不老不死の呪いは巡る   作:カピバラバラ

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誤字脱字報告感謝です!!

本当に御協力感謝致してます、土下座しながら執筆し、感謝の祈りを捧げさせてもらいながら……皆様いつもありがとう!


死者の会遇

 

 

夜遅く、部活動を終えた子供達がポツポツと帰り始め…学校に居る人間も警備員位になった頃。

 

 

「…この服、今着てみると中々恥ずかしいな…若作りしてる気分だ」

 

 

懐かしのお古を着て、虎杖の高校へと訪れた。

 

 

「帳が降りてる」

 

 

構築的に…伏黒の奴か、基礎はばっちし…うむうむ。

 

 

「お邪魔」

 

 

構築の1部を塗り替えて、崩壊しない様に強度を高める形で侵入する。

この程度なら縛りでの帳補強も要らない、基礎の基礎だ。

 

 

「多分…虎杖は巻き込まれてるな」

 

 

「だが受肉の気配は感じない、校舎でも回っとくか…っと、残穢か…これまた伏黒のか」

 

 

「……そもそも虎杖は呪力使えないんだった、教えておけば…ーーいや駄目だ、余計にややこしくなる」

 

 

「扉は…開いてない、流石にこの時間じゃ当たり前だな」

 

 

済まないが失礼する、扉の補修費は窓の人に言ってくれ。

 

 

「よっこいしょ…!」

 

 

ヤクザキックで扉を壊し、侵入する。

校舎のあちこちに戦闘の痕跡と伏黒の残穢、そして……。

 

 

「おぉ…!これ、この殴った痕跡!コンクリの柱をぶち抜いてるのに呪力の残穢が無い…!虎杖だな!うむ、本当に強く育ったなぁ…」

 

 

プロヒモ(甚爾)酒カス(伊吹)の力を借りるのは嫌だったが、もしもの事があるし虎杖には護身術を覚えさせている、素の身体能力で人を殴り殺せてしまうから、その扱い方もな。

 

 

 

「ァァァァ…ァァァァァ゛…」

 

 

「ん?」

 

 

拳の跡が付いたコンクリの柱を撫でていると、奇っ怪な声が背後からしてきたので振り向くと…。

 

 

 

「ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ッ!!!!」

 

 

 

案の定、血塗れでボロボロの人型呪霊が襲いかかってきていた。

 

 

 

「あ〜…やり残しか、伏黒め…集団の掃討後はしっかり確認しろと言っておいたのに」

 

 

 

身体、鈍ってないかチェックしとくか。

 

 

「ア゙ア゙■■■!!■■■■■!!!」

 

 

 

「ア゙ア゙…ーーーア゙…?」

 

 

 

 

目の前の餌が消えた。死にたくない、早く喰いたい。

 

 

 

 

「ふぅー〜…」

 

 

 

 

そんな雑念を抱えた呪霊の視界が反転する。

 

 

ほんの少しだけあった知能を働かせて、身体の異常…その原因を把握しようと……。

 

 

 

「さてさて、2人はどこだ〜」

 

 

 

放り投げられ視界が宙に舞った事で、視界に映った自分の首が無い身体を見て漸く……自分の死を自覚した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

巨大な呪霊、恐らく術式は持たない2級程度だろうか?

 

 

 

「辞めろッ!!虎杖!」

 

 

 

ニタニタと笑いながら、その手の中に少年を握り込む。余程苦しめられた相手なのか、その笑い声が校舎中にコダマしていた。

 

だが呪霊の身体をよく見れば、紫色の血を垂れ流し、肉を突き破られていてボロボロ、かなりの苦戦と死闘が伺える。

 

 

 

「これしか方法がねぇんだろッ!」

 

 

 

本来は一般人には呪力を操れない、故に触れられもせず、見えもしない呪霊に対してダメージを与える方法は無かったが…。

 

それは咄嗟の連携だった、伏黒が呪力を込めた石礫を虎杖に投げ渡し、投擲する。

 

人類最古の攻撃手段によって追い詰められていた呪霊が選んだのは、直接の攻撃手段が無い虎杖の捕縛。

 

 

 

 

「俺に呪力があれば…!」

 

 

 

虎杖の脳裏に過ぎるのは、今日亡くなった自分の祖父の遺言。

 

 

『オマエは強いから、人を助けろ…手の届く範囲でいい、救えるやつは救っとけ迷っても感謝されなくても、とにかく助けてやれ…俺みたいになるな、虎杖…オマエは大勢に囲まれて死ね』

 

 

なら、せめて手の届く場所に皆を救える手段があるのならば。

 

 

虎杖悠仁はそれを躊躇わない。

 

 

 

 

「馬鹿野郎!!」

 

 

 

(特級呪物だぞ!?猛毒だ!確実に死ぬ!!だがアイツの化け物みてぇな身体能力を考えれば…万が一の場合……!!!)

 

 

 

虎杖が、呪札によって封印されていた特級呪物を空へと投げ捨てる。

 

 

その着地点は……彼の口の中だ。

 

 

 

「あーー〜……んッ!!」

 

 

 

「っ…!」

 

 

 

「……」

 

 

 

呪霊が握る力を強める、それは虎杖を殺害する為でも、逃がさない訳でも無い。

 

 

()()()()()()()を抱いたからだ。

 

 

小さな子供が、怖いものを目の前にした時に思わず親へ飛びついてしまうように、大の大人が恐怖に見舞われた時に知らず知らずに手に力を込めて固まってしまうように。

 

 

 

 

 

「…………」

 

 

 

 

「ケヒ」

 

 

 

 

ーー呪霊の手が粉微塵に切り裂かれる。

 

 

 

「……」

 

 

呪霊の拘束から離れ、着地し…軽く手を一振り。

 

 

それだけで……。

 

 

 

「ーー……最悪だ」

 

 

 

呪霊は、驚きの感情を得る前に死んだ。

 

 

 

 

「万が一の、最悪の事態…!」

 

 

 

「やはり外の光はいい」

 

 

 

フェンスの上へと立ち、大きく息を吸う。

 

 

 

「特級呪物が、受肉しやがったッ!!」

 

 

 

……だが。

 

 

 

 

「いい景色だ、女も子供も溢れかえっている…呪霊の肉ではつまらん」

 

 

 

「鏖殺だッ…ーー」

 

 

 

様子がおかしい。

 

 

 

 

「お前、誰だ…勝手に人の体で何してんだよ、返せ」

 

 

 

「……お前…どうして動ける?」

 

 

 

「俺の身体だからだろ……あ、おっさんの言葉を借りるなら…俺の身体は特別だから?とか?知らないけど」

 

 

 

「馬鹿な…抑え……込まれる…!?」

 

 

 

自分自身の顔を手で抑えた後、見る見るうちに凶悪な笑みと凶器の様な爪は引っ込んでいき、麗らかで優しい少年の顔へと戻った。

 

 

呪印らしき痣はまだ元に戻っていないが、そのままフェンスから降りて伏黒の元へと駆け寄る虎杖。

 

 

 

 

「よいしょっと、おぉ!?呪霊が死んでる…なぁ伏黒…ーー伏黒?」

 

 

 

 

「動くな」

 

 

 

 

伏黒が『虎杖』へと手印を構え、宣告する。呪術師として至極当然の事ではあるが、虎杖には困惑が隠せない。

 

 

 

「呪術規定に基づき、虎杖悠仁、オマエを”呪い”として祓う(殺す)

 

 

 

呪力を腹から回そうとしたその時…。

 

 

 

ドガァァンッ!!!!

 

 

 

「…っ!?なにが…」

 

 

 

ーー伏黒が本格的に敵意を持ち始めたと同時に、屋上の扉が蹴り開かれ、重い鉄扉が彼方へと飛んでいった。

 

 

 

「祓うーー…ってのはちょっと待て、伏黒」

 

 

 

「妹紅先生!?」

 

 

 

「もこねぇ!?」

 

 

 

「は、ぁ?なん……も、もこねぇ!?!?!?」

 

 

 

「伏黒こそ妹紅先生ってなんだよ!?もこねぇ!ここヤバい場所!めちゃくちゃ危険!!OK!!?」

 

 

 

「ったく、焦り過ぎだ虎杖…分かってるよ…後伏黒のもこねぇ呼び、面白いな…まぁともかく…」

 

 

 

呪物を取り込んだからこそ虎杖は呪力に関するものを知覚できる様になったのだが……それ故に今の妹紅に対して、感じ取れるものがある。

 

 

彼女を見ているだけで、身体が震えていた。

 

 

そして『視る』。

 

 

その呪力の奔流を。

 

 

 

「一旦落ち着け」

 

 

 

湧き上がる呪力が校舎全体に行き渡り、残党は祓われ、伏黒と虎杖、そしてオカ研の2人の傷も全て治っていく。

 

無限の生命力、その一端を解き放った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「も゛こ゛ね゛ぇ゛……」

 

 

 

「怖かったな、よしよし」

 

 

 

「…じいちゃんの事、聞いた?」

 

 

 

「うん、お迎えが来たのを見送ってくれたんだな」

 

 

 

「っ、そうだ!遺言は…」

 

 

 

「あぁ、でもそれは受け取った悠仁の中だけで覚えておいてくれ、私へ向けた遺言状もある…それは悠仁だけの遺言だ…きっとここまで無茶をしたのもあのじいさんの言葉からだろ?」

 

 

 

「うん、分かった」

 

 

 

「……」

 

 

 

仲睦まじい掛け合いを見ながら、ため息を漏らす。

 

 

 

「あのですね、2人とも」

 

 

 

「「何だ?」」

 

 

 

「どんな事態になっているか、理解していますか…!!」

 

 

 

屋上で3人とも座りながら談笑しているが、事態は急を要している。

 

 

 

「えっと、俺がヤバいもん…宿儺の指を飲み込んで」

 

 

 

「私がそれを察知して見に来た」

 

 

 

「…分かってるじゃないですか………虎杖は処刑対象ですよ、妹紅先生」

 

 

 

「ひ弱な私が悠仁みたいな元気青年に勝てる筈無いだろ」

 

 

 

「冗談言ってる場合ですか!?」

 

 

 

その実力を知ってるからこそ、冗談としか思えない物言いに怒りを露わにする。

 

 

 

「まぁ、だってアイツも来てるし」

 

 

 

…その怒りも一瞬で呆れに変わってしまったのだが。

 

 

 

「よっ…え、妹紅……これ今どんな状況?てかなんでここに?その格好は?」

 

 

 

「養子の学校先にヤバい呪物あったら見に来るだろ普通、後服装について次指摘したら目玉抉り出すからな」

 

 

 

「五条さん…!!」

 

 

 

空から飛んできたもう1人の教師、五条悟(最強)が3人の輪に加わった。

 

 

 

「あ〜…それもそうだね!よし、それで呪物は?」

 

 

 

「…それ、俺が飲み込んじゃった」

 

 

 

「……マジ?」

 

 

 

「「「マジ」」」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

それから数時間後。

 

 

 

 

〜妹紅宅〜

 

 

 

 

 

 

 

「鍋パだぞーー!!」

 

 

 

妹紅が持っている鍋の中は水炊きでは無く、高級な鰹ダシ。

 

 

 

出汁を火にかけた事で香る良い匂いが家を満たしている。

 

 

 

「「やったーー!!!」」

 

 

 

それを大手を振って喜ぶ2人は、うら若き少女の様に見えるが…。

 

 

 

「酒だー!!」

 

 

 

1人は酒瓶を振り回しているし…。

 

 

 

「松坂牛買ってきたぞーー!」

 

 

 

1人はどう見てもカタギには見えない。

 

 

 

「「「宴会だーー!!!!」」」

 

 

 

虎杖を交え、にこやかに笑っているが……。

 

 

 

 

「「……」」

 

 

 

(( 誰と誰!?))

 

 

 

家に上がった2人を襲ったのは、ただひたすらに困惑であった。

 

 

 

結局、あの後の顛末はどうなったかというと……。

 

 

 

 

『ははっ、本当だ!混ざってる…!制御も出来てる…かは確かめないとね、宿儺と代われる?君の食べた奴の事なんだけど』

 

 

『あぁうん、多分できるけど』

 

 

『じゃあ10秒だ、10秒経ったら戻っておいで』

 

 

『でも…コイツってヤバい呪いなんでしょ?』

 

 

心配そうに声を返す虎杖に、五条が返す言葉は1つ。

 

 

『大丈夫』

 

 

『僕、最強だから』

 

 

背負った名に偽りは無い。

 

 

最強である事に固執は無いけれど、『僕』は最強で無いといけないから。

 

 

それだけが、存在を証明してくれる。

 

 

 

 

 

『あ、待てお前ら、そのまま私の家に来い』

 

 

 

『晩御飯、食べてけよ』

 

 

 

恵の私情での懇願によって、生徒の願いを叶えようと五条が虎杖を気絶させる寸前、いつの間にか姿を隠していた妹紅がまた現れて、そう言い放った。

 

 

 

という訳で、今に至る。

 

 

 

 

 

「ほら、座れ座れ〜…鍋置くぞ〜」

 

 

「肉、しゃぶしゃぶ用と炊き込む用、2つ買ってあるぞ〜?」

 

 

「ありがと、お前だけだよ、私の友達の中でマトモな奴は…どうせ酒しか買ってきてない馬鹿とは違ってな……」

 

 

「馬鹿じゃない!お前らが酒の心配をしない様に、私が酒係をやってるだけでな?別に酒しか考えてる訳じゃ無いぞ!」

 

 

流石の五条も、早く虎杖の受肉に対する上への報告を済ませたかったのか、現状に困惑しかしていなかった。

 

 

「…妹紅先生、そのお二人方は?」

 

 

「あ〜……私の飲み友、一応呪術は嗜んでるから大丈夫だよ、そっちの酔っ払いこと酒係が酒造組合の会長、萃香さん」

 

 

「宜しくな!妹紅とは最近飲み交わすようになったんだ!」

 

 

「今回の主役の肉を持ってきてくれたのが……会社名出していいか?ダメ?えっと、銀行のお偉い人、二ッ岩さん」

 

 

「妹紅さんとは常日頃、良い商売相手として儲けさせてもらってます、社長繋がりでお知り合いになりました…今後ともおおきにね」

 

 

「て、丁寧にどうも……社長??」

 

 

既に虎杖は席に座ってニコニコしながら萃香と話し合ってるし、五条は妹紅の無茶苦茶にも慣れているのか普通に椅子に腰掛けている。

 

 

そのせいでツッコミ役と反応役と対応役を全て伏黒が担当しなくちゃいけないのは…なんだか可哀想にも思えてきた。

 

 

一旦、箸で鍋のつみれをポン酢で食べている五条へと耳打ちをする。

 

 

(五条さんッ…!!アンタこんな所で油売ってる暇あるんですか!?)

 

 

(ん〜ないねっ!でも妹紅が呼び止めたって事はきっと大丈夫だって事さ、心配しなくていい、僕より発言権強いし、この人)

 

 

(隠居したって聞いたんですけど…!?)

 

 

(うん、百鬼夜行後に隠居するって言ったからさ、普通に2人の間に居た時は僕もびっくりしたよ……まぁ本当に大丈夫だからさ、恵も食べたら?美味しいよ、お肉)

 

 

(そんな事言ってる場合じゃ…)

 

 

「妹紅ー!恵のお皿お願〜い」

 

 

「はいはい」

 

 

「ー〜っ!」

 

 

「…っはぁ………分かりましたよ…もぅ……好きにしてください…」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『夜』が静まった頃。

 

 

 

虎杖の額に触れる妹紅。

 

 

 

 

目を開けてみれば……。

 

 

 

一面の赤。

 

 

それは血の湖であり、そこには数多くの人骨や人外の骨、そしてそれらが今まで喰らってきた数を表しているのか、山のように積み立てられてる。

 

 

何処までのおぞましきものであれば、この光景を作り出せるのか。

 

 

魂と精神の内海である生得領域がこの様な形をとる存在が、この世界に存在していいのか。

 

 

これこそが呪いの王たる両面宿儺、その邪智暴虐と絶対的な自己、天上天下唯我独尊、己の快・不快のみを生きる指針とする存在の生得領域。

 

 

 

に、佇む少女が居る。

 

 

 

 

「久しぶり、絶対に会いたくは無かったけどな」

 

 

「……貴様、何者だ?」

 

 

「流石に2本じゃ思い出してないか……まぁ、いつか思い出すさ」

 

 

「どうやってここへ来た」

 

 

「魂だけの世界にどうやって、か?答えはそのまま出てるよ」

 

 

「……」

 

 

「死ぬまでの暇つぶし……だったか、お前の言葉も私にとって良い指標になったさ、一応お前のお陰で『自分の身の丈』を理解出来た、礼を言っておく」

 

 

 

赤い筈の世界が、更に『赤』へと染まっていく。

 

 

赤く、紅く、明るく赫い。

 

 

葬送が如く血は蒸発し、骨も、肉も、何もかもが燃えていく。

 

 

 

「生まれ生まれ生まれ生まれて生の始めに暗く、死に死に死に死んで死の終に冥し」

 

 

 

「故、真に恐怖とは、約束された恐怖の向こうの暗闇、私達は大きな影の中に産まれ、そしてまた影の向こうへと、暗闇の向こうへと足を進める」

 

 

 

「だが、進めないものも居る、暗がりを恐れ、足を取られ、前へと進めぬ者達が、それ即ち生命である」

 

 

 

「なればこそ」

 

 

 

「渡し守たる私が今1度火を灯そう」

 

 

 

「【パゼストバイフェニックス】」

 

 

 

世界が燃え尽きる。

 

 

炎に出来る影さえ焼け尽きて、全ては灰へと。

 

 

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