あと1人、足りない。 作:8時半
まあいいか。
それと評価に色がつきました!
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「...さて、アコはしばらく帰ってこないでしょうし、これを見ていこう...」
そう言って取り出したのは出席表。
私も時折忘れそうになるが、ゲヘナ学園は学校である。そのため一応出席はとられている。
色々と彼女について調べておきたいことがあったので、こうして出席簿を借りてきているというわけだ。
「...ない?おかしい、クラスも、出席番号も間違いないはず...!」
彼女は基本出席、あっても遅刻程度であった。
ほとんどの生徒が出席すらしないここゲヘナ学園においては優等生と言わざるをえないだろう。
今日の分の出席はまだとられていないが、この調子だと...
「今日、明日、そしてこれから先、おそらく、変わらない」
しかしこんな状況でこれ以上考えこんでもなんの意味もない。そう思って次にする事を考える。
デスクに向き直り、少し考えこむ。
「...あ、コーヒー...」
デスクの傍に置かれたマグカップ。その中には並々と注がれたコーヒー。湯気はもう上がっていない。おそらくだが眠気覚ましにアコが淹れていたものだろう。
事実少し眠いので飲むことにする。
「うーん、相変わらずね」
具体的に言うのは避けるが、まあ、うん。
この絶妙、というより微妙な味、懐かしく感じる。最後に飲んだのはいつだったか。
「委員長、おはようございます」
「あら、おはようイオリ」
ふと時計を見ると長針が一周していた。書類自体が膨大なため、確認するだけでも随分と時間がかかったようだ。
「あれ、アコちゃんが居ない?珍しいですね」
「アコだったら前に[規制済み]を迎えに行かせたのだけど..,」
「え?でも[規制済み]のアパートってここから歩いても15分、往復30分程度。そこまで時間はかからないはずなんですが...」
「...一応迎えに行こう、イオリ。何かあったら大変だし」
「わ、私もですか?」
まあ、ただ襲撃されたとか、騒動に巻き込まれたとかならアコはあと数分経てば戻ってくるだろう。
しかし、このまま帰ってこなかったら...
「どうしました委員長?」
「なんでもないわ。もしものために、ということよ。私も全能ではないし」
そう会話を交わして部屋を出ていく。
帰ってきたら多分、万魔殿からの書類が山のように積まれているんだろうな...
「すみません大家さん、少し前に風紀委員の生徒がここを訪れませんでしたか?」
「んん?ああ、風紀委員会委員長か。青い髪の子だったら、1時間ほど前にここにきたぜ。行った部屋の合鍵は...今は持っていないが、チャイムを鳴らせばその子が開けるだろ」
「ありがとう。早速向かいましょう、イオリ」
「わ、分かりました!」
部屋番号を聞き、その部屋に向かう。
「多分ここよね」
「ここですね...おーい、[規制済み]、アコちゃん、居ないのか?...あれ、鍵が空いて...」
「_______!!急ぎましょうイオリ、何か嫌な予感がする!」
「えぇ!?ちょ、待って下さい!」
靴を脱ぎ、ドタドタと足音をたてて部屋を探索する。幸いにもすぐにアコが倒れている部屋は見つかった。
「アコ!!」
「ヒナ委員長!見つかりましたか!!」
駆け寄ろうとする。
しかし、何か、そう。まるで、何かに見られているような、見てはいけない、近づいてはいけない何かがこの部屋にある。
「ひっ!?」
「!、それ!」
床に落ちているノートを撃ち抜く。それはもう、入念に。塵一つ残さず。床がボロボロになっているがコラテラルダメージだ。
「イオリ、大丈夫!?」
「あ、ありがとうございます。なぜか腰が抜けてしまって...そ、そんなことよりアコちゃんは!?」
「...大丈夫。気絶してるだけみたい。一応救急医学部に連絡を!」
「大丈夫です!もう呼んであります!」
「良かった、無事で...」
場所は戻って風紀委員会。
「ただいま帰りました委員長。...委員長?いらっしゃいますか?」
「あ、おかえりなさいチナツさん!委員長はしばらく席を外すとだけ書き置きをして出かけられました」
「そうですか...困りましたね。あれ、委員長から連絡が...『今朝、[規制済み]が失踪した。そのため通常の業務と並行して[規制済み]の捜索を行うこと。場合によっては
忙しくなりそうだ、とこの連絡を受けた人間は思ったという。
「診察結果ですが、特に外傷はなし。ですが知恵熱らしきものを発症しているので数日休む必要はあるでしょう」
「ありがとうセナ。とりあえずアコは無事で良かったわ」
その日の夜、搬送と診察など諸々が終わりセナに話を聞いていた。
「ええ。しかし[規制済み]さんは見つからないそうですが...」
「
「...それは、大変ですね...」
話の通り、[規制済み]は見つからなかった。少なくとももうゲヘナには居ないだろう。
(あまりにも考える事が多い...戻る前では起こらなかった失踪、
大きくため息を一つ。まだ、始まったばかりだ。
「少々、厄介な事になりましたね...」
暗い空間、真っ黒のスーツを身に纏った
「規制済み、罰鳥、大鳥、審判鳥、静かなオーケストラ、笑う死体の山、たった一つの罪と何百もの善...一部の神秘が他の生徒とは違う、『暴走』ともとれる何かを引き起こしている」
頭を抱えてため息を吐く異形。
「内一体、特に影響が大きな者の『収容』には成功しましたが...必要以上の『収容』は行いたくないのも事実です」
しかし顔を上げる。
「こればかりは我々も研究を進めるしかありません。幸い近々採取できる可能性のあるサンプルもあります。未知の物を探求する、私の崇高とは異なりますが...一研究者として、これほど心踊るものはありません」