ここまでのあらすじ・人物紹介
アメリカ系フィンランド人の父とスウェーデン人の母の間に生まれたカイ・ヒューゴ・アラヤは、父親であるヒューゴの仕事の都合で中学生の頃日本へと移住することになり、その際に日本へと帰化することになった。
荒屋海【あらや・かい】――それが日本で生活するために与えられた名前だったが、海は自分の意思を無視されて日本で生活することにも、その与えられた名前にも不満があった。
そうしたことから海は母親に時折きつく当たるようになり、とうとう母親は蒸発してしまう。一方で荒屋楓悟【あらや・ひゅうご】という名前を手に入れた父親は、日本に来てからというもののただれた情事に走るようになり、ある日海はその決定的な場面を見てしまう――。
荒屋海という名前から決別するために、自分の意思で生きていくために、海は将来のことを常日頃から考えていたのだが、ある日突然入部することになってしまった野球部というものによって、その日々はまたしても海の意思とは違う方向へと走ってしまった。
自分の意思とは別に、めきめきと野球の才能を開花させていく海だったが、野球を好きになれない自分が常にそこにいた。
プロ注目の選手と言われるほどに成長した高校3年の春、電車で外国人に絡まれていた大学生の佳井華耶【よしい・かや】を助けたことから、海の人生はまたしても動いていく。
華耶との突然の出会いに海は心を動かされ、不器用ながらに海は華耶との日々にその心の傷を癒していく。
そんな中、ある日父の楓悟から、海が高校を卒業すると同時に自分は再婚するつもりでいて、愛人との間に子供も産まれることから家から出て行って欲しい――との旨を告げられてしまう。
絶望した海は華耶を求め、雨の中華耶の待つ蒲田へと向かう。
一目惚れだった華耶は初めて海が抱える闇に触れ、海を支えることをこの時決意し、二人は一夜を越えた。
野球を続けたほうがいい、と言う華耶。『きっといいことあるよ』という華耶の言葉を胸に、海はプロ志望届を提出することを決意。
ドラフト1位で兵庫チーターズへと入団した海だったが、監督の前野【まえの】の激しいプレッシャーや、海の思ったことを素直に言ってしまったり、人をなかなか信用できない性格や、思い込みすぎると実力を発揮できない性格が災いし、そのプロ生活は順調とは言えないものだった。
一方、どんなことがあっても海を支え続けると決め、海の希望通り華耶は海を受け入れ、海に自らの佳井という苗字を与えることを選んだ華耶。
うまくいかない日々の中で、何でも許してくれる華耶の存在は時に海を癒し、時に海は自らの不甲斐なさに苦しんでいた。うまくいかない日々ながらも、海と華耶との間には4人の子供に恵まれていた。
男だから、父親だから――
そんな凝り固まった海の心を解きほぐそうとし続ける華耶。定期的に欠員によるスタメン昇格で活躍し、プロ6年目、若くしてベストナインに輝くなど、普通であればそのキャリアは軌道に乗っていてもおかしくない海だったが、プロ7年目を終えた今なお、前野からの理不尽な采配に振り回され続けていた――。
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【登場人物】
~佳井家の面々~
カイ・ヒューゴ・アラヤ → 荒屋 海【あらや・かい】 → 佳井 海【よしい・かい】
32話終了時点で25歳
198cm 79kg
本作の主人公。誕生日は6月22日。
アメリカ系フィンランド人である父の楓悟とスウェーデン人の母との間に生まれ、父親の教育でフィンランド語の他に日本語と英語を話すことが出来る。
出身はヘルシンキで、日本に引っ越してからは埼玉県川口市に住んでいた。
日本に帰化しているが、父母ともに日本人ではないことから自分が本当の意味での日本人とは違うことにコンプレックスや嫌悪感を抱いている。
また、自分の意思で日本に来たわけでもなければ自分の意思で帰化したわけでもないことからその感情を母親にぶつけた過去があり、自分の意思と関係なく物事が動くことに対して今なお不快感を示す癖がある。
日本語に不自由はあまりないが、堅苦しい言い方が出来ず、感情が高ぶり暴言を吐く際はフィンランド語が出てしまいがちである。
至近距離からのボールをキャッチする練習からボールを見極める能力を身につけ、天才的な打撃能力を身につけ『甲子園10割男』という愛称も一時期あったが、現在は木製バットの感覚に苦戦している。
また、本人は1ミスも許されない守備よりも打撃のほうが気が楽だという気持ちでいることに対してプロ入り後監督である前野と意見が衝突している。
大柄であることから足は速いがベースランニングのような小回りを苦手としていて、身体能力をフルに活かせていない。
守備位置は高校卒業まで一塁手専門だったが、プロ入り後は三塁手、二塁手をチーム事情によって転々とさせられている。
遠投120mという肩の強さもあるが外野守備のセンスはなく、本人の思い込みすぎる性格や高校最後の夏の甲子園のチームメイトの送球ミスの記憶からかなり重度のイップスにかかっていて送球が非常に不安定。
ホームへと帰ってきた際には中指と薬指を折りたたんだ『I love you』のハンドサインをカメラに向かって投げかけることがある。
入団以来、背番号は25。
趣味はギターで、愛器は赤いSG。プロ入り後は緑色のモッキンバードも愛器の一つに加えている。寮に持ってきた新型パソコンは作曲や音声取り込みのための目的もあり、DTMの技術もあることが伺える。
常に引退後のことを考えていて、部屋には大学入試の参考書なども置いてある。
32話終了時点で2人の子供に恵まれ、さらに華耶は双子も授かっているが、自分が楓悟のように『父親らしくない』父親になってしまうことを恐れている。
華耶からは夜の営みに関してかなり獰猛であることがたびたび指摘されている。
口癖は『正直言って』。
佳井 華耶【よしい・かや】
32話終了時点で25歳
152cm
本作のメインヒロイン。学年は海の1つ上だが誕生日は2月18日のため一時的に同い年になる。一人称は『あたし』。
身長が低いことや海との身長差が激しいことからたびたび海との体格差について言及する場面がある。本人も『こっちのほうにばかり栄養がつく』と言うように、背は伸びなかったが非常にグラマラスな体型である。
ポニーテールが目印だが、海と二人きりで夜を過ごす際には際に髪を丸く束ねたり、束ねた髪を解くなどポニーテールに固執しているわけではない。
名門である啓皇大学に通う。
中学の頃野球を諦めたことが原因で、高校野球を意図的に遠ざけるようにしていた。野球をしていた頃は各ポジションや投手を経験するなど便利屋としてプレーしていたが、身体の小ささを理由にポジションをたらいまわしにされていく間に自分の野球を見失い、極度のスランプに陥ったことが野球を辞めた原因に繋がっている。
海に対して一目惚れをしており、海に対して一方的な憧れや感情を抱いていたが、海と一夜を共にしてからは海を理解し、海を支えるために奔走するようになる。
明るい性格で、ふさぎこみがちな海に対して思い切った言葉をよく投げかける。
実家の本家が日本を代表する大企業、ヨシイ・エンターテインメントの創業者に繋がっており、裕福な生活を送っている。
料理は得意だが、その中でも特に得意としているのがジャンバラヤ。佳井家直伝のメニューらしい。
大学卒業後はCリーグチャンネルというプロ野球の広報企業に勤めている。ディレクターの中松から理不尽な攻撃を受けるが、減給処分の覚悟の上で中松を挑発し、中松を失脚させる。
佳井 晴留【よしい・はる】
海と華耶の間に生まれた第一子。32話終了時点で3歳。誕生日は2月20日。
佳井 新【よしい・あらた】
海と華耶の間に生まれた第二子。32話終了時点で1歳。誕生日は6月17日。
佳井 三葉【よしい・みつば】
華耶の母。32話終了時点で50歳。
身長は160cm台。『辞めない刑事』という刑事ドラマをよく好んで見ている。夫の竜匡を今でも一人の男として愛しており、露骨な精力増強メニューを出すこともある。
基本的には明るい性格だが、華耶が抱えている感情を何度も見透かしてみせており、華耶が結婚を考えていることを明かした際には、海の複雑な出自や立場のことは気にしないが、本当に幸せにできる自信がないなら結婚には賛成できないときっぱり否定していた。
長野県在住だが、華耶に子供が生まれてからは定期的に美樹と交代で子供の世話に来ている。
佳井 竜匡【よしい・たつまさ】
華耶の父。32話終了時点で59歳。
身長は小柄。ヨシイ・エンターテインメントの社員で、仕事に追われている。
かつて甲子園に出場したことがあるが、その際の対戦相手にいた白崎に対抗意識を燃やすものの、試合は敗北。その後大学に進学するも怪我をしてしまい、プロを目指すことを諦めた過去がある。
長い間プロ入りを諦めた過去に引きずられており、華耶が野球を諦めた際も自分の責任であるとふさぎ込んでしまった過去がある。
コーヒー豆にこだわりがあり、香りの強い豆を薄い味で飲むことを好んでいる。
佳井 美樹【よしい・みき】
華耶の叔母。三葉に似て明るい性格。三葉と交代で子供の面倒を見に来ている。三葉同様、刑事ドラマに夢中な様子が見られる。
~チーターズの面々~
前野 武能【まえの・たけちか】
兵庫チーターズの現監督。
口調が非常に荒く、常に不機嫌。海に対して何かと因縁をつけ、海の出番を干している。
海への扱いはパワハラそのもので、自然なスイングでセンター返しや二塁打を狙う海に対して『フルスイングしてないように見えるのが腹が立つ』など、海を見下し、逆上した際には海のことを偽日本人と言うなど問題発言も多い。
海をいびり倒しながら『イジられているうちが華やがな』と正当化する一方で『高卒ドラフト1位を3~4年で放出なんてしたら、俺らは日本中の笑いものやろうが、ボケが!!』と世間体を非常に気にする一面もある。
海には影でたびたびハゲと言われている。
生駒 宇克【いこま・たかかつ】
兵庫チーターズの一軍打撃コーチ。
マスコミに対して海を悪く書かないように告げ口をしたり、海の練習に付き合ってやるなど、海の理解者であるような様子を見せる一方で、お調子者なのか、不謹慎なのか、不用意に失礼な言葉が飛び出る癖がある。
たちの悪い冗談やセクハラなど、度を越した言葉を出してしまうことがしばしばあり、そのたびに海から不快感を示されている。
家では嫁に対してもつい口が滑ってしまうらしく、本人も自らの口の軽さを気にはしているようだが、改善しない。
普段は関西弁を封印しているが、前野に対して不快感を示した際につい関西弁で反論してしまった一面がある。
禁煙を始めたが、以来太り気味らしい。
小室 豊【こむろ・ゆたか】
兵庫チーターズの一軍守備走塁コーチ。物腰の柔らかい言い方をするが、時折辛辣な言葉を吐くことがある。
『種無し』のため子供にはなかなか恵まれず、離婚と再婚を経て13年かかり子供をやっと授かった経緯がある。
海と華耶との間に新が産まれた際には生駒と協力し、代打で出場し出番を終えた海をいち早く病院に送る手配をするなど、崩壊しがちなチーターズベンチの中の数少ない良心。
海の守備に関しては『キャッチングが安定していないほうが夢を見なくていい』と、海の送球難を勿体無く思っている様子だった。
~その他~
荒屋 楓悟【あらや・ひゅうご】
海の父親。32話終了時点で53歳。
大手総合商社『カッコー』の社員。
アメリカ系フィンランド人。本名、ヒューゴ・リンウッド・アラヤ。
仕事の都合のために日本へ移住を決意したが、もとからいずれは妻を捨てて現地の日本人と結婚するつもりでいたことが明らかになる。
女癖が悪く、海には『結婚相手は一人で十分なのか』と、再婚相手もいずれ捨てるつもりでいることを見抜かれている。
業務上横領の罪で逮捕されるも後に保釈され和解し、虎ノ門の高層マンションに住める財力はまだ持っている。
妻が家から出て行った後も海に対して小遣いや学費に関しては全く不自由ないように与えており、海が楓悟を憎んだ際も金のことについて偉ぶっている様子が見られた。
また、愛人であるさくらを家に招きいずれは家から出て行ってもらう旨を海に告げた際に海に対して『お前もそうやって俺の知らないところで作った女のもとで慰めてもらうんだろう』と、自分と同じ穴の狢であることを突きつけていた。
さくら【さくら】
楓悟の愛人。海がその姿を見た際には20代半ばくらいに見えると言われていた。
黒髪のロングヘアが特徴。楓悟の子を妊娠していた。
海にこれまでの教育費におつりをつけた1500万を返された際には『あの人だってそんなに悪い人じゃあ……』と言っていたが、海に激しく拒絶された。楓悟の冗談が過ぎる性格を分かっていて結婚している。
落ち着いた性格だがややオドオドした様子も見せることから、海には苛立たれていた。
中松 基子【なかまつ・もとこ】
華耶の部署に異動してきたキャリアウーマン。役職はディレクター。
プロデューサーを完全に手篭めにしているようで、プロデューサーさえも中松の暴政を止められずにいる。
能力はあるのかもしれないが頭の中にあるものを言語化できないと華耶に分析されている。
華耶の作戦によってリモートワークの最中にも差別用語やパワハラを働いている決定的証拠を押さえられてしまい失脚する。
白崎【しらさき】
竜匡が甲子園で対決した高校に所属していたプロ注目の大型内野手。ポジションは遊撃手。
~主な現実の野球との相違点~
基本的に『BASEBALL LIFE』内での設定に基づいて本作を執筆しているため、チーム名などの他、主に以下のような相違点があることを踏まえてお読みください。
1. セ・パ交流戦にあたる混合戦がシーズン中に前期・後期に分けて行われ、それぞれ2試合x6チームの全24試合を行う。
2. 混合戦のスケジュールの都合上、リーグ戦は24回戦となり、混合戦を合わせると年間試合数は144試合。
3. プロ入りから4年間は原則契約が保障されており、自ら引退を表明することも出来ない。
4. FA権は日数ではなく出場選手登録が110試合を1年と換算する。
5. FA権行使の際の人的保障等はない。
6. FA権を行使した際に元の所属球団からは確実に契約交渉が発生するためセルフ戦力外は発生しない。