次の日、授業がある日だったので、昨日の疲労をぐっと堪え、学校に向かった。
あっという間に時間が経ち、午前の授業のみで学校が早く終わった私は、昼食が食べられるところを探すことにした。
結局、昼食がとれる店が一つしかなく、仕方無く私は『ひまわり』というお好み焼き屋に入った。
入って最初に思ったことは、良いところだということだ。
あまり大きくない店だが、とても賑わっていて、居心地が良かった。
私は豚玉を三つ頼み、来るまで待つことにした。すると、横の席に座っていた女子中学生が話し掛けてきた。
「ねぇお兄さん。豚玉三つも頼んだみたいだけど大丈夫?」
「あっ、こら響!知らない人に話し掛けたら駄目でしょ!」
「えー?でも未来、この人のお腹が心配じゃないの?」
「し、心配といえば…心配だけど……。」
「じゃあやっぱり、言った方が正しかったでしょ?」
「もー、響はさぁ!」 「ごめんごめん。」
とまあこんな感じで目の前でがイチャイチャしており、前世でも今世でも日陰者だった私では堪えらなかった。
なので思わず、「豚玉、食べるかい?」と言ってしまった。
それで、彼女らと同席した頃、豚玉が到着したのだが……。とても量が多かった、とだけ言っておこう。
色々とありながらも、豚玉を食べ終え、店を出て家に帰ろうとしたところ、彼女らに呼び止められた。どうやら、感謝を伝えたかったようだ。
「「お兄さん!豚玉、ありがとうございました!」」
「あー、こちらこそありがとう。寧ろ食べてもらって悪いね。」
「いえ!その分沢山食べれましたから!」
「ちょっと響!」
「そっか、それは良かった。それじゃあ、また会った時はよろしく頼むよ。」
「はい!気を付けて!」
「豚玉、ありがとうございました!」
そう言って、私は彼女らと別れ、家の方角に向かって歩き始めた。
(そういえば、彼女達の名前、聞いていなかったな……。)
そんなことを思い出したが、所詮、一度同じ釜の飯を食っただけの関係だ。気に留める必要は無い。そう心の中で結論付け、家に帰宅した。
───────そうなれば、どれだけ良かったのだろうか。
「お前の力、試させてもらうぜ!」
今現在、突然現れた少女とノイズに襲われています。
もう勘弁して欲しい。ただでさえ昨日の疲労が残っているというのに、更にこれか…。
「どうした!使わないのか!あの不思議な力を!」
ああ、早く帰りたい…。
「はっ、さては使えないのか?情けない奴だ。」
帰りたい……。
「こんなのに警戒しているフィーネが情けないぜ!」
帰り………。
「はっはっは!あいつの顔を想像すると笑いが止まらねえ!」
ぶちっ
その笑い声を聞いた瞬間、私の中のナニカが爆ぜた。
そして私はこの感情を薪とし、歌という火を強くする。今回は、これを歌おう。
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最初にそれをフィーネから教えられた時、ついに頭が可笑しくなったのかと思ったが、
「…………強いな。」
「ああそうだ。」
「これでも奏者じゃないんだろ?」
「………ああそうだ。だからこそ、こいつの情報が必要なのだ。お前に持たせたソロモンの杖も、その為のものだ。」
「でもよ、ソロモンの杖を使うなんて、そこまでこいつは危険なのか?」
「……そいつは私でも知らない、未知の存在だ。用心するに越したことはない。万が一、お前がこいつと相対することになった場合、相手になるまい。」
「はあっ!?ノイズ共を使ってもか?」
「ノイズを使うどころか、お前が使いたくない
そう言われ、もう一度映像を見返した。写っていたのは、花の形をした気持ち悪い物体と、重火器を装備した人型の何かだった。
そのどちらもがとてつもないスピードで動き、光線を放ってくるということだった。
もっと色んな力を隠し持っている可能性があるから何も言えねえが、これを見て改めて考えると、あたしも黙るしかなかった。
「とにかく、お前はそのソロモンの杖を使ってノイズを召喚、こいつにぶつけ力を使わせる。それだけだ。
決して、それ以上のことをするな。こいつを余計に刺激すれば、何が出てくるか分からん。」
そう色々と言うフィーネに適当に返事をし、あたしはこいつがいる場所に向かう準備を始めた。
結果としては期待外れだった。逃げるだけで何もしねぇ、力を使う素振りもねぇ。もはやフィーネがあたしを騙して一般人を襲われたんじゃないかとすら思った。
この時、こいつを見誤らなければ、
「さて、何もしないのなら、このまま潰してや」
そう言ってあたしがソロモンの杖を振り、ノイズ共を動かそうとした時、そいつは声を、いや、歌を歌い始めた。そして、そこからはあたしも知らないことが起きた。
【立ち上がれ死んでも譲れないものがある】
「なっ!やっとかよ?」
こう言ったはいいが、内心であたしはこいつへの警戒心を最大まで引き上げた。
そして奴は歌うのを続ける。
【振り向くな 後ろに道は無い 突き進め】
【孤独な歌声が闇夜に響く時】
【刃に写るのはポッカリと浮かぶ月】
【虚勢を張る胸に 吹くのは旋風】
【命を張るならば 何かが変わるのだろう】
【悲しみに降る雨に男はただ濡れる】
奴が歌う途中、ノイズ共に異変が起きた。
「なんだ?ノイズが…。」
【いざさらば涙は拭わずに走り出す】
【いざさらば 桜の花吹雪 風に散る】
そう、ノイズ共の中から引き裂くように刃が生えてきた。
これには思わずあたしもパニックになり、早くこの場から逃げようとした。
「クソ!ノイズがやられた!このままだとあたしも巻き込まれちまう、逃げねぇと…!」
だが、あたしがそれをするには遅かった。
【火花が散るほどに 心をぶつけ合う】
【痛みを知ることを 優しさと呼ぶのだろう】
気付いた時には足に刃が刺さって。いや、生えていた。しっかり内側から貫通するように生えた刃の痛みで、あたしは動けなくなった。
「いっ、足に刃が……、早く…こいつの歌を止めねえと……。」
【負けられぬ闘いに男の血は滾る】
そうして必死にノイズを呼びに呼びまくったが、出てきた瞬間から内側から貫通するように刃が生え、炭素化していく。
「駄目だ!ノイズが呼んだそばから潰されていく!」
そして、ノイズを呼んでも無駄だと悟ったあたしは、この場を切り抜けるための手段を考え、一つの答えにいきついた。
あたしはこれが嫌いだ。でも、ここでこれを使わなければ死ぬということも容易に想像できた。
「クソッ!こんなヤツに使うなんて……。」
やはりやめようかと考えたが、今度は腕から刃が出始めているのを見てそんなことを思ってる暇もなく、決意を固めた。
「いや、背に腹は代えられねぇ!」
そうして覚悟を決めたあたしは、ギアを起動させる
Killter Ichaival tron
【解き放て世界でただ一つその刃】
【研ぎ澄ませ勝負は一瞬のイナビカリ】
何とかギアを纏うことはできたが、ギアを纏っていない部分までもがボロボロだ。
「はぁ…はぁ……。今の内に…!」
あたしは恥もプライドも捨て、ヤツから死ぬ気で這いつくばりながら逃げた。
幸いヤツがあたしを追ってくることは無かった。もうヤツと戦うのは御免だ。そう考えるのを最後にあたしは意識を手放した。
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最悪だ。またやってしまった。それに前より規模が酷い。建物はあちこちに刃が刺さっているし、地面に同様のことが起きている。
こんなところにいるのが警察にでも見られでもしたら、人生お先真っ暗だろう。誰かが来る前にさっさとこの場を離れよう。
そう考えを纏めた私はこの場を離れようした。のだが…。
後ろから「待て」と鋭い女性の声が聞こえた。しかもその声は、なんだか聞き覚えのある声だった。いやな予感しかなかったが、顔を合わせないのも良くないだろう。
そう考え、後ろに振り迎えると、これまた同じく、コスプレした痴女のような服装をしたツヴァイウィングの片割れ、風鳴翼が立っていた。
直接見るのは初めてだが、それでも一目見ただけで分かる堅物さがそこにはあった。
私は念の為、人違いだとも思ってくれないか、そんな一つの淡い希望を持って、彼女に声を掛けた。
「誰ですか、貴方は。私はこれからやる事があるので時間が無いのですが。」
「…………私の名は風鳴翼、特機部二所属の人間だ。突然だが、貴方はノイズを倒す力を持っているのだろう?私達はその力を必要としている。その力が解析出来れば、一般人でもノイズを倒せるようになるかもしれない。だから、大人しく、私についてきてくれないか?」
「申し訳無いですが、断らさせていただきます。簡単に襲ってくる人が二人もいる時点で、そんな組織は信用できません。」
「…………それはそうか。ん?待て、二人だと?」
「はい。一人目は赤髪の女性、もう一人は白髪のスタイルがいい女性でした。」
「一人目は心当たりがある。だが二人目だと?…………その二人目の特徴は?」
「そうですね…、先程申した通り白髪でスタイルが良く、白と紫の色をした杖を持ってました。」
そこまで言ったところで、彼女は深く考え始め、私の声が聞こえない程集中していたので、こっそりその場を離れた。
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「───となると、こいつは何らかの関係があると見た。成程、情報提供感謝する。ところで、先程の件についてだが………」
そこまで言葉を続け、一度考えるのを止め、目の前にいるであろう男に振り返った。
いない。
そう、目の前から奴は既に消え失せていた。恐らく考えてる内に逃げたのだろう。そこまで考えが巡った時、私は自身の失態を理解し恥た。
連れてこなければならぬ筈のものを取り逃がしたのだ。そう心にのしかかる時、奏の忠告の言葉が再生された。
"あれはマジモンの化け物だ、人じゃない。いくら翼でも、あいつを相手にしてどうなるかアタシじゃ分からない。だから、あいつが何か仕掛けそうになったら、さっさと逃げろ。じゃねぇと、翼も……"
今回は奴が逃げるだけで済んだ。が、この惨状を引き起こしたのが奴で、その力が私に向けられていたら?
そう考えると背筋が寒くなったように感じた。
「奏の言っていたことは正しかったということか。」
そう確認するように言葉を吐き、この場所の処理を行う為に司令に連絡を取ることにした。
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「いてぇ…いてぇ……。」
「だから言っただろう、奴は未知数だと。まあ、死ななかっただけ儲けもんか。」
そう言ってから、私は
(こいつはどういう訳か、シンフォギアと同じ様にフォニックゲインを増幅させ、力を行使してるようだ。だが、こいつからアウフヴァッヘン波形は確認できず、歌うことにより生じる力も千差万別、一貫性が無い。
こいつは何故こんな力を持っているのだ?聖遺物を隠し持っているのか?いや、それなら確実に使った時にアウフヴァッヘン波形が確認できる筈だ。
駄目だ、分からん。こいつの力の秘密どころか、こいつの行動原理すら分からん。ただ共通しているのは、危害を加えるものに容赦が無いということぐらいか。)
「クリスはまだ戦闘のダメージが残っているので使えない、かといって私がこいつに接触すれば敵対する可能性がある……。」
あれこれ考えを巡らすが、こいつの対応が思いつかない。
「いっそ、こちらの計画に勧誘するか…?」
終わりの巫女は、彼の本質に気付くことなく、策を考え、夜を過ごした。
今回クリスが出てきましたが、主人公のやらかしでフィーネとクリスの出会いが原作より早くなっており、フィーネがソロモンの杖をクリスに持たせて襲わせたという感じです。