海の彼方で   作:錫樹トシアキ

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第4章 浅井薫
ここまでのあらすじ・人物紹介


アメリカ系フィンランド人の父とスウェーデン人の母の間に生まれたカイ・ヒューゴ・アラヤは、父親であるヒューゴの仕事の都合で中学生の頃日本へと移住することになり、その際に日本へと帰化することになった。

 

電車でたまたま知り合った大学生の佳井華耶【よしい・かや】と交際をしていた海は不本意ながら始めた野球と向き合うことを決意し、自らの野望のために家庭を破壊した父親との決別、そして、荒屋海という名前からの決別をするために、自分の意思で生きていくために、プロ志望届を提出し、ドラフト1位で兵庫チーターズへ指名されることに。

 

人をなかなか信用できない性格や、思い込みすぎると実力を発揮できない性格が災いし、監督の前野【まえの】との衝突を繰り返しながらも、無事に入籍したあとも何でも許してくれる華耶の存在によって海は苦しい日々をなんとか乗り越えていた。

 

男だから、父親だから――

そんな凝り固まった海の心を解きほぐそうとし続ける華耶。その愛は、やがて8人の子供たちを授かることになった。

 

前野からきつく言われていた『お前の打撃は勝利に繋がらない』という言葉は、監督が今野【こんの】へと交代した今もなお海を悩ませていたが、共に勝ちきれないチームへの悔しさを時折口にする豪快な先輩、大鈴清兵衛【おおすず・せいべえ】の存在によって、海は徐々にその実力を花開かせていく。

 

4割40本も夢ではない――そんな清兵衛の言葉どおり、海は徐々に高校時代のころのような打撃を取り戻していくが、『30代になると不思議と下り坂になってくるんだ。ある日突然な――』という言葉どおり、清兵衛は年齢とともにそのキャリアを徐々に降下させ、共にこのチームで優勝、そして日本一になりたい、という願いも空しく清兵衛は球界を去ってしまう。

 

清兵衛が居なくなって再びそのバラバラさや勝ちきれなさが露わになりはじめたチーターズ。

意地になって戦い抜くことが自分にとって正しいのかに思い悩むようになった海は、かねてから限界を迎え始めていた精神のメッキが再びはがれ始めるようになってしまった。

 

そんな海をここまで追い込んだのは自分の約束のせいだ――とプロポーズをやり直させて欲しいとせがむ華耶に、海は『華耶の約束のために戦い続けることが自分のためでもある』と、絶望的なチーム状況においてもまだ海は戦い続けることを選び続けてしまっていた。

 

海に憧れて球界入りを目指してきたという少女、大爺双葉【おおや・ふたば】――登録名・ジェネル。

『15年の差を埋めてみせる』だとか『海を引退までに振り向かせて見せる』と豪語していたジェネルは、まだ若く青々しいながらもめきめきと力をつけ、清兵衛のぶんまで戦うと豪語し、清兵衛から直々に学んだ守備やその積極的な打撃、そして一方的でこそあるが、それでもひたむきに献身的な行動で海を支えようとする。

 

先も見えず、終わりも見えない戦い。海も田中も、とうとう清兵衛が引退した39歳という年齢をまもなく迎えようとしている今、それぞれの思い、そして、それぞれの戦いはどこへと向かおうととしているのか――。

 

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【登場人物】

~佳井家の面々~

 

カイ・ヒューゴ・アラヤ → 荒屋 海【あらや・かい】 → 佳井 海【よしい・かい】

 

110話終了時点で38歳

198cm 79kg

 

本作の主人公。誕生日は6月22日。

アメリカ系フィンランド人とスウェーデン人の間に生まれ、父親の教育でフィンランド語の他に日本語と英語を話すことが出来る。出身はヘルシンキで、日本に引っ越してからは埼玉県川口市に住んでいた。

 

日本語に不自由はあまりないが、堅苦しい言い方が出来ず、感情が高ぶり暴言を吐く際はフィンランド語が出てしまいがちで、ホームランを打った後カメラに一度だけフィンランドで暴言を吐いたことがある。

 

至近距離からのボールをキャッチする練習からボールを見極める能力を身につけ、天才的な打撃能力を身につけ『甲子園10割男』という愛称も一時期あった。

 

1ミスも許されない守備よりも打撃のほうが気が楽だという気持ちでいることに対してプロ入り後、監督である前野と意見が衝突していた。

足は速いが大柄であることからベースランニングのような小回りを苦手としていて、身体能力をフルに活かせていない。

 

守備位置は高校卒業まで一塁手専門だったが、プロ入り後は三塁手、二塁手、遊撃手とチーム事情によって守備位置を転々とさせられている。遠投120mという肩の強さもあるが外野守備のセンスはなく、本人の思い込みすぎる性格や高校最後の夏の甲子園のチームメイトの送球ミスの記憶からかなり重度のイップスにかかっていて送球が非常に不安定。

 

シーズン二塁打記録の更新を果たしたシーズンでは4割40本を記録し。後に出場した国際大会であるWBCS【ワールド・ベースボール・チャンピオンシップ・シリーズ】では劇的なサヨナラホームランを打ち、日本代表を優勝へと導いている。

天才的な打撃能力を持ち、単なるパワーだけではなく技術でホームランを打つことに長けていて流し方向へのホームランも少なくない。

打球の感覚を重要視するため、打撃用手袋はつけていない。

 

勝負弱いと印象だけでファンからは言われているが、データ上ではシーズン得点圏打率5割を2度記録しており、チーム状況もあいまってファンたちからは印象で悪いほうへと語られることが多い。

 

30代半ば頃からパニック障害を起こすようになり、薬が手放せなくなっている。こうしたこともあり現役を続けること自体にも苦痛を感じ始めているが、引くに引けない状態になっており、試合後まともに動けなくなったことでジェネルの自宅へ運び込まれたこともあった。

 

趣味はギターで、愛器は赤いSG。プロ入り後は緑のモッキンバードを愛器の一つとしている。

常に引退後のことを考えていて、同じフィンランド出身のメンバーを集め『The X【カイ】』というメタルバンドを組み、球団の選手紹介などに楽曲を提供していた。かつては大学入試の参考書なども読んでいた時期もあったが、現在はほぼ読んでいないようである。

 

111話時点で8人の子供に恵まれているが、自分が父親のように『父親らしくない』父親になってしまうことを恐れており、長男の新【あらた】に距離を置かれたり、長女の晴留【はる】が進学のため家を出たり、次女・三女の双子、真結【まゆ】と広乃【ひろの】も既に一緒に風呂に入っていいような年齢ではないことなどを気にしている。

 

華耶からは夜の姿に関してかなり獰猛であると言われている。

 

口癖は『正直言って』。

 

入団以来、背番号は25。

 

佳井 華耶【よしい・かや】

 

110話終了時点で38歳

152cm

 

本作のメインヒロイン。学年は海の1つ上だが誕生日は2月18日のため一時的に同い年になる。

身長が低いことや海との身長差が激しいことからたびたび海との体格差について言及する場面がある。本人も『こっちのほうにばかり栄養がつく』と言うように、背は伸びなかったが非常にグラマラスな体型。

ポニーテールが目印だが、海と二人きりで夜を過ごす際には際に髪を丸く束ねたり、束ねた髪を解くなどポニーテールに固執しているわけではない。

名門である啓皇大学に通っていた。

中学の頃野球を諦めたことが原因で、高校野球を意図的に遠ざけるようにしていた。野球をしていた頃は各ポジションや投手を経験するなど便利屋としてプレーしたが、身体の小ささを理由にポジションをたらいまわしにされていく間に自分の野球を見失ってしまった。

 

海に野球を続けるよう説得し、結婚を前提とした際には『あたしの見たかった景色に連れて行って欲しい』という、単純に野球を続けて欲しいという意味だけではなく、日本一になった姿を見せてほしいという意味も含んでいる言葉を言ってしまったことで海を苦しめ続けてしまったことで海にプロポーズをやり直し、その際結婚指輪を海にもう一度はめなおしているが、海はもともとつけてあった結婚指輪の上にはめる形で二度目の指輪をつけている。

 

海に対して一目惚れをしており、海に対して一方的な憧れや感情を抱いていたが海と一夜を共にしてからは海を理解し、海を支えるために奔走するようになる。

明るい性格で、ふさぎこみがちな海に対して思い切った言葉をよく投げかける。

 

実家の本家が日本を代表する大企業、ヨシイ・エンターテインメントの創業者に繋がっており、裕福な生活を送っている。親族との仲は良好らしく、ファンクラブの運営も親族などを駆使してやりくりしている。

 

料理は得意だが、その中でも特に得意としているのがジャンバラヤ。佳井家直伝のメニューらしい。

 

大学卒業後はCリーグチャンネルというプロ野球の広報企業に勤めている。

 

夜の顔の姿を茶化されると怒る。

 

自分が野球面では海の精神をカバーしきれないことや、物理的に海の隣にいてやれない時間がどうしても発生することもあり、ジェネルとの関係に対しては『最終的に自分のもとに戻ってくるという自負があるから』と浮気してもいいし一線を越えてもいいと言っており、ジェネルに対しても今のところ海にべったりなことには容認している。

 

佳井 晴留【よしい・はる】

 

海と華耶の間に生まれた第一子。110話終了時点で16歳。誕生日は2月20日。

 

幼くして海のバッティングフォームを真似する場面などがあり、両親にとてもなついており、海の応援歌を歌っている様子も見られた。

 

『超絶大陸』での取材の際、名前の由来がフィンランド語の『Halu』から取られていることが明らかになった。

 

野球がきっかけで日に日に弱っていきながらも、公にはその弱さを見せようとしない海の姿を直視し続けることに心が耐え切れず、高校への進学は親元を離れ啓皇高校へと通っている。

 

背は既に華耶を追い越し、その体つきも華耶同様だが、これが華耶の家系譲りのものなのか海の家系譲りのものなのかは定かではない。

 

華耶と海の関係について既に大体のことを理解しており、茶化す一面もあった。

 

佳井 新【よしい・あらた】

 

海と華耶の間に生まれた第二子。110話終了時点で14歳。誕生日は6月17日。

 

ピアノで賞を獲るなどしているが、海が家を空けがちなことに不満らしく、お土産を要求していた。給食の味付けが苦手だったようでそれ以来ニンジンが得意ではないらしい。

 

サッカーの腕前を上げ、フォワードとして活躍。U-15日本代表候補と言われるほどである。

一方で最近は海に対しての反抗期である面を強め、海とは距離を置きながらも海のことを今でも信頼している晴留に対しても馬鹿にするなど家族の中で存在が浮き始めている。

 

髪の色こそ海譲りで海同様に背がぐんぐん伸びているが、髪質は硬く立っており海とは髪質が異なる。

 

佳井 真結・広乃【よしい・まゆ】【ひろの】

 

海と華耶の間に生まれた一卵性双生児。110話終了時点で12歳。誕生日は4月12日。

瓜二つの双子で、髪を左で巻いたほうが真結、右で巻いたほうが広乃という風に区別するようにしている。また、真結の言葉に広乃が続けて言う癖があり、二人で意見や言葉を共有している様子がたまに見られる。

 

晴留同様に『誰に似たのか』体つきが早くも育ち始めており海を困惑させた。

 

佳井 直人【よしい・なおと】

 

海と華耶の間に生まれた第五子。誕生日は4月8日。110話終了時点で9歳。『超絶大陸』に佳井家が出演した際には唯一台詞がなかった。

 

真結と広乃に挟まれる形で風呂に入った際は気まずそうにしていた。

 

佳井 琉美・諒斗【よしい・るみ】【りょうと】

 

海と華耶の間に生まれた二卵性双生児。誕生日は2月6日。110話終了時点で7歳。

二人で一緒にピアノを弾いたり部屋で遊んだりしている様子がよく見られる。

 

名前の由来はフィンランド語のLumiとLuontoから取られている。

 

佳井 柊理【よしい・とうり】

 

110話終了時点で4歳。佳井家の現時点の末っ子である。女の子。

 

佳井 三葉【よしい・みつば】

 

華耶の母。110話終了時点で62歳。

身長は160cm台。『辞めない刑事』という刑事ドラマをよく好んで見ている。夫の竜匡を今でも一人の男として愛しており、露骨な精力増強メニューを出すこともある。

 

基本的には明るい性格だが、華耶が抱えている感情を何度も見透かしてみせており、華耶が結婚を考えていることを明かした際には、海の複雑な出自や立場のことは気にしないが、本当に幸せにできる自信がないなら結婚には賛成できないと否定していた。

 

長野県在住だが、華耶に子供が生まれてからは定期的に美樹と交代で子供の世話に来ている。

 

佳井 竜匡【よしい・たつまさ】

 

華耶の父。110話終了時点で71歳。

身長は小柄。ヨシイ・エンターテインメントの社員で、仕事に追われていた。

 

かつて甲子園に出場したことがあるが、その際の対戦相手にいた白崎に対抗意識を燃やすものの、試合は敗北。その後大学に進学するも怪我をしてしまい、プロを目指すことを諦めた過去がある。

長い間プロ入りを諦めた過去に引きずられており、華耶が野球を諦めた際も自分の責任であるとふさぎ込んでしまった過去がある。

 

コーヒー豆にこだわりがあり、香りの強い豆を薄い味で飲むことを好んでいる。

 

子供が生まれた際には美樹と三葉が入れ替わりで佳井宅に子供の面倒をみにきていたが、竜匡は基本的に長野の実家から出ることがない。

 

佳井 美樹【よしい・みき】

 

華耶の叔母。三葉に似て明るい性格。三葉と交代で子供の面倒を見に来ている。

 

~チーターズの面々~

 

前野 武能【まえの・たけちか】

 

兵庫チーターズの監督。

口調が非常に荒く、常に不機嫌。海に対して何かと因縁をつけ、海の出番を干している。

海への扱いはパワハラそのもので、自然なスイングでセンター返しや二塁打を狙う海に対して『フルスイングしてないように見えるのが腹が立つ』など、海を見下し、逆上した際には海のことを偽日本人と言うなど問題発言も多い。

 

海をいびり倒しながら『イジられているうちが華やがな』と正当化する一方で『高卒ドラフト1位を3~4年で放出なんてしたら、俺らは日本中の笑いものやろうが、ボケが!!』と世間体を非常に気にする一面もある。

 

海には影でたびたびハゲと言われている。

 

退任を決めた際の記者会見では『もっと強いチームで監督をやりたかった』『たかが選手が自我を持ちすぎ』などの暴言を吐いたが、コーチや選手からの信頼も薄いようで、チームを出て行った選手から試合前に挑発されにくるなど、チーターズの長期にわたる暗黒期を加速させた張本人。

 

今野 徳一【こんの・のりかず】

 

前野に代わってチーターズの監督に就任した。しつこく選手に対して口を出したりすることもなければミーティングを長々とするというわけでもないが、気分によって一人称や二人称、三人称がコロコロ変わる様子が見られている。こうしたことで采配が突然ブレることもあるが、その理由を周囲には特に話さない。

 

間延びしたような捉えどころのない言い方をし、一見温厚なようにも見えるが、ミーティングの締めの挨拶を海に放任したりするなど、無責任な一面も見られる。

 

フロントの態度に対しても懐疑的であり、海をダシにして悲劇の主人公として使い潰そうとしていることを見抜いている一方で、自らが先頭に立って見得を切ることを嫌い、今野もまた海を利用している一人となってしまっている。

 

生駒 宇克【いこま・たかかつ】

 

兵庫チーターズの一軍打撃コーチ。

マスコミに対して海を悪く書かないように告げ口をしたり、海の練習に付き合ってやるなど、海の理解者であるような様子を見せる一方で、お調子者なのか、不謹慎なのか、不用意な言葉が飛び出る癖がある。

 

たちの悪い冗談やセクハラなど、度を越した発言がしばしば見られ、そのたびに海から不快感を示されていて、家では妻に対してもつい口が滑ってしまう。

本人も口の軽さを気にはしているようだが、改善しない。

 

普段は関西弁を封印しているが、前野に対して不快感を示した際につい関西弁で反論してしまった一面がある。

 

禁煙を始めたが、以来太り気味らしい。

 

前野の長期政権によって前野のような人間が当たり前になってしまったようで、前にも増してイライラしたりする癖が増えた結果、前野が退任した頃には妻と別れてしまったことが明らかになっている。

 

小室 豊【こむろ・ゆたか】

 

兵庫チーターズの一軍守備走塁コーチ。物腰の柔らかい言い方をするが時折辛辣な言葉を吐くことがある。

 

『種無し』のため子供にはなかなか恵まれず、離婚と再婚を経て13年かかり子供をやっと授かった経緯がある。

新が産まれた際には生駒と協力し、代打で出場し出番を終えた海をいち早く病院に連れる手配をするなど、崩壊しがちなチーターズベンチの数少ない良心。

 

海の守備に関しては『キャッチングが安定していないほうが夢を見なくていい』と、海の送球難を勿体無く思っている様子だった。海が遊撃手にコンバートされた際や、その後も海の練習に付き合っている様子が何度も見られている。

 

前野が退任を表明した後、前野の悪態に対して一喝する場面があった。

今野や生駒が海を茶化したりすることに対しても内心よく思っていないようであり、たびたび不快感を見せている場面があった。

 

大鈴 清兵衛【おおすず・せいべえ】

 

110話終了時点で引退済み。42歳。

 

背は170cm中盤の、辮髪がトレードマークの外野手。右投左打。

球界ではかなり速いほうの脚力を持つが、別に盗塁の数や打順に強いこだわりを持っているわけではなく、小技がしっかり効く、打順を選ばないタイプのいわゆる5ツールプレイヤーで、チーム事情に応じて海の前の打順も後ろの打順も経験している。

 

絵に描いたような『酒と女と博打』タイプの豪快な人間で、夜遊びにふけている描写が数多く見られている(ただし、海は清兵衛のプライベートな一面をあまり知らないとしていることもあり、清兵衛の話していたこうした部分がどこまで真実かは不明)。

その性格から他人行儀で苗字で呼ばれることを嫌い、名前で呼ばせるようにしている。

 

人をおちょくるような言動が数多く見られるが、その一挙一動は海の打撃を呼び覚ますようなプレーが多く、海の打席で強引にエンドランをかけたり、狙って豪快なホームランを打ってみせたりしている。

 

豪快な言動とは裏腹に三塁コーチが本塁への進塁にストップをかけた際に不快感を露わにしたり、酒に酔った際にフロントやコーチ陣への不満を大声で口にするなどそれなりに抱えている不満も多いことが明らかになっている。

 

かねてより自分の引き際や引退に関してある程度達観していた様子があり、自身が案じていたように30代後半から脇腹痛や脚の痛みなどに悩まされ、そのキャリアを徐々に落としていく。

 

引き際に関しては常に意識をしていたようで、現役晩年では髭を『三国志の武将のように』伸ばすなど、突然老け込んだ様子を見せていた。

 

現役最終年である39歳のシーズンでは遂にレギュラーを剥奪され、代打へと回されてしまう。

入団してからすぐに外野手のレギュラーとして活躍していたという事情もあってか、代打の打席に立ってはじめて海がこれまで感じていた代打でのプレッシャーがどれほどのものであったかを感じ、海へ軽率な言葉を投げていたことを素直に詫びた。

 

現役引退と同時に海をはじめありとあらゆる人物との連絡を絶ったことから、現在の状況は不明。

 

一度、WBCSに日本代表として出場したことがある。

 

背番号は20。

 

田中 楓斗【たなか・ふうと】

 

海と同い年の投手。右投右打。現在は先発を担当している。

 

非常に引っ込み思案で、清兵衛に焼肉をおごられた際には漬物を注文しようとするなど、対人能力のなさが何度も露呈している。

また、口下手である一面もたびたび見せており、『海が華耶と運命的な出会いを果たしたように、自分の野球人生において犬塚の立ち位置にいる人物がもし女性だったら自分にも激しい恋愛があっただろうか』という話題の際、犬塚に対して好意を抱いているような言い方を誤ってしてしまい激しく動揺する一面があった。

 

顔色が悪く、顔つきが地味であることや、その投球スタイルが打たせて取るタイプのものであることから暗黒エースの象徴などとファンから言われており、そのことを気にしていた。

酒に非常に弱く、酒に酔うと清兵衛以上に感情的になってしまう。

 

29歳のシーズンでは最多勝利、最優秀勝率の二冠に輝いたが、球団からの評価が芳しくなかったことに腹を立て、チームを見返すことを決意している。

 

登録名は田中楓斗とフルネームで登録している。清兵衛が唯一名前ではなく苗字で呼ぶ人物である。

 

中学時代の時点で140km/h中盤のストレートを投げるゴリゴリの速球派だったが、高校に入ってすぐにチームメイトにその速球をぶつけてしまったことから8割の力で投げる技巧派へとシフトし、プロ入りしてからは140km/h台前半以上の速球をほとんど投げていない。

 

打撃練習の際に海を打ち取れなかったことから公言をしていないが、あまり大きく変化するほうではない変化球のほかにムービングファストボールを使って芯を外す投球も積極的に取り入れているが、清兵衛には『シェービングフォーム』や『ゲーミングマウス』と茶化されてしまった。

 

犬塚とは幼馴染。

 

背番号は35。

 

横嶺 文偉【よこみね・ふみたけ】

 

長い間二軍を中心にプレーし、時折一軍の欠員などによってバックアップメンバーとして一軍に帯同していた中堅選手。コーチ陣ら同様に固有名のついたチーム関係者ではあるが、ゲーム内には登場しない。

 

自身のアピールポイントとして真っ先に顔やルックスを挙げるなど、バラバラになったチームの象徴として描かれることが多く、入団したばかりのジェネルからも『やる気も魅力もない人』と一蹴されていた。

 

自分がそのうち契約を切られることを察知しており、転職のことやサイドビジネスなどに興味を示している一方で『弁当屋にはなりたくない』などと仕事を選んでいる節があり、海のバンドに混ぜてもらえないかどうかなど、海を金づるとして見ている様子が見られた。

 

長い暗黒期にあるチームに慣れてしまっているようで、海がやる気を出していることに対して冷めた目で見ており、直接嫌味を言ったり円陣に加わらないなどといった場面があった。

 

あまり自然ではない配色の金髪に染め、試合後には青いカラーコンタクトを装着している。

 

ジェネル入団前は手薄になった外野手のレギュラーに昇格するなどといったこともあったが、ジェネルが入団してすぐの秋季キャンプでマラソンを手を抜いて走ったことを今野に咎められ、構想外となった。

 

ジェネル(大爺 双葉【おおや・ふたば】)

 

110話終了時点で23歳。誕生日は3月3日。

左投右打の外野手。

 

海に対して一方的な好意を寄せ、『15年の差を埋めてみせる』と入団会見で豪語した女性選手。海が引退するまでに自分のもとへ振り向かせるということを目標とし、そのときまで大爺双葉という名前を封印している。

 

登録名であるジェネルはジュエルの意味とも、ジェネシスの意味とも、ジェネレーションの意味ともどうとでも取れるようで、本人も語感を重視して名乗っているもののようである。

 

大勢の中で埋もれないために、あえて地元である静岡の『そんなに野球が目立たない女子高』で野球を続けてきた。そのプレースタイルは強気なフルスイングが持ち味でありながらも、決して力任せにむやみに振るタイプではなく、理想としては海の打撃があるように、自分らしさの中に海のような打撃を取り入れようとしている。

 

160cm半ばほどの背に、華耶に匹敵するかそれ以上の体つきをしており、本人も自分の女性らしさを武器にしようとしており海に積極的にアプローチをかけているがことごとく不発に終わっている。

 

海と華耶との長い付き合いを経た絆や深い愛、成熟しきった関係に対して、ジェネルの愛情というものは若さと青さの象徴として描かれることが多い。

その一方で、海の抱えるもの、海の野球観を理解した上で自らのキャラとしてやっている部分もあるようで、海が失意のどん底から自らの額にバットを思い切り振りかぶったときには全力で阻止し、部屋にかくまうといった場面もあり、物語が進むにつれて単に一方通行的な愛情表現ではなく、自分なりに海の支えになる方法を見出そうとしている。

 

明るくお調子者として描かれているものの、野球を浅いところでナメている人間を嫌っており、横嶺をはじめ、円陣に参加しようとしない選手やその他チームメイトに関して時折文句を口にする場面が見られる。

 

私服や部屋のインテリアなどにうさぎを多く取り入れており、ホームランを打った後などのパフォーマンスとしても頭上でウサ耳ポーズを取るなどしている。

 

犬塚 信乃【いぬづか・しの】

 

110話時点で既に引退済み。39歳。

 

田中からはシノの愛称で呼ばれている田中の幼馴染だが、学年は一つ上。

田中がFA権を行使しチーターズに残留を決めた際、現役末期を迎えていた犬塚もまたFA権を行使し、東京エンペラーズから田中と一緒に優勝旗を手にするために移籍してくる。

 

エンペラーズ時代は三塁守備の名手とされ何度もゴールデングラブ賞を受賞しているが、本職は二塁手や遊撃手であり、センターラインの守備を任せてもらえるチームという条件と、田中と一緒にプレーしたいという条件両方を満たしていたことや、送球に不安要素のある海の守備負担を減らしたかったチーターズとの条件が合致したことになる。

 

海とはまた違ったベクトルの美形の持ち主であり、海との守備連係見たさに客が詰め寄る描写があった。

チーターズに移籍してからは出塁率と脚力を買われて主に2番打者に入っていた。

性格は海いわく生真面目。チーターズがあと一歩のところで優勝を逃し続けている最中、ひっそりと引退する。

 

~その他~

 

木村 覧穂【きむら・みのり】

 

愛知のスポーツ新聞、ナゴスポの記者。啓皇出身。ダガヤドームで終えたシーズン最終戦のあと、自暴自棄になって雨に打たれていた海に対しタクシーやホテルを手配する。

 

ジェネルとは海へ向けている感情がやや似通っているからか波長が合う場面が多く見られる。

一方で、周りの目を省みず仕事に打ち込んでしまったり、メディア側の人間であることも捨てきれないようで、海からはそういった面からあまり深くは信用されていない様子である。

 

海に対しては『一人の男として意識している』と発言し、海のみならずジェネルを一瞬凍りつかせた。

 

マルコ・リストライネン

 

110話終了時点で37歳。

 

フィンランドに居た頃は弟のニコと『End of the World』というバンドを組んでいたが、ボーカルと仲違いして日本に出稼ぎしに来た。その後海と出会い、『The X』を結成していたが、大手レーベルからスカウトされ現在はアイドル歌手NaOtomoのサポートメンバーとして活動している。

 

来日してしばらくはニコと共に英会話の講師と音楽教室の講師をしながら生計を立てていた。

 

大体の日本語は話せるが、時々表現などを間違い、『よっぽど』を『よぽっど』と言い間違える場面も見られた。

 

担当パートはギター。

 

ニコ・リストライネン

 

110話終了時点で34歳。

 

担当パートはキーボードだが、楽曲編集やクリエイト方面の作業も出来る。兄同様現在は海のもとを離れ、兄弟そろって活躍中。

 

兄のマルコよりも若干日本語が得意。

 

浅井 薫【あさい・かおる】

 

110話終了時点で21歳。

海の通っていた川口第三中学校の生徒で生徒会長も務めていた。高校時代は東京の尾美森高校の野球部で活躍し、甲子園にも出場したことがあった。『風師、小宮、浅井の尾美森三人娘は覇権を獲れるか』と特集を組まれるほど三人揃って名投手だったが、最後の夏を前に足を怪我してしまい、怪我の不安視からプロに進むことが出来ず、大学へと進学する。

 

啓皇大学の経済学部へと進学した後は結局プロとしての入団を断念し、チーターズの打撃投手への内定が報道された。

 

左投手のサイドスロー。

足の怪我の影響もあってか、伸び悩んでいた速球がなかなか伸びず、よくて130km/hに届くかどうかだが、出所の分かりづらいフォームもあいまって見た目以上の速度には多少感じる。

制球力のほか、ややシュート回転するストレートと多彩な変化球が持ち味。

 

荒屋 楓悟【あらや・ひゅうご】

 

海の父親。110話終了時点で60歳。

大手総合商社『カッコー』の社員。

アメリカ系フィンランド人。本名、ヒューゴ・リンウッド・アラヤ。

仕事の都合のために日本へ移住を決意したが、もとからいずれは妻を捨てて現地の日本人と結婚するつもりでいたことが明らかになる。

女癖が悪く、海には『結婚相手は一人で十分なのか』と、再婚相手もいずれ捨てるつもりでいることを見抜かれている。

 

業務上横領の罪で逮捕されるも後に保釈され和解し、虎ノ門の高層マンションに住める財力はまだ持っている。

 

妻が家から出て行った後も海に対して小遣いや学費に関しては全く不自由ないように与えており、海が楓悟を憎んだ際も金のことについて偉ぶっている様子が見られた。

また、愛人であるさくらを家に招きいずれは家から出て行ってもらう旨を海に告げた際に海に対して『お前もそうやって俺の知らないところで作った女のもとで慰めてもらうんだろう』と、自分と同じ穴の狢であることを突きつけていた。

 

現在どういった生活をしているかは不明。

 

さくら

 

楓悟の愛人。海がその姿を見た際には20代半ばくらいに見えると言われていた。

黒髪のロングヘアが特徴。楓悟の子を妊娠していた。

海にこれまでの教育費におつりをつけた1500万を返された際には『あの人だってそんなに悪い人じゃあ……』と言っていたが、海に激しく拒絶された。楓悟の冗談が過ぎる性格を分かっていて結婚している。

 

落ち着いた性格だがややオドオドした様子も見せることから、海には苛立たれていた。

 

中松 基子【なかまつ・もとこ】

 

華耶の部署に異動してきたキャリアウーマン。役職はディレクター。

プロデューサーを完全に手篭めにしているようで、プロデューサーさえも中松の暴政を止められずにいる。

 

能力はあるのかもしれないが頭の中にあるものを言語化できないと華耶に分析されている。

 

華耶の作戦によってリモートワークの最中にも差別用語やパワハラを働いている決定的証拠を押さえられてしまい失脚する。

 

四宮 福史【しのみや・ふくし】

 

東京でタクシーの運転手をしている家族ぐるみでの『チーター党』。かつてはゲーム会社の社員だった。

 

落ち着いた性格で、海のプライベートな面を知った際も他言しないと約束し、その後も海に関する情報や、泥酔した清兵衛に関する情報は一切リークされていないなど仕事で得た情報をむやみに漏らさないことを徹底している。

 

白崎【しらさき】

 

竜匡が甲子園で対決した高校に所属していたプロ注目の大型内野手。ポジションは遊撃手。

 

ダミアン・メリッサ・シーン

 

海がはじめて日本代表に選ばれたWBCSの決勝戦にてアメリカ代表として立ちはだかった投手。年間MVPとワールドシリーズMVPを獲得し、この時点でのアメリカ最高の投手とされる。




~WBCSやオールスターについて~

WBCSは原作ゲーム内には存在せずゲーム内の有志が定期的に選抜している日本代表メンバーに海が選ばれていたことから、ストーリーを広げるために追加したエピソードです。

同様に原作ゲーム内にはオールスターという概念が存在せず、周年記念などの際に有志がメンバーを選抜することがたまにあるくらいという事情があることから、作者である私個人があまりに海にとって都合よく海をオールスターのメンバーとして描くわけにもいかないため意図的にストーリーからは省略しています。このあたりに関しては読者の皆さんがご自由にご想像ください。
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