異世界でもハヤテのごとく 作:ハヤ✖️アテ
勇者一行は今いる聖教教会本山から、事前に勇者一行の受け入れ大勢が整っているハイリヒ王国へと向かう事となった。
ハイリヒ王国に辿り着くと、どうやら自分達の存在は既に知れ渡っており、通り過ぎる使用人に畏敬の念に満ちた眼差しを向けられた。
王族に軽く挨拶を済ませて、豪勢な晩餐会が開かれた。晩餐会は勇者一行、騎士達、国の官僚達、そしてリリアーナ王女やランデル王子といった王族を含めた交流会となった。
香織やヒナギクは美少年王子であるランデル王子に話しかけられていた。まだ10歳らしいが既に思春期真っ盛りのご様子。どちらか1人を選ぶ事は出来ないらしい。しかしここは異世界、そしてランデルは王族。もしかしたら一夫多妻なり、妻の他に側室も何人もいるのが普通なのかもしれない。
そんな中、ハヤテはというと……
「美味い!美味い!」
並べられた様々な高級料理を堪能していた。今までまともな飯を食べてこなかったハヤテは見たこともない料理だろうと、何の躊躇もなく口に運んでいく。そのあまりの美味しさに涙を流しながら1人料理を頬張る姿は異様の一言だった。そんな姿にハジメもドン引きしながら声を掛ける。
「……え、えっとぉ……美味しい?」
「うん!これ凄い美味しいよ!南雲くんも食べなよ!」
「う、うん。でも僕は今そんなにお腹空いてないかな」
ハヤテはハジメに「そう、それは残念だね」と同情の視線を向け、再び食事へと戻る。
そんなフードファイター並みの爆食をするハヤテの後ろでは、光輝がこれまたとてつもない金髪美少女であるリリアーナ王女と話していた。
「では勇者様方は元の世界では学生でいらしたのですね」
「ええ。多少の武術の心得がある者は私を含め一部居ますが、まだまだ半人前です。ですがご安心下さい。僕達は必ず強くなり、一流の騎手になります。そして魔族の脅威から姫様をお救いします!」
恥ずかしげもなくそんな台詞を言えるのは流石の一言だろう。しかも人類をではなく、姫個人を救う発言はもはや狙ってるとしか思えない。しかし、光輝は天然であり、先程の台詞も下心等微塵も無く、ただ王族や市民を魔族から護るという意思表示だった。しかし、光輝の事を良く知らない彼女に勘違いしていでくれと言う方が無理な話。幼い頃に『王女と勇者』という王女が異世界から世界を救いにきた勇者と結ばれる絵本を読み聞かせられてきたリリアーナ。今の自分をその絵本と重ね恥ずかしくなってしまい、照れて顔を赤くする。
「ありがとうございます//わ、私父上に用を思い出したので、きゃあ!?」
告白同然の言葉を投げかけられ、彼女は動揺していた。照れ隠しからこの場を去ろうとしたのが間違いだった。動揺していた彼女は振り返る際に自らのドレスの裾を踏んでしまったのだ。このままでは大衆の面前で地面を這いつくばるという失態、王族の恥を晒してしまう事になる。"王族たるもの、常に民の見本となり一切の恥部を見せるべからず"という父からの教えを今まで忠実に、完璧にこなしてきた彼女。まさかよりにもよってこんな大事な日にミスを犯してしまった。次第に近づく床がスローモーションに見える。もうどうにもならないと悟ったその時、彼女が地面に倒れる前に救いの手を差し伸べる者が1人いた。
「おっと」
それはハヤテだった。彼女の悲鳴にいち早く振り向き、自分の目の前で転びそうになる彼女を、瞬時に腕を滑り込ませ彼女が転ぶのを防いだ。
「大丈夫ですか?」
「は、はい///大丈夫です////お恥ずかしいところお救い下さりありがとうございます/////」
「いえいえ、僕もこんな可愛い王女様を救う事が出来て光栄です。ほんの少しですが王女様の役に立つ事が出来ました♡」
ハヤテは彼女を起き上がらせ、満面の笑みを浮かべる。リリアーナはハヤテにもう一度頭を下げるとスタスタと歩き、国王である父に耳打ちした後、その場を後にしてしまった。
ハヤテは何事もなく食事に戻ったが、ハジメを初め、その会話を聞いていた全員が同じ事を思った。
(((どさくさに紛れて王女口説き落とそうとしてんじゃねえ!!!)))
明らかにリリアーナはハヤテに助けてもらった後、顔を採れたての林檎みたいに真っ赤にさせていた。まず間違いなくハヤテを意識して事だろう。
「なぁ香織よ!香織の好物は何じゃ?……香織?」
「ム────────!!!」
「どうしたのじゃ?そんな怒った顔して……なぁヒナギク、余何かは悪い事をしたのかのぉ?」
香織にも先程のハヤテの台詞が聞こえてたのか、メイドにデレデレだった先程の何倍も大きく頬を膨らませていた。ヒナギクはというと香織を怒らせてしまったと不安がるランデルを必死に慰めていた。
「綾崎くんのバカッ」
香織の嘆きはハヤテには届かなかった。
一方その頃、リリアーナ室
リリアーナは自室のベッドにて愛用の枕を抱えて蹲っていた。
「……………ッ/////」
リリアーナは父に体調が優れないと嘘を付き自室へと戻っていた。自室前まで付いてきた従者のメイドにも「大丈夫、休んだらすぐ良くから」言って直ぐに持ち場に戻る様促し、今は1人。
あの時リリアーナが顔を真っ赤にしていたのは何もハヤテの台詞に照れていただけではない。あの時、ハヤテに支えてもらっていた時、当たっていたのだ。彼の手が自身の胸に。そんなところ洗体時の侍女にしか触れさせた事はないし、それ以外には親だろうと見せた事すらなかった。初めての経験。これだけでも恥ずかしさMAXなのに、ハヤテの反応から察するに彼は気付いていないのだろう、自分の胸に触れていたことに。
「〜〜〜〜〜ッ!!!/////」
色んな意味で恥ずかしくて死にそうな彼女は、誰も見ていない事をいい事に、今だけは王女という肩書きを忘れ、1人の少女として恥ずかしい思いをした事に生まれて初めてベッドで転げ回った。
「ご馳走様でした!」
ランデル王子の言葉遣い知らなかったので独自で考えました。モデルはベルゼバブの焔王です