アズサに青春を教えたい   作:眠り狐のK

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アズサとシロコって意外と相性良さそう


アズサとシロコとランニング

 ある日、とある学校の教室の中、二人の少女が何かを見ながら話し合っていた。

 

「この時間ならここは警備員交代のタイミングで5分程度無防備な状態になる。こっちからのルートなら防犯カメラにも映らずに潜入できる」

「確かに、そのルートなら見つからないとは思うけど、そのルートに入るまでの道が少し大変だと思う。それなら、ここをこう移動してここに入ったほうがほぼ同じリスクで楽に行ける」

「ん、そのルートは見落としてた……、流石」

 

 シロコとアズサは地図を見ながら銀行強盗の戦略を立てていた。

 今はストッパーがいないので、止める人間はおらず、アズサも意外とノリノリで戦略の立案に乗っかっていた。

 

 

 

――別の日――

 

「ここの銀行は、ここの警備が手薄だから……、回り込むのは少し大変だけどこう行って警備を制圧すれば金庫まで一直線でいける。裏口の鍵は警備のこの扉の前にいる二人のどっちかが持ってるのは確認済み」

「なら、ここにトラップを仕掛けて誘い込む形で制圧するのはどう? このトラップを使えば格段に簡単になると思うし、この場所に同じトラップを仕掛けておけばもし増援が来たとしてもここで一網打尽にできる」

「ん、その作戦いいね、貰った✨」

 

 別の日も、教室の中でシロコとアズサの二人は戦略を立てていた。

 地図は前回とは別のもので、対象の銀行も前回とは違う。

 今日も、ストッパーがいないので、二人の作戦会議は捗った。

 

 

 

――さらに別の日――

 

「ここは入るのはこのルートでいけるから楽なんだけど、脱出するのがちょっと難しい。来た道は確実に防がれるだろうから、他の道を探さなきゃいけない。ルートとしては……ここがいいかな。ここならまだ追われても振り切れる。ただ、こっちから増援が来たら厳しくなるかも」

「それなら、ここにこのトラップを仕掛けるのは? これを周りに擬態させるように設置すれば見た目じゃ分かりづらい。冷静によく見ればわかるだろうけど、追ってる状況ならトラップに精通してなければわかってないとまず難しい。少なくとも、追手の中で一人は確実にかかるから、そうすれば増援が来たとしても一網打尽にできる」

「そんなトラップがあるんだ……、じゃあそれで決まりだね」

「えっと……」

 

 さらに別の日も同様に戦略の立案をしていた。

 その現場を偶然見つけてしまったヒフミは何をしているのか理解できず、困惑していた。

 

「ふ、二人は一体何を……?」

「あぁ、ヒフミ。私達は銀行強盗を題材にして戦略のシュミレーションをしていたところ」

「はい!?!?」

 

 ヒフミが驚くのも無理はない。

 何せ、目の前で行われていたことが犯罪の計画だというのだから。

 確かにヒフミ自身、覆面水着団の一員として(巻き込まれる形で)銀行強盗を手伝うことになってしまったことがあったが、あれはアビドスの事情を考えるとまだ仕方ないかなと無理矢理納得できるレベルのものではあった。

 しかし、今目の前で行われていたのはそんなものとはほぼ確実に関係のないことだろう。

 

「ん、大丈夫。実際にやるわけじゃないから」

「うん、実際にやるわけじゃない。あくまでシュミレーションだから」

 

 アズサからしてみれば、ただのシュミレーションとして戦略立案に参加してただけ。

 実際、アリウスにいた頃はこうやって潜入が必要な任務もあったし、そのときの勘を鈍らせないためには丁度いいと頭を働かせていた。

 対して、シロコは実際にやろうと考えたことも何度かあったが、アビドスのみんなに迷惑がかかることを考えて立ち止まったり、先生に駄目って言われて実行しなかったり。

 最近は、駄目と言われることが分かってるので、素直にシュミレーションとして戦略立案するだけに留まっている。

 とはいっても、覆面水着団として覆面を被っていたときにしっかりとやり甲斐を感じてしまったことや、シュミレーションの題材となるもののほとんどが銀行強盗だったりと、まだまだ危ない部分もあるのはまた別の話……

 

「そ、それならよかったです……」

 

 ヒフミも、実際にはやらないと聞いてほっと一安心する。

 しかし、一安心して間もなく考え直してみると、例の銀行強盗のときに何故か対策委員会人数分の覆面を持っていたことや、アリウスとの戦いに参戦してくれたときも含めて堂々と覆面を被っていたことも考えると、「ほんとに考えるだけですよね???」とも思ってしまったのは仕方のないことだと思う。

 ともあれ、シロコとアズサはいつの間にか仲良く……どころか予想以上に意気投合してるみたいだったので、そういう意味では安心していた。

 

「あ、もう時間だ……そろそろ行かなきゃ」

「あれ、シロコさん、何処かへお出かけですか?」

「ん、ちょっとランニングに。よかったら一緒に来る?」

 

 ふと時計を見て何処かに行こうとするシロコへヒフミは何処に行くのか聞いてみる。

 すると、特に用事があるとかではなく、走りに行くとのこと。

 邪魔かとは思ったが、せっかく誘われたのでと考えていると

 

「うん、折角だから同行しよう。体力作りは基本、肝心なところで体力切れを起こしてしまうと、戦闘のときの弊害になってしまうから」

 

 アズサの方はついて行く気満々のようだ。

 

「じゃ、じゃあ私も、一緒に行きましょうかね……?」

 

 ヒフミも体力に自信がある訳では無いが、せっかく誘ってくれたからというのと、アズサがついて行くならと、2つの理由でついていくことにした。

 

 

 


 

 そして、三人が走り出してから2時間が経過した。

 

「二人共、大丈夫?」

「私は問題ない」

「わ、私もなんとか……!」

 

 シロコはいつものスタイルに、ヒフミとアズサは体操服姿。

 シロコと違って二人は替えの服を持ってきていない為、汗をかいてもいい服装に……ということで体操服に着替えることになった。

 かなりの時間走り、ヒフミはほんの少し疲れを感じてきていた。

 それに比べてアズサはまだまだ余裕そうな表情をしている。

 流石に、アリウスで常に訓練を受けてきたアズサは体力も段違いにあるようだ。

 しかし、ヒフミも自身に体力の自信はないと言いつつも、予想以上にしっかりとついて行っていた。

 これも、モモフレンズの為に走り回った経験が生かされているのだろう。

 

「ん、それならよかった。あと半分くらいだから頑張って」

「これでまだ半分なんですか!?」

 

 かなりの時間走ったのだから、もう少しで着くかなと勝手に思い込んでたヒフミの思考はいとも簡単に打ち砕かれた。

 これぐらいの運動がシロコの日常だというのだから、驚きでしかない。

 

「ほんとは、もっと走ろうかと思ってたけど、二人がいるからちょっと別の場所に行こうかなって」

 

 さらっと恐ろしいことが聞こえた気がするが、どこに連れて行って貰えるのだろうと少しワクワクしつつ、なんとか頑張って付いていこうとヒフミは思った。

 

 

 

――そこから1時間半後――

 

「もうすぐだけど、二人ともついてこれてる?」

「うん、私は大丈夫」

「あぅぅ……わ、わたしはちょっときついかもですぅ……!」

 

 もうすぐ目的地というところ。

 アズサはまだまだ行けるといった感じでついて行っているが、ヒフミはかなり限界が近づいているようだった。

 水分補給はこまめに取ってあるので、熱中症やら脱水やらの心配はないが、体力はまた別問題。

 今走っている場所が登り坂ということもあって、体力はかなり持っていかれるだろう。

 ヒフミの無尽蔵の体力はペロロ様が関わるときでしか発揮されないようだった。

 

「ヒフミ、もうすぐで着くみたいだから頑張って。辛いなら、私がサポートする」

「あ、ありがとうございますアズサちゃぁん……」

 

 アズサは疲れ切ってふらふらなヒフミのほうを向くと、ヒフミに手を差し出す。

 ヒフミは迷うことなくその手を掴み、アズサがヒフミを引っ張る形でシロコについていった。

 

 

 

――そこからさらに30分後――

 

「ん、ついたよ」

「はぁ……はぁ……やっとつきましたぁぁ……!!」

「よく頑張った、ヒフミ。これを飲んで休もう」

「は、はいぃぃ……」

 

 到着したと止まった瞬間、崩れ落ちるようにその場に座り込むヒフミ。

 アズサは、そんなヒフミの背中をさすってあげながら、自分の水筒を開けてヒフミにスポーツドリンクを飲ませてあげる。

 アズサに促されるようにスポーツドリンクをゴクゴクと飲み、ふーっと一息つく。

 

「ん、そろそろ丁度いい時間」

「?」

 

 シロコの言葉に首を傾げる二人だったが、シロコの目線を追うように、その方向を向く。

 

「わぁ……すごく綺麗です!!」

「うん、綺麗……! 砂漠でこんな景色が見られるなんて、知らなかった……!」

 

 二人の目の前に写ったのは砂漠でしか見られない絶景。

 山を登っていく道路、そのかなり上から見渡せる光景。

 その先に見える物は、沈みゆく夕日の中、一面に広がる砂漠がキラキラと光り輝いている。

 そんな絶景を前に二人は目を輝かせる。

 

「ここ、先生に教えて貰った場所だけど、この辺りの砂漠は細かいガラスとか、金属の破片とかがたくさん散らばってて、それに太陽の光が反射してこうやって砂漠が輝いてるように見えるんだって。今くらいの、ほんのちょっと暗くなったくらいが一番キラキラして見えるみたい」

 

 シロコの解説も聞きながらも、それを聞き流してしまいそうなほど、初めて見る光景に目を奪われていた。

 アズサにとっても、この景色はいつぞやの先生に連れて行ってもらった広い海の景色にも負けず劣らずと言っていいほどすごいものだった。

 相変わらずといっていいほど、広い場所だと少し違和感を感じてしまいそうだったが、全然そんなことはなかった。

 先生が一緒にいる訳ではない、でも先生が好きな景色なんだと考えれば、自分もここが好きになれそうだった。

 多分、不安じゃなくなった理由はそれだけじゃない。

 ヒフミが一緒にいるから、ヒフミのこの笑顔を見ていると、不思議と自分も安心する。

 ヒフミが笑顔だと、どうしてかアズサも笑顔になれるような気がした。

 

「ん、気に入って貰えたみたいでよかった。満足行くまで楽しんだら、帰ろっか」

 

 シロコの言葉にこくりと頷いた二人は、そのまま休憩も兼ねてその景色を目一杯楽しんだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ん、そろそろ帰ろっか」

「そうですね…………ってもしかしてさっきの道をまた走るんですか!?」

「そりゃ、もちろん」

「あ、あぅぅぅ…………」

 

 夢のような光景を楽しんだあと、現実に戻されたような感覚。

 あの必死に走った長距離をまた走って帰らないといけない事実に項垂れるヒフミだった。

 

「よかったら、また私がサポートしようか?」

「あ、アズサちゃん……お願いします……!!」

 

 こうして、4時間かかる道を三人で帰っていくのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 余談だが、また同じように体力の限界を迎えてしまいそうなヒフミだったが、アズサとずっと手を繋いでいた効果があったのか、以外となんとかなったという。




ヒフアズ成分を入れたかった
後悔はしてない

正直ランニング要素は後付で入れたものでして、シロコが銀行強盗の戦略立ててるのに対してアズサって普通に乗っかかりそうだよねっていう妄想から入りました。
実際に銀行強盗しそうかどうかっていうのは一旦置いておいても、そういう作戦立案能力とかはアリウス時代に鍛えられてるはずなので、そういう意味でも普通にありそうって思っちゃったんですよね。
んで、それだけで書くとなると流石にきついので他になにかないかって考えて、シロコと言ったらランニングとかライディングだよねってところに行き着いて、ここに至るというわけです。
最初はアズサとシロコの二人だけで走らせるつもりだったんですが、流れでヒフミも参加することに。
アズサはアリウスの訓練で体力作りはしっかりしてる筈なので、シロコの長距離の運動にもしっかりついていけるはず。
対して、ヒフミはあまり運動のイメージはないので、二人に比べれば体力はないという想像から生まれたヒフアズ要素はいい感じに落とし込めたとも思いました。
でも一番恐ろしく感じたのはヒフミってペロロ様関連になると二人以上の運動能力を引き出しそうっていう妄想が出来ちゃったことなんですよね。
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