)が足裏で転がしたボールを、燎莉(かがり)はダイレクトで豪炎寺(ごうえんじ)へと渡す。どんなプレーが見られるのか、コート上の選手たちが豪炎寺(ごうえんじ)に注目する。しかし、その先のボールの動きを捉えることができた者は、極僅かだった。

 

「は?」

「クソッ」

 

豪炎寺(ごうえんじ)がシュートを撃った、と選手たちが辛うじて認識する頃には、ボールは雷門中(ビブスなし)側ゴール右上隅に突き刺さっていた。静寂の中、横っ飛びでシュートに食らいついていた雷門中(ビブスなし)GK(ゴールキーパー)佐護(さご)の、地に落ちる音だけがフィールドに残る。

 

「ええ······?」

「ナ、ナイシュー······」

 

選手たちは一瞬の出来事に頭がついていかない様子。ベンチに座っている教師陣も、手を叩いて笑う半田(はんだ)監督を除いて再びの困惑だ。

 

「え、えー。雷紋中(赤ビブス)一点!――気を取り直して雷門中(ビブスなし)ボールでキックオフしましょう」

 

冷や汗を流す審判役の青山(あおやま)コーチが、得点の笛を吹く。理解できない状況に戸惑いながらも、センターマークに再びボールをセットする雷門中(ビブスなし)チーム。シュートを決めた後も、特に何も言わず待機する豪炎寺(ごうえんじ)に不安を抱きながらも、今度は雷門中(ビブスなし)FW(フォワード)がパスを出す。

 

「くっ」

 

再び豪炎寺(ごうえんじ)から放たれる超高速のシュートに、多井(たい)は動くことすら叶わない。これで得点は1-1。しかし、豪炎寺(ごうえんじ)以外の選手はほぼサッカーをできていない。

 

「すまん」

「······見れたな。豪炎寺(ごうえんじ)さんのシュート」

 

この状況では、なににどう対処すればいいかも分からない。この先の方針を考える間もなく、再びコート中央にボールが戻る。

 

「······どうする?」

 

山口(やまぐち)燎莉(かがり)に尋ねる。豪炎寺(ごうえんじ)にパスを出すだけでは、先の光景が繰り返されるだけだろう。このままでは折角の貴重な時間を無為に消費してしまう。

 

「アタシはこのまま、見たいっす」

(様子を、ってことか?まあ、点は入るだろうしな······)

「わかった」

 

既にリスタートの笛は吹かれている。山口(やまぐち)は仕方なく燎莉(かがり)へボールを転がし、そのボールが豪炎寺(ごうえんじ)へと渡る。その先は同じプレーの焼き直しと言って差支えのないものだった。

豪炎寺(ごうえんじ)の脚が振るわれたかと思えば、ボールは雷門中(ビブスなし)側のゴール右上隅に収まっていた。初回とは異なり、佐護(さご)の手はボールに届いたものの、その威力の前に簡単に弾かれてしまう。

 

「ドンマイ!」

「次は、止める······!」

 

得点は2-1で雷紋中(赤ビブス)のリード。だが雷門中(ビブスなし)の選手たちも、予想はしていたためショックはない。とはいえ豪炎寺(ごうえんじ)のプレーの意図が分からず、困惑しているのは両チームとも共通だ。

但し、二人のプレイヤーを除いて。

 

「······そういうことか」

「ふむ」

 

時を同じくして、両チームの司令塔、本間(ほんま)安芸(あき)がこの試合の狙いを理解する。ただ、それを確かめる機会を先に得たのは、雷門中(ビブスなし)チームであった。

 

「試合を組み立てる。こっちだ!」

 

本間(ほんま)からの呼びかけに応え、雷門中(ビブスなし)FW(フォワード)宇野(うの)からMF(ミッドフィルダー)本間(ほんま)にパスが渡る。そこへ雷紋中(赤ビブス)FW(フォワード)山口(やまぐち)がプレスをかける、が。

 

「ワンツーを!」

 

そう言いながら、本間(ほんま)豪炎寺(ごうえんじ)へとパスを出す。

 

「よし!そうだ。声、出してこう」

「なっ」

 

豪炎寺(ごうえんじ)から、走り出した本間(ほんま)にパスが返る。奇麗なワンツーパスが通り、山口(やまぐち)は置き去りに。

 

「上がれ!」

 

本間(ほんま)の号令で、雷門中(ビブスなし)イレブンが一斉に前線へと駆け出す。ボールを持った本間(ほんま)もそのままドリブルで雷紋中(赤ビブス)陣地に攻め込んでいく。

 

「溜めをお願いします!」

「ひー。私がいかないとだよね〜」

 

再び豪炎寺(ごうえんじ)へとパス。雷紋中(赤ビブス)MF(ミッドフィルダー)吹越(ふきこし)豪炎寺(ごうえんじ)に向かうが、背を向けてのキープに為す術がない。

 

「マークにつけ!」

 

安芸(あき)からも指示が出る。しかし突然の豪炎寺(ごうえんじ)のシュート以外のプレーに、雷紋中(赤ビブス)の選手には判断の遅れが出る。本間(ほんま)には渋谷(しぶや)がマークにつくも、それを見るや否や本間(ほんま)豪炎寺(ごうえんじ)の前を横切るように右へと走り出す。

 

「パスを!」

「行かせるか!」

 

本間(ほんま)にはピタリと渋谷(しぶや)が張り付き、パスを出させまいとする、が······

 

「違う!DF(ディフェンス)!マークを外すな!」

 

右に向かう本間(ほんま)雷紋中(赤ビブス)DF(ディフェンダー)陣が意識をやる、その一瞬。隙をついて雷門中(ビブスなし)FW(フォワード)刀掛(とがけ)が抜け出す。豪炎寺(ごうえんじ)が振り向きざま、逆サイドを駆け上がる刀掛(とがけ)へスルーパスを送る。

 

「しまっ······」

 

雷紋中(赤ビブス)DF(ディフェンダー)駅田(えきた)門坂(かどさか)が追いすがるが、完全に裏を取られている。マークを引き剝がした刀掛(とがけ)が、飛んでくるボールに合わせ跳躍した。

 

「もう遅い! バイシクルソード !」

「くっ」

 

ダイレクトでオーバーヘッドシュートを叩き込む。黒いオーラをまとったボールが、剣のように鋭くゴールを襲った。

 

「止める! 地和(チーホウ)! 」

 

多井(たい)も負けじと飛び上がり、落下の勢いを掌に込めて叩きつける。必殺技と必殺技のぶつかり合い。制したのは、シュートの勢いの方だった。

 

「ぐああっ!」

 

地和(チーホウ)のオーラを斬り飛ばし、ボールがゴールネットを揺らした。得点を報せるホイッスルが鳴り響く。

 

多井(たい)先輩!」

「すみません、フリーで打たせてしまった」

「いや、仕方ないさ。キーパーの俺ですら、 10番(刀掛)の飛び出しに気づくのが遅れた。いや、今はそれよりもだ」

 

多井(たい)はゴールの中に転がったボールを拾い、安芸(あき)に投げ渡す。安芸(あき)は両手でそれをキャッチし、受け取ったボールを見る。

 

「そうですね。豪炎寺(ごうえんじ)さんのあのプレーと『声を出せ』の指示はつまり、『意図を持って自分を動かせ』ということだったんでしょう」

「······そういうことだったのか」

「ちゃんと次のプレーを考えてパスを出せってことね」

「確かに最初は、雷紋中(うち)雷門中(むこう)も『なんかしてください』みたいなパスだったな」

 

安芸(あき)の言葉に得心が行ったと頷く選手たち。豪炎寺は、選手(自分)達に考えがなければ練習にならないぞ、ということを言いたかったのだろう、と。しかし、安芸(あき)はボールを見つめたまま思案を続けている。

 

「······どうした、安芸(あき)

「いえ、先刻の本間(ほんま)――敵7番のプレー。豪炎寺(ごうえんじ)さんの意図に気づき、即座に活用して見せたのは勿論なんですが······」

 

安芸(あき)の答えに、多井(たい)は敵の一つのプレーを思い浮かべる。

 

「――あのパスをもらうと見せかけた動きか」

「ええ、あのプレーで自分に注目を集めるだけでなく、あえて豪炎寺(ごうえんじ)さんの前を横切ることで、守備側(こちら)から豪炎寺(ごうえんじ)さんへの視線を一瞬遮った」

「ええっと、そうすると······?」

 

吹越が尋ねれば、安芸(あき)が言葉を続ける。

 

「ボールを持っているのはあの豪炎寺(ごうえんじ)選手。それが一瞬とはいえ視界から消える。その次に、守備側(わたしたち)の意識はどうなると思う?」

 

質問で返され、うーんと唸る吹越。だが、DF(ディフェンダー)の視点になって状況を想像してみれば、すぐに答えは出た。

 

「あっ、なるほど!いつもよりボールの場所に注意しちゃうってことですね!」

「そう。その瞬間を狙って、あの10番(刀掛)が走り出した」

 

 

雷紋中(赤ビブス)が敵の攻撃を分析している中、ベンチでも同じく野咲(のざき)に向けて解説が行われていた。

 

「更に、豪炎寺(ごうえんじ)······選手にゴールに対して背を向けさせたのも、守備側からボールを見えにくくして注意を集めさせる、視線誘導の一環でしょうね」

 

半田の持つ作戦ボード上には、マグネットとペンを使ってコートの状況が再現されていた。

 

「声でもキープの指示は出してましたが、そちらの13番(吹越)ちゃんがすぐにプレスをかけられるような位置にパスを出した。豪炎寺(ごうえんじ)選手ならその意味が分からない筈がない」

「パスを通じて『ボールを隠すようにキープして欲しい』という意図を伝えたんですね。雷紋中(こっち)の選手がボール観測者(ウォッチャー)になりやすいように、そんな沢山の罠を」

 

手持ちのノートにメモを取る野咲(のざき)。そんな彼女を微笑まし気に見ながら待つ半田(はんだ)野咲(のざき)は途中でペンを止めると、

 

「その後のロングパス······そちらの豪炎寺(ごうえんじ)選手への指示はどうやって?」

「それもプレーを通してって奴でしょうね。雷門中(ウチ)7番(本間)が右に走ることで、豪炎寺(ごうえんじ)選手の左前側にスペースが空きましたから。そして、空いたスペースの先には、左サイドを上がる10番(刀掛)が見える。あいつもボールをくれ、とハンドサイン出してましたね。あとはもう、そこにパスを出してもらえれば······」

「――あの速攻が生まれる訳ですね。······ありがとうございます。参考になります!」

「いえいえ、このくらいは」

 

野咲(のざき)が深く頭を下げれば、半田(はんだ)はにこやかに答える。

予想以上にいくつもの考えが込められていたワンプレーに驚きつつ、野咲(のざき)は再びフィールドに目を向けるのだった。

 

 

「しかし、それをあの短い時間で組み立てたのか…」

「ええ、それにあの10番にも素早い戦術理解能力が求められるプレー。流石は日本のトップレベル······というところか」

 

腕を組んで敵陣地を眺める多井(たい)。名門校の強さは伊達じゃないと、再認識する。だが得点は2-2の同点だ。弱気になる場面ではない。

 

「次は私が、素晴らしい戦術(アート)を描いて見せましょう」

「ああ、頼むぜ」

「······」

 

四度目のリスタート。燎莉(かがり)は転がってきたボールを後方に向けてトラップ。誰もが後ろからのビルドアップを図るのだろうと考えていた。しかし······

 

「すんません。アタシはこの試合、勝ちたいんです」

 

そう言うと燎莉(かがり)は試合序盤に豪炎寺(ごうえんじ)が見せたように、超ロングシュートを放つ。自陣ゴールに向けて(・・・・・・・・・)

 

「なんだぁ!?」

「······!」

「ほう······」

 

雷門中(ビブスなし)の選手たちは燎莉(かがり)の不可解なプレーに驚愕する。そしてそれは、チームメイト達からすれば猶更だ。

 

「うおっ!?」

 

ゴール右上に飛んでくるボールに、多井(たい)は思わず両手でキャッチしようとするが、念のため胸でのトラップに切り替える。明らかにパスの弾道ではなかったため、反則(ハンド)を取られる心配はないだろうが、想像すらしていない状況に混乱していた。

 

「ちっくしょ!やっぱそんな上手くはいかねえか!」

「おい、どうした燎莉(かがり)ー!」

「さーせん、多井(たい)先輩!そのボール、ゴールに入れといて下さい」

 

頭を下げて頼み込む燎莉(かがり)に、ようやく頭が働きだす雷紋中(赤ビブス)選手たち。

 

「······ああ。聖火(せいか)ならそうするか」

 

吹越(ふきこし)がそう仕方なさそうに笑えば、周りの選手たちもつられるように破顔した。一部、えーと肩を下げている者もいたが。

そしてボールを足の裏で抑えた多井(たい)は、ほんの少しの逡巡の後に、

 

「全く、仕方ないな!」

 

そう言って、背後にボールを転がすのだった。

これで得点は2-3。しかし、その内の雷紋中(赤ビブス)側の2点と雷門中(ビブスなし)側の1点は豪炎寺(ごうえんじ)に依るもの。刀掛(とがけ)の得点で点数的には2-2の同点になったものの、豪炎寺の得点での同点はフェアでないと燎莉(かがり)は考えたのだ。

 

「はっはっは!いいな、そういうの。君、名前は?」

 

茶化しながら責めてくるチームメイトに、燎莉(かがり)が両手を合わせて謝っていると、豪炎寺(ごうえんじ)が声をかけてきた。燎莉(かがり)は話しかけられたことに驚きつつ、少し緊張しながら答える。

 

燎莉(かがり)です!燎莉聖火(かがりせいか)と言います!」

「そうか。燎莉(かがり)、折角のハンデを捨てたからには、活躍しないとな」

「うっす!すっげえシュート決めてみせますから、見ててくださいよ!」

「楽しみにしてるよ」

 

豪炎寺(ごうえんじ)と言葉を交わす燎莉(かがり)をじっと見つめるのは、雷門中(ビブスなし)のエースストライカー・刀掛(とがけ)だ。それに気づいた本間(ほんま)が声をかけた。

 

刀掛(とがけ)、あのシュートはやはり」

「はい。威力も精度も雑魚そのものでしたが、助走(ステップ)、軸足の位置、ボールに当てる足の角度······。豪炎寺(ごうえんじ)さんの三度のシュートを、意識的に再現したのは間違いありません」

 

豪炎寺(ごうえんじ)からフォームのアドバイスを受ける燎莉(かがり)。それを見る刀掛(とがけ)の握る拳に、少し力がこもる。それを知ってか知らずか、本間(ほんま)は言葉を続ける。

 

「面白い選手だな。意図を探っていた私達とは違い、彼女はあのシュートを真似るため豪炎寺(ごうえんじ)さんを見ていたという訳だ」

「······再現と言いましたが、そう表現するには粗末なものでした。頭が足りていないが故の行動に、実力もついてきていない」

 

刀掛(とがけ)の語気を強めたその口調に、本間(ほんま)は微笑を浮かべた。

 

「フフフ、どうした刀掛(とがけ)。嫉妬でもしたか?」

「な、なにを。······俺は別に」

 

刀掛(とがけ)はバツが悪そうに下を向いてしまった。

 

「そうか、すまないな。だが彼女の行動にも一利ある。先人の技を盗むのも、効果的な練習のひとつだ。これは練習試合なのだから」

「それは、そうですが······」

「まあ、当の彼女はこの練習試合も本気で勝つつもりのようだがな」

 

豪炎寺(ごうえんじ)からの助言を聞き終えセンターサークルに戻る燎莉(かがり)を、視線で示しながら笑う本間(ほんま)

しかし刀掛(とがけ)は、ポジションに小走りで戻りながら、誰にも聞こえないような声で、

 

「身の程を弁えない馬鹿は嫌いだ。足りないハンデを捨て、俺たちに勝つ?だが、アイツは俺が直接教えてやるまでもなく思い知る。自分(テメー)が、どれだけ弱いのかを」

 

そう溢すのだった。

 

前半6分、得点は2-3。試合はまだ始まったばかりだ。

 

 

==================

☆大人たちのコーナー

 

歳を重ね、威厳や器の大きさを手に入れた半田(はんだ)監督。稲妻KFCでの実績から雷門中監督に抜擢(ばってき)。指導力はかなりのもので優秀だが、前監督(久遠さん)(円堂がプロ復帰後戻った)とチームの相談をするとよく甘すぎると言われる。

豪炎寺(ごうえんじ)前監督(久遠さん)みたいな指導の仕方してら。にしてもやり方。笑)

最初期メンバーとして苦しい時期を共にした2人が成り上がったんだから、これぐらい良いじゃない!円堂(えんどう)とか選手も監督も両取りとかずるいじゃん。染岡(そめおか)(にしき)の指導とかしてたし。

 

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。