清々しい青い空。さんさんと輝く太陽。街道ではキャッキャウフフと制服を着た少女達が満ち満ちた青春を謳歌していることだろう。ここ学園都市キヴォトスでは、今日も銃弾が飛び交う平穏な日々が送られている。
「こちら連邦捜査部
私という屍の上でな!
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「今日からあなたはシャーレで働いてもらます」
そう転属を言い渡したのは私の直属の上司、首席行政官である七神リン。生徒会長が行方不明となってから代行として身を粉にしている彼女は実質的な連邦生徒会のトップ。呼び出されて何事かと身構えていが、まさかこんな形で転属を告げられるとは。私は衝撃で愚鈍になった脳を精一杯働かせて何かを言おうとする。
「はあ……」
しかし、何とか愚痴にしたのはそんな気の抜けた声だった。生真面目な彼女は顔色一つ変えず仏頂面のまま淡々と、資料を読み上げるように事務的に話していく。
「先生には既にこのことを伝えてあります。主な仕事は先生のサポートになると思いますが、何か質問はありますか?」
「あの、何故私なんでしょうか? それもこんな突然の転属、どのような理由で?」
「先生からの指名です。急な転属となってしまったのは申し訳ありませんが……シャーレの業務が現在滞っているからです」
なんとも突飛な話だ。先生とは顔を合わせた程度の仲、仕事を共にしたことは無い。私が名のある仕事人なら別だろうが、生憎と私にそんなに大層な名も腕も持ち合わせておらず、一介の生徒に過ぎない。
業務の手伝いとして派遣されるのならまだ納得も出来よう。現在、シャーレは当番に来る生徒を除いて先生ただ一人で業務を行っている。このキヴォトスの多種多様な面倒事を押し付けられる、所謂便利屋のようなシャーレは常時過労死必須の仕事量が鎮座していると聞く。いくら先生が人間をやめた化物みたいな鉄人だろうと、休みすら無ければいつから壊れる。そう思うとこのような転属は逆に遅すぎだと感じるほどだ。
「事情はわかりました。それで、他に転属する方はいますか?」
「いえ、あなた一人だけです」
「……はい?」
耳を疑った。泥水に水を1滴落としてもそれはキッパリと泥水と言えよう。過労死なんて生ぬるい仕事量に私一人投下しても効果があるのか、甚だ疑問に尽きる。
「何か?」
「私一人増えたところで焼け石に水ではないかと思いまして」
「大丈夫です」
一体何が大丈夫なのだろうか……。だがリンの目からは一寸の不安も感じない。本気で私一人増やしてだけで大丈夫だと思っていやがるのか。
「シャーレの仕事量は確かに多いですが、仕事内容はさほど変わりません」
本当に何が大丈夫なのだろうか……。ますます不安になってきた。胃薬を買い足さなければいけないようだ。
「しっかりと先生の助けになってください」
これはもう死刑宣告では?
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まあ、そんなこんなでシャーレにやって来た私だが。
「辞めてぇー」
うん、限界だった。
机に突っ伏しようとしても、書類の山を崩してしまうからできない。信じたくはないが、目を擦ってもこの光景が変わらないのは既に実証済みだ。
「書類、雑用、仲裁、……これ一機関が抱える量じゃないだろ」
いくらシャーレが超法規的機関だとしても限度がある。労働はクソ、ハッキリわかんだね。
量もそうだが何よりヤバいのが、
「あ、もしもし……ウェッ!? トリニティで分派間の闘争?!」
そう、距離だ。片道うん100キロとか当たり前。西に行っては東に急行とかザラだ。冗談じゃない私は新幹線じゃねえんだぞ。
「すみません、先生は今席を外しておりまして……え? いえ、細かい居場所まではお伝えしかねます……」
先生も先生で、今日も書類仕事をほっぽって生徒と会っている。先生の誠実で生徒思いな所は素直に好感を持てるが、少し抜けてる分私にしわ寄せが来るのでなんとも言えない。
なんかこうして見ると、私って都合のいい女って奴では?
「グチグチ言いつつも仕事する手が止まらないなんて、私ももう末期なのかもなーハハハ」
手放せなくなったエナジードリンクの空き缶をノールックでゴミ箱に放り投げる。カランと鳴ったのを気にする間もなく書類を処理していく。さながらお仕事ロボットのようだ。
「人員増加の申請は通ってない、よしゴミ」
何度も送り付けた申請書に入った却下の文字は見慣れた、悲しい。奴らはどうやら勘違いしているらしい。業務が間に合ってるから大丈夫じゃないんだ、間に合うように死にかけになってんだよ! はよ人員を寄越せよバーカ!
書類をクシャクシャに丸めて思い切り叩きつける。力の限りを以て地面へと激突した紙ボールは軽い音と共に少し跳ねただけで、何食わぬ顔で私の無力を嘲笑ってるようだ。
私は何かとんでもない大罪でも犯してしまったのかもしれない。じゃないとこんな仕打ちに説明がつかない。ああ、誰でもいいから私を助けてくれ。
「シャーレの業務は過酷過ぎる!!!」
続けるかは知らん!
マジ病み病み期間エグい!