歌で戦う奴   作:ノウ焼かれしもの

6 / 7
遅くなりました、六話目です。今回はタイトルにある通り主人公があのライブ会場に参加します。あととある作品のキャラの要素がちょっと強めに出ます。ご注意ください。


oath sign ライブ会場の惨劇

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 あれから1週間が経ち、色々な出来事があった。その内の3つを紹介しよう。

 

 

 まず1つ目に、年下の友人ができた。その友人の名は立花響、いつぞやのお好み焼き屋にいた女子中学生だ。

何故彼女と再び出会い、友人の関係となったのか。一言で言うとするなら、彼女をたまたま見つけ、彼女の困り事を解決し、話をする仲になった。それ以上に深い事は無い。

 

 

 

 2つ目に、私の能力に変化が起きた。

 

 

これまでは曲によってどのような事象が起こるか分からなかったが、歌う曲を頭の中で浮かべると、何が起きるのか分かる様になったのだ。

 何故このような変化が起きたのかは些か疑問が残るが、これで歌っても無闇に被害を出さない様になるのならそれはそれで嬉しい。

 

 それと同時に、曲をサビまで歌い様々な事象を起こすのが今までの能力の条件だったが、一度サビまで歌った曲ならばその曲に合う言葉を唱える事で、即座に効果を発揮する様に能力が強化されたのだ。

 これも私の知らぬ間に起きたことであり、このときばかりは流石に恐怖を覚えた。が、結果的には悪いことでは無く、ノイズの様なよく分からん災害が闊歩しているこの世界だ。そんなこともあるだろう。そう私は考えるようにしたので、この件については終わりだ。

 

 

 そして最後に3つ目だ。3つ目は───

 

 

 ツヴァイウィングのライブチケットが当たったことだ。

 

 

 いや、私はチケットの応募を送るつもりはなかった。ただ、学校のクラスの男子皆でチケットの応募をすることになり、その空気から逃れられず私も"当たることはないだろ"と高を括って送ってしまい案の定、この結果だったのだ。

 

 

 そして私は、このチケットをどうするか悩んでいる。え?私が行く?いやそれは無理だ。私は音楽を愛しているが、人が集まる場所はどうも苦手で好かない。

 それにライブの相手はツヴァイウィングだ。客席にいる私を彼女らが認識することは流石に無いだろうが、私としては色々あった相手だ。顔が合いなんてすれば体がむず痒くて止まらないだろう。

 

 

 なので私は真っ先に、友人で、ツヴァイウィングが好きな立花響に押し付ゴホン……譲ろうと考えた。しかし彼女は既にチケットの応募に当たっており、その線は消えることとなった。

 

私は考えるのが面倒臭くなって、彼女の友人に譲ろうかと独白し、布団に潜り込み、何時もの様に眠りにつき、夢を見る。

 

 

 

 

…………………筈だった。

 

 

 

 

 

 

 その夢は今までに見たどの夢よりリアリティがあった。

 

 

 最初に、ツヴァイウィングの2人が歌っている姿が映った。場所は分からないが、大きなステージがあり、下から順番に人が座っていることからライブ会場だと推測した。そのツヴァイウィングが歌っている曲は『逆光のフリューゲル』、ツヴァイウィングの代表曲だ。

 

 

 次に、ライブ会場が目茶苦茶な姿に変わっているのが映った。辺りを見回すとそこら中にノイズがおり、手当たり次第人を襲っていた。そしてツヴァイウィングの2人は、私が出会った時のあの格好となりノイズと戦っていた。

 

 

 この時点で、私は見るのが辛くなり、早く目覚めてくれと懇願した。だが私の意思などお構いなしに、夢は進んでいく。

 

 

 最後に映ったのは、血まみれの姿で消えていく天羽奏と、天羽奏が消えていくのを見ている風鳴翼と、血を流し、気絶した状態で倒れている、立花響の姿がそこにあった。

 

 

 

 

そんな奇妙な夢が続くのも束の間、気が付けば私は目を覚ましていた。

 

体は汗でびっしょりと濡れ、ベットには自身の背中が浮き出てきた。まるで汗という絵の具を模写のようだ。

 

 

私は急いで着ていた服を脱ぎ、新たな服に着替えた。そして先程の妙に現実味がある夢について考察してみることにした。

 

 

(あの夢はなんだ?予知夢*1か?

 いや、予知夢なんて在る筈が無い。実際前世でそんな体験なんてしたことが無い。恐らく、私は疲れている。何度も何度も彼女達に襲われ、心の何処かで彼女達への恨みが溜まりあんな夢を作り出した。そうに違いない。)

 

 

 

そう考えていると突然、私の携帯に一通の電話が届いた。電話の送り主は立花響のようだ。私は携帯を取り、電話に出た。

 

 

『もしもし?』

 

 

『こんにちは、楽(らく)さん!もしかして寝てました?』

 

 

『いや、そんなことないよ。』

 

 

『それは良かった!今日はツヴァイウィングのライブがありますから、寝坊してられないですよ〜。楽さんも、ライブ行きますよね?』

 

 

『………ああ、勿論行くよ。こんな機会滅多に無いからね。』

 

 

『分かりました!それじゃあ私、先に会場に行ってます!楽さんも遅れずに来てくださいよ?』

 

 

『大丈夫だよ。ちゃんと時間までには行くから。』

 

 

『では、また後で!』

 

 

 

そこで電話は終わった。私は、何も起こらないことを祈り、服装を整え、ライブ会場に向かった。

 

 

 

 

■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■

 

 

 

 

 

あれから何かに邪魔されることもなく、あっさりとライブ会場についてしまった。

 

内心ビクつきながら、自身の席を探す。すると………

 

 

「楽さ〜ん!!」

 

 

自分の名前を呼ぶ立花響を見つけた。私はゆっくりとした足取りで響に駆け寄る。

 

 

 

「楽さん遅いですよ!もうライブ開始15分前ですよ?」

 

 

「ごめんごめん。思った以上に会場が広かったから…」

 

 

「あっそれと。ここ、楽さんの席ですよ。」

 

 

そう言う響の言葉に合わせ、席を確認した。どうやら響の言う通り、この席は自分の指定された席だったようだ。

 

 

私は響に感謝を述べ、席に座った。響は私の隣の席に座った。どうやらたまたま、お互い隣同士だったようだ。

 

 

(そういえば、いつも一緒にいる小日向未来がいない……、時間も少しある、聞いてみるとしよう。)

 

 

そう思った私は、ライブが始まるのを待っている響に声を掛けた。

 

 

「そう言えば、響くん。」

 

 

「えっ、はい」

 

 

「未来くんはどうしたんだい?今日は一緒に来ていないようだけど。」

 

 

「あーそれが…、未来はチケットの応募にハズレちゃって……だから、未来は今回来れなくて……」

 

 

「そうか……響くんは本当は、未来くんと一緒に行きたかったんだね。」

 

 

「はい………」

 

 

「………今からでも、未来くんに譲ろうか?その方が二人で楽しめるし」

 

 

「それは駄目です!」

 

 

「………どうしてだい?」

 

 

「それは楽さんが当てたチケットです。それを未来に渡して楽さんがライブを我慢するなんて、未来もそんなのは望んでないと思います。だから、それはやめてください。」

 

 

「分かった。それじゃあライブを楽しもうか。」 

 

 

「はい!」

 

 

そう言って他愛もない話を続けていると、会場が静かになってり、暗くなっていくのを感じた。私と響は会話をやめ、静かに始まるその時を待った。

 

 

 

そして、

 

 

 

うぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!!!!!

 

 

 

 

 

イントロが流れ始め、観客が絶叫を上げる。上から舞い降りる様にツヴァイウィングが降り立ち、ライブが始まった。

 

 

 

 

………何と言うか、案外悪くない。私の中ではその一言が全てだった。観客の方々は楽しそうにペンライトを振り、コールをしている。横にいる響も、楽しそうにライブを楽しんでいる。

 

 

 

そんな中で私は、この世界のライブに始めて参加して、思うことが沸々と湧いてきた。

 

  

てっきり、前世に比べそこまで質が高くないのでは?そう思っていた。悪い考えだと、自分でも反省はしている。が、欲が溢れ、満たせるあの世界に浸かり続けていれば、こう考える思考になっても可笑しくはない筈だ。

 

 

だが、このライブはどうだ?前世にも劣らない音質に、演出の数々。これに文句をつけるのは、最早人としてナンセンスだと、私は思った。

 

いやそれより、だ。私が心配しているのはそこでは無い。もしこのライブが、あの夢と同じであるなら………。

 

 

一度否定したその答えが明かされるのが、迫っている様に感じる。

 

 

私はライブを楽しむ余裕など無く、ただただライブが早く終われと、願うだけだった。

 

 

 

そして曲は終盤に向かい、何かが動く音がした。その音の先に目を向けると、光が差してきた。

 

 

それは夕日、太陽の光であった。私は内心焦った。何故ならこの光景は、あの夢で見た惨劇の前触れ………最後の平和の時間だったからだ。

 

 

 

私は警戒心を高めるのと同時に、この後起こる可能性がある状況をどう対処するか、思考を回転し始めた。

 

 

(ノイズの出現数は不明。だが間違いなく、ライブ会場の人間を殺すため大量に出てくるだろう。それに加え空を飛び突撃してくるタイプ、巨大でノイズを生むタイプ、粘液を噴射してくるタイプ、増殖するタイプがいるのだろう。ツヴァイウィング二人だけで、これらを全て対処するのは確かに不可能だ。

 

 ならどうする?響を助け、私も生き残り、全員を助ける方法はあるのか?

 

……いや、無い。ノイズが現れると伝えたとして、それを信じるものもいないだろう。それにノイズが現れれば、誰もがパニックになり、己こそが生き残ろうと蹴り合い、さらなる地獄が起こるだろう。人間とは、そういう生き物だ。

 

 もしくは………、()()()()()

 

いや私一人が何かをしてもどうにもならない。ツヴァイウィングの二人ですら、あの様子だったのだ、馬鹿らしい。リスクがあり過ぎる……。

 

だが、私だけで生き残るとするのなら……?

 

……自分の考えが嫌になる。)

 

 

 

 

思考から浮上した時、既に逆光のフリューゲルが終わり、次の歌へ移ろうとしている最中だった。

 

 

 

 

(やるならこの曲で、このタイミングしか無い………。)

 

 

 

 

 

「響くん、少し席を外すね?」

 

 

「えっ!はい!」

 

 

 

私は席から離れ、座っていた席より後ろ、会場の席で一番高い場所に移動した。

 

 

 

そして、ライブの音に掻き消されるような、小さな声で歌い始めた。

 

 

【繰り返す世界 何度手伸ばしたら】

 

【儚い涙は黒い心溶かすの?】

 

【芽生え出した想いが胸に響いたなら】

 

【君の隣でずっと変わらず護るだろう】

 

 

と、ここまで歌っていると

 

 

 

 

    ギャァァァァァァァ!!!!

 

 

 

 

夢で起きた様に、ノイズが出現してきた。ここままでは夢の通り地獄と化す。だが、問題無い。

 

 

 

 

【落ちた希望を拾って明日に繋いでゆけば】

 

 

 

何故なら………

 

 

 

【絡まった歪な願いだってほどける】

 

 

 

 

準備は整った。今こそ、この力の真髄を発揮しよう。

 

 

 

 

■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■

 

 

 

 

 

 

『束ねるは星の息吹、輝ける命の奔流。受けるが良い!●●●●●●●●●(エクスカリバー)!!!』

 

 

 

 

『雑種にくれてやるのは我としても惜しい。散りざまで興じさせよ、●●●●(ゲート・オブ・バビロン)!!!』

 

 

 

 

『盟友よ、私に力を!●●●●●(プレラーティーズ・スペルブック)!!!』

 

 

 

 

『彼方にこそ栄えあり――いざ征かん!●●●●●●●●(ヴィア・エクスプグナティオ)!!AAAALaLaLaLaLaie!!』

 

 

 

 

 

一体何が起きているんだ?先程ノイズが出現し、戦闘に入ろうとした瞬間、彼らが現れ、ノイズを片っ端から粉砕。しかもその方法は多彩で、武器を飛ばしたり、馬で轢いたり、光で切ったり、大量の何かを呼び出してノイズを捕食したりしている。

 

 

私は、自分の頭が可笑しくなったのかと錯覚した。しかし、それは私だけでなく、横で頭を抱えている奏も同じ様子だった。

 

 

私達はこの光景を夢だと考えようとしたが、それを否定する音が耳に入ってきた。私達は同時に音の方へ振り返った。

 

そこには…………

 

 

【光をかざして躊躇いを消した】

 

【あげたかったのは未来で】

 

【泣いてる夜抱いたまま嘆きを叫んで】

 

 

    

歌を歌っている男性がいた。あまりにも可笑しな状態が続き、頭が混乱している状態でこれである。私達は正気に戻った。

 

 

はっきり言って歌を止めたかったが、止めたらこの状況が悪化するのを危惧し、一先ず一般人の避難を優先することにした。

 

 

 

問い詰めたそうな顔をしている奏を説得し、何とか一般人の避難を行うのだった。

 

 

 

 

 

■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■

 

 

 

 

 

 

【踏み入れた足を遠くの理想が そっと癒してゆく】

 

【確かな絆を強く握り進もうどこまでも】

 

【迷いなんて目を開いて】

 

【振り払って手を伸ばそう】

 

【穢れきった奇跡を背に】

 

 

 

 

 

あーつい、最後まで歌ってしまった。さて、状況は………。

 

 

 

 

「歌は終わりか?マスター。ならばこの者達の処群をどうするか、決断を。」

 

 

「ああジャンヌ………。私は今どちらなのですか……。」

 

 

「まぁ良いではないか。坊主が歌わぬと、余や貴様らも、まともに動けぬであろう?」

 

 

「たわけ、我一人でも雑種共の相手は務まる。寧ろ貴様らが邪魔だ」

 

 

「まあ待て、ライダーにアーチャー。まだマスターは状況が理解できていない様子。ここは矛を収め話を………」

 

 

「Ar……thur……」

 

 

 

 

 

 

 

……………………やっぱ、こうなるか………。助けて欲しいよ、正義の味方さん……。

 

 

 

ふー………。取り敢えず、響の安全確認を「マスター。」ん?

 

 

 

後ろを振り返ると、そこには髑髏の仮面を被った、暗殺者が立っていた。

 

 

私は冷静に、「どうした?」と声を掛けた。すると暗殺者は、同じ髑髏の仮面をつけた暗殺者達を連れて、人を運んできた。私は運んできた人を地面に降ろしてもらい、顔を確認した。その顔は確かにこの目で見てきた、立花響の顔であった。私は焦りながらも、落ち着いて暗殺者に「生きているか?」と問い掛けた。その答えはイエスであった。

 

 

 

どうやら私が歌を歌っている間に彼らがノイズを殲滅したのだが、逃げ遅れた響と天羽奏がダメージを負ってしまった。

 

天羽奏は胸から出血、響は気絶し、両者とも傷を負い、放置していると死の危険があったが、目の前の暗殺者と、金ぴかな王が何とかしてくれたようだ。

 

 

 

私は一先ずの安全を喜び、落ち着いたが、目の前でやけにモジモジしている風鳴翼を目に入れ、そうも言えなくなった。

 

 

 

そうか、処群をどうするかとはこういうことだったのか。私は胃に穴が空きそうな思いで、(後ろで今にも暴れそうな者達に一声伝えた上で)風鳴翼に声を掛けた。

 

 

 

 

「あの……」

  

 

     

「はっ、はい………?」

 

 

「彼女のこと、お願いします。」

 

 

「あっ、ああ…、分かった。」

 

 

 

私は立花響を風鳴翼に預け、金ぴかの王が出した船に乗り、家への帰路に着いた。

 

 

 

─────

 

 

 

 

「あー……疲れた……。もう何もしたくない……。」

 

 

 

あの後家に帰った私は、彼らに元の世界に戻ってもらい、何とか事なきを得た。だが今回で分かったのは、私には弱点があるということだ。ここを何とか改善しない、これから先が心配だ。まあそもそも、この力が必要となる事態に、なってほしくないのだが……。

 

 

 

取り敢えず、今日は色々あったのだ。休まないと倒れてしまいそうだ。私はレジ袋からゼリーを取り出し、飲み干した。

 

 

 

そしてベットで横になり、暫く何もない時間に浸った。

 

 

 

 

■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■

 

 

 

 

「エクスカリバーにアロンダイト、更にはゲイ・ボウ、ゲイ・ジャルグだと!?奴め、一体何者だ?複数の聖遺物を所有しているなど……。まさか、あの男か?ならば一層、計画を急がねば………。」

 

 

 

そう言ってフィーネは、彼の正体がますます分からなくなった。

 

 

 

 

だが終末の巫女は、またしても大事なことを見落としてしまうのだった………。

 

 

 

 

*1
これからの未来に起こることが夢に現れること




今回やっと主人公の名前(一部ですが)出せました。主人公の名前は独音我楽(どくおんがらく)です。ビッキーからは楽さんの名で呼ばれています。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。