リーリエロスでカントー行ったよ外伝 the horizon de alola!   作:バケットモンスター、縮めてバケモン

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ドリームマッチ!! リーリエVSクロウ!!

 

「『パワーウィップ』!」

「かわしてください!」

「バナァッ……!!」

「ぶりーんぼー!」

「そのまま『かふんだんご』!」

「……!!」

 

フシギバナさん。

あなたがクロウさんに攻撃した時、本当に怒ってたんですからね。

もう、容赦しませんよ!

 

「『はなふぶき』!」

「正面へ『リフレクター』!」

「バナァ……!」

「っ、『ソーラービーム』!」

「『ひかりのかべ』!」

「あぶぶぉー!!」

 

あれ、アブリボンさん、何か持っていませんか?

……あれは……粘土? いつのまに、それにどこから持って来たのでしょう?

 

ひかりのねんどを持たせてるか……! そうだったな!」

「えっ!? あ、えっと……はい!」

 

そういうことにしておきましょう!! クロウさんの知る私は持たせていたっぽいです!!

 

ひかりのかべが張られている間に決めましょう! 『かふんだんご』!」

「あぶりぼー!!」

「バナァッ…………!」

「フシギバナ! ……クッ、戻れ……!」

 

倒れ臥すフシギバナさんをボールに戻し、他のボールを構え直すクロウさん。

……たぶん、あのポケモンさんですね。

 

「頼むぞ、カメックス! 『ハイドロ───」

「『とんぼがえり』!」

「なっ!?」

「お願いします、キュワワーちゃん!」

「きゅわー!!」

 

放たれたハイドロポンプは、ひかりのかべによる効果とタイプ相性により、その威力のほとんどを削がれています。

あなたの考えること、全部わかるんですから!

 

それにカメックスさんも!

洞窟から私を助ける時、投げてくれましたけど……もう少しやり方あったと思います! 昔はあんなに可愛かったのに!

 

「……っ、キュワワーはフェアリータイプ! カメックス、『ラスターカノ……! ……待ってリーリエ、それは……」

「キュワワーちゃん、行きますよ!」

「きゅわわーっ!」

 

クサZをリングに嵌め、分裂したもう一つのクサZをキュワワーちゃんに投げます。

空中でキャッチしたキュワワーちゃんは、そのままくるりと一回転し、あたりに花びらを散らしました。

 

「受けてみてください、クロウさん! カメックスさん!」

 

その花びらが種となり、やがて芽が出て花が咲く!

大地を、空を、埋め尽くすほどの、舞い散る私たちのZワザ!

 

「キュワワーちゃん! 『ブルームシャインエクストラ』!」

「きゅわ〜っ!!!!」

「ガメ……ッ、ガ……!」

 

 こうかは ばつぐんだ!         

 

「……っ、一撃で……! 戻れカメックス!」

 

はなふぶきを基にした草タイプのZワザ! こうかばつぐんも相待って、すごい威力です!

……代わりに、全身から力が抜けるような感覚がするのはあまり良い気分ではありませんが……それでも!

 

「あと、何体ですか!」

「……トレーナーの才能ってのは、本物みたいだな! 頼んだ、リザードン!」

「グオォォォォ!」

 

ボールから出てきて叫ぶのは、リザードンさん。

少し前までは手に抱えていたのに……こんなにも大きく育ったのですね。少し感動です。

 

「キュワワーちゃん、『マジカルシャイン』!」

「『エアスラッシュ』!」

「きゅーわーわー!」「グオォォォォ!!!!」

 

光と真空波がぶつかり合い、激しい衝撃が生まれます。

……このままでは押し負ける……!

 

「キュワワーちゃん、交代です! アブリボンちゃん!」

「リザードン! 『フレアドライブ』!」

「リ、『リフレクター』を貼り直してください!」

「ぶりぼーん!」

 

前面に貼られた新しいリフレクターと、攻撃に耐えてぼろぼろのリフレクター。外側にあるぼろぼろのリフレクターは簡単に砕かれてしまいますが、それでも、少しでも、勢いを削げるのなら……!

 

「アブリボンちゃん! 『かふんだんご』!」

「無駄だよ! フレアドライブで燃え尽きる!」

「上に! 上にかふんだんごを!」

「上……!? リザードン、燃やせ! 上だ!」

 

アブリボンちゃんを狙っていたリザードンさんが、進路を変えて天井付近に放ったかふんだんごに狙いを定めました。

そのまま炎に巻かれ燃え尽きるかふんだんごですが……これでいいんです。

 

「今です! 『とんぼがえり』!」

「グォッ……!?」

「キュワワーちゃん、お願いします! 『マジカルシャイン』!」

「グオァァァァ!?」

「リザードン!!」

 

フレアドライブを終えて無防備な姿勢を晒したリザードンさんのお腹に、アブリボンちゃんが突撃。加えて、交代したキュワワーちゃんの放つ光の弾幕が、リザードンさんに直撃しました。

 

「……グォ……!」

「とんぼがえりは虫タイプ……。こうかはいまひとつ、ですもんね……」

「それでもフェアリー技で、相当削られたけどね……」

「キュワワーちゃん、戻ってください。アブリボンちゃん」

「あぶ!」

「リザードン!! 『フレアドライブ』ッ!!」

「か、『かふんだんご』を!」

「同じ手は食わないよ!」

 

ごもっともです……!

 

「あぶっ……りぼぉ……」

「……! ごめんなさい、アブリボンちゃん……!」

 

気絶したアブリボンちゃん。

それでも、あの子が放ったかふんだんごはまだ、空中に!

このままかふんだんごが落下すれば……!

 

「グオッ!?」

「……! まだ行けるか!」

「グォ、オ……!」

「耐久力が高すぎませんか!? お願いします、キュワワーちゃん!」

「きゅわー!」

 

キュワワーちゃんも、もう限界……!

これ以上、弱点の技を出されたら……。

でも、まだクロウさんにはポケモンさんが残っています!

次の、次の対策を!

 

「リザードン! 『フレアドライブ』!」

「『グラスフィールド』!」

 

キュワワーちゃんの放った種が芽吹き始めるその少し前に、フレアドライブが弾けました。

小さなキュワワーちゃんの身体は軽く二、三回地面を跳ね、そのまま倒れてしまいました。

……ごめんなさい、キュワワーちゃん。かっこよかったですよ。

 

「グォ……」

「リザードン……! ……気絶してる。フレアドライブのダメージか……」

 

…………。

そして、私は……。

 

「本来なら、リーリエの手持ちはこれで終わるはずだよね」

 

……クロウさんは……()()()()()のですね。

私の、手持ちを。

 

「でもその顔、次があるって顔だ。もしかしてピッピかな」

「どうして、そう思うんですか?」

「その2匹を使い始める前に、リーリエはピッピを使ってるから」

 

私は……こちらの世界で、ピッピを使ったことはありませんけどね。

それがあなたが見てきた世界なのなら、きっと他の世界の私はピッピを使うのでしょう。

でも、私は。

 

「お願いします!」

「……ウルトラボール!?」

「フェローチェ!」

「……!」

「言ったでしょう。私は、あなたを愛する世界の私だと」

 

他の世界の私なんか忘れてしまってください!

……あ、リリーさんのことはまぁ……許します!

でも、その分!

その分もっと! この世界の私を見てください!

 

「……ッ、ケンタロス! 頼んだぞ!」

「ぶもう!」

「『10まんボルト』!」

「避けてください!」

「ロチェ!」

 

地面を蹴り、放たれた雷よりも早く動くフェローチェ。

そのままケンタロスさんの背後をとると、私に視線を送りました。

たった一瞬、ほんの少し、ちらりと。

日常であれば違和感を覚えはするもののすぐに戻ってしまう様な、ただ目があっただけの1秒にも満たないアイ・コンタクト。

ただ、それだけでも。

 

クロウさんの意表を突くには十分ですね。

 

「『にどげり』!」

「ぶもっ!?」「早ッ……!?」

「2撃目を続けてください!」

 

しなやかな脚を振りかぶり思い切りケンタロスさんを横から蹴るフェローチェさん。吹き飛んだケンタロスさんに追い討ちをかける様に飛び蹴りを喰らわせました。

……心が……痛いです……。

 

「ッ! チェンジだ! 『れいとうビーム』!」

 

腰につけたポーチからわざマシンを取り出して、ケンタロスさんに掲げるクロウさん。

見慣れたその動きはとても洗練されていて、そしてそれに合わせて技を覚え直すケンタロスさんも、クロウさんのことをよく信頼しているのがわかります。

 

「避けてください!」

「後ろに『れいとうビーム』!」

「ぶもうっ!!!!」

「ロチェッ……!?」

 

フェローチェが回り込むことをわかっていたのでしょう。

後ろ足で思い切り蹴られたフェローチェは空中にその身を投げ出してしまい、

 

「チェンジ! 『かみなり』!!」

「しまっ……!?」

「もう一度チェンジだ!」

 

ツノとツノの間から放たれた電撃を浴びてしまうのでした。

機動力は削がれ、地面に足を付けてしまったフェローチェ。

 

「『じしん』ッ!!!!」

「ブモォォォアアア!!!!」

「───ッチェ───!?」

「フェローチェさんっ!!」

 

地面から迫り出す岩に打ち上げられてしまい、フェローチェの顔が苦痛に歪んでいます。

私の横に吹き飛んできたフェローチェはもう限界で、あと少し動けるか動けないかと言ったところでしょうか。

立てる。

このウルトラビーストなら、立てる。

かけだしですが、トレーナーとしての勘がそう言っているのです。

ですが……!

 

「はぁ……はぁ……さすがですね、クロウさん」

「ふぅ……。本当に驚いたよ。リーリエがフェローチェを仲間にしてるなんて」

「頼んだら仲間になってくれました」

 

お互い、肩で息をして言葉を交わします。

私はこの間に、作戦を練って息を整えて、戦いの体勢を整えなければ。そしてそれはきっとクロウさんも同じで、それでいて私がそれに気付きているということすら気づいているはず。

 

「フェローチェは確か、かくとうタイプの技しか覚えてなかったよね……」

「ご存じなんですか?」

「一度、共同戦線を張ったことがあるからね」

「そうなんですか? では、どのタイプの攻撃もこうかバツグンな事は……わかっていますよね?」

「そうなんだよね。ちょっと厳しいなぁ」

「もう一度聞きますけど、手を抜いて私に負けていただく気は……」

「無い。リーリエの平和と、アローラの秩序のために」

 

…………。

 

「思考までカプ神様に乗っ取られていませんか?」

「どうだろうね? 俺の中にいるもう1人の俺が……カプとしての俺が、ここに留まりたいって言い続けるから……頭がおかしくなったのかもね」

「でしたら、そんな事を言うポケモンさんを倒せば、クロウさんは戻ってきますでしょうか?」

「それは神のみぞ知る……って、今は俺が神か」

「随分と、庶民派な神様ですけれどね」

「くっ、ぷくくっ」

「ふふふっ」

 

呼吸は整えました。

頭の中はクリアに。透き通った思考の波を乗りこなして、ただ勝ち筋を立て声に出す。それくらいのこと、やってみせなさい、リーリエ。

愛しい人に、胸が焦がれてはち切れそうなくらい大好きなあの人に、証明してみせない。

 

「すぅ……」

 

息を吸って。

 

「『とびひざげり』!」

「『たいあたり』で威力を殺せ!」

 

飛び起きたフェローチェが凄まじいスピードで肉薄しますが、最も力を込められるタイミングよりも前にケンタロスさんが近づいてきたことで、本来の力を出せません。

……ですが……!

 

()()()です! 『けたぐり』!」

「チェンジで押し切れ! 『すてみタックル』!」

「ブモォォォアアア!!」

「……ッロチェ───ッ!!!!」

 

生み出された衝撃波で砂埃が舞い、一瞬だけ戦いが見られなくなります。

やがて、立ち込める煙の中から私の方向に飛んできたのは……。

 

「……ロチェ……」

「ごめんなさい。そしてありがとう、フェローチェ」

 

目を回したフェローチェ。

……でも。

 

「ケンタロス……ごめんな」

 

同じくケンタロスさんも、きぜつ。

ボールにフェローチェを戻し、クロウさんを見つめて、次の言葉を待ちました。

クロウさんのことだから『最後は俺』とか言いそうだし、それを言われてしまったら言い訳できずに負けです。

 

「……もしかして、引き分けって思ってる?」

 

───ッ───

 

ポケットの底で、何かが動きました。

……? もう、戦えるポケモンさんはいないはず……。

 

「フシギバナ、カメックス、リザードン、ケンタロス。俺が手塩にかけて育てたポケモンたちがやられるなんてね」

 

───ッ───

 

……どうして?

()()()()()を見つけた私の頭は、この言葉でいっぱいでした。

どうして、このボールがここに。

 

「悪いけど、俺の手持ちの最後は俺自身……カプ・オリオなんだ。俺は場に出るし、リーリエは出せるポケモンがいない。これで俺の勝ちだよ」

 

……本当にそう言うんですね。私の中のイマジナリークロウさん、かなり完成度が高いんじゃないでしょうか。

 

震える手で、しかしそれでもしっかりと、ボールを握り締めました。

 

「クロウさん。私にも、最後のポケモンがいるみたいですよ」

「俺の知らないリーリエすぎるな……あまりにもイレギュラーだよ」

「いいじゃないですか。サプライズです」

 

使い込まれた、泥だらけでボロボロのボール。

早くここから出せと、今にも叫ぶこのボール。

 

「お願いします……!」

「……! そのボール、まさか!」

 

さすがクロウさん。一瞬でわかるんですね。

 

 

 

 

 

「───イーブイちゃん!」

「えぼぉい!!!!」

 

 

 

 

 

光に包まれてボールから出てきたイーブイちゃん。

その目はただクロウさんを見つめ、不敵に微笑んでいます。

 

「ボールが無いとは思ってたよ……でも、そうだ! そうだった!」

「イーブイちゃん、これを! お守りです!」

「えぼい!」

「イーブイのボールだけは、リーリエが持って帰ったんだった……!」

 

そうです。

()()()()……クロウさんとイーブイちゃんがゼンリョクを使い果たしてほしぐもちゃん達を倒した後、クロウさんが落としそうになったイーブイちゃんのボールを私が受け止めたんです。

そしてその後、クロウさんはウツロイドに襲われて、カプ・オリオに……。

 

「でも、どうして私のポケットの中に……」

「えぼ! えぼえぼぼ! えぼい!」

 

感情が、表現が、伝わってきます。

 

「自分でボールを運んで、そのままリュックの中に入ったのですか……!?」

「おいおい……そんなのアリかよ……」

 

たしかイーブイちゃんのボールはキャンピングカーの机の上に置いたままだったはず。そのまま忘れてしまっていましたが……まさか、ボールから出てリュックにボールを入れ、そのボールの中に入るだなんて。

 

「ご主人様と似て、無茶苦茶なことをしますね! でも、ありがとうございます!」

「えぼい!」

「これで、クロウさん(カプ・オリオ)と戦える!」

「……っ! 後悔するなよ!」

 

クロウさんの姿が、どこからか吹き荒ぶ風に包まれ、隠れます。

その風が晴れるころにはそこにクロウさんはいなくて、ただ1匹のポケモンさんが佇むばかりでした。

 

「オリォ……!」

「あの時のように、言葉を話してはくれないのですか?」

「オリ……。この鳴き声は、その、なんか口癖みたいな感じで出ちゃうんだよ」

「かわいいです!」

「やめて恥ずかしい!」

 

カプ・オリオ。

あなたを倒して、捕まえる。

それが、私に残された最後の手段。

 

「さあ、クロウさん。気を取り直して」

「……その力と覚悟、俺に示して見せろ!」

「勝負です! 行きますよ、イーブイちゃん!」

 

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