リーリエロスでカントー行ったよ外伝 the horizon de alola!   作:バケットモンスター、縮めてバケモン

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ただ、楽しい刻を貴方と!!

 

ラスターカノンッ!」

「イーブイちゃん、まねっこです! 『ラスターカノン』をお願いします!」

「えぼえぼぼい!」

 

クロウさん───カプ・オリオさんか構えた右腕の大きな大砲がこちらを向き、光線を放ちます。

それを瞬時に見て分析し、同じく光を集めて放つイーブイちゃん。

大きなエネルギー同士がぶつかり合い、火花を散らし、そして霧散します。

 

メガトンキック!」

「『でんこうせっか』で避けてください!」

「ッチ……! 素早い!」

「えぼぼ? えぼっ、えぼぼい!」

「あ……すごい煽り……」

「はぁー!? お前なんつった! もっぺん言ってみろ!」

「えぼぼーい!」

「クソガキ……ッ!! 誰がノロマだ!!」

 

そ、そんなこと言ったらクロウさんがショック受けちゃいますよ……!

もしクロウさんが助けに来るのが遅かったとしても私は気にしてませんから……!

だから、そんな『駆け落ちをしに結婚式を邪魔しにきたけど辿り着く頃にはすでに結婚式が終わっていた手遅れの元カレみたい』だなんて言わないであげてください……!

 

「えぼぼ〜?」

「腹立つッ……! しぜんのいかりィ!」

「これも『でんこうせっか』で!」

「えぼーい!!」

「当たんねぇー!! なんだお前!!」

「『シャドーボール』!」

「───ッ!? ラスターカノン!」

 

あら。

不意打ちもダメですか。

 

「ハァッ……! ハァッ……! あっぶねえ、油断も隙もねえ……!」

「イーブイちゃん、まねっこをお願いします! えーと、今のクロウさんの覚えている技は……」

「えぼえぼ! えーぼ!」

「え……? 見たことある技ならなんでも出せる、ですか? すごい! すごいですイーブイちゃん! あの洞窟での戦いで、覚えていない技を使っていたのはそう言う理由だったのですね!」

「ぐぬぬ……リーリエが曖昧にしか知らないアドバンテージだったのに……」

「では『ハサミギロチン』を!」

「えぼ!」

「ぬああああっ!? バカバカ! ほんとに馬鹿!」

 

ガキンッ!!

とオーラでできた大きな鋼のアギトがカプ・オリオを挟みますが、すぐに壊れてしまいました。失敗に終わったようです。残念……。

 

「ちょっ、待って! 一撃必殺は無しでしょ!」

「勝てば官軍! です!」

「それで捕まえられても俺、釈然としない!」

 

でもすごいですね、イーブイちゃん!

全ての技が使えるだけでもすごいのに、以前は二つ同時に技を使っていませんでしたか?

 

「えぼえぼ!」

「え! 今でも二つ同時に技の発動ができるのですか!?」

「あ……いやな予感」

「では『あまごい』と『かみなり』を!」

「えぼぉ!」

「アバァーッ!?!?!?」

 

必中!! クロウさんにダメージを与えました!

あ!!

なんかこれ!!

すっきりします!!!!

たのしい!!!!

 

「次はなんの技を使いましょうか……!」

「えぼぼ〜♪」

「楽しんでる! この子、人を痛めつけて楽しんでる!」

「あれ〜? 今のクロウさんってポケモンじゃなくて()なんですか〜? でしたら一緒に帰ってくれても良いですよね〜?」

「えぼ〜!」

「ね〜、イーブイちゃん!」

 

()()()()()()()ことを理由に帰るのを拒否したんですから、これくらいの意地悪は許してくれても良いですよね?

うふふ!

うふふふふふ!

 

「ぐぬ……! 言わせておけば……!」

「『クロスフレイム』! 『クロスサンダー』!」

「えぼぼっ! えぼ〜!」

「ほんっと良い性格してるよリーリエ!」

 

はがねタイプを含んでいるクロウさんに、威力が倍になったクロスフレイムは痛いのでは無いでしょうか!

……たしか伝説のポケモンさんの技だったような……? イーブイちゃんからイメージが流れてきたので口に出したものの、どうしてイーブイちゃんはこの技を知っていたのでしょう……?

 

「えぼぼいぼ〜!」

「え! クロウさんから教わった……? ああ、クロウさんは別のウルトラスペースを観測していましたし、伝説のポケモンを観測したことがあるのですね! そしてそのクロウさんを通じてイーブイちゃんが、伝説のポケモンさんの技を覚えたと……!」

「えぼ!」

「おい、マジで考え直した方が良いって」

「『せいなるつるぎ』!」

「あぁぁぁアアアーッ!?」

 

イーブイちゃんから放たれたオーラにめったうちにされ、カプ・オリオはボロボロでした。

ぞく……っ。

私、ポケモンさんが傷つくのを見ると心がきゅっとなるんですが……なんでしょう、この感覚……ふふ……。

 

「オイ! チートだろ! なんだよイーブイ強すぎるって!」

「クロウさんの育てたイーブイちゃんですけどね!?」

「マジでおかしいって……全部の技が使えて二発同時に使用可能とかイカれてる……」

「今までこのコを切り札にしていたクロウさんがそれ言います?」

「敵になって初めてわかる厄介さ」

 

イーブイちゃんがいれば、なんとかクロウさんに勝てそうですね。

クロウさんの切り札が、他でもないクロウさんに牙を向くとは、なんとも皮肉な……とも思いますが、もとよりジョーカーというのは『何にでもなれる切り札』と『人を魅了して最後まで手札に残ってしまう悪魔のカード』の二面生を持っているものです。

クロウさんが最後までイーブイちゃんを信用していたからこそ、今苦戦しているのでしょうね。

いいなぁ、そういう信頼……。

 

「えぼ〜!!」

「お前……マジで良い加減にしないと怒るぞ」

 

あはは……流石に『約束も守れないヘタレ野郎』は言い過ぎなんじゃ……。

え。イーブイちゃん、まだクロウさんとした約束を果たしてもらっていないのですか?

それはいけません! 約束は守らないとメッ!ですよ。

 

「えぼぼい! えぼー、えぼ〜……!」

「おま、リーリエの懐に飛び込むのは無しだろ! バトル中だぞ!」

 

イーブイちゃんは私の腕の中に飛び込んできて、胸部あたりにすりすりと額をこすりつけて来ます。くすぐったいですよぅ……。

 

「えぼ〜! えぼぼ〜?」

「悔しいなら来てみればって、おま、おまえ……」

「えぼっ!? えぼぼいぼ〜!!!!」

「あ」

「は?」

 

『あ!! でも手がバチッてなるから来れないねぇ〜残念!!』はさすがに地雷なのでは……!?

 

「殺す」

「ほらやっぱり! すごく怒ってますよ!」

「えぼっ!? えぼっ、えぼっ……!!」

「いいい、今更謝っても遅いかと……!? ま、『まもる』です!」

はかいこうせん……」

 

パリ───ン!

虹色に輝くバリアは薄い飴を割るかの如く。

怒気を孕んだクロウさんの破壊光線によっていとも容易く砕け散るのでした。

 

「ほら……1ターンは反動で動かないぜ……やってみろよチビ……」

「こ、こちらは『ギガインパクト』を!」

「はがねタイプにノーマル技が通用するわけねえよなぁ!?」

 

砲台のついた殻に閉じこもったクロウさんをギガインパクトが襲いますが、その殻についた傷は先ほどのものより浅い。

そして、白煙の向こうからギギギと音を立てて殻から出てくるその様は……。

 

「反撃開始だな……」

「ひっ!?」

「ぃぶぇ……!!」

 

全くの無傷。今の今まで攻撃が通用していたのが嘘のように、鋭い眼光でこちらを睨んでいました。

 

ラスターカノン……!」

「み、『みきり』を!」

「えぼっ……!」

 

イーブイちゃんの瞳がオレンジ色に輝きました。

ヨウさんのZワザを防いだ時とは違い、今回の『みきり』は回避に集中するタイプのようです。

ヨウさんの時は私を守らなければならないという足枷があったから、バリア状だったのでしょうか。

 

……そうですね。

クロウさんのことだから、狙いはイーブイちゃんのみ。

流れ弾は仕方ないとして、無意味に私を狙うことはしないはずです。

 

「えぼっ!」

「どこまで避けきれる!! ラスターカノン!!」

「えぼっ、えぼっ……!」

 

砲口から放たれた鈍い色をした光線を、ただ避け続けるイーブイちゃん。

チャンスを。チャンスを伺うのです。

このまま『みきり』を続けていれば、きっといつかチャンスが……!

 

「───えぼっ!?」

「イーブイちゃん!?」

「そりゃ前を見ずに避けまくってたら転ぶよな!!」

 

技の発動が、失敗……!?

 

はかいこうせん!!」

「ぼ、えぼ……!」

 

なんとか立ち上がったイーブイちゃんが振り返ると、そこにはすでにカプ・オリオの放った閃光が……!

 

「───えぼおっ!」

「イーブイちゃん!」

 

轟音と共に白煙が吹き上がり、小さなイーブイちゃんの身体が転がってくるのでした。

 

そんな……そんな! イーブイちゃん、しっかりしてください! イーブイちゃん!

……よかった、まだ気絶はしていない……。

そうですよね! 負けるわけにはいきませんから!

 

「ぅ、ぇぼぅ……!」

「イーブイ。お前もそろそろ……」

「『しんそく』っ!」

「ぐおっ……!?」

 

私の腕から飛び出したイーブイちゃんが、音を置き去りにしてカプ・オリオの体に突進しました。

他のワザの応用で空気を蹴ったのか、私の目の前で衝撃波が起きるだけで、私自身にはなんともありません。

ですが、突進自体の威力は本物。油断したカプ・オリオは吹き飛び、何回か体を地面に打ちつけて止まりました。

 

「まだです! 『シャドーボール』!」

「えぼぉいっ!!」

「……ッ……ら、ラスター……」

「『フレアドライブ』!!」

「えぼぉぉぉおおお!!!」

「ぐあああっ……!?」

 

決死の一撃を放ったイーブイちゃんにより、カプ・オリオの攻撃はキャンセル。

燃え盛る炎が消えた時には、ボロボロになったカプ・オリオがいました。

 

「クロウさん」

「……?」

「私今、とっても楽しいです!」

「……サイコ……?」

「そういうわけではなく」

 

肩で息をしてこちらを見上げるカプ・オリオ───クロウさん。

古の狩猟の神と呼ばれるその肉体。武器にしている大砲のついた殻には、幾重にも傷がついています。

 

「私、クロウさんとバトルしてるんだなって、すごく楽しいんです」

「…………」

「大好きで大好きでたまらない人と、今バトルができている。私は今、この瞬間に、幸せを感じます」

「……そう」

「クロウさんはどうですか?」

 

一瞬、クロウさんの動きが止まりました。

 

「私は、あなたともっとバトルしたいです。毎月……いえ、毎週。毎日だって。おんなじポケモンさんでも、違うポケモンさんでも。手を変え技を変え、いろんなバトルをあなたとしたい」

「…………」

「そして、あなたと生きていきたい」

「……!」

 

壁から生えている、虹色に輝くZクリスタル。

戦闘の余波で砕けて地面に散らばったそれらの一つを手に取り、Zリングに嵌めました。

 

「……リーリエ」

「はい」

「決着をつけよう」

「はい!」

 

深呼吸する私を見て、大丈夫と笑うイーブイちゃん。

ありがとうございます。少し心のざわざわが落ち着きました。

 

「……いきます」

「……! そのポーズは……」

 

口から紡がれるは、魂の記憶。世界の命。

何も考えずとも言葉として出てくる、息吹のメロディ。

 

「アローラに眠る神々よ……」

 

Zポーズと、その詠唱。

ヨウさんのZポーズはとても綺麗で、その神聖さを増幅させ、Zワザとしての威力が増すんだとか。

 

「夕陽の向こうの、大切な人よ」

 

サトシの詠唱はとても自然で、祈りとしての意味合いが強く、カプに対する敬意の象徴なのだとか。

向こうの私も紡いでいた言葉ではありますが、少々恥ずかしいですね。

 

「「今ここに……」」

 

声が重なって、目を見開きました。

気がつけば、クロウさんも瞑目し、言葉を紡いでいるのですから。

 

「「己の覚悟を示そう」」

 

やがて出現するのは、2柱の大地の巨人。

一方は小さきポケモンの模倣品。

一方は神なるポケモンの真髄。

 

「私の願いを」「俺の誓いを」

「「貫き通すための力」」

 

アローラとは。

一般的にはアローラ地方のことを指しますが、それだけではありません。

おはよう。こんにちは。こんばんは。

平和。信念。感情。

アローラに生きる人々を取り巻く全てが、『アローラ』なのです。

 

「「その名を、我々人はこう呼ぶ」」

 

だから、それら全てを大切にしたいと、人々は祈るのです。

 

 

 

「「ガーディアン───」」

 

 

 

護りたい。

 

 

 

「「───デ───」」

 

 

 

大切な想い(アローラ)を。

 

 

 

「「───アローラ!!!!」」

 

 

 

振り下ろした右腕に伝わる、ミシミシという感触。

二体の巨人の拳と拳がぶつかり合った余波で洞窟は削れ、抉れ、さらに大きな洞窟となっていきます。

でも、そんなこと考えていられない……!

 

「おおおおおおおおおっ!!」

 

少しでも力を緩めたら、押し負けそう……っ!

 

「んんっ、にぃぃぃ……!」

「こんっのぉ……!! 『まねっこ』で出したコピー風情が……!! 偽物が!! 本物のカプに勝てるわけねえだろォ!」

「いいえ!! 私は……私たちは知っています!! 偽物と呼ばれ、自身を偽物だと思い込んでしまい、それでも諦めずに困難に立ち向かった人を!!」

「ぐっ……!?」

「私とイーブイちゃんで、それを証明するんです! それが私たちの、想い(アローラ)なんです!」

 

腕が……痛い……!!

 

それでも……!!

 

「私たちは……!!」

「ぐっぬぅっ……!!」

「負けません……!!」

「ぉぉぉォォォォオオオ!!!!」

「ぁぁぁああああああ!!!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

──────ッ──────

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

───……。

 

───…………。

 

───………………。

 

 

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