すいません、ウソつきました。
自己紹介、入学式、先生とサシでお話など諸々が終わったので、僕はひとり寮へ行くために歩いていた。
実際、ほんとの事を言えば隣席の佐倉さんと帰ろうかと思ったが、何やら黒瀬さんと意気投合していたので、そのままでいいかと思ったので現在1人だ。なんだかんだ、1人の方が楽だ。仮面を被る必要も無いし、あのモードは意外と疲れる。中学時代はそもそも話す事を最小限にしていたからそんなに疲れなかったし、先輩や同輩達の前で「自分」を見せるようなことはあんまりなかったからな。ここだと、真逆だけど。
それに、シャイな彼女にとっては初日から異性と帰るのはハードルが高いだろう。あまり、僕の欲を優先しすぎて彼女に迷惑をかけるわけにもいかない。
それにだ
①佐倉さんが黒瀬さんと仲良くなる
②彼女にある程度の人付き合いの余裕ができる
③僕も彼女と仲良くなりやすくなる雰囲気が出来る
この流れならいけるだろう?初めは友達の1人でも出来れば良いと考えていたが、友達どころか天使みたいな子と仲良くなれるとかラッキーにも程がある。
勝手に勝利を確信し、思わず笑ってしまいそうになる。
「うふふふふ、勝ちだな。」失礼笑ってしまった。
「急にどうしたの堂前くん?」
「なになに〜?今度は」
・・・訂正しよう。今の僕はひとりではない。
僕の背後にはクラスメイトである、松下さんとギャルっ子の軽井沢さんがいる。
ようは一緒に歩いているわけだ。
正確には僕の後ろに彼女達が勝手に付いてきているわけだが・・・
先生の説明中に奇声(本当は違うがそう思われている)を上げ、またクラスの自己紹介を急に中断するなどの事をしでかした僕は良くも悪くも目立ってしまった。
そんな僕に目をつけたのが、先ほどの二人みたいだった。
話は下校前に遡る。
茶柱先生とお話しが終わり寮に行く前、僕は平田君に、いや正確には教室の真ん中で軽井沢さんを含む女子達と仲良く談笑している平田君に手を振って声をかけた。目的はもちろん、今後の円滑な学校生活の為だ。
「平田く〜ん。今いいかい?」
顔、声の抑揚などを上手く調整する。『性格』と書かれたネジを回すように、本来の僕とは全く違うキャラを表に出力する。
大丈夫。ここには今朝のホームルームみたいに人はたくさんいない。こうした一対一の状況下ならそんなに負担はない。
「堂前くん?分かったよ、ちょっと待っててね。ごめんね軽井沢さん少し席を外すね。」
「いいよー。」
いや、それは困る。少なくとも今はこの教室内が僕にとって一番都合がいい。
「大丈夫大丈夫、ここでいいから。軽井沢さん達に悪いでしょ。」
「そう?堂前君がそれでいいなら、僕は構わないよ。それで何か用かな?」ここは、僕より軽井沢さんが上だと遠回しに立てておく。僕の見込みが正しければこのクラスでトップになるのは間違いなくこの2人だ。今のうちに繋がりを持ちたい。
・・・それにしても、やっぱり彼は良い人だ。仲の良さそうな女子達との話に水を差すような真似をされても嫌な顔ひとつしない。最初に仲良くなるなら、平田君が一番良い。
「お詫びが一つ、そしてお願いが一つあってね。」目の前指を二本立てながら話しかける。そして、先ほどの自己紹介を急に中断してしまったことを詫びる。平田君は「そんなに気にしないでいいよ。」と返してくれた。チラッと軽井沢さん達の様子を見る。今は僕と平田君が話しているからか、携帯をイジりながら、時折こっちの様子を気にしながら大人しく待っていてくれる。近くの女子達もそれに倣って大人しくしている。正直言って意外ではあった。僕は俗に言うギャルってやつにあんまり詳しくなく、中学の同輩達が語っていた内容から「騒がしい女性」というイメージがあった。そして、誠に失礼ながら彼女達もその一種だと思っていたのだが、どうやらある程度の思慮は持ち合わせているみたいだ。
「それとお願いって何かな?」
「いや、そんな大した事じゃないんだけどね。ケータイの連絡先を交換してほしくてさ。」
そんな僕のお願いに対して、平田君は快く二つ返事で了承してくれた。
「(これでクラスの中心人物とコネクションが出来た)」
計画が順調に進んでいる事に内心ほくそ笑み、彼に感謝を伝えようとしたら、
「堂前くん平田君と連絡先交換したの?なら、あたし達とも交換する?」
「ッ!もちろんだよ、ありがとう!うれしいなぁ。」
ちょっとビックリしたな。平田君はともかく、軽井沢さんにいきなり話しかけられるとは思わなかったな。でも、これはこれで好都合だ。
軽井沢さん達とお互いに連絡先を交換し終わった後、軽井沢さんの連れの一人である、佐藤さんが僕に声をかけた。
「それにしても、堂前くんって変わってるよねー。女子ならともかく自分から平田君に自分から連絡先を交換した男子って堂前くんがはじめてじゃない?」
その言葉に篠原さんが続いて話す。
「そーそー。あの池とかいう男子なんてまるで平田くんのことを恨むように睨んでたもんねー」
「(おいおい、なんだか男子と女子の間に見えない溝が出来てないか?)」嘲笑するような篠原さんの言葉に少し引いてしまう。
「へ、へぇ、そうなんだ。平田くんのことを睨むなんてその池って人はこわいね。僕からすれば、平田君が最優先で仲良くなりたい男子なのに。」
僕の言葉に前園さんが真っ先に反応する。
「ふーん、堂前くんってもしかしてソッチ?ちょっと意外〜」
「あぁ?そんなわけないだろ、僕はストレートだ。」
「えっ?」
しまった、前園が変な質問をするせいで、ウッカリ素で話してしまった。
「ゴホン! や、やだなぁ、前園さんってばヘンなコト言わないでよ、怒るよー?」
これ以上はマズイ。化けの皮が剥がれる。
早急にこの場を離れよう、戦略的撤退ってやつだ。
「じ、じゃあ、僕はこのへんでそろそろ帰るよ。また明日。ええっと平田君と軽井沢さんと佐藤さんと篠原さんと前園さんと森さんと・・・。ごめん君は?名前なんだったっけ?」
「松下だけど……?」
「オーケーオーケー、松下さんね、今覚えたよ、ありがと。」
「「「「「「……………」」」」」
ん、なんだ、この間は?早く帰れってか?
「そ、それじゃあ、また明日!」
ピシャリと教室の扉を閉めて、そそくさを廊下を去る。
学校のロッカーに辿り着いた僕は思わずへたり込む。
「(あ、危ねえぇぇぇ!!!バレるところだったぁ!!!)」
やはり、僕の演技力にはまだまだ粗がある。
母校の不良どもとは正反対のいかにも優等生らしいキャラを演じていたつもりだが、周りのリアクション的にどうも怪しい。
「(やれんのか?いけるのか?こんなんで………いやいや何を弱気になってんだ僕!学生らしい希望に満ちた毎日を送るって決めたじゃないか!
人が怖いからなんだ!他人が怖いからなんだ!過去がバレたくないからなんだ!そんなんで、諦めるほどお前の夢は安いのか?違うだろ!
大丈夫だ、きっとなんとかなる。僕は今度こそ学生らしい毎日を…)」
「帰るんじゃなかったのー?」
「……え?軽井沢…さん?」
気づいたら、ロッカー近くの階段から軽井沢さんが降りていた。
「私もいるよー」
その後ろから松下さんもひょっこりと顔を出す。
「あ、松下さ…ん?」
「正解松下さんです。」
!!!僕は咄嗟に演技用のキャラを被った
焦るなよぉ、ここでやらかしたら何もかもパーだ!
落ち着いて、対応を間違えないように。
「やぁ、2人とも。自分のロッカーがどこだったか迷ってね。それはそうと、これから帰り?」
「そっ、良かったら一緒に帰る?」
「………喜んで!」
「(良かったらじゃないんだよ、こっちは良くねぇんだよ。)」
なんて言って軽井沢さんからの好感度を下げるわけにもいかないので一緒に帰る事になった。
「(それにしても・・・)」
僕の近くで仲良くしゃべっている、軽井沢さんと松下さんを一目見て思う。
「(この人達もすごい美人だな)」
ホントにそうだ。というか、朝からずっとおもっていたが、うちのクラスは男女の顔面偏差値の比がおかしいんじゃないか?
クラス全員の顔見たわけじゃないから100%言い切れるわけじゃないが、女子生徒の美形・美人の割合がやたら高い。
それに引き換え、男どもはどうなっているんだ。平田君や綾小路君を除くとほとんど、普通の顔略してフツメンだぞ。(僕が知らないだけで美形のやつがいる可能性も捨てきれないが)
いやまあ、かく言う僕もどっちかって言ったら決してイケメンと胸を張って言えるような美形ではないし、顔面偏差値50を越えているのかどうか怪しいから、そんな僕が人の顔についてとやかく言うのはおそらくお門違いってやつなのだろう。
「(それでも、お世辞でもいいから一度くらい整っている顔って言われたいよなあ。)」
そんな叶いそうもない事を願っていたら、気付いたら後ろにいたはずの軽井沢さんが僕の真横に立ってジッと僕の事をのぞいていた。
「・・・ヒッ!なんだ軽井沢さんか、非道いなあ驚かさないでよ。」
「あははは!さっきからボーッとしている堂前くんが悪いんだよ?」
こ、この小悪魔め!自分がかわいいからって調子にのりやがって!
今に見てろよ、多分勉強だけだったら僕の方が出来るんだからな。
自己採点だけど、僕はあの試験で全教科80点は取ったんだからな!
しかし万が一、軽井沢さんが入試で全教科90点以上とれるレベルだったら僕の負け確だが。
「フフッ、やっぱり面白いね堂前くんって」さらに松下さんが僕の事を挟み込むように片側に立つ。
「(オイコラやめろ!美人が2人がかりで僕をサンドイッチにするんじゃないッ!惚れるだろうが!僕が!)」
スッとサンドイッチから抜けるが再び2人によって挟まれる。
「・・・いいかい、軽井沢さんと松下さん。そうやって、僕のことをからかうのは止めたまえ。僕みたいなそんじょそこらにいるような男に構っても面白くないだろう?」
「えー?そんなことないよね?松下さん。」
「うーん、でもそろそろいいかな?堂前くん顔が真っ赤だし。」
「うわっ、ほんとじゃんウケルw。しょーがないなぁ、かわいそうだから松下さんに免じてここは許してあげるね?」
クッ、これがわからせ!あくまで自分が上というアピール!いいだろう、ここは僕の負けだ。だが、覚えていろよ?僕が全てを許しているのは、隣席の【
閑話休題
「それで?用ってなに?連絡先の交換はもうしたよね?」
「じゃあ先ずは私からね。」
先に軽井沢さんから話を切り出した。
「実は一部のクラスの子達の間でチャットグループを作ったんだ。そこに堂前くんを誘おうと思って。」
なるほど、チャットという言葉にあまり馴染みがないからわかりにくいがようはL〇NEのグループの様なものか。
僕は軽井沢さんからの誘いに了承し、携帯端末のチャットアプリから件のチャットグループに入る。
試しに『堂前です。よろしく』と送ってみる。
するとそれに反応したかのように返信のチャットが幾つか送られる。
「ねぇ軽井沢さん、このグループって何人くらい参加しているの?」
「えーとねー、平田くんとクラスの女の子たちの半分くらいだから10人ちょっとかな。」
「へぇ……」
それってつまり、男子で入っているのが僕と平田だけってコトじゃないか?ソレ大丈夫なのか?
まぁ、平田なら大丈夫だろ。多分。
「で?松下さんはどんな用?」
「あ……うん。実は、堂前くんに聞きたいことがあって着いてきたんだ。」
聞きたいこと?僕の故郷の事でも聞きたいのか?
「へぇ、それって‥‥
何と聞こうとした途端、軽井沢さんが急に大きな声を上げた。
「あっ、コンビニだ!ねぇ2人ともちょっと寄ってかない?」
見ると、確かにあった。学校の外にあるタイプとそう大差のない、例えるならば駐車場が広いから面積に余裕があるタイプのコンビニだ。
「(コンビニ、つまりポイントを使う事ができる施設。でも、今は茶柱先生と話したこともあってあんまり使いたくないんだよなぁ。)」
「いや、僕はここで待ってるよ。行っておいで。」
「私もここで待ってようかな。堂前君が逃げないように見てるね。」
松下さんが横目でチラりと僕のことを見る「ここで話そう」ということらしい。
「あはは、分かった待っててね!」
ピューンと擬音が聞こえそうな速さで中に入っていった。
・・・さて
「質問をどうぞ?」
「入学式が終わった後、茶柱先生にどんな質問をしたの?どんな事を話したの?」
なんだ、どんな質問が来るのかと身構えていたがなんてことのない、他愛もない質問で僕は全身の警戒を解いた。
「別に、なんてことのない質問だよ。生活について〜とか、ポイントについて〜とか。」
「堂前くん先生の説明中に大きな声出してたよね。最初は目立ちたがり屋なのかなって思っちゃった。」
「自己紹介の時にも謝ったけど、ほんとにごめんよ。流石に、16歳の選挙権のない未成年に渡すにしては10万円は高すぎるでしょ?だから、おかしいなって思ってさ」
◯◯◯◯
「それで、質問とはなんだ?堂前。」
僕は入学式の後、アポイントメントをとって茶柱先生と2人きりで生徒相談室にいた。
「はい、先ずは僕のような一生徒に時間を割いてまでこのような場を
「おい待て、お前は私に質問があるのであって、挨拶に来たわけじゃないだろう。」
「そうですか?僕程度の存在なんて先生からすればその辺の虫のように矮小な存在でしょう。それにこの学校に限らず上の立場にいる存在に敬意を払うのは至極当たり前の事では?」
「‥‥だとしても度が過ぎるぞ。」
先生からの真っ当な意見に笑顔で答える。
「それもそうでしたね、すいません。茶柱先生のような素敵な女性と2人きりというシュチュエーションに思わず緊張してしまいまして。」
「・・・言っておくが、未成年はノーだ。違法だからな。」
うーん、流石にダメか。この際、先生に媚を売るのもアリかと思ったが、そもそも国立学校の教師だからな。その辺のガードは硬いか。
「━━話が逸れてしまいましたね。では、二、三ほど質問があります。最初に『実力で生徒を評価する』と仰っていましたが、あれはどういう意味ですか?」
「どうもこうも言葉の通りだ。なぜそんなことを?」
「・・・いや、だっておかしいでしょ?いきなり生徒1人に10万ですよ。計算してみましたが、仮に卒業までに毎月生徒1人に10万円も配っていたとしたら、うちのクラスだけでも1億近く貰う事になるんですよ。可笑しいと思わない方が不自然です。他の人は知りませんが
「なるほどな。君はどうも自分のことを過度に過小評価するきらいがあるな。言っておくがな堂前、謙遜は美徳かもしれないがそれも度が過ぎると本来の自分の正しい評価を見失うことになる、精々そうならんように気をつける事だな。」
「・・・ご忠告ありがとうございます。では、二つ目の質問ですが、完全実力主義という事はテストで満点を取る、部活などで活躍するなどの功績を取った生徒にはなんらかのプライズがあるという事ですか?」
「・・・・ふむ。まぁ具体的に答えることはできないが、あるとだけ言っておこう。」
は?どういう意味だ?なんではぐらかす。イエスかノーで答えればいい事だろ。
「では、最後の質問です。来月振り込まれるポイントは幾らですか?」
「申し訳ないが、その質問に答えることはできない。」
「あ?…いえ、失礼。どういう事ですか?僕は質問しているんですよ?答えることができないなんてことないでしょ。」
「こればかりは申し訳ないが、規則でな。答える事ができない。
・・・これで質問は以上か?」
「・・・はい。終わりです。」
「そうか、では堂前。最後に私からアドバイスだ。この学校ではお前のように慎重なやつほど
「??分かりました?失礼しました。」
◯◯◯
生徒が去り、生徒相談室には私1人だけになった。
「堂前郁人か・・・」
事前に試験での彼の成績を見たが、なかなか優れた生徒だった。
流石に天才や鬼才タイプの生徒には一歩劣るが、少なくとも私のクラスにはもったいない生徒だ。
「惜しいな、こればかりは。」
残念なのは彼の能力は
「せめて、Aクラスであればな」
彼を気遣うような発言をする自分に驚く。
いつも、自分のクラスになった生徒たちには多少のこそすれども、思いやるような事はなかった。
ふと、彼の言葉を思い出す。
『茶柱先生のような素敵な女性と2人きりというシュチュエーションに思わず緊張してしまいまして』
「・・・よもやあのようなありふれた世辞で多少は動揺するとは、私も腐っても女ということか」
今はただ、見守るしかあるまい。
私は彼の不透明な未来に同情をそして、一抹の希望を望んだのだった。
Qオリ主のCVのイメージはありますか?
A神谷浩史さんです。(作者の趣味)
Qオリ主のコンセプトデザインを教えてください。
A表テーマは劣化版Kさんです!
Q裏もあるんですか?
A今後発表予定です。
p.s. 筆者はイケイケ系のギャルに挟まれたいという願望を持っています。
童前君にどのキャラと関わって欲しい?
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綾小路清隆
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堀北鈴音
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櫛田桔梗
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平田洋介
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軽井沢恵
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佐倉愛里
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長谷部波瑠加
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須藤健