不老不死の呪いは巡る   作:カピバラバラ

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ごめんなさい、まだプロット組み立ててる途中で…今日は箸休め回になっちゃいました、ごめんなさいね…ゆったりと書いてるもんですから…。

それに、感想の返信もマチマチでごめんなさい、ちゃんと拝見はさせて頂いているので、どうか気長にお待ちをば…!


という訳で、閑話休題の箸休め回です、誤字脱字報告いつもありがとうございます!




閑話で消費されるモノ

 

 

妹紅が結界を張って、特急で禪院家へと向かっていた時。

 

 

 

 

「妹紅さんとは昔から仲良しだったんですか?」

 

 

 

車の中、運転している最中に早苗さんに話しかけられる。

 

 

任務の帰り道、妹紅さんの連絡を他の方が受け取ったのを横入りして無理矢理来てしまった。

久しぶりに…お顔を拝見させてもらいたかったですし…。

 

 

妹紅さんに目をかけられているお方、ご本人はその価値を理解していない様ですが…ここまで手を掛けられているのは本当に珍しい事なんですよ?

 

 

「ふふ、えぇ…昔に少し…今よりも何百倍もだらしない人でしたから」

 

 

「その時は…今みたいなお仕事を?」

 

 

「いえ、その時は依頼の窓口係でした…殆ど妹紅さん専属でしたけどね」

 

 

本当にあの方はダラしない、今でこそちゃんとしている様に見えるが、私の窓の仕事を超えて身の回りの世話を任され続けていました。

 

一生スーツしか着なさらないので服を買いに行って、食事をお取りにならないので共に食事場所を巡り、自炊を教え、とにかく人間らしい生活を送れる様になるまで努力し続けたんです。

 

 

「補助監督官をあの方は必要と為さらず、それから…生活を1人立ち出来るようになった後は依頼を渡すだけの関係に、後はご隠居為さるまでは関わりは薄くなっていましたが……」

 

 

「妹紅さんがこの度復職なさると噂になっていらっしゃるので、私も心を決めて補助監督官になったんです」

 

 

「ほへ〜…そんな事が…というか、そこまで妹紅さんに付き従ってる理由とかあるんです?」

 

 

「……あはは……その、えっと…笑わないで下さいね?」

 

 

「勿論ですとも!」

 

 

「その……顔、イイじゃないですか、カッコイイですし」

 

 

そう言われて、守矢神社での炎の翼を付けた妹紅の姿を思い出す。

 

 

「あぁ、まぁ確かにですね」

 

 

「世話…しがいもありましたし……一目惚れ、ですかね…女性同士ではあるんですが、昔にちょっと…」

 

 

『少しいいか』

 

 

そうやって、痛む頬に触れてもらった事を未だ覚えている。

 

 

「ほう!一目惚れですか!!イイですね…!!妹紅さん中々イケメンですし、分かりますよ」

 

 

「それで何年も燻ってるのもダサいと自覚はしてるんですけどね…ははは……」

 

 

「なんなら恋愛成就のお祈りでもしてあげますよ?どうですか、守矢教徒になりません?」

 

 

「ダメですよ、そんな縁起でもない…別に恋愛とかじゃなくて、お慕いしているってだけなので…」

 

 

「そんな勿体ない…乙女は当たって砕けろですよ!!」

 

 

私の場合は当たって砕けて立ち直れなくなるから…。

 

 

「妹紅さんは呪術の世界で、とても大きな功績を残し続けている生きる偉人です、妹紅さんの担当区で彼女の名を出せば知らぬ者は居ません」

 

 

「高専結界の更新に領域対策の伝道師、妹紅さんが来てからの呪術師の死亡率は6割程下がっています、6割ですよ6割…」

 

 

「ある種、呪術の世界での英雄になっている人です、私以外にも大勢彼女を恋愛的に狙っている人は居るでしょう、私も専属配備されていた時代は本当に大変でした…か…ら」

 

 

…しまった、少し喋りすぎちゃった。早苗さんはこんな私の話に興味も無いだろうし…うー恥ずかし恥ずかし…。

 

 

変な人だと思われてないかな…?

 

 

 

「ごめんなさい、少しお喋りが過ぎまーー…」

 

 

 

「ーー本当に妹紅さんの事、大好きなんですね」

 

 

…!?!?!?

 

 

「ほへぇぁ!?は、そ、急にどどどど」

 

 

「私、ちゃんと巫女なので!…そういう温かい感情の波長が分かるんですよ、それに…大変だ〜大変だ〜って言ってる時が1番笑顔でしたよ!!」

 

 

「ミ°ッ…」

 

 

「ふっふっふ…このラブコメの予感、私見逃せません!風祝として貴方に奇跡を見せてあげましょう!……お守り程度ですけど!」

 

 

 

軽く、短文の様な詠唱を挟んでから運転席に座る彼女の肩へと手を当てる早苗。

 

清らかな呪力を肌で感じ、肩が軽くなった気がする。

 

 

 

「貴方に素敵な巡り会わせが有りますように」

 

 

「…早苗さん、今のは……」

 

 

「おまじない、ですよ!」

 

 

「乙女、当たって砕けるべし!頑張って下さい!」

 

 

「む、むぐぐぐぐ……」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「それじゃ、サヨナラー!」

 

 

「お疲れ様でした、早苗さん」

 

 

手を振って花屋に帰る早苗さんに、手を振り返す。

 

 

「……」

 

 

妹紅さんと早苗さんの前では吸えなかったタバコを取り出して一服し、車の運転席へ乗り込んでハンドルへと顔を突っ伏した。

 

 

「はぁ…恥ずかしかった…」

 

 

25になっても引きずってる初恋の人の話とか、普通に耳ちぎりたくなっちゃうよ…。

 

 

「…」

 

 

「素敵な巡り会わせ、かぁ…」

 

 

それなら、もうとっくに巡り会ってる。

 

 

「…」

 

 

一目惚れ、は慕っている半分の要因。もう半分は……。

 

 

車持(くらもち)…我が弟よ!………はは、はぁ…私もそろそろ身を固めないとダメなのかなぁ…」

 

 

今はもう居ない弟、その写真に向かって話しかける。

 

 

妹紅さんが初めての任務で祓ったあの場所は、私の弟と母が被害にあって亡くなってしまった場所だ。

あのビルに居た呪霊は狡猾で、臆病だった。ビル内に生得領域を築ける程の力を有していながら、絶対に活動領域であるビルの外には出ない。

 

 

アイツが家族を弄んだ声を未だに覚えている、わざと見逃されて餌にされた私を嗤う声。

 

 

あのビルに手を出さなかったら被害は無い、しかし祓うとなれば誰がどう考えてもメリットとデメリットが釣り合っていない相手だった為か、誰も祓う依頼を受け取ろうとせず、放置と傍観が基本の『死にに行く任務』。

 

 

でも、私にとっては仇の居る場所。歯を食いしばって耐え続けなきゃ怒りで1人突撃してたかもしれない。……死ぬだろうけど。

 

 

「……妹紅さん…」

 

 

どんな態度を上層部に取れば新人があんな任務を任せられるのかと、幼い私は『窓』でありながら現場にと足を運んでしまい、そしてビルの爆発を丁度目にしてしまった。

 

 

「……」

 

 

慌てて廃ビルの中へ突入し、呪霊の波をなんとか死ぬ気で躱して……辿り着いた先には、仇を虫けらの様に蹴散らして佇む妹紅さん。

 

 

 

「あーー……はぁ……無理だよーー!!お姉ちゃんにはもう一生相手なんか見つからないんだーー!!!」

 

 

「妹紅さんが美形過ぎるのが悪い!!世の中の男はもっと努力しろぉぉーー!!」

 

 

「……ぅぅ」

 

 

「…………はぁぁぁ…」

 

 

写真に話しかけても声は返ってこないけど、叫ばずにはいられない。

 

 

素敵な巡り会わせがあるなら早くしてくれぇ……婚期逃すギリギリの年齢なんです……。

 

 

「イライラとムカムカが……全部酒とタバコに…」

 

 

「……」

 

 

「…うわ!もうこんな時間…」

 

 

あれやこれや考えている内に日が暮れていた、日が暮れることに気づかない程考え込んでいた。

 

 

「馬鹿、ホントバカだな私…帰って書類整理しないと…」

 

 

車のエンジンを掛けて走り出す。

今日は自宅へ真っ直ぐ帰るつもりだったけれど、早苗さんに渡した日給手当の明細書を1度窓口の私のデスクに置きに行かないといけない。

 

 

「……」

 

 

「もう1箱も吸ってる……」

 

 

「ちゃんとしろ私……ぅ…でもヤニ切れ…」

 

 

途中車を横道に止めて、窓から見えたタバコの自動販売機へと足を運ぶ。

 

 

「…………はぁ…」

 

 

「よっこい…うわっ…!」

 

 

五百円玉を取り出そうと財布の小銭入れを開いた拍子に……力んでしまったのか五百円玉を取りこぼしてしまう。

 

 

そのままコロコロコロコロと、綺麗に半回転大回りを決めて路地の方向へと。

 

 

「ちょ、何処まで転がるの!?まっ、おーーい!!」

 

 

五百円玉を追いかけて、自身も路地裏へ身体を滑りこませようとすると…。

 

 

「待っ…ーー」

 

 

ゴツンっ!!

 

 

「痛ったぁ!!」

 

 

と、謎に空中でおでこをぶつけた。

 

 

湧いてくるイライラとムカムカを向ける対象を探す為、おでこを抑えながら顔を上げてみると……。

 

 

何も、無い。

 

 

「……」

 

 

「っ!違う…これ、結界…?どうしてこんな………うわっ、風景に紛らせてるのにある程度の強度まで確保されてある…!?」

 

 

超超高技術だ…!見た目をここまでの範囲で変えて強度があるってこと自体伊地知さんが見たらひっくり返るだろうな…ってそんな事考えてる場合じゃない!

 

ここ周辺で正規呪術師の活動報告は無い、恐らく呪詛師…!!

 

 

「報告しな…」

 

 

報告しないと、そう思って180度方向転換して歩き出そうとした時。

 

 

ーー奇跡が起きる。

 

 

 

「ぬわ!?」

 

 

硬いものを思いっきり踏みつけて、足を全力で挫く。

 

 

呪術での攻撃か!?と焦っていたが…すっ転んで回転する風景の中、その原因を瞳で捉えた。

 

 

それは……コロコロと転がっていた…。

 

 

 

「五百円玉ァァァ!!受け身ぃっ!!?」

 

 

微かにある呪力を頭に一極集中させて、なんとか致命傷を防ごうと受け身を取ろうとするが、武術の心得が無い者の無謀な受け身は更に勢いを加速させるだけで…。

 

 

全速力の勢いのまま、呪力を集中させた後ろ頭によるヘッドバットが……結界へと叩き込まれる。

 

 

ーー粉砕。

 

 

幾ら高度な結界といえど、完全な風景への擬態という機能を組み込んだ時点でその強度はたかが知れていた。

 

 

 

「うごぁっ……いててて……」

 

 

 

「やっばい最悪…!」

 

 

 

こんなの結界主に侵入が一瞬でバレ…ーー

 

 

 

「……車持?」

 

 

 

「え…」

 

 

 

「妹紅さん?」

 

 

 

聞き覚えのある声に、すっ転んだまま反転した私の視界に映るのは妹紅さんだった。

 

 

 

「お前…どうしてこんな所に?てかどうした、ひっくり返って」

 

 

 

「あ、あのそそののの……五百円玉でお、思いっきり転んじゃいまして…」

 

 

 

「…五百円玉?いつの間に私よりとろくさくなってんだ、ほら手貸すから」

 

 

 

「とろくさい自覚あったんですね……ありがとうございます…っいてて…」

 

 

 

妹紅さんの温かい手に握られて…立たせてもらったけど…足首を思いっきり挫いたせいか、真っ直ぐに立てなかった。

 

 

 

「立てんか、持ち上げるぞ」

 

 

「え?うわ!?」

 

 

お、おおお姫様抱っこ…!!!おち、おちおちつけわたし、相手は妹紅さん、妹紅さんだぞ!!同性!先輩!仕事の上司!呪術師界の英雄!!

 

 

「は、はひゅっ…」

 

 

「……本当にどうした、なんか変な呪いでもかけられたか?」

 

 

「の、呪いなんかじゃ…!!顔近いッッ!!!」

 

 

「……車持」

 

 

呪い?呪い…?あ!!絶対早苗さんが何かやってた奴だよね!?心の声隠せないもん!

 

 

「え、えへへ…その…妹紅さんの顔が…近いからですかね…」

 

 

「10年位見てる顔だろ…今更何照れてんだ」

 

 

「いやぁ…あはは…妹紅さん、1回鏡見てみましょう!」

 

 

「早苗に変な菌でも移されたか…」

 

 

「みぎゃっ…」

 

 

おでこくっつけて…あもうむりキャパオーバー。

 

 

『当たって砕けろ』…。

 

 

守矢教の教え、お借りします!!

 

 

「あ、あのですね妹紅さん…急なんですけど…毎日、その…えと…」

 

 

「なんだ?」

 

 

「……ず、ずっとお慕い申し上げてきました!恋愛的な面の感情も大きくて!でもそれってダメじゃないですか!?引きづって婚期逃しかけてるんで!なのでどうかここでキッパリと私を拒んで頂けます!?」

 

 

「ーーー……」

 

 

言っちゃったぁ…終わった、帰って風呂貯めて寝よ…今日の事は忘れてーー。

 

 

「は、はははは!それで様子が変だったのか……んーー…んーーーー…まぁ拒みはしないさ」

 

 

「……え?」

 

 

「それ以上は言わない、今日は拒絶されなかったってだけ受け取って家に帰りな、車持」

 

 

「ええぇ?ぁあゎぁわわわ…」

 

 

 

そのまま妹紅は彼女をお姫様抱っこしたまま路地裏の外へと出ようとして…ふと、車持の脳内にある疑問が思い浮かんだ。

 

 

「あ、そうでした…妹紅さん、どうして結界内へ?申請の無い結界術の展開は規則違反ですよ?」

 

 

「……えっと…それはなぁ…ちょ、ちょっと誤魔化したい事があってな…黒い秘密って奴だ」

 

 

「あはは、なんですかそれ…妹紅さんに至って、そんな事」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「妹紅、その子だよ」

 

 

 

 

 

「そうか、分かった」

 

 

 

 

 

ーー胸を貫く、熱。

 

 

 

「……ぁ…え…?」

 

 

 

視界に映るのは呪術最悪の呪詛師、全身に火傷を貼り付け袈裟を着こなす人物。

 

 

 

「げ…と゛……かフッ゛…」

 

 

 

「うーん、結界さぁ、絶対分からないようにしたんだけど、なんでかなぁ?」

 

 

 

「も………も゛こうさ゛…ん゛…」

 

 

助けを求め、私が最も敬愛する人物へと手を伸ばして…漸く、気付いた。

 

 

私の胸を貫いているのは、彼女の手だ。

 

 

 

「な゛、なん……ぁ…」

 

 

 

「呪力使ってないよね?」

 

 

 

「あぁ、シンプルにやった」

 

 

 

「もこ゛…も゛こ゛うさ゛…なん……」

 

 

 

「すまん…なんで、か…」

 

 

 

「なん゛で…」

 

 

 

「お前は……違うから…かな…」

 

 

 

 

ーーわ…たし……のこと……みて…無い…?

 

 

 

ぁ……。

 

 

 

「これで君含めて残り4人だ、2人は私がやる、残りはよろしく」

 

 

「……難しいって、私には」

 

 

「だからちゃんとサポートしたじゃん、車持氏の血族見つけてさぁ…他の子もそんな感じだから大丈夫大丈夫!」

 

 

 

ぁぁ……そっか…。

 

 

今…こんなに顔が近いのに……。

 

 

見てないんだ、私の事。

 

 

 

「………」

 

 

 

「痛みは和らげてる、ゆっくりおやすみ」

 

 

 

「………だ……れ…………を…」

 

 

 

「みて…私を…見て欲しいです…」

 

 

 

「あぁ」

 

 

 

「……」

 

 

 

……もしかしたら、最初から…ずっとお世話してた時から…。

 

 

1度も視界に入ったことなんてなーー

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「おやすみ…よし、羂索、後は任せる…取り込むんだろ?」

 

 

 

「うん、最高の素体だからね…まぁ取り込むという訳じゃなくて冷凍保存だけど」

 

 

「……ほんと、何したいか分からんやつだなお前」

 

 

「気にしなくていいよ…それにしても、本当に偶然出会っちゃったなぁ…こんなの予定に無かったんだけど」

 

 

「お前の想定外って珍しいな、どうした?変なもんでも喰ったか?」

 

 

「うーん……えー?こういう言葉口にしたくないなぁ…運命とか大嫌いだし」

 

 

 

「何だ、言ってみろ」

 

 

 

「……まぁ…そうだね…」

 

 

 

「強いて表すとするなら」

 

 

 

「奇跡かな」

 

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