あの実験から一ヶ月が経った。とっくに実験のことなんか忘れている間に、ツヴァイウィングというボーカルユニットが流行っているということを知った。一度そのグルーブの曲を聴いたが、とても私の好みの曲だった。
ついでに、あの災害について調べてみると、あの災害はノイズといって、触れられると炭に変わって死ぬらしい。だからあの時、人がいなかったのは避難していたからだと納得がいった。
同時に疑問が湧いてきた。私はあの時ノイズに触れられたが、体に風穴が開く程度で済んでいた。普通なら炭になっていた筈なのだが……。
これはどうやら知られると面倒そうだ。私一人の秘密として黙っているとしよう。そんなことを思いながら、今日の昼食の準備の為、私は外に出かけた。
どうやら今日は肉が安い日だったようだ。おかげで本来の目的である野菜だけでなく牛肉も買ってしまった。丁度いいので今日の夕食はすきやきにでもするか。そう考えながら歩いていると、
「$’©'"?‘©·$~}§>」
どうやらノイズが出てきたようだ。言語のようなものを発しているがよく分からない、ただの雑音が響いていた。
「·’$’*©§?*~×$」
ああうるさい。こんな音、聴いていると耳が腐りそうだ。私は不快な音を掻き消すため、歌を歌うことにした。
歌う曲はB’zのultra soulだ。この曲は歌っていると周りが気にならなくなる為、私の中で上位のお気に入りの曲だ。
私は目の前の
【どれだけがんばりゃいい 誰かのためなの?】
【わかっているのに 決意(おもい)は揺らぐ】
【結末ばかりに気をとられこの瞬間(とき)を楽しめない メマイ...】
【夢じゃないあれもこれも その手でドアを開けましょう】
【祝福が欲しいのなら 悲しみを知り独りで泣きましょう】
【そして輝く ウルトラソウル】
そうしてサビまでウルトラソウルを歌い終えた。周りがやけに静かだったので歌うのを止めて見渡すと、ノイズが消えており、代わりに炭の様なものが残っていた。
一先ずノイズが消えたのだと認識した私は、何事も無かったかのように帰路についた。
家に帰った私を出迎えたのは、両親の熱いハグだった。どうやら私が災害に巻き込まれたのではないのかと心配していたようだ。
私は両親に心配をかけたことを謝罪し、昼食の準備に取り掛かるのを横目に自室に戻った。
これ以上親に迷惑はかけられない。そう考えた私は、暫く外出を控えることにした。
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突然のノイズの反応消失。それは今から数ヶ月前から始まった。
初めはただの自壊だと認識していたが、こうも立て続けに起こると偶然とは考えにくい。風鳴司令官から許可を取り、消失したノイズの場所を調べたところ、大量のフォニックスゲインが発生していることが分かった。
このことを風鳴司令官に伝えたところ、すぐに大規模な会議が始まってしまった。そしてその会議で結論づけられたこととして、
"未確認の適合者がいるのではないか?"
ということだ。しかしそれなら何故アウフヴァッヘン波形が出ていないのかが気になるが…。
とにかく私は再び指令があるまで、コーヒーを飲みながら待つことにした。