「・・・へぇ、先生とそんなことを話してたんだ。」
「うん。ただ、ぶっちゃけると分かった事が少ないから、果たして僕が対面で先生と話した意味ってあったのかなって感じ。謎のポイントのルールについてもよく教えてくれなかったからね。」
規則だのなんだと言ってたけど、分からない事があったら丁寧に教えてくれるのが教師という存在のはずだ。少なくともヤンキー中の僕の恩師は入試対策の問題で分からない事があったら喜んで教えてくれた。
「ただまぁ、唯一分かった事があるとすれば、来月配られるポイントが必ずしも10万とは限らないっぽい事なんだよね。ひょっとしたら、今月の10万は入学サービスで来月以降は毎月1万だけ、でテストの成績次第で追加ボーナスがあるのがこの学校のポイントルールなんじゃないかってのが僕の考察なんだよね。」
「個人ごとに配られるポイントに差があるかもしれないってこと?」
「そっ、テストや部活動での成績でポイントが貰えるかに対する答えが『ある』つまりYESだからね。」
「確かに先生の言葉が正しいのならそういう事になるね。」
「つまりさ、これから僕たちがすべきことはテストで良い点を取れるようにちゃんと授業を受けて、部活を頑張るって事だよね。まぁ、言っちゃなんだけどフツーの事だよね。」
初めは茶柱先生が具体的に答えてくれなかったから混乱したが、しっかりと考えてみればなんてことのない『努力して好成績を修めたやつに相応の報酬が与えられる』訳だ。確かにそういう意味ならこの学校は『完全実力主義』ということになる。
「でも、ホントにそれだけなのかな?ちょっと単純すぎない?」
「え、そうかな?」
「‥…うん。まだ何か違和感があるっていうか・・・」
そんなこんなで考えていたら、コンビニの出口から買い物を終えた軽井沢さんが出てきた。
「お待たせーあっ!堂前くんちゃんと待ってたんだね〜ご褒美にからあげ一個あげる」
お気楽だな〜。それはそうと唐揚げは有り難く頂こう。
軽井沢さんって平田やクラスの女の子たちの前だとリーダーみたいに振る舞ってるけどオフだとこんな感じなんだ。
油断しているのか、気を許しているのか分からないけれど、僕としては軽井沢さんとはもう少し仲良くなりたいから、これは好都合だ。
「それで〜?あたしが買い物してる間、2人で話してたみたいだけど、もうそんなに仲良くなったの?」
揶揄うような軽井沢さんに松下さんが答える。
「まぁ仲良くなったっていうかポイントについてはなしてたんだよね。」
「ポイント?毎月10万貰えるやつ?」
・・・うーん、まぁ普通はこういう認識なのかな。とりあえず分かった事だけ、軽井沢さんと共有しておこう。
「ほら、朝のホームルームの時先生と僕が後で相談する約束をしてたでしょう?その時に色々と分かった事があってね。」
「あーそういえば、あったねそんな事。だから、入学式の後教室に堂前くんいなかったんだ。」
サラッと、朝の事を忘れられていることに少々ショックを受けるが説明を続けよう。
「まず、確定していることは。この学校は毎月貰えるポイント以外に条件を満たせば追加で貰えるポイントがあるってことかな。」
「えっそうなの?おしえておしえて!何すればいいの?」
「・・・至ってシンプルさ、毎日真面目に授業を受けてテストで良い点を取れば良い。そうすれば、幾ら貰えるか分からないけれどポイントが貰えるって事がわかったよ。」
「うげっ、そっち方面?あたし、勉強とかニガテ〜。にしても堂前くんって意外とマジメなんだね。わざわざそんな事確かめるために先生と話に行ったんでしょ?マメだね。」
・・・このギャルテストの点でポイントが貰えるってわかった途端露骨にやる気を無くしたな。
ってか、なんか僕ディスられてない?
「い、いやほらぁここって国が造った学校だろう?ルールとかきっちりしてるだろうから、分からない事はすぐに確認するべきかなって・・・」
「そ、そうだよ。軽井沢さんだって貰えるポイントは多い方が良いでしょ?それに、ひょっとしたら勉強以外でもポイントが貰える事があるかもしれないでしょ?例えば・・・皆勤賞とか?」
松下さんのフォローが有り難い、でも軽井沢さんにはあんまり効果がなかったみたいだった。
「ふーん‥‥堂前くんの言いたいことは分かったけどさー、別にそういうの頑張らなくても毎月10万ポイント貰えるじゃん。それにテストで良い点取れたとして、貰えるポイントがわからないんでしょ?
なら、あたしは今のままでいいかな。そういうのは勉強が得意な人に任せれば良いし。」
うーん、参った。情報の共有で軽井沢さんからの信頼を上げたかったのに、あんまり上手くいかなかった。
「まぁ、別に勉強を強要するとかそんな意図はないよ。貰えるポイントは多い方が良いでしょ?って話。」
その瞬間、コンビニのドアが開き、見覚えのある生徒が顔を見せた。
「お?」
「あっ」
赤髪ヤンキーの須藤だった。手にはこれから食べるであろう、カップラーメンを持っている。
「ここで食べんの?懐かしいね、よく中学の先輩がおんなじことやってたよ。」
「おぅ、家まで持ってくのもめんどくせぇからよ。」
「ふーん。僕イートイン派なんだよね。ここにはないの?」
正直言って、こいつはどうでもいいんだよなぁ。
スポーツ推薦だがなんだが知らないが、どうみてもヤンキーそのものの彼はクラスのトップにはなり得ないだろうし、どっちかっていったらあんまりみんなとつるまないタイプだろうな。
つーか、目の前でラーメン食べんじゃねぇよ、お腹減ってきただろうが。
「ねぇ、堂前くんってあの人と仲良かったの?」
須藤と普通に話す僕に松下さんが不思議そうに話しかける。
「別に?入学式の前に席が近かったから話しかけただけだよ。それからあの人じゃなくて須藤くんね。」
「・・・怖くないの?」
「そお?背が高くてちょっとトガってるだけでしょ?」
こんなの地元にはウジャウジャいたし、リーダーのあの人と比べたら全く怖くなんてないよ。ヤレヤレしょうがないなぁ松下さんはそんなに怖いならボディーガードやってもいいんだぜ?
見ると、松下さんは不思議そうに僕をみつめ、軽井沢さんは警戒して少し離れている。
「まったく、立ち食いだなんて・・・あら。」
「おお堂前、奇遇だな」
さらに出てきたのは、無表情系イケメンの綾小路くんとめっちゃこわい堀北さんだった。
綾小路はともかく堀北さんもいるのかよ・・・
ってか、綾小路はなんで堀北さんと一緒に歩いてんだよ
絶対合わないだろ。
怖いから、綾小路だけに話しかけとこ。
「やぁ綾小路君、奇遇だね。」
「そうだな。ところで堂前、ここのコンビニはすごいぞ無料の商品を売ってたんだ。」
・・・なんだって?
「ふーん。」
「・・・?ずいぶんと反応が薄いな、もっと驚くと思った。」
君の氷みたいに固い表情ほどじゃないよ。
にしても、無料商品ねぇ。
月初めに10万も貰えるのなら、普通は要らないはずなんだよなぁ。
「ねぇ、軽井沢さん。無料の商品があったって本当?」
「あー、確かに言われてみればあったかも。でも、それがどうしたの?消費期限ギリギリの売れ残りとかじゃないの?」
だったら、良いんだけどなぁ。
明らかにおかしい、なんとも言えない違和感がある。
でも、違和感だけがあって明確な答えが出てこないな。
こういうのは、サンデーの某名探偵のような頭がズバ抜けてキレる人に相談すべきだな。
・・・いたかな、ウチのクラスにそんな大天才。
「僕に知能スカウターがあったらなぁ。」
「急になんの話だ?」
「いいや、なんでもないよ。ところでay『おい、お前一年か?場所を開けろよ』
・・・チッ どこの誰だ、僕の話を中断しやがって。
声が聞こえた方向を見かけると、コンビニ前の駐輪場スペースで今まさにカップラーメンを食べようとしている須藤と彼に対しなんらかのイチャモンを付けているおそらく先輩が2人いた。
「あ?んだよ、これからラーメン食うトコなんだよ、ジャマすんじゃねーよ」
「見りゃ分かるわボケ。」
「そーいうコト言ってんじゃねえよ。お前の足元にバッグ置いてあんだろ?それは俺らが先に置いたモンだ。つまり、ここは俺らの場所ってこった。分かったらさっさと退けよ。」
「んだと!」
「おーおー、2年の俺らに対して随分な口のききようだぁ。お前さては、Dクラスだろ?全くこれだから不良品は。」ゲラゲラと須藤のことをバカにするように2年の生徒たちは笑う。
・・・全くこれだから社会性のない逸れヤンキーは。
群れを嫌う奴は一人のまま周りと不干渉を続けるか、周りとトラブルを起こしてコミュニティから追放されるのどっちかしかないんだ。
にしても不良品って言い過ぎだろ?まぁいいや。
仕方ない、昔みたいなのはもうヤダなんだが、騒ぎがこっちに飛び火するのもアレだしな。
「ねぇ、松下さん。軽井沢さんといっしょにコンビニでおにぎり買ってよ、なんでもいいからさ。」
「えっ?急にどうし・・」
疑問を呈しようとする、彼女の耳元に近づき囁く。
「はやく避難して、中なら安全だから。ケガしたくないでしょ?」
「っ!うん分かった!おにぎりね?ほら、軽井沢さん早く行こ?」
「えっ?ちょっと!」
松下さんはすぐに軽井沢さんの手を引っ張って逃げるようにコンビニの中に駆け込んでくれた。僕とすれ違うときに「堂前くんも・・」と言ってくれたのはありがたがったが、急すぎてどっちが言ったのか分からなかった。
・・・さてと、近くに綾小路や堀北さんがいるけどまぁいいや。
パパッと終わらせて、ササっと帰ろう。
色々と考える事があるはずなんだけど明日でいいや。
「まぁまぁ、先輩その辺にしといて下さいよ?」
「あ?」
二年生二人が僕の方首を傾ける。急に第三者に介入されて驚き半分ってところだろう。
「ちょっと話しません?」
こっちを振り向いた先輩達の肩に手を回して肩を組む。
「なんだよ、堂前!そいつらは俺の相手だ!入ってくるな!」
苛立った須藤がこちらにガンを飛ばすが無視し、彼に聞こえないよう目の前の先輩に囁く。
「どうか、彼のことは許してやってくださいよ。入学の嬉しさからちょっと興奮してるだけなんです。だから、ホントに申し訳ないのですが彼に場所を譲ってやってくれませんか?それで、この場は丸く収まるので。」
「・・・あのなぁ、一年よ。勇気を出して俺たちに話しかけるその姿勢はホメてやっても良いが、さっき言ったように先に俺らが場所をとったのにどかなきゃいけねぇのは、不公平ってもんだろ?流石に納得できないぜ。」
「ええ、ですから納得できる理由を作ります。」
「あん?」
「2000ポイントでどうでしょう?彼がこの場所でご飯を食べる権利を買います。」
この場を収めるのに僕が取る方法。
それは先輩達を買収し、立ち退いてもらうこと。
朝のホームルームの際、茶柱先生はこう言っていた。
『この学校においてポイントで買うことのできないものはない』と
それはきっと、モノだけでなく、こういったカタチのない権利も含まれるのではないだろうかと僕は思った。
今、それを検証している。
すると、先輩達は驚いたように大きな声で笑った。
「はっははは!んだよ、お前話がわかんじゃねぇか。いいぜ。」
「ありがとうございます。・・・ところで、他人にポイントを譲渡したい場合はどうすればいいですか?」
「仕方ねぇな、いいか?他のヤツに振り込む時はだな。こうすると、そいつの端末番号が分かるからこの番号を入力してから振り込むんだ。」
「へへ、とんだ儲け話だぜ」
なるほど、他人の口座に振り込むのと似てるな。
先輩達への振り込みが終わった後、彼らは去り際に僕に尋ねた。
「おい一年、お前名前とクラスは?」
「一年D組の堂前です。」
「・・・おめぇみたいな賢い奴もいんのか。おもしれーな。」
「・・・?なんです?」
「いいや?じゃあな、一年坊!精々頑張れよ!」
そう言って先輩達はコンビニを去った。
・・・ってか僕の名前聞いたんだから、そっちも名乗れよ。
「あ?おい!なんなんだよ?」
「良かったなぁ須藤。あの先輩たち場所を譲ってくれたぜ?」
もう、こいつには素のまんまでいいや。猫被っても意味ねぇし。
「・・・お?そ、そうなのか?」
「にしてもダメだろ、あんな言い方はさあ。暴力事になって俺や軽井沢さんらがケガしたらどうしてくれるんだよ。ん?」
「うっ、いやそれは・・・」
「分かったら、2度とこんな騒ぎ起こすんじゃねえぞ?」
「分かったよ・・・俺が悪かったから。」
へっ、次問題起こしたら問題起こしたら助けてやんねー。
すると、コンビニのドアから松下さんと軽井沢さんが駆け足でこちらに寄ってきた。
「やぁ、2人とも。おにぎり買ってきてくれた?」
「それどころじゃないでしょ!大丈夫?どこかケガしてないよね?」
うわー、松下さんすげー優しい。
癒されるー。
第二の天使はここにいた?
「大丈夫大丈夫。話したら分かってくれたよ。いやぁ、話の通じる人でよかったよ。」
「ねぇ、ホントに大丈夫なの?どこもケガしてないの?」
軽井沢さんも僕のことを心配してくれているようだ。
なんだかんだ、根は優しい人みたいだ。
あまりの嬉しさについ顔が緩んでしまう。
良いことをすると気持ちがいいね。
◯◯◯
オレは目の前の光景にただ驚いていた。
堂前は須藤に絡む先輩達に臆することなく堂々と話しかけ、結果的に須藤に場所を譲らせることに成功していた。
おそらく、何かしらの交渉をしたのだろう。
だか、その後の彼が須藤に話しかける姿はまるで別人のようだった。
「ねぇ、綾小路君。彼さっきは何をしていたのかしら。」
「さぁな。先輩達にお願いしたんじゃないか。」
「そうかしら、私には端末を使って何かしていだように見えたわ。まるで、何か取引でもするみたいに。」
目敏いな。この堀北という少女は存外洞察力が高いようだ。
「なるほどな。仮にそうだとしてどうするんだ?あいつに聞いて確かめるのか。」
「・・・別にどうもしないわ。彼が誰と仲良くしようと、須藤君を助けようと私とは一切関わりのないことよ。」
「そうか、お前がそうしたいのならそれで良いんじゃないか。」
そう言って堀北はコンビニを後にする。
堀北を横目で見た後オレは・
◯◯◯
気づいたら、綾小路も堀北も居なくなっていた。
まぁ、見たところ2人ともクラスのトップと積極的に仲良くするタイプじゃなさそうだし別にいいか。
綾小路はともかく、堀北さんなんかこっちから図々しく話しかけでもしたらどんな災厄が降ってくるかわかったもんじゃない。
逆に綾小路はアレだな。みんなと仲良くしたいけど、仲良くする方法がわからないから最終的にボッチになるタイプだとみた。
うーん、まぁドンマイってことで。
彼には悪いけど、僕は自分のことで精一杯だし、友達作りの手伝いをする気とかはさらさら無いんだよね。
まっ、彼には櫛田さんとかいいんじゃないかな。
彼女誰にでも優しそうだし、一回くらいは仲良くなりそうなチャンスがあるんじゃないか?
僕は結構だけど。
僕にできるのは精々祈るだけ。
(「まっ、大丈夫でしょ。ここは母校と違って、喧嘩みたいな物騒なとことは程遠い場所のハズだし。」)
そう遠くない未来
僕はここに入学したことを後悔するのだが、今はまだ語る時ではない。
ここだけのはなし、アニメ版の森さんめっちゃかわいくないすか?
さらに前園さんのビジュアルもあったらすっごい創作意欲が湧くのにもったいないですよねー
p.s.急にハーメルンサイト開かなくなってビックリしました
童前君にどのキャラと関わって欲しい?
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綾小路清隆
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堀北鈴音
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櫛田桔梗
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平田洋介
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軽井沢恵
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佐倉愛里
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長谷部波瑠加
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須藤健