リーリエロスでカントー行ったよ外伝 the horizon de alola!   作:バケットモンスター、縮めてバケモン

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ダンジョンの秘密と大きな一歩!

 

んう。

うううん。

ここは……。

 

「おハヨうハニー。昨日はイイ夜だったネ」

「めっ、めめめメカブさん……!?」

「君ノ瞳にカンパイ……」

 

えっと、えっと……!?

 

「……私、あのまま……」

「グッスリ寝てたヨ。寝顔もバッチリ撮ってル」

「ちょっ……!? 消してください、恥ずかしいです!」

「きゃーっ、襲ワレちゃう〜♪」

「メカブさぁんっ!!!!」

 

私の図鑑を片手にニシシと笑うメカブさんを追いかけていると、外の方からごほんと咳が。

 

「ごはんできてるから、着替えて出てきてね」

「ありがとうございます、ヨウさん」

「頼りになるネ〜!」

 

……そういえば、私、どうして着替えているのでしょう?

もしかしてメカブさんが……!?

 

「ン? ボクが? ナイナイ! 嫌でショ? 会っタばかりの人に着替エさせられるノ」

「え……? でっ、では誰が!? まさかヨウさん……」

「そんなわけ無いから!!!!!!!!」

「オトメの会話を盗み聞きしてるヘンタイがイル!!」

「ちょっ!? 違うから! 聞こえただけだから! すぐいなくなるから!」

 

とすとす、と砂を踏む音が遠くなって行きました。

あの様子、だいぶ慌てていたみたいですね。

 

「それで、いったい誰が……」

「ン」

 

メカブさんは指差しました。

私を。

 

「え? 私……?」

「そのまま寝かせテたんダケド、急に起き上がって寝ボケたまま着替えテ寝テタよ」

「ええ……」

「あろうことかシャワーも浴びて寝タ」

「シャワーまで!?」

「嘘」

「メカブさぁん!!!!(怒)」

 

メカブさんはバイザーをそのままにパジャマからスーツに着替え(ギアを使って一瞬で着替えていました)、テントから出ます。

そのまま、ヨウさんの足跡の方向とは真反対を指さしてニシシと笑いました。

 

「でもシャワーあるのはホント! ヨウは見張っとくカラ浴びテテ良いヨ」

「メカブさぁん!!!!(喜)」

 

やりました! シャワー!

この旅ではシャワーなど浴びれないと思っていたのでとても嬉しいです!

 

るんるんで着替えのセットを手に、メカブさんの指差した方向へ向かうと人1人が入れそうなくらいの黒い箱がありました。それに接するように、また黒い箱が。こちらはノブがないですね。大きい方から中を見れるのでしょうか?

それと、何かのマークがあります。メカブさんのバイザーでしょうか。

あ、ノブのところに取扱説明書がありますね。読んでみましょう。

 

えーと。

 

『メカブ印の仮設シャワー! 赤いのを右に捻るとお湯が出るよ! 青いのを捻ると冷たいのが出るよ! 両方捻って温度を調節してね! お湯は出るまでに5分くらいかかるから注意してね! 原理が知りたかったらメカブに声をかけてね!』

 

……すごくわかりやすいです……!

普段のメカブさんの言葉が不安定なだけに、文字に起こすとこんなにわかりやすいなんて。

 

扉を開けるとその先にはシャワーヘッドとノブが二つありました。

 

えっとまずはお湯を出すために赤い方を捻る、と……。五分かかるそうですから、急いでいる以上は早めに行動しましょう。

 

しかし、この仮設シャワーをメカブさんが……。

足元に伸びている管?チューブ? を見るに、海水を汲み上げてそれをどうにか水にして、温める仕組みのようですが……これ、塩分や海水の汚れはどうやって……?

ああいえ、難しいことはわかりません。説明を求めてもきっとマサキ博士にしかわからないようなことなのでしょう。

 

そして、先ほど見た隣に隣接された黒い箱は着替え置き場のようです。外に置くと鳥ポケモンさんにいたずらされてしまいますから、ありがたいです。

鍵をかけて、服を畳んで、お湯の加減を見て。

……では、お言葉に甘えて。

 

 

 

 

「お風呂、いただきました」

「湯アガり美人ダ!!」

「メカブさん、ありがとうございます。使い方もとてもわかりやすかったです」

「ふふン! ドーモ! ボク優秀でショ!」

 

胸を張るメカブさんがなんとなく可愛かったので頭を撫でると嬉しそうに笑います。かわいい……。

その対面に座るヨウさんは机の上に山盛りにされたマラサダを一つ取り、一口で半分ほど頬張りながらメカブさんが撫でられているのを眺めていました。

 

「メカブさ、バイザー取らないの? それ邪魔じゃない?」

「取らナイよ? 邪魔じゃないモン。 ……はむ、もぐ、もぐ。あとね、このバイザー取るとボク死ぬんダ」

「「えっ!?!?!?」」

「嘘」

「メカブさぁん!!!!」

「ははは……まぁ、それなら良いんだけど」

「マァ実際、日光とか大気トカ、ボクたち()()()ノ世界の人には適してない物から守ル効果もあるんだケドね。体質的に、ボクの場合は微々タルものヨ」

「大気はわかりますけど、日光ですか?」

()()()には太陽も月もナイからネー。……あむ。もぐ、もぐんっ、んぐっ!? ふむっ、ふんむむむ!!」

 

みっ、水!!

もしくはミルクを!!!!

 

「……ッ!! プハーッ!! ありがと、ママ……じゃナイや」

「ママ?」

「いやー、間違エちゃっタ。ごめんネ、プリティガール」

「いえ、大丈夫ですが……その語彙はどこから来るんですか……?」

「ニシシ」

「お母様とは仲がよろしいんですね?」

「オウヨ! 妹モいるヨ! みんな仲良シ! パパはそんなまぁ、最近色ンナとこ行ってるカラ会ってナイけど。でも帰ってキタラみんなで遊ぶんだヨ! ゲームしたリ、庭デ遊んだり」

「素敵じゃないですか」

「ママの作るドーナツが美味しいンだヨ! このマラサダ? ってのとはちょっと違ウけど」

 

ふと、自分の手に持つマラサダを見つめたメカブさん。

バイザーがあるので目元は見えませんが、ほんの少しだけ噛んだ下唇の様子から、メカブさんが今なにを思って、なにをしたいのか、優にわかります。

 

「私、洞窟の攻略、頑張りますから!」

「エ……。……ウン。応援してル!」

「そうだ、洞窟。リーリエ、洞窟の中はどうなっていたの?」

 

ヨウさんがもう半分のマラサダを口に放り込み、私に聞きました。

そういえば昨日は寝てしまったので、何も話せていませんでしたね。

私は洞窟の中で何が起きたのか、出来る限り話しました。

階段を降りた先に草原が広がっていたこと。

太陽も月も無いのに、時間の概念はあること。

それら以外は地上の草原と同じで、ポケモンさんもいれば草木は芽生えて風もふくこと。

 

そして、私がポケモントレーナーになったこと。

 

「こちらがアブリーちゃんです」

「あぶりぃ〜♪」

「ネェネェ、その『ちゃん』ト『さん』の区別はどこナノ?」

「えっ。言われてみれば……。うーん、私より大きいか、とか、仲の良い子、とか……でしょうか?」

「でっかいポケモンで仲ガ良いヤツは?」

「……さん、でしょうか……?」

「……………………」

「ヨウさん?」

 

聞いて満足したのか再びマラサダを食べ始めたメカブさんをよそに、ヨウさんは私を見たまま固まっていました。

いえ、正確には私の肩に乗っているアブリーさんを見て、でしょうか。

今し方、口に運ぼうとしていたマラサダのシュガーパウダーも落ちないほどピッシリと、それはもう模型のように固まっています。

 

「リーリエが……トレーナーに……?」

「はい! ですよね、アブリーちゃん!」

「ぶりりぃ〜♪」

「コイツなんか鳴キ声が汚クない?」

「おめでとう!!!!」

「ワッびっくりシタ。デッケー声出すなよモー」

 

口をぽかんと開けたまま、喜びと驚きの混ざった声を出すヨウさん。

 

「驚いたよ。まさかリーリエがトレーナーになるなんて……」

「まだポケモンバトルの一度だって経験していない駆け出しですが……」

「それでもだよ。リーリエのそれは大きな一歩だ!」

 

なんだかそう言われると照れてしまいますね。

でもポケモンを捕まえるなんてことは、同年代の中では遅すぎます。

ポケモンバトルは……正直、自信がありません。

ポケモンさんが傷つくのが怖くて、それを言い訳にしていたら私の代わりに大切な人がどんどん傷を負っていて……。

ポケモンバトルという存在そのものがさらに怖くなっている気がするのです。

そんな気持ちが顔に出ていたのか、ヨウさんはこちらを落ち着けるように話してくれました。

 

「まぁ、ポケモンバトルはすぐにやらないでも大丈夫じゃないかな。ポケモンをゲットするって一歩を踏み出せたんだから……」

「……はい」

「それと、洞窟の中のことなんだけど……」

 

メカブさんが隣から差し出してきたマラサダを受け取り、一口かじります。

んん、本場アローラのマラサダはやっぱり美味しいです!

 

「中に草原が広がってたって言ってたよね」

「はい。太陽や月が無いのに明るくて、そこが洞窟の中だと忘れるほど……()()()()()でした」

「ヌー……美少女しか入れナかったり、外からの見た目よりも大きく空間ガ広がっていタリ……。複雑! こっちの世界ノ洞窟は全部ソウナノ?」

「いや……多分そんな洞窟は全世界でここだけだろうね。リーリエしか入れないっていうのも引っかかる……」

 

ヨウさんとメカブさんは机に突っ伏してなにやらぶつぶつと唱えているようです。

私は話には着いていけないので、ここは専門の人に任せて次の探索の準備をしましょう。

前回の反省を活かしてお昼ご飯を持っていきたいです。例えばこのマラサダとか……。

それに草原がどこまで広がっているかわからない以上、迷子に何か、備えが必要です。

 

「アブリーさん、道は覚えられますか?」

「ぁぶ」

「ですよね……」

 

そもそもアブリーさんも迷子になっていたんです。私と同じですよね……。

はあ……。

 

「しまキングさんやクイーンさんのように、ライドポケモンさんがいれば迷子も少しは解消すると思うんですけど……」

「「……今なんて?」」

 

……え?

 

「え、えと、ハプウさんのバンバドロさんや、ヨウさんのほしぐもちゃんみたいにライドポケモンさんがいれば……って……」

「しまクイーン……!」

「ウルトラワープライド……!」

 

えっえっえっ。

なんですか!?

私、何か変なことを言ってしまったのでしょうか……!?

 

「しまめぐりの試練や大試練みたいに、カプ・オリオがしまクイーン候補に課した課題……とか……」

「最奥にはウルトラホールがアル……。影響があるナラ、多少なりとも生態系ガ崩れるハズ。それヲなんとかウルトラホール及びウルトラスペースの力で押サエ込んでいるのナラ次元の一つや二つダッテ歪んでテモおかしくナイ……。洞窟の外殻に露出した鉱石はモシカシテ、他のウルトラスペースから引っ張られて来たモノ……?」

「ちょっ、ちょっと待ってください! メカブさんの情報量が多いです!」

 

研究者モードに入ってしまったメカブさんの口にマラサダを詰め込み、解説キャンセルします。

ほんわりと和やかな表情に戻ったメカブさんにホッとしていると、それをみていたヨウさんが手をあげました。

はい、ヨウさん。発言を許します。

 

「リーリエ、今日は洞窟探索の予定はある?」

「そうですね、行こうと思います。今日こそ何か、掴めると良いのですが……」

「……そうか……。リーリエが帰ってくるまでにメカブと結論を出しておくけど、聞いておいてほしい。この洞窟はリーリエが思っている通り普通じゃない。俺の予想が正しければ……草原のどこかに、ぬしポケモンがいるはずなんだ」

「ぬしポケモンさんが……」

「徘徊するタイプなら、逃げれば良いと思う。けど、何かを守っている様なら戦闘は免れない。注意して」

「守っている、というのは……?」

「……Zクリスタルを守ってるっていうのは違うだろうな……この洞窟である意味がない……。だから、下へ続く階段……とか」

「下へ続く階段なら、隙を見て通り過ぎるのはダメなのですか?」

「そうすると、帰って来れなくなっちゃうよ」

 

たしかに……。

どうにか交渉して、通してもらうのはダメでしょうか。

……ダメでしょうね……。

 

「わかりました。肝に銘じておきます」

「うん。頑張って」

「では、準備が出来次第、行って参ります!」

 

今度こそ、クロウさんを見つけます。

もっと、もっと強くならなければ。

 

……その前に。

 

「お風呂、もう一度お借りしても……」

「「…………」」

 

か、感動しすぎたわけじゃありませんから!

 

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