異世界でもハヤテのごとく   作:ハヤ✖️アテ

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ステータスプレート、予想外の能力と恋

 

 晩餐会が開かれた翌日から、早速訓練と座学がスタートした。

 

 集まった生徒達は、まず始めにステータスプレートと呼ばれるアーティファクト(古代道具)を受け取った。その名の通り自身の能力が一目で分かる代物らしい。ステータスプレートは身分証明書でもあるらしく、メルド団長曰く、これがあれば迷子でもなんとかなるそうだ。

 

 ステータスプレートに血を垂らすとその者の能力が登録される仕組みらしく、ハヤテは渡された針を自身の人差し指に刺し、後ろのまだ刺していないハジメに針を手渡す。しかし故意に自身を傷つける事に抵抗があり行えずにいたハジメは、結局自分で行う事はなく、ハヤテに頼み込んだ。

 

 「うぅ……綾崎くん、お願い出来ない?」

 「いいですよ」

 

 頼まれたハヤテは快く承諾すると、差し出された右手を支え一言声をかけてから針を刺した。

 

 「チクッとするからね」

 

 痛みを堪えようと目を瞑ったハジメだったが、針を刺した瞬間だけチクッとしただけで大した痛みはなかった。妙な緊張が解けて安堵の声を漏らす。

 

 「ありがとう、綾崎くん」

 「どういたしまして」

 

 「……………いいなぁ」

 

 そんな様子を遠目から羨む香織。ハヤテに頼めば先程のハジメの様に合法的にハヤテと手を繋げる。そう決意(下心)を胸にハヤテに頼もうとした彼女だったが、雫によって邪魔されてしまった。

 

 「香織、手出して」

 「え?」

 「え?じゃないわよ。香織自分で針刺すなんて出来ないでしょ。だから私がやってあげる」

 「あ、あぁ、うん。ありがとう……」

 

 雫が善意でやった行動は、結果的に香織の決意を河に流す行為だった。折角のチャンスが無駄に終わってしまってシクシクなく香織。

 

 

 各自血を魔法陣が刻まれている場所に擦り付けるとステータスプレートが光だし、光が止む頃にはそこにステータスが表示された。

 

 ===============================

 綾崎ハヤテ 17歳 男 レベル:1

 天職:執事

 筋力:170

 体力:230

 耐性:260

 敏捷:190

 魔力:0

 魔耐:0

 技能:縮地、疾風、怪力、物理耐性、気配察知、全武器適正、限界突破、主君選定、瞬間召喚、主君守護、命令遵守、鑑定、家事、女難、女装、不幸、金欠、言語理解

 ===============================

 

 「………」

 

 ハヤテは自身のステータスを見て色々と思う事があった。

 

 (取り敢えず、どんくらいあれば普通なのか分からない数値云々は置いといて、この技能なに?後半よく分からないんだけど!女難とか女装とか。不幸や金欠に関してはただの悪口なんですけど!それに天職執事ってどう考えても戦闘職には見えないですど!)

 

 一通り自身の能力を確認しているとメルド団長により、ステータスについて天職や数値、技能について諸々説明を受け、自身の能力がこの世界基準で言うと飛び抜けてる事を知る。しかし周りも同じものなのかと気になってハジメを見ると青い顔をしていた。

 

 「ハジメくん?大丈夫ですか?」

 「どうしよう……」

 

 ハジメは不安そうにそう言葉を漏らすとハヤテにステータスプレートを見せた。するとそこにはなんともリアクションし辛いステータスが記されていた。

 

 天職:錬成師、数値オール10、技能:錬成と言語理解のみ

 

 天職がそもそも非戦闘職。数値もこの世界の平均。技能も恐らく皆得ているであろう言語理解を除けば、天職に由来する能力のみと、特筆した所が何もないステータスとなってしまった。ハヤテもリアクションに困っていると早速団長に光輝がステータスを見せた所だった。

 

 「流石勇者様だ!オール100に技能もこんなに!全く、羨ましい限りだ!」

 

 その後も次々と団長にステータスを見せにいく生徒達。他の生徒達も光輝とまではいかないが、この世界より高い数値を誇り、皆戦闘職であった。

 

 「次はお前だな、綾崎」

 

 そしてハヤテの番になり、ステータスプレートを団長に見せる。すると

団長は光輝のステータスを見た時と同じか、それ以上の反応だった。

 

 「凄いなこれは。魔力、魔耐が共に0なのは厄介だが、それ以外の数値は光輝をも上回っている。それに技能も豊富だ。敏捷値に補正が掛かる疾風、筋力に補正が掛かる剛力の上位互換である怪力、その他も優秀な技能持ちだ。非戦闘職なのは残念だが、十分だ。魔獣の魔法に対する支援魔法を掛けてもらうのは必須だが、今すぐにでも前線に欲しいくらいだ」

 「い、いや〜」

 

 魔法が使えないデメリットはあるが、それをあまり補う程のステータスを誇るハヤテを絶賛する団長。ハヤテも気持ち良くなり頬を緩める。しかし、気になる事があるのも事実。

 

 「しかし、気になるのは技能の後半。女難かぁ……」

 「もしかして知ってるんですか!?女難とは一体どんなスキルなんです?」

 

 女装と悪口2つは置いといて、気になる女難。イマイチ嫌な予感しかしないこのスキル。団長の反応的に確実に知っている。その上で厄介な技能だと言う事も予想できる。一体どんな技能なのか。

 

 「以前部下でいたのだ。女難の技能を持っている奴が。そいつは元々は普通な奴だったんだ。好きな女の写真を枕の下に入れて寝れば恋が成就するなんてジンクスを信じる様な。だが一度女を知ると歯止めが効かなくなってしまった。出会った女を片っ端から口説き堕とした。たとえそれが恋人持ちだろうが人妻だろうが。もう何人に手を出したか収集が付かなくなり、最後は孕ませて面倒くさくなって捨てた女に殺された」

 

 (なんですかそのSchool D○ys的な展開は)

 

 「綾崎…」

 「な、なんですか」

 「女には優しくしろよ。決して男の道具なんかじゃないって事を肝に銘じておけ」

 「分かってますよ!」

 

 団長に肩を叩かれながら諭す様に言われたハヤテ。周りの生徒もハヤテを茶化す様にヤジを送る。

 

 「ハヤテ!女遊びも程々にな!」

 「俺の女取るんじゃねーぞ!」

 「もしその時は優しくしてねぇ!」

 

 ハヤテがそんな事する様な人物じゃないと信頼しているから故のヤジだったのだが、ハヤテには恥ずかしくてたまらなかった。

 

 そしてハジメの番となり、団長に見せる。最初は自身の目を疑う団長だったが、目の前の現実にどんどん顔色が曇っていく。

 

 「ま、その……なんだ。………一緒に頑張ろう」

 

 つまりなんも言えない数値らしい。ハジメの異世界はハードモードだった様だ。

 

 そこに水を得た魚の如く突っかかってきたのは檜山だった。

 

 「あれ〜、おいおい、おいおい南雲!お前もしかして非戦闘職なのかぁ〜?見せてみろよ!」

 

 檜山はハジメからステータスプレートを奪い取るとハジメの能力を舐める様に見渡した。そしてニタァ〜と気色悪い笑みを浮かべ天に翳した。

 

 「おい南雲!お前オール10しかねーじゃんかよ!しかも大した技能もねーし、こんなんで戦えんのかよ!下手したらこれガキより弱いんじゃね〜」

 

 檜山はハジメにステータスプレートを返さず、クラスで廻そうとする。渡された者はハジメの能力を見て大なり小なり笑い、そして次の人へと廻す。ハジメは見せ様を受けていた。

 

 「ちょっと皆んな!」

 「趣味悪いわね」

 

 ハヤテが止めようと声を張り上げたが、そんな事より前にヒナギクが目にも止まらぬ速さで奪い取り、ハジメに返す。

 

 「はい」

 「あ、ありがとう桂さん」

 

 ハジメはヒナギクにお礼を言うと、彼女は優しく微笑んだ。

 

 「どういたしまして。これから取られない様に保管しておきなさい」

 「………はい」

 

 ヒナギクはまだ見せていない為、己のステータスプレートを団長に見せに行く。ハヤテはハジメに駆け寄り、直ぐに助けられなかった事を謝罪する。

 

 「大丈夫!?南雲くん!ごめんなさい。直ぐに助けられなくて……て南雲くん?」

 

 ハジメを呼ぶが返事がない、ひたすらぼぉーっとヒナギクの後ろ姿を眺めている。

 

 「ねえ、綾崎くん」

 「なんですか?」

 「桂さんって、好きな人いるのかなぁ」

 「え?………ええええ!?」

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