【設定変更につき書き直し中】当たるも当たらぬも八卦。当たるも当たらぬも八卦ぇ!!(血涙)   作:かりん2022

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すみません。またしても書き直しです。


女女ルート
16話


「災いの原因は此奴らです!」

「あ……貴方は何を言っているのですか……」

「あっ 傑くん! ちょうどええ所に来てくれた! 自分、禪院直哉や!」

 

 怯える幼女二人と、それを庇うように立つボロボロの少女は、救われたように笑った。真っ黒に染められた心は、混乱で乱される。

 

「なお、や、二級術師?」

「せやで! 天元様の同化を阻止しようとするとーじくん止めに行って悟くんに殺された後、生まれ変わったんやで。せやけど、あの後すぐに生まれ変わったとしても計算合わんでなぁ。烏森の学校もないみたいやし、なんや、並行世界? みたいなとこに生まれ変わったみたいでな。傑くん、ひっどい顔やなぁ。やっぱウチの家、こっちでもやらかしとるん? なんや聞くの怖いなぁ」

「あ、の?」

「おいで」

 

 直哉が檻から手を伸ばす。

 よれば、直哉は頭を撫でてきた。

 

「ええ子やな。悟くんこっちにいるかわからんけど、自分も腐っても元御三家やから、守ったるよ。せやからとりあえず助けて」

 

「ぜんっぜん意味が分からないし守ってもらう必要はないけど、今助けるよ」

「ありがとうな♪」

 

 そうして、夏油は襲ってきた村人を返り討ちにして(殺してない)、子供達を連れてバスに乗った。

 

「事情、詳しく聞いてもいいですか?」

「ええよ。とりあえず、この子達は、あー……。傑くん。暴力漬けの所に売り飛ばすんと、色欲の権化に渡すんと、加茂はあかんな。加茂に渡すのは無しにしてー。どっちがええ?」

「駄目に決まってます」

「せやな。色欲の方がまだマシやな。五条家に預けよか」

「幼女をどうするつもりだ……って、五条家? 色欲が五条家?」

「こっちでは違うんか? 自分のいたところやと、占いと洗脳と色事の大家やねんけど……」

「暴力漬けの所が禪院?」

「せやで! 呪霊と術式を封じる天元様の結界を破壊せんとする自分が強ければ後は何でもええクズが禪院やで!」

 

 あっけらかんと言った言葉に夏油はドン引きする。

 

「ええ……。どんな地獄なんだよ。待って、加茂家ってさらに問題外なのかい?」

「加茂家はなぁ……。人体実験とかしとるって噂やし……自分が殺される直前、とーじくんが加茂家の人間に傑くん売り飛ばしてるの見たし……」

「こっちでは違うんだよね? 御三家がそんな酷いことしないよね?」

「そんなん自分が聞きたいくらいや」

 

 そんな並行世界の御三家の所業にドン引きしつつ、夏油は問いかける。

 

「天元様の結界って、そんなに重要なのかい? 呪霊と術式を封じるって?」

「むかーしむかし、呪霊は人を食い殺す力を持ってたんやって。で、術師もすごーい力を持ってたんやって。せやけど、天元様がまとめて封印して、呪霊を無力化、術師も殆ど非術師と変わらんくらいにしたんやて」

「!!!」

 

 それは。それは、夏油が狂おしいほど求めていた世界だ。

 夏油は非術師を疎んじていたのではない。夏油は、すり潰されることを疎んじていたのだ。

 

「それで、禪院は失った力を求め、五条はへーわぼけして、加茂はなんや企んで。パパがとーじくんに暗殺任せたって悟くんから聞いたから、急いで向かったんや。護衛の悟くんと傑くんは昔の術師としての力を復活させとった。自分も、護衛の呪具を貰って莫大な呪力を感じたわ。でも、1000倍になった力なんていきなり操れへんやろ」

「1000倍!?」

 

 度肝を抜かれる夏油。

 なるほど、1000分の1になって仕舞えば、特級でも人死は出ないのかもしれない。

 しかし、凄まじい結界だ。それならば、術師も手品くらいの事がせいぜいなのではないだろうか。

 

「フィジカルギフテッドは平安も今も力が変わらんから……自分ら負けて、悟くんががむしゃらに術を放って、それで……自分、死んじゃったみたいで」

 

 幼女が落ち込み、ぎゅっと両手を握る。夏油は中身が直哉と知ってなお胸を打たれた。直哉術師のことはよくわからないが、この子はいい子そうだし。

 

「なあ、こっちの御三家ってどうなん? 自分の世界と同じなら、パパの顔なんて見たないわ。この世界の呪霊、めちゃくちゃ怖いしくっきり見えるやん。前の半分くらいやけど、今の自分には強大な呪力が宿っとるのがわかる。つまり、1000倍の世界になってるんやろ。こっちでも、パパ、やらかしとるん? 怖いわ」

「天元様の結界は、こっちの世界ではそんな強力ではないんだよ。私も任務には失敗しちゃったけどね」

「そか。こっちではとーじくんは……」

「私たちを襲ってきて、悟が倒した」

「そか……。これからの事を考えないとやな」

 

 夏油は悩んだ。もちろん並行世界の話ではあるが、直哉の話を聞いて、なお御三家を信じる、という気にはなれなかった。太鼓判を押せるほど、御三家を知らない。

 

「悟に相談してみようか」

「悟くんかぁ。悟くん、傑くんの事もう食べた?」

「ぶっ飛ばすぞ」

 

 アイアンクローが少女を襲う!

 

「痛い痛い痛い! しゃーないやろ、五条家言うたら自分の世界では老若男女関係ないエロエロ大魔神やったし! 悟くんは絶対そうならんって言うとったけど、そんなん歴代の五条家の若いのいっつも言うてる事やし! でもいつの間にか同級生総なめにしとるし! 自分、五条家のおじーちゃんから傑くん食われんの防いであげたことあるんやで!」

「は!? この私が!?」

「駆けつけるの間に合ってほんとよかったわ。一般出やと御三家に逆らうの大変やし。まあ今は自分も御三家やないから、悟くんの趣味は切実に興味あるけどな!」

「なんでほぼほぼ非術師の癖に今より上下関係厳しいんだよ……」

「逆に直哉は無事だったのかい?」

「自分は禪院家やからな。不可侵協定結んでるし」

「ああそう……。悟とは仲よかったのかな?」

「普通やなぁ。自分の親友は、非術師やし。術師なんて怪しげな家の自分に、手を伸ばしてくれたんや。それに家のはヒリヒリしてあかんわ。透くんといるとホッとする。日常って感じで」

「そう、かな。非術師なんて……」

「非術師だからこそくれる日常感が自分は好きやで。1000倍強い呪霊と戦っとるんや、こっちの世界やと尚更そう思わん?」

「そう、かな……。でも、村の人たちにあんなボロボロにされて、恨んでないのかい?」

「一番マシな未来やったから」

「?」

「別に、主導権を握るのは簡単やったで? でもそれすると、怖い人が来てゲームオーバーの未来が見えたんや。占い、こっちの傑くんは苦手?」

「苦手というか、やった事ないね」

「大人しゅう虐められとれば、傑くんが助けに来てくれるって占いが出たし、自分、悟くんより傑くんと仲良かったんやで? だから、頑張って我慢したんや。それにしても、ノータッチって……学校で習うやろ。必修やで」

「そう、なのかい? こっちでは習わないよ」

「嘘やぁ! 術師の仕事の八割ぐらい占いやん!」

「その分呪霊と戦ってるね」

「そっちこそ地獄のかおりするやん」

「そんなこと……あるかも」

 

 それから、夏油は言った。

 

「天元様の結界、こっちで再現できないかな?」

「自分が死んだの中三やで。そこまでの知識はないわ」

「残念。そっちの悟の事を聞いてもいいかい?」

「学級委員長で」「生徒数3名で学級委員?」「30人いたで」「30人!?」

 

 いつしか。いつしか、夏油は笑っていた。

 絶対にもう笑えないのだと思っていたのに。

 

 夏油の胸には、ポッと小さな希望が点っていたのだった。

 




マシュマロ
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