貴島とかいうよく分からん生徒が来た。
綾小路君によると、高育行きのバスに乗っていた時、やたら声と存在感がでかい金髪の男子生徒が優先席に座っていたら、OLの人が「お婆さんに席を譲ろうと思わないのか?」と文句をつけられ、ちょっとした騒動になっていたらしい。
件の男子生徒は「譲る義務も必要はない」とつっぱねたらしいが、その様子を見かねたとある女子生徒がバスの乗客達に「誰かお婆さんに席を譲ってくれないか」と懇願したそうな。
すると、とある男子生徒が
「よろしくければ、ボクの席をお使いください」
と言い、お婆さんに譲ってくれたらしい。
その男子生徒こそが、貴島とかいう人物らしい。
ここまでならよくある美談だ。
問題はここからだ。
何を思ったのかその貴島という男子は、そのOLの人にプロポーズをしたらしいのだ。
なぜ彼はそんなことを?
と綾小路君に尋ねてみたが、「いきなり愛の告白をしだした」「あまりにも唐突だったのでOLの人は唖然としていたが、断っていた」とだけ。
「それだけかい?」
「ああ、あと紙を渡して。『こちら、ボクの連絡先です』とか言っていたな。」
いや、そこは諦めろよ。一回断られてんだから。
「なるほど、要は僕たちはその人達と同じクラスになってしまったってわけだ。大変だね。」
「えぇ、それだけはあなたと同意ね。」
・・・こんな形で堀北さんと意見が被るなんてな。
◯◯◯
なにはともあれ僕の一世一代の計画は始まったばかりだ。
この学校に来た目的を思い出そう。
母校にいた、ヤンキー達とは一切関わりのない学校で三年間を過ごす。
そして、中学では送ることが出来なかった学生らしい青春。
具体的には、反社とは全く関係のない真っ当な友達が欲しい!
特に女性!
恋人が欲しいなんて大それた望みは持たない。
ただただ、友達が欲しい、それだけだ!
既に不安要素がちらついているが・・・きっとおそらく多分大丈夫だ。
そう、独りでこれからに付いて熟考していたら、教室内はおそらくクラスメイトであろう生徒達で埋まっていった。
その生徒達のひとりの女子生徒が俺の前にある席に座ろうとしたら・・・
「・・・!」 ペコッ
と僕に対して、軽く会釈のような事をした。
おや?前の席に見覚えのある人が座ったかと思ったら先ほどの長身少女ではないか。
よぉーし、こんどこそリベンジだ!
ドイツ語なんて話せへんけども、僕の計画遂行のためには言語の壁なぞささいな
「(見てろよグローバル社会め)」
僕は前席の彼女に話しかけるため肩をトントン・・・するのは多分まずいから、ここは「
するとこちらに気付いた彼女は
「・・・!こんにちは」と少しちいさな声で話す。
あれ日本語?
いいや、コミュニケ-ションができるのなら、それに越したことはない。
「あなたと自己紹介・・・あー、セルフイントロダクションって言うの?したいのだけどいいかい?」
「!!いいですよ」
よしッ!
なんとかなりそうやで!
「僕は・・
と言おうとした瞬間違和感に気づいた。
「・・・?」
目の前の少女が一点を凝視している。
その方向は僕ではない、僕の斜めの方向。
つまり、僕の隣の座席になるのだが・・・
そこには先ほどの赤メガネの女子生徒がいつのまにか座っていた。
「えっと・・・何ですか?」
ワッツハプン?
いや、落ち着いて状況整理だ。
僕が目の前の高身の彼女に名前を教えようとしたタイミングで隣に先ほど逃してしまった女の子が座ったわけだな。
これは・・・チャンスってやつか?
「実はこちらの方とこれから自己紹介をするところでね。よかったら・・」
これでどうだ?赤メガネの少女はおそらく、引っ込み思案というか恥ずかしがり屋みたいなタイプだと思う。
だから、異性である僕だけだったら、おそらくまともなコミュニケーションは成立しない。
だが、ここ
なんとかなれー!
「僕は堂前郁人、よろしくね?」
「‥
「うん、よろしく~」
よし、成功。コンタクトがとれたぞ。
問題は隣席の
「ええっと‥佐倉愛理です。 よ!よろしくおねがいします‥。」
「(やった~なんとか上手くいった。)」
「うん、よろしく。ところでこの後なんだけどさ」
と続けていおうとしたら、
「キンコンカンコン」と始業のチャイムが鳴り、教室にポニーテールが特徴的な女性の教師が入ってきた。
(チッ、間が悪いな)
「・・じゃ、またあとでね。」
と僕達は席に着いた。
「おはよう新入生諸君。私はDクラスを担任することになった茶柱佐枝だ。普段は日本史を担当している。」
オイオイ、教師まで美人ってこの学校マジでどうなってんだよ。
間違えて、アイドル養成学校とか芸能科の学校に入ったんじゃないかって疑うレベルだぞ? しかも、あの茶柱って先生すっげえイケボだな。
「この学校には学年ごとのクラス替えは存在しない。卒業までの3年間、私が担任としてお前たち全員と学ぶことになると思う。」
なに?
クラス替えがない?そんな事があるのか?
それはつまり、三年間ずっと同じメンバーで授業を受けるって事で良いのか?
進級しても2年D組、また進級しても3年D組としてこの学校に通うって解釈で合ってるんだよな?
「今から一時間後に体育館にて入学式が行われるが、その前にこの学校における特殊なルールについて説明しよう。今から資料を配布する」
前の生徒、つまり黒瀬さんから。冊子を渡された。合格通知書に同封されてた、学校についての説明が載っている資料だった。
資料によると、この学校の生徒は在籍中の三年間は一部例外を除き、外部との接触が禁止で、その間学校の敷地内の寮に寝泊まりする事になる。
「(国が建てた寮なんだ、さぞ綺麗で設備が整っているんなんだろうな、僕が通ってた中学とは違って。)」
当然だが、三年間も外部との接触が禁止という条件で学校に通うというまるで監獄みたいな生活を送っていたら、生徒達の気がおかしくなる事は間違いない。
そこで、学校の敷地内には生徒達がそんな環境においても不自由なく暮らせるように数多くの施設が存在しているらしい。
具体的な数字は忘れたが、小~中規模の街くらいのサイズだ。千葉のTDLくらいあるんじゃないか?
「(そんで、Sシステムって名前のルールがあるんだっけ。)」
「今から、学生証カードを配布する。それを使い、施設内にある全ての施設を利用したり、売店などで商品を購入する事ができるようになっている。クレジットカードのようなものだな。ただしポイントを消費することになるので注意が必要だ。学校内においてこのポイントで買えないものはない。学校の施設にあるものなら、なんでも購入可能だ」
「(買えないものはない?すごいな。車とかも買えるのか?)」
なんて、考えてたら。茶柱先生がとんでもない
「それからポイントは毎月1日に自動的に振り込まれることになっている。お前たち全員、平等に10万ポイントが支給されているはずだ。なお、ポイントは1ポイントにつき1円の価値がある。それ以上の説明は不要だろう」
振り込まれた額の多さに多くの生徒達が一瞬驚く。
「ポイントの支給額に驚いたか? この学校は生徒を実力で測る。入学を果たしたお前にはそれだけの価値があるということだ。遠慮なく使え。このポイントは卒業後には全て学校側が回収することになっている。つまりポイントを貯めることには得が無いぞ。ポイントが振り込まれた後はどう使おうが自由だ。誰かに譲渡することも可能だが、無理矢理カツアゲするようなことはするなよ? 学校はいじめ問題にだけは敏感だからな」
「・・・はあ?」思わず、大きな声が出た。
あの教師今なんて言った?
1万とからまだしも
オイオイ待てよ、この教室の生徒は40人だ。まず、このクラスだけでも400万ポイントも振り込まれたって事だ。さっき、ポイント=円って言ってたから、400万円だ。
そして、僕達一年生はAからDの4クラスだ。仮に一クラスの人数を40人と仮定すれば、先生の言葉の通りなら、振り込まれた額は合計1,600万ポイント。
そして、一年生から三年生までの三学年にも同じ額が振り込まれているのなら・・・
「よ、4800万円だと?」
さらに、卒業まで毎月だから・・・
いや、よそう。
額が大きすぎてこわくなった。
しかし、
他のヤツラは知らんが、
確かに、ここは将来の日本を導く人材を育てるための学校だが、それにしては額がでかすぎる。
先行投資にしてはリスキーだ。
この国の人たちは頭がどうかしちゃったんじゃないか?
・・そういえば、さっきから視線を感じるな。
まずい、さっき驚いたとはいえ大きな声を出してしまった。こんな形で、注目を浴びるのは想定外だ。どうせなら、試験で満点を取るとか、体育祭で活躍するとかそういう場面で注目されたかったな。
どうやら、さっきの叫び声は茶柱先生にも届いてたみたいで、こっちを見ていた。
・・・とりあえず、謝っておこう。
「いやあ、すいません。大きな声を出してしまって。少し驚いただけなので、どうぞお話を続けてください。」
席を立って、茶柱先生に謝る。
こういう時は、変な事を言わないで、スマートにやり過ごそう。
「お前は・・・確か堂前だったな?構わんさ、それにもう説明は終わりだ。なにか、質問があったら喜んで答えるぞ?」
参ったな、目をつけられてしまったか?
先生の提案はありがたいが、みんなから注目を浴びている状況での質問はちょっと恥ずかしいな。
「ええっと、そうですね。後でもよろしいですか?ちょっと、整理したくて。それに、先生はこの後の入学式の準備などで忙しいんじゃありませんか?僕ひとりに先生の予定を狂わせるのは流石に申し訳ないので、先生があいている時間ならいつでも良いですよ?なんなら、場所も先生が指定してもいいので。」
「・・・そうか、分かった。なら、入学式のあと職員室で質問を聞く。これでいいか?」
「はい、ありがとうございます。僕などに予定を合わせてくださって。」
「・・・そのように自分を卑下する事はないと思うが、とにかく後で職員室で聞く。では、またあとでな。」
そう言って、先生は教室を去った。
「ヒエェ、緊張した~」
席に座った僕は、脱力感から机の上で伸びたような姿勢で覆い被さる。
それは、そうと。
「茶柱先生、すげえ美人だったな。」
鋼鉄のような硬い雰囲気のある女性だった。普通の人には近寄りがたいかもしれないが、母校の先輩達の知り合いのレディースと比べれば、全然そんなことは無い。
なんて、先生について想ってたら、
「「「美人?」」」
左右と前の席から呟きが聞こえた。
参ったな、佐倉さんと黒瀬さんはともかくとして、堀北さんにも聞こえてしまった用だ。
・・・いや、そもそも聞こえちゃダメだ。「こいつ、先生に気があるのか?」とか思われる!ヤバイ!
「・・・地元の中学では三年間男性の先生が担任だったんだよね。女性の先生が担任になるのは何年ぶりだろう?」
「「「?」」」
イヤ、だめだこれ。ただ、独り言ツブやいてるだけのやつだ。
「えっと、堂前君。独り言はあまり、人前でしない方がいいわよ?」
仰る通りでございます。
童前君にどのキャラと関わって欲しい?
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綾小路清隆
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堀北鈴音
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櫛田桔梗
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平田洋介
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佐倉愛里
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